説明

携帯端末及びその管理システム

【課題】簡単な構成で、音を取得する集音手段と、前記携帯端末の絶対位置を検出する絶対位置検出手段と、前記携帯端末の相対位置を検出する相対位置検出手段と、前記集音手段で取得した音を音声と認識する音声認識手段とを備えた携帯端末を実現する。
【解決手段】サーバー(2)との相互間でデータの送受信を実行する携帯端末(1)であって、前記携帯端末には、音を取得する集音手段と、前記携帯端末の絶対位置を検出する絶対位置検出手段(1-1)と、前記携帯端末の相対位置を検出する相対位置検出手段(1-2)と、前記集音手段で取得した音を音声と認識する音声認識手段(1-3)とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末及びその管理する管理システムに関し、特に、予め定められたエリア内で作業をする作業者が携帯する携帯端末及び、それらの携帯端末を介して作業者を管理することに適した管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の作業者が従事する作業場所においては、作業者を管理する管理担当者を置き、各作業者の作業状態を把握している。従来、管理担当者の負担を軽減すべく、作業者自身が、実行中の作業内容を入力するシステムが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
特許文献1に記載されたシステムでは、表示画面に作業者が行うべき業務が表示され、作業者は表示された業務を実行し、次の作業に移る毎にポインティングデバイスを操作して、実行中の作業の変更を入力するようになっている。
【0003】
上記特許文献1に記載のシステムでは、作業者自身に入力操作を行わせる場合、作業者に対して操作方法を教育する必要があり、誤操作により誤った情報が入力される可能性がある。このため、作業者への教育や誤操作への対処に多くの労力を要することが懸念される。
【0004】
上記問題点を解決するシステムとして、複数の作業者の作業状態を、作業者に複雑な操作を強いることなく、確実に記録することが可能な以下に記載の如き業務管理システムが知られている。(例えば、特許文献2参照)
【0005】
業務エリア内で作業者が発する音声を取得する集音装置と、前記集音装置が取得した音声を認識して文字データを生成する音声認識装置と、前記音声認識装置により生成された文字データから得られる情報と、この文字データに対応する音声を前記集音装置により取得した時刻を示す情報とを対応づけて、前記作業者毎に履歴記憶装置に記憶させる記憶制御装置と、を備えたことを特徴とする業務管理システム。
【0006】
この構成によれば、業務エリア内で作業者が発した音声から得た情報と、この音声を取得した時刻とが対応づけて記憶されるので、業務エリアにおける作業者の音声について正確な記録を行える。これにより、作業者が音声によって報告を行った場合に、この音声に基づいて文字データを生成して作業状態に関する情報を記録できる。また、作業者が顧客や他の作業者へ向けて発した音声を取得して、この音声に関するデータを取得することで、作業者が何ら意識しなくても作業状態を記録できる。このように、作業者に作業状態を記録するための特別な操作や作業を強いることなく、作業状態を確実に記録できる。
【0007】
また、上記特許文献2には、業務管理システムの構成要素として、以下の端末装置及び業務管理装置が記載されている。
【0008】
図4は、特許文献2に記載の従来の端末装置2の機能的構成を示すブロック図である。
この図4に示すように、端末装置2は、端末装置2の各部を制御する制御部201と、制御部201により処理されるプログラムやデータ等を揮発的または不揮発的に記憶するメモリ203とを備える。制御部201は、音声認識ミドルウェア202を内部に記憶しており、この音声認識ミドルウェア202を実行することで、マイク24によって集音された従業員の音声をテキストデータに変換する機能を備える。また、制御部201は、メモリ203に記憶されたファームウェア204を読み出して実行することにより、端末装置2の各部を制御する。
【0009】
端末装置2は、制御部201の制御のもとに、テキストデータとして入力された情報から音声信号を生成する音声発生LSI205と、音声発生LSI205により生成された音声信号を増幅するアンプ部206とを備え、アンプ部206により増幅された音声信号は本体部21が備えるイヤホン23に入力され、イヤホン23から従業員の耳に向けて音声が出力される。
