説明

携帯端末

【課題】安定的に導通を確保できる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯電話は、第1筐体20の接続部220と第2筐体30の接続部300との間に、第1筐体20と第2筐体30とを相対的に回動可能に接続するヒンジユニット40と、ヒンジユニット40と第2筐体30内部の回路基板とを接続する第1接点部材50とを備える。第1接点部材50は、2片のヒンジ接続片502をヒンジユニット40の周面と第2筐体の接続部300の内面との間に固定される。また、第1接点部材50は、弾性を有し、ヒンジユニット40が接点当接部500に当接することにより変形され弾性力が生じている状態でヒンジユニット40の接点406に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導通ヒンジを備える携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部を備える筐体と操作部を備える筐体との導電性能を向上させる機能を有し、アンテナ性能向上させる機能を有する導通ヒンジを備える携帯端末が普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、リアクタンス結合素子を有するヒンジを備える携帯端末が開示されている。この携帯端末は、リアクタンス結合素子によって、簡易な構成で局所SAR(比吸収率:Specific Absorption Rate)を低減することができるという特徴を有する。
【0004】
また、一般的な導電性能を有するヒンジ及びヒンジに接続される接点部材の例として、2個の筐体を回動可能に接続するとともに導電性能を備えるヒンジユニット80と、ヒンジユニット80と電気的に接続された接点部材90とを図10に示す。ヒンジユニット80は、ヒンジ本体800の端面から突出する接点806を備える。接点部材90は、筐体30の一部に導電ばね固定部903が係止することによって固定される。接点部材90は、その一部に、曲折した舌状の舌片900を備える。舌片900が接点806に接触することによって、ヒンジユニット80から接点部材90に電気が流れることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−50324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された携帯端末が備えるヒンジは、外力を受けた場合に電気接続を維持できる程度に強固に接続された電気接続部を備えていなかった。
【0007】
また、図10のヒンジユニット80を備える携帯無線機においては、落下することによる衝撃により、導電性を有する接点部材90に備えられた舌片900が接点806から離間し、一時的に導通が切断されることがあった。更には、舌片900が浮くことにより生じた接点806と舌片900との隙間に異物が嵌り込み、永続的にヒンジユニット80と接点部材90との導通が切断されることがあった。また、固定部903が衝撃により筐体30から外れてしまうこと等があり、衝撃を受けた場合にヒンジユニット80と接点部材90との導通を確保することが難しかった。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、安定的に導通を確保できる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る携帯端末は、
回路基板を内蔵する第1筐体と、
回路基板を内蔵する第2筐体と、
前記第1筐体の端部と前記第2筐体の端部とを相対的に回動可能に支持し、前記第1筐体の前記回路基板に電気的に接続された接点を有するヒンジと、
弾性を有し、一端部を前記ヒンジと前記第2筐体との間に固定され、前記ヒンジが当接することにより変形され弾性力が生じている状態で前記ヒンジの前記接点に接触し、前記ヒンジと前記第2筐体の前記回路基板とに電気的に接続された第1接点部材と、を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
また、前記第1接点部材の前記一端部は断面U字状に形成され、
前記第1接点部材は、前記一端部が前記ヒンジの一部を挟み込んだ状態で前記ヒンジと前記第2筐体とに挟持されるようにしてもよい。
【0011】
また、前記第1接点部材は、カップ状に形成される一端部を有し、該一端部が前記接点を含む前記ヒンジの一部を覆った状態で前記ヒンジと前記第2筐体とに挟持されるようにしてもよい。
【0012】
