説明

携帯端末機

【課題】所有者を誘拐した誘拐犯によって自機の電源がオフにされるような状況においても、自機の現在地を他の通信装置に送信することができる携帯端末機を提供する。
【解決手段】電源ボタンが押下されると(S11:YES)、非常モードかどうかを確認し非常モードであれば(S12:YES)、位置情報をGPS処理部に取得させ(S13)、当該位置情報を含み、予め設定されているメールアドレスを宛先とする電子メールを作成して送信する(S14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System)等の測位システムを利用して、自機の現在地を示す位置情報を取得し、その位置情報を他の通信装置に送信することが可能な携帯端末機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、GPS機能付き携帯電話機が普及している。
GPS機能付き携帯電話機は、GPS測位した結果得られた自機の位置情報を、電子メールで他の携帯電話機、或いはパソコンに送信することができる。
また、下記の特許文献1には、GPSを利用して自分の位置情報を獲得し、位置情報サービスセンターから相手の位置情報を獲得し、地図情報を地図情報データベースから獲得し、両者の位置情報と地図を表示部に表示する携帯通信機器が開示されている。
【0003】
ところで、子供が誘拐事件に巻き込まれることを憂慮して、GPS機能付き携帯電話機等、自機の現在地をネットワークを介して他の通信装置に通知する現在地通知機能を備えた携帯端末機を子供に持たせる親が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−262338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在地通知機能を備えた携帯端末機を子供に持たせていても、その子供が誘拐された際に、誘拐犯が、その携帯端末機の電源をオフにして、現在地が他の通信装置に通知されないようにすることが容易に想定される。或いは、誘拐犯が、携帯端末機のバッテリーを外すことも考えられる。
そこで本発明は、誘拐犯によって自機の電源がオフにされる場合でも、自機の現在地を他の通信装置に送信することができる携帯端末機及び位置情報送信方法を提供することを目的とする。また、誘拐犯によって自機のバッテリーが外される場合でも、自機の現在地を他の通信装置に送信することができる携帯端末機及び位置情報送信方法を提供することを第2目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る携帯端末機は、自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付ける受付手段と、自機の現在地を示す位置情報を取得する取得手段と、通信手段と、前記受付手段が前記電源オフ指示を受け付けると、前記取得手段に位置情報を取得させた後に、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置に送信させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る位置情報送信方法は、携帯端末機に用いられる位置情報送信方法であって、自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付けるステップと、自機の現在地を示す位置情報を取得するステップと、電源オフ指示を受け付けると、位置情報を取得するステップの後に、位置情報をネットワークを介して他の通信装置に送信させるステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
ここで、「電源をオフにする」とは、一般的な電源オン/オフ機能を有する電子機器と同様で、全ての機能部に対する電源供給を停止にすることではなく、主要な機能部に対する電源供給を停止することを意味する。一般的には、電子機器の電源がオフにされても、電子機器の各機能部の制御を行う制御部若しくはその一部、電源をオンにする指示を受け付ける操作部の一部及び時間を計時する計時部等に対する電源供給は停止されない。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯端末機は、電源オフ指示を受け付ける、又は電池或いは電池蓋の取り外しを検出すると、これに起因して、位置情報を他の通信装置に送信するので、例えば、その携帯端末機を保持していた子供が誘拐された場合、誘拐犯が機転を利かしたつもりで電源をオフにする操作を行なう、或いは電池を取り外そうとすると、誘拐犯の現在地が、他の通信装置に送信され、誘拐された子供の親や警察に知らされることになり、事件の早期解決に役立つ。
【0010】
