説明

携帯端末装置

【課題】従来のストレート型携帯端末装置は上下方向からの押圧に対する機械的強度を確保するため上下筐体を厚くする必要があり、薄型化することが困難であった。
【解決手段】ストレート型携帯端末において、表示素子の保護パネルを携帯端末装置と同程度のサイズに拡大し、フレキ基板からなるキーとキーシートを保護パネル上の表示部に隣接した位置に配置する。これにより、上筐体がなくても上からの押圧に強く、小型で薄型な携帯端末装置が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型の携帯電話や携帯端末の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯端末装置の薄型化が進み、使用される表示素子(ディスプレイ)やバッテリなどの構成部品の薄型化が益々求められているが、一方で携帯端末の機械的強度を高めることも益々重要になってきている。
【0003】
図8と図9は従来のストレート型の携帯端末装置の構造の一例である。携帯端末装置の筐体は上筐体18と下筐体19からなり、表示素子2、保護パネル1、回路基板6、操作用キーフレキ基板4、バッテリ8などが図のように収容されている。
【0004】
保護パネル1は表示素子2の前面を保護するものである。さらに、上筐体と下筐体を厚くて硬い材料で構成することで機械的強度を確保し、内部部品の表示素子2や回路基板6に外力が加わりにくいようになっている。
【0005】
また、カード型携帯端末装置として、リードフレームのモールド成形をしたものを補強フレームとしたカード型端末装置構造が提案されている。(例えば特許文献1)
また、キーを押したときの力に対抗するため、キーの下に補強用スペーサを挟む方法が提案されている。(例えば特許文献2)
また、表示素子とキーと回路基板をフレキ基板で接続することにより、各部品の段差を吸収することで薄型のストレート型端末が実現できる。(例えば参考文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−163653号公報
【特許文献2】特開2003−229938号公報
【特許文献3】特許第4190967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の一般的なストレート型携帯端末装置の押圧等に対する機械的強度は、上筐体と下筐体で確保されている。筐体を薄くすると筐体強度が低下するため、端末装置の薄型化には限界がある。
【0008】
また、ストレート型携帯端末は、表示素子とキーが隣接して配置されていて、表示素子とキーの間に隙間ができることから、その境界部分へ上部から外力が加わると携帯端末装置の筐体の中心部に応力が集中する。
【0009】
従って、ストレート型携帯端末の上下筐体は中央部への押し圧に対して強固なものにする必要がある。
【0010】
特に、上筐体は表示素子とキーのために大きな開口部があるため、薄型化したときに強度確保が困難となり、下筐体の厚さを大きくするか、または補強用部品を追加することが必要となり薄型化できなかった。
【0011】
また、上述の特許文献1のカード型端末装置は、リードフレームの回路基板をモールド成形により強化したものであるが、弾力性がある樹脂材料であることから強度確保には限界がある。外力が加わると基板がたわみ、例えばガラスからなる表示素子等に応力が集中してしまうからである。
【0012】
一方、上述の特許文献2の方法では、補強用スペーサがキーの押圧に対抗する台座として機能し携帯端末装置の強度を向上させるが、補強用スペーサの厚さにより従来よりも端末が厚くなってしまう。
【0013】
また、上述の特許文献3の方法では、部品配置の薄型化には適しているが携帯端末装置の上下方向からの押圧に対する機械的強度を確保するために、上筐体と下筐体を厚くする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
次に、上記の課題を解決するための手段について述べる。
【0015】
本発明の携帯端末装置は、表示素子と、保護パネルと、フレキケーブルを有するフレキ基板からなるキーと、キーシートと、フレームを有する携帯端末装置において、前記保護パネルが前記フレームとほぼ同等のサイズを有し、前記フレームは、フレーム外周の内側に第一段差を有し、前記保護パネルが前記第一段差上に固定され、前記保護パネルは透明領域を有し、前記保護パネルの前記透明領域の下部に前記表示素子が配置され、前記保護パネル面上でかつ前記表示素子の表示領域の外側に前記キーを配置し、前記キーの上に前記キーシートを配置し、前記フレーム外周部の厚さが前記キーシートの最上部の厚さと同等またはそれよりも大きいことを特徴とする携帯端末装置である。
【0016】