更に、前記第1接点部材は、前記一端部の開きを調整可能なように一部が湾曲して形成されていると好ましい。
【0013】
また、前記第2筐体の前記回路基板に電気的に接続され貫通孔を有する導電部材を更に備え、
前記第2筐体は前記導電部材の前記貫通孔に挿入され導電性を有する突起を有し、
第1接点部材の他端部は、貫通孔を有し、該貫通孔が前記突起に挿入されることで電気的に接続されるようにしてもよい。
【0014】
また、前記第1筐体と前記ヒンジとの間に挟持され前記ヒンジと前記第1筐体に内蔵された前記回路基板とに電気的に接続された第2接点部材を更に備え、
前記第2接点部材は、所定の間隔をおいて対向して形成された2片の一端部を有し、該一端部が前記ヒンジの一部を挟み込んだ状態で前記ヒンジと前記第1筐体とに挟持されるようにしてもよい。
【0015】
前記ヒンジは大径部と小径部とを有し、
前記第2接点部材は、貫通孔を有し、該貫通孔が前記小径部を挿通した状態で、前記大径部と前記第1筐体との間で挟持されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
安定的に導通を確保できる携帯端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る携帯電話を示す外形図である。
【図2】ヒンジユニット及び第2接点部材を示す分解斜視図である。
【図3】ヒンジユニット及び第1接点部材を示す分解斜視図である。
【図4】ヒンジユニット、第2接点部材及び第1接点部材が携帯電話に組み込まれた状態を示す部分断面図である。
【図5】第2接点部材を示す斜視図である。
【図6】第1接点部材を示す斜視図である。
【図7】変形例に係る携帯電話の内部における第3接点部材を含めたヒンジユニット近傍を示す分解斜視図である。
【図8】第3接点部材を示す斜視図である。
【図9】変形例に係る第3接点部材を示す斜視図である。
【図10】一般的な携帯電話の内部の接点部材を含めたヒンジユニット近傍を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る携帯端末の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
<実施形態1>
本実施形態に係る携帯電話10は、図1に示すように、操作キー200を複数有する第1筐体20と、表示部32を有する第2筐体30とを備える。更に、携帯電話10は、図2乃至4に示すように、第1筐体20と第2筐体30とを相対的に回動可能となるように支持するヒンジユニット(ヒンジ)40と、ヒンジユニット40に電気的に接続された第1接点部材50及び第2接点部材60とを備える。
【0020】
第1筐体20は、図3に示すように、第2筐体30と接続する側の端部における両側に、貫通孔226,228を有する略円管状の接続部(端部)220,222を備える。接続部220は、図4に示すように、貫通孔226と貫通孔226に連なり貫通孔226よりも大径の穴224を備える。接続部220は、後述するヒンジユニット40を収容するものである。
【0021】
第2筐体30は、図3に示すように、第1筐体20と接続する側の端部における中央近傍に、貫通孔302を有する円管状の接続部(端部)300を備える。接続部300の幅は、接続部220と接続部222との間隔よりも僅かに小さい。第1筐体20と第2筐体30とは、接続部220と接続部300とが組み合わされた状態で、後述するヒンジユニット40が組み付けられることで、回動可能に接続される。
【0022】
ヒンジユニット40は、図2に示すように、大径部402と大径部402からその同軸上に延出する小径部401とから構成され貫通孔403を中心に有するユニット本体400と、貫通孔403に挿通され接点406を端部に有する導電軸部405と、導電軸部405とユニット本体400とに一体的に挟持され接点404を有する導電部材409と、から主に構成される。
【0023】
ユニット本体400は、略八角柱状の大径部402と大径部402からその同軸上に延出し略四角柱状である小径部401とから構成され軸線方向に貫通する貫通孔403を中心に有する。
【0024】
導電軸部405は、円板上の端部407と端部407の中心から垂直に延出する棒状部408とから形成されている。棒状部408の先端は、後述する第1接点部材50に電気的に接続される接点406として機能する。接点406は、後述する第1接点部材50を介して第2筐体30に内蔵された回路基板に電気的に接続される。
【0025】
