説明

携帯端末機器

【課題】装置小型化、部品実装空間の拡大を図る。
【解決手段】LCDフレーム22のコーナーガイド部22cが、LCD本体21において封止部25が形成されている辺21aにおいて、LCD本体21の角部21dに対応する部分のみに設けられ、これにより、ディスプレイユニット20が、LCDフレーム22のコーナーガイド部22cと、LCD本体21の封止部25のみが外周側に突出した構成とされている。一方、フロントケース30に形成されたディスプレイ収容部34の側壁34bには、コーナーガイド部22cと封止部25を収容する部分に、樹脂部32が切り欠かれて板金部材31が露出した凹部35、36が形成され、これら凹部35、36にコーナーガイド部22c、封止部25が収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイを備えた各種の携帯端末機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末をはじめとする各種通信端末や、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、音楽再生機器、等の各種携帯端末機器において、表示画面に液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:以下、LCDと称する)が多用されている。
【0003】
特許文献1〜3に記載のように、LCD本体は、LCDフレーム、反射シート、導光板等を備えたバックライトモジュールと組み合わせることでディスプレイユニットを構成している。そして、ディスプレイユニットは、LCDを用いた機器の筐体を構成するフロントケースにLCDフレームの一部を係合させることで、フロントケースの枠内に位置決め・固定されている。
【0004】
ここで、特許文献1には、LCD本体を補強する平板状のLCDフレームを、フロントケースの内周面に係合させる構成が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、LCDフレームが、LCD本体の裏面に沿う底板と、LCD本体の周囲を囲うように立ち上がる側壁を有する構成が開示されている。この側壁により、LCD本体の周囲を保護するとともに、LCDフレームの強度が高まっている。
【0006】
特許文献1、3には、フロントケースの強度を確保するため、板金を樹脂中にインサート成形し、その樹脂部にLCDフレームを位置決め・固定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−239670号公報
【特許文献2】特開2010−79001号公報
【特許文献3】特開2010−258818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような携帯端末機器においては、その表示面側において筐体に対するLCDの占積率が増大する傾向にある。携帯端末機器を大型化することなくLCDのディスプレイサイズを大きくするため、LCDの周囲のスペースをなるべく小さくすることが要求されている。
【0009】
ところが、LCD本体は、その外周部に、成形時に生じるガラスのバリや、封止口が突出している。このため、LCDフレームは、LCD本体の損傷を防ぐため、LCD本体よりも大きく形成する必要がある。
例えば、特許文献1の構成では、平板状のLCDフレームを、LCD本体のバリを含んだ外形寸法よりも大きく形成する。
特許文献2の構成では、LCDフレームの側壁と、LCD本体のバリや封止口との間にクリアランスが形成されるよう、LCDフレームを形成する。
その結果、LCDフレームが大きくならざるを得ない。
【0010】
これに対し、図9に示すように、LCDフレーム1の側壁1aに、LCD本体3の封止口3aに対応する部分に切り欠き5を形成することで、LCDフレーム1の小型化を図ることが考えられる。しかし、このような構成でも、LCDフレーム1の側壁1aとLCD本体3との間に、LCD本体3の外周部のガラスのバリを逃げるためのクリアランスは必要である。
【0011】
このように、LCDフレームは大きくならざるを得ず、また、フロントケース側も、インサート成形体であるため、板金の両面を覆う樹脂にある程度の肉厚が必要となり、装置小型化、および部品実装空間の拡大の妨げとなるという問題があった。
そこでなされた本発明の目的は、装置小型化、部品実装空間の拡大を図ることのできる携帯端末機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の携帯端末機器は、表示画面を有したディスプレイユニットと、ディスプレイユニットを収容するディスプレイ収容部を有した筺体と、を有し、ディスプレイユニットは、ディスプレイ本体と、ディスプレイ本体の表示画面の反対側の面に沿うよう設けられたフレームと、フレームの一辺において、ディスプレイ本体よりも外周側に突出形成された突起部と、を備え、筺体は、ディスプレイ収容部に、フレームの一辺において突起部以外の部分に対向する壁部と、突起部を収容するため壁部に対して外周側に向けて凹とされた突起部収容凹部とが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、筺体のディスプレイ収容部にディスプレイユニットを収容したときに、フレームに形成された突起部をディスプレイ収容部の突起部収容凹部に収容し、フレームにおいて突起部以外の部分をディスプレイ収容部の壁部に対向させることによって、ディスプレイ本体を補強するフレームを小型化して、装置小型化、部品実装空間の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る携帯端末機器の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した携帯端末機器の構成を示す斜視展開図である。
【図3】ディスプレイユニットを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)の右側面図である。
【図4】フロントケースにディスプレイユニットを組み込んだ状態を示す正面図である。
【図5】フロントケースのディスプレイ収容部の要部を示す斜視図である。
