説明

携帯端末

【課題】音孔を携帯端末の側壁部に配置する場合でも、保護部を筐体に確実に固定し、携帯端末を小型化するとともに優れた意匠性を有する携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末1は、筐体71内部に、レシーバ部81と、レシーバ部81と前面に沿って位置をずらして配置された表示素子部91と、前面に位置するように配置されたスクリーン部21と、スクリーン部21の裏面に配置されたフレキシブルプリント基板31と、フレキシブルプリント基板31の裏面に配置された接着部41とを備え、スクリーン部21、フレキシブルプリント基板31及び接着部41には、開口部51が形成され、開口部51内に、音孔62を有する保護部61が設けられた携帯端末1において、保護部61は筐体71とスクリーン部21との間に外方に張り出す張出し部63を有し、張出し部63を含む裏面側が筐体71に接着されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の携帯電話のような携帯端末においては、携帯端末の前面を構成する前面パネルにポリカーネート等の合成樹脂が採用される場合がある(下記特許文献1参照)。また、液晶ディスプレイの強度を確保するために、前面パネルとして強化ガラスが採用される場合もある。
【0003】
一方、前面パネルの裏面側には受話部(レシーバ部と称する。以下同じ。)が設けられており、音声を外部に出力するために、前面パネルにはレシーバ部に向かって音孔が形成されている。
【0004】
ここで、携帯端末の使用時に、前面パネルの音孔の端部に集中的な応力が作用すると、上記強化ガラスが破損するという不具合が発生していた。
そこで、音孔の周辺の前面パネルを保護するために、音孔が形成された保護部材が設けられている(下記特許文献2参照)。
ここで、音孔を前面パネルの中央に配置する場合は、携帯端末は意匠上優れた美観を呈していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−283451号公報
【特許文献2】実開平6−34347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記音孔が形成された保護部材を携帯端末の側壁部周辺に配置する場合は、保護部材、前面パネル等の寸法誤差により、音孔がレシーバ部の中心より偏心してしまい、又は保護部材の面積が増大してしまい、携帯端末は意匠上著しく美観が劣ってしまうなどの問題点があった。
【0007】
また、レシーバパーツ部を両面テープで筐体に接着する場合には、接着面積を確保するために、レシーバパーツ部の面積が増大してしまい、意匠上著しく美観が劣ってしまうとともに、携帯端末全体自体を大型化せざるを得ないという問題点があった。
【0008】
さらに、レシーバパーツ部とケース部を一体化構成とする場合には、意匠上の観点からケース部とレシーバパーツ部の塗装を塗り分ける必要があり、手間が発生するとともに、部品の歩留まりが悪くなりコストが増大するという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、音孔を携帯端末の側壁部に配置する場合でも、保護部を筐体に確実に固定し、携帯端末を小型化するとともに優れた意匠性を有する携帯端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る携帯端末は、筐体内部に、その発音部を該筐体の前面側に向けて配置されたレシーバ部と、該レシーバ部と前記前面に沿って位置をずらして配置された表示素子部と、前記レシーバ部及び前記表示素子部を覆うとともに、前記前面に位置するように配置されたスクリーン部と、該スクリーン部の裏面に配置されたフレキシブルプリント基板と、該フレキシブルプリント基板の裏面に配置された接着部とを備え、前記スクリーン部、前記フレキシブルプリント基板及び前記接着部には、前記レシーバ部を外方へ開放させる開口部が形成され、該開口部内に、音孔を有する保護部が設けられた携帯端末において、前記保護部は前記筐体と前記スクリーン部との間に外方に張り出す張出し部を有し、該張出し部を含む裏面側が前記筐体に接着されていることを特徴とする。
【0011】
このような携帯端末では、スクリーン部、フレキシブルプリント基板及び接着部には、開口部が形成され、該開口部には保護部が設けられている。また、保護部は、筐体とスクリーン部との間に外方に張り出す張出し部を有し、張出し部を含む裏面側が筐体に接着されている。したがって、保護部を筐体に確実に固定することができる。
また、保護部には筐体とスクリーン部との間に張出し部が設けられることにより、保護部は前面側より筐体との接着側の方が断面積を大きくしている。よって、接着面積を確保するとともに、携帯端末を張出し部の大きさ分小型化することができる。さらに、小型化により、コンパクトなデザインとし、優れた意匠性を有する。
【0012】
また、本発明に係る携帯端末は、前記保護部は前記筐体の側壁部近傍に配置されていることを特徴とする。
【0013】
このような携帯端末では、音孔を有する保護部が、筐体の側壁部近傍に配置されている場合でも、保護部を筐体に確実に固定し、携帯端末を小型化するとともに優れた意匠性を有する。