導電部材409は、断面コの字状に形成され、中心に貫通孔410が形成されている。導電部材409は、ユニット本体400の大径部402の一面、及びその一面に対向する一面に嵌められ、棒状部408が貫通孔410を挿通した状態で導電軸部405に挟持される。このようにして、ユニット本体400と導電軸部405と導電部材409は一体的に組み付けられ、導電軸部405と導電部材409と電気的に接続される。導電部材409の大径部402の外周に露出した部位は、後述する第2接点部材60に電気的に接続される接点404として機能する。接点404は、後述する第2接点部材60を介して第1筐体20に内蔵された回路基板に電気的に接続される。
【0026】
ヒンジユニット40が接続部220及び接続部300に組み付けられた状態において、小径部401は接続部220の内側に貫通孔228から突出し、大径部402は穴224に収容される。図4に示すように、小径部401の接続部220から突出した部位が、接続部300の貫通孔302に嵌合する。
【0027】
第1接点部材50は、導電性を有する板材から形成され、弾性を有し、第2筐体30の回路基板とヒンジユニット40とを電気的に接続する機能を有する。第1接点部材50は、図6に示すように、ヒンジユニット40の接点406に当接する接点当接部(一端部)500と、接点当接部500の両端から連続的に延出し略垂直に曲折された2片のヒンジ接続片(一端部)502と、接点当接部500の中央片側から接点当接部500に略平行な方向に延出する第2筐体接続片506とから形成される。
【0028】
接点当接部500における、2片のヒンジ接続片502側には、幅方向に延びヒンジ接続片502が延出する側に湾曲する湾曲部(一部)504が形成されている。湾曲部504は、第1接点部材50がヒンジユニット40の小径部401に組み付けられたときに、小径部401の端面から突出する接点406と接点当接部500とが弾性力を有しながら当接するための、小径部406の端面との好適な間隔を形成する。また、湾曲部504は、接点406と接点当接部500との当接により変形し、この変形による弾性力によって接点406と接点当接部500との当接を維持する。
【0029】
2片のヒンジ接続片502は、ヒンジユニット40の小径部401の周面幅と略同一幅の間隔をおいて略平行に形成されている。つまり、接点当接部500と2片のヒンジ接続片502との断面は略U字状に形成されおり、2片のヒンジ接続片502がヒンジユニット40の小径部401を挟持することによって、第1接点部材50とヒンジユニット40とを固定する。また、2片のヒンジ接続片502は、湾曲部504が形成されていることによって、互いの端部を近づけるように弾性的に変形可能となる。また、2片のヒンジ接続片502の端縁503は、ヒンジ接続片502の他の部位から略垂直外方に曲折されている。端縁503は、第1接点部材50が第2筐体30に組み付けられたときに、接続部300の貫通孔302の縁に係止する。
【0030】
第2筐体接続片506は、接点当接部500の中央片側から接点当接部500に略平行な方向、つまり、第1接点部材50が第2筐体30に組み付けられた状態において第1筐体20側に延出する方向に、接点当接部500から突出している。
【0031】
第2接点部材60は、導電性を有する板材から形成され、弾性を有し、第1筐体20の回路基板とヒンジユニット40とを電気的に接続する機能を有する。第2接点部材60は、図5に示すように、貫通孔601が中心に形成された円板600と、2片のヒンジ接続片(一端部)602とガイド片604と第1筐体接続片606とから形成される。
【0032】
円板600は、ヒンジユニット40の略八角柱状の大径部402と対応する所定の幅で8つ部位に区画されている。2片のヒンジ接続片602は、円板600の対向する部位から円板600から略垂直に延出するようにして形成されている。ヒンジ接続片602は、円板600の径方向内側に湾曲する湾曲部603を有する。湾曲部603は、第2接点部材60がヒンジユニット40の大径部402に組み付けられたときに、大径部402に一体的に組み付けられた導電部材409の接点404と当接しヒンジユニット40と電気的に接続される。第1筐体接続片606とガイド片604とは、円板600において、2つのヒンジ接続片602から1部位ずつ間隔をおいて配置され、対向するように形成されている。ガイド片604は、円板600から略垂直に延出するようにして形成されている。第1筐体接続片606は、円板600から略垂直に延出し、所定の長さで円板600の内径方向に向けて直角に曲折し、更に所定の長さで円板600の大径方向に直角に曲折して形成されている。ここで、第1筐体接続片606の端部の延出方向は、携帯電話10に第2接点部材60が組み付けられた状態において、第1筐体20の内部へと向かう方向である。なお、図5に示される第2接点部材60は、理解を容易にするために、第1接続片606が、円板600の内径方向に向けて直角に折り曲げられた状態となっているが、厳密には、ヒンジユニット40に取り付けられた後に折り曲げられる。