【図6】(a)は図4のA−A断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図7】(a)は図4のC−C断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図8】(a)は図4のB−B断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図9】従来のディスプレイユニットを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明による携帯端末機器を実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0016】
図1に示すように、携帯端末機器10は、フロントケース30とリヤケース50とから構成される筐体11の一面側に、表示部12が設けられている。
図2に示すように、表示部12は、フロントケース30に組み込まれたディスプレイユニット20と、ディスプレイユニット20の表示画面を覆うスクリーン40と、を備えて構成されている。
【0017】
ディスプレイユニット20は、パネル状のLCD本体(ディスプレイ本体)21と、LCD本体21の背面(表示面と反対側)に設けられたLCDフレーム22と、LCD本体21の背面側に配置されるバックライトモジュール23と、が設けられたものである。バックライトモジュール23は、反射シート、導光板、光源等を備えている。
【0018】
ここで、図3に示すように、LCD本体21は、その製造工程で外周部にガラスのバリ24が形成されるとともに、その一辺には、成形時に用いる型においてガラス材料の注入口となる部分に、封止部25が突出形成されている。
【0019】
LCDフレーム22は、LCD本体21を補強するためのものであり、LCD本体21の背面に沿うプレート状のベースプレート部22aを有している。
LCDフレーム22のベースプレート部22aは、少なくともLCD本体21のバリ24を含んだ外形寸法よりも大きく形成されている。
【0020】
このようなベースプレート部22aの外周部に、ベースプレート部22aに直交して立ち上がるガイド壁(側壁)22bが形成されている。このガイド壁22bは、LCD本体21において封止部25が形成されている辺21aにおいて、LCD本体21の角部21dとの間に所定のクリアランスを有するよう形成されている。以下の説明においては、このLCD本体21の角部21dに対応する部分のガイド壁22bを、コーナーガイド部(突起部)22cと適宜称する。つまり、ガイド壁22bは、LCD本体21の角部21dに対応する部分のガイド壁22b以外には、封止部25や、封止部25の両側でバリ24が存在する部分には設けられていない。これにより、ディスプレイユニット20は、LCD本体21において封止部25が形成されている辺21aにおいて、LCDフレーム22のコーナーガイド部22cと、LCD本体21の封止部25とが、外周側に突出している。
【0021】
なお、ガイド壁22bは、LCD本体21において封止部25が形成されている辺21a以外の三辺に沿う部分においては、その全長にわたって設けることもできるし、上記のように角部21dに対向する部分のみに設けても良い。本実施形態では、ガイド壁22bは、LCD本体21において封止部25が形成されている辺21a以外の三辺の全長にわたって設けられている。そして、辺21aに隣接する二つの辺21b、21cのガイド壁22bには、外周側に向けて突出し、フロントケース30に係合する係合突起28、28が形成されている。
【0022】
図2、図4〜図8に示すように、フロントケース30は、ステンレス合金製の板金部材31と、板金部材31の両面を覆う樹脂部32とからなるインサート成形体により形成されている。
【0023】
ここで、フロントケース30の一面側には、ディスプレイユニット20を収容するためのディスプレイ収容部34が形成されている。
ディスプレイ収容部34は、ディスプレイユニット20の背面に対向する底面34aと、底面34aの外周部からほぼ垂直に立ち上がる側壁34bとを有している。
【0024】
図4、図5に示すように、底面34aの四方を囲む側壁34bのうち、一辺の側壁34bには、その両端部と中央部とに、樹脂部32が切り欠かれて板金部材31が露出した凹部(突起部収容凹部)35、および凹部(封止部収容凹部)36が形成されている。
【0025】
図4、図6に示すように、側壁34bの両端部に形成された凹部35、35には、ディスプレイユニット20のLCDフレーム22において、LCD本体21に対して外周側に突出したコーナーガイド部22cが収容される。
【0026】
図4、図7に示すように、また、側壁34bの中央部に形成された凹部36には、LCD本体21の封止部25が収容される。
【0027】
図4、図8に示すように、凹部35、35、36以外の部分においては、ディスプレイユニット20のLCDフレーム22のベースプレート部22aの外周縁部が、樹脂部32によって形成された側壁34bからなる突き当たり面(壁部)39に近接、または突き当たる。
【0028】
ところで、図6〜図8に示すように、板金部材31は、ディスプレイ収容部34の底面34aを形成する底板部31aと、底板部31aの外周部から立ち上がる側壁部31bとを有している。板金部材31は、プレス加工により絞り加工されるもので、このため、側壁部31bは、底板部31aに直交して立ち上がるのではなく、底板部31a側から立ち上がり方向に離間するにしたがい、その径方向の寸法が漸次拡大するよう形成されている。これにより、側壁部31bは、底板部31aに対して傾斜して形成されている。したがって、凹部35、36において露出する板金部材31の側壁部31bは、外周側に傾斜している。
また、側壁部31bの先端部には、底板部31aとほぼ平行に形成された平面部31cが形成されている。
【0029】
スクリーン40は、フロントケース30においてディスプレイ収容部34の外周側に、接着、係合等の各種固定手段により固定されている。
【0030】
