説明

携帯端末

【課題】 新たな筐体機能面を生み出すことができ、それにより端末のより多機能化と高性能化を実現可能とする。
【解決手段】
4軸ヒンジ5は、互いに平行な回転軸を有する第1〜第4の四つのヒンジ部5A〜5Dを正方形状に配置して一体形成されている。また、それら第1〜第4ヒンジ部5A〜5Dの回転軸は、当該4軸ヒンジ5の中心点対称で、それぞれ独立に90度の可動範囲を有している。そして、第1ヒンジ部5Aには第1筐体1が連結され、第2ヒンジ部5Bには第2筐体2が、第3ヒンジ部5Cには第3筐体3が、第4ヒンジ部5Dには第4筐体4が連結されており、それら各筐体1〜4は、4軸ヒンジ5の内部空間スペースを通して電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ機構により端末自体の外観形状を変更可能となされた携帯電話端末等に好適な携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話端末には、いわゆるストレート型、折り畳み型、360度回転型、スライド型などの様々なタイプが存在している。
【0003】
上記ストレート型の携帯電話端末の場合、その筐体には表裏二つの筐体主面が存在している。なお、それら筐体主面には、例えば表示部やキー操作部、スピーカやマイクロホンなど、当該携帯電話端末における様々な機能を実現するためのデバイスが搭載されている。以下、それら様々な機能を実現するためのデバイスが搭載される筐体主面を、筐体機能面と表記する。
【0004】
一方で、上記折り畳み型や360度回転型、スライド型の各携帯電話端末の場合は、二つの筐体がヒンジ機構或いはスライド機構を介して連結されているため、それらの携帯電話端末の筐体機能面は、上記二つの筐体について各々表裏二面で合計四面となる。このように、上記折り畳み型や360度回転型、スライド型の各携帯電話端末は、合計四面の筐体機能面を備えているため、筐体機能面が二面のみとなる上記ストレート型の携帯電話端末に比べて、各種機能を搭載する上での制約が少なくなっている。
【0005】
また、上記折り畳み型,360度回転型,スライド型の各携帯電話端末は、ヒンジ機構やスライド機構によって端末自体の外観形状を変化させること、すなわち例えば、折り畳み型の場合は端末を閉じた状態や開いた状態、360度回転型の場合は端末を重ねた状態と開いた状態、スライド型の場合は端末を延ばした状態と縮めた状態などのように、それぞれ外観形状が変更可能となされているため、それら外観形状を変化させることによって、異なる使用スタイル(つまりそれぞれ異なる各機能)を上手く切り分けることができることになる。
【0006】
その他、特開2002−198849号の公開特許公報(特許文献1)には、表示部側筐体を回転させるための第1の回転部と、操作部側筐体を回転させるための第2の回転部と、第1,第2の回転部のそれぞれが回転する際の軸線を含む所定部分を連結する連結部とを備えた折り畳み式携帯電話機が開示されている。すなわち、この公開特許公報には、軸線が互いに平行に設定された第1,第2の回転部(つまり2軸ヒンジ機構)を備えることで、外観がいびつにならず、表示部側筐体と操作部側筐体とを連結する部分の強度を保ちつつ、折り畳まれた場合でも表示部を見ることが出来るようにした、折り畳み式携帯電話機が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−198849号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年の携帯電話端末は、基本的な通話機能や電子メール機能だけではなく、音楽プレーヤ機能や高画素ディジタルカメラ機能、テレビジョン放送受信及び視聴機能など、様々な機能が搭載されている。また、今後も市場のニーズに応じた様々な機能が携帯電話端末に搭載されることが期待されている。
【0009】
その一方で、小型,軽量,シンプルな携帯電話端末も求められており、それら両方のニーズを満足させることが求められている。
【0010】