【0033】
上記のように構成される、ヒンジユニット40、第1接点部材50及び第2接点部材60組み付け状態及び機能について次に説明する。
【0034】
まず、図2及び図4に示すように、第1接点部材50の端縁503が接続部300の貫通孔302の縁に係止するように、第1接点部材50を第2筐体30に取り付ける。このとき、湾曲部504によって第1接点部材50のヒンジ接続片502が容易に弾性変形するため取付が簡単にできる。また、第1接点部材50は、端縁503が接続部300の貫通孔302の縁に係止することにより、後に取り付けられるヒンジユニット40の接点406に当接するのに好適な位置に位置出しされる。
【0035】
第2接点部材60の貫通孔601をヒンジ接続片602側からヒンジユニット40の小径部401側に通すことにより、ヒンジユニット40と第2接点部材60とを組み付ける。大径部402と小径部401の段差部に円板600が当接することにより、所定の位置に組み付けられる。また、ヒンジユニット40と第2接点部材60とが組み付けられた状態において、湾曲部603が接点404に接触し互いに導通可能となる。ヒンジユニット40と第2接点部材60とが組み付けられた後に、第2接点部材60の第1筐体接続片606を円板600の内径方向に向けて直角に折り曲げる。このようにすることで、後に取り付ける第1筐体20の内部に第1筐体接続片606を挿入するのに好適な位置となる。
【0036】
次に、貫通孔228及び貫通孔226と貫通孔302とが同軸上に位置し、第1筐体20の接続部220,222と第2筐体30の接続部300とが重なるように、第1筐体20と第2筐体30とを配置する。次に、第2接点部材60が組み付けられたヒンジユニット40を、第1筐体20の接続部220の穴224に小径部401側から挿入する。ヒンジユニット40は、円板600が接続部220の貫通孔228と穴224とに形成される段差部225に当接する位置まで挿入される。つまり、第2接点部材60は、円板600が段差部225と大径部402とに挟持されることによって、第1筐体20とヒンジユニット40とに固定される。
【0037】
またこの状態のときに、小径部401は、第2筐体30の接続部300に嵌合している第1接点部材50内に挿入された状態である。この状態のとき、接点406は接点当接部500を押し上げつつ接触している。つまり、第1接点部材50は、湾曲部504によって接点406と当接する方向に弾性変形し、接点406と接点当接部500との接続は強固に保持される。また、第1接点部材50は、2片のヒンジ接続片502が接続部300と小径部401とに挟持されることによって、第2筐体30とヒンジユニット40とに固定される。
【0038】
上記のように、第2接点部材60は、第1筐体20とヒンジユニット40と間に挟持されることによって強固に固定され、第1接点部材50は、第2筐体30とヒンジユニット40と間に挟持されることによって強固に固定される。また、第2接点部材60は、ヒンジユニット40の小径部401に連なる大径部402の面に係止するため、ヒンジユニット40からその軸方向に外れることがない。同様に、第1接点部材50は、ヒンジ接続片502の端縁503が接続部300の貫通孔302の縁に係止するため、ヒンジユニット40からその軸方向に外れることがない。このように、第2接点部材60及び第1接点部材50の固定が強固にされて導通が安定的に確保されるため、例えば、携帯電話10の落下による衝撃力その他の外力を受け、ヒンジユニット40が移動又は変形したとしても、第1筐体20、ヒンジユニット40及び第2筐体30の導通が切断されることがない。
【0039】
また、第1接点部材50は、湾曲部504を備え、接点当接部500がヒンジユニット40の接点406に当接して変形される。このため、接点406と接点当接部500とが当接するように弾性力が生じることとなり、これらの接続の安定性が確保される。
【0040】
なお、第2接点部材60及び第1接点部材50は、一枚の板材をレーザ加工等及びプレス加工等することにより容易に量産することができ、経済的に優れている。
【0041】
<実施形態2>
