説明

携帯端末装置、携帯端末制御方法及び情報通信システム

【課題】感染症の保菌者などの特定の者との近接を操作者に報知する、携帯端末装置、携帯端末制御方法及び情報通信システムを提供する。
【解決手段】近接端末検知部11aは、自装置との距離が所定距離に達した携帯端末装置1bを近接端末として検知する。識別情報受信部13aは、識別情報送信部12bから携帯端末装置1bの識別情報を受信する。近接情報管理部14aは、識別情報受信部13aが受信した識別情報を管理する。特定近接判定部15aは、近接情報管理部14aが管理する識別情報の中に特定端末識別情報と一致するものがあるかを判定する。警告報知部16aは、特定端末識別情報と一致する識別情報がある場合に警告情報を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、携帯端末制御方法及び情報通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型の強毒性ウィルス等の感染症が蔓延しつつある。このため、かかる感染症の拡大を抑制するための対策が注目されている。特に、昨今の集団予防接種の廃止等に起因して、感染症に対する人体の対抗力低下が危ぶまれている状況を鑑みると、感染症の拡大対策は重要である。
【0003】
このため、かかる感染症の拡大を抑制する従来技術が知られている。例えば、サーバ装置が複数の被験者の生体情報を収集し、問題となる被験者の地理的分布に関する情報を端末装置に提供して、ユーザに感染症の発生状況を把握させる従来技術が知られている。また、ユーザが情報を提供されるべき者であるか否かを判定し、提供されるべき対象者に対して細菌検査結果などの情報を提供する従来技術も知られている。さらに、医療機関、該医療機関の患者並びに該医療機関の周辺に所在する住人に対して、感染症の発生及び流行状況等に関する情報を提供する従来技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/114180号
【特許文献2】特開2004−234459号公報
【特許文献3】特開2007−200107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術を用いて感染症の発生に係る情報をユーザに提供したとしても、ユーザが入手した情報を用いて自らが感染症に罹ってしまったか否かを判断することは難しい。例えば、ユーザが感染症の発生している地域に所在していたとしても、実際に感染症の保菌者と全く接触しなかった場合には、感染症に罹る可能性は低い。一方、ユーザが感染症の発生している地域に所在していない場合であっても、その地域から来た感染症の保菌者と接触してしまった場合には、感染症に罹る可能性がある。
【0006】
このため、ユーザにとっては、自らが知らないうちに感染症の保菌者に近づいてしまった事実を把握できることが望ましい。ユーザが感染症の保菌者と接触した事実が分からなければ、自らが医療機関に通院すべきと判断することができず、結果的に感染症の蔓延に繋がる可能性があるからである。
【0007】
したがって、ユーザに対して感染症の保菌者と近接したか否かの事実をいかに効率良く報知するかが重要な課題となっている。かかる課題は、感染者の保菌者を対象とする場合だけではなく犯罪者を対象とする場合も同様に生ずる。ユーザが犯罪者と近接しているか否かの事実は、該ユーザにとって極めて有益な情報だからである。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、感染症の保菌者などの特定の者との近接を効率良く操作者に報知することができる携帯端末装置、携帯端末制御方法及び情報通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する携帯端末装置は、一つの態様において、近接端末検知部が、自装置と近距離無線通信が可能であり、かつ、自装置から所定距離内に所在する他の携帯端末装置を近接端末として検知する。そして、識別情報受信部は、前記近接端末検知部によって検知された近接端末の識別情報を前記近距離無線通信により受信する。そして、近接情報管理部は、前記識別情報受信部により受信された識別情報を管理する。そして、特定近接判定部は、前記近接情報管理部により管理された識別情報のいずれかが、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する。警告報知部は、前記特定近接判定部により前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する携帯端末装置、携帯端末制御方法及び情報通信システムの一つの態様によれば、携帯端末装置の操作者は、感染症の保菌者などの特定の者との近接を操作者に報知することができる。これにより、操作者は特定の者との近接に対する対処を迅速に行うことができ、感染症の蔓延などを未然に防げるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係る携帯端末装置のブロック図である。
【図2】図2は、実施例2に係る携帯端末装置のブロック図である。
【図3】図3は、実施例2に係る携帯端末装置における近接端末の識別情報の取得のシーケンス図である。
【図4】図4は、外部のサーバから情報を受けて警告情報を報知する動作のシーケンス図である。
【図5】図5は、実施例3に係る携帯端末装置のブロック図である。
【図6】図6は、近接時間の閾値を用いて感染症の警告の報知の判定を行う情報通信システムにおける警告情報の報知のシーケンス図である。
【図7】図7は、感染症の種類によってメッセージを変更する情報通信システムの警告情報の報知の動作のシーケンス図である。
【図8】図8は、携帯端末制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する携帯端末装置、携帯端末制御方法及び情報通信システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係る携帯端末装置のブロック図である。同図では、携帯端末装置1a及び携帯端末装置1bの2つの装置が存在する場合を示している。
【0014】
携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとは、無線通信で情報の授受を行う。ここで、携帯端末装置1a、1bとは、例えば携帯電話器、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型PC等の持ち運び可能で近距離無線通信が可能な装置である。また、無線通信とは、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信などの非接触の近距離通信等を意味する。それに以外にも、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとの間の通信は、Felica(登録商標)などの非接触型のICカード通信を利用するようにもできる。以降の説明においては、説明の便宜上、携帯端末総置間の通信に用いる無線通信を「近距離無線通信」と表すものとする。
【0015】
図1に示すように、本実施例1に係る携帯端末装置1aは、近接端末検知部11a、識別情報受信部13a、近接情報管理部14a、特定近接判定部15a及び警告報知部16aを有している。また、携帯端末装置1bは、識別情報送信部12bを有している。ここで、実際には、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとは同じ構成を有しているが、説明の便宜上、受信側の構成と送信側の構成とを顕在化させるために、説明で使用する構成だけを記載している。
【0016】
近接端末検知部11aは、他の携帯端末装置の近接を判定するための閾値として所定距離を予め有している。この閾値は、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとが近距離無線通信によって情報の送受信が行える範囲であれば特に制限はなく、携帯端末装置1a、1bの性能や用途によって設定されることが好ましい。
【0017】
近接端末検知部11aは、自装置と他の携帯端末装置との距離を求める。以下では、携帯端末装置1bが近接した場合で説明する。近接端末検知部11aは、自装置と携帯端末装置1bとの距離が閾値以内になったか否かを判定する。以下では、携帯端末装置1aとの距離が閾値以内にある携帯端末装置を「近接端末」という。近接端末検知部11aは、自装置と携帯端末装置1bとの距離が閾値に達したと判定すると、識別情報受信部13aに対し携帯端末装置1bが近接端末となったことを通知する。この近接端末検知部11aが端末検知部の一例である。
【0018】
識別情報受信部13aは、識別情報送信部12bと近距離無線通信が可能である。識別情報受信部13aは、近接端末である携帯端末装置1bの識別情報を識別情報送信部12bから受信する。識別情報受信部13aは、受信した携帯端末装置1bの識別情報を近接情報管理部14aへ出力する。ここで、識別情報とは、携帯端末装置を一意に特定する情報であり、例えば携帯電話の電話番号やBluetooth(登録商標)の番号などである。
【0019】
