説明

携帯電話を利用した遠隔操作装置。

【課題】携帯電話同士で相手方のキーを動作させ、テレビ電話機能を有効化するシステムがあるが、テレビ電話は高額な通信費で頻繁な接続には適していない。また、WEBカメラを利用する方法もあったが、やはり高通信費、配線工事必要であり、廉価に設置する事が困難であった。
【解決手段】携帯電話を使い、遠方にある電話に接続を行い、この後手元の電話からDTMF音を遠隔操作装置に送る事で、カメラ撮影画像や接続された機器の状態をEメール等で送ることが可能である。この時に、2台の電話を電話会社が提供する特定番号間無料通話の登録等を利用し、通信費用をほとんど必要としない通信が可能となる。このように、技術やサービスの変化の激しい携帯電話であっても、各社共通なボタン操作で制御を行う点に着目して制御を行う遠隔操作装置を「アクチェータの配列を変更が容易な機構構成で製作」し多くの携帯電話機種に対応可能な遠隔操作装置を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話を利用した遠隔操作装置、およびこれを利用した遠隔操作システムに関し、詳細には、遠隔監視システムとして、室内にいる高齢者等が該携帯電話を利用した遠隔操作装置を操作する事無く、遠隔地などの室外にいる見守り者と会話する事が可能な装置である。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の進歩は急速であり、高機能化している。急速な進歩により、通信電波方式も新たなものに次々と変化し、ユーザーも機器の買い替えサイクルが早く、携帯各社は独自の特化した機能をもつ携帯電話の開発や新しいサービス展開を繰り返している。一方で、複雑な情報化機器の操作に苦手な高齢者は、撮影した画像の送付方法や、パケット通信数の大きさで料金が計算され、多くの契約種類がある複雑な料金体系等を持つ携帯電話の利用には臆病になってしまっている。遠方の高齢者の状況や声を聞きたい場合、パソコンを利用したテレビ電話や、携帯電話のテレビ電話機能を使う方法も考えられるが、パソコンの複雑な設定やネットワークへの接続が困難であること、プロバイダの月額料金が必要である等、ローコストで簡単に実現する事が難しく、また、携帯電話のテレビ電話の利用も、通信費が大きく、頻繁に接続する事は費用面で困難であり、多くは実現されていない。
【0003】
携帯電話の普及や競争により、固定電話と比較し、月の基本契約料が安く、各携帯電話会社が行うサービスによっては家族間通話無料やメール無料の契約や、企業内通話無料サービスもあり、このような、新しい携帯電話の通信手段を選択する事で、通信費を低く抑えて見守りシステムを構築することも可能である。
【0004】
携帯電話サービス各社は、1年に数度のモデルチェンジを繰り返し、次々と新しいサービス機能を付加するため、携帯電話のボタン位置や形状が、僅かずつであるが、変化してくる。この事により、携帯電話のリモートコントロールを行うのに、特開2005−39773号公報(特許文献2)のように、ひとつのボタン操作するために、大きな機構を使うと、密集した操作機構の取り付けは困難であり、特開2000−324262号公報(特許文献3)のように、直結したソレノイドの配置によって、ボタン操作をダイレクトに行う方法が提示されているが、ほとんどの携帯電話のボタン配置間隔が10mm以内となっている為、ソレノイド外径を10mm未満とする必要があるが、このような小型ソレノイドは、0.6N未満の推力の物がほとんどであり、一般的な携帯電話ボタン操作に必要な1.5Nの推力を作る事が不可能と考えられる。
【0005】
高齢化により、独居老人の世帯が増えた今日では、地域によるケアも行われているが、世帯数の増加により、各世帯を巡回する見守りでは、移動時間等が必要となり、効率が悪く、十分な見守りを行うための人員が多く必要になる欠点もあった。
【0006】
効率的な高齢者見守りシステムの構築のため、webカメラの設置や、電気使用量や、焦電センサによる老人の生活信号を自動でデータ採取を行い、コンピューターによる自動警報システムも一部では開発されたが、効率化を図り過ぎると、人間のコミュニケーション部分の重要性を軽視したシステムとなり「人を物として扱う欠点」もある。このため、高齢者見守りシステムには、人と人が会話することのできる機能も求められるが、見守りサービスを受ける高齢者に携帯電話等の機器操作を要求する事が困難であった。
【0007】