さらに、本発明の携帯端末装置は、前記キーシートが前記保護パネルとほぼ同等のサイズを有し、前記キーシートの中で前記表示エリアに重なる部分が透明であるか、または、前記保護パネルの前記表示領域の厚さが、前記保護パネルの前記キーの厚さよりも厚くなっている。
【0017】
さらに、本発明の携帯端末装置は、前記フレームの前記第一段差の外側に第二段差を有し、前記キーシートの一部が前記第二段差の上に固定され、前記第二段差と前記保護パネルの間に隙間を有し、前記フレキケーブルが前記隙間を通って、前記保護パネルの下部の電気回路と接続されている。
【0018】
さらに、前記第二段差が前記フレーム外周部の全周に存在し、前記キーシートの外周が前記第二段差に固定され、前記キーシートの外周と前記第二段差が防水樹脂で固定されている。
【0019】
また、本発明の携帯端末装置は、第二段差は有しない構造で前記第一段差のみが前記フレーム外周部の全周に存在し、前記保護パネルの外周が前記第一段差と防水樹脂で固定され、前記保護パネルに穴を有し、前記フレキケーブルが前記穴を通って前記保護パネルの下部の前記電気回路と接続され、前記キーシートの外周が前記穴の外側の前記保護パネル上に防水樹脂で固定されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ストレート型携帯端末装置において、表示素子の保護パネルを携帯端末装置と同程度のサイズに拡大し、フレキ基板からなるキー及びキーシートを保護パネル上の表示部に隣接した場所に配置することで、上からの押圧に強く小型で薄型な携帯端末装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の構造図
【図2】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の斜視構造図
【図3】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の概略断面図と平面図
【図4】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の別の例の構造図
【図5】本発明の実施の形態2の携帯端末装置の構造図
【図6】本発明の実施の形態2の携帯端末装置の概略断面図と平面図
【図7】本発明の実施の形態3の携帯端末装置の概略断面図と平面図
【図8】従来のストレート型携帯端末装置の斜視図
【図9】従来のストレート型携帯端末装置の概略構造図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態のストレート型携帯端末装置の概略断面図と平面図である。
【0023】
以下、本実施の形態1ではストレート型携帯端末装置に適用した場合を例に説明するが、その他、ポータブルなカーナビゲーションやテレビなど、表示素子と操作キーが同一筐体上にある薄型装置に適用した場合も同様である。
【0024】
本実施の形態の携帯端末装置は、保護パネル1、表示素子2、キーシート3、キーフレキ基板4、フレーム5、回路基板6、下カバー7、バッテリ8などを有する。
【0025】
図1には各部品の配置を示す。保護パネル1とフレーム5と下カバー7で形成される閉空間に、表示素子2、回路基板6、バッテリ8が収容されている。表示素子2の保護をするための保護パネル1は、通常表示素子2とほぼ同等のサイズであるが、本発明の保護パネルは携帯端末装置のサイズ、すなわちフレーム5と同等の大きなものとする。これにより、従来の上筐体が不要になる。保護パネル1は、表示素子2を保護するだけでなく携帯端末全体の補強部材としての機能も有する。保護パネル1はアクリル材料または強化ガラス材料等からなる透明材料であり、強度を確保するため厚さは少なくとも約0.6mm以上である。
【0026】
次に、保護パネル面上でかつ表示素子2の表示領域9の外側にキーフレキ基板4を配置し、さらにその上にキーシート3をのせる。
【0027】
図1に示すように、フレーム5の厚さはキーシート3部分の厚さとほぼ同じか、少し厚くなるように設計する。これにより、キーが不本意に押されることを抑制できる。
【0028】
図2は本実施の形態1の携帯端末装置の斜視図を示す。キーフレキ基板4にはフレキケーブル11がついており、保護パネル1の下にある電気回路へと接続される。具体的な接続方法については後述する。
【0029】
図3は本実施の形態1の携帯端末装置の概略断面構造図と平面図である。なお、保護パネル下の表示素子2以外の部品や下筐体等は図示を省略している。
【0030】
フレーム5には第一段差12が存在し、保護パネル1の外周はこの第一段差12上に固定する。また、フレーム5の一辺の第一段差12のさらに外側には第二段差13が存在する。
【0031】
