説明

携帯端末装置、携帯端末装置の省電力制御方法および携帯端末装置の省電力制御プログラム

【課題】ユーザの省電力意識を反映させて省電力モードに移行することのできる携帯端末装置、携帯端末装置の省電力制御方法および携帯端末装置の省電力制御プログラムを得ること。
【解決手段】通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を省電力モード移行操作内容登録手段11に登録しておき、省電力モード移行操作内容判別手段12がこの登録内容が発生したことを判別する。省電力モード移行手段13は、省電力モード移行操作内容登録手段11に登録されたユーザの操作内容が発生したとき自装置を省電力モードに移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PHS、PDA等のバッテリで駆動する携帯端末装置、携帯端末装置の省電力制御方法および携帯端末装置の省電力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内蔵するバッテリを電源として使用するPHS(Personal Handy Phone System)、PDA(Personal Data Assistance:個人向け携帯型情報通信機器)等の携帯端末装置は、ユーザが手軽に携行して使用することができる端末装置として広く普及している。これらの携帯端末装置は、高機能化と高性能化が進んでおり、電流消費量がこれと共に増加する傾向がある。したがって、バッテリの容量が従来と同一であれば、携帯端末装置の使用可能な時間が短縮してしまうという不具合が発生する。また携帯端末装置を長時間使用するユーザは予備のバッテリを持ち歩いたり、バッテリを頻繁に充電する必要が生じてしまう。
【0003】
そこで携帯端末装置の電力消費を低減させてバッテリを長持ちさせるための各種の提案が従来から行われている。本発明に関連する第1の関連技術として、携帯端末装置がバッテリで駆動しているときに商用電源を使用している場合と比較して内蔵のCPU(Central Processing Unit)等の制御部のデータの処理能力を低下させたり、液晶ディスプレイのバックライトの照度を低下させることが広く行われている。
【0004】
ところが、この第1の関連技術を採用すると、ユーザが携帯端末装置を使用するときのデータ処理に要する時間が余計に掛かるようになる。また、液晶ディスプレイの照度が低下すると、液晶ディスプレイの表示内容が見にくくなって、データの入力や処理結果の読み取りにミスが発生しやすくなるという問題が発生する。
【0005】
そこで、本発明に関連する第2の関連技術として、ユーザが携帯端末装置の着信通知に所定時間以内に応答しないときに、その判別時点から省電力モードに移行させて携帯端末装置の電力消費を低減することが提案されている(たとえば特許文献1参照)。一例を挙げると、ユーザが応答しない時間が予め定めた時間以上になったら携帯端末装置のバックライトを消灯するといった省電力モードに移行させる。また、そのとき使用していたアプリケーションソフトウェアの使用を中止して省電力モードに移行させることになる。
【0006】
図7は、第2の関連技術に基づいた携帯端末装置の省電力制御の様子を表わしたものである。この従来の携帯端末装置ではその電源が投入された時点で、通常の電力制御を行う通常モードが開始する(ステップS301)。通常モードが開始した後、図示しない制御部は携帯端末装置の操作が所定時間以上行われない状態があると自動的に省電力モードに移行する設定が行われているかをチェックする(ステップS302)。
【0007】
省電力モードへ移行しない設定が行われている場合には(ステップS302:N)、再びステップS301に戻る(リターン)処理が行われる。すなわち、ユーザが省電力モードへの移行を可とする設定を行うまで、この携帯端末装置は通常モードで動作を継続することになる。
【0008】
一方、ユーザが省電力モードへの移行を可とする設定を行っている場合(ステップS302:Y)、制御部は図示しないタイマによる計時動作を開始させる(ステップS303)。そして、タイマに設定された所定時間が経過すると(ステップS304:Y)、その時点から電力消費を節減する省電力モードに移行する(ステップS305)。省電力モードは、制御部を構成する図示しないCPU(Central Processing Unit)に対する割り込みが検出されない状態で(ステップS306:N)、継続する。
【0009】
CPUに対する割り込みが検出されると(ステップS306:Y)、再びステップS301に戻る(リターン)処理が行われ、通常モードに復帰する(ステップS301)。
【0010】
ところが、この図7に示した第2の関連技術では、携帯端末装置がユーザに通知した後も所定時間経過して省電力モードに移行するまでの間は装置の電力消費が通常通り行われる。たとえば、省電力モードに移行するまでの時間が3分に設定されていたとすると、ユーザに対する通知が行われて3分経過するまではバックライトが明るく点灯したり、各種のアプリケーションソフトウェアが通常通りの電力消費動作を行うことになる。また、第2の関連技術では、携帯端末装置がユーザに応答を要求しない場合には省電力モードに移行しない。
【0011】
