説明

携帯端末

【課題】本発明は、使用者の使い勝手を向上すべく、バイブレータの本来の機能を発揮しつつ、振動による落下のおそれを低減することが可能な携帯端末を提供することを目的としている。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、可搬性を有する携帯端末100であって、外部と無線通信を行う無線通信部122と、偏心した振動子の回転による振動により着信を報知するバイブレータ134と、少なくともバイブレータ134の動作を制御する制御部120と、当該携帯端末100が載置された机面を検知する机面検知部とを備え、制御部120は、机面検知部が机面を検知しなくなった場合に、バイブレータ134の回転方向を逆にし、または回転を停止する落下防止制御を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイブレータを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、PHS(Personal Handy phone System)や携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末には、着信やアラーム(時刻設定)を報知するためにバイブレータが備えられているものが多い。報知手段としてはサウンドによるものやLEDなどのインジケータ表示によるものなども装備されるのが常であるが、音を出せない場面においてマナーモードにするとサウンドによる報知は行うことができず、インジケータ表示は鞄などに端末が入れてあると気がつきにくい。これに対しバイブレータは振動によって知覚できること、およびわずかな振動音がすることから、報知手段として重要な装備の一つとなっている。
【0003】
バイブレータは有効無効を設定できる場合が多く、マナーモードの時に限らず、サウンドと併用して設定することもできる。また近年のタッチパネルを備えた端末では、タッチを認識した際に極めて短時間振動させて、使用者の使い勝手を向上させるなど、様々な使い方がされるようになってきている。
【0004】
バイブレータは、一般にモータの軸に偏心した錘(振動子)を固定した回転式の構造がとられている。振動子を回転させると重心が偏った錘が回転することから、振動を生じる仕組みである。大型のバイブレータには錘を直線的に往復運動させるピストン式ものも存在するが、携帯端末に搭載する数mmの大きさの素子において往復運動させる機構を設けるのは難しく、回転式が取られる場合がほとんどである。
【0005】
ところで回転式のバイブレータを搭載した場合、振動によって端末本体が細かく浮き上がることになる。ここで、浮き上がっている間にも振動子が回転運動しているため、その反作用により振動子の水平方向成分と逆方向に端末本体に力がかかる。このため机(テーブル)のように摩擦係数の少ない場所に端末本体がおいてあるとき、バイブレータの振動で携帯端末が移動してしまう現象が発生する。特に、携帯端末の重量が小さい場合に移動量が大きくなる傾向にある。そして、仮に机上から携帯端末が落下すると、損傷や破損を生じるおそれがある。
【0006】
従来においても上記の課題が検討されている。特許文献1(特開2004−274438)には、底面接触感知スイッチがオンしていると共に、本体が略水平方向に置かれていることを検出した際には、着信があってもバイブレータが作動しないようにした構成が開示されている。特許文献1によれば、携帯電話機を机等の上に置いておいた時に着信があっても大きな音が生じたり落下したりしないようにできるとしている。
【0007】
また特許文献2(特開平10−065768)には、二次電池に充電用機器が接続されている場合には、着信時の呼出をバイブレータではなく強制的にブザーに切り替える構成が開示されている。特許文献2によれば、二次電池の充電中の振動を抑えることにより、落下や転倒による機器の破損や、充電用機器との接続の外れを防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−274438号公報
【特許文献2】特開平10−065768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1にかかる構成によれば、すなわち携帯端末を水平面に載置しているときにはバイブレータが振動しないことになる。これでは報知手段としてあまりにも制約が大きく、本来の機能を果たせなくなるおそれがある。また底面接触感知スイッチや水平感知センサなどの専用のセンサが必要となり、素子実装のスペースのための大型化を招くと共に、製造コストを増大させるおそれがある。
【0010】
また特許文献2にかかる構成によれば、使用者の意思(マナーモード設定)に反してブザーが鳴動することになり、夜間などにも不本意にブザーが鳴ることになる。したがって使用者にとって決して使い勝手がよいとは言えない。また充電台に装着してある場合には重量が飛躍的に増大しているため移動しにくく、さらにバイブレータの振動が充電台との装着が外れるほど強いとは現実的には考えにくい。
【0011】