また、端末装置2は、マイク24から出力された音声信号を増幅するアンプ部207と、アンプ部207により増幅されたアナログ音声信号をデジタル音声データに変換するA/Dコンバータ208とを備えている。A/Dコンバータ208は変換後のデジタル音声データを制御部201に出力し、制御部201は、音声認識ミドルウェア202の機能によって、入力されたデジタル音声データをテキストデータに変換する。
【0010】
ここで、音声発生LSI205は、入力されたテキストデータを同じ言語の音声信号に変換する機能を備える。具体的には、音声発生LSI205は、日本語のテキストデータが入力された場合に、このテキストデータをもとに、内蔵する音声合成辞書データを参照して音声合成を行い、日本語の音声信号を生成する。また、音声発生LSI205に、中国語、英語、フランス語等の各種言語の音声合成辞書データを持たせた構成とすれば、音声発生LSI205によって、上記言語のテキストデータに基づいて、その同じ言語の音声信号を生成することができる。この場合、業務管理装置3から端末装置2に対して中国語や英語のテキストデータを送信し、このテキストデータを端末装置2が受信して音声信号を生成することにより、日本語以外の言語の音声を出力することも可能となる。例えば、日本語以外の言語を母語とする従業員がいた場合、この従業員に対して、イヤホン23から、母語の音声を出力して指示や連絡を行うことができる。
【0011】
音声認識ミドルウェア202を実行する制御部201は、マイク24から出力された音声信号について、予め設定された言語(例えば、日本語)の音素解析等の処理を実行して音声認識を行い、上記設定された言語(例えば、日本語)のテキストデータを生成して出力する。
ここで、日本語以外の言語に係る音素解析用のデータを予め備えておくことにより、音声認識ミドルウェア202を他言語に対応可能なものとすれば、音声認識ミドルウェア202を実行する制御部201により、中国語や英語等の他言語の音声信号を認識して、その同じ言語のテキストデータを生成して出力することも可能である。
【0012】
端末装置2は、業務管理装置3を含む無線LANを構成するための機能部として、無線LANベースバンド部211、無線LAN変復調部213、および無線LAN_RF部214を備えている。
無線LANベースバンド部211は、制御部201から入力される情報を含むパケットを生成し、無線LAN変復調部213は、無線LANベースバンド部211により生成されたパケットを変調して無線LAN_RF部214に出力し、無線LAN_RF部214は、無線LAN変復調部213により生成された変調信号を、無線LANアンテナ215を介して無線送信する。
【0013】
ここで、無線LANベースバンド部211は、端末装置2に固有のMAC(Media Access Control)アドレスを記憶したMACアドレスメモリ212を備えており、無線LANベースバンド部211により生成されるパケットには、MACアドレスメモリ212に記憶されたMACアドレスが含まれる。このMACアドレスは、上述した無線LANにおける通信制御において複数の端末装置2を識別する目的で使用される。
さらに、無線LAN_RF部214は、無線LANアンテナ215を介して受信した無線信号から変調信号を抽出して無線LAN変復調部213に出力し、無線LAN変復調部213は、この変調信号を復調してパケットを生成し、無線LANベースバンド部211は、無線LAN変復調部213により生成されたパケットに含まれる情報を制御部201に出力する。
図4に示す各部は、本体部21に内蔵されたバッテリー216から駆動電源の供給を受けて動作する。
【0014】
図4に示すように構成される端末装置2は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により、以下の機能を実現する。
無線通信機能:端末装置2は、制御部201によって、無線LANベースバンド部211、MACアドレスメモリ212、無線LAN変復調部213、無線LAN_RF部214および無線LANアンテナ215を制御することにより、業務管理装置3を含む無線LANを構成し、MACアドレス等の端末装置2を個体識別するための情報や、テキストデータ等を送受信する無線通信機能を実現する。
音声出力機能:端末装置2は、制御部201によって音声発生LSI205およびアンプ部206を制御し、アンプ部206からイヤホン23に音声信号を出力することにより、イヤホン23から音声を出力する音声出力機能を実現する。