そこで本発明に関連する第3の関連技術として、ユーザがキー操作を所定時間以上行わないと省電力モードに移行すると共に、省電力モードに移行した状態でキー操作が行われたときには省電力モードに移行する直前の動作モードよりも電力消費が低下した動作モードとすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−29773号公報(第0020段落、図1)
【特許文献2】特開2010−063057号公報(第0008段落、第0029段落、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、第3の関連技術でもユーザが所定時間以上キー操作を行わないことが現実に判明するまで省電力モードに移行しない。したがって、ユーザに急用が発生して携帯端末装置の操作を放り出してしまったような場合の節電対策として第3の関連技術は有効であるが、ユーザができるだけ早く節電モードに移行させたくても、予め用意された省電力モードへの移行時間の中から最短の時間を予め設定しておくしかなかった。
【0014】
ところが、省電力モードへの移行時間をたとえば3分から30秒に短縮する設定を行うと、ユーザが携帯端末装置を使用中に表示内容を見ながら文字等のデータの入力内容を考えている間に省電力モードに移行してしまい、ディスプレイの表示が消えたり暗くなってしまうという不具合か生じることになった。また、第3の関連技術では、省電力モードに一度移行した後にユーザが再度入力操作を開始すると通常モードに復帰するがディスプレイの表示の明るさが以前よりも低下した状態になって電力消費を節減する。このため、ディスプレイの表示が先の通常モードの場合よりも暗くなって入力操作に支障が出る可能性がある。
【0015】
そこで本発明の目的は、ユーザの省電力意識を反映させて省電力モードに移行することのできる携帯端末装置、携帯端末装置の省電力制御方法および携帯端末装置の省電力制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、(イ)機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録する省電力モード移行操作内容登録手段と、(ロ)自装置が通常モードになっているとき、前記した省電力モード移行操作内容登録手段に登録されたユーザの操作内容が発生したことを判別する省電力モード移行操作内容判別手段と、(ハ)この省電力モード移行操作内容判別手段が前記した省電力モード移行操作内容登録手段に登録されたユーザの操作内容が発生したと判別したとき自装置を前記した省電力モードに移行させる省電力モード移行手段とを携帯端末装置が具備する。
【0017】
また、本発明では、(イ)起動時に自装置としての携帯端末装置を機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードで動作を開始させる通常モード動作開始ステップと、(ロ)自装置としての前記した携帯端末装置が通常モードになっているとき、通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録した省電力モード移行操作内容を参照して、この操作内容の発生を判別する省電力モード移行操作内容発生判別ステップと、(ハ)この省電力モード移行操作内容発生判別ステップで前記した省電力モード移行操作内容が発生したと判別したとき自装置としての前記した携帯端末装置を前記した省電力モードに移行させる省電力モード移行手段とを携帯端末装置の省電力制御方法が具備する。
【0018】
更に本発明では、コンピュータに携帯端末装置の省電力制御プログラムとして、(イ)起動時に自装置としての携帯端末装置を機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードで動作を開始させる通常モード動作開始処理と、(ロ)自装置としての前記した携帯端末装置が通常モードになっているとき、通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録した省電力モード移行操作内容を参照して、この操作内容の発生を判別する省電力モード移行操作内容発生判別処理と、(ハ)この省電力モード移行操作内容発生判別処理で前記した省電力モード移行操作内容が発生したと判別したとき自装置としての前記した携帯端末装置を前記した省電力モードに移行させる省電力モード移行処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、携帯端末装置を使用していないときユーザの意思によって直ちに省電力モードに移行させることができ、バッテリの持続時間を延ばすことができる。また、ユーザが電力消費を自主的に節減する意識を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の携帯端末装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明の携帯端末装置の省電力制御方法のクレーム対応図である。
【図3】本発明の携帯端末装置の省電力制御プログラムのクレーム対応図である。
【図4】本発明の実施の形態による携帯端末装置の構成の要部を表わしたブロック図である。
【図5】本実施の形態の省電力モードへの移行に関する設定を行う省電力設定画面の表示内容の一例を示した平面図である。
【図6】本実施の形態における携帯端末装置の通常モードと省電力モードの切替制御の様子を表わした流れ図である。
