説明

携帯電話機

【課題】ハンドストラップによりセキュリティスイッチを操作するハンドストラップ操作式を採用しながらも、その構造を簡単且つ小型化でき、安価で容易に実施できるようにする。
【解決手段】電話機本体1の連結部2に連結されたハンドストラップ3を所定以上の力で引っ張ったときにセキュリティスイッチ4が働いて緊急通報動作をする。ハンドストラップ3は所定以上の力で引っ張ったときに連結部2から引き外し可能であり、セキュリティスイッチ4は連結部2を含むその近傍に固定された一対の固定導体11,12を備え、ハンドストラップ3を連結部2に連結した状態では固定導体11,12間を閉成し且つハンドストラップ3を連結部2から引き外したときに固定導体11,12間を開成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機本体の連結部に連結されたハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときにセキュリティスイッチが働いて緊急通報動作をするようにした携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機では、電話機本体に緊急通報用のセキュリティスイッチを備え、強盗、脅迫、痴漢その他の犯罪行為に遭遇したときにセキュリティスイッチを操作すれば、セキュリティ機能部が緊急通報動作を作動して警報音、位置情報等を発し、また保護者等の電話機に対してコール信号を送信するようにしたものが提案されている。
【0003】
このセキュリティスイッチの操作形態には、大別して電話機本体に設けられた操作ボタンを介して操作するボタン操作式(非特許文献1)と、電話機本体の連結部に連結されたハンドストラップを所定以上の力で引っ張って操作するハンドストラップ操作式(特許文献1)とがある。
【0004】
ボタン操作式は、電話機本体の前面上部等の適当箇所に操作ボタンを配置し、この操作ボタンを所定方向に摺動又は押圧操作したときにセキュリティスイッチが働くようになっている。またハンドストラップ操作式は、電話機本体にその内部のセキュリティスイッチに連動する操作部材を軸方向に出退自在に設け、この操作部材の先端にハンドストラップを連結して、ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに操作部材が突出してセキュリティスイッチが働くようになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://www.nttdocomo.co.jp/product/kids _phone/sa800i/topics _01.html
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−284711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のボタン操作式は、電話機本体の表面に配置された小さい操作ボタンを操作する必要があるため、緊急時の咄嗟の操作が困難であるという欠点がある。
【0008】
一方、ハンドストラップ操作式は、普段何気なく無意識に触って見ているハンドストラップを所定以上の力で引っ張ればよいので、緊急時でも差程意識することなく容易に操作することができ、ボタン操作式に比較して緊急時の操作性に優れていると云う利点がある。
【0009】
しかし、従来のハンドストラップ操作式は、電話機本体に軸方向に出退自在に設けられた操作部材を介してセキュリティスイッチを操作するようになっており、操作部材を含むセキュリティスイッチの構造が複雑で大型化する。このため携帯電話機自体の製造コストが大幅に高騰するばかりでなく、電話機本体内にそれを組み込むためのスペースの確保が困難である等、小型化、軽量化が要求される携帯電話機では機構的にも採用し難いと云う問題がある。
【0010】
更にハンドストラップにより操作部材を介して電話機本体内のセキュリティスイッチを操作するため、操作部材を含むセキュリティスイッチに故障が生じ易い上に、一旦故障すればハンドストラップを交換するという程度では対処できないと云う欠点もある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、ハンドストラップによりセキュリティスイッチを操作するハンドストラップ操作式を採用しながらも、その構造を簡単且つ小型化でき、安価で容易に実施することができる携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電話機本体の連結部に連結されたハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときにセキュリティスイッチが働いて緊急通報動作をするようにした携帯電話機において、前記ハンドストラップは所定以上の力で引っ張ったときに前記連結部から引き外し可能であり、前記セキュリティスイッチは前記連結部を含むその近傍に固定された一対の固定導体を備え、前記ハンドストラップを前記連結部に連結した状態では前記固定導体間を閉成し且つ該ハンドストラップを前記連結部から引き外したときに前記固定導体間を開成するようにしたものである。
【0013】
前記連結部は前記ハンドストラップを該連結部と前記電話機本体との間の挿通孔に挿通して連結可能であり、前記セキュリティスイッチは前記連結部、若しくは前記連結部と対向する前記電話機本体側の対向面、又は前記連結部と該連結部と対向する前記電話機本体側の対向面とに設けられた前記固定導体と、前記ハンドストラップを前記連結部に連結した状態では前記固定導体間を閉成し且つ該ハンドストラップを前記連結部から引き外したときに前記固定導体間を開成する可動導体と備えたものが望ましい。
【0014】
前記連結部に巻き付けて連結する前記ハンドストラップの無端状の連結紐に前記可動導体を備えたものでもよい。また前記可動導体は前記連結紐の少なくとも前記挿通孔に挿通される部分に組み込まれた導電性細片又は導電性繊維により構成してもよい。更に前記連結紐の少なくとも前記挿通孔に挿通される部分は、前記連結部と前記対向面との間隔よりも大であることが望ましい。