ここで、前記携帯端末機は、時間を計時する計時手段を更に備え、前記制御手段は、前記通信手段に前記位置情報を他の通信装置へ送信させた後に、前記電源オフ指示に基づいて、前記取得手段及び前記通信手段を含む自機の一部に対する電源供給を停止する制御を行い、前記計時手段は、前記電源供給が停止されてから所定時間を計時して、所定時間経過した時点でその旨を前記制御手段に通知し、前記制御手段は、更に、前記計時手段から前記通知を受けることにより前記取得手段及び前記通信手段を含む自機の一部に対する電源供給を再開する制御を行い、その後、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させるとしてもよい。
【0011】
これにより、電源がオフされる前に送信された位置情報が、通信障害等のなんらかの理由によって、他の通信装置に届かないことがあったとしても、再び、電源供給が再開され、位置情報を取得して、当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置に送信されるので、確実に位置情報を他の通信装置に送信することができる。
また、前記携帯端末機は、時間を計時する計時手段を更に備え、前記制御手段は、前記電源オフ指示に基づいて、前記取得手段及び前記通信手段を含む自機の一部に対する電源供給を停止する制御を行い、前記計時手段は、前記電源供給が停止されてから所定時間を計時して、所定時間経過した時点でその旨を前記制御手段に通知し、前記制御手段は、更に、前記計時手段から前記通知を受けることにより前記取得手段及び前記通信手段を含む自機の一部に対する電源供給を再開する制御を行い、その後、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させるとしてもよい。
【0012】
一般的に位置情報の取得には時間がかかることが想定されるので、電源オフ指示を受ければ、直ちに電源をオフにする処理を行い、その後、電源の供給が再開されてから位置情報を取得して、ネットワークを介して当該位置情報を他の通信装置に送信するようにすることで、例えば、誘拐犯が、電源ボタンを押下して、携帯端末機の電源を切ろうとする際に、通常通りの時間感覚で電源が切れるので、誘拐犯に不審を抱かせることがない。
【0013】
ここで、前記受付手段は、更に、自機のモードを通常モードから非常モードに切り替える非常モード設定指示を受け付け、前記制御手段は、更に、前記非常モード設定指示に基づいて自機を非常モードに設定し、自機が非常モードに設定されている場合に限り、前記計時手段は、前記電源供給が停止されてから所定時間を計時して、所定時間経過した時点でその旨を前記制御手段に通知し、前記制御手段は、更に、前記計時手段から前記通知を受けることにより前記取得手段及び前記通信手段を含む自機の一部に対する電源供給を再開する制御を行い、その後、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させるとしてもよい。
【0014】
この構成により、ユーザは、自機のモードを通常モードと非常モードのいずれかに切り替えることができ、自機が非常モードに設定されている場合に限り、前記携帯端末機は、上述の動作を行うので、不用意に位置情報が他の通信装置へ送信されることを防止することができる。
ここで、前記携帯端末機は、更に、表示手段と、音声出力手段とを備え、前記制御手段は、前記電源オフ指示に基づいて、前記表示手段及び前記音声出力手段を含む自機の一部に対する電源供給を停止する制御を行い、前記計時手段から前記通知を受けることにより前記表示手段及び前記音声出力手段を除く自機の一部に対する電源供給を再開する制御を行うとしてもよい。
【0015】
これにより、前記制御手段は、電源オフ指示により前記表示手段及び前記音声出力手段に対する電源供給を停止した後、前記計時手段から前記通知を受けると、前記表示手段及び前記音声出力手段に対する電源供給は再開しないので、電力消費量を抑えることができ、また、電源供給の再開を誘拐犯に気付かれにくくすることができる。
また、前記制御手段は、前記取得手段及び前記通信手段を含む自機の一部に対する電源供給を停止する制御を行い、所定時間後に前記取得手段及び前記通信手段を含む自機の一部に対する電源供給を再開し、前記取得手段に位置情報を取得させ、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置へ送信させる一連の制御を、繰り返し行うとしてもよい。
【0016】
この構成の携帯端末機を保持していた子供が仮に誘拐された場合、誘拐犯の現在地が逐次他の通信装置に送信されるので、事件の早期解決に役立つ。