しかしながら、従来の携帯電話端末では筐体機能面に限りがあり、そのことが、新たな機能を搭載する上での大きな制約となっている。すなわち、折り畳み型,360度回転型,スライド型のみならず、特開2002−198849号の公開特許公報に記載された2軸ヒンジ機構を備えた携帯電話端末であっても、前述したように四つの筐体機能面に加えて新たに筐体機能面を生み出すことはできず、したがって、今後の市場ニーズに応じた新たな機能を搭載することが非常に難しくなっている。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、新たな筐体機能面を生み出すことができ、それにより端末のより多機能化と高性能化を実現可能とする携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の携帯端末は、互いに平行な回転軸を有する3以上の複数のヒンジ部を一体化して形成した多軸ヒンジと、多軸ヒンジの各ヒンジ部の回転軸に対して各々回動自在に連結された複数の筐体とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0013】
すなわち、本発明によれば、多軸ヒンジの各ヒンジ部の回転軸に対して各々回動自在に筐体を連結することにより、各筐体について各々表裏二つの筐体機能面が使用可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多軸ヒンジの各ヒンジ部の回転軸に対して各々回動自在に筐体を連結することにより、新たな筐体機能面を生み出すことができ、それにより端末のより多機能化と高性能化を実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の携帯端末の一実施形態について説明する。
【0016】
なお、本実施形態では、本発明の携帯端末の一例として、携帯電話端末を挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0017】
〔外観及び使用スタイル〕
図1〜図11には、本発明実施形態の携帯電話端末の概略的な外観及び使用スタイルの一例を示す。
【0018】
図1〜図11に示すように、本実施形態の携帯電話端末は、互いに平行な回転軸を有する第1ヒンジ部5A〜第4ヒンジ部5Dが正方形状に配置された4軸ヒンジ5を備えている。それら第1ヒンジ部5A〜第4ヒンジ部5Dの回転軸は、当該4軸ヒンジ5の中心点対称で、それぞれ独立に90度の可動範囲を有している。すなわち、上記第1ヒンジ部5Aの可動範囲が当該4軸ヒンジ5の中心点に対して例えば0度〜90度の範囲であるとすると、上記第2ヒンジ部5Bの可動範囲は上記中心点に対して90度〜180度の範囲、上記第3ヒンジ部5Cの可動範囲は上記中心点に対して180度〜270度の範囲、上記第4ヒンジ部5Dの可動範囲は上記中心点に対して270度〜360度の範囲となされている。
【0019】
また、本実施形態の携帯電話端末は、第1筐体1〜第4筐体4の四つの筐体を備えており、それら四つの筐体のうち、上記第1筐体1が上記4軸ヒンジ5の第1ヒンジ部5Aに回動自在に連結されており、以下同様に、第2筐体2が第2ヒンジ部5Bの回転軸に、第3筐体3が第3ヒンジ部5Cの回転軸に、第4筐体4が第4ヒンジ部5Dの回転軸にそれぞれ回動自在に連結されている。したがって、上記第1筐体1〜第4筐体4は、上記第1〜第4ヒンジ部5A〜5Dにより、それぞれ独立に上記90度の可動範囲内で動かすことができることになる。
【0020】
さらに、本実施形態の携帯電話端末において、上記第1筐体1〜第4筐体4は、それぞれ表裏二つの筐体主面(二つの筐体機能面)を有している。本実施形態では、第1筐体1の表裏二つの筐体機能面のうちの一方を第1機能面1a、他方を第2機能面1bと表記し、以下同様に、第2筐体2の表裏二つの筐体機能面うちの一方を第1機能面2a、他方を第2機能面2b、第3筐体3の表裏二つの筐体機能面うちの一方を第1機能面3a、他方を第2機能面3b、第4筐体4の表裏二つの筐体機能面のうちの一方を第1機能面4a、他方を第2機能面4bと表記する。そして、本実施形態の携帯電話端末においては、上記第1筐体1の第1機能面1aには、例えば液晶ディスプレイ等の表示部と受話用スピーカが配され、第2機能面1bには、例えばアナログ時計が配されている。以下同様に、上記第2筐体2の第1機能面2aには、例えばテンキー等のキー操作部と送話用マイクロホンが配され、第2機能面2bには、例えばステレオ音声の左チャンネル音声出力用のスピーカ14Lが配されている。上記第3筐体3の第1機能面3aには、例えばカメラレンズ及び撮影補助光ライトを備えたカメラ部が配され、第2機能面3bには、例えばプリントされた写真を入れる写真ホルダが配されている。上記第4筐体4の第1機能面4aには、例えば非接触カード部が配され、第2機能面4bには、例えばステレオ音声の右チャンネル音声出力用のスピーカ14Rが配されている。すなわち、本実施形態の携帯電話端末によれば、第1筐体1〜第4筐体4の各々表裏二面で合計八面の筐体機能面1a,1b,2a,2b,3a,3b,4a,4bを備えているため、それら八面の筐体機能面により、従来の携帯電話端末よりも、さらに多くの新しい機能を搭載でき、高性能化が実現されている。なお、各筐体機能面に搭載される機能については一例であり、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0021】