上述したような構成によれば、LCDフレーム22のコーナーガイド部22cが、LCD本体21において封止部25が形成されている辺21aにおいて、LCD本体21の角部21dに対応する部分のみに設けられており、これにより、ディスプレイユニット20が、LCDフレーム22のコーナーガイド部22cと、LCD本体21の封止部25のみが外周側に突出した構成とされている。
一方、フロントケース30に形成されたディスプレイ収容部34の側壁34bには、コーナーガイド部22cと封止部25を収容する部分に、樹脂部32が切り欠かれて板金部材31が露出した凹部35、36が形成されている。
そして、ガイド壁22bを有したLCDフレーム22により十分な強度が確保されたディスプレイユニット20を、フロントケース30のディスプレイ収容部34に収容するに際し、LCDフレーム22から突出したコーナーガイド部22cを、ディスプレイ収容部34に形成された凹部35に収容することによって、装置小型化、部品実装空間の拡大を図ることができる。これは、言い換えれば、コーナーガイド部22c以外の部分でガイド壁22bを設けない構成としたことと、樹脂部32の一部を切り欠いて凹部35、36を形成したことによって、ディスプレイユニット20の外周側におけるフロントケース30の肉厚を減らすことが可能となったからである。
しかも、コーナーガイド壁22cと凹部35とを噛み合わせることによって、ディスプレイユニット20とフロントケース30に確実に位置決め・固定することもできる。
【0031】
また、板金部材31の側壁部31bが傾斜して設けられているため、凹部35、36においては、ガイド壁22bや封止部25との干渉を避けつつ、上記効果をより有効に発揮できる構成となっている。
【0032】
さらに、凹部35、35、36以外の部分においては、樹脂部32からなる突き当たり面39が形成されており、この突き当たり面39に、LCDフレーム22のベースプレート部22aの外周縁部が近接、または突き当たることによって、ディスプレイユニット20を位置決めする機能だけでなく、取り扱い時に携帯端末機器10を落下させてしまったような場合にも、ディスプレイユニット20がディスプレイ収容部34内で動いて破損したりするのを防ぐことができる。
【0033】
なお、本発明の携帯端末機器は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、LCDフレーム22の角部にコーナーガイド部22cを設け、このコーナーガイド部22cに対向して凹部35、35を設けるようにしたが、このような構成に代えて、LCDフレーム22の角部以外の位置に、同様のガイド壁22bを設けても良い。
また、コーナーガイド部22cは、ガイド壁22bの一部として形成する構成としたが、ガイド壁22bを形成せず、ベースプレート部22aを外周側に突出することによってコーナーガイド部22cとして機能させることも可能である。
さらに、例えば、携帯端末機器10の用途や、ディスプレイユニット20のフロントケース30への固定構造以外の部分等については、上記した構成に何ら限るものではない。例えば、携帯端末機器10は、折り畳み式であってもよく、そのような場合には、ディスプレイユニット20を備える表示筺体に本発明を適用すれば良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 携帯端末機器
11 筐体
20 ディスプレイユニット
21 LCD本体(ディスプレイ本体)
21d 角部
22 フレーム
22a ベースプレート部
22b ガイド壁(側壁)
22c コーナーガイド部(突起部)
24 バリ
25 封止部
28 係合突起
30 フロントケース
31 板金部材
31a 底板部
31b 側壁部
31c 平面部
32 樹脂部
34 ディスプレイ収容部
34a 底面
34b 側壁
35 凹部(突起部収容凹部)
36 凹部(封止部収容凹部)
37 支持面
39 突き当たり面(壁部)
40 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有したディスプレイユニットと、
前記ディスプレイユニットを収容するディスプレイ収容部を有した筺体と、を有し、
前記ディスプレイユニットは、
ディスプレイ本体と、
前記ディスプレイ本体の前記表示画面の反対側の面に沿うよう設けられたフレームと、
前記フレームの一辺において、前記ディスプレイ本体よりも外周側に突出形成された突起部と、を備え、
前記筺体は、前記ディスプレイ収容部に、
前記フレームの一辺において前記突起部以外の部分が対向する壁部と、
前記突起部を収容するため前記壁部に対して外周側に向けて凹とされた突起部収容凹部と、
が形成されていることを特徴とする携帯端末機器。
【請求項2】
前記突起部は、前記フレームの外周部から立ち上がり、前記ディスプレイ本体の角部の外周側を囲うように設けられた側壁を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末機器。
【請求項3】
前記ディスプレイ本体は、当該ディスプレイ本体を成形するときに形成された、外周側に突出する封止部を有し、
前記筺体の前記ディスプレイ収容部に、前記封止部を収容するため外周側に向けて凹とされた封止部収容凹部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末機器。
【請求項4】
前記筺体は、プレート状の板金部材と、前記板金部材がインサートされた樹脂部とから形成され、
前記壁部は前記樹脂部により形成され、
前記突起部収容凹部および前記封止部収容凹部は、前記板金部材が露出した状態に形成され、
前記板金部材は、少なくとも前記突起部収容凹部および前記封止部収容凹部において、前記ディスプレイ収容部の底面から外周側に向けて傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯端末機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−5257(P2013−5257A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134921(P2011−134921)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】