また、前記携帯端末機は、更に、電子メール機能と、電子メール相手のメールアドレスを記憶する記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている所定のメールアドレスを宛先とし、前記取得手段に取得させた位置情報を含む電子メールを作成し、当該電子メールを前記通信手段に送信させるとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】GPS機能付き携帯電話機1の外観を示す図である。
【図2】GPS機能付き携帯電話機1の機能構成を示す図である。
【図3】非常モードの設定処理を説明するために用いるフロー図である。
【図4】実施形態1の位置情報送信処理を説明するために用いるフロー図である。
【図5】変形例の位置情報送信処理を説明するために用いるフロー図である。
【図6】本体からバッテリー10を取り外した状態の、GPS機能付き携帯電話機1Aの裏側外観を示す図である。
【図7】GPS機能付き携帯電話機1Aの機能構成を示す図である。
【図8】実施形態2の位置情報送信処理を説明するために用いるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
<実施形態1>
<概要>
実施形態1に係るGPS機能付き携帯電話機は、通常モードから非常モードに切り替える非常モード設定機能を有している。
【0019】
ここでいう非常モードとは、そのGPS機能付き携帯電話機の所有者が事前に非常モードに設定しておくことで、その所有者が誘拐犯に誘拐された場合、当該誘拐犯が、当該GPS機能付き携帯電話機の電源を切ろうすれば、当該GPS機能付き携帯電話機は、電源オフ指示の受け付けに起因して、GPS測位をして得られた位置情報を、予め設定したメールアドレスを宛先とする電子メールに記載して送信する。
<構成>
図1は、GPS機能付き携帯電話機1の外観を示す図である。
【0020】
同図には、ユーザから各種指示を受け付けるための操作部2(点線囲み部分)、画面を表示する表示部3が示されている。
操作部2は、一般的な携帯電話機に備わる0から9までのテンキーボタンや、オンフックボタン、オフフック兼電源オン/オフボタン(以下、単に「電源ボタン」と言う。)2A等の各種ボタンを有し、各種ボタンが押下されることによってユーザから各種指示を受け付ける。
【0021】
図2は、GPS機能付き携帯電話機1の機能構成を示す図である。
GPS機能付き携帯電話機1は、操作部2、表示部3、アンテナ4、無線通信部5、GPSアンテナ6、GPS処理部7、スピーカ部8、マイク部9、バッテリー10、電源回路11、計時部12、制御部14及び記憶部15を備える。
GPS機能付き携帯電話機1の機能構成は、従来のGPS機能付き携帯電話機1と基本的には同じである。
【0022】
アンテナ4は、一般的な携帯電話機に備わるアンテナと同様であり、音声やデータ等を搬送する搬送波の送受を行う。受信した搬送波信号は、無線通信部5に送られる。
無線通信部5は、アンテナ4が受信した搬送波信号及び制御部14から伝送されてきた音声や映像等の圧縮信号に対して、変復調処理、増幅処理、A/D及びD/A変換処理といった、送受信に係る一連の処理を行う機能部である。
【0023】
GPSアンテナ6は、複数のGPS衛星から遂次送信されている電波をそれぞれ受信するアンテナである。受信した信号はGPS処理部7に送られる。
GPS処理部7は、GPSアンテナ6から送られてきた信号に基づいて、位置情報を算出する機能を有する。算出した位置情報は制御部17に伝送される。
制御部14は、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等によって構成されており、記憶部15に記憶されている各種プログラムに従って各機能部の制御を行う。
【0024】
記憶部15には、後述する非常モード設定用プログラムや、非常モード時の位置情報送信処理用プログラム等の各種プログラムの他、着信音のデータや、メールアドレスや電話番号等のデータ等を記憶している。
スピーカ部8は、制御部14から伝送されてきた電気信号を音に変換して出力する。
マイク部9は、音を拾って電気信号に変換して制御部14に伝送する。
【0025】
電源回路11は、制御部14の制御に従ってバッテリー10に蓄電する機能や、バッテリー10から出力される電圧をコントロールして、機器内の各部品に安定した電圧を送る機能を有する。
計時部12は、時間を計時する機能を有する。
<動作>
GPS機能付き携帯電話機1は、上述したように非常モード設定機能を有する。
【0026】
図3は、非常モードの設定処理を説明するために用いるフロー図である。
まず、GPS機能付き携帯電話機1は、ユーザから非常モードの設定画面の表示指示を操作部2を介して受けると、制御部14は、記憶部15に記憶している非常モード設定用のプログラムを読み出して実行し、表示部3に非常モードの設定画面の表示を行う(ステップS1)。
【0027】