実施形態1に係る携帯電話10は、折り畳み式のもので、第1筐体20及び第2筐体30を相対的に回動させるヒンジユニット40を回動軸として備えるものであった。しかし、本発明はこのような形態に限定されず、例えば、回転軸を2つ備えるもの携帯電話に適用することもできる。また、実施形態1に係る携帯電話10における第1接点部材50は、ヒンジユニット40を2片のヒンジ接続片502で挟みこむタイプであったが、本発明はこの形態に限定されない。次に実施形態2に係る携帯電話について説明する。なお、以下において、理解を容易にするために、実施形態1に係る携帯電話10の部品と同一形状を有する部品には同一の符号を付して説明する。
【0042】
実施形態2に係る携帯電話は、第1筐体20と、第1筐体20にヒンジユニット40を介して回動可能に接続される第3筐体31と、第3筐体31に対して、ヒンジユニット40を中心として回動する方向に垂直な方向に回動可能な第4筐体(不図示)を備える。次に、図7及び図8を参照して、各部品について説明する。
【0043】
第3筐体31は、実施形態1に係る第2筐体30と同様にヒンジユニット40と接続されている。また、第3筐体31は、第4筐体(不図示)が接続される部位に軸受73を備える。軸受73に、第4筐体に固定する取付部材70に固定された回動軸72が回動可能に固定されている。回動軸72は、中空状に形成され、回動軸72の第3筐体31の内部側端部は、一部に切り欠き720を有する円板状に形成されている。また、第3筐体31の内部であり、回動軸72の端部近傍には、回動軸72を所定の回動角度に制限するロック部材76が固定されている。ロック部材76は、回動軸72側の一部に溝760が形成されており、溝760に回動軸72の切り欠き720の縁が当接することによって回動軸72の回動を制限する。第3筐体31は、内部に第4筐体(不図示)から離間する方向に突出し導電性を有する円柱状の突起78を有する。この突起78には、後述する第3接点部材(第1接点部材)52の端部(他端部)512及び導電部材74が係止される。
【0044】
第3接点部材52は、導電性を有し、後述する導電部材74とヒンジユニット40とを電気的に接続する機能を有する。第3接点部材52は、図7及び図8に示すように、キャップ状に形成され接点406にその内面が当接する接点当接部(一端部)520と、接点当接部520の外面から延出し直角に折り曲げられた接続片510を備える。
【0045】
接点当接部520は、接点406にその内面が当接するように、ヒンジユニット40の小径部401を覆って固定される。接点当接部520の周面を形成する2面は、ヒンジユニット40に小径部401に取り付けられたときにヒンジユニット40の周面と合致するように、略平行に形成されている。また、接点当接部520の縁523は、接点当接部520の他の部位から略垂直外方に曲折されている。縁523は、第3接点部材52が第3筐体31に組み付けられたときに、接続部300の貫通孔302の縁に係止する。
【0046】
接続片510は、係止孔(貫通孔)513を中央に有する円板状に形成された端部512を有する。係止孔513は突起78に挿入される。第3接点部材52は、突起78を介して、ヒンジユニット40と後述する導電部材74とを電気的に接続することとなる。
【0047】
導電部材74は、板状を成し、第3筐体30の長手方向(ヒンジユニット40の軸方向)に延出している。導電部材74は、軸受73の外周にその中央部が固定されている。導電部材74は、突起78と係合する係合孔(貫通孔)740を有する。導電部材には、回動軸72の中空を通るコード(不図示)が接続され、第4筐体(不図示)の回路基板と電気的に接続されている。
【0048】
第3筐体31には、第4筐体(不図示)が取付部材70を介して回動可能に接続されている。取付部材70の中心には、第2筐体30に軸受73を介して回動可能に支持された回動軸72が固定されている。
【0049】
実施形態2に係る携帯電話は、キャップ状の接点当接部520に覆われる接点406の周囲を閉空間とすることができ、接点406と接点当接部520との間に異物が侵入することを確実に防ぐことができ、導通不良の発生を防ぐことができる。また、実施形態2に係る携帯電話のように、回動軸を2つ有し、配線領域が制限されるものであっても、係止孔41を有する第3接点部材52と係合孔740を有する導電部材74とを突起78を介して接続することで、安定した導通性能が得られる。
【0050】
(変形例)