【0015】
また前記連結紐の一部に、前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに破断する破断部を設けてもよい。前記連結部の軸方向の中間又は一端に、前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに前記連結紐が通過して該連結部から外れる隙間を設けてもよい。また連結紐を引っ掛けて前記挿通孔に前記ハンドストラップの引き外し方向に挿入したときに前記挿通孔内に略埋没して前記連結部に係合し且つ前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに前記連結部から離脱する係合片を備え、該係合片に前記可動導体を設けたものでもよい。
【0016】
更に前記連結部は前記ハンドストラップの連結紐を連結する側に、前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに前記連結紐が該連結部から外れて通過可能な隙間を備え、該隙間を挟む両側部に設けられた前記固定導体と、前記両側部に跨がって着脱自在に支架された前記可動導体とを備え、前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに前記可動導体が離脱するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ハンドストラップは所定以上の力で引っ張ったときに前記連結部から引き外し可能であり、前記セキュリティスイッチは前記連結部を含むその近傍に固定された一対の固定導体を備え、前記ハンドストラップを前記連結部に連結した状態では前記固定導体間を閉成し且つ該ハンドストラップを前記連結部から引き外したときに前記固定導体間を開成するようにしているので、ハンドストラップによりセキュリティスイッチを操作するハンドストラップ操作式を採用しながらも、従来に比較してその構造を簡単且つ小型化でき、安価で容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施例を示す携帯電話機の平面図である。
【図2】同説明図である。
【図3】同要部の一部破断平面図である。
【図4】同要部の正面断面図である。
【図5】同要部の一部破断斜視図である。
【図6】同ハンドストラップの要部の平面図である。
【図7】同説明図である。
【図8】本発明の第2の実施例を示す要部の正面断面図である。
【図9】本発明の第3の実施例を示す要部の一部破断平面図である。
【図10】同要部の正面断面図である。
【図11】同変形例を示す要部の平面断面図である。
【図12】本発明の第4の実施例を示す携帯電話機の要部の斜視図である。
【図13】同要部の側面図である。
【図14】同要部の平面断面図である。
【図15】本発明の第5の実施例を示す要部の平面図である。
【図16】同要部の説明図である。
【図17】同変形例を示す断面図である。
【図18】同変形例を示す断面図である。
【図19】本発明の第6の実施例を示す一部破断平面図である。
【図20】同要部の断面図である。
【図21】本発明の第7の実施例を示す要部の側面図である。
【図22】同要部の断面図である。
【図23】同変形例を示す要部の断面図である。
【図24】同装着方法の説明図である。
【図25】本発明の第8の実施例を示す要部の平面断面図である。
【図26】同要部の正面断面図である。
【図27】本発明の第9の実施例を示す要部の一部破断平面図である。
【図28】同要部の正面断面図である。
【図29】本発明の第10の実施例を示す要部の平面図である。
【図30】同要部の正面断面図である。
【図31】同係合片の正面図である。
【図32】同変形例を示す正面断面図である。
【図33】本発明の第11の実施例を示す要部の側面図である。
【図34】同要部の平面断面図である。
【図35】同作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図7は本発明の第1の実施例を例示する。この実施例の携帯電話機は、図1に示すように一体型の電話機本体1と、電話機本体1の連結部2に連結された専用のハンドストラップ3と、連結部2にハンドストラップ3を連結したときに閉成し且つハンドストラップ3を連結部2から引き外したときに開成するセキュリティスイッチ4とを備えている。
【0020】
電話機本体1は図2に示すように緊急通報用のセキュリティ機能部5を備え、セキュリティスイッチ4が働いたときに電源スイッチ(図示省略)のオン・オフに関係なく電源が入ってセキュリティ機能部5が緊急通報動作をして、警報部6が警報音を発し、また送受信部7がコールセンターに対して位置信号を送信し、特定の電話機に対して呼び出し信号を送信する等、所定の緊急通報を行うようになっている。
【0021】
なお、電話機本体1はダイヤルボタン、液晶式等の表示部、電源スイッチ(何れも省略)等を有することは云うまでもない。また電話機本体1は折り畳み、伸縮等による開閉式でもよい。
【0022】
連結部2は電話機本体1の隅近傍その他の適当箇所に配置されている。この連結部2は図3〜図5に示すように軸状であって、電話機本体1との間に形成された挿通孔8を介して電話機本体1と周方向の全周で分離されており、挿通孔8から挿通されたハンドストラップ3をその外周に巻き付けて連結できるようになっている。なお、連結部2は軸方向の両端が電話機本体1に連結されておればよく、その断面形状は円形状、隅が丸みを帯びた角形状、又は板状でもよいし、他の形状でもよい。挿通孔8は電話機本体1の厚さ方向に貫通するか、又はL字状、コ字状等に貫通して形成されている。
【0023】
セキュリティスイッチ4は、挿通孔8を挟んでその両側に振り分けて設けられた一対の固定導体11,12と、ハンドストラップ3を連結部2に連結したときに一対の固定導体11,12間を閉成し且つハンドストラップ3を連結部2から引き千切ったときに一対の固定導体11,12間を開成する可動導体13とを備えた常閉型であって、可動導体13が固定導体11,12間を開成したときにセキュリティスイッチ4が働いて、セキュリティ機能部5が緊急通報動作をするようになっている。