音声認識機能:端末装置2は、制御部201によってアンプ部207、A/Dコンバータ208を制御するとともに、制御部201により音声認識ミドルウェア202を実行することによって、マイク24が集音した従業員の音声をテキストデータに変換して出力する音声認識機能を実現する。
【0015】
図5は、業務管理装置3の機能的構成を示すブロック図である。
この図5に示すように、業務管理装置3は、業務管理装置3の各部を制御する制御部301と、制御部301により処理されるプログラムやデータ等を揮発的または不揮発的に記憶するメモリ302とを備える。制御部301には、ディスプレイ31により各種画面を表示させる表示処理部303、無線通信ユニット32を介して各種データを送受信するネットワークインターフェイス部304、制御部301が実行するプログラム等を記憶する記憶部305、業務管理装置3外部の装置を接続するための入出力インターフェイス部306、および、業務管理装置3外部のキー入力装置307が接続される。
【0016】
表示処理部303は、制御部301の制御に従って、ディスプレイ31に各種画面を表示するための映像信号を生成してディスプレイ31へ出力する。ディスプレイ31は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(液晶表示)パネル等の表示画面を備え、表示処理部303から入力される映像信号に基づいて各種の画像や文字からなる画面を表示する。
記憶部305は、磁気的または光学的に情報の記録・読取が可能な記録媒体または半導体記憶素子を用いた記憶装置であり、制御部301が実行する各種プログラムや、これらプログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶する。
【0017】
ネットワークインターフェイス部304は、無線通信ユニット32に接続され、制御部301の制御により、無線通信ユニット32を介して端末装置2との間で各種データを送受信する。
無線通信ユニット32は、業務エリアとしての遊技場100において、端末装置2と共に無線LANを構成する装置であり、無線LANの規格に準拠した通信を実行するためのアンテナ、RF部、変復調部、ベースバンド部等を内蔵している。
入出力インターフェイス部306は、業務管理装置3外部の装置を接続するためのインターフェイスであり、プリンタ33、および、記憶装置4が接続される。制御部301は、入出力インターフェイス部306を介して記憶装置4を制御することにより、記憶装置4内のデータベースに対し、データの格納、検索、抽出、更新、削除等の各種処理を実行する。
また、制御部301は、入出力インターフェイス部306を介してプリンタ33を制御し、プリンタ33によって各種帳票を印刷出力させる。
また、キー入力装置307は、数字を含む文字キーや各種機能が割り当てられた機能キーを備えた装置であり、オペレータにより操作されたキーに対応する操作信号を生成して、制御部301に出力する。
【0018】
図5に示すように構成される業務管理装置3は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により、以下の機能を実現する。
無線通信機能:業務管理装置3は、制御部301によってネットワークインターフェイス部304を制御することにより、無線通信ユニット32と協働して、端末装置2との間で端末装置2を個体識別するための情報やテキストデータ等を送受信する無線通信機能を実現する。
スケジュール管理機能:業務管理装置3は、制御部301の機能により、キー入力装置307により入力されたスケジュールのデータを記憶部305に記憶する。このスケジュールのデータは、日付毎、および、従業員毎に入力され、記憶部305に記憶される。そして、制御部301は、例えばキー入力装置307の操作によってスケジュールの出力が指示された場合には、表示処理部303を制御してディスプレイ31にスケジュールを表示させ、さらに、入出力インターフェイス部306を介してプリンタ33を制御して、指定された従業員の指定された日付に係るスケジュールを、帳票として印刷出力する。
データベース管理機能:業務管理装置3は、制御部301によって、入出力インタフェイス部306を介して記憶装置4内のデータベースにアクセスし、記憶装置4内のデータベースに対し、データの格納、検索、抽出、更新、削除等の各種処理を実行する。
履歴記憶制御機能:業務管理装置3は、制御部301によって、端末装置2から無線通信ユニット32を介して受信したテキストデータと、端末装置2を識別するためのデータとに基づいて、端末装置2を装着している従業員の作業履歴に係る情報を取得し、この情報に基づいて、記憶装置4内のデータを更新する。