そこで本発明は、使用者の使い勝手を向上すべく、バイブレータの本来の機能を発揮しつつ、振動による落下のおそれを低減することが可能な携帯端末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、可搬性を有する携帯端末であって、外部と無線通信を行う無線通信部と、偏心した振動子の回転による振動により着信を報知するバイブレータと、少なくともバイブレータの動作を制御する制御部と、当該携帯端末が載置された机面を検知する机面検知部とを備え、制御部は、机面検知部が机面を検知しなくなった場合に、バイブレータの回転方向を逆にし、または回転を停止する落下防止制御を行うことを特徴とする。
【0013】
換言すれば、制御部は、バイブレータの回転を開始してから、机面検知部が机面を検知している状態から検知していない状態に変化した場合に、バイブレータを逆回転させ、またはその回転を停止させる。なおバイブレータの逆回転には、1つのバイブレータを逆回転させることと、異なるバイブレータを逆方向に回転させることの両方を含むことができる。
【0014】
上記構成によれば、バイブレータの振動によって携帯端末が机の端まで移動すると落下防止制御が機能し、バイブレータの逆回転によって机の内側に戻るか、またはバイブレータの停止によって進行を停止する。これにより、バイブレータ本来の機能を発揮しつつ、バイブレータの振動による机上からの落下のおそれを極めて低減することができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0015】
机面検知部は当該携帯端末の背面または前面に備えられたカメラまたは照度センサであって、制御部は、カメラまたは照度センサに入射する光量が多くなった場合に落下防止制御を行ってもよい。
【0016】
すなわち、カメラまたは照度センサが机面に対向している間は入射する光量が少なく、急激に光量が多くなると机面からカメラまたは照度センサが外れたと判断することができる。これにより、携帯端末が机面から突出したことを検知することができ、適切に落下防止制御を行うことができる。
【0017】
机面検知部は赤外線送受信部であって、制御部は、赤外線送受信部に入射する赤外線の量が増加した場合に落下防止制御を行ってもよい。
【0018】
従来から携帯端末にはデータ通信のために赤外線送受信部が装備されている場合が多い。また、太陽光を始めとして可視光があるところには赤外線も存在するのが通常である。そこで既存の赤外線送受信部のうち受信部を作動させて、赤外線の量が増大したことにより携帯端末が机面から突出したことを検知することができる。
【0019】
机面検知部は近接センサであって、制御部は、近接センサによる物体の検出が失われた場合に、落下防止制御を行ってもよい。近接センサとしては、例えば超音波、ミリ波、マイクロ波、静電容量などを利用した素子を用いることができる。
【0020】
そして、近接センサが物体を検出している状態から、物体の検出が失われた場合に、携帯端末が机面から突出したことを検知することができる。
【0021】
制御部は、落下防止制御を所定時間行った後に、バイブレータを正方向に回転させる通常制御に切り替えてもよい。
【0022】
例えば、まず通常制御によって机の端まで移動し、落下防止制御が発動した場合に、そのままであると机の反対側から落下するおそれがある。そこで所定時間だけ落下防止制御を行った後に、ふたたび通常制御に切り替えることにより、結果的に携帯端末は机の端で往復運動をするようになる。これにより、バイブレータの振動が長時間になったとしても、確実に落下を防止することができる。
【0023】
さらに当該端末が充電台に装着されていることを検知する装着検知部を備え、制御部は、装着検知部が当該端末が装着されていることを検知している場合に、落下防止制御を行わないようにしてもよい。
【0024】
これにより落下防止制御のための不要な判断を行う必要がなくなると共に、周辺光量の変化によって予期せずバイブレータが停止してしまうことを防止することができ、使用者の使い勝手を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バイブレータ本来の機能を発揮しつつ、バイブレータの振動による机上からの落下のおそれを極めて低減することができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】携帯端末の外観を説明する図である。
【図2】携帯端末の概略構成を説明する図である。
【図3】落下防止制御の流れを説明するフローチャートである。
【図4】机外判定処理を説明する図である。
【図5】振動によって進行する携帯端末を説明する図である。
【図6】他の例にかかる携帯端末の構成を説明する外観部分斜視図である。
【図7】携帯端末と充電台を説明する図である。
【図8】携帯端末の概略構成を説明する図である。
【図9】充電台に装着されている場合の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0028】
本発明にかかる携帯端末としては、携帯電話、PHS、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、カーナビゲーション、PND(Personal Navigation Device)、ゲーム機器、DVDプレイヤー、リモートコントローラ等無線通信可能な様々な携帯端末を挙げることができる。本実施形態では、携帯端末としてPHSを例に挙げて説明する。