以下、上述したような4軸ヒンジ5及び第1筐体1〜第4筐体4を備えた本実施形態の携帯電話端末において、上記第1〜第4ヒンジ部5A〜5Dを介して上記第1筐体1〜第4筐体4を動かすことで端末自体の外観形状を変更した場合の形状変化と使用スタイルの具体例について、図1〜図11を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの一例として、図1には、上記第1〜第4ヒンジ部5A〜5Dを介して上記第1筐体1〜第4筐体4を動かすことにより、上記第1筐体1の第2機能面1bと上記第3筐体3の第2機能面3bとが略々接するように配置され、上記第2筐体2の第2機能面2bと上記第4筐体4の第2機能面4bが略々接するように配置された状態の本実施形態の携帯電話端末を、筐体の側面がわから見た概略的な外観図(側面図)を示している。
【0023】
また、図2には、この図1に示したような外観形状及び使用スタイルの本実施形態の携帯電話端末を、上記第1筐体1の第1機能面1a及び第2筐体2の第1機能面2aがわから見た外観図(正面図)を示している。また、図3には、図1に示した外観形状及び使用スタイルの本実施形態の携帯電話端末を、上記第3筐体3の第1機能面3a及び第4筐体4の第1機能面4aがわから見た外観図(正面図)を示している。
【0024】
すなわち、図1に示した使用スタイルにおいて、図2に示すように上記第1筐体1の第1機能面1a及び第2筐体2の第1機能面2aがわから見た場合、本実施形態の携帯電話端末は、第1筐体1の第1機能面1a上に配されている表示部10及び受話用スピーカ(図示は省略)と、第2筐体2の第1機能面2a上に配されているキー操作部11及び操作用マイクロホン(図示は省略)とが正面側に配された状態となる。したがって、この使用スタイルによれば、それら表示部10やキー操作部11を用いることにより、一般的な携帯電話端末のように通話機能や電子メール機能を使用することが可能となる。
【0025】
また、図1に示した使用スタイルにおいて、図3に示すように上記第3筐体3の第1機能面3a及び第4筐体4の第1機能面4aがわから見た場合、本実施形態の携帯電話端末は、第3筐体3の第1機能面3a上に配されているカメラレンズ及び撮影補助光ライトを備えたカメラ部12が正面側に配された状態となり、したがって、この使用スタイルによれば、カメラ機能を使用することが可能となる。
【0026】
同様に、図3に示したように上記第3筐体3の第1機能面3a及び第4筐体4の第1機能面4aがわから見た場合、本実施形態の携帯電話端末は、第4筐体4の第1機能面4a上に配されている非接触カード部13が正面側に配された状態となり、したがって、この使用スタイルによれば、非接触カード機能を使用することが可能となる。
【0027】
本実施形態の携帯電話端末は、上記第1〜第4ヒンジ部5A〜5Dを介して上記第1筐体1〜第4筐体4を動かすことにより、上述した図1に示したような外観形状だけでなく、例えば図4〜図7に示したような外観形状への変更も可能となっている。
【0028】
図4には、本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの他の例として、例えば図1に示した外観形状から第1筐体1及び第3筐体3を図中矢印Ya,Yb方向に動かした場合の本実施形態の携帯電話端末を、筐体の側面がわから見た概略的な外観図(側面図)を示している。すなわちこの図4の例は、上記第1筐体1と第3筐体3を略々一直線に配置させ、上記第2筐体2の第2機能面2bと上記第4筐体4の第2機能面4bが略々接するように配置された状態の外観形状を示している。この図4の使用スタイルの場合、第1筐体1の第1機能面1a及び第2機能面2b、第2筐体2の第1機能面2a、第3筐体3の第1機能面3a及び第2機能面3b、第4筐体4の第1機能面4aの各機能面が使用可能となる。