次に、操作部2に対するユーザの操作により、非常モードをオンにする指示を受け付けた場合(ステップS2:YES)、制御部14は、非常モードがオンであることを示すフラグ情報を記憶部15に記憶する。すなわち、GPS機能付き携帯電話機1のモードを非常モードとして設定する(ステップS3)。
続いて、ユーザから、非常モード時に現在地を通知する宛先のメールアドレスの設定を受け付けて、設定し(ステップS4)、処理を終了する。
【0028】
ステップS2において、非常モードをオンにする指示を受け付けなかった場合(ステップS2:NO)、前記フラグ情報を記憶部15に記憶せずに、非常モードではない、すなわち、通常モードのまま(ステップS5)で処理を終了する。
次に、非常モードに設定されている場合に行われる、位置情報の送信処理について説明する。
【0029】
図4は、GPS機能付き携帯電話機1の非常モード時の位置情報送信処理を説明するために用いるフロー図である。
まず、GPS機能付き携帯電話機1の電源がオンの状態の時に、ユーザから電源ボタンの押下、すなわち、ユーザから電源をオフにする指示を受け付けると(ステップS11:YES)、制御部14は、記憶部15に非常モードがオンであることを示すフラグ情報が記憶されているかどうか、すなわち、自機が非常モードに設定されているかどうかを確認する(ステップS12)。
【0030】
自機が非常モードに設定されていれば(ステップS12:YES)、制御部14は、GPS処理部7にGPS測位を行わせて、自機の現在地を示す位置情報を取得させる(ステップS13)。続いて、制御部14は、当該位置情報を記載した、予め設定されているメールアドレスを宛先とする電子メールを作成して、無線通信部5を介して送信する(ステップS14)。
【0031】
その後、制御部14は、図2に示す電源回路11、計時部12、制御部14以外の機能部、すなわち、操作部2、表示部3、無線通信部5、GPS処理部7、スピーカ部8、マイク部9、記憶部15に対する電源供給を停止する電源オフ処理を行う(ステップS15)。
計時部12は、電源オフ処理が行われてから、計時を開始し(ステップS16)、所定時間(例えば、10分)が経過した時点で(ステップS17:YES)、その旨を制御部14に通知する。
【0032】
前記通知を計時部12から受けた制御部14は、自機の一部の機能部への電源供給を再開する一部電源オン処理を行う(ステップS18)。
ここで、電源供給が再開される一部の機能部は、無線通信部5、GPS処理部7であり、操作部2、表示部3、スピーカ部8、マイク部9に対しての電源供給は再開されない。そして、この一部電源オン処理では、表示部2に待ち受け画面等が表示されることもなく、起動時の効果音が鳴ることもないので、電源供給が再開されたことが、誘拐犯に容易に気付かれることはない。
【0033】
電源供給が再開されると、制御部14は、ステップS13に戻って、図4に示すステップS13〜ステップS18の動作を繰り返し行う。
ステップS12において、記憶部15に前記フラグ情報が記憶されていない場合、すなわち、非常モードに設定されていなければ(ステップS12:NO)、通常通り、電源オフ処理を行う(ステップS19)。
【0034】
このように、GPS機能付き携帯電話機1が予め非常モードに設定されていれば、電源オフ指示を起因として、自機の位置情報を取得して、当該位置情報を記載した、予め設定されているメールアドレスを宛先とする電子メールを作成して送信するので、非常モードに設定されたGPS機能付き携帯電話機1を子供に持たせておけば、もしその子供が誘拐犯に誘拐され、その誘拐犯によってGPS機能付き携帯電話機1の電源がオフにされることがあっても、自機の現在地を、予め設定されているメールアドレス、例えば、親の携帯電話機のメールアドレス宛てに送信されるので、事件の早期解決に役立つ。
【0035】
また、電源オフ処理がなされてから所定時間毎に、一部の機能部に対する電源供給が再開され、再び位置情報を取得して、その位置情報を電子メールで送信するということを繰り返し行うので、子供が誘拐されている場合、その誘拐犯に気付かれることなくその足取りを掴むことができる。
<変形例>
GPS機能付き携帯電話機1が非常モードに設定されている場合に行われる、位置情報の送信処理は、以下に示す変形例が考えられる。
【0036】
図5は、GPS機能付き携帯電話機1の非常モード時における位置情報送信処理の変形例を説明するために用いるフロー図である。
まず、GPS機能付き携帯電話機1の電源がオンの状態の時に、ユーザから電源ボタンの押下、すなわち、ユーザから電源を切断する指示を受け付けると(ステップS21:YES)、制御部14は、記憶部15に非常モードがオンであることを示すフラグ情報が記憶されているかどうか、すなわち、非常モードに設定されているかどうかを確認する(ステップS22)。
【0037】
非常モードに設定されていれば(ステップS22:YES)、制御部14は、図2に示す電源回路11、計時部12、制御部14以外の機能部に対する電源供給を停止する電源オフ処理を行う(ステップS23)。