【0029】
[第1実施形態]
図1は携帯端末100の外観を説明する図、図2は携帯端末100の概略構成を説明する図である。図1および図2に示すように、携帯端末100は、制御部120、無線通信部122、音声出力部124、音声入力部126、操作部128、表示部130、インジケータ132、バイブレータ134を備えている。また携帯端末100には、カメラ140、サブカメラ142、照度センサ144、赤外線送受信部146、近接センサ148を備えている。
【0030】
制御部120は、携帯端末100の全体の動作を制御する。具体的には、以下に説明する無線通信部122を制御して音声通信およびパケット通信を行い、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯端末100全体を管理および制御し、不図示のメモリに格納されたプログラムを用いて、通話機能、メール送受信機能、撮像機能、音楽再生機能、TV視聴機能も遂行する。また制御部120は、バイブレータ134の動作を所定のプログラムおよびユーザ設定に基づいて制御する。
【0031】
無線通信部122は、CDMAやWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信方式にて基地局との無線通信を確立し、通信相手との音声通信やWebサーバとのデータ通信を遂行する。
【0032】
音声出力部124はスピーカで構成され、携帯端末100で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、音声出力部124は、着信音や、操作部128の操作音、アラーム音等も出力できる。
【0033】
音声入力部126はマイク等の音声認識手段で構成され、通話時に入力されたユーザの音声を携帯端末100内で処理可能な電気信号に変換する。
【0034】
操作部128はキーボード、十字キー、ジョイスティック等の可動スイッチで構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0035】
表示部130は、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等とそのコントローラで構成され、音声通話の発着信相手の電話番号や、各種アプリケーションの動作画面、カメラ140のファインダーおよび撮影した画像や動画の閲覧、Webコンテンツ等を表示することができる。
【0036】
インジケータ132は極めて簡素な表示手段であって、単色あるいは複数色のLEDなどの発光体で構成される。インジケータ132では、例えば音声通話やメールの着信、充電状態などを、予め定められた色や発光パターンで表示することができる。
【0037】
バイブレータ134はモータ134aの軸に偏心した振動子134bを固定した回転式の構造を有し、重心が偏った振動子134bを回転させることにより振動を生じる。本実施形態においてバイブレータ134はカメラ140と同じ側の端部に配置されている。またバイブレータ134は、モータ134aの軸が携帯端末100の中心からバイブレータ134に向かう方向と直交する姿勢で設置されている。
【0038】
カメラ140はハードウェアとしてのカメラユニットであって、不図示のレンズや受光素子(CCDやCMOSなど)を備え、使用者が操作部128を操作して任意の画像を撮影することができる。また後述するように、制御部120がカメラ140を制御して画像を取得することもできる。なお制御部120は、カメラ140のシャッター速度やオートフォーカス、露出やホワイトバランスなどの動作制御も行う。カメラ140は、ファインダーに代えて表示部130に撮影する画像を表示させるために、携帯端末100の背面に配置されている。
【0039】
サブカメラ142は、使用者がビデオコール(動画つき通話)を行うために搭載されている。このとき使用者は表示部130に映し出された相手方の映像を見ながら通話を行うため、サブカメラ142は携帯端末100の前面、すなわち表示部130と同じ面に配置されている。
【0040】
照度センサ144は、周辺の光量を測定して、暗い場所で携帯端末100を操作する際に表示部130のバックライトを明るくしたり、操作部128のバックライトを点灯させたりするために搭載されている。すなわち主に操作部128に光が当たっているかどうかを測定する必要があるため、携帯端末100の前面に配置されている。なお、照度センサ144に代えて、カメラ140やサブカメラ142を用いて周辺の光量を測定する場合もある。
【0041】
赤外線送受信部146は、近傍の端末装置(同種または異種を問わない)とデータ通信を行うために搭載されている。データ通信を行う際には赤外線送受信部146を他の装置に対向させて近接させる必要はあるが、その点を除けば赤外線送受信部146を配置すべき箇所に制約は少ない。そのため携帯端末100の側面に赤外線送受信部146が配置されている場合もあるが、本実施形態では携帯端末100の背面に配置している。
【0042】