この改善策として、高齢者見守りシステムでは、老人の生活状態をプライバシーも大切にしながら「人と人の会話も行えるシステム」であり、「通信費も廉価」に提供できることが求められている。
【0008】
しかし、携帯電話会社のサービスは競争や変化が激しく、モデルチェンジが年に数回行われ、契約形態も多様なものが新しく設けられ、同じ携帯電話を継続して10年使う人は、ほとんどいない。したがって、携帯電話会社が供給するさまざまな携帯電話機で制御可能な、遠隔操作装置を実現する事が求められるが、特許第4147326号公報(特許文献1)で記載されている操作機構の形状記憶ソレノイド等は、図中では非常にコンパクトなモデルとして記載されているが、抽象的な表現であり、ピストンロッドのストロークを一定長さ以上1.5Nを超える推力で実現する根拠については触れられておらず、実現不可能な形状が記載されている。多くの個数の安定した形状記憶ソレノイドを廉価に配置する点については具体的な手法が記載されていない。この為、実質的には実現不能な形状が記載されている。
また、特許第4147326号公報(特許文献1)で記載されているモータとカムを用いてキーを操作する記載も、具体的に多数個のキー操作を行う方法については、記載されていない、多くのキーを操作する形状でも無い。
【0009】
また、特開2000−324262号公報(特許文献3)で記載されている携帯電話のボタンを操作するアクチェータは、電磁石、空気、又は圧電素子と記載されているが、説明の図にも操作するアクチェータは3個程度しか記載が無く、携帯電話の密集した操作ボタンに自在に位置を調整してつける事は想定されていない。
【特許文献1】特許第4147326号公報
【特許文献2】特開2005−39773号公報
【特許文献3】特開2000−324262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、遠隔操作装置を高齢者の独居世帯に設置する事で、外部から見守りをしたい親族や、見守りを受け持つ地域グループ等の存否確認者が、遠隔操作装置の認証番号を電話やパソコンで入力すると、高齢者は機器に触ることなく、予め居室内に設置された機器で、その見守りを行う人と、その高齢者の間で、インターホンのように会話を行う事が出来るシステムを廉価な通信機器と廉価な通信費で実現したいが、現状ではこれらの要求を満たす適当な製品が無い点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はこれらの課題解決、要求を満たすものとして携帯電話を利用した遠隔操作装置を提供するものであって、第一に、携帯電話の操作ボタンを、該操作ボタンの配列に合わせて配置した複数個のアクチェータで操作を行う機能を有した操作機構部と、外部通信手段により送信されてきたDTMF信号を解析し、前記複数個のアクチェータを操作する制御信号に変換し、操作機構部を駆動する制御機能を備えている事を特徴とし、また、外部接続された接点信号や、センサ信号からの電圧電流等のアナログ入力により、あらかじめ登録された設定機能動作を操作機構部の順位的駆動によって携帯電話の操作ボタンを押動操作する事で、携帯電話が有している写真撮影機能や、メール作成発信機能や通話発信機能を自動で実行する事を可能とする遠隔操作装置であり、前記複数個のアクチェータ配列を操作ボタンの配列に合わせて変更調節固定可能に構成し、接続する携帯電話の機種が変更されても、操作機構の配列や動作を変更し対応する事が可能な事を特徴とするものであり、見守りシステムとしての携帯電話を外部から的確に操作することが可能であり、また携帯電話の仕様が変更されても容易に設定変更を可能にしたものである。
【0012】
第2に、携帯電話機は、携帯電話数社によって、競合するさまざまなサービスを行っているが、A社(説明上A、B、C、3社で説明)の携帯電話も、B、C社の携帯電話も、サイズ機能がそれぞれ異なり、通信搬送波種類や、通信プロトコル、料金体系も異なったものとなっているが、携帯電話の「電話をかける」動作については、ほぼ共通のボタン操作となっている。また、ボタン配置や、ボタンのストロークや機能スイッチの割り当て機能も、ほぼ共通であり携帯電話内部の電子回路や、制御プログラムが異なっているが、「人がボタン操作で電話機能を使う点」では、ほぼ共通の動作仕様となっている。その特徴を利用し、携帯電話の操作パネル面に、携帯電話が有している押しボタンスイッチとほぼ同数の操作アクチェータを配置し、その配置されたアクチェータのレイアウトを容易に変更が可能となる機構を設けている事を特徴とする、遠隔操作装置を実現したものである。
