説明

携帯端末貼付シート

【課題】携帯電話機50の液晶表示装置53が設けられている上部筐体51正面に美しく貼り付けることができ、かつ、覗き見防止以外の機能も付加した貼付シート1を提供し、利用者の満足度を向上させる。
【解決手段】携帯電話機50の液晶表示装置53が設けられている側の上部筐体51正面に貼り付けて使用される貼付シート1に、前記液晶表示装置53に重ね合わせられる覗き見防止部3と、該覗き見防止部3の周囲を囲繞する電磁波防止部4とを備えた。そして、前記覗き見防止部3は、前記液晶表示装置53の外形サイズL1より小さく、かつ、該液晶表示装置53の表示領域L4と同一かそれより大きく構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機などの携帯端末の筐体に貼り付けて用いるような携帯端末貼付シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末貼付シートの一種として、携帯電話機の表示画面などに貼り付けられ、覗き見を防止する覗き見防止フィルムが提案されている(特許文献1、2、3参照)。
【0003】
このような覗き見防止フィルムは、フィルムに対して直角の方向の光を通過許容し、斜め方向の光は通過させない性質を有している。従って、覗き見防止フィルムを表示画面に貼り付けると、正面から真っ直ぐに表示画面を見る利用者は表示内容を見ることができ、横や上から斜めに覗き込む他人は表示内容を見ることができない。この覗き見防止フィルムを利用することで、利用者は、表示画面に表示しているメール文章などを他人に覗き見されないようにしてプライバシーを保護している。
【0004】
ここで、携帯電話機の筐体正面のうち、表示画面が設けられている部分は一部である。そして、近年の携帯電話機は、洗練されたデザインを有しており、表示画面の部分とその周囲部分との間に段差が生じないように、透明の樹脂板で正面全面を覆っているようなものも提供されてきている。
【0005】
このため、表示画面の部分に覗き見防止フィルムを貼り付けると、段差のないように構成された正面の樹脂板に段差が生じてしまい、見栄えが悪くなるという問題点がある。
また、覗き見防止フィルムは、覗き見を防止できる以外の機能を有していないため、例えば電磁波を防止する等の他の機能を求める場合、別途の方法にて行う必要がある。
【特許文献1】特開2004−264796号公報
【特許文献2】特開2006−168335号公報
【特許文献3】特開2006−192872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑み、携帯端末の表示画面が設けられている正面に美しく貼り付けることができ、かつ、覗き見防止以外の機能も付加した携帯端末貼付シートを提供し、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、携帯端末の表示画面部が設けられている側の筐体に貼り付けて使用される携帯端末貼付シートであって、前記表示画面部に重ね合わせられる覗き見防止部と、該覗き見防止シートの周囲を囲繞する電磁波防止部とを備えた携帯端末貼付シートであることを特徴とする。
【0008】
好ましい態様として、前記覗き見防止部は、前記表示画面部に設けられている表示装置の全体領域より小さく、かつ、該表示装置の有効表示領域と同一かそれより大きく構成されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明により、携帯端末の表示画面が設けられている正面に美しく貼り付けることができ、かつ、覗き見防止以外の機能も付加した携帯端末貼付シートを提供し、利用者の満足度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は、携帯電話機50と貼付シート1,7の外観を示す斜視図である。
携帯電話機50は、上部筐体51と下部筐体61とがヒンジ59で折りたたみ可能に接続されている。
上部筐体51は、不透明の樹脂で形成されている。この上部筐体51は、折りたたみ内面側となる正面に、液晶表示装置53用の投光部51aと、この投光部51を囲む枠状の不透明部51bが設けられている。この投光部51aは、上部筐体51に形成された窓孔である。投光部51aと不透明部51bの表面には、全体を覆うようにして、透明のアクリル板58が設けられている。このアクリル板58および不透明部51bには、投光部51aより上方位置に、スピーカ孔52が設けられている。
【0011】
投光部51aの装置内側には、液晶表示装置53が重ねられている。この液晶表示装置53は、画素表示部34aの表示領域L4が投光部51aの投光領域L2より小さく、かつ、前面ガラス基板31の外形サイズL1が投光部51aの投光領域L2より大きいサイズに構成されている。
下部筐体61は、折りたたみ内面側となる正面61aに、複数の入力キー62と、1つのマイク孔64が設けられている。
【0012】
このように外観が構成されている携帯電話機50の内部には、液晶表示装置53だけでなく、各種制御を行う制御部、情報を記憶する記憶部、入力キー62の入力を検知する入力部、音声を出力するスピーカー、音声を集音するマイク、および無線通話や無線データ通信を行う無線通信部などが設けられている。