履歴出力機能:業務管理装置3は、制御部301によって入出力インターフェイス部306を介して記憶装置4内のデータを参照し、記憶装置4が記憶するデータベース内のデータを、帳票形式でプリンタ33により印刷出力させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平07−325870号公報
【特許文献2】特開2008−293168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従来の特許文献2に記載の端末装置には、端末装置の位置(即ち、当該端末装置を所持する作業者の位置)を検出する手段として、特許文献1の明細書の段落(0057)には、「これらの各種装置に加えて遊技場100内の通路や壁等に、位置検出用の無線通信タグを設置し、この無線通信タグを端末装置2によって検出して位置を特定してもよい。この場合、端末装置2は、テキストデータとともに位置を示す情報を業務管理装置3へ無線送信することとなり、業務管理装置3は、従業員の位置を特定する必要がなく、無線送信されたテキストデータと位置情報を作業履歴データベース41に記憶させればよい。この場合、無線通信タグとしては、例えば、900MHz帯或いは2.45GHz帯の周波数を利用するRFID(Radio Frequency Identification)タグを用いることができる。」旨の記載がなされている。
【0021】
このような、「通路や壁等に、位置検出用の無線通信タグ(例えば、RFIDタグ)を設置し、この無線通信タグを端末装置2によって検出して位置を特定する」方式では検出できる位置データは当該端末装置の存在する絶対位置データに限られるのが現状である。
【0022】
しかし、近年の端末装置の用途の拡がりに応じて、端末装置の存在する絶対位置データのみでなく、端末装置の相対位置データ(端末装置が、所定の時間(時刻毎に)どの方向に、どのような速度、歩数で移動している)の取得が望まれていたが、端末装置の相対位置データを容易に取得できる端末装置は実現できてはいなかった。
【0023】
本発明の目的(課題)は、簡単な構成で、音を取得する集音手段と、前記携帯端末の絶対位置を検出する絶対位置検出手段と、前記携帯端末の相対位置を検出する相対位置検出手段と、前記集音手段で取得した音を音声と認識する音声認識手段とを備えた携帯端末を実現することにある。
また、携帯端末の絶対位置データに当該携帯端末の相対位置を付加して管理サーバーに送信することによって、従来の管理システムでは実現できなかった広い分野に適用が可能なシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を達成するために、本発明の携帯端末は、携帯端末であって、音を取得する集音手段と、前記携帯端末の絶対位置を検出する絶対位置検出手段と、前記携帯端末の相対位置を検出する相対位置検出手段と、前記集音手段で取得した音を音声と認識する音声認識手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
また、前記相対位置検出手段の検出結果によって、前記絶対位置検出手段の検出結果が補完されることを特徴とする。
また、前記携帯端末はサーバーと通信可能であり、前記音声認識手段は、取得した音を予め定められた音声データと比較しデジタルデータとして認識する音−デジタルデータ変換手段を備え、認識した前記デジタルデータと共に、前記絶対位置検出手段で検出した絶対位置データと、前記相対位置検出手段で検出した相対位置データと、を出力することを特徴とする。
【0026】
また、前記予め定められた音声データは、前記絶対位置検出手段が検出した絶対位置に基づき、変更可能に設定されていることを特徴とする。
また、前記携帯端末には、前記サーバーから受信したデジタルデータを音声に変換するデジタルデータ−音声変換手段を備えることを特徴とする。
また、前記携帯端末は近距離通信装置から発信する電波を受信可能であり、前記絶対位置検出手段は、前記電波に基づき、絶対位置を算出することを特徴とする。
また、前記相対位置検出手段は、3軸ジャイロセンサー、3軸加速度センサー、気圧センサー、地軸センサーの内の少なくとも1つのセンサーであることを特徴とする。
また、本発明の管理システムは、前記いずれかに記載の携帯端末を1以上管理する前記サーバーとからなることを特徴とする。
【0027】