【図7】第2の関連技術に基づいた携帯端末装置の省電力制御の様子を表わした流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の携帯端末装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の携帯端末装置10は、省電力モード移行操作内容登録手段11と、省電力モード移行操作内容判別手段12と、省電力モード移行手段13を備えている。ここで、省電力モード移行操作内容登録手段11は、機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録する。省電力モード移行操作内容判別手段12は、自装置が通常モードになっているとき、省電力モード移行操作内容登録手段11に登録されたユーザの操作内容が発生したことを判別する。省電力モード移行手段13は、省電力モード移行操作内容判別手段12が省電力モード移行操作内容登録手段11に登録されたユーザの操作内容が発生したと判別したとき自装置を前記した省電力モードに移行させる。
【0022】
図2は、本発明の携帯端末装置の省電力制御方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の携帯端末装置の省電力制御方法20は、通常モード動作開始ステップ21と、省電力モード移行操作内容発生判別ステップ22と、省電力モード移行手段23を備えている。ここで、通常モード動作開始ステップ21では、起動時に自装置としての携帯端末装置を機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードで動作を開始させる。省電力モード移行操作内容発生判別ステップ22では、自装置としての前記した携帯端末装置が通常モードになっているとき、通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録した省電力モード移行操作内容を参照して、この操作内容の発生を判別する。省電力モード移行手段23では、省電力モード移行操作内容発生判別ステップ22で前記した省電力モード移行操作内容が発生したと判別したとき自装置としての前記した携帯端末装置を前記した省電力モードに移行させる。
【0023】
図3は、本発明の携帯端末装置の省電力制御プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の携帯端末装置の省電力制御プログラム30は、コンピュータに、通常モード動作開始処理31と、省電力モード移行操作内容発生判別処理32と、省電力モード移行処理33を実行させるようにしている。ここで、通常モード動作開始処理31では、起動時に自装置としての携帯端末装置を機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードで動作を開始させる。省電力モード移行操作内容発生判別処理32では、自装置としての前記した携帯端末装置が通常モードになっているとき、通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録した省電力モード移行操作内容を参照して、この操作内容の発生を判別する。省電力モード移行処理33では、省電力モード移行操作内容発生判別処理32で前記した省電力モード移行操作内容が発生したと判別したとき自装置としての前記した携帯端末装置を前記した省電力モードに移行させる。
【0024】
<発明の実施の形態>
【0025】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図4は、本発明の実施の形態による携帯端末装置の構成の要部を表わしたものである。本実施の形態の携帯端末装置100は、たとえば一般的なキーボードを具備あるいは表示できる携帯電話機として製品化されるものであり、CPU(Central Processing Unit)101を搭載している。CPU101はバスを介して携帯端末装置100内の次の各部と接続している。
【0027】
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)によって構成されており、その一部の領域に制御プログラムを格納している。CPU101はこの制御プログラムを実行することで、携帯端末装置100の各部を制御する。
【0028】
無線部103は無線によって図示しない無線基地局とデータの送受信を行う。電源制御部104は、バッテリ105から得られる電源を携帯端末装置100の各部に給電する制御を行う。操作部106は、各種のキーやタッチパネルからなり、ユーザの入力操作を受け付ける回路部分である。
【0029】
省電力モード記憶部107は、ユーザが設定した省電力モードを記憶するメモリであり、メモリ102とは別の不揮発性メモリで構成されている。もちろん、メモリ102の一部の領域に構成してもよい。タイマ部108は、省電力制御を行う際の「所定時間」を計時する回路である。ユーザが設定した「所定時間」は、省電力モード記憶部107に記憶される。
【0030】
表示部109は携帯端末装置100を構成する装置本体の前面に配置されており、液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display)によって構成されている。本実施の形態では表示部108がカラー液晶パネルで構成されている。また、カラー液晶パネルにはタッチパネルが取り付けられており、ユーザが指またはペンでこれを押圧すると、その箇所の座標データが入力されるようになっている。