近接情報管理部14aは、メモリやハードディスクなどの記憶媒体を有している。近接情報管理部14aは、携帯端末装置1bの識別情報を識別情報受信部13aから取得する。そして、近接情報管理部14aは、近接端末である携帯端末装置1bの識別情報を記憶する。携帯端末装置1b以外の携帯情報端末が近接した場合にも、同様に近接情報管理部14aが識別情報を管理する。この近接情報管理部14aが識別情報管理部及び記憶部を組み合わせたものの一例である。特に、近接情報管理部14aが有する記憶媒体が記憶部の一例にあたる。
【0020】
特定近接判定部15aは、所定の携帯端末装置の識別情報を受け付ける。具体的には、特定近接判定部15aは、サーバから配信される識別情報を受け付けても、自装置のユーザインタフェース(不図示)から識別情報を受け付けても良い。以下では、所定の携帯端末装置の識別情報を「特定端末識別情報」という。
【0021】
特定近接判定部15aは、近接情報管理部14aに記憶されている近接端末の識別情報の中に、特定端末識別情報と一致するものがあるか否かを判定する。特定近接判定部15aは、携帯端末装置1bの識別情報と一致するものがあると判定すると、特定端末識別情報を有する携帯端末装置と近接したという情報を警告報知部16aへ出力する。この特定近接判定部15aが判定部の一例である。
【0022】
警告報知部16aは、特定近接判定部15aからの携帯端末装置1bと近接をしたという情報を受信して、操作者に対し所定の警告情報を報知する。本実施例1では、警告報知部16aは、携帯端末装置1aが有する表示画面(不図示)に対しメッセージを表示して警告情報の報知を行う。ここで、警告情報の報知方法としては、音声など他の方法でも良い。
【0023】
携帯端末装置1bの識別情報送信部12bは、識別情報受信部13aと近距離無線通信により情報の授受を行う。近接端末である携帯端末装置1bの識別情報送信部12bは、携帯端末装置1aの識別情報受信部13aへ携帯端末装置1bの識別情報を出力する。
【0024】
以上に説明したように、実施例1では、携帯端末装置は、自装置に近接した他の携帯端末装置の識別情報を取得し、その識別情報を用いて所定の携帯端末装置との近接を操作者に通知することができる。これにより、携帯端末装置の操作者は、自分が所定の携帯端末装置の保有者と近接したことを把握することができる。そして、操作者は、その所定の携帯端末装置の保有者との近接に対する対処を迅速に行うことができる。
【実施例2】
【0025】
図2は、実施例2に係る携帯端末装置のブロック図である。図2には、携帯端末装置1a及び携帯端末装置1bが記載されている。実施例2では携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとは実際には同じ構成を有している。そこで、以下では、携帯端末装置1aの構成について主に説明する。ただし、図2では、携帯端末装置1aの構成についての説明の便宜上、受信側の構成と送信側の構成とを顕在化させるために、携帯端末装置1bの機能部のうち以下の説明に必要なもの以外を省略して記載している。ここで、実施例2では携帯端末装置1bを携帯端末装置1aと同様の構成を有する携帯端末装置としたが、この携帯端末装置1bは、近接端末検知部11b、識別情報送信部12b、識別情報受信部13b及び位置報知部17bを有していれば他の構成でも良い。
【0026】
実施例2に係る携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとは、近距離無線通信で情報の授受を行う。また、携帯端末装置1aはサーバ2と情報の授受を行う。さらに、サーバ2と医療機関コンピュータ3とは情報の授受を行う。
【0027】
本実施例2で携帯端末装置1a及び1bが送信する識別情報とは、各携帯端末装置を一意に識別するための情報である。この識別情報は、例えば、携帯端末装置が携帯電話の場合には電話番号などである。また、この識別情報の他の例としては、Bluetooth(登録商標)の番号などでもよい。また、以下の説明では、所定の携帯端末装置の識別情報として、感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報が指定されている場合で説明する。ここで、感染症の保菌者が携帯端末装置1bを所持しているものとする。
【0028】
携帯端末装置1aは、近接端末検知部11a、識別情報送信部12a、識別情報受信部13a、近接情報管理部14a、特定近接判定部15a、警告報知部16a及び位置報知部17aを備えている。
【0029】
位置報知部17aは、自装置の周囲の所定範囲内に対して自装置の位置情報を近距離無線通信により報知する。例えば、位置報知部17aはGPS(Global Positioning System)を用いて自装置の位置を検出し、その検出した位置情報を出力することで自装置の位置情報を周囲に報知する。この位置情報の報知範囲は近距離無線通信により情報の届く範囲であれば特に制限はなく、携帯端末装置1aの性能や運用状況に応じて報知範囲を設定することが好ましい。
【0030】
近接端末検知部11aは、携帯端末装置1bを近接端末と判定するための、端末間の距離の閾値として所定距離を記憶している。本実施例2では、近接端末検知部11aは、端末間の距離の閾値として例えば1mを記憶している。ここで、この閾値は、近距離無線通信の通信範囲内であれば特に制限はなく、携帯端末装置1aが含まれる情報通信システムの運用状況に応じて設定されることが好ましい。例えば、感染症の保菌者との近接を報知する情報通信システムにおいて、感染症の毒性や感染力が強い場合、ある程度の距離のある保菌者との近接でも危険性が高いので、閾値を大きく設定することが好ましい。逆に、感染症の毒性や感染力が弱い場合には、ある程度近くまで保菌者と近接しても危険性は低いので、閾値を小さく設定してもよい。
【0031】
そして、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとが近づいていき、位置報知部17a及び17bの位置情報の報知範囲内に端末間が入った場合、近接端末検知部11aは、携帯端末装置1bの位置報知部17bから出力された位置情報を取得する。また、近接端末検知部11aは、位置報知部17aから自装置の位置情報を取得する。
【0032】
近接端末検知部11aは、自装置である携帯端末装置1aの位置と携帯端末装置1bの位置とを用いて、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとの距離を算出する。この距離の算出の一例を説明する。まず、近接端末検知部11aは、予め自装置が位置する場所の局所的な2次元座標を有しているものとする。そして、近接端末検知部11aは、取得した各携帯端末装置の位置情報から各携帯端末装置の座標を求める。さらに、近接端末検知部11aは、その2点の座標を基に各携帯端末装置間の長さを計算する。そして、近接端末検知部11aは、その2点の座標の長さを実際上の距離に置き換える。このようにすることで、近接端末検知部11aは、携帯端末装置間の距離を求めることができる。
【0033】
近接端末検知部11aは、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとの距離が端末間の距離の閾値以内になったかを判定する。携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとの距離が端末間の距離の閾値以内になった場合、近接端末検知部11aは、携帯端末装置1bを近接端末と判定する。そして、近接端末検知部11aは、近接端末である携帯端末装置1bの識別情報の取得命令を識別情報受信部13aへ出力する。また、近接端末検知部11aは、携帯端末装置1aの識別情報の出力を識別情報送信部12aに指示する。
【0034】
識別情報送信部12aは、識別情報受信部13bと近距離無線通信により情報の授受を行う。識別情報送信部12aは、携帯端末装置1aの識別情報を予め有している。そして、識別情報送信部12aは、携帯端末装置1aの識別情報を識別情報受信部13bへ出力する。ここで、本実施例2では感染症の保菌者への近接を携帯端末装置1a及び1bのいずれにおいても確認できるようにするため、携帯端末装置1aに識別情報送信部12aを設けている。ただし、携帯端末装置1aにおいてのみ感染症の保菌者との近接を把握したい場合には、携帯端末装置1aの側のみで識別情報の収集を行えばよく、識別情報送信部12aは設けなくても良い。
【0035】
識別情報受信部13aは、識別情報送信部12bから携帯端末装置1bの識別情報の入力を受ける。そして、識別情報受信部13aは、受信した携帯端末装置1bの識別情報を近接情報管理部14aへ出力する。
【0036】
近接情報管理部14aは、メモリやハードディスクなどの記憶媒体を有している。そして、近接情報管理部14aは、記憶できる識別情報の上限値を予め記憶している。例えば、本実施例2では、この上限値は1000件とする。
【0037】
近接情報管理部14aは、識別情報受信部13aから入力された携帯端末装置1bの識別情報を記憶する。近接情報管理部14aは、携帯端末装置1b以外の携帯端末装置が近接端末となった場合にも、同様に近接端末の識別情報を記憶していく。ここで、近接情報管理部14aは、近接端末と判定されたすべての携帯端末装置の識別情報を記憶するので、感染症の保菌者の携帯端末装置の識別情報や非保菌者の携帯端末装置の識別情報を区別なく識別情報を記憶している。
【0038】