本発明の構成によれば、簡単な構成で、音を取得する集音手段と、前記携帯端末の絶対位置を検出する絶対位置検出手段と、前記携帯端末の相対位置を検出する相対位置検出手段と、前記集音手段で取得した音を音声と認識する音声認識手段とを備えた携帯端末を実現できる。
また、携帯端末の絶対位置データに当該携帯端末の相対位置を付加してサーバーに送信することによって、従来の管理システムでは実現できなかった広い分野に適用が可能なシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の端末装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の端末装置の音声認識部(モジュール)の詳細な機能的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の携帯端末及び管理サーバーによる位置検出に基づくデータ処理手順の1例を説明するためのフローチャートである。
【図4】従来の端末装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】従来の業務管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1,2を用いて本発明の携帯端末及びその管理システムのハードウェア構成について説明する。
以下の説明では、携帯端末及びその管理システムが、飲食店で種々の作業を行う少なくとも1名の作業員(店員)の保持する携帯端末と前記携帯端末(作業員)を管理する管理サーバーに適用された場合を想定して説明する。
【0030】
図1の1は少なくとも1名の作業員が保持する携帯端末であって、各作業員の頭部にセットされたマイクロフォンとスピーカーとを含むヘッドセットと対になって使用される。
前記携帯端末とヘッドセットとの間の通信は、有線でも無線でも良い。
【0031】
前記携帯端末には、絶対位置検出部1-1と、相対位置検出部1-2と、音声認識部1-3と、後述の管理サーバーとの間で通信を行う通信部(図1では無線LAN通信)1-4と、それらを制御する制御部(メインCPU)1-5と、図示しない電源(電池)が含まれている。
【0032】
また、2は管理サーバー(プロセスコントローラー)であって、前記少なくとも1名の作業員の保持する携帯端末と通信部(図1では無線LAN通信)を介して接続され、前記携帯端末を介して当該携帯端末を保持する作業員の管理若しくは作業に対する指示を与える等の本発明の全体的な管理を実行する。
また、管理サーバーの記憶部には、管理システムの適用分野に応じたデータベース(図1では、飲食店の管理であるので、飲食店のフロア地図データ等)が予め格納されている。
【0033】
また、3は前記携帯端末の絶対位置検出部1-1と対をなす絶対位置検出部(RFIDタグ等の固定部)であって、図1では、飲食店のフロアに配置された少なくとも1つ以上又は複数のテーブルに配置されている。
前記絶対位置検出部(RFIDタグ等の固定部)には、近距離通信専用CPUを含む送受信部3-1とアンテナ3-2及び電池(固定部であるので必ずしも電池である必要はなく、商用電源でも良い。)が含まれている。
【0034】
次に、本発明の携帯端末の構成を詳細に説明する。
図1の携帯端末に設けられた絶対位置検出部は、飲食店のフロアに配置された複数のテーブルに配置されている絶対位置検出部であるRFIDタグからアンテナを介して送信された近距離通信用の電波を絶対位置検出部1-1のアンテナ1-1aで受信して近距離通信専用CPU1-1bで処理して、当該携帯端末の存在する絶対位置を算出する。
【0035】
本発明に使用可能な近距離通信としては、上記RFIDによる近距離通信以外にも、「Bluetooth」(10m〜100m),「ZigBee」(10m〜70m),「Wibree」(10m),「UWB」(10m)等がある。
【0036】
前記絶対位置検出部の近距離通信専用CPUでは、フロアに配置された複数のアンテナ3-2から送信される電波を受信することによって、各アンテナの位置は予め定められているので、複数のアンテナから受信した電波の位相差等から、携帯端末の存在する絶対位置の算出が可能である。
【0037】
図1の相対位置検出部1-2には、相対位置検出センサーとして、3軸ジャイロセンサー1-2a、3軸加速度センサー1-2b、気圧センサー1-2c、地軸センサー1-2dが設けられている。
図1の携帯端末では、上記の4種類の相対位置検出センサーが設けられているが、携帯端末及びその管理システムの適用分野に応じて、必ずしも4種類の相対位置検出センサーが必要とは限らず、前記4種類のセンサーの内のいずれか数種類若しくは、前記4種類とは別の相対位置検出センサーを設けることも可能である。