【0031】
図5は、省電力モードへの移行に関する設定を行う省電力設定画面の表示内容の一例を示したものである。ユーザは、図4に示した携帯端末装置100の操作部106から所定の操作を行って、表示部109に省電力設定画面121を表示することができる。図4と共に説明する。
【0032】
省電力設定画面121には、省電力モードへの自動移行に関する設定項目と、省電力モードへの強制移行に関する設定項目が表示されている。また、省電力設定画面121の右上には設定内容を更新する際に押下する更新ボタン122と、省電力設定モードを終了して操作画面を前の画面に戻す際に押下する戻るボタン123が配置されている。
【0033】
省電力モードへの自動移行に関して、ユーザは省電力モードに「移行しない」という選択肢と「移行する」という選択肢のいずれかをラジオボタンで選択することができる。省電力モードに「移行する」という選択肢については、操作部106に対する操作が行われなくなってから省電力モードに移行するまでのタイマ部108の計測する「所定時間」を分単位で数値入力領域124に入力するようになっている。この例ではユーザが操作部106の図示しないテンキーを使用して所望の数値を入力することになるが、予め表示された幾つかの時間の中からラジオボタンでユーザが所望の時間を選択するようにしてもよいし、その他の周知の手法で「所定時間」を入力してもよい。
【0034】
省電力モードへの強制移行とは、ユーザがある操作を行った時点で直ちに省電力モードに移行することをいう。ユーザは省電力モードへの強制移行を可としないとき「移行しない」というラジオボタンを選択する。省電力モードへの強制移行を可とするとき、ユーザは「移行する」というラジオボタンを選択する。
【0035】
省電力モードへの強制移行の設定を行う場合、ユーザは操作部106のキー操作によって省電力モードへの移行を実行するか、操作部106の一部を構成するタッチパネルからの図形入力によってこの移行を実行するかをラジオボタンで選択することができる。キー操作で省電力モードへ強制移行する場合、本実施の形態でユーザはctrl(コントロール)キーと同時に押すキーをキー入力領域125に入力する。ただし、ctrlキーと同時に押すキーとして携帯端末装置100で既に他の処理が規定されているキーを入力しようとしても、入力できないようになっている。たとえばctrlキーと「c」という英字の組み合わせは、コピーを指示するショートカットとして用いられているので、キー入力領域125に「c」という英字を入力することができない。携帯端末装置100によっては他のキーの組み合わせで省電力モードへの強制移行の設定を行ってもよい。もちろん、ユーザがctrlキーと「c」という英字の組み合わせのような既存のコマンドに対応するショートカットを指定した場合には、これを省電力モードへの強制移行のためのコマンドとして優先的に処理するようにしてもよい。
【0036】
タッチパネルに対する図形の入力で省電力モードへの強制移行の設定を行う場合、ユーザは予め用意された2つの図形のいずれかを選択するか、ユーザが設定した任意の図形を登録して使用するかを選択することができる。本実施の形態では、予め用意された2つの図形は○(丸)か、左下から右上に至る斜線である。これらは表示部109を構成する画面の3分の2以上の大きさでユーザがタッチパネルを使用して描くと、その図形に伴う座標の変化がCPU101によって認識された時点で、省電力モードへの移行が直ちに行われる。
【0037】
省電力モードへの強制移行をユーザが設定した任意図形で行う場合、ユーザは開始ボタン126を押してから5秒以内にタッチパネルに所望の図形を一筆書きで入力する。すると、このときのタッチパネルから入力された座標の軌跡が省電力モード記憶部107に登録される。この場合、ユーザが「任意図形」のラジオボタンを選択すると、CPU101は常に「任意図形」で登録された図形と相似形の図形が入力されるかを監視して、その図形が入力された時点で省電力モードへ直ちに移行することになる。
【0038】
ユーザは省電力設定画面121が表示された状態で各種の設定やラジオボタンの選択をいつでも行うことができ、更新ボタン122を押すことでその最新の設定内容を省電力モード記憶部107に上書き(更新)することができる。
【0039】
図6は、携帯端末装置の通常モードと省電力モードの切替制御の様子を表わしたものである。図4および図5と共に説明する。この切替制御は、CPU101がメモリ102に格納された制御プログラムを実行することで実現する。
【0040】
CPU101は、ユーザが操作部106の図示しない電源スイッチを操作することで携帯端末装置100の各部にバッテリ105の電源の供給を開始させると電源制御部104を通常モードに設定する(ステップS201)。ここで通常モードとは、携帯端末装置100の表示部109の照度等の各部が節電状態とは異なった通常の状態で電力消費が行われるモードをいう。
【0041】
CPU101は通常モードに設定した状態で省電力モード記憶部107の内容を読み出して、省電力設定画面121における「省電力モードへの自動移行」の項目が「移行する」に設定されているかをチェックする(ステップS202)。この結果、この項目が「移行しない」に設定されていれば(N)、通常モードが常に設定されることになっているので、ステップS201の処理に戻る。すなわち、通常モードに設定している間、携帯端末装置100は節電モードには移行しない。