そして、近接情報管理部14aは、記憶している識別情報の数が上限値の1000件に達した場合に新しい識別情報が入力されると、最も古くに記憶した識別情報を削除して、入力された新しい識別情報を記憶する。以下では、最も古くに記憶した識別情報を「最も古い識別情報」と言う。
【0039】
ここで、本実施例2では携帯端末装置1aの記憶容量を考慮して、近接情報管理部14aは、記憶できる識別情報の上限値を定め、最も古い識別情報から削除を行うようにしている。しかし、この削除する識別情報を決定する条件は他の条件でもよい。例えば、近接情報管理部14aにタイマーを設けて、識別情報毎に記憶してからの時間をカウントし、カウントした時間が予め決められた時間を越えた識別情報の削除を行うようにしても良い。また、近接情報管理部14aは、上限値に達した場合に最も古い識別情報の削除と、決められた時間を越えた識別情報の削除とを併用するようにしても良い。さらには、記憶容量を考慮する必要が無ければ、近接情報管理部14aは、記憶した識別情報を削除しないようにしても良い。
【0040】
特定近接判定部15aは、外部のサーバ2から、所定の携帯端末装置として感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報の入力を受ける。以下では、感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報を「特定端末識別情報」という。ここで、感染症の保菌者の携帯端末装置とは1つであっても複数であっても良い。また、サーバ2からの特定端末識別情報の入力のタイミングは、定期的であっても良いし、不定期であってもよい。本実施例2では、特定近接判定部15aは、サーバ2からの入力を定期的に受ける。定期的とは、例えば一日に一回などである。ただし、この入力を受けるタイミングは情報通信システムに要求される緊急度に合わせて設定することが好ましい。
【0041】
感染症の保菌者との近接を通知する情報通信システムでは、対象としている感染症の毒性や感染力が強い場合には、近接を通知する緊急度が高い。したがって、そのような情報通信システムにおいては、情報の更新は頻繁に行われたほうが好ましい。また、逆に対象としている感染症の毒性や感染力が低い場合には緊急度が低い。したがって、そのような情報通信システムにおいては、システムに掛かる負荷を考慮し情報の更新はある程度の余裕を持った間隔に設定したほうが好ましい。また、不定期の場合とは、例えば、サーバ2が、操作者による出力指示を受けて、特定近接判定部15aへ特定端末識別情報の出力を行う場合である。
【0042】
以下では、特定近接判定部15aは、特定端末識別情報として携帯端末装置1bの識別情報の入力を受けたものとする。
【0043】
本実施例2では、特定近接判定部15aは、サーバ2が保有する特定端末識別情報をすべて取得する。ただし、この特定端末識別情報の取得は他の方法でもよい。例えば、特定近接判定部15aは、サーバ2が保有する特定端末識別情報の中で、前回の取得後に新しく加わった特定端末識別情報を取得し、順次追加して記憶していっても良い。この場合、特定近接判定部15aは、特定端末識別情報がサーバ2に格納されたときのタイムスタンプを参照することで、いずれが前回の取得後に加わったかを把握することができる。この場合には、特定近接判定部15aは、前回の取得後にサーバ2から削除された特定端末識別情報を取得し、記憶している特定端末識別情報の中からサーバ2から削除された特定端末識別情報を削除することが好ましい。
【0044】
特定近接判定部15aは、近接情報管理部14aで管理されている近接端末の識別情報の中に、サーバ2から取得した特定端末識別情報と一致するものがあるか否かを判定する。本実施例2では、特定近接判定部15aは、携帯端末装置1bの識別情報と一致するものが、近接端末の識別情報の中にあるか否かを判定する。このように、管理されている近接端末の識別情報の中に、特定端末識別情報に一致する識別情報があるということは、感染症の保菌者との近接が発生したということである。
【0045】
そこで、携帯端末装置1bの識別情報と一致するものがあると判定すると、特定近接判定部15aは、携帯端末装置1bと近接したことを示す情報を警告報知部16aへ出力する。
【0046】
警告報知部16aは、メモリやハードディスクなどの記憶媒体を有している。そして、警告報知部16aは、感染症の保菌者に近接したという所定の警告情報を報知するためのメッセージを予め記憶している。警告報知部16aは、携帯端末装置1bと近接をしたことを示す情報を特定近接判定部15aから受信する。そして、警告報知部16aは、記憶しているメッセージを操作者に通知することで、操作者に対し感染症の保菌者との近接の警告情報を報知する。本実施例2では、警告報知部16aは、携帯端末装置1aが有する表示画面(不図示)に対し感染症の保菌者との近接を通知するメッセージを表示して警告情報の報知を行う。ここで、警告情報の報知方法としては、音声など他の方法を用いても良い。これにより、操作者は、自分が知らないうちに感染症の保菌者との近接をした可能性があると把握できる。そこで、感染症に罹患したおそれの有る操作者は、近所の病院に行くなど感染症への対処を迅速に行うことができ、感染症の蔓延を防ぐことが可能となる。
【0047】
サーバ2は、医療機関コンピュータ3から感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報の入力を受ける。具体的には、医師や看護師などが医療機関コンピュータ3を用いてサーバ2へ感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報を入力する。サーバ2は、入力された感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報を用いて記憶している特定端末識別情報を更新する。そして、サーバ2は、定期的に特定端末識別情報を特定近接判定部15aへ出力する。
【0048】
ここで、本実施例2では警告の対象とする感染症の種類の数を特定せず説明しているが、実際には警告の対象としては、1つの種類の感染症でも複数の種類の感染症でもよい。複数の種類の感染症を警告の対象とする場合には、感染症の種類毎にメッセージを異ならせて警告情報を報知することも可能である。この複数の感染症の種類を警告の対象とした場合の構成の詳細は、後述する変形例で説明する。
【0049】
次に、図3を参照して、本実施例2に係る携帯端末装置1a、1bにおける近接端末の識別情報の取得の動作を説明する。図3は、実施例2に係る携帯端末装置1a、1bにおける近接端末の識別情報の取得のシーケンス図である。図3は、紙面に向かって左側に携帯端末装置1aの動作のフローを記載し、右側に携帯端末装置1bの動作のフローを記載している。携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとは同じ動作を行うため、以下では必要なとき以外は、主に携帯端末装置1aの動作について説明する。
【0050】
位置報知部17a及び位置報知部17bは、自装置の周囲の所定範囲内に対して自装置の位置を報知する(ステップS101、S201)。
【0051】
近接端末検知部11aは、携帯端末装置1bが所定範囲に達すると、位置報知部17bから位置情報を受ける(ステップS102)。近接端末検知部11bは、携帯端末装置1aが所定範囲に達すると、位置報知部17aから位置情報を受ける(ステップS202)。
【0052】
近接端末検知部11aは、位置報知部17bから受けた位置情報と自装置の位置情報とを基に、自装置と携帯端末装置1bとの距離を算出する(ステップS103)。
【0053】
近接端末検知部11aは、自装置と携帯端末装置1bとの距離が閾値以内か否かによって、携帯端末装置1bが近接端末であるかを判定する(ステップS104)。
【0054】
近接端末検知部11aが携帯端末装置1bを近接端末と判定しない場合(ステップS104No)、ステップS101に戻る。
【0055】
これに対して、近接端末検知部11aが携帯端末装置1bを近接端末と判定した場合(ステップS104Yes)、識別情報受信部13aは、識別情報送信部12bから携帯端末装置1bの識別情報を取得する(ステップS105)。
【0056】
近接情報管理部14aは、識別情報受信部13aから近接端末の識別情報を取得して、自己が記憶している識別情報と比較し、取得した識別情報と記憶している識別情報とが重複しているかを判定する(ステップS106)。
【0057】
重複している場合(ステップS106Yes)、携帯端末装置1bに対する識別情報の取得を終了する。これに対して、重複していない場合(ステップS106No)、近接情報管理部14aは、自己が記憶している識別情報の数を確認する(ステップS107)。
【0058】
そして、近接情報管理部14aは、自己が記憶している識別情報の数が、予め決められた上限値に達しているかを判定する(ステップS108)。上限値に達している場合(ステップS108Yes)、近接情報管理部14aは、最も古い識別情報を削除する(ステップS109)。これに対して、上限値に達していない場合(ステップS108No)、ステップS110へ進む。
【0059】
近接情報管理部14aは、取得した新しい識別情報を記憶する(ステップS110)。
【0060】
携帯端末装置1bは、以上に説明した携帯端末装置1aのステップS103〜S110に対応する各ステップS203〜S210において、携帯端末装置1aと同様の動作を行う。