近接センサ148は、使用者が携帯端末100を耳に当てているかどうかを感知することを目的として搭載される。近接センサ148としては、例えば超音波、ミリ波、マイクロ波、静電容量などを利用した素子を用いることができる。特に通話用の音声出力部124を着信鳴動やアラームのためのスピーカとして兼用している場合に、耳元で唐突に大きな音が発せられると使用者に不快な思いをさせるおそれがあるため、使用者が携帯端末100を耳にあてている場合には出力する音量を抑える制御を行う。また表示部130がタッチパネルである場合に、携帯端末100を耳に当てることによってタッチパネルに不測の操作が行われてしまうことを回避するために、使用者が携帯端末100を耳にあてている場合にはタッチパネルの操作を無効化する制御を行う。これらはいずれも使用者が携帯端末100を耳にあてている場合を目的としているため、音声出力部124の近傍に近接センサ148を配置する必要があり、必然的に携帯端末100の前面に配置される。
【0043】
上記構成の携帯端末100において、バイブレータ134が振動した場合の落下防止制御について説明する。図3は落下防止制御の流れを説明するフローチャート、図4は机外判定処理を説明する図、図5は振動によって進行する携帯端末を説明する図である。
【0044】
図3に示すように、まず着信またはスケジュールのアラートなどのイベントが発生すると(S102)、制御部120は不図示の記憶部に格納されたプロファイル設定を参照して、バイブモード(バイブレータ134を振動させる設定状態)であるか否かを判断する(S104)。なおプロファイル設定はあらかじめ設定しておくことができ、また使用者が任意のタイミングで設定変更することができる。バイブモードでないと判断した場合には(S104)、処理は終了する。
【0045】
バイブモードであると判断したとき(S104)、バイブレータ134を通常制御させて振動させる(S106)。ここで、バイブレータ134の振動子134bを回転させることにより、携帯端末100の外部にまで振動が伝達されると共に、携帯端末100全体がカメラ140側を先頭にして移動する(図5の直線矢印方向)。
【0046】
そこで制御部120は、携帯端末100が机から落ちかけている(まだ落ちていない状態)ことを判定する机外判定処理を行う(S108)。机外判定処理については後述する。本実施形態の机外判定処理は、机の端に到達したと判定しない限り処理のループから抜け出さず、バイブレータ134の通常制御が継続される。
【0047】
机外判定処理(S108)において机の端に到達したと判定した場合には、落下防止制御を行う(S112)。落下防止制御は、バイブレータ134のモータ134aを逆回転または停止することによって行う。本実施形態では、モータ134aを逆回転させるものとする。これにより携帯端末100は、振動を継続しながらその進行方向を逆にして、机上に戻る方向に移動する。これにより、バイブレータ本来の機能を発揮しつつ、バイブレータ134の振動による机上からの落下のおそれを極めて低減することができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0048】
制御部120は、落下防止制御(S112)を行った後に、所定時間(例えば10秒)が経過することを監視する(S114)。そして所定時間が経過すると、ふたたび通常制御に切り替える(S116)。そして、また机外判定処理(S108)を行うところから繰り返す。
【0049】
すなわち、まず通常制御(S106)によって机の端まで移動し(S108)、落下防止制御が発動した場合に(S112)、そのままであると戻りすぎて机の反対側から落下するおそれがある。そこで所定時間だけ落下防止制御を行った後に、ふたたび通常制御に切り替える(S116)。これにより、結果的に携帯端末100は机の端で往復運動をするようになる。これにより、バイブレータ134の振動が長時間になったとしても、確実に落下を防止することができる。
【0050】
なおフローチャートには記載していないが、受話または通信断が行われると任意のタイミングで割り込み処理が実行され、バイブモードを終了する。
【0051】
次に、机外判定処理108について説明する。机外判定処理108は大別して、初期値の取得(S200〜S208)と、状態の変化の判定(S210〜218)に分けることができる。
【0052】
図4に示すように、机外判定処理108としては様々な判定をすることができる。バイブモードが開始された後に(S106)、机外判定処理(S108)が開始されると、カメラ140を起動してカメラ画像の初期値を取得し(S200)、サブカメラ142を起動してサブカメラ画像の初期値を取得し(S202)、赤外線送受信部146によって赤外線の光量の初期値を取得し(S204)、照度センサの明るさの初期値を取得し(S206)、近接センサの物体検知(近接する物体の有無の初期値)を行う(S208)。すなわち、各センサにおける初期値を取得する。
【0053】
そして継続的に状態の変化の判定(S210〜S218)を行う。カメラ140については、随時画像を取り込んで、初期値に対する光量増加を判定し(S210)、光量が増加している場合には机の端に到達したと判定する(S220)。
【0054】