計時部12は、電源オフ処理が行われてから、計時を開始し(ステップS24)、所定時間(例えば、10分)が経過した時点で(ステップS25:YES)、その旨を制御部14に通知する。
【0038】
前記通知を計時部12から受けた制御部14は、自機の一部の機能部への電源供給を再開する一部電源オン処理を行う(ステップS26)。
制御部14は、一部の機能部への電源供給を再開した後に、GPS処理部7にGPS測位を行わせて、自機の現在地を示す位置情報を取得させる(ステップS27)。続いて、制御部14は、当該位置情報を記載した、予め設定されているメールアドレスを宛先とする電子メールを作成して、無線通信部5を介して送信する(ステップS28)。
【0039】
制御部14は、ステップS23に戻って、図5に示すステップS23〜ステップS28の動作を繰り返し行う。
ステップS22において、記憶部15に前記フラグ情報が記憶されていない場合、すなわち、非常モードに設定されていなければ(ステップS22:NO)、通常通り、電源オフ処理を行う(ステップS29)。
【0040】
この変形例のGPS機能付き携帯電話機1は、電源ボタンの押下時に、位置情報の取得及び送信を行わずにそのまま電源オフ処理を行い、所定時間経過した後に、一部の機能部に対する電源供給の再開を行って、位置情報の取得及び当該位置情報を含む電子メールの送信という一連の処理を繰り返し行う。
この変形例の処理は、GPS処理部7が位置情報を取得するのに時間がかかることを考慮している。誘拐犯が電源ボタンを押してから、GPS機能付き携帯電話機1の電源がオフされるまでの時間が長くなると、誘拐犯が不審に思うことが想定されるので、電源オフ指示を受け付けた直後は、位置情報の取得を行わずに電源オフ処理をして、その後、電源供給を再開する一部電源オン処理後に、位置情報を取得して送信するようにしている。
<実施形態2>
<構成>
図6は、本体からバッテリー10を取り外した状態の、GPS機能付き携帯電話機1Aの裏側外観を示す図である。
【0041】
GPS機能付き携帯電話機1Aの表側外観は、図1に示したGPS機能付き携帯電話機1の外観と同様である。
バッテリー10は、通常、GPS機能付き携帯電話機1A本体のバッテリー格納部19に嵌合装着されており、ロック部18によって留められている。バッテリー10は、GPS機能付き携帯電話機1Aの外装の一部と一体化された構造となっており、バッテリー格納部19の蓋を兼ねている。
【0042】
バッテリー格納部19内には、照度を測定するセンサ16が設けられている。
図7は、GPS機能付き携帯電話機1Aの機能構成を示す図である。
基本的に実施形態1で説明した図2に示すGPS機能付き携帯電話機1の機能構成と同じであり、同じ機能部については同じ符号を付し、説明を省略する。
GPS機能付き携帯電話機1Aが、GPS機能付き携帯電話機1の機能構成と異なる点は、センサ16、予備バッテリー17を備えている点である。
【0043】
センサ16は、バッテリー10が本体から取り外されることによって、バッテリー格納部19内に光が入るとこれを検出し、検出信号を制御部14に送る。
<動作>
GPS機能付き携帯電話機1Aは、実施形態2のGPS機能付き携帯電話機1と同様に非常モード設定機能を有するので、その動作についての説明は省略する。
【0044】
図8は、GPS機能付き携帯電話機1Aの非常モード時の位置情報送信処理を説明するために用いるフロー図である。
まず、GPS機能付き携帯電話機1Aの電源がオンの状態の時に、バッテリー10が本体から取り外されることによって、バッテリー格納部19内に光が入り、センサ16が光を検出して、検出信号を制御部14に送ると(ステップS31:YES)、制御部14は、電源回路11に電源供給元をバッテリー10から予備バッテリー17に切り替える指示を送る。そして、制御部14は、記憶部15に非常モードがオンであることを示すフラグ情報が記憶されているかどうか、すなわち、自機が非常モードに設定されているかどうかを確認する(ステップS32)。
【0045】
自機が非常モードに設定されていれば(ステップS32:YES)、制御部14は、GPS処理部7にGPS測位を行わせて、自機の現在地を示す位置情報を取得させる(ステップS33)。続いて、制御部14は、当該位置情報を記載した、予め設定されているメールアドレスを宛先とする電子メールを作成して、無線通信部5を介して送信し(ステップS34)、処理を終了する。
<補足>
なお、本発明は以上で述べた実施の形態に限定されるものでないことは、勿論である。以下に示す内容も本発明に含まれる。
(1)上述の各実施形態は、GPS機能付き携帯電話機を用いて説明したが、本発明は、携帯電話機に限られず、自機の位置情報を取得して、他の機器に送信することが可能な携帯端末機に適用することが可能である。例えば、無線通信機能及び位置情報取得機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)等がある。