【0013】
貼付シート1は、携帯電話機50の正面と同じ大きさのシートで形成されている。携帯電話機50のスピーカ孔52に対応する位置には、スピーカ孔2が設けられている。また、携帯電話機50の投光部51aに対応する位置には、覗き見防止部3が設けられ、それ以外の部分に電磁波防止部4が設けられている。
【0014】
貼付シート7は、携帯電話機50の正面61aと同じ大きさのシートで形成されている。この貼付シート7は、塩ビやPET等の透明素材で形成される基材シートと、前述した電磁波防止フィルム12と同一素材の電磁波防止フィルムとが重ね合わせて構成されている。これにより、貼付シート7は、全面に電磁波防止部7aが設けられている。また、この貼付シート7は、携帯電話機50の入力キー62に対応する位置に、当該入力キー62の機能を示す印刷表示8が印刷されている。また、貼付シート7は、携帯電話機50のマイク孔64に対応する位置に、マイク孔9が設けられている。貼付シート7の基材シートは、印刷表示8部分が押下されると入力キー62を押下できるように、柔軟性のある素材で構成されている。
【0015】
図2は、携帯電話機50に設けられている液晶表示装置53と貼付シート1の構成を示す縦断面図である。
貼付シート1は、基材シート11に、電磁波防止フィルム12と覗き見防止フィルム13と粘着層14がこの順で重なっている状態に接着されて一体化されている。この接着は、接着剤によって行う、融着によって行う、あるいは塗装によってフィルム状に形成するなど、適宜の方法によって剥がれないように固定すればよい。また、電磁波防止フィルム12と覗き見防止フィルム13は、フィルム素材とすることに限らず、それぞれ電磁波防止機能を発揮する電磁波防止層、または覗き見防止機能を発揮する覗き見防止層で構成すればよい。
【0016】
基材シート11は、塩ビあるいはPET等の透明素材によりシート状に形成されている。
電磁波防止フィルム12は、電磁波を遮断する通信波遮断部材で形成されている。具体的には、アルミ、銅、または銀といった金属、あるいは炭素または珪素といった吸収剤が樹脂に含有された部材で形成されている。この電磁波防止フィルム12は、電磁波の通過を遮断あるいは抑制する機能を有する。
【0017】
電磁波防止フィルム12は、基材シート11と同じ大きさの外形を有しており、内側に窓孔12aが形成されている。この窓孔12aの孔サイズL3は、投光部51aの投光領域L2より小さく、液晶表示装置53の画素表示部34aの表示領域L4より大きいサイズに形成されている。なお、窓孔12aの孔サイズL3は、液晶表示装置53の画素表示部34aの表示領域L4と同一のサイズに形成してもよい。
【0018】
覗き見防止フィルム13は、フィルムの面に対して直角に見ると透光して向こう側を見ることができ、フィルムの面に対して斜めに見ると遮光されて(若しくは発色して)向こう側を見ることができない(あるいは視認しづらくなる)フィルムで構成されている。具体的には、微細な凹凸が設けられているフィルム、多層構造で内部反射光の干渉により発色機能を有する透光性樹脂フィルム、あるいは、斜めからの光を遮断する偏光フィルタなど、適宜のフィルムで構成することができる。
この覗き見防止フィルム13は、基材シート11と同じ大きさに形成されている。
【0019】
粘着層14は、覗き見防止フィルム13の表面(基材シート11と反対側の面)に粘着材が塗布されて形成されている。なお、粘着層14の上には、剥離紙を貼り付けておくとよい。これにより、利用者は剥離紙から貼付シート1を剥がして使用することができる。
【0020】
液晶表示装置53は、前面ガラス基板31、カラーフィルタ32、液晶層33、TFTアレイ34、および背面ガラス基板35がこの順で積層されて構成されている。なお、この液晶表示装置53は周知のものであるから、液晶表示装置53に設けられる偏光フィルタ、配向膜、および液晶表示装置53の背面に設けられるバックライト等については省略して説明する。
【0021】
この液晶表示装置53は、最前面に設けられている前面ガラス基板31の大きさに対して、TFTアレイ34にて画素を表示する画素表示部34aが一回り小さく構成されている。従って、液晶表示装置53の全体サイズ(前面ガラス基板31のサイズ)に対して画素表示部34aは小さくなっている。
【0022】
以上の構成の貼付シート1を携帯電話機50に貼り付けることで、電磁波防止機能と覗き見防止機能の両方を得ることができる。
まず、電磁波防止機能について説明すると、携帯電話機50の無線通信アンテナから送信される電磁波は、上部筐体51の正面側に設けられている液晶表示装置53と貼付シート1の電磁波防止フィルム12によって遮断される。つまり、電磁波防止フィルム12には窓孔12aが設けられているが、この窓孔12a部分には、窓孔12aよりも一回り大きい液晶表示装置53が配置されている。従って、窓孔12aと液晶表示装置53の隙間から電磁波が漏れるといったことを防止できる。
【0023】
これにより、携帯電話機50のスピーカ孔52を耳に当てて通話する利用者は、携帯電話機50内部の無線通信アンテナが発する電磁波から、液晶表示装置53と電磁波防止フィルム12によって確実に守られる。
【0024】