【0038】
前記相対位置検出センサー1-2a〜1-2dで検出された相対位置データは、位置検出CPUで処理されて、当該携帯端末及び管理システムが適用される用途に応じて、所定の時間(時刻毎に)どの方向に、どのような速度、歩数で移動しているのかという相対位置データが算出される。
この相対位置データの算出には、メモリ(ROM,RAM)1-2fに予め格納された相対位置演算用のプログラムが利用され、演算結果は、必要に応じて当該メモリに格納される。
【0039】
位置検出CPU1-2eで算出された、所定の時間(時刻毎に)どの方向に、どのような速度、歩数で移動しているのかという相対位置データをメインCPU1-5に送信する。
【0040】
1-4は無線LAN通信部であって、前記2は管理サーバー(プロセスコントローラー)と対をなす構成であって、当該携帯端末を保持する作業員の頭部にセットされたマイクロフォンとスピーカーとを含むヘッドセットを介して作業に対する指示を与える。
【0041】
1-3は本発明に特有の音声認識部(モジュール)であって、主として携帯端末を保持する作業員の頭部にセットされたマイクロフォンから作業員の発する音声を認識する。
【0042】
音声認識部(モジュール)の詳細については、図2を用いて以下に詳述する。
図2は、音声認識・発生部(モジュール)1-3を携帯端末の他の部分である位置検出部(絶対位置検出部,相対位置検出部)1-1,1-2と制御部(メインCPU)1-5の、音声認識及び音声発生に関係する部分の機能構成を示した図である。
【0043】
図2の1-3は少なくとも1名の作業者が保持する携帯端末の音声認識・発生部(モジュール)であって、作業員の頭部にセットされたヘッドセットのマイクロフォン1-6bとスピーカー1-6aとの間が有線若しくは無線で通信可能に接続されている。
音声認識・発生部(モジュール)は、音声認識・音声発生の専用ICで構成され、作業者の発する音声を作業者の頭部にセットされたヘッドセットのマイクロフォンで取得・認識(音声入力判別)してデジタルデータに変換(テキストデータ又はコードデータ等)して、制御部(メインCPU)に送出する。
また、制御部(メインCPU)から送出された作業者に対する指示等のデジタルデータ(テキストデータ又はコードデータ等)を音声データに変換(音声変換)して作業者の頭部にセットされたヘッドセットのスピーカーから送出する。
【0044】
前記音声入力判別及び音声変換には、無条件での変換(判別)を実現するためには、大きなデータベースと処理時間を要するが、本発明では、位置検出部による検出データを参照して、当該携帯端末が存在する位置(場所)での使用される可能性のある用語に絞ったデータベースを使用することによって処理時間の短縮を図っている。
即ち、携帯端末の存在する場所が異なった場合には、変換に使用するデータベースを変更することができる。
【0045】
次に、本発明の携帯端末及び管理サーバーによる位置検出に基づくデータ処理手順の例を図3のフローチャートを用いて以下に説明する。
・相対位置検出部1-2を構成する相対位置検出センサーである3軸ジャイロセンサー1-2a、3軸加速度センサー1-2b、気圧センサー1-2c、地軸センサー1-2dの検出出力を位置検出CPU1-2eに送信する。(ステップS1)
・位置検出CPU1-2eは、全てのセンサーの検出出力の内、各センサーの特性及び管理サーバーが適用された用途等を考慮してメインCPU1-5に選択されたセンサー検出出力を送信する。(ステップS2)
・メインCPU1-5は、3軸ジャイロセンサーの検出出力と、3軸加速度センサーの検出出力から移動距離を積分して算出する。(ステップS3)
【0046】
・メインCPU1-5は、3軸ジャイロセンサーの検出出力と、3軸加速度センサーの検出出力から歩数及び歩数に応じた移動距離を算出する。(ステップS4)
・メインCPU1-5は、3軸ジャイロセンサーの検出出力から作業者の移動方向(向き)を算出する。(ステップS5)
【0047】
・絶対位置検出部1-1のアンテナ1-1aで受信した複数の受信電波の処理を近距離通信専用CPUで実行して得た携帯端末の絶対位置データをメインCPU1-5に送信する。(ステップS6)
・マイクロフォン1-6bで取得した音声を音声認識モジュールでデジタルデータに変換(認識)された認識結果をメインCPU1-5に送信する。(ステップS7)
【0048】