【0013】
第3に、前記する制御機能は、携帯電話と独立したCPUを持ち、携帯電話の制御ソフトと独立して機能する事を可能とする為、複数の携帯電話会社の携帯電話にも「ボタン操作をする」人間の操作部分で共通の部分で携帯電話の制御にかかわることで、モデルチェンジや構成制御ソフトの変化の急激な携帯電話の成長にも、「ボタン操作で使う」部分が変化しない限り、簡単な動作プログラム変更のみで対応できることを特徴としその動作パターンを、装置に設けられたディップスイッチやサムロータリースイッチで任意に選択する機能を持つ遠隔操作装置を実現するものである。
【0014】
第4に、ボタン操作のアクチェータ配置を、任意に変更するためには、アクチェータの占める容積が小さく、高密度配置を行っても、左右上下の干渉が無く、多くの個数の配置を行っても安価な必要があるが、小径プッシュソレノイドを利用し、小径であっても、安定した推力とストロークを実現するために、補助プッシュ力をソレノイド後方に組み込んだ、補助推力用バネで補い、携帯電話の押しボタンの操作荷重(一般携帯電話ボタンは約1.5Nの操作力で作られている)より少し少ない値(たとえば1N)で予備押さえ力を与える事で、ソレノイドは0.5N以上の力を推力として作れば携帯のボタン操作を行う事ができる為、小径(径が小型)のソレノイドでも携帯電話のボタン操作が可能であり、小径ソレノイドでも少ないエネルギーで携帯電話ボタン操作を行う事ができる為、携帯電話各社によるボタン配列変化に対応する事ができる、このアクチェータ配置変更のしやすさを実現するために、ソレノイドにばね押し機構を設け、小径であってもソレノイド推力を一定以上保つことを可能にする事を特徴とする遠隔操作装置を実現する。ソレノイドの配置を高密度にするためには、ソレノイドの配置を図10のように、立体的な配置にして、ソレノイドピンの間隔を小さくする事も可能であるが、ソレノイド配置位置を自在に調整するには固定方法が困難な問題が発生しやすいので、小型小径のソレノイドを利用するのが有利である。
【0015】
ここで説明する携帯電話は、近年急速に変化を遂げ、インターネットの無線LANサービス網を利用した、パソコンの不要で通話料金の安いWi−Fiフォン(スカイプフォン等)等も使われるようになっているが、このような通信機器にも柔軟に対応できることを特徴とし、ここで説明する携帯電話は、このようなスカイプフォン等の携帯利用する多様な通信機器も含むものである。
また高齢者のようなIT機器に苦手な人が、携帯電話に触る事無く、さまざまな機能を利用できる。(図7制御構成例)
【発明の効果】
【0016】
この時に使用する携帯電話Aと電話Bの2回線の使用契約を、S社の場合「ホワイト家族24」A社の場合「家族割 + 誰でも割」N社の場合「ファミ割MAX50」で契約を行うと、24時間無料通話が可能なサービスがあるので、この携帯電話契約可能な携帯電話を選んで且、上記の通信費が無料になる契約を行う事で、通信費のかからない見守りシステムや遠隔監視装置を実現する事が可能となる。
【0017】
しかし、電話会社は通信用の搬送電波を一定期間すると更新し、新しい方法に変更を行い(2008年にDoPa新規サービス提供を停止し、後継の通信方式として、FOMAを提供)、携帯電話本体の交換が必要となる等、新しい通信機器に変更が必要になるサイクルが発生する。
【0018】
携帯電話の利用者は、数社の携帯電話会社が行うサービスの内容により機種を選択し、通話エリア等の条件も合わせて機種選択を行うが、毎年変化を繰り返す携帯電話会社サービスによって、数年後には新機種への切り替えを行う必要がある。
【0019】
この時に、携帯電話の種類が変更されても、基本的なボタン操作や、ボタン配列は、ほぼ同様の規格で作られている事に着目し、ボタン操作を行う事で携帯電話の制御を行う事のできる、遠隔操作装置を利用すれば、比較的容易に電話機本体の交換に対応ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、高齢者を見守る遠隔地の家族が利用する例を表すものであるが、(ロ)の家族(通話者)が、(イ)の居室にいる高齢者に遠隔地から電話30をかけると、高齢者は居室内に設置された携帯電話を利用した遠隔操作装置としての携帯電話1、遠隔操作装置本体2などの機器を操作する事無く、会話を行う事が出来る。部屋の音は外部接続指向性マイクロフォン5で集音し、通話者の声は外部接続スピーカー4で部屋に出力をされる。
【0021】