また、覗き見防止機能について説明すると、貼付シート1には、液晶表示装置53の画素表示部34aよりも一回り大きい覗き見防止フィルム13が設けられている。ここで、正面から見る利用者は、図3(A)に示すように、画素表示部34aに表示されている内容を見ることができる。しかし、図3(B)に示すように、斜めに覗き見しようとする他人に対しては、覗き見防止フィルム13が画素表示部34a全体に被さっているため、画素表示部34a全体を見えないようにすることができる。
【0025】
そして、このように貼付シート1は、上部筐体51の正面と同じ大きさに形成されており、しかも最上面全体が基材シート11で覆われているため、上部筐体51の正面に貼り付けても凹凸のない美しい美観を提供することができる。特に、全体を覆う基材シート11が電磁波防止フィルム12および覗き見防止フィルム13よりも肉厚であるため、電磁波防止フィルム12の窓孔12aによる段差等を利用者に殆ど感じさせない状態にすることができる。
【0026】
また、基材シート11と電磁波防止フィルム12と覗き見防止フィルム13の外形サイズを同一にしたため、貼付シート1に不要な段差が生じることを防止でき、美しい外観にすることができる。
【0027】
また、表面となる基材シート11側に電磁波防止フィルム12を配置し、その裏側に覗き見防止フィルム13を配置しているため、図3(B)に示すように、覗き見防止部3のみを斜めから見えないようにすることができる。従って、電磁波防止部4については、電磁波防止フィルム12より前面側に描かれたプリント表示などがあった場合、利用者はこのプリント表示を斜めからでも視認できる。
【0028】
なお、図4の実施例2の断面図に示すように、貼付シート1は、電磁波防止フィルム12と覗き見防止フィルム13の重ねる順序を逆にして構成してもよい。この場合、図5(A)に示すように、真正面から見る利用者は画素表示部34aに表示されている内容を視認することができ、図5(B)に示すように、斜めから見る他人は画素表示部34aの表示内容も含めて上部筐体51の正面全体を視認できないようにできる。特に、覗き見防止フィルム13を、液晶表示装置53の消灯時に鏡として機能するフィルムで構成した場合、画素表示部34aよりも広い上部筐体51の正面全体を鏡とすることができ、上部筐体51の正面全体を有効活用することができる。
【0029】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の携帯端末貼付シートは、実施形態の貼付シート1に対応し、
以下同様に、
携帯端末は、携帯電話機50に対応し、
筐体は、上部筐体51に対応し、
表示画面部は、液晶表示装置53に対応し、
全体領域は、外形サイズL1に対応し、
有効表示領域は、表示領域L4に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】携帯電話機と貼付シートの外観を示す斜視図。
【図2】液晶表示装置と貼付シートの構成を示す縦断面図。
【図3】覗き見防止効果の説明図。
【図4】実施例2の貼付シートの構成を示す縦断面図。
【図5】実施例2の覗き見防止効果の説明図。
【符号の説明】
【0031】
1…貼付シート、3…覗き見防止部、4…電磁波防止部、11…基材シート、12…電磁波防止フィルム、12a…窓孔、13…覗き見防止フィルム、50…携帯電話機、51…上部筐体、53…液晶表示装置、L1…外形サイズ、L4…表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末の表示画面部が設けられている側の筐体に貼り付けて使用される携帯端末貼付シートであって、
前記表示画面部に重ね合わせられる覗き見防止部と、
該覗き見防止シートの周囲を囲繞する電磁波防止部とを備えた
携帯端末貼付シート。
【請求項2】
前記覗き見防止部は、前記表示画面部に設けられている表示装置の全体領域より小さく、かつ、該表示装置の有効表示領域と同一かそれより大きく構成されている
請求項1記載の携帯端末貼付シート。
【請求項3】
前記覗き見防止部を、覗き見防止フィルムで構成し、
前記電磁波防止部を、電磁波防止フィルムで構成し、
前記筐体の表面と同程度の大きさを有する基材シートを備え、
該基材シートに、前記覗き見防止フィルムと前記電磁波防止フィルムが重ね合わせられて一体的に構成された
請求項1または2記載の携帯端末貼付シート。
【請求項4】
前記覗き見防止フィルムを、前記基材シートと同一の大きさに形成し、
前記覗き見防止部を、前記電磁波防止フィルムに設けられた窓孔によって構成する
請求項3記載の携帯端末貼付シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−219308(P2008−219308A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52156(P2007−52156)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(597120972)オリエント測器コンピュータ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】