【0024】
一対の固定導体11,12の内、その一方の固定導体11は連結部2の挿通孔8側に、他方の固定導体12は挿通孔8を挟んで連結部2と対向する電話機本体1側の対向面10に夫々配置され、図外の導体を介して電気的にセキュリティ機能部5に接続されている。電話機本体1の筐体は合成樹脂材等の絶縁材により成型されており、各固定導体11,12は絶縁材の表面に装着された金属メッキ等の導電膜により構成され、例えば外部から手指等が接触しない又は接触し難い位置に連結部2の軸方向と略平行な帯状に設けられている。
【0025】
なお、固定導体11,12は連結部2の略全長に設けるのが望ましいが、軸方向の中央部分等の一部に設けてもよい。また各固定導体11,12は必ずしも連結部2の軸方向に略平行である必要はない。更に固定導体11,12は金属線等の導体の一部が所要部位の表面に露出又は突出するようにモールド成型により設けてもよい。
【0026】
ハンドストラップ3は緊急通報用に専用のものであって、連結部2に巻き付けて連結するための無端状の連結紐14が一端側に、滑り止め球等の滑り止め部材15が中間部に夫々設けられる他、その連結紐14に可動導体13が設けられている。例えば、連結紐14は多数の導電性細片又は導電性繊維を紐状に編むか、導電性細片又は導電性繊維と絶縁性繊維とを紐状に編む等により、導電性細片又は導電性繊維が組み込まれており、その導電性細片又は導電性繊維により可動導体13が構成されている。導電性細片は金属箔等を細長く裁断したもの等が適当である。
【0027】
この連結紐14は導電性を有する他に適度な可撓性を有し、無端状の連結紐14を挿通孔8に挿通した後、挿通孔8から出た連結紐14の先端側にハンドストラップ3の他端側を通して引き締めることにより、連結紐14に巻き付け可能になっている。また連結紐14の直径aは、図7に示すように市販の通常のハンドストラップ3の連結紐14aよりも大径であって、挿通孔8に挿通して連結部2に巻き付けたときに可動導体13が各固定導体11,12に圧接するように、連結部2と対向面10との間の間隔b、即ち一対の固定導体11,12間の間隔bよりも若干大になっている。更に連結紐14にはハンドストラップ3を所定以上の力で引っ張ったときに千切れるように略中央部分等の一部に破断部16が設けられている。
【0028】
なお、連結紐14は少なくとも挿通孔8に挿通される部分が大径であり、その部分の表面側に可動導体13があればよい。従って、連結紐14の外周に可撓性及び導電性を有するチューブ状の可動導体13を套嵌してもよい。破断部16は他の部分よりも細くするか、一部に切り込みを入れる等により、他の部分よりも弱くなっている。また連結紐14は少なくとも挿通孔8に挿通される部分に径方向の適度な弾性を有するものでもよい。連結部2には他のハンドストラップを別途連結できるだけの余裕があることが望ましいが、専用のハンドストラップ3のみを連結するものでもよい。
【0029】
このような構成の携帯電話機では、従来に比較して次のような作用効果を奏する。即ち、緊急通報に際しては、ハンドストラップ3を掴んで所定以上の力で引っ張ると、破断部16で連結紐14が千切れて連結部2から外れる。このため連結紐14の可動導体13が一対の固定導体11,12から外れてセキュリティスイッチ4が働き、セキュリティ機能部5が緊急通報動作をする。
【0030】
構造的にはセキュリティスイッチ4は挿通孔8を挟んで連結部2及び対向面10に固定された一対の固定導体11,12と、ハンドストラップ3を連結部2に連結したときに固定導体11,12間を閉成し且つハンドストラップ3を連結部2から引き外したときに固定導体11,12間を開成する可動導体13とを備えているため、ハンドストラップ3を引っ張ってセキュリティスイッチ4を操作するハンドストラップ操作式を採用しながらも、従来に比較してその構造を簡単且つ小型化でき、安価で容易に実施することが可能である。
【0031】
取り分け挿通孔8を介して電話機本体1と周方向の全周で分離された連結部2の構造を有効に活用し、挿通孔8を挟んで連結部2と対向面10との一方に固定導体11を、他方に固定導体12を夫々備えているため、電話機本体1内にセキュリティスイッチ4を組み込むためのスペースを別途確保する必要がなく、電話機本体1の大型化という問題を解消することができる。
【0032】
また連結部2に巻き付けて連結するハンドストラップ3の無端状の連結紐14に可動導体13を備えているため、その連結紐14を連結部2に巻き付けると云う、ハンドストラップ3を電話機本体1に連結する際のごく一般的な作業で一対の固定導体11,12間を簡単に閉成することができる。
【0033】
しかも、可動導体13は連結紐14に組み込まれた導電性細片又は導電性繊維により構成しているため、専用のハンドストラップ3を使用するとは云うものの、通常のストラップと同様に容易に取り扱うことができる。従って、ハンドストラップ3を連結部2に連結する際には、無端状の連結紐14を挿通孔8に挿通した後、挿通孔8から出た連結紐14の先端側にハンドストラップ3の他端側を通して引き締めることにより、連結紐14に容易に巻き付けることができ、しかもその巻き付けと同時に可動導体13により固定導体11,12間を閉成することができる。
【0034】
連結紐14の挿通孔8に挿通される部分の直径aは、連結部2と対向面10との間隔bよりも大であるため、連結部2、対向面10の表面に露出するように各固定導体11,12を設けておけば、連結紐14を挿通孔8に挿通して巻き付けることにより、その連結紐14の可動導体13が適当な圧力で各固定導体11,12に接触することになり、可動導体13により両固定導体11,12間を確実に閉成でき、しかも閉成状態を安定的に維持することができる。また可動導体13が各固定導体11,12に圧接するため、両者間の電気的な接触抵抗も極力小さくすることができる。
【0035】