すなわち、カメラ140が机面に対向している間は入射する光量が少なく、急激に光量が多くなると机面からカメラ140が外れたと判断することができる。これにより、携帯端末100が机面から突出したことを検知することができ、適切に落下防止制御を行うことができる。なお、使用者が携帯端末100を机上から取り上げた際にも光量は増大することになるが、このときにバイブレータ134が逆回転または停止したとしても何ら不都合はないため、机面から突出したか使用者が取り上げたかについて判別する必要はない。また、カメラ140等の画像処理は、明るさを比較する程度であればよく、詳細な画像解析を行う必要はないため、画像処理の負担が増大することはない。
【0055】
またサブカメラ142についても同様に、随時画像を取り込んで、初期値に対する光量増加を判定し(S212)、光量が増加している場合には机の端に到達したと判定する(S220)。ここでカメラ140は携帯端末100の背面にあり、サブカメラ142は携帯端末100の前面にあるため、前面と背面のいずれが机面に対向していても、その机面からカメラ140またはサブカメラ142が外れたことを検知することができる。なお、カメラ140またはサブカメラ142のうち上方を向いているものは画像が最初から明るいことが想定され、変化が生じないために、机の端に到達したと判定することはない。
【0056】
同様に赤外線送受信部146による赤外線の光量も随時取得し、初期値に対する光量増加を判定して(S214)、光量が増加している場合には机の端に到達したと判定することができる(S220)。太陽光を始めとして可視光があるところには赤外線も存在するのが通常である。そこで既存の赤外線送受信部146のうち受信部を作動させて、赤外線の量が増大したことにより携帯端末100が机面から突出したことを検知することができる。なおカメラ140と同じ側の机面に対して判定を行うため、カメラ140と赤外線による判定のいずれかがあれば足りるが、両方を行うことによってより誤判定の可能性を低減させることができる。
【0057】
同様に照度センサ144による明るさも随時取得し、初期値に対する明るさが増加した場合(S216)、および近接センサ148によって検知していた物体が喪失した場合(S218)には、携帯端末100が机の端に到達したと判定することができる(S220)。この場合においても、サブカメラ142による判定の代替となりうるが、複数を組み合わせて判定を行うことにより、誤判定の可能性を低減させることができる。
【0058】
なお、本実施形態では上記の状態の変化の判定を4種類行っているが、いずれか1つでもよく、また複数を行ってもよい。また判定を独立に行ってもよい。が、いずれか2つ以上をAND条件にて判定してもよい。また、判定の順序は上記の例に限らず、いずれを先に判定してもよい。
【0059】
そしていずれの判定(S210〜S218)においても状態の変化が検知されなかった場合には、机の上にあると判定し(S222)、状態の変化の判定を繰り返す。
【0060】
上記構成によれば、カメラ140、サブカメラ142、照度センサ144、赤外線送受信部146、および近接センサ148を机面検知部として利用することができる。そして制御部120は、バイブレータ134の回転を開始してから、机面検知部が机面を検知している状態から検知していない状態に変化した場合に、バイブレータ134を逆回転させ、またはその回転を停止させることにより、携帯端末100の落下を高い確率で防止することができる。このように、既存の装置を机面検知部として利用することができ、新たな製造コストの増加を招くことなく、落下防止制御を行うことができる。
【0061】
[第2実施形態]
本発明にかかる携帯端末100の第2実施形態について説明する。図6は他の例にかかる携帯端末100の構成を説明する外観部分斜視図である。
【0062】
上記第1実施形態においては、1つのバイブレータ134を備え、その回転方向を逆にするように説明した。しかし本発明はこれに限定するものではなく、2つのバイブレータを備え、通常制御のときには一方のバイブレータを回転させ、落下防止制御のときには異なるバイブレータを逆方向に回転させてもよい。
【0063】
そこで図6に示す携帯端末100は、携帯端末100の上端(音声出力部124側)と下端(音声入力部126側)に、それぞれ1つのバイブレータ134を備えている。これら2つのバイブレータ134は、その軸方向を180度異ならせている。そしていずれのバイブレータ134も、モータ134aにとって同じ方向に回転させることにより、携帯端末100に対しては逆方向に回転することとなる。
【0064】
上記構成によれば、モータ134aが片方向にしかその回転が補償されていない部品を用いたとしても、携帯端末100を通常制御のときと逆方向に移動させることができる。したがって、上記第1実施形態と同様に適切に落下防止制御を行うことができる。
【0065】
[第3実施形態]
本発明にかかる携帯端末の第3実施形態について説明する。図7は携帯端末100と充電台を説明する図、図8は携帯端末100の概略構成を説明する図、図9は充電台200に装着されている場合の動作を説明するフローチャートであって、上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
上記第1実施形態においては、携帯端末100の落下を防止すべく、諸々の判定をして落下防止制御を行うよう説明した。しかし、充電台200に装着されている場合には、むしろ落下防止制御を行わないことが望ましい。