【0014】
また、本発明に係る携帯端末は、前記音孔は複数形成されていることを特徴とする。
【0015】
このような携帯端末では、音孔が複数形成されているために、音孔の合計面積が大きくなり、それにともない音声を外部に十分に出力することができる。
【0016】
また、本発明に係る携帯端末は、前記スクリーン部は、ガラスで構成されていることを特徴とする。
【0017】
このような携帯端末では、スクリーン部がガラスで構成されている場合でも、スクリーン部に形成された開口部に設けられた保護部が、スクリーン部を確実に保護することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る携帯端末によれば、音孔を携帯端末の側壁部に配置する場合でも、保護部を筐体に確実に固定し、携帯端末を小型化するとともに優れた意匠性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る携帯端末の上部の拡大平面図である。
【図3】図2のa−a拡大縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る携帯端末を構成する一部品(a)パネルスクリーン、(b)スクリーン部、(c)フレキシブルプリント基板、(d)スペーサー、(e)接着部の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る携帯端末を構成する一部品(a)レシーバ部、(b)保護部の平面図であり、(c)本発明の一実施形態に係る携帯端末からレシーバ部及び保護部を取り除いた場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る携帯端末1は、扁平形状であり、その表裏面間方向に見たときに略矩形に形成されており、その前面にはパネルスクリーン11が設けられている。
ここで、携帯端末1において、パネルスクリーン11が設けられている側を前面側、対向する面を裏面側、図1の紙面上方を上側、紙面下方を下側、紙面右方を右側、紙面左方を左側と称する(以下同じ。)。
図2及び図3に示すように、携帯端末1について詳細に説明すると、携帯端末1は、上述のパネルスクリーン11と、パネルスクリーン11の外延部に設けられた筐体71と、筐体71内部に配置されたレシーバ部81と、レシーバ部81の下側には配置された表示素子部91とを備える。
【0021】
図3及び図4に示すように、パネルスクリーン11は、前面に位置するように配置されたスクリーン部21と、スクリーン部21の裏側に配置されたフレキシブルプリント基板31と、フレキシブルプリント基板31の裏側に配置された接着部41とを備える。また、パネルスクリーン11は、レシーバ部81及び表示素子部91を覆っている。
【0022】
図3及び図4(b)に示すように、スクリーン部21は、扁平形状であり、その表裏面間方向に見たときに略矩形に形成されており、携帯端末1の前面に配置される。また、本実施形態では、強化ガラスで構成されるとともに、スクリーン部21の上端右側に左右に縦長の第一開口部22が形成されている。
【0023】
図3、図4(c)、(d)に示すように、フレキシブルプリント基板31は、扁平形状であり、その表裏面間方向に見たときに略矩形に形成されており、スクリーン部21の裏面に配置される。また、本実施形態では、フレキシブルプリント基板31の上端右側には上方に開放された凹部32が形成されている。そして、該凹部32の上端にスペーサー33が取り付けられて、左右に縦長の第二開口部34が形成される。また、第二開口部34は第一開口部22より上下方向に大きい形状であるとともに、表裏面間方向に見たときに第一開口部22及び第二開口部34の中心位置Cは略同一である。
【0024】
図3、図4(e)に示すように、接着部41は、扁平形状であり、その表裏面間方向に見たときに略矩形に形成されており、フレキシブルプリント基板31の裏面に配置される。また、本実施形態では、両面テープで構成されている。したがって、接着部41の前面側の面はフレキシブルプリント基板31に接着し、裏面側の面は筐体71に接着している。
また、接着部41の上端右側に左右に縦長の第三開口部42が形成されている。また、第三開口部42は第一開口部22より上下方向に大きい形状であるとともに、表裏面間方向に見たときに第一開口部22及び第三開口部42の中心位置Cは略同一である。
【0025】
したがって、図3に示すように、携帯端末1の前面側から、スクリーン部21、フレキシブルプリント基板31及び接着部41が積層して、パネルスクリーン11を構成する。
また、スクリーン部21、フレキシブルプリント基板31及び接着部41が積層することにより、第一開口部22、第二開口部34及び第三開口部42を表裏面間方向に見て中心位置Cを同一として連通した開口部51を形成する。該開口部51は、レシーバ部81を外方向かって開放させている。また、開口部51の内部には、音孔62を有する保護部61が設けられている。
【0026】
音孔62はレシーバ部81を外方に開放させるとともに、保護部61に形成されている。本実施形態では、図2に示すように、左右に縦長の長穴が左右方向に沿って3個形成されている。