連結紐14の一部に、ハンドストラップ3に所定以上の力を加えたときに千切れるように破断する破断部16を設けているため、連結部2側に特別な細工を施さなくても、緊急時にはハンドストラップ3を所定以上の力で引っ張るだけでハンドストラップ3を連結部2から容易に引き外すことができる。また破断部16を無端状の連結紐14の先端部分に設けておけば、その破断部16を連結紐14に巻き付けたときに連結紐14の他の部分と交差するため、この連結紐14の他の部分を介して破断部16に外力が集中することになり、破断部16を容易且つ確実に破断することができる。
【0036】
図8は軸状の連結部2を採用した本発明の第2の実施例を例示する。図8(A)では連結部2の対向面10に、図8(B)では連結部2に夫々一対の固定導体11,12が所定の間隔をおいて設けられている。
【0037】
図8(C)では挿通孔8の全長の内、両端側の開口量cが連結紐14の直径aよりも大であり、中間部分の連結部2と対向面10との間隔bが連結紐14の直径aよりも小さくなっている。また一対の固定導体11,12は間隔bの小さい箇所の対向面10に設けられている。なお、この場合にも固定導体11,12は連結部2に設けてもよいし、連結部2と対向面10とに振り分けて設けてもよい。他の構成は第1の実施例と同様である。
【0038】
このように連結部2に一対の固定導体11,12を設けるに当たっては、連結部2又は対向面10の一方に設けることも可能である。また図8(C)に示すように固定導体11,12がある部分の間隔bを小さくし、その両側の開口量cを大にすることにより、接触抵抗の低減を図りながらも、挿通孔8に対する連結紐14の挿通を容易に行うことができ、連結部2に対するハンドストラップ3の連結が容易である。
【0039】
図9、図10は本発明3の第3の実施例を例示し、ハンドストラップ3に所定以上の力を加えたときに連結紐14が連結部2間の隙間17を通過して外れるようにしたものである。この実施例では、軸方向に配置された一対の連結部2間に、ハンドストラップ3に所定以上の力を加えたときに連結紐14が通過する隙間17が設けられ、この隙間17の両側の各連結部2に一対の固定導体11,12が設けられている。連結部2にはハンドストラップ3を引き外し方向に引っ張ったときに連結紐14が食い込む食い込み部を兼用する案内面18が傾斜状に形成され、この案内面18から連結部2の外周面側にかけて固定導体11,12が設けられている。
【0040】
なお、連結紐14は所定の力が加わらない限り隙間17を通過しない程度の太さであればよい。挿通孔8は連結紐14を容易に挿通し得るようにその直径よりも大きくなっている。連結紐14に破断部16がない以外、そのハンドストラップ3の構成は第1の実施例と同様である。
【0041】
この実施例では、第1の実施例と同様に専用のハンドストラップ3を使用して、その連結紐14を連結部2に巻き付けた後、ハンドストラップ3を引っ張って連結紐14の一部を案内面18間に食い込ませると、その連結紐14の可動導体13により固定導体11,12間が閉成される。
【0042】
この場合、連結紐14が伸縮方向に弾性を有するか、又は連結部2に巻き付けて連結紐14同士が交差する部分の摩擦抵抗を大にしておけば、連結紐14が案内面18間に食い込んだ後の緩みを防止することができ、可動導体13による固定導体11,12間の閉成状態を十分に維持することが可能である。
【0043】
緊急時にハンドストラップ3を引っ張ると、連結紐14の一対の案内面18に対応する部分がその両者間に更に食い込んで隙間17の寸法まで圧縮された後、隙間17を通過して外れて、可動導体13が一対の固定導体11,12間を開成する。そして、セキュリティスイッチ4の働きによりセキュリティ機能部5が所定の緊急通報動作をする。
【0044】
このようにハンドストラップ3の連結紐14が連結部2の隙間17を通過することにより、ハンドストラップ3が連結部2から外れてセキュリティスイッチ4が働くようにしてもよい。この場合には、連結紐14を破断する必要がないので、連結部2から引き外した後のハンドストラップ3を再度使用することができる。このため単にハンドストラップ3の無駄を防止できるだけでなく、使用するハンドストラップ3が専用品であることから非常に便利である。
【0045】
図11は第3の実施例の変形例を示す。第3の実施例では、連結紐14の直径が連結部2と対向面10間の間隔よりも小になっている。しかし、図11に示すように連結紐14の直径を連結部2と対向面10間の間隔よりも大にして、連結紐14の一方の巻き付け部分14bが案内面18側に位置し、他方の巻き付け部分14cが連結部2と対向面10との間で挟持されて各固定導体11,12に圧接するようにすれば、連結紐14の緩みによる接触不良を防止することができる。
【0046】
この場合、固定導体11,12は連結部2と対向面10との両方に振り分けて設けてもよいし、連結部2又は対向面10の一方側に設けてもよい。
【0047】
図12〜図14は本発明の第4の実施例を例示し、ハンドストラップ3に所定以上の力を加えたときに連結紐14が板状の連結部2から外れるようにしたものである。電話機本体1は、図12に示すようにヒンジ20により折り畳み可能に枢着され第1筐体21と第2筐体22とを備え、その第1筐体21のヒンジ20の端部側にハンドストラップ3用の連結部2が設けられている。なお、第1筐体21にダイヤルボタン(図示省略)等が、第2筐体側に液晶式の表示部(図示省略)等が夫々設けられている。
【0048】
ヒンジ20は各筐体21,22に形成された軸保持部23,24に跨がって幅方向にヒンジ軸(図示省略)が挿通されており、第1筐体21側の軸保持部23の端部に図13、図14に示すように凹部25と、その開口端側に装着された蓋26とが設けられている。蓋26は略中央部で所定の間隔をおいて対向するように配置された一対の板状の連結部27と、この連結部27を挟んでその両側に配置された一対の開口28とを有し、その凹部25及び開口28により挿通孔8が構成され、挿通孔8から挿通したハンドストラップ3の連結紐14を両連結部27に巻き付けて連結するようになっている。
【0049】