【0029】
また、図5には、本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの他の例として、例えば図1に示した外観形状から第2筐体2及び第4筐体4を図中矢印Yc,Yd方向に動かした場合の本実施形態の携帯電話端末を、筐体の側面がわから見た概略的な外観図(側面図)を示している。すなわちこの図5の例は、上記第1筐体1の第2機能面1bと上記第3筐体3の第2機能面3bが略々接するように配置され、上記第2筐体2と第4筐体4を略々一直線に配置させた状態の外観形状を示している。この図5の使用スタイルの場合、第1筐体1の第1機能面1a、第2筐体2の第1機能面2a及び第2機能面2b、第3筐体3の第1機能面3a、第4筐体4の第1機能面4a及び第2機能面4bの各機能面が使用可能となる。
【0030】
また、図6には、本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの他の例として、例えば図1に示した外観形状から第1筐体1及び第3筐体3を図中矢印Ye,Yf方向に動かすと共に、第2筐体2及び第4筐体4を図中矢印Yg,Yh方向に動かした場合の本実施形態の携帯電話端末を、筐体の側面がわから見た概略的な外観図(側面図)を示している。すなわちこの図6の例は、上記第1筐体1と第4筐体4を略々一直線に配置させると共に、第2筐体2と第3筐体を略々一直線に配置させた状態、言い換えると、4軸ヒンジ5の中心点に対して各筐体を略々90度に配置させた状態の外観形状を示している。この図6の使用スタイルの場合、第1筐体1の第1機能面1a及び第2機能面1b、第2筐体2の第1機能面2a及び第2機能面2b、第3筐体3の第1機能面3a及び第2機能面3b、第4筐体4の第1機能面4a及び第2機能面4bの各機能面が使用可能となる。
【0031】
さらに、図7には、本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの他の例として、例えば図1に示した外観形状から第1筐体1及び第3筐体3を図中矢印Ya,Yb方向に動かすと共に、第2筐体2及び第4筐体4を図中矢印Yc,Yc方向に動かした場合の本実施形態の携帯電話端末を、筐体の側面がわから見た概略的な外観図(側面図)を示している。すなわちこの図7の例は、上記第1筐体1の第1機能面1aと上記第2筐体2の第1機能面2aとが略々接するように配置され、上記第3筐体3の第1機能面3aと上記第4筐体4の第1機能面4aとが略々接するように配置された状態の外観形状を示している。この図7の使用スタイルの場合、第1筐体1の第2機能面1b、第2筐体2の第2機能面2b、第3筐体3の第2機能面3b、第4筐体4の第2機能面4bの各機能面が使用可能となる。
【0032】
図8には、上記図5或いは図7に示した外観形状及び使用スタイルの本実施形態の携帯電話端末を、上記第2筐体2の第2機能面2b及び第4筐体4の第2機能面4bがわから見た外観図(正面図)を示している。
【0033】
すなわち、図5或いは図7に示した使用スタイルにおいて、図8に示すように上記第2筐体2の第2機能面2b及び第4筐体4の第2機能面4bがわから見た場合、本実施形態の携帯電話端末は、第2筐体2の第2機能面2b上に配されているステレオ音声の左チャンネル音声出力用のスピーカ14Lと、第4筐体4の第2機能面4b上に配されているステレオ音声の右チャンネル音声出力用のスピーカ14Rとが正面側に配された状態となる。したがって、この使用スタイルによれば、それらステレオ音声の左右両チャンネル音声出力用のスピーカ14L,14Rにより、ステレオ音声の出力が可能となる。特に、図5の外観形状において、例えば図9に示すように、筐体の側面がわを床等に置いて本実施形態の携帯電話端末1を立てるようにすれば、左右両チャンネル音声出力用のスピーカ14L,14Rを用いたステレオ音声出力を行うような使用スタイルを実現することができるようになる。
【0034】
また、図10には、上記図4或いは図7に示した外観形状及び使用スタイルの本実施形態の携帯電話端末を、上記第1筐体1の第2機能面1b及び第3筐体3の第2機能面3bがわから見た外観図(正面図)を示している。
【0035】
すなわち、図4或いは図7に示した使用スタイルにおいて、図10に示すように上記第1筐体1の第2機能面1b及び第3筐体3の第2機能面3bがわから見た場合、本実施形態の携帯電話端末は、第1筐体1の第2機能面1b上に配されているアナログ時計15と、第3筐体3の第2機能面3b上に配されている写真ホルダ16とが正面側に配された状態となる。