また、遠隔操作装置2には遠隔操作装置の外部接続スイッチ・ランプ・接点出力ボックス3が接続されており、高齢者が家族に通報したい場合、該出力ボックス3に設けられるボタンを1個押すだけで、遠隔地の家族にメールに写真を添付して、緊急を表すメッセージを送る事が可能であり、数日間旅行等で出かける場合に、「お出かけモード」の設定を入力する等の利用もできる。
【0022】
図2は、遠隔操作装置の本体2を説明するものであるが、一般的な折りたたみ式携帯電話1を装置にセットする態様を特に示している。遠隔操作装置2は正面に携帯電話接触面(ソレノイドブロック接触面)17を持つ構造で作られているので、携帯電話1のボタン操作面をこの接触面17に接する状態で取り付けを行い、携帯電話1は棚状の携帯電話固定ブロック8と、携帯電話1の左右方向と下方向を規制する受け部材である携帯電話位置決め固定ブロック9で固定されている。
【0023】
携帯電話1は、各社さまざまな機種が発売されその、形状は多種であるが、押動式の操作ボタンが配置されている操作面は、幅50mm長さ85mmのサイズで操作面寸法はほぼ共通であり、5mm以上外れるものは、ほとんど無い。
【0024】
また、携帯電話1の操作ボタンの配列も、テンキー(0〜9キー)とオンフックやクリアキー、オフフックキー、機能選択キーなど、ほぼその配列やピッチもほぼ共通寸法である。
【0025】
したがって、この携帯電話接触面17に対向配置されているソレノイドのピッチや配列変更は、大幅なものは殆ど無く左右上下の位置修正が5mm程度可能な構造であれば、多くの種類の携帯電話を接続して使うことの可能な装置となる。
【0026】
また、図で説明する遠隔操作装置本体には、焦電センサ6が付属しているので、人体が発する赤外線エネルギーの変化を検出する事ができる為、この遠隔操作装置の設置されている周辺で人の動きがあったことを、記憶する事も可能である。
【0027】
例えば、あらかじめ、遠隔操作装置2のプログラム上の設定に、この焦電センサ6が24時間以上の時間にわたって非道さだった場合に、指定アドレスに、「アラーム1」と本文に書いたメールを作成して遠隔地の見守り者に送る設定登録を行って置いた場合には、遠隔地でこの高齢者の見守りを行う家族に高齢者が、いつもとは異なった生活リズムになっている事を知らせる事ができる。
【0028】
これにより、遠隔地の家族は、電話をかけて、インターホンのように部屋の音を聞いたり、呼びかけをしたり、部屋の写真を撮ってメールで送らせることで、部屋の状態を見る事もできる。この時、テレビ電話の機能を使う事もできるが、一般的にこのテレビ電話機能の通信費は高額であるので、頻繁に使う事は困難であるから、通常は写真撮影と、メール添付を利用する方が軽い経費負担(契約によって無料通信費)で運用しやすい。
【0029】
携帯電話会社は、市場競争の一つに、同一会社の携帯電話間音声通話や、メールのパケット通信料が無料になるサービスを行う等、同一家族や、同一会社の携帯電話間通話が無料になるサービスを行っている。
【0030】
このようなサービスをうまく利用すると、基本通話契約料以外の通信費が発生しない遠隔操作装置2による遠隔監視や、遠隔コントロールを実現する事ができる。
【0031】
図3は携帯電話の操作ボタン部を操作するソレノイド配置金具10に設けられるソレノイド11の多数個で構成されるソレノイドブロックを、携帯電話と接する反対面から斜視したものであるが、1枚の板バネ12に略コの字状に切欠いた孔を多数作る事で、独立したバネ機構を作り、この図では、23個形成している状態を表している。
【0032】
ソレノイド11位置は、後述するソレノイドブロックの構造上若干の修正が可能であり、ソレノイドピンの背面がこの板バネの個別接触片の一部に接触する限り、位置を変更しても機能上問題は無いが、この領域を外れるような機種対応が必要になった場合でも、1枚の安価な部品の交換で対応可能な構造である特徴を持っている。
【0033】
図4は、携帯電話の操作ボタン部を操作するソレノイド多数個で構成されるソレノイドブロックを、携帯電話と接する面から斜視したものであるが、携帯電話1とこのソレノイドブロックの位置関係を上下には、自在にセット可能であり、左右のソレノイドピッチはソレノイドピンの通過する孔を長孔形状とする事で、調整範囲を持っている事を説明するものである。すなわち、この長孔の融通範囲で複数個のアクチェータ配列を携帯電話の操作ボタンの配列に合わせて変更調節固定可能に構成されている。
【0034】
