説明

携帯電話機

【課題】携帯電話機能、スチルカメラ機能等の機能を有する携帯型の多機能電子機器の使い勝手を改善する。
【解決手段】携帯型の電子機器を連結部3により回動可能に連結して折畳み可能とした本体部1、蓋体部2で構成すると共に、本体部1、蓋体部2の折畳み内面側に入力キー群、メイン表示部を設け、折畳み外面側にカメラ部9、サブ表示部17を設ける。これにより、携帯電話としての使用が容易な、更に、折畳み状態で携帯電話として待機状態にある場合でも、スチルカメラとして直ちに使用することが出来る等、スチルカメラとしても使用が容易な携帯可能な多機能電子機器を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラとしての機能と、少なくとも数字等の入力部及び入力内容を表示するメイン表示部を設けた電子機器機能とを有する携帯可能な多機能電子機器に関し、より詳細には、少なくともCCD等を含む画像を電気信号に変換するカメラ、該カメラからの画像信号或いは外部からの画像信号等を表示できる液晶等より成る表示部を持ち、更に好ましくはスケジュール等のPDA機能等を持つ携帯可能な多機能電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD等を用いた電子カメラの小型高性能化に伴い、携帯電話にカメラを積載したカメラ付携帯電話が普及している。このカメラ付の携帯電話では、カメラで撮影した画像を電話回線によって通信相手に送付したり、あるいはお互いの顔を見ながら話をするといういわゆるテレビ電話として使用でき、更には、画像をメモリに記憶させることによって電子スチルカメラとして使用できる。
【0003】
従来のこの種の携帯電話の例としては、例えば、特開平10−257460号公報がある。図10はこの従来例を示す図であり、図10(a)は電子スチルカメラとして使用する状態を示す外観構成図、図10(b)は携帯電話或いは携帯テレビ電話(以下携帯電話という)として使用する状態を示す外観構成図、図10(c)は収納時を示す外観構成図である。図9において、91はカメラ部キャビネットであり、一面にカメラレンズ93が設けられている。92は表示部キャビネットであり、携帯電話として使用した場合、カメラレンズ93と同じ側の面に液晶パネル等よりなる表示部94が設けられている。カメラ部キャビネット91、表示部キャビネット92は結合軸90により回動自在に結合されており、カメラレンズ93と表示部94が対面するように折りたたんだ場合には図9(c)に示す収納状態になり、反対方向に折りたたんだ場合には図9(a)に示すスチルカメラとして使用する状態になる。
【0004】
結合軸90の詳細を図11に示す。図11に示すとおり、カメラ部キャビネット91には円筒形の結合軸95、96が設けられ、表示部キャビネット92には半円筒形の結合軸受け97、98が設けられている。これら結合軸95、96と結合軸受け97、98は結合可能に構成されている。
【0005】
図11(a)に示すように結合軸95と結合軸受け98が結合した状態ではスチルカメラとしての使用状況にあり、図11(b)に示すように結合軸96と結合軸受け97、および結合軸95と結合軸受け98が結合した状態では携帯電話としての使用状況にある。また、図11(c)に示すように円筒形の結合軸96と半円筒形の結合軸受け97が結合している状態では携帯電話は収納状況にある。
【0006】
特に図面に明示されていないが、カメラ部の信号処理部、表示部の信号処理部等がそれぞれカメラ部キャビネット91、表示部キャビネット92に収納されており、さらに、携帯電話としての各種信号処理部、電源部が適宜上記のキャビネット部に収納されている。そして、カメラ部キャビネット91と表示部キャビネット92との間には電源供給手段および信号伝達手段が構成されている。
【0007】
この従来例では、携帯電話として使用する際にはカメラ部キャビネット91と表示部キャビネット92を縦方向にカメラレンズ93と表示部94とが一面上に並ぶように回動させ、一方、電子スチルカメラとして使用する際には、一方の側に表示部94が、他方の側にカメラレンズ93が来るように折畳んだ状態で使用する。なお、携帯電話或いは携帯テレビ電話として使用する際には特に明示されていないが適宜設けられたマイクとスピーカを用いることは言うまでもない。また、携帯電話或いは携帯テレビ電話として使用する際には表示部92にダイアル表示を行い、この表示部92をタッチパネルとして用いてダイアル操作を行うこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−257460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に述べた従来例によれば、カメラ部と表示部が重なり合うように折りたたみ可能に構成されているので、携帯電話或いは携帯テレビ電話機能と電子スチルカメラ機能とを有する小型の携帯機器をきわめてコンパクトに構成できるが、電話番号を入力するためのダイアルは表示部94の一部分を使って表示したダイアルで行うことから、入力内容が見にくいばかりでなくダイアル操作には細い鉛筆状の指示棒等が必要であり、必ずしも操作が容易ではない。しかも電子スチルカメラとして使用している場合は、携帯電話として使用する場合に入力部となる表示部94が常に外面側に露出しているので、表示部が傷付き易いばかりでなく、そこにキースイッチ式のキーボードを設けることが出来ない。