【0036】
なお、上述した外観形状は一例であり、本発明は、それらの他にも、例えば、上記第1筐体1の第2機能面1bと上記第3筐体3の第2機能面3bが略々接するように配置すると共に、上記第1筐体1と第2筐体2を略々一直線に配置させる一方で、第4の筐体4を第2筐体2と第3筐体3から離すように配置させる状態のように、様々な外観形状を取ることが可能である。本実施形態の携帯電話端末が取り得る他の外観形状の図示及び説明については省略する。
【0037】
図11には、上記第1筐体1の第2機能面1bと上記第3筐体3の第2機能面3bが略々接するように配置すると共に、上記第1筐体1と第2筐体2を略々一直線に配置させる一方で、第4の筐体4を第2筐体2と第3筐体3から離すように配置させるような外観形状において、例えば、第3筐体3及び第4筐体4の両端部を床等に置いて本実施形態の携帯電話端末1を立てるようにすることで、上記アナログ時計15と写真ホルダ16を正立させて見易くした使用スタイル例を示している。
【0038】
〔4軸ヒンジの構造〕
図12〜図17には、上記4軸ヒンジ5の具体的構造を示す。
【0039】
4軸ヒンジ5は、前述したように、互いに平行な回転軸25A〜25Dを各々有する第1ヒンジ部5A〜第4ヒンジ部5Dが正方形状に配置されて一体化された構造を有している。そして、第1ヒンジ部5Aの回転軸25Aは第1連結部21を介して第1筐体1に連結されており、以下同様に、第2ヒンジ部5Bの回転軸25Bは第2連結部22を介して第2筐体2に連結され、第3ヒンジ部5Cの回転軸25Cは第3連結部23を介して第3筐体3に連結され、第4ヒンジ部5Dの回転軸25Dは第4連結部24を介して第4筐体4に連結されている。
【0040】
第1連結部21は、第1ヒンジ部5Aの回転軸25Aの両端を回動自在に支持する軸支部21aと、例えばネジ止めなどにより第1筐体1に固定されるネジ止め部21bと、それら軸支部21aとネジ止め部21bを繋ぐ装架部21cとからなる。同様に、第2連結部22は、第2ヒンジ部5Bの回転軸25Bの両端を回動自在に支持する軸支部22aと、例えばネジ止めなどにより第2筐体2に固定されるネジ止め部22bと、それら軸支部22aとネジ止め部22bを繋ぐ装架部22cとからなり、第3連結部23は、第3ヒンジ部5Cの回転軸25Cの両端を回動自在に支持する軸支部23aと、例えばネジ止めなどにより第3筐体3に固定されるネジ止め部23bと、それら軸支部23aとネジ止め部23bを繋ぐ装架部23cとからなり、第4連結部24は、第4ヒンジ部5Dの回転軸25Dの両端を回動自在に支持する軸支部24aと、例えばネジ止めなどにより第4筐体4に固定されるネジ止め部24bと、それら軸支部24aとネジ止め部24bを繋ぐ装架部24cとからなる。
【0041】
なお、図12と図14は、本実施形態の携帯電話端末が前述の図1に示した外観形状となされている時の上記4軸ヒンジ5と第1〜第4連結部21〜24の配置関係を示しており、図13は、前述の図7に示した外観形状となされている時の上記4軸ヒンジ5と第1〜第4連結部21〜24の配置関係を示している。
【0042】
〔電気的配線の経路〕
ここで、本実施形態のような第1〜第4筐体1〜4からなる携帯電話端末を実現する場合、それら第1〜第4筐体1〜4の内部デバイス間を例えばハーネスやフレキシブル基板等の電気的配線により接続する必要がある。特に、本実施形態のように、4軸ヒンジ5を用い、前述したように外観形状が変更可能となされている場合には、第1〜第4筐体1〜4間の電気的配線経路が複雑になる虞がある。
【0043】
このため、本実施形態においては、図14〜図17に示すように、4軸ヒンジ5の内部に空間スペース5Iを設け、その空間スペース5I内に電気的配線を通すようにしている。すなわち、4軸ヒンジ5を回転軸長の略々中間で切断した図15及び図16に示す断面図のように、上記空間スペース5Iは、当該4軸ヒンジ5の中心点を通り、第1ヒンジ部5Aの開口部5Eと、第2ヒンジ部5Bの開口部5Fと、第3ヒンジ部5Cの開口部5Gと、第4ヒンジ部5Dの開口部5Hを繋いで形成されている。そして、ハーネスやフレキシブル基板等の電気的配線30は、この空間スペース5Iを通って配設される。なお、図16の例は、第1筐体1と第4筐体4を接続する電気的配線30が、4軸ヒンジ5の空間スペース5I内に配設された状態の断面図を示しており、図14はその状態での外観斜視図、図17はその状態での外観側面図を示している。