連結部27の両方又は一方にはその凹部25側に一方の固定導体11が、凹部25の底面側に他方の固定導体12が装着されており、この固定導体11,12間の間隔は連結紐14の直径よりも小であって、連結紐14を連結部27に巻き付けたときに、その連結紐14が各固定導体11,12に圧接するようになっている。連結部27間の隙間17は連結紐14の直径よりも小であり、ハンドストラップ3を所定以上の力で引っ張ったときに連結紐14が隙間17を通過して連結部27から外れるようになっている。なお、隙間17の両端がV字状に開放するように板部に傾斜状に案内面を設けてもよい。その他の構成は第1の実施例と同様である。
【0050】
このように折り畳み式の電話機本体1において、そのヒンジ20の軸保持部23の端部側に連結部27を設けて、その連結部27にハンドストラップ3の連結紐14を連結するようにしてもよい。
【0051】
図15、図16は本発明の第5の実施例を例示し、軸状の連結部2間で連結紐14が挟持され、この連結紐14が各固定導体11,12に圧接するようになっている。
【0052】
即ち、図15では隙間17の両側に一対の連結部2があり、その各連結部2の端面に隙間17内に入った連結紐14を挟持する挟持凹部29が形成されている。各連結部2には、少なくとも挟持凹部29を含むように固定導体11,12が設けられている。各連結部2の案内面18と挟持凹部29との間の間隔は、連結紐14が案内面18側から挟持凹部29へと入り易くなるように反対側の間隔よりも大になっている。なお、他の構成は第3の実施例と同様である。
【0053】
この場合には、図16に示すように連結紐14を連結部2に巻き付けた後、その連結紐14の一方の巻き付き部分14bを案内面18から隙間17へと引き込んで挟持凹部29で圧縮状に挟持することにより、連結紐14の巻き付け部分の緩み等による接触不良の問題を解消することができる。
【0054】
図17、図18は第5の実施例の変形例を示す。隙間17の途中で連結紐14を挟持する場合には、図17、図18に示すようにしてもよい。即ち、図17は軸状の連結部2の場合を、図18は板状の連結部27の場合を夫々示す。一対の連結部2,27の端面には、連結紐14を案内する案内面18と、この案内面18の反対側に設けられ且つ所定以上の力が加わらない限り連結紐14の通過を制限する阻止部30と、これら案内面18と阻止部30との間に設けられ且つ連結紐14を挟持する挟持面31とが設けられ、その挟持面31を含むように各連結部2,27に固定導体11,12が設けられている。
【0055】
このようにすれば、連結紐14の一方の巻き付き部分14bを挟持面31で圧縮状に挟持することにより、連結紐14の巻き付け部分の緩み等による接触不良の問題を解消しながら、連結部2,27の端面の構造も比較的簡素化することができ、また挿通孔8に対する連結紐14の挿通も容易に行うことができる。なお、連結紐14の2本の巻き付け部分14b,14cを挟持するようにしてもよい。
【0056】
図19、図20は本発明の第6の実施例を例示し、通常のハンドストラップ33を使用して、緊急通報時にそのハンドストラップ33により、一対の連結部2間に支架された可動導体13が離脱するようにしたものである。軸状の一対の連結部2には隙間17側に案内面18と嵌合凹部32とが形成され、その嵌合凹部32に可動導体13が嵌合して連結部2間に支架されている。各連結部2には嵌合凹部32を含むように一対の固定導体11,12が設けられている。なお、一対の固定導体11,12は一方の連結部2に設けてもよい。
【0057】
可動導体13は円筒状、その他の形状であって、適度な係合力で嵌合凹部32に嵌合しており、ハンドストラップ33を所定以上の力で引っ張ったときに、隙間17を通過する連結紐34からの外力により変形して嵌合凹部32から離脱するように構成されている。なお、嵌合凹部32は可動導体13の形状に対応して半円状、その他の適宜形状に形成されている。ハンドストラップ33は通常のものであって、その連結紐34は絶縁繊維により無端状に構成されている。なお、可動導体13は弾性を有するものでもよく、その場合には中実材でもよい。その他の構成は他の実施例と同様である。
【0058】
この場合には、ハンドストラップ33を所定以上の力で引っ張ると、連結紐34が連結部2の案内面18から隙間17を経て可動導体13側へと移動して、嵌合凹部32に嵌合する可動導体13に外力が加わるため、この可動導体13が嵌合凹部32から離脱して一対の固定導体11,12間を開成することができる。
【0059】
このように構成すれば、連結紐34が絶縁性の材料により構成されたごく普通のハンドストラップ33を使用することが可能である。
【0060】
なお、ハンドストラップ33を所定以上の力で引っ張ったときに連結紐34が連結部2から外れる場合の条件は、連結紐34と隙間17の寸法関係、可動導体13の嵌合凹部32に対する係合関係の何れで調整してもよいし、両者の組み合わせにより調整してもよい。また軸状の連結部2の場合に限らず、板状の連結部27の場合にも同様に実施可能である。
【0061】
図21、図22は本発明の第7の実施例を例示し、可動導体13を一対の連結部27の嵌合凹部32に嵌合しておき、緊急時にハンドストラップ33を所定以上の力で引っ張ったときに可動導体13がその軸方向に離脱するようにしたものである。可動導体13は軟質の金属材からなり、連結部27の嵌合凹部32に嵌合する筒状又はリング状の胴部36と、胴部36の両端に一体に形成され且つ連結部27を板厚方向の両側から挟むフランジ部37とを有する。
【0062】
フランジ部37は連結部27の端面に相対向して形成された半円状の嵌合凹部32間に連結部27の板厚方向に嵌脱自在であり、また嵌合凹部32に嵌め込み易くなるように外側が小径となるテーパー状に構成されている。連結部27の対向端には嵌合凹部32側又は嵌合凹部32の裏側近傍に固定導体11,12が設けられ、可動導体13が嵌合凹部32に嵌合したときに、この可動導体13を介して両固定導体11,12間が閉成されている。
【0063】
可動導体13を装着する場合には、例えば中央の孔に工具等を挿入して可動導体13を支持した状態で、一方のフランジ部37側から可動導体13を一対の連結部27の嵌合凹部32内に嵌め込む。これにより可動導体13が一対の連結部27間に支架され、その可動導体13により固定導体11,12間を閉成することができる。
