説明

携帯電話機及び携帯電話機の評価用データの取得方法

【課題】携帯電話機の使用者がどのような使用状況でどのような操作を行ったのかを解析することが可能な評価用データを取得することを図る。
【解決手段】使用者のキー操作に応じて動作し、表示画面上に情報を表示する携帯電話機の評価用データの取得方法であって、該携帯電話機がキー操作を記録するとともに、該キー操作が行われた時の表示画面の画面データとステータスデータを当該キー操作のログデータに関連付けて記録する(S2,S3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機及び携帯電話機の評価用データの取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機のキー操作試験を効率的に行うために、例えば特許文献1に記載の技術では、キー操作ログを保持し、該キー操作ログを使用してキー操作を再現するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−17418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、携帯電話システムの品質評価において、携帯電話機の使用者がどのような使用状況でどのような操作を行ったのかを解析することが試みられている。この解析には使用者のキー操作ログを利用することができるが、以下に示すような問題がある。
【0004】
一般的な携帯電話機では、キーの数が少ない等の理由から、一つのキーに対して携帯電話機の動作状態に応じた複数の機能が割り当てられる。このため、単にキー操作を記録しても、そのキー操作がどのような動作状態の時になされたのかがわからないと、実際に使用者がどのような携帯電話機の使用状況にあったのかを把握することは難しい。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、携帯電話機の使用者がどのような使用状況でどのような操作を行ったのかを解析することが可能な評価用データを取得することのできる、携帯電話機及び携帯電話機の評価用データの取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る携帯電話機は、使用者のキー操作に応じて動作し、表示画面上に情報を表示する携帯電話機において、前記キー操作を記録するキー操作ログ記録手段と、前記キー操作が行われた時の前記表示画面の画面データを当該キー操作のログデータに関連付けて記録する画面データ記録手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る携帯電話機においては、前記キー操作が行われた時の自携帯電話機のステータスデータを当該キー操作のログデータに関連付けて記録するステータスデータ記録手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る携帯電話機の評価用データの取得方法は、使用者のキー操作に応じて動作し、表示画面上に情報を表示する携帯電話機の評価用データの取得方法であって、前記携帯電話機が前記キー操作を記録するキー操作ログ記録ステップと、前記携帯電話機が、前記キー操作が行われた時の前記表示画面の画面データを当該キー操作のログデータに関連付けて記録する画面データ記録ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る携帯電話機の評価用データの取得方法においては、前記携帯電話機が、前記キー操作が行われた時の自己のステータスデータを当該キー操作のログデータに関連付けて記録するステップをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯電話機の使用者がどのような使用状況でどのような操作を行ったのかを解析することが可能な評価用データを取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯電話機1の構成を示すブロック図である。図1において、CPU(中央演算処理装置)11は携帯電話機1の各部を制御する。CPU11は、記憶部12に記憶されるプログラムを実行することにより、各種の機能(通話機能、インターネットアクセス機能、電子メール機能、キー操作ログ記録機能、画面データ記録機能など)を実現する。記憶部12は、CPU11で実行されるプログラムおよび各種データを記憶する。
【0012】
無線部13は、アンテナを介して携帯電話システムの基地局との間で無線信号を送受信し、音声通話又はデータ通信を行う。操作部14は、電話番号等の入力用のテンキー、各種ファンクションキーなどを有する。操作部14は、キーが押下されると、該押下されたキーを示す押下キーデータをCPU11へ出力する。
【0013】
表示部15は、液晶表示パネル等の表示パネルと表示制御回路を有する。表示部13には、CPU11から画面データが入力される。表示部15は、CPU11から入力された画面データを、表示パネルの表示画面上に表示する。CPU11は、携帯電話機1の動作に応じた画面データを表示部15に出力する。
【0014】
マイク16は通話時等の音声を入力する。スピーカ17は通話時等の音声を出力する。
【0015】
次に、図2を参照して本実施形態に係る評価用データの取得動作を説明する。
図2は、図1に示すCPU11が行う評価用データ取得処理の手順を示すフローチャートである。
まずステップS1では、操作部14から押下キーデータが入力されたか否かを判断する。押下キーデータは押下されたキーを示す。押下キーデータが入力された場合はステップS2に進む。
【0016】
ステップS2では、当該キー押下が行われた時の表示画面の画面データを取得する。ここでは、キー押下時点の表示画面の画面データを、当該キー押下直後に取得することになるが、この画面データ取得方法としてはいくつか挙げられる。例えば、CPU11は該画像データ取得が完了するまで、表示画面の画面データを変更しないようにする。或いは、該画像データ取得用のバッファメモリを設け、キー押下時点で表示画面の画面データをバッファメモリに格納しておく。これにより、キー押下時点の表示画面の画面データを、当該キー押下直後に取得することができる。
【0017】