図示のように保護パネル1の一辺に第一の窪み14を形成することにより、保護パネル1とフレーム5の第二段差13の間に隙間ができる。さらに、第一段差の一部に図3のように第二の窪み15を設ける。これにより、キーフレキ基板4のフレキケーブル11が第一の窪み14と第二の窪み15でできた隙間を通って保護パネル下部の電気回路と接続できる。
【0032】
なお、第一の窪み14は保護パネル1の代わりに第二段差側に設けても構わない。
【0033】
キーフレキ基板4を保護パネル上に固定したのち、その上にキーシート3を載せ、キーシート3の外周を保護パネル上に固定する。さらに、保護パネル1の上面と第二段差13の底面はほぼ同じ高さになるようにし、キーシートの一辺は第二段差12に重なるように配置して固定する。
【0034】
これにより、フレキケーブル12を通した隙間を塞ぐことができ、ゴミ等の混入を防止することができる。
【0035】
なお、図4は保護パネルの表示領域の部分の厚さを厚くした例であり、キーシート3と保護パネルの段差をなくすことが可能となる。
【0036】
次に、本実施の形態1により携帯端末装置が従来に比べて薄型化できる理由を説明する。
【0037】
図9には従来の携帯端末装置の断面図を示す。横に並べて配置された表示素子とキーの境界部分へ上部から外力(図9の矢印)が加わると携帯端末装置の筐体の中心部に応力が集中しやすい。上筐体18は表示素子やキーのための開口部分の面積が非常に大きいので、上筐体の上面の厚さのみで強度を確保することができない。そこで、従来は上筐体の枠の高さ(厚さ)を大きくすることで曲げに対する強度を確保していた。
【0038】
従来の携帯端末の構成部品である、表示素子や回路基板やキーは1mm以下にすることは可能であるが、従来のバッテリ8の厚さは約3.5mm以上あり、携帯端末の薄型化にとって大きな制限要因となっていた。そのため、現状のストレート型携帯端末装置の厚さを約8〜10mm以下にすることは困難であった。
【0039】
従って、筐体の厚さが約8〜10mm以上になることが多く、上筐体の枠の高さを4〜5mm程度にすることで上筐体の曲げに対する強度が確保できていた。
【0040】
しかし、今後バッテリの高性能化が進み、厚さが約3.5mmよりも小さくなった場合(例えば2mm)には、筐体を薄くすることはできても、筐体の枠の高さが小さくなることで筐体の曲げ強度を確保することができなくなる。従って、バッテリが薄型化できても、従来のままではストレート型携帯端末装置を薄型化できない。
【0041】
これに対して、本実施の形態1の携帯端末装置の保護パネルは筐体全面に広がっているため、筐体曲げに対して対抗する力を有する。従来の開口部の面積が大きい上筐体に比べて曲げ強度が強い。
【0042】
従って、バッテリが薄くなったとしても従来のような上下筐体の枠の厚さで曲げ強度を確保する必要がない。
【0043】
また、本実施の形態1の携帯端末装置のキーシートが保護パネルの上部に配置されていることから、従来に比べてキーシートの厚さ分だけ、携帯端末の厚さが増加する。しかし、キーシートは曲げ強度を必要としないことから軟らかく薄い樹脂系材料を用いて、約0.5mm以下の薄型化が可能であり、本実施の形態1の携帯端末装置の保護パネル拡大による薄型化の効果(約1.5mm)に比べて小さい。
【0044】
以上により、本実施の形態1の携帯端末装置は曲げ強度を確保しながら従来よりも薄型化が可能である。
【0045】
次に、本携帯端末装置が従来に比べて小型化できる理由について説明する。
【0046】
表示素子2の表示領域9以外の非表示領域部分には電気配線や表示素子のドライバ部品等が存在する。図9の従来の携帯端末は表示素子とキー部品は横に並べて配置されていたため、その非表示領域部分を小さくすることができず携帯端末のサイズを大きくする要因になっていた。
【0047】
しかし、図1に示すように、本実施の形態ではキーおよびキーシートの一部が非表示領域10で重なるように保護パネルの上部に配置することで、携帯端末装置の面積が縮小できる。
【0048】
すなわち、本実施の形態1の携帯端末装置により、従来の表示素子の表示領域のサイズを変えずに小型化が実現できる。
(実施の形態2)
図5は本実施の形態2の携帯端末装置の断面構造図と平面図を示す。実施の形態1と異なる点はキーシート3が表示素子1の上部まで全て覆っている点である。これにより、キーシートと保護パネルの段差を無くすことができる。なお、キーシートの表示領域の部分は透明にする必要がある。
【0049】
図6は概略断面図と平面図を示す。フレーム5は実施の形態1と同様に、第一段差と第二段差からなるが、本実施の形態では第二段差がフレーム外周部の全周に存在する点が実施の形態1と異なる。ここで、第二段差13とキーシート3を防水樹脂で固定することにより、防水構造が実現できる。
【0050】
なお、その他の構造と効果については実施の形態1と同様のため説明を省略する。
(実施の形態3)