【0061】
次に、図4を参照して、外部のサーバから情報を受けて警告情報を報知する動作の流れを説明する。ここで、図4は、外部のサーバから情報を受けて警告情報を報知する動作のシーケンス図である。図4の紙面に向かって左側のフローはサーバ2の動作を表しており、紙面に向かって右側のフローは携帯端末装置1aの動作を表している。
【0062】
サーバ2は、医療機関コンピュータ3からの入力を受けて自己が記憶している特定端末識別情報のデータベース(database : DB)を更新する(ステップS201)。ここで、サーバ2への特定端末識別情報の入力は、例えば、操作者によるサーバ2のユーザインタフェース(不図示)を用いた入力でもよい。
【0063】
サーバ2は、データベースに登録されている感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報である特定端末識別情報を特定近接判定部15aへ出力する(ステップS202)。この特定端末識別情報の出力は、本実施例2では定期的に行われる。
【0064】
特定近接判定部15aは、サーバ2から特定端末識別情報を受信する。そして、特定近接判定部15aは、近接情報管理部14aに記憶されている近接端末の識別情報の中に受信した特定端末識別情報に一致するものがあるか否かを判定する(ステップS203)。
【0065】
近接情報管理部14aに記憶されている近接端末の識別情報の中に受信した特定端末識別情報に一致するものがある場合(ステップS203Yes)、特定近接判定部15aは、警告報知部16aに所定の携帯端末装置の近接を通知する。そして、警告報知部16aは、所定の携帯端末装置の近接の通知を受信して、操作者に対し感染症の保菌者との近接があった旨のメッセージを表示画面に表示し警告情報を報知する(ステップS204)。
【0066】
これに対して、近接情報管理部14aに記憶されている近接端末の識別情報の中に受信した特定端末識別情報に一致するものがない場合(ステップS203No)、携帯端末装置1aは、警告情報の報知の動作を終了する。
【0067】
ここで、図4では、一回の警告通知の動作について記載しているが、この図4の動作は何度も繰り返されるものである。
【0068】
本実施例2では、特定近接判定部15aは、サーバ2から特定端末識別情報の入力を受けたタイミングで所定の携帯端末装置の近接を判定する場合で説明している。しかし、この所定の携帯端末装置の近接を判定するタイミングは特に制限はない。例えば、特定近接判定部15aは、例えば1時間に1回などの定期的なタイミングでこの判定を実施しても良い。また、特定近接判定部15aは、近接端末の識別情報を受けたタイミングでこの判定を実施してもよい。ここで、近接端末の識別情報を受けたタイミングで判定を実施する場合には、近接情報管理部24aが識別情報を取得した時点で、特定近接判定部25aに対して識別情報の取得を通知することが好ましい。
【0069】
以上に説明してきたように、実施例2では、携帯端末装置は、自装置が感染症の保菌者が所持する携帯端末装置と近接した場合に、操作者に対し感染症の保菌者との近接が発生したという警告情報を報知する。これにより、操作者は、知らないうちに感染症の保菌者と近接した場合にも、その感染症の保菌者との近接があったことを知ることができる。このような警告を受けた場合、操作者は、自分が感染症に罹患したおそれがあることを認識できるため、病院に行くなど感染症に対する対処を迅速に行うことができる。したがって、例えば操作者が知らないうちに感染症の保菌者と近接し感染症に罹患していた場合にも、他の人に感染症をうつすことを未然に防げ、感染症の蔓延を防ぐことが可能となる。
【0070】
ここで、他の例として、犯罪者の近接を警告する情報通信システムについて説明する。この場合、犯罪者が有する携帯端末装置が所定の携帯端末装置として指定される。そして、犯罪者が有する携帯端末装置と近接した場合に、携帯端末装置の操作者は、犯罪者の近接の警告を受ける。この場合には、他の携帯端末装置の識別情報を受信したタイミングで、予め記憶している特定端末識別情報との比較を行うことが好ましい。これにより、操作者は、犯罪者が近くにいると把握することができ、その場から離れるなどの対処を行うことが可能となる。このような対処を迅速に行うことは、犯罪の再発防止などの犯罪の抑止力となりえる。
【実施例3】
【0071】
図5は、実施例3に係る携帯端末装置のブロック図である。本実施例3に係る携帯端末装置は、近接していた時間を警告報知の判定に用いることが実施例2に係る携帯端末装置と異なるものである。そこで、以下では近接していた時間の取得及び警告情報の報知の判定について主に説明する。本実施例3においても、所定の携帯端末装置の識別情報として、感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報が指定されている場合で説明する。ここで、感染症の保菌者が携帯端末装置1bを所持しているものとする。
【0072】
図2と図5において同じ符号が付されている機能部は同じ機能を有する。また、図5においても、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとは実際には同じ構成を有している。以下では、携帯端末装置1aの構成について説明する。そして、携帯端末装置1aの構成の説明を分かり易くするために、携帯端末装置1bは以下の説明に必要な機能部以外を省略して記載してある。ただし、この携帯端末装置1bは、識別情報送信部12b、識別情報受信部13b、位置報知部17b及び近接端末検知部21bを有していれば他の構成でもよい。
【0073】
携帯端末装置1aは、識別情報送信部12a、識別情報受信部13a、位置報知部17a、近接時間取得部20a、近接端末検知部21a、近接情報管理部24a、特定近接判定部25a及び警告報知部26aを有している。
【0074】
近接端末検知部21aは、携帯端末装置1bを近接端末と判定するための、端末間の距離の閾値として所定距離を有している。本実施例3では、近接端末検知部21aは端末間の距離の閾値として1mを有している。ただし、この端末間の距離の閾値は他の値でも良く、情報通信システムの運用に合わせて設定することが好ましい。
【0075】
近接端末検知部21aは、位置報知部17a及び位置報知部17bから取得した各携帯端末装置の位置情報を用いて、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとの距離を算出する。
【0076】
近接端末検知部21aは、携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとの距離が端末間の距離の閾値以内か、すなわち携帯端末装置1bとの距離が所定距離内に入ったかを判定する。携帯端末装置1aと携帯端末装置1bとの距離が端末間の距離の閾値以内の場合、近接端末検知部21aは、携帯端末装置1bを近接端末と判定する。そして、近接端末検知部21aは、計測開始命令を近接時間取得部20aに出力する。また、近接端末検知部21aは、近接端末である携帯端末装置1bの識別情報の取得命令を識別情報受信部13aへ出力する。さらに、近接端末検知部11aは、携帯端末装置1aの識別情報の出力を識別情報送信部12aに指示する。
【0077】
そして、近接端末検知部21aは、近接端末となった携帯端末装置1bとの距離が閾値である所定距離外に出たと判定すると、計測終了命令を近接時間取得部20aに出力する。
【0078】
近接時間取得部20aは時計を有している。また、近接時間取得部20aは、メモリやハードディスクなどの記憶媒体を有している。そして、近接時間取得部20aは、近接端末検知部21aから計測開始命令を受け、その命令を受信したときの時刻を近接開始時刻として記憶する。さらに、近接時間取得部20aは、近接端末検知部21aから計測終了命令を受け、その命令を受信したときの時刻を近接終了時刻として記憶する。そして、近接時間取得部20aは、近接終了時刻と近接開始時刻との差を求め、自装置と携帯端末装置1bとの距離が所定距離に入ってから所定距離外に出るまでの時間を求める。この求めた時間は、言い換えれば携帯端末装置1bが近接端末であった時間である。以下では、この求めた時間を「近接時間」という。
【0079】
近接時間取得部20aは、近接開始時刻、近接終了時刻及び近接時間を近接情報管理部24aに出力する。
【0080】
ここで、本実施例3では、近接時間取得部20aは、近接開始時刻及び近接終了時刻のいずれも近接情報管理部24aに出力しているが、これはいずれか一方、もしくは両方を出力しないようにしても良い。また、近接時間取得部20aは、近接開始から近接終了までの時間を自己の時計を用いてカウントすることで近接時間を計測しても良い。
【0081】
また、本実施例3では、近接時間取得部20aは時計を有しており、近接開始時刻及び近接終了時刻を記憶しているが、それらの時刻を記憶しなくても本実施例3にかかる携帯端末装置1aは動作可能である。その場合、近接端末検知部21aは、タイマーを備えることで、そのタイマーを用いて計測開始命令を受信した時点から計測終了命令を受けた時点までの時間を計測して近接時間を求める。この場合は、近接時間取得部20aは、近接時間のみを近接情報管理部24aに出力する。
【0082】