実施形態1に係る携帯電話10に備えられた第1接点部材50の形状と、第3接点部材52の形状とは、任意に組み合わせることが可能である。例えば、図10に示す第4接点部材(第1接点部材)51は、実施形態1に係る携帯電話10に備えられた第1接点部材50のヒンジユニット40を挟持する部位と、実施形態2に係る携帯電話に備えられた接続片510とが組み合わせられた形状を有する。このように形成された第4接点部材51を、実施形態1に係る回動軸を2つ有する携帯電話に用いるようにしてもよい。また、逆に、接点部材は、実施形態1に係る携帯電話10に備えられた第1接点部材50の第2筐体接続片506と、実施形態2に係る携帯電話に備えられた接点当接部520とが組み合わせられた形状を有するものであってもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、携帯電話を一例としてあげたが、本発明は携帯電話に限らず、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、電子辞書その他の携帯端末に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…携帯電話(携帯端末)、20…第1筐体、220,222…接続部(端部)、30…第2筐体、300…接続部(端部)、40…ヒンジユニット(ヒンジ)、400…ユニット本体、401…小径部、402…大径部、405…導電軸部、406…接点、409…導電部材、50…第1接点部材、500…接点当接部(一端部)、502…ヒンジ接続片(一端部)、504…湾曲部(一部)、51…第4接点部材(第1接点部材)、512…端部(他端部)、513…係止孔(貫通孔)、52…第3接点部材(第1接点部材)、520…接点当接部(一端部)、60…第2接点部材(第2接点部材)、601…貫通孔、602…ヒンジ接続片(一端部)、74…導電部材、740…係合孔(貫通孔)、78…突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を内蔵する第1筐体と、
回路基板を内蔵する第2筐体と、
前記第1筐体の端部と前記第2筐体の端部とを相対的に回動可能に支持し、前記第1筐体の前記回路基板に電気的に接続された接点を有するヒンジと、
弾性を有し、一端部を前記ヒンジと前記第2筐体との間に固定され、前記ヒンジが当接することにより変形され弾性力が生じている状態で前記ヒンジの前記接点に接触し、前記ヒンジと前記第2筐体の前記回路基板とに電気的に接続された第1接点部材と、を備える、
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記第1接点部材の前記一端部は断面U字状に形成され、
前記第1接点部材は、前記一端部が前記ヒンジの一部を挟み込んだ状態で前記ヒンジと前記第2筐体とに挟持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記第1接点部材は、カップ状に形成される一端部を有し、該一端部が前記接点を含む前記ヒンジの一部を覆った状態で前記ヒンジと前記第2筐体とに挟持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第1接点部材は、前記一端部の開きを調整可能なように一部が湾曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記第2筐体の前記回路基板に電気的に接続され貫通孔を有する導電部材を更に備え、
前記第2筐体は前記導電部材の前記貫通孔に挿入され導電性を有する突起を有し、
第1接点部材の他端部は、貫通孔を有し、該貫通孔が前記突起に挿入されることで電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記第1筐体と前記ヒンジとの間に挟持され前記ヒンジと前記第1筐体に内蔵された前記回路基板とに電気的に接続された第2接点部材を更に備え、
前記第2接点部材は、所定の間隔をおいて対向して形成された2片の一端部を有し、該一端部が前記ヒンジの一部を挟み込んだ状態で前記ヒンジと前記第1筐体とに挟持される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記ヒンジは大径部と小径部とを有し、
前記第2接点部材は、貫通孔を有し、該貫通孔が前記小径部を挿通した状態で、前記大径部と前記第1筐体との間で挟持される、
ことを特徴とする請求項6に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−234266(P2011−234266A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104890(P2010−104890)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】