【0064】
ハンドストラップ33には通常のものを使用し、その連結紐34を連結部27に巻き付けて連結する。連結紐34は隙間17を通過可能なものであればよい。
【0065】
緊急時にはハンドストラップ33を引っ張ると、その連結紐34が可動導体13の両側から隙間17に入り、嵌合凹部32に嵌合状態の可動導体13に引っ掛かる。そして、ハンドストラップ33により可動導体13に所定以上の力が加わると、可動導体13が嵌合凹部32から手前側へと離脱して固定導体11,12間が開成され、セキュリティ機能部5が緊急通報動作を行う。この場合には一対の連結部27間の隙間17を小さくすることができる。
【0066】
図23、図24は第7の実施例の変形例を示す。可動導体13には図23に示すようにその一方のフランジ部37の外側に摘まみ部38が設けられ、この摘まみ部38と一方のフランジ部37との間に切り取り部39が周方向に形成されている。摘まみ部38は隙間17を通過できるように先端側で細くなっている。なお、摘まみ部38は隙間17を通過可能であれば、棒状、板状等でもよい。
【0067】
この可動導体13を嵌合凹部32に装着する際には、図24に示すように、可動導体13を一方の開口28から凹部25内に挿入して摘まみ部38を連結部27間の隙間17に合わせた後、隙間17に沿って嵌合凹部32まで摺動させる。そして、フランジ部37が嵌合凹部32に一致すると、摘まみ部38を手前へと引く。すると一方のフランジ部37が嵌合凹部32を通過して、可動導体13が図23に示すように嵌合凹部32に嵌合する。
【0068】
その後、刃物により切り取り部39から摘まみ部38を切り取れば、図22と同様の状態に可動導体13を装着することができる。また特別な工具等を使用する必要もなく可動導体13を容易に装着することが可能である。
【0069】
図25、図26は軸方向に伸縮自在な可動導体13を採用した本発明の第8の実施例を示す。この実施例では、一対の軸状の連結部2間に大きな隙間17が設けられ、その連結部2間に軸方向に伸縮自在な可動導体13が設けられている。連結部2には対向端に形成された嵌合凹部32と、この嵌合凹部32内に露出する固定導体11,12とが夫々設けられている。両固定導体11,12間は軸方向の両端が各嵌合凹部32に着脱自在に嵌合する可動導体13により閉成されている。
【0070】
可動導体13は軸方向に摺動自在に嵌合された有底筒状の外部材40、内部材41と、この両部材40,41間に内装された圧縮バネ43とを備え、軸方向に伸縮自在に構成されている。外部材40、内部材41の一方、例えば内部材41の先端には、外部材40と反対側の先端に球面部42が形成され、この球面部42が球面状の嵌合凹部32に嵌脱自在に嵌合されている。
【0071】
なお、この実施例では内部材41の先端と嵌合凹部32との両方を球面状にしているが、一方が球面状であればよい。固定導体11,12は連結部2の表面に設けてもよい。その他の構成は他の各実施例と同様である。
【0072】
この場合にもハンドストラップ33に所定以上の力が加わると、内部材41の先端の球面部42が球面状の嵌合凹部32に嵌合しているため、圧縮バネ43に抗して可動導体13が軸方向に収縮して連結部2間から離脱する。従って、このように構成しても通常のハンドストラップ33を使用することが可能である。
【0073】
図27、図28は両端が連結部2に嵌合する筒状の可動導体13を採用した本発明の第9の実施例を例示する。この実施例では、軸状の一対の連結部2に固定導体11,12が設けられると共に、この両固定導体11,12間を閉成する略筒状の可動導体13が両連結部2に跨がって支架され、その可動導体13を含む連結部2の外周にハンドストラップ33の連結紐34を巻き付けるようになっている。
【0074】
可動導体13は連結部2間に曲げ方向の外力が加わったときに屈曲して各連結部2から離脱するように、軸方向の両端部が各連結部2に対して着脱自在に套嵌されている。ハンドストラップ33には通常のものが使用される等、その他の構成は他の実施例と同様である。
【0075】
この場合にも、緊急時にハンドストラップ33を所定以上の力で引っ張れば、可動導体13が屈曲して各連結部2から離脱するため、固定導体11,12間を開成することができ、セキュリティ機能部5を動作させることができる。また可動導体13を筒状の金属材等で構成すれば、連結部2と可動導体13とを略同径にできるため、連結部2に対する連結紐34の巻き付けも容易に行うことができる。
【0076】
なお、この実施例では、ハンドストラップ33に所定以上の力が加わったときに可動導体13が屈曲して連結部2間から離脱するようにしているが、可動導体13の両端が割れて離脱するようにしてもよい。また筒状の可動導体13を連結部2に套嵌した状態で可動導体13が軸方向に移動しないように締め付けるべく適度な弾性力を持たせてもよい。
【0077】
図29〜図31は本発明の第10の実施例を例示し、ハンドストラップ33を係合片45を介して連結部2に連結するようにしたものである。ハンドストラップ33は図29、図30に示すように、連結紐34が可動導体13を兼用する係合片45により連結部2に連結されている。係合片45は連結紐34を引っ掛けて挿通孔8内にハンドストラップ33の引き出し方向に挿入したときに挿通孔8内に略埋没して連結部2及び対向面10に対して摩擦力により係合し、且つハンドストラップ33に所定以上の力を加えたときに連結部2から離脱するようになっている。
【0078】
この係合片45は例えば挿通孔8内に挿入したときに塑性変形又は弾性変形して連結部2と対向面10とに所定の押圧力で圧接する金属パイプ等の導電性材料により構成されている。そして、この係合片には、図31に示すように挿通孔8から離脱したときに、連結紐34が外れないように噛み込む噛み込み部46が長手方向の略中央等に切り欠き形成されている。他の構成は第1の実施例と同様である。
【0079】
ハンドストラップ33を連結部2に連結する際には、出口側から挿通孔8に無端状の連結紐34を挿通して、その先端を図30に二点鎖線で示すように係合片45の噛み込み部46に引っ掛ける。そして、ハンドストラップ33を引き出し方向に引っ張ると、係合片45は挿通孔8の開口端側でくの字状に屈曲しながら、全体が略埋没するように挿通孔8内に引き込まれて行く。