【0042】
一方、ステップS202におけるチェックの結果、「省電力モードへの自動移行」の項目が「移行する」に設定されていることを判別した場合(Y)、CPU101はタイマ部108の計時動作を最初から開始させる(ステップS203)。具体的には省電力設定画面121で「移行までの所要時間」として設定した時間をタイマ部108のタイマ回路に設定して計時動作を直ちに開始させる。タイマ回路は、携帯端末装置100の内部クロックを分周したり、図示しない時計回路の計時情報を用いることで実現することができる。
【0043】
CPU101はタイマ部108の計時動作を開始させたら、続いて省電力設定画面121でユーザが「省電力モードへの強制移行」を設定しているかを判別する(ステップS204)。「省電力モードへの強制移行」を設定している場合には(Y)、省電力設定画面121に示すキー操作あるいは図形の入力があって強制移行の条件を満足したかどうかを判別する(ステップS205)。この条件が満足しない間は(N)、ステップS204に処理を戻すことになる。
【0044】
たとえば省電力設定画面121に一例として示したように、ctrlキーと「u」という英字を強制移行のキー操作として指定していたとして、ユーザがこの条件を満足するキー操作を行ったとする(ステップS205:Y)。この場合、CPU101は携帯端末装置100の各部を直ちに省電力モードに移行させて(ステップS206)、予め定めた内容で電力消費を節電する。たとえば、表示部109が液晶ディスプレイで構成されている場合のバックライトの電力消費を節減したり、使用していないアプリケーションプログラムの動作を停止してCPU101の使用率を下げる。
【0045】
省電力モードが実行されている状態で、CPU101はユーザが操作部106を操作したり、着信があった場合のように予め定めたイベントにより割り込みが生じたかをチェックする(ステップS207)。そして、割り込みが生じるまでは(N)、ステップS206に戻って省電力モードを継続する。CPU101に対する割り込みが生じたら(ステップS207:Y)、ステップS201に戻って(リターン)、通常モードに復帰する。
【0046】
一方、ステップS204で強制移行の設定が行われていないとCPU101が判別した場合(N)、省電力モードへの自動移行の制御が行われる。すなわち、CPU101はタイマ部108の計時が所定時間行われて満了する前に(ステップS208:N)、割り込みが検出されるかをチェックする(ステップS209)。そして、タイマ部108の計時が満了するまでに割り込みが検出された場合には(ステップS208:N、ステップS209:Y)、ステップS201に戻って(リターン)、通常モードに復帰する。割り込み処理が行われることなくタイマ部108の計時が所定時間に達した場合には(ステップS209:N、ステップS208:Y)、ステップS206に進んで、その時点でCPU101は携帯端末装置100の各部を省電力モードに移行させて、予め定めた内容で電力消費を節電することになる。
【0047】
以上説明したように本実施の形態によれば、ユーザはバッテリ105の容量が少なくなったような場合でも、ユーザはタッチパネルを含めた操作部106の操作によって簡単に、かつ直ちに携帯端末装置100を省電力モードに移行させることができる。これにより、CPU101の使用率を直ちに下げることができ、携帯端末装置100をシャットダウンしたり休止モードに移行させる場合と比べるとこまめな省電力制御が可能となる。また、携帯端末装置100を通常の動作状態に戻すのも通常モードへ切り替えるだけで直ちに実現できる。このため、携帯端末装置100のバッテリ105による実質的な駆動時間をユーザの意志で簡単に延長することができる。
【0048】
また、省電力モードが表示部109の表示をオフにする制御を伴うものであれば、ユーザはこまめに省電力モードに切り替えることにより、公共交通機関に乗車している場合のように不特定人が周囲にいる環境で情報の漏洩を極力避けることが可能になる。更に、本実施の形態はユーザが意思をもって省電力を心掛ける習慣を育てることに繋がり、家庭や職場での省電力の取り組にも好結果を及ぼすことになる。
【0049】
なお、実施の形態ではキーボードを使用できる携帯電話機としての携帯端末装置を例として挙げたが、たとえば電話機能を持たず電子メールの通信機能を有する携帯端末装置等のその他の携帯端末装置にも本発明を適用することができることは当然である。
【0050】
また、実施の形態ではキー操作で省電力モードに移行する際には複数のキーを同時に押下する操作を行うことにしたが、特別のキーを省電力モードに移行するためのキーとして割り当てるようにしてもよい。この場合には、いわゆるワンタッチキーの操作で携帯端末装置100を省電力モードに移行させることができる。
【0051】
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0052】
(付記1)
機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録する省電力モード移行操作内容登録手段と、
自装置が通常モードになっているとき、前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録されたユーザの操作内容が発生したことを判別する省電力モード移行操作内容判別手段と、