【0067】
図7に示すように、携帯端末100は充電台200に装着可能に構成されている。充電台200は携帯端末100を表示部130が見えるように装着(保持)すると共に、携帯端末100の充電用受電端子154に充電台200の充電用給電端子202を当接させて、充電のための電力を供給することができる。
【0068】
図8に示すように、携帯端末100には、装着検知部150、バッテリ152、充電用受電端子154が備えられている。バッテリ152は、携帯端末100を動作させるための電源として機能する。
【0069】
携帯端末100は、充電用受電端子154から電力を供給することによって充電を行うことができる。そして充電用受電端子154からの電力線に、装着検知部150が備えられている。装着検知部150は、電力線に電力が供給されていることを検知することにより、携帯端末100が充電台200に装着されていることを検知することができる。
【0070】
そして図9に示すように、着信等のイベントが発生すると(S102)、バイブモードであるか否かを判断し(S104)、バイブモードである場合にはバイブレータ134を制御して振動させる(S106)。
【0071】
ここで本実施形態においては、装着検知部150によって充電台200に装着されているか否かを判定する(S230)。そして充電台200に装着されている場合には、落下防止制御の判定を終了し、バイブレータ134の振動を継続する。充電台200に装着されていない場合には、上記第1実施形態にて説明した一連の処理(机外判定処理(S108)、落下防止制御(S112)など)を行う。
【0072】
上記構成によれば、落下防止制御のための不要な判断を行う必要がなくなると共に、周辺光量の変化(人が通ったなど)によって予期せずバイブレータ134が停止してしまうことを防止することができ、使用者の使い勝手を更に向上させることができる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、バイブレータを備えた携帯端末に対して利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
100 …携帯端末
108 …机外判定処理
120 …制御部
122 …無線通信部
124 …音声出力部
126 …音声入力部
128 …操作部
130 …表示部
132 …インジケータ
134 …バイブレータ
134a …モータ
134b …振動子
140 …カメラ(机面検知部)
142 …サブカメラ(机面検知部)
144 …照度センサ(机面検知部)
146 …赤外線送受信部(机面検知部)
148 …近接センサ(机面検知部)
150 …装着検知部
152 …バッテリ
154 …充電用受電端子
200 …充電台
202 …充電用給電端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬性を有する携帯端末であって、
外部と無線通信を行う無線通信部と、
偏心した振動子の回転による振動により着信を報知するバイブレータと、
少なくとも前記バイブレータの動作を制御する制御部と、
当該携帯端末が載置された机面を検知する机面検知部とを備え、
前記制御部は、前記机面検知部が机面を検知しなくなった場合に、前記バイブレータの回転方向を逆にし、または回転を停止する落下防止制御を行うことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記机面検知部は当該携帯端末の背面または前面に備えられたカメラまたは照度センサであって、
前記制御部は、前記カメラまたは照度センサに入射する光量が多くなった場合に前記落下防止制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記机面検知部は赤外線送受信部であって、
前記制御部は、前記赤外線送受信部に入射する赤外線の量が増加した場合に前記落下防止制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記机面検知部は近接センサであって、
前記制御部は、前記近接センサによる物体の検出が失われた場合に、前記落下防止制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記落下防止制御を所定時間行った後に、前記バイブレータを正方向に回転させる通常制御に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項6】
さらに当該端末が充電台に装着されていることを検知する装着検知部を備え、
前記制御部は、前記装着検知部が当該端末が装着されていることを検知している場合に、前記落下防止制御を行わないことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−200036(P2010−200036A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43158(P2009−43158)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】