ほとんどの携帯電話は、操作ボタン面がフラットで、内部にタクタイルスイッチを組み込んだものが多いが、一部操作ボタンに突起形状がある場合等に問題が発生しないように間隙調整用のソレノイドストローク調整スペーサ16を設けて対応している。
【0035】
図5は、ソレノイドブロックの構造を示す展開斜視図であるが、ソレノイド配置金具10の上から、ソレノイドを下向き(通電時ピンが下に向かって出る姿勢)で対象となる携帯電話の操作ボタンの配列寸法に合わせて配置する。
【0036】
次に、ソレノイドの背面に接する部分に薄板状のウレタンゴム13を配置し、さらにその上に断面U字形状のソレノイド背面押さえ金具14を乗せる、次に板バネ12を乗せて、前述のソレノイドを挟み込むようソレノイドクランプネジで固定する。
【0037】
ソレノイド11は、ソレノイド配置金具10と、ソレノイド背面押さえ金具14をソレノイドクランプネジ15でクランプ固定するだけであるので、位置調整自由度が高く、配列の変更が容易である。
【0038】
図6は、最近数年間の間に発売された携帯電話の異なる機種を撮影したものであるが、その操作ボタンの配置や機能には、大きな差が無い事がわかる。
【0039】
図7は、制御と通信に関わるブロック図であるが、携帯電話21のイヤホンジャックコネクターから、携帯電話の音出力と、マイク入力の電気信号を本装置に引き込み、DTMF信号を解析する回路ブロックに接続し、また、インターホン機能を活用するために、外部スピーカー22への接続や、指向性マイク23による部屋音の採取を行うための回路ブロックをしめすものである。この制御を行うCPUには、人体から発する赤外線の変化を検出する焦電センサ24や、携帯電話のボタン操作を行う、ソレノイドや、外部機器を制御する為の有接点出力を内蔵した外部接続スイッチ・ランプ・接点出力ボックス25も接続され、外部から接続された電話によって、遠隔操作装置の電話を制御し、インターホン機能や、焦電センサの動作状態による警報動作等を実現することのできる構成を示している。
【0040】
また、遠隔地から接続可能な通信機器30は、パソコンによるIP電話や、携帯電話、従来からある固定電話であっても、DTMF音を生成できる機能があれば利用が可能であり、遠隔操作装置に取り付けられた携帯電話21から、メール機能を利用して、メールサーバ20に、写真やテキストを送ることも示している。
【0041】
図8は、携帯電話のボタン操作を行うソレノイドの断面図。図中のコイルに非通電時(ホ)の時には、ソレノイドプランジャピン39は、携帯電話のボタン部と接する事で受ける反力によって、押し上げられ、ソレノイドプランジャ背面に配置された板バネ12に複数個も受けられている舌状の板バネ38の押す力とバランスをとった位置で安定する。 一般に携帯電話に使われる押しボタンスイッチは、1.2Nから、1.7N程度の初期荷重を持っているので、ソレノイドプランジャ背面に配置された、板バネは約1N程度の押さえ力となるよう形状や厚さが設計されている。(ヘ)の状態図は、ソレノイド通電を行う事で、ソレノイドプランジャが前進した状態を示す図であり、約0.5Nのソレノイド推力であっても、背面の板バネの押す力との合成力として1.5N程度の推力を持って前進する状態を示している。
【0042】
このように、ソレノイドピン39の背面に板バネ38を配置し、ソレノイド推力の補助となる力を与える事で、ソレノイドコイルを小さくする事が可能となり、携帯電話の操作ボタンの配置変更に柔軟に対応する事が可能となる。また、ソレノイドプランジャピン39が携帯電話のボタン部と常時接触することにより無用な衝突音の防止を図り、ガタつくことも無くボタンの操作応答性を良くしている。
【0043】
図9は、ソレノイドピン52と、板バネの位置関係を詳細に説明するものである。(チ)は、ソレノイドとピンが独立した部品であり、この図の上下方向にピンが動作する構造を示している。(リ)は板バネが部分的に切欠かれたことで、小さな板バネ切片構造ができたものを少し曲げる事で、一枚の板バネから多くのソレノイドピンを個別に押さえることのできるバネ構造を作る説明を示すものである。板バネの54付近は、ソレノイドピンが前進時のバネ部側面を示し、53付近はソレノイドピンが後退時のバネ部側面図を示すものである。
【0044】
図10は、この発明において重要な部分であるソレノイドを高密度で配置する方法の別手法を説明する図あり、ソレノイドをソレノイドピンの押し引き方向の前後位置にずらして立体的に配置する事で、ソレノイドの直径より小さいピッチのソレノイド間隔を実現する側面図(ル)と斜視図(ヲ)であるが、個別のソレノイドの固定方法が多くの部品を必要とする事や、動作ストロークの調整が難しい等の問題が発生するので、廉価な機器の実現には課題を残している例を示す。