近接情報管理部24aは、メモリやハードディスクなどの記憶媒体を有している。そして、近接情報管理部24aは、近接開始時刻、近接終了時刻及び近接時間の入力を近接時間取得部20aから受ける。また、近接情報管理部24aは、近接端末である携帯端末装置1bの識別情報の入力を識別情報受信部13aから受ける。
【0083】
そして、近接情報管理部24aは、近接開始時刻、近接終了時刻及び近接時間を携帯端末装置1bの識別情報と対応付けて記憶する。このように、近接情報管理部24aは、近接端末となった各携帯端末装置における、近接開始時刻、近接終了時刻及び近接時間を識別情報と対応付けて順次記憶していく。
【0084】
特定近接判定部25aは、近接時間の閾値として所定時間を予め有している。この近接時間の閾値は、携帯端末装置1aが含まれる情報通信システムの運用状況に応じて設定されることが好ましい。本実施例3では、感染症の保菌者との近接を警告するシステムであることから、警告の対象とする感染症に感染する可能性が高くなる近接時間を統計的に求め、その求めた時間を近接時間の閾値として設定する。例えば、感染症の保菌者との近接の警告を行う情報通信システムの場合、対象とする感染症の感染力が強い場合には、短時間で感染する危険が高いため、閾値を小さく設定した方が好ましい。逆に対象とする感染症の感染力が弱い場合には、短時間で感染する危険が低いため、閾値を大きく設定しても良い。
【0085】
特定近接判定部25aは、サーバ2から感染症の保菌者が所持する携帯端末装置の識別情報である特定端末識別情報の入力を受ける。そして、特定近接判定部25aは、近接情報管理部24aが記憶している近接端末の識別情報の中に、受信した特定端末識別情報と一致するものがあるかを判定する。以下では、特定近接判定部25aは、特定端末識別情報として携帯端末装置1bの識別情報を受け取った場合で説明する。
【0086】
特定端末識別情報と一致した識別情報があると判定すると、特定近接判定部25aは、特定端末識別情報を有する携帯端末装置の近接時間を近接情報管理部24aから取得する。本実施例3では、特定近接判定部25aは、携帯端末装置1bの近接時間を取得する。そして、特定近接判定部25aは、取得した近接時間が閾値以上か否かを判定する。取得した近接時間が閾値以上の場合には、特定近接判定部25aは、所定の携帯端末装置との長時間の近接の通知を警告報知部26aへ出力する。また、取得した近接時間が閾値より小さい場合には、所定の携帯端末装置との短時間の近接の通知を警告報知部26aへ出力する。このように、感染症の保菌者との近接時間に基づいた判定を行うことで、感染症の罹患の可能性の高い場合と、罹患の可能性の低い場合とにおける操作者への警告を異ならせることができる。
【0087】
さらに、特定近接判定部25aは、所定の携帯端末装置である携帯端末装置1bとの近接開始時刻と近接終了時刻とを近接情報管理部24aから取得する。そして、特定近接判定部25aは、携帯端末装置1bとの近接開始時刻と近接終了時刻とを警告報知部26aへ出力する。ここで、本実施例3では、近接開始時刻及び近接終了時刻を明示して操作者に近接した時刻を把握させるため、特定近接判定部25aがその情報を取得している。しかし、近接した時刻の明示が不要な場合にはこれらの情報を用いなくても良い。
【0088】
警告報知部26aは、メモリやハードディスクなどの記憶媒体を有している。そして、警告報知部26aは、長時間の近接の場合のメッセージのフォーマット及び短時間の近接の場合のメッセージのフォーマットを予め記憶している。本実施例3では、警告報知部26aは、長時間の近接の場合の警告として、検査を促すメッセージのフォーマットを記憶している。また、警告報知部26aは、短時間の近接の場合の警告として、外出を控え様子を見ることを促すメッセージのフォーマットを記憶している。
【0089】
警告報知部26aは、所定の携帯端末装置との長時間の近接の通知を取得した場合、長時間の近接の場合の警告のフォーマットを基にメッセージを作成する。また、警告報知部26aは、所定の携帯端末装置との短時間の近接の通知を取得した場合、短時間の近接の場合の警告のフォーマットを基にメッセージを作成する。
【0090】
そして、警告報知部26aは、所定の携帯端末装置との長時間の近接の通知を取得した場合、まず自装置の位置の検出を行う。この自装置の位置の検出は例えばGPS測位などにより実施する。ここで、警告報知部26aは、位置報知部17aから位置情報を取得するようにしても良い。そして、警告報知部26aは、自装置の位置から最寄りの医療機関を検出する。この医療機関が公共機関の一例である。この医療機関の検出は、例えば、インターネットに接続して検出を行っても良いし、また、各医療機関の位置を警告報知部26aが予め記憶しておき、その医療機関と自装置との距離を基に検出を行っても良い。そして、警告報知部26aは、検査を促すメッセージのフォーマットに近接開始時刻及び近接終了時刻とともに検出した最寄りの医療機関の情報を加えて警告を作成する。そして、警告報知部26aは、作成した検査を促すメッセージを操作者に通知する。この長時間の近接の場合のメッセージが、第1の警告情報の一例である。
【0091】
また、警告報知部26aは、短時間の特定情報端末との近接の通知を取得した場合、外出を控え、様子を見ることを促すメッセージのフォーマットに近接開始時刻及び近接終了時刻の情報を加えて警告を作成する。そして、警告報知部26aは、作成した外出を控え、様子を見ることを促すメッセージを操作者に通知する。この短時間の近接の場合のメッセージが、第2の警告情報の一例である。
【0092】
そして、本実施例3では、警告報知部26aは、記録を残して操作者の再確認などに用いるために、操作者に通知したメッセージを保存する。ここで、記録を残す必要がないような場合には、警告報知部26aはメッセージの保存を行わなくもよい。
【0093】
次に、図6を参照して、感染症を例に、近接時間の閾値を用いて警告の報知の判定を行う情報通信システムの動作を説明する。図6は、近接時間の閾値を用いて感染症の警告の報知の判定を行う情報通信システムにおける警告情報の報知のシーケンス図である。図6で説明する情報通信システムは、医療機関に配置された医療機関コンピュータ3、サーバ2及び携帯端末装置1aが配置されている。サーバ2は医療機関コンピュータ3と同じ医療機関に配置されても他の場所に配置されても良い。ここで、医療機関コンピュータ3は、携帯端末装置の識別情報を出力する対象となる感染症の病名を予め記憶しているものとする。
【0094】
医師や看護師などが、来院した患者の病名及び患者が有する携帯端末装置の識別情報の入力を医療機関コンピュータ3に対して行う。この入力を受けて、医療機関コンピュータ3は、入力された病名が予め決められた感染症の病名と一致した場合、サーバ2に対して患者の携帯端末装置の識別情報を出力する(ステップS301)。
【0095】
サーバ2は、患者の携帯端末装置の識別情報を医療機関コンピュータ3から受信して、記憶している特定端末識別情報のDBを更新する(ステップS302)。サーバ2は、特定端末識別情報のDBに登録されている特定端末識別情報を携帯端末装置1aへ出力する(ステップS303)。
【0096】
特定近接判定部25aは、近接情報管理部24aが記憶している近接端末の識別情報の中にサーバ2から受信した特定端末識別情報と一致するものがあるか否かを判定する(ステップS304)。
【0097】
近接端末の識別情報の中に特定端末識別情報と一致するものがない場合(ステップS304No)、携帯端末装置1aは感染症の患者との近接の警告の報知の動作を終了する。
【0098】
これに対して、近接端末の識別情報の中に特定端末識別情報と一致するものがある場合(ステップS304Yes)、特定近接判定部25aは、その識別情報に対応する近接時間が自己の記憶している近接時間の閾値以上か否かを判定する(ステップS305)。
【0099】
近接時間の閾値より小さい場合(ステップS305No)、警告報知部26aは、短時間の特定情報端末との近接の警告として、外出を控え、様子を見ることを促すメッセージを作成し、その作成したメッセージを操作者に通知する(ステップS308)。
【0100】
これに対して、近接時間の閾値より小さい場合(ステップS305Yes)、警告報知部26aは、GPSで自己の位置を取得し、最寄りの医療機関を検出する(ステップS306)。
【0101】
そして、警告報知部26aは、長時間の特定情報端末との近接の警告として、検出した医療機関の情報を加えた検査を促すメッセージを作成し、その作成したメッセージを操作者に通知する(ステップS307)。
【0102】
警告報知部26aは、操作者に対しメッセージの通知を行った(ステップS307又はステップS308)後に、その通知したメッセージを保存する(ステップS309)。
【0103】
ここで、携帯端末装置の識別情報のうちプライバシーと密接にかかわる情報については操作者に非公開とすることが好ましい。特に、感染症の保菌者との近接の警告を報知する情報通信システムにおいては、患者のプライバシーとの観点から、所定の携帯端末装置の識別情報は操作者に対して非公開とすることが好ましい。この場合、操作者は、誰との特定はできないが感染症の保菌者いずれかとの近接があったことを把握することになる。
【0104】
以上に説明してきたように、実施例3では、携帯端末装置は所定の携帯端末装置と近接した場合に、近接していた時間に応じたメッセージにより操作者に警告を行う。これにより、操作者は、感染症の保菌者と一定時間近接したことによりどのような影響を受けるかを、適切に把握することができる。具体的には、操作者は、感染症に罹患した可能性が高い近接があったか、感染症に罹患した可能性が低い近接があったかを把握できる。そして、操作者は、特定の人との近接による影響に応じて、その近接に対する対処を迅速に行うことができる。