この省電力モード移行操作内容判別手段が前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録されたユーザの操作内容が発生したと判別したとき自装置を前記省電力モードに移行させる省電力モード移行手段
とを具備することを特徴とする携帯端末装置。
【0053】
(付記2)
前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録するユーザの操作内容は、予め定めた操作キーを操作することであることを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0054】
(付記3)
前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録するユーザの操作内容は、タッチパネルに予め定めた図形を描画することであることを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0055】
(付記4)
前記省電力モードに設定されている状態で前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録しているユーザの操作内容以外の操作内容が発生したとき、この操作内容を通常モードに移行するための操作内容として判別する通常モード復帰操作内容判別手段と、
この通常モード復帰操作内容判別手段が通常モードに移行するための操作内容として判別したとき省電力モードから前記通常モードに復帰させる通常モード復帰手段
とを具備することを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0056】
(付記5)
初期状態として自装置を前記通常モードで動作を開始させることを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0057】
(付記6)
前記省電力モード移行操作内容判別手段は、前記タッチパネルに描画する前記予め定めた図形について相似形を含めて判別することを特徴とする付記3記載の携帯端末装置。
【0058】
(付記7)
前記省電力モード移行手段および前記通常モード復帰手段は、割り込み処理でモードの移行を実行することを特徴とする付記4記載の携帯端末装置。
【0059】
(付記8)
起動時に自装置としての携帯端末装置を機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードで動作を開始させる通常モード動作開始ステップと、
自装置としての前記携帯端末装置が通常モードになっているとき、通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録した省電力モード移行操作内容を参照して、この操作内容の発生を判別する省電力モード移行操作内容発生判別ステップと、
この省電力モード移行操作内容発生判別ステップで前記省電力モード移行操作内容が発生したと判別したとき自装置としての前記携帯端末装置を前記省電力モードに移行させる省電力モード移行手段
とを具備することを特徴とする携帯端末装置の省電力制御方法。
【0060】
(付記9)
前記省電力モードに設定されている状態で前記前記省電力モード移行操作内容以外の操作内容が発生したとき、この操作内容を通常モードに移行するための操作内容として判別する通常モード復帰操作内容判別ステップと、
この通常モード復帰操作内容判別ステップで通常モードに移行するための操作内容として判別したとき省電力モードから前記通常モードに復帰させる通常モード復帰ステップ
とを更に具備することを特徴とする付記8記載の携帯端末装置の省電力制御方法。
【0061】
(付記10)
コンピュータに、
起動時に自装置としての携帯端末装置を機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードで動作を開始させる通常モード動作開始処理と、
自装置としての前記携帯端末装置が通常モードになっているとき、通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録した省電力モード移行操作内容を参照して、この操作内容の発生を判別する省電力モード移行操作内容発生判別処理と、
この省電力モード移行操作内容発生判別処理で前記省電力モード移行操作内容が発生したと判別したとき自装置としての前記携帯端末装置を前記省電力モードに移行させる省電力モード移行処理
とを実行させることを特徴とする携帯端末装置の省電力制御プログラム。
【0062】
(付記11)
前記省電力モードに設定されている状態で前記前記省電力モード移行操作内容以外の操作内容が発生したとき、この操作内容を通常モードに移行するための操作内容として判別する通常モード復帰操作内容判別処理と、
この通常モード復帰操作内容判別処理で通常モードに移行するための操作内容として判別したとき省電力モードから前記通常モードに復帰させる通常モード復帰処理
とを更に実行させることを特徴とする付記10記載の携帯端末装置の省電力制御プログラム。
【符号の説明】
【0063】
10、100 携帯端末装置
11 省電力モード移行操作内容登録手段
12 省電力モード移行操作内容判別手段
13 省電力モード移行手段