【実施例1】
【0045】
図1は、本発明装置の実施例の図であり、高齢者の居室に設置を行い、利用する例を示すものである。たとえば、この家は高齢者が一人住まいを行い、遠隔地にいる家族が、日々見守りを行う場合に使っている例を示しているが、居室に設置された本発明の遠隔操作装置には、焦電センサが設けられ、本装置の前を人間が通ると検出信号を記憶し、この居室で人の動作が確認されたことを記録する。
【0046】
通常の生活を送っている場合、この居室に1日に1回以上この高齢者が訪れ、センサ反応を発生させる場合、通常の生活を送っている事が予測されるが、例えば別室である寝室から外に出る事無く、通常の生活リズムと異なった生活を行った場合、例えば、体調不良で寝室から出てこなくて24時間以内に一度もこの焦電センサが検出動作を行わない場合があったと仮定すると、遠隔操作装置はこの24時間以内に焦電センサの検出を確認できなかった場合の動作を開始する。
【0047】
遠隔操作装置のプログラムによって、各種の動作が考えられるが、一例として、携帯電話Aに付属のカメラ撮影機能と、メールに添付して送信する機能を、ボタン操作をアクチェータで実行する事で、この居室の状況を遠隔地に送信する事が可能となる。また携帯電話Aは電話Bからの着信を自動で接続する事が可能であるので、回線を接続後、指向性マイクで部屋音を送信し、電話Bからの音声をスピーカー経由で出力する事で電話Bとの間でインターホンの用に会話を行う事も可能となる。
【0048】
異常検出した時にあらかじめ登録された通報動作をする事も可能であるが、通信費用が小さい利点を活用し、近年行われ始めた、地域による独居老人の見守りシステム等に利用した場合、インターホン機能による、「声かけ」の利用でも利用効果が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この、遠隔操作装置は、携帯電話の電波が届く範囲であれば、周辺の写真を撮影して送ったり、外部接続されたセンサ類の信号レベルを数値化して送ったり、外部接続されたモータやランプを制御する事も専用通信線を敷設する事無く実現が可能であり、農業用水門設備の監視や、遠隔地の設備管理等も廉価かつ容易に実現する事が可能となる。
【0050】
また、高齢者の見守りシステムとしての説明では、「焦電センサの動作が定期的に無い場合にアラーム動作」としていたが、無人倉庫等の侵入者警報装置として、焦電センサが動作した時にカメラで撮影した画像を指定アドレスに送る動作を登録しておけば、防犯カメラとして利用が可能であり、通信配線工事を必要としない防犯カメラ付き警報装置を安価に実現する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明装置の実施例の図であり、高齢者が携帯電話の操作ボタンを操作すること無く、遠隔地の家族が掛けた音声電話に応答する事が可能である利用例を示している。装置に設けられた焦電センサ6によって、人体検知を行ったデータに基づいて、家族が見守ることのできる、遠隔操作装置の設置利用例も示している。図の(イ)は高齢者居室、図の(ロ)は、遠隔地の家族を示す。
【図2】本発明装置の実施例の図であり、携帯電話がソレノイドアクチェータの多数個(この図では23個)で構成されたソレノイドブロックユニットの上に、覆いかぶせるようにセットし、携帯電話固定ブロック8と、携帯電話位置決め固定ブロック下9で携帯電話を、ソレノイドブロック接触面17と接触状態で固定する様子を部品構成がわかるように展開した状態を示すものである。(ハ)は展開状態を表す側面図、(ニ)は、正面図、(ホ)は、展開状態を示す斜視図。
【図3】本発明装置の実施例の図であり、携帯電話のボタンを操作するソレノイドブロックユニットを背面から立体図示したものであり、ソレノイド11の背面からソレノイドプランジャピンを押す方向に力を発生する板バネ12の存在を説明するためのものである。
【図4】本発明装置の実施例の図であり、携帯電話のボタンを操作するソレノイドブロックユニットを前面(携帯電話と接する面)から立体図示したものであり、ソレノイド11の前面に配置されたソレノイド配置金具10からソレノイドプランジャピンが突起している状態を表している。通常の制御においては、いずれか1個のソレノイドプランジャピンが突起する事で、携帯電話のボタン操作を行うがピン部の穴が長穴とされている範囲では左右位置の調整も可能な形状である事を表している。