【0105】
さらに、以上に説明した携帯端末装置は、他の複数の携帯端末装置が同時に近接端末になった場合、すなわち、同時に複数の携帯端末装置において自装置との距離が所定距離に達した場合、識別情報を同時に受信することができるようにしても良い。例えばBluetooth(登録商標)を使用して近距離無線通信を行う携帯端末装置を例に説明する。
【0106】
現在、Bluetooth(登録商標)は、所定範囲にある他の端末を検出した後に、操作者が検出した端末の中から特定の端末を選択しキー交換を行うことによりペアリングを確立する。そして、携帯端末装置は、このペアリングの確立の後に通信を行う。このような接続手順では、ペアリングの後に電話番号を取得が可能となる。そこで、この場合には使用する識別情報としてはBluetooth(登録商標)の番号を用いることが好ましい。ただし、Bluetooth(登録商標)を用いた通信におけるキー交換の手順を簡略化すれば、識別情報として電話番号を使用することが可能となる。
【0107】
ここで、以上に説明してきた実施例において、警告の対象となる事物は1種類だけでなくても良い。ここで警告の対象となる事物とは、具体的には感染症や犯罪者などのことを指す。そして、警告の対象が複数とは、具体的には、複数種類の感染症や、複数の犯罪者などを指す。例えば、感染症の保菌者の近接を警告する情報通信システムの場合、警告の対象は1つの感染症だけでなく、複数の感染症を警告の対象にしても良い。この場合、実施例2や実施例3に記載した構成でも良いが、以下に記載する変形例の構成を用いても良い。
【0108】
(変形例1)
変形例1は、警告の対象の種類とその種類毎に異なる近接時間の閾値を用いて警告報知を行う。以下では、警告の対象を感染症とした場合で説明する。
【0109】
特定近接判定部25aが、予め感染症の種類とそれに対応する近接時間の閾値を記憶しておく。そして、特定近接判定部25aは、特定端末識別情報とともにその所定の携帯端末装置の保有者の感染症の種類の入力をサーバ2から受信する。そして、特定近接判定部25aは、入力された感染症の種類に対応する近接時間の閾値を用いて、その所定の携帯端末装置との近接時間が閾値以上か否かを判定する。
【0110】
ここで、感染症はその種類により感染力などが異なり、近接時間の許容範囲が異なることが考えられる。そこで、感染症の種類に応じた近接時間の閾値を用いることにより、感染症毎の近接時間の許容範囲に合わせて警告を報知することができ、感染症毎に適切な警告の報知を行うことが可能となる。
【0111】
ここでは、警告の対象の種類毎に近接時間の閾値を異ならせたが、警告の対象をグループ分けして、そのグループ毎に近接時間の閾値を異ならせるようにしても良い。
【0112】
(変形例2)
次に、変形例2は、警告の対象の種類とその種類毎に異なる端末間の距離の閾値を用いて、所定の携帯端末装置の近接を判定する。以下では、警告の対象を感染症とした場合で説明する。
【0113】
近接端末検知部21aは、感染症の種類に対応する端末間の距離の閾値を予め有している。そして、近接端末検知部21aは、近接端末との距離が各閾値に達すると、その閾値とともに近接端末の識別情報を近接情報管理部24aに記憶させる。そして、特定近接判定部25aは、感染症の種類とその種類に対応する閾値とを予め有している。そして、特定近接判定部25aは、サーバ2から感染症の種類が入力を受ける。そして、特定近接判定部25aは、その感染症の種類に対応する閾値以下の距離での近接があった携帯端末装置の識別情報の中に、特定端末識別情報と一致するものがあるかを判定する。
【0114】
ここで、感染症はその種類により感染力などが異なり、近接が許容される距離が異なることが考えられる。そこで、感染症に応じた距離の閾値を用いることにより、感染症毎の近接が許容される距離に合わせて所定の携帯端末装置の近接を検出でき、感染症毎に適切な警告の報知を行うことが可能となる。
【0115】
この変形例は、実施例2のように近接時間を警告報知の判定に使用しない場合に対して適用することができるし、実施例3のような近接時間を警告報知の判定に使用する場合に対して適用することもできる。さらには、変形例1の感染症の種類毎に異なる近接時間の閾値を用いて警告の報知を行う場合と併用することも可能である。
【0116】
ここでは、警告の対象の種類毎に近接時間の閾値を異ならせたが、警告の対象をグループ分けして、そのグループ毎に近接時間の閾値を異ならせるようにしても良い。例えば、複数の感染症の種類を扱う場合には、感染症の種類をグループ分けするなどして、そのグループ毎に端末間の距離の閾値を変更して近接端末情報を取得するようにしても良い。具体的には、例えば、感染症の感染力により、感染症の種類を3段階のグループに分ける。そして、各グループに対応する端末間の距離の閾値を3つ用いて、所定の携帯端末装置の近接を判定する。
【0117】
(変形例3)
この変形例は、警告の対象の種類によってメッセージを変更して警告情報の報知を行う。以下では、警告の対象を感染症とした場合で説明する。
【0118】
警告報知部26aは、感染症の種類に対応する異なるメッセージのフォーマットを予め記憶しておく。そして、警告報知部26aは、サーバ2から入力された感染症の種類に対応させてメッセージを作成し、操作者に作成したメッセージを通知する。このメッセージには各感染症への対処方法などを含むことが好ましい。また、他の例として、サーバ2から感染症の種類とともに対処方法などの感染症情報を受けて、警告報知部26aがその感染症情報を基にメッセージを作成しても良い。
【0119】
ここで、この感染症の種類によってメッセージを変更する動作の流れを、図7を参照して説明する。図7は、感染症の種類によってメッセージを変更する情報通信システムの警告情報の報知の動作のシーケンス図である。図7では、サーバ2から感染症の種類とともに対処方法などの感染症情報を受けて、警告報知部26aがその感染症情報を基にメッセージを作成する場合が記載されている。図7で説明する情報通信システムは、医療機関に配置された医療機関コンピュータ3と、サーバ2及び携帯端末装置1aが配置されている。サーバ2は医療機関コンピュータ3と同じ医療機関に配置されても他の場所に配置されても良い。ここで、医療機関コンピュータ3は、携帯端末装置の識別情報を出力する対象となる感染症の病名を予め記憶しているものとする。また、医療機関コンピュータ3は、感染症毎に該感染症に対する対処方法を予め記憶しているものとする。
【0120】
医師や看護師などが、来院した患者の病名及び患者が有する携帯端末装置の識別情報の入力を医療機関コンピュータ3に対して行う。この入力を受けて、医療機関コンピュータ3は、入力された病名が予め決められた感染症の病名と一致した場合、サーバ2に対して患者の携帯端末装置の識別情報を出力する(ステップS401)。
【0121】
サーバ2は、患者の携帯端末装置の識別情報を医療機関コンピュータ3から受信して、記憶している特定端末識別情報のDBを更新する(ステップS402)。そして、サーバ2は、DBの更新を医療機関コンピュータ3に通知する(ステップS403)。医療機関コンピュータ3は、サーバ2からのDB更新の通知を受けて、通知した患者が罹患している感染症に対する対処方法をサーバ2に通知する(ステップS404)。サーバ2は、感染症の対処方法を医療機関コンピュータ3から受信して、特定端末識別情報のDBの特定端末識別情報に対応させて感染症への対処方法を追加し更新する(ステップS405)。サーバ2は、医療機関コンピュータ3に対し、DB更新完了を通知する(ステップS406)。そして、サーバ2は、特定端末識別情報のDBに登録されている特定端末識別情報及び感染症への対処方法を対応させて携帯端末装置1aへ出力する(ステップS407)。
【0122】
特定近接判定部25aは、近接情報管理部24aが記憶している近接端末の識別情報の中にサーバ2から受信した特定端末識別情報と一致するものがあるか否かを判定する(ステップS408)。
【0123】
近接端末の識別情報の中に特定端末識別情報と一致するものがない場合(ステップS408No)、携帯端末装置1aは感染症の患者との近接の警告情報の報知の動作を終了する。
【0124】
これに対して、近接端末の識別情報の中に特定端末識別情報と一致するものがある場合(ステップS408Yes)、特定近接判定部25aは、その識別情報に対応する近接時間が自己の記憶している近接時間の閾値以上か否かを判定する(ステップS409)。この時、特定近接判定部25aは、自己の判定結果と、一致した特定端末識別情報に対応する感染症の対処方法を、警告報知部26aへ出力する。
【0125】
近接時間の閾値より小さい場合(ステップS409No)、警告報知部26aは、短時間の特定情報端末との近接の警告として、感染症の対処方法に加えて、外出を控え、様子を見ることを促すメッセージを作成する。そして、警告報知部26aは、作成したメッセージを操作者に通知する(ステップS412)。
【0126】
これに対して、近接時間の閾値より小さい場合(ステップS409Yes)、警告報知部26aは、GPSで自己の位置を取得し、最寄りの医療機関を検出する(ステップS410)。
【0127】