【0046】
また、位置情報の取得方法は、GPSの利用に限られず、例えば、複数の基地局からそれぞれの基地局の緯度経度情報の通知を受けて、電波強度を考慮して位置情報を算出する方法を用いてもよいし、従来用いられているいかなる取得方法を用いてもよい。
(2)上述の実施形態1において、非常モードの設定は、GPS機能付き携帯電話機1の操作部2を操作することで設定されていたが、他の通信機器からSMS(Short Message Service)や、電子メール等でリモート設定することも可能である。その際、自由にリモート設定できないように、パスワードの入力を必須とすることが考えられる。
(3)上述の各実施形態では、取得した位置情報を電子メールに記載して予め設定されたメールアドレスを宛先として送信していたが、電子メール以外の他の通信方法で、位置情報を他の通信機器に送信してもよい。
(4)上述の各実施形態では、非常モードの設定を行っていたが、本発明は、非常モードの設定をすることなく、電源オフの指示を受け付けると、これに起因して位置情報を取得して、送信するものも含まれる。また、電源オフの指示を受け付ける前に取得していた位置情報を、電源オフの指示を受け付けた後に、送信してもよい。
(5)上述の各実施形態では、非常モードの設定時に、位置情報の送り先をユーザが設定していたが、予めサービス提供者が決めた所定のメールアドレス、緊急通報先のメールアドレス等がデフォルトで設定されていてもよい。
(6)非常モード時に電源ボタンが押下されることに起因して作成される電子メールには、位置情報の他に、当該電子メールが非常モード時に作成され送信された電子メールであることを示す一文が記載されていてもよい。例えば、「緊急!本メールは、非常モードに設定された携帯電話機から送信されたものです。送信元携帯電話機の電源は現在、切られている状態です。送信元携帯電話機の位置情報を記載していますので、ご確認下さい。」等が考えられる。
(7)上述の実施形態2では、バッテリー10の取り外しをセンサ16が明るさを検出することで検出していたが、ロック部18が解除されたことを検出してもよい。
(8)本発明は、図4、5、8に示す各ステップ等を含む位置情報送信方法であるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、現在地を示す位置情報を取得して、他の通信に送信することが可能な携帯端末機に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 GPS機能付き携帯電話機
2 操作部
2A 電源ボタン
3 表示部
4 アンテナ
5 無線通信部
6 GPSアンテナ
7 GPS処理部
8 スピーカ部
9 マイク部
10 バッテリー
11 電源回路
12 計時部
14 制御部
15 記憶部
16 センサ
17 予備バッテリー
18 ロック部
19 バッテリー格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常モードを少なくとも備えた携帯端末であって、
自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付ける受付手段と、
自機の現在地を示す位置情報を取得する取得手段と、
通信手段と、
自機が非常モードに設定されている場合は、前記受付手段が前記電源オフ指示を受け付けると、前記取得手段に位置情報を取得させた後に、前記通信手段に当該位置情報をネットワークを介して他の通信装置に送信させる制御手段とを備える
ことを特徴とする携帯端末機。
【請求項2】
非常モードを少なくとも備えた携帯端末機に用いられる位置情報送信方法であって、
自機の電源をオフにする電源オフ指示を受け付けるステップと、
自機の現在地を示す位置情報を取得するステップと、
自機が非常モードに設定されている場合、前記電源オフ指示を受け付けると、前記位置情報を取得するステップの後に、前記位置情報をネットワークを介して他の通信装置に送信させるステップとを含む
ことを特徴とする位置情報送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−178871(P2012−178871A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115981(P2012−115981)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2010−167413(P2010−167413)の分割
【原出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】