【0044】
〔まとめ〕
本実施形態の携帯電話端末によれば、4軸ヒンジ5により四つの筐体1〜4を回動可能に連結する構造を備えているため、合計八面の筐体機能面を実現でき、その結果、従来は利用可能な筐体機能面の数によって制約を受けていたデバイスレイアウトの問題を解消することができ、より多くのデバイスや機能を携帯電話端末の筐体機能面に盛り込むことが可能となり、端末の多機能化と高性能化を実現することができる。
【0045】
また、本実施形態の携帯電話端末によれば、4軸ヒンジ5により、外観形状を変更可能であるため、様々な外観形状に合わせた様々な使用スタイルを生み出すことができる。
【0046】
また、本実施形態の携帯電話端末によれば、4軸ヒンジ5に設けた空間スペース5I内に電気的配線30を通すような簡単な構造となされているため、従来の携帯電話端末に見られるような余計な配線迂回(中央軸を免れるようなルーティング)が発生せず、したがって、複雑化しやすい配線問題(配線経路の確保、ルーティングなど)が解消され、また、従来の携帯電話端末における余計な配線迂回による配線長の増大に伴う電気的特性の劣化や配線部品自体のコスト上昇を抑えることができ、さらには、内部スペースの有効利用とデザイン自由度の向上なども期待できる。
【0047】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明にかかる技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0048】
本実施形態では4軸ヒンジを例に挙げたが、本発明は、互いに平行な回転軸を有する三つのヒンジ部や5つのヒンジ部などの多軸ヒンジにおいて、それら各ヒンジ部をその数に応じた正多角形状(正三角形や正五角形など)に配置して一体化したものも含む。
【0049】
本実施形態の携帯端末は、携帯電話端末に限定されず、例えばPDA(Personal Digital Assistant)などの様々な形態端末にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの一例であり、第1筐体と第3筐体とを略々接するように配置すると共に、第2筐体と第4筐体とを略々接するように配置した状態を端末側面がわから見た概略的な側面外観図である。
【図2】図1に示した外観形状の本実施形態の携帯電話端末を、第1筐体の第1機能面及び第2筐体の第1機能面がわから見た外観正面図である。
【図3】図1に示した外観形状の本実施形態の携帯電話端末を、第3筐体の第1機能面及び第4筐体の第1機能面がわから見た外観正面図である。
【図4】本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの一例であり、第1,第3筐体を略々一直線に配置すると共に、第2,第4筐体を略々接するように配置した状態を端末側面がわから見た概略的な側面外観図である。
【図5】本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの一例であり、第1,第3筐体を略々接するように配置すると共に、第2,第4筐体を略々一直線に配置した状態を端末側面がわから見た概略的な側面外観図である。
【図6】本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの一例であり、第1,第4筐体を略々一直線に配置させると共に、第2,第3筐体を略々一直線に配置させた状態を端末側面がわから見た概略的な側面外観図である。
【図7】本実施形態の携帯電話端末の外観形状及び使用スタイルの一例であり、第1,第2筐体を略々接するように配置すると共に、第3,第4筐体を略々接するように配置した状態を端末側面がわから見た概略的な側面外観図である。
【図8】図5或いは図7に示した外観形状及び使用スタイルの本実施形態の携帯電話端末を、第2筐体の第2機能面及び第4筐体の第2機能面がわから見た外観正面図である。
【図9】図5の外観形状において、筐体の側面がわを床等に置いて本実施形態の携帯電話端末を立てた場合の外観斜視図である。
【図10】図4或いは図7に示した外観形状及び使用スタイルの本実施形態の携帯電話端末を、第1筐体の第2機能面及び第3筐体の第2機能面がわから見た外観正面図である。