【図5】本発明装置の実施例の図であり、携帯電話のボタンを操作するソレノイドブロックユニットの構成を表すために展開して表すものであるが、ソレノイド配置金具10の上にソレノイド11をピン出力下向きで配置し、ウレタンゴム13を挟んで、ソレノイド背面押さえ金具14で挟み込みソレノイドを固定する。この時、携帯電話の機種によって発生するボタン位置の差は、数ミリの範囲であれば位置調整で対応する事が可能となる。また、ソレノイド背面押さえ金具の背面に板バネを配置し、ソレノイドのピンに前進方向へ予め1N程度の予力を加えているようすを示している。
【図6】近年に発売された携帯電話の3種類35、36、37をサンプルとしてキー配列や寸法を説明する為に撮影した写真の線画であるが、製造会社が異なってもテンキーのピッチや大きさ、アドレス帳ボタンの位置、ファンクションボタンの位置やサイズもほぼ同等である例を示すものである。
【図7】本装置の制御と通信に関わるブロック図であるが、携帯電話のイヤホンジャックコネクターから、音出力と、マイク入力の電気信号を本装置に引き込み、DTMF信号を解析する回路ブロックに接続し、また、インターホン機能を活用するために、外部スピーカーへの接続や、指向性マイクによる部屋音の採取を行うための回路ブロックをしめすものである。また、この制御を行うCPUには、人体から発する赤外線の変化を検出する焦電センサや、携帯電話のボタン操作を行う、ソレノイドや、外部機器を制御する為の有接点出力、制御用モータ等も接続された構成図である。
【図8】携帯電話のボタン操作を行うソレノイドの断面図。図中のコイルに非通電時(ホ)の時には、ソレノイドプランジャピン39は、携帯電話のボタン部と接する事で受ける反力によって、押し下げられ、ソレノイドプランジャ背面に配置された板バネ38の押す力とバランスをとった位置で安定する。 一般に携帯電話に使われる押しボタンスイッチは、1.2Nから、1.7N程度の初期荷重を持っているので、ソレノイドプランジャ背面に配置された、板バネは約1N程度の押さえ力となるよう形状や厚さが設計されている。(ヘ)の状態図は、ソレノイド通電を行う事で、ソレノイドプランジャが前進した状態を示す図であり、約0.5Nのソレノイド推力であっても、背面の板バネの押す力との合成力として1.5N程度の推力を持って前進する状態を示している。
【図9】本装置で使用されるソレノイドの動作説明補足図であり、隣接するソレノイドが、突起と引き込み状態にある特の板バネ姿勢を側面図と、下面図側から見た板バネ51及び、ソレノイド構造を説明する斜視図を表す。(チ)はソレノイド構成を示す側面図、(リ)は、ソレノイドと板バネの姿勢を表す正面図と、底面図、(ヌ)は、ソレノイド構成を示す透視斜視図
【図10】ソレノイドの配置を高密度とする為の配置例であり、ソレノイドが立体的に配置されている。(ル)は側面図、(ヲ)は、斜視図、それぞれのソレノイドの位置調整に問題があり、立体的な配置が不向きな例を示す。
【符号の説明】
【0052】
1 携帯電話
2 遠隔操作装置本体
3 遠隔操作装置の外部接続スイッチ・ランプ・接点出力ボックス
4 外部接続スピーカー
5 外部接続指向性マイクロフォン
6 人体検知の焦電センサ
7 携帯電話のカメラレンズ部
8 携帯電話固定ブロック
9 携帯電話位置決め固定ブロック下
10 ソレノイド配置金具
11 23個のソレノイド
12 板バネ
13 ウレタンゴム
14 ソレノイド背面押さえ金具
15 ソレノイドクランプ用ネジ
16 ソレノイドストローク調整スペーサ
17 ソレノイドブロック接触面
20 メールサーバ
21 携帯電話
22 外部接続スピーカー
23 外部接続指向性マイクロフォン
24 焦電センサ
25 外部接続スイッチ・ランプ・接点出力ボックス
26 遠隔操作装置本体制御ブロック構成
30 遠隔地から接続可能な通信機器
35 T社製品W61Tの携帯電話操作部
36 K社製品W31K携帯電話操作部
37 K社製品A5526K携帯電話操作部
38 板バネ 側面図
39 ソレノイドプランジャピン
40 ソレノイドコイル
41 降下したソレノイドプランジャピン
50 ソレノイドピンを抜いた状態図
51 予圧用の板バネ部から見た図
52 ソレノイド可動部ピン
53 予圧を加えている板バネ側面
54 ソレノイド組図斜視図
55 非通電時ソレノイドピン姿勢(突起)
56 通電時ソレノイドピン姿勢図(引込)