【0027】
図2及び図5(b)に示すように、保護部61は、表面視して、側壁部の近傍である上端右側に位置し、開口部51の内縁に設けられている。したがって、第一開口部22、第二開口部34、第三開口部42のそれぞれの内縁に対応した形状であり、筐体71とスクリーン部21との間に外方に張り出す張出し部63を有する。
【0028】
張出し部63は、音孔62より、フレキシブルプリント基板31、スペーサー33及び接着部41に向かって張り出すとともに、該張出し部63の裏側は筐体71に接着されている。
【0029】
筐体71は、携帯端末1の上側、裏側及び下側を覆うとともに、接着部41及び保護部61の張出し部63と接着している。
【0030】
図5(a)に示すレシーバ部81は、その発音部を前面側に向けて配置されるとともに、音声を音孔62を介して外方に出力する。
【0031】
表示素子部91は、表示機能を担うとともに、レシーバ部81と前面に沿って下側に位置をずれして配置されている。
【0032】
このような携帯端末1では、音孔62は表裏面間方向から見て、携帯端末1の側壁部の近傍である上端右側に位置している。
そして、スクリーン部21、フレキシブルプリント基板31及び接着部41には、それぞれ第一開口部22、第二開口部34及び第三開口部42が形成され、これらが連通して開口部51が形成されている。また、第二開口部34及び第三開口部42は、第一開口部22より上下方向に大きい形状である。また、開口部51の内縁には保護部61が設けられ、該保護部61はフレキシブルプリント基板31及び接着部41に向かって張り出す張出し部63を有する。
したがって、携帯端末1は、張出し部63を含む保護部61の裏面が筐体71に接着されることにより、保護部61を筐体71に確実に固定することができる。
【0033】
また、保護部61にはフレキシブルプリント基板31及び接着部41に向かって張り出す張出し部63が設けられることにより、保護部61は前面側より筐体71との接着面側の方が断面積を大きくしている。したがって、筐体71との接着面積を確保することにより、音孔62を携帯端末1の側壁部に配置する場合でも、保護部61を筐体71に確実に固定することができる。また、携帯端末1は、張出し部63の張り出し寸法分に対応する携帯端末1の上下方向の大きさを小型化することができる。さらに、小型化することにより、コンパクトなデザインとし、優れた意匠性を有する。
【0034】
また、音孔62は、左右に縦長の長穴が左右方向に沿って3個形成されている。したがって、音孔62の合計面積を大きく確保することができ、それにともない音声を外部に十分に出力することができる。
【0035】
さらに、スクリーン部21が強化ガラス等のガラスで構成されている場合でも、スクリーン部21に形成された第一開口部22に設けられた保護部61が、スクリーン部21を確実に保護することができる。したがって、スクリーン部21の端部に局所的な力が作用した場合であっても、ガラスが破損するのを確実に防止することができる。
【0036】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…携帯端末
21…スクリーン部
31…フレキシブルプリント基板
41…接着部
51…開口部
61…保護部
62…音孔
63…張出し部
71…筐体
81…レシーバ部
91…表示素子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部に、その発音部を該筐体の前面側に向けて配置されたレシーバ部と、
該レシーバ部と前記前面に沿って位置をずらして配置された表示素子部と、
前記レシーバ部及び前記表示素子部を覆うとともに、前記前面に位置するように配置されたスクリーン部と、
該スクリーン部の裏面に配置されたフレキシブルプリント基板と、
該フレキシブルプリント基板の裏面に配置された接着部とを備え、
前記スクリーン部、前記フレキシブルプリント基板及び前記接着部には、前記レシーバ部を外方へ開放させる開口部が形成され、
該開口部内に、音孔を有する保護部が設けられた携帯端末において、
前記保護部は前記筐体と前記スクリーン部との間に外方に張り出す張出し部を有し、該張出し部を含む裏面側が前記筐体に接着されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記保護部は前記筐体の側壁部近傍に配置されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の携帯端末において、
前記音孔は複数形成されていることを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯端末において、
前記スクリーン部は、ガラスで構成されていることを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−5256(P2013−5256A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134920(P2011−134920)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】