【0080】
挿通孔8内では係合片45が鋭角状に屈曲して連結部2及び対向面10に押圧し、その摩擦力により係合片45が連結部2に係合する。これによりハンドストラップ33を連結部2に連結することができる。このとき可動導体13を兼用する係合片45が連結部2、対向面10の各固定導体11,12間を閉成する。
【0081】
緊急時にはハンドストラップ33を所定以上の力で矢示方向に引っ張れば、係合片45がその摩擦力に抗して挿通孔8内を摺動して出口側から離脱する。これによって一対の固定導体11,12間が開成され、セキュリティ機能部5が緊急通報動作をする。
【0082】
この場合にも可動導体13を兼用する係合片45を使用しているので、通常のハンドストラップ33を使用することができる。またハンドストラップ33の連結紐34が係合片45の噛み込み部46に噛み込んでいるため、係合片45が連結部2から離脱したときにも、その係合片45が連結紐34から外れて紛失する等の惧れも少なくできる。
【0083】
図32は第10の実施例の変形例を示す。挿通孔8は係合片45が出る出口側で連結部2と対向面10との間隔が狭くなっている。また挿通孔8の入口側の対向面10の端部には、係合片45の後端側が隠れるように連結部2側に突出する突出部47が設けられ、挿通孔8内に挿入された係合片45の後端側が突出部47の下側に収まるようになっている。
【0084】
このようにすれば、係合片45の不用意な離脱を防止することができ、また係合片45の後端による見栄えの低下を防止することができる。
【0085】
なお、係合片45は金属製のパイプ材に限定されるものではなく、可動導体13がモールド又は接着された合成樹脂材の成型品等を使用してもよい。その場合、連結部2、挿通孔8及び係合片45の形状、構造は、挿通孔8内に挿入したときに係合片45を連結部2、対向面10に係合するようにしてもよい。但し、連結部2には別のハンドストラップ33を連結できるだけの余裕を残しておくことが望ましい。
【0086】
図33〜35は本発明の第11実施例を例示し、ハンドストラップ33が外れるときに一対の連結部2の重なり状態が内外逆になるようにしたものである。図33、図34に示すように、一対の板状の連結部27はヒンジ軸と略直交方向に一対配置され、またハンドストラップ33の引き外し方向となる内外方向に弾性変形可能になっている。各連結部27は先端側に内外方向に係脱自在に重合する重合部27aを有し、その両重合部27aの相対向する面に固定導体11,12が設けられており、両連結部27に跨がってハンドストラップ33の連結紐34が巻き付けられるようになっている。
【0087】
両連結部27の内、外側の連結部27は先端に円弧状の突出縁48を、また内側の連結部27は先端に円弧状の凹入縁49を夫々有し、その突出縁48と凹入縁49との間で両連結部27が内外に重合され、且つその重合部27aに各固定導体11,12が設けられている。なお、突出縁48、凹入縁49は逆でもよい。
【0088】
内側の連結部27には、ハンドストラップ33を所定以上の力で引っ張ったときに外側の連結部27よりも後で連結紐34が外れるように、巻き付けられた連結紐34が係脱自在に係合する係合部50が幅方向の両側に凹入状に形成されている。なお、係合部50は内側となる連結部27の内側に設けてもよい。
【0089】
この場合には、通常は両連結部27の重合部27a側の固定導体11,12同士が接触した状態で、その両者に跨がってハンドストラップ33の連結紐34が巻き付けられている。緊急時にハンドストラップ33を所定以上の力で引っ張ると、各連結部27が外側へと弾性変形して先端側の重合量が小さくなって行き、両連結部27の先端同士が重合しなくなったときに固定導体11,12間が開成してセキュリティ機能部5が緊急通報動作を開始し、その後に連結紐34が各連結部27から外れて、各連結部27がその弾性力により復帰する。
【0090】
このとき内側の連結部27には係合部50があって連結紐34が外れ難くなっているため、先ず外側の連結部27から連結紐34が外れて外側の連結部27が先に復帰し、その後に内側の連結部27から連結紐34が外れて内側の連結部27が復帰する。このため復帰後の両連結部27は図35に示すように重合状態が内外逆になり、固定導体11,12間を開成状態に維持することができる。従って、このようにすれば、通常のハンドストラップ33を使用できるだけでなく、各実施例では必要であった可動導体13を省略することができる。
【0091】
但し、外側となった連結部27を内側へと押圧すれば、各連結部27が逆方向に弾性変形して元の状態に復帰するため、緊急通報動作を開始した後はセキュリティ機能部5がその状態を保持して、電源等を外さない限り固定導体11,12間が再度閉成してもセキュリティ機能部5の動作が停止しないようにすることが望ましい。また蓋26部は軸保持部23と一体でもよいが、弾性を有する合成樹脂材等により構成して軸保持部23に接着等で固定することが望ましい。
【0092】
なお、この実施例では、一対の連結部27が共に弾性変形するように構成しているが、一対の連結部27の内、その一方のみが弾性変形可能であり、他方は弾性変形不能な剛体でもよい。また1個の連結部27と、その先端が係脱自在に係合する短い係合突部とを備え、その両者に固定導体11,12を振り分けて設けてもよい。更に弾性を有する一対の連結部27を設ける場合でも、基部から同一方向に突出する一対の連結部27を隣接状に配置し、その各連結部27の先端に重合部27a、固定導体11,12を設けることも可能であり、両連結部27は先端の重合部27aが内外方向に係脱自在に重合する関係であればよい。
【0093】
以上、本発明の各実施例について詳述したが、本発明はこの各実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第1の実施例等では、連結紐14に可動導体13を構成する導電性繊維等が編み込まれた専用のハンドストラップ3を使用しているが、普通のハンドストラップ33を用いて、その連結紐34の外周に可動導体13を構成する導電性細片を巻き付けてもよいし、Cの字状の導電性可撓チューブを連結紐34に套嵌してもよい。従って、連結紐34に可動導体13を備え得るならば、その形態は問題ではない。