【図11】第1,第3筐体を略々接するように配置し、第1,第2筐体を略々一直線に配置させ、第4の筐体を第2,第3筐体から離すように配置した状態で、第3,第4筐体の両端部を床等に置いて本実施形態の携帯電話端末を立てた場合の外観斜視図である。
【図12】本実施形態の携帯電話端末が図1に示した外観形状となされている時の4軸ヒンジと第1〜第4連結部の配置関係を示す斜視図である。
【図13】本実施形態の携帯電話端末が図7に示した外観形状となされている時の4軸ヒンジと第1〜第4連結部の配置関係を示す斜視図である。
【図14】本実施形態の携帯電話端末が図1に示した外観形状となされている時の4軸ヒンジと第1〜第4連結部及び電気的配線の配置関係を示す斜視図である。
【図15】4軸ヒンジを回転軸長の略々中間で切断した断面図である。
【図16】第1筐体と第4筐体を接続する電気的配線が4軸ヒンジの空間スペース内に配設された状態の断面図である。
【図17】第1筐体と第4筐体を接続する電気的配線が4軸ヒンジの空間スペース内に配設された状態の外観側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 第1筐体、1a 第1筐体の第1機能面、1b 第1筐体の第2機能面、2 第2筐体、2a 第2筐体の第1機能面、2b 第2筐体の第2機能面、3 第3筐体、3a 第3筐体の第1機能面、3b 第3筐体の第2機能面、4 第4筐体、4a 第4筐体の第1機能面、4b 第4筐体の第2機能面、5 4軸ヒンジ、5A 第1ヒンジ部、5B 第2ヒンジ部、5C 第3ヒンジ部、5D 第4ヒンジ部、5E 第1ヒンジ部の開口部、5F 第2ヒンジ部の開口部、5G 第3ヒンジ部の開口部、5H 第4ヒンジ部の開口部、5I 4軸ヒンジの空間スペース、10 表示部、11 キー操作部、12 カメラ部、13 非接触カード部、14L 左チャンネル音声出力用のスピーカ、14R 右チャンネル音声出力用のスピーカ、15 アナログ時計、16 写真ホルダ、21 第1連結部、21a 第1連結部の軸支部、21b 第1連結部のネジ止め部、21c 第1連結部の装架部、22 第2連結部、22a 第2連結部の軸支部、22b 第2連結部のネジ止め部、22c 第2連結部の装架部、23 第3連結部、23a 第3連結部の軸支部、23b 第3連結部のネジ止め部、23c 第3連結部の装架部、24 第4連結部、24a 第4連結部の軸支部、24b 第4連結部のネジ止め部、24c 第4連結部の装架部、25A 第1ヒンジ部の回転軸、25B 第2ヒンジ部の回転軸、25C 第3ヒンジ部の回転軸、25D 第4ヒンジ部の回転軸、30 電気的配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な回転軸を有する3以上の複数のヒンジ部を一体化して形成した多軸ヒンジと、
上記多軸ヒンジの各ヒンジ部の回転軸に対して各々回動自在に連結された複数の筐体と、
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1記載の携帯端末であって、
上記多軸ヒンジは、上記複数のヒンジ部が、当該ヒンジ部の数に応じた正多角形状に配置して一体化して形成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項1記載の携帯端末であって、
上記多軸ヒンジ部は、中心点を通り、且つ、上記各ヒンジ部に設けられている開口部に繋がる内部空間スペースを有することを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項3記載の携帯端末であって、
上記多軸ヒンジの各ヒンジ部の開口部と上記内部空間スペースを通して、上記各筐体間が電気的配線により接続されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
請求項1記載の携帯端末であって、
上記各筐体の各々表裏二つの筐体機能面に、それぞれ異なる機能若しくはデバイスを設けることを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−113741(P2007−113741A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307493(P2005−307493)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】