図7は本実施の形態3の携帯端末装置の概略断面構造図を示す。
【0051】
以下、実施の形態1、2と異なる点のみ説明する。
【0052】
キーシートは実施の形態1と同様、非表示領域10の部分までは重なっているが表示領域9の部分までは重なっていない。
【0053】
図示のように保護パネル1の中に穴17を空け、キーフレキ基板4のフレキケーブル11を通し内部の電気回路と接続できるようにした。これにより、フレーム5には第二段差が不要となり構造が単純になる。第一段差12と保護パネル1を防水樹脂16で固定したのち、保護パネル1とシートキー3の外周を防水樹脂16で固定することにより、防水構造が実現できる。
【0054】
なお、その他の構造と効果については実施の形態1と同様のため説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は薄型なストレート型携帯端末装置として有用であり、テレビ、携帯電話、携帯端末、カーナビゲーション、等々の様々な電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 保護パネル
2 表示素子
3 キーシート
4 キーフレキ基板
5 フレーム
6 回路基板
7 下カバー
8 バッテリ
9 表示領域
10 非表示領域
11 フレキケーブル
12 第一段差
13 第二段差
14 第一の窪み
15 第二の窪み
16 防水テープ
17 穴
18 上筐体
19 下筐体
20 台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子と、保護パネルと、フレキケーブルを有するフレキ基板からなるキーと、キーシートと、フレームを有する携帯端末装置において、
前記保護パネルが前記フレームとほぼ同等のサイズを有し、
前記フレームは、フレーム外周の内側に第一段差を有し、
前記保護パネルが前記第一段差上に固定され、
前記保護パネルは透明領域を有し、
前記保護パネルの前記透明領域の下部に前記表示素子が配置され、前記保護パネル面上でかつ前記表示素子の表示領域の外側に前記キーを配置し、前記キーの上に前記キーシートを配置し、
前記フレーム外周部の厚さが前記キーシートの最上部の厚さと同等またはそれよりも大きいことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記キーシートの下部に前記表示素子の一部が重なっていることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記表示領域における前記保護パネルの厚さが前記キーシートの下部における前記保護パネルの厚さに比べて厚いことを特徴とする請求項1または2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記キーシートが前記保護パネルとほぼ同等のサイズを有し、前記キーシートの中で前記表示エリアに重なる部分が透明であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記保護パネルがアクリルまたはガラスからなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記フレームの前記第一段差の外側に第二段差を有し、前記キーシートの一部が前記第二段差の上に固定され、
前記第二段差と前記保護パネルの間に隙間を有し、前記フレキケーブルが前記隙間を通って、前記保護パネルの下部の電気回路と接続されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記第二段差が前記フレーム外周部の全周に存在し、前記キーシートの外周が前記第二段差に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記キーシートの外周と前記第二段差が防水樹脂で固定されていることを特徴とする請求項7記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記第一段差が前記フレーム外周部の全周に存在し、前記保護パネルの外周が前記第一段差と防水樹脂で固定され、
前記保護パネルに穴を有し、前記フレキケーブルが前記穴を通って前記保護パネルの下部の前記電気回路と接続され、
前記キーシートの外周が前記穴の外側の前記保護パネル上に防水樹脂で固定されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−109289(P2011−109289A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260591(P2009−260591)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】