【0094】
連結紐14に導電性細片、導電性繊維等を組み込む場合に、織り込み、編み込み、縒り込み等の種々の方法があるが、少なくとも連結紐14の表面に導電部を有し、その導電部が両固定導体11,12間を閉成するようにすればよい。
【0095】
一対の固定導体11,12を連結部2、対向面10等の表面に施された金属メッキその他の薄膜で構成する場合、その固定導体11,12の端部は電話機本体1の外装体の内部に埋め込まれた金属線等に接続すればよい。また固定導体11,12は必要箇所で連結部2、対向面10に露出するように埋め込まれた金属線等で構成してもよい。
【0096】
ハンドストラップ33を引っ張ったときにその連結紐34が隙間17を通過して外れる形式の場合、各実施例では一対の連結部27の対向端間に隙間17を設けるようにしているが、1個の連結部27の先端と、その延長上の電話機本体1の側面との間に隙間17を設け、この隙間17をハンドストラップ33の連結紐34が通過するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 電話機本体
2,27 連結部
3,33 ハンドストラップ
4 セキュリティスイッチ
8 挿通孔
10 対向面
11,12 固定導体
13 可動導体
14,34 連結紐
16 破断部
45 係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機本体の連結部に連結されたハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときにセキュリティスイッチが働いて緊急通報動作をするようにした携帯電話機において、前記ハンドストラップは所定以上の力で引っ張ったときに前記連結部から引き外し可能であり、前記セキュリティスイッチは前記連結部を含むその近傍に固定された一対の固定導体を備え、前記ハンドストラップを前記連結部に連結した状態では前記固定導体間を閉成し且つ該ハンドストラップを前記連結部から引き外したときに前記固定導体間を開成するようにしたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記連結部は前記ハンドストラップを該連結部と前記電話機本体との間の挿通孔に挿通して連結可能であり、前記セキュリティスイッチは前記連結部、前記連結部と対向する前記電話機本体側の対向面、又は前記連結部と該連結部と対向する前記電話機本体側の対向面とに設けられた前記固定導体と、前記ハンドストラップを前記連結部に連結した状態では前記固定導体間を閉成し且つ該ハンドストラップを前記連結部から引き外したときに前記固定導体間を開成する可動導体と備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記連結部に巻き付けて連結する前記ハンドストラップの無端状の連結紐に前記可動導体を備えたことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記可動導体は前記連結紐の少なくとも前記挿通孔に挿通される部分に組み込まれた導電性細片又は導電性繊維により構成したことを特徴とする請求項3に記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記連結紐の少なくとも前記挿通孔に挿通される部分は、前記連結部と前記対向面との間隔よりも大であることを特徴とする請求項3又は4に記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記連結紐の一部に、前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに破断する破断部を設けたことを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の携帯電話機。
【請求項7】
前記連結部の軸方向の中間又は一端に、前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに前記連結紐が通過して該連結部から外れる隙間を設けたことを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の携帯電話機。
【請求項8】
連結紐を引っ掛けて前記挿通孔に前記ハンドストラップの引き外し方向に挿入したときに前記挿通孔内に略埋没して前記連結部に係合し且つ前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに前記連結部から離脱する係合片を備え、該係合片に前記可動導体を設けたことを特徴とする請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項9】
前記連結部は前記ハンドストラップの連結紐を連結する側に、前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに前記連結紐が該連結部から外れて通過可能な隙間を備え、該隙間を挟む両側部に設けられた前記固定導体と、前記両側部に跨がって着脱自在に支架された前記可動導体とを備え、前記ハンドストラップを所定以上の力で引っ張ったときに前記可動導体が離脱するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−103699(P2011−103699A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31528(P2011−31528)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3148131号
【原出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(508345140)
【Fターム(参考)】