そして、警告報知部26aは、長時間の特定情報端末との近接の警告として、感染症の対処方法に加えて、検出した医療機関の情報を加えた検査を促すメッセージを作成し、その作成したメッセージを操作者に通知する(ステップS411)。
【0128】
警告報知部26aは、操作者に対しメッセージの通知を行った(ステップS411又はステップS412)後に、その通知したメッセージを保存する(ステップS413)。
【0129】
ここで、感染症はその種類により対処方法が異なることが考えられる。そこで、各感染症に対応したメッセージを警告に用いることにより、感染症毎の対処方法が操作者に通知できる。これにより、操作者は感染症毎に適切な対処を迅速に行うことが可能となる。
【0130】
(変形例3)
この変形例は、実施例3において近接開始時点で警告を報知する。以下では、警告の対象を感染症とした場合で説明する。
【0131】
近接情報管理部24aは、近接端末である携帯端末装置1bの識別情報を識別情報受信部13aから受信した時点で、携帯端末装置1bの識別情報を取得した旨の通知を、特定近接判定部25aへ出力する。
【0132】
特定近接判定部25aは、近接情報管理部24aから近接端末である携帯端末装置1bの識別情報を取得すると、その近接端末の識別情報が記憶している特定端末識別情報と一致するか判定する。近接端末の識別情報が特定端末識別情報と一致する場合には、特定近接判定部25aは、警告報知部26aへ感染症の保菌者との近接を通知する。
【0133】
警告報知部26aは、携帯端末装置1bが近接端末になった時点における特定近接判定部からの感染症の保菌者との近接の通知を受けて、操作者に警告情報を報知する。
【0134】
この後の処理は、実施例3と同様である。簡単に説明すると、携帯端末装置1bが近接端末で無くなった後に、携帯端末装置1aは、携帯端末装置1bとの近接時間を基に操作者に対して警告の報知を行う。
【0135】
このように、感染症の患者と近接した時点で警告を報知することにより、感染症の患者と近接が始まったタイミングで操作者は感染症の患者との近接への対処を行うことができる。これにより、操作者は早期に感染症への対応が行える。
【0136】
さらに、以上の変形例では主に感染症を例に説明したが、各変形例は、犯罪者などの他の警告の対象における場合でも同様に適用可能である。
【0137】
ここで、以上で説明した実施例の一部の機能を利用した例として、携帯端末装置を用いて近接した他の携帯端末装置から情報を取得する機能を利用した例を説明する。具体的には、携帯電話により周囲の携帯電話から情報を収集し、その収集した情報を利用する場合について説明する。乗車している電車の中に携帯電話で音楽を聴いている人がいる場合に、自装置の携帯電話に近接した携帯電話からその人が聞いている楽曲を収集する。そして、その携帯電話が収集した情報を基に自分の周囲における楽曲の聴かれている率の順位を求め、表示画面に表示することができる。さらには、自装置の携帯電話が各楽曲の聴かれている全国的な順位の統計を外部から取得することで、周囲の順位と全国的な順位とを比較することもできる。
【0138】
[プログラム]
また、上記実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図8を用いて、図1に示した携帯端末装置1aと同様の機能を有する携帯端末制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0139】
図8は、携帯端末制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図8に示すように、コンピュータ1000は、RAM1010と、キャッシュ1020と、HDD1030と、ROM1040と、CPU1050、バス1060とを有する。RAM1010、キャッシュ1020、HDD1030、ROM1040、CPU1050は、バス1060によって接続されている。
【0140】
ROM1040には、図1に示した携帯端末装置1aと同様の機能を発揮する携帯端末制御プログラム1041が予め記憶されている。
【0141】
そして、CPU1050は、これらの携帯端末制御プログラム1041を読み出して実行する。これにより、図8に示すように、携帯端末制御プログラム1041は、携帯端末制御プロセス1051になる。
【0142】
なお、上記した携帯端末制御プログラム1041については、必ずしもROM1040に記憶させなくてもよい。例えば、コンピュータ1000に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に携帯端末制御プログラム1041を記憶させてもよい。または、コンピュータ1000の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」に携帯端末制御プログラム1041を記憶させてもよい。または、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ1000に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」に携帯端末制御プログラム1041を記憶させてもよい。そして、コンピュータ1000は、上述したフレキシブルディスク等から各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0143】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0144】
(付記1)自装置と通信が可能な他の携帯端末装置を近接端末として検知する近接端末検知部と、
前記近接端末検知部によって検知された携帯端末装置の識別情報を前記近距離無線通信により受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部により受信された識別情報を記憶部に記憶させる識別情報管理部と、
前記記憶部に記憶された識別情報のいずれかが、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知部と
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【0145】
(付記2)前記自装置の位置情報を取得し報知する位置報知部をさらに備え、
前記近接端末検知部は、他の携帯端末装置の前記位置情報の報知を受けて前記自装置との距離を求める
ことを特徴とする付記1に記載の携帯端末装置。
【0146】
(付記3)前記検知された携帯端末装置と自装置との通信が可能な状態であった時間を取得する時間取得部をさらに備え、
前記識別情報管理部は、前記識別情報受信部により受信された識別情報とともに前記時間を前記記憶部に記憶させ、
前記判定部は、前記特定端末識別情報を有する前記携帯端末装置の前記時間が所定時間以上であるかを判定し、
前記警告報知部は、前記判定部によって前記記憶部に記憶された前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致し、かつ、前記時間が所定時間以上であると判定された場合に、第1の警告情報を報知する
ことを特徴とする付記1又は2に記載の携帯端末装置。
【0147】
(付記4)前記警告報知部は、前記判定部によって前記記憶部に記憶された前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致し、かつ、前記時間が所定時間より短いと判定された場合に、前記第1の警告情報と異なる第2の警告情報を報知することを特徴とする付記3に記載の携帯端末装置。
【0148】
(付記5)前記近接時間取得部は、前記近接端末が前記所定距離内に入った時刻をさらに取得し、
前記近接情報管理部は、前記近接時間とともに前記時刻をさらに管理する
ことを特徴とする付記3又は付記4のいずれか一つに記載の携帯端末装置。
【0149】
(付記6)前記時間が所定時間以上である場合に、最寄りの公共機関を検出し通知する公共機関通知部をさらに備えたことを特徴とする付記3乃至付記5のいずれか一つに記載の携帯端末装置。
【0150】
(付記7)前記識別情報管理部は、前記記憶部が記憶している前記識別情報のうち予め決められている条件に一致した前記識別情報を削除することを特徴とする付記1乃至付記6のいずれか一つに記載の携帯端末装置。
【0151】
(付記8)前記識別情報管理部は、前記条件を、前記記憶部が記憶している前記識別情報の数が所定値に達した場合の最も古い前記識別情報とすることを特徴とする付記7に記載の携帯端末装置。
【0152】
(付記9)前記識別情報管理部は、前記条件を、前記記憶部が記憶している時間が所定時間経過した前記識別情報とすることを特徴とする付記7又は付記8に記載の携帯端末装置。
【0153】
(付記10)前記判定部により前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知部と、
自装置と通信が可能な他の携帯端末装置を近接端末として検知する近接端末検知部と、
前記近接端末検知部によって検知された携帯端末装置の識別情報を前記近距離無線通信により受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部により受信された識別情報を記憶部に記憶させる識別情報管理部と、