ステップS3では、当該キー押下が行われた時の携帯電話機1のステータスデータを取得する。ステータスデータとしては、起動されているソフトウェアの種別や、ソフトウェアの状態遷移を示すデータなどが挙げられる。ステータスデータ取得方法としてはいくつか挙げられるが、上記のキー押下時点の表示画面の画面データ取得方法に準ずる方法でステータスデータを取得可能である。
【0018】
次いで、ステップS4では、該取得した画像データ及びステータスデータと押下キーデータを関連付けて記録する。このとき、携帯電話機1が有する時計(図1には図示せず)の時刻を取得し、操作時刻として画像データ、ステータスデータ及び押下キーデータとともに記録する。図3に該記録データ(評価用データ)の構成例が示されている。図3の例では、押下キーデータとしてキー名称を利用している。図3に示されるように、評価用データは、操作時刻とキー名称と画像データとステータスデータの組から構成される。画像データは、キー名称で特定されるキーが押下された時に、表示画面に表示されていた画面データである。ステータスデータは、キー名称で特定されるキーが押下された時の携帯電話機1の状態を示すデータ(ステータスデータ)である。ステータスデータとしては、例えば、キー押下時に起動されていたソフトウェアの種別や状態遷移を示すデータなどである。
【0019】
次いで、ステップS5では、本評価用データ取得処理が終了か否かを判断する。この結果、本評価用データ取得処理が終了の場合は図2の処理を終了する。一方、本評価用データ取得処理がまだ終了ではなく、継続する場合はステップS1に戻る。なお、評価用データ取得処理の開始、終了は、コマンド入力によって行われる。該コマンド入力は、操作部14から行ってもよく、或いは、通信によって行ってもよい。
【0020】
本実施形態によれば、評価用データとして、キー操作ログとともにキー操作が行われた時の表示画面の画面データ及びステータスデータが関連付けて記録される。これにより、キー操作が行われた時に表示画面上に表示されていた画面データを知ることができるとともに、その時のステータスデータにより評価用データを分類することができる。そして、その画面データに基づいて、キー操作が行われた時の携帯電話機1の動作状態を認識することが可能である。例えば、評価用データの時系列に従って、キー操作内容とキー操作時点の画像データとから、使用者が行った携帯電話機1に対する操作内容とその操作時点の携帯電話機1の動作状態を把握することができる。
【0021】
これにより、携帯電話機の使用者がどのような使用状況でどのような操作を行ったのかを解析することが可能となる。例えば、使用者が、携帯電話機1でインターネットアクセスを行っていたとする。ここで、使用者が同じキー操作を繰り返した場合、通信状態が悪くアクセスがうまくいかないために同じキー操作を繰り返したのか、或いは、誤って同じキー操作を繰り返したのかを、画面データに基づいて判別することが可能となる。
【0022】
また、携帯電話機1の使用者が行った操作の状況別頻度などを分類したり解析したりすることが可能となる。例えば、使用者が、携帯電話機1でインターネットアクセスを行っていたとする。この場合、ステータスデータに基づき解析を行うことで、トップページへのアクセス頻度などを、画面データを確認することなしに判別し、自動処理により解析することが可能となる。
【0023】
本実施形態に係る評価用データは、携帯電話システムのネットワーク品質のユーザ主観評価や、ウェブサイトの設計における品質基準の策定などに利用可能である。又、携帯電話システムのユーザからのクレーム対応における解析などにも利用可能である。
【0024】
又、本実施形態によれば、キーの操作を起点として画面データを記録するとともにステータスデータを取得する。キー操作の都度、画面データを取得した場合、そのデータ量は膨大になり、画面データを確認して解析することは、解析において多大な負荷がかかることになる。このため、着目したい状態をステータスデータから制限することにより、所望の評価用データを取得データから容易に抽出することができ、負荷軽減を図ることが可能となる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電話機1の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すCPU11が行う評価用データ取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る評価用データの構成例である。
【符号の説明】
【0027】
1…携帯電話機、11…CPU、12…記憶部、13…無線部、14…操作部、15…表示部、16…マイク、17…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者のキー操作に応じて動作し、表示画面上に情報を表示する携帯電話機において、
前記キー操作を記録するキー操作ログ記録手段と、
前記キー操作が行われた時の前記表示画面の画面データを当該キー操作のログデータに関連付けて記録する画面データ記録手段と、
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記キー操作が行われた時の自携帯電話機のステータスデータを当該キー操作のログデータに関連付けて記録するステータスデータ記録手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
使用者のキー操作に応じて動作し、表示画面上に情報を表示する携帯電話機の評価用データの取得方法であって、
前記携帯電話機が前記キー操作を記録するステップと、
前記携帯電話機が、前記キー操作が行われた時の前記表示画面の画面データを当該キー操作のログデータに関連付けて記録するステップと、
を含むことを特徴とする携帯電話機の評価用データの取得方法。
【請求項4】
前記携帯電話機が、前記キー操作が行われた時の自己のステータスデータを当該キー操作のログデータに関連付けて記録するステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の携帯電話機の評価用データの取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−278385(P2009−278385A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127709(P2008−127709)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】