20 携帯端末装置の省電力制御方法
21 通常モード動作開始ステップ
22 省電力モード移行操作内容発生判別ステップ
23 省電力モード移行ステップ
30 携帯端末装置の省電力制御プログラム
31 通常モード動作開始処理
32 省電力モード移行操作内容発生判別処理
33 省電力モード移行処理
101 CPU
102 メモリ
104 電源制御部
105 バッテリ
106 操作部
107 省電力モード記憶部
108 タイマ部
109 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録する省電力モード移行操作内容登録手段と、
自装置が通常モードになっているとき、前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録されたユーザの操作内容が発生したことを判別する省電力モード移行操作内容判別手段と、
この省電力モード移行操作内容判別手段が前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録されたユーザの操作内容が発生したと判別したとき自装置を前記省電力モードに移行させる省電力モード移行手段
とを具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録するユーザの操作内容は、予め定めた操作キーを操作することであることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録するユーザの操作内容は、タッチパネルに予め定めた図形を描画することであることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記省電力モードに設定されている状態で前記省電力モード移行操作内容登録手段に登録しているユーザの操作内容以外の操作内容が発生したとき、この操作内容を通常モードに移行するための操作内容として判別する通常モード復帰操作内容判別手段と、
この通常モード復帰操作内容判別手段が通常モードに移行するための操作内容として判別したとき省電力モードから前記通常モードに復帰させる通常モード復帰手段
とを具備することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
初期状態として自装置を前記通常モードで動作を開始させることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記省電力モード移行操作内容判別手段は、前記タッチパネルに描画する前記予め定めた図形について相似形を含めて判別することを特徴とする請求項3記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記省電力モード移行手段および前記通常モード復帰手段は、割り込み処理でモードの移行を実行することを特徴とする請求項4記載の携帯端末装置。
【請求項8】
起動時に自装置としての携帯端末装置を機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードで動作を開始させる通常モード動作開始ステップと、
自装置としての前記携帯端末装置が通常モードになっているとき、通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録した省電力モード移行操作内容を参照して、この操作内容の発生を判別する省電力モード移行操作内容発生判別ステップと、
この省電力モード移行操作内容発生判別ステップで前記省電力モード移行操作内容が発生したと判別したとき自装置としての前記携帯端末装置を前記省電力モードに移行させる省電力モード移行手段
とを具備することを特徴とする携帯端末装置の省電力制御方法。
【請求項9】
前記省電力モードに設定されている状態で前記前記省電力モード移行操作内容以外の操作内容が発生したとき、この操作内容を通常モードに移行するための操作内容として判別する通常モード復帰操作内容判別ステップと、
この通常モード復帰操作内容判別ステップで通常モードに移行するための操作内容として判別したとき省電力モードから前記通常モードに復帰させる通常モード復帰ステップ
とを更に具備することを特徴とする請求項8記載の携帯端末装置の省電力制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
起動時に自装置としての携帯端末装置を機器としての通常の電力消費を行うモードとしての通常動作モードで動作を開始させる通常モード動作開始処理と、
自装置としての前記携帯端末装置が通常モードになっているとき、通常動作モードから電力消費の低減された特別のモードとしての省電力モードに移行する際に必要とするユーザの操作内容を登録した省電力モード移行操作内容を参照して、この操作内容の発生を判別する省電力モード移行操作内容発生判別処理と、
この省電力モード移行操作内容発生判別処理で前記省電力モード移行操作内容が発生したと判別したとき自装置としての前記携帯端末装置を前記省電力モードに移行させる省電力モード移行処理
とを実行させることを特徴とする携帯端末装置の省電力制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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