感染症の保菌者が所持する前記携帯端末装置の識別情報を特定端末識別情報として、前記記憶部に記憶された識別情報のいずれかが、前記特定端末識別情報と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、感染症の罹患の可能性を示す警告情報を報知する警告報知部と
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【0154】
(付記11)自装置と通信が可能な他の携帯端末装置を近接端末として検知する近接端末検知ステップと、
前記近接端末検知ステップによって検知された携帯端末装置の識別情報を前記近距離無線通信により受信する識別情報受信ステップと、
前記識別情報受信ステップによりにより受信された識別情報を記憶媒体に記憶させる近接情報管理ステップと、
前記記憶媒体に記憶された識別情報のいずれかが、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する特定近接判定ステップと、
前記特定近接判定ステップにより前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知ステップと
を含んだことを特徴とする、携帯端末装置により実行される携帯端末制御方法。
【0155】
(付記12)第1の携帯端末装置及び第2の携帯端末装置を含む情報通信システムであって、
前記第1の携帯端末装置と前記第2の携帯端末装置は通信が可能であり、
前記第1の携帯端末装置は、
前記通信により自装置を一意に識別する識別情報を出力する識別情報送信部を備え、
前記第2の携帯端末装置は、
自装置と前記第1の携帯端末装置との通信が可能になった場合に、前記第1の携帯端末装置を検知する端末検知部と、
前記端末検知部によって近検知された前記第1の携帯端末装置の識別情報を前記通信により受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部により受信された識別情報を記憶部に記憶させる識別情報管理部と、
前記記憶部に記憶された識別情報が、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記識別情報が前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知部と
を備えることを特徴とする情報通信システム。
【0156】
(付記13)情報管理装置と複数の携帯端末装置とを有する情報通信システムであって、
前記情報管理装置は、
所定の前記携帯端末装置の識別情報を特定端末識別情報として入力を受ける識別情報取得部と、
前記特定端末識別情報を前記携帯端末装置に送信する情報送信部とを備え、
前記携帯端末装置は、
自装置と通信が可能な他の携帯端末装置を近接端末として検知する近接端末検知部と、
前記近接端末検知部によって検知された携帯端末装置の識別情報を前記近距離無線通信により受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部により受信された識別情報を記憶部に記憶させる識別情報管理部と、
前記記憶部に記憶された識別情報のいずれかが、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知部とを備えた
ことを特徴とする情報通信システム。
【符号の説明】
【0157】
1a、1b 携帯端末装置
2 サーバ
3 医療機関コンピュータ
11a、11b 近接端末検知部
12a、12b 識別情報送信部
13a、13b 識別情報受信部
14a 近接情報管理部
15a 特定近接判定部
16a 警告報知部
17a、17b 位置報知部
20a 近接時間取得部
21a、21b 近接端末検知部
24a、近接情報管理部
25a 特定近接判定部
26a 警告報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置と通信が可能な他の携帯端末装置を近接端末として検知する近接端末検知部と、
前記近接端末検知部によって検知された携帯端末装置の識別情報を前記近距離無線通信により受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部により受信された識別情報を記憶部に記憶させる識別情報管理部と、
前記記憶部に記憶された識別情報のいずれかが、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知部と
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記検知された携帯端末装置と自装置との通信が可能な状態であった時間を取得する時間取得部をさらに備え、
前記識別情報管理部は、前記識別情報受信部により受信された識別情報とともに前記時間を前記記憶部に記憶させ、
前記判定部は、前記特定端末識別情報を有する前記携帯端末装置の前記時間が所定時間以上であるかを判定し、
前記警告報知部は、前記判定部によって前記記憶部に記憶された前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致し、かつ、前記時間が所定時間以上であると判定された場合に、第1の警告情報を報知する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記警告報知部は、前記判定部によって前記記憶部に記憶された前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致し、かつ、前記時間が所定時間より短いと判定された場合に、前記第1の警告情報と異なる第2の警告情報を報知することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記時間が所定時間以上である場合に、最寄りの公共機関を検出し通知する公共機関通知部をさらに備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
自装置と通信が可能な他の携帯端末装置を近接端末として検知する近接端末検知ステップと、
前記近接端末検知ステップによって検知された携帯端末装置の識別情報を前記近距離無線通信により受信する識別情報受信ステップと、
前記識別情報受信ステップによりにより受信された識別情報を記憶媒体に記憶させる近接情報管理ステップと、
前記記憶媒体に記憶された識別情報のいずれかが、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する特定近接判定ステップと、
前記特定近接判定ステップにより前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知ステップと
を含んだことを特徴とする、携帯端末装置により実行される携帯端末制御方法。
【請求項6】
第1の携帯端末装置及び第2の携帯端末装置を含む情報通信システムであって、
前記第1の携帯端末装置と前記第2の携帯端末装置は通信が可能であり、
前記第1の携帯端末装置は、
前記通信により自装置を一意に識別する識別情報を出力する識別情報送信部を備え、
前記第2の携帯端末装置は、
自装置と前記第1の携帯端末装置との通信が可能になった場合に、前記第1の携帯端末装置を検知する端末検知部と、
前記端末検知部によって近検知された前記第1の携帯端末装置の識別情報を前記通信により受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部により受信された識別情報を記憶部に記憶させる識別情報管理部と、
前記記憶部に記憶された識別情報が、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記識別情報が前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知部と
を備えることを特徴とする情報通信システム。
【請求項7】
情報管理装置と複数の携帯端末装置とを有する情報通信システムであって、
前記情報管理装置は、
所定の前記携帯端末装置の識別情報を特定端末識別情報として入力を受ける識別情報取得部と、
前記特定端末識別情報を前記携帯端末装置に送信する情報送信部とを備え、
前記携帯端末装置は、
自装置と通信が可能な他の携帯端末装置を近接端末として検知する近接端末検知部と、
前記近接端末検知部によって検知された携帯端末装置の識別情報を前記近距離無線通信により受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部により受信された識別情報を記憶部に記憶させる識別情報管理部と、
前記記憶部に記憶された識別情報のいずれかが、特定の携帯端末装置の特定端末識別情報と一致するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記識別情報のいずれかが前記特定端末識別情報と一致したと判定された場合に、所定の警告情報を報知する警告報知部とを備えた
ことを特徴とする情報通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−166231(P2011−166231A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23473(P2010−23473)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】