・メインCPU1-5では、受信した絶対位置データを、メインCPU1-5で算出した、歩数、移動距離、端末の向き等のデータで補正をして、作業者(携帯端末)の向きを含むフロアにおける現在位置として算出し、前記作業者の音声認識結果データを作業者の補正された現在位置データと対応付けて、無線RAN1-4を介して管理サーバーに送信する。(ステップS8)
なお、ステップS3〜S5において算出した移動距離、歩数、移動方向等の相対位置データ、ステップS6において算出した絶対位置データは、データそのものを音声認識結果データと共に管理サーバー2に送信することもできる。ここでは、相対位置データを、主として絶対位置データを補正するために利用しているが、管理システムの適用分野に応じて管理サーバー2において他の用途のために利用することもできるからである。
・管理サーバー2は、無線RANを介して受信した、作業者の音声認識結果データ及び作業者の補正された現在位置データとに基づいて、予め蓄積された作業場所毎の作業者の作業に関する音声のデータベースに基づいて作業者の作業内容を特定する。(ステップS9)
【0049】
・管理サーバー2は、特定された作業内容を基に、次に作業者に与える指示データを作成して無線RANを介して作業者端末に送信する。(ステップS10)
・作業者端末1は、無線RANを介して受信した指示データを音声発生ICで音声に変換してスピーカーを介して音声で作業者に伝える。(ステップS11)
【符号の説明】
【0050】
1:携帯端末
1-1:絶対位置検出部
1-1a:アンテナ
1-1b:近距離通信用CPU
1-2:相対位置検出部
1-2a:3軸ジャイロ(角速度センサー)
1-2b:3軸加速度センサー
1-2c:気圧センサー
1-2d:地軸センサー
1-2e:位置検出CPU
1-2f:メモリ(RAM,ROM)
1-3:音声認識部(音声認識モジュール)
1-4:通信部(無線RAN通信)
1-5:メインCPU
2:管理サーバー(プロセスコントローラー)
3:絶対位置検出部(RFIDタグ等の固定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末であって、
音を取得する集音手段と、
前記携帯端末の絶対位置を検出する絶対位置検出手段と、
前記携帯端末の相対位置を検出する相対位置検出手段と、
前記集音手段で取得した音を音声と認識する音声認識手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記相対位置検出手段の検出結果によって、前記絶対位置検出手段の検出結果が補完される、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記携帯端末はサーバーと通信可能であり、
前記音声認識手段は、取得した音を予め定められた音声データと比較しデジタルデータとして認識する音−デジタルデータ変換手段を備え、
認識した前記デジタルデータと共に、前記絶対位置検出手段で検出した絶対位置データと、前記相対位置検出手段で検出した相対位置データと、を前記サーバーへ出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記予め定められた音声データは、前記絶対位置検出手段が検出した絶対位置に基づき、変更可能に設定されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記携帯端末には、前記サーバーから受信したデジタルデータを音声に変換するデジタルデータ−音声変換手段を備える、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記携帯端末は近距離通信装置から発信する電波を受信可能であり、
前記絶対位置検出手段は、前記電波に基づき、絶対位置を算出する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記相対位置検出手段は、3軸ジャイロセンサー、3軸加速度センサー、気圧センサー、地軸センサーの内の少なくとも1つのセンサーである、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯端末を1以上管理する前記サーバーとからなる管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−183289(P2010−183289A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24188(P2009−24188)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】