57 ソレノイド電磁コイル部
58 立体配置のソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話の操作ボタンを、該操作ボタンの配置に合わせて配列した複数個のアクチェータで操作を行う機能を有した操作機構部と、外部通信手段により送信されてきたDTMF信号を解析し、前記複数個のアクチェータを操作する制御信号に変換し、操作機構部を駆動する制御機能を備えている事を特徴とし、また、外部接続された接点信号や、センサ信号からの電圧電流等のアナログ入力により、あらかじめ登録された設定機能動作を操作機構部の順位的駆動によって携帯電話の操作ボタンを押動操作する事で、携帯電話が有している写真撮影機能や、メール作成発信機能や通話発信機能を自動で実行する事を可能とする遠隔操作装置であり、前記複数個のアクチェータ配列を操作ボタンの配列に合わせて変更調節固定可能に構成し、接続する携帯電話の機種が変更されても、操作機構の配列や動作を変更し対応する事が可能な事を特徴とする携帯電話を利用した遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1の遠隔操作装置に接続する携帯電話機は、携帯電話数社によって、競合するさまざまなサービスを行っているが、A社(説明上A、B、C、3社で説明)の携帯電話も、B、C社の携帯電話も、サイズ機能がそれぞれ異なり、通信搬送波種類や、通信プロトコル、料金体系も異なったものとなっているが、携帯電話の「電話をかける」動作については、ほぼ共通のボタン操作となっている。また、ボタン配置や、ボタンのストロークや機能スイッチの割り当て機能も、ほぼ共通であり携帯電話内部の電子回路や、制御プログラムが異なっていても、「人がボタン操作で電話機能を使う点」では、ほぼ共通の動作仕様となっている。その特徴を利用し、携帯電話の操作パネル面に、携帯電話が有している押しボタンスイッチとほぼ同数の操作アクチェータを配置し、その配置されたアクチェータのレイアウトを容易に変更が可能となる機構を設けている事を特徴とする請求項1に記載の携帯電話を利用した遠隔操作装置。
【請求項3】
前記する制御機能は、携帯電話と独立したCPUを持ち、携帯電話の制御ソフトと独立して機能する事を可能とする為、複数の携帯電話会社の携帯電話にも「ボタン操作をする」人間の操作部分で共通の部分で携帯電話の制御にかかわることで、モデルチェンジや構成制御ソフトの変化の急激な携帯電話の成長にも、「ボタン操作で使う」部分が変化しない限り、簡単な動作プログラム変更のみで対応できることを特徴としその動作パターンを、装置に設けられたディップスイッチやサムロータリースイッチで任意に選択する機能を持つことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話を利用した遠隔操作装置。
【請求項4】
請求項1で説明した、ボタン操作のアクチェータ配置を、任意に変更するためには、アクチェータの占める容積が小さく、高密度配置を行っても、左右上下の干渉が無く、多くの個数の配置を行っても安価な必要があるが、小径プッシュソレノイドを利用し、小径であっても、安定した推力とストロークを実現するために、補助プッシュ力をソレノイド後方に組み込んだ、補助推力用バネで補い、携帯電話の押しボタンの操作荷重(一般携帯電話ボタンは約1.5Nの操作力で作られている)より少し少ない値(たとえば1N)で予備押さえ力を与える事で、ソレノイドは0.5N以上の力を推力として作れば携帯のボタン操作を行う事ができる為、小径(径が小型)のソレノイドでも携帯電話のボタン操作が可能であり、小径ソレノイドの少ないエネルギーで携帯電話ボタン操作を行う事ができる為、携帯電話各社によるボタン配列変化に対応する事ができる、このアクチェータ配置変更のしやすさを実現するために、ソレノイドにばね押し機構を設け、小径であってもソレノイド推力を一定以上保つことを可能にする事を特徴とする請求項1に記載の携帯電話を利用した遠隔操作装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−124329(P2010−124329A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297146(P2008−297146)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(300093179)株式会社 ユニプラン (2)
【Fターム(参考)】