【0010】
また、表示部キャビネット92とカメラ部キャビネット91とが360度に回動可能とされているので、この部分の構成が複雑になり、コストの面から、さらには信頼性の面からも問題があった。
【0011】
さらに、この従来例では、収納状態即ち折畳まれた状態にある時に電話の着信があった場合等、折畳み状態を開いて表示部を確認しないと誰から電話があったか等を知ることができず使い勝手が悪いという課題がある。
【0012】
加えて、電子スチルカメラとして使用する際には、表示部キャビネット92とカメラ部キャビネット91を360度回動させる必要があり、操作が繁雑であってシャッターを切るまでに、時間がかかるという課題を有する。
【0013】
また、既存のカメラ付携帯電話の中には、カメラを付けた蓋体と同一面に当該カメラで撮影する映像を表示するサブ表示部を設けたものもあるが、自分を撮影することは出来ても、自分以外を撮影することは困難であって、スチルカメラとしては使いにくい。しかも、通常、携帯電話モードで使用しており、カメラモードにするためには、所定の操作を必要とし、直ぐに写真を撮るには時間がかかるという課題を有する。
【0014】
本願の発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、電子スチルカメラとして使用する場合に操作が簡単容易であり、かつ他の電子機器として使用した場合にも、キー入力操作が容易で便利に使える携帯可能な多機能電子機器を提供することを目的とする。
【0015】
特に、携帯電話としても使用できる本格的なスチルカメラである携帯可能な多機能電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するために成されたものであり、本体部と蓋体部を連結部により折畳み可能に連結して電子機器本体と成し、本体部及び蓋体部の折畳み内面側の一方に数字等の入力キー部を、他方にメイン表示部を設けた電子機器において、上記本体部及び蓋体部の折畳み外面側の一方に第1カメラのレンズ部を設けると共に他方に当該第1カメラのファインダの役割を成すサブ表示部を設け、機器本体の側面部にカメラ用のシャッターを設けたことを特徴とする。
【0017】
また、上記の構成において、カメラのレンズ部とサブ表示部の設ける位置を交換し、カメラのレンズ部を蓋体部外面側に、サブ表示部を本体側に具備したことを特徴としている。
【0018】
このように構成することにより、本体部と蓋体部とを折畳んだ携帯状態のままでスチルカメラとして使用することが出来るばかりでなく、蓋体部を開くと操作性の良いキースイッチ式のキーボード及びメイン表示部を有する電話機端末等の電子機器として使用することが出来る。従って、スチルカメラとして使い易く、且つ電話機等の電子機器としても入力など操作性に優れた使いかっての良い携帯可能な多機能電子機器が得られる。特に、入力部と表示部とを蓋体部と本体部とに分けて設けたので、各々を大きくすることが出来る。
【0019】
本体側にカメラを設けた場合には、電話機端末としての制御回路、スチルカメラとしての制御回路などを本体部側に一括して設けることができるため、機構設計が容易になるといる効果をも有することになる。
【0020】
本発明では、更に上記のような構成の携帯可能な多機能電子機器において、メイン表示部の文字を連結部側が下となるように表示させ、サブ表示部の文字を連結部側が上となるように表示させる。
【0021】
この構成によれば、本発明による携帯可能な多機能電子機器を蓋を閉じた状態で連結部が上になるように保持してサブ画面の文字、画像等を読み、また、そのままの保持状態で蓋体を上方に開くと、メイン表示部の文字、画像等が直ちに読めるという効果を有する。
【0022】
また、本発明によればファインダとして機能するサブ表示部に電話機端末等の電子機器の情報を表示出来るので、蓋体部を閉じていても例えばメール等の着信、着信相手の識別情報をサブ表示部に表示出来る。
【0023】
本発明は、機器本体を矩形状にしカメラ用シャッターを設けたものであるから、横長にして保持した場合は、本格的なスチルカメラとして使用することが出来る。
【0024】
本発明では、上記のような構成の多機能電子機器において、電子機器本体を開いた状態の内面側にサブカメラを設け、更に、スピーカを設けたことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、この携帯可能な多機能電子機器をTV電話として使用した場合に、メイン表示部で相手からの送信画像(顔等)を見ながら、自分を撮像してその画像を送信することができ、しかも相手からの音声を聞くことができるという効果を有する。
【0026】
本発明では、上記のような構成の携帯可能な多機能電子機器において、電子機器本体を開いた状態の内面側にサブカメラ用シャッターを設け、更にサブ表示部の近傍に第2のシャッターを設ける。
【0027】
これによれば、携帯電話として使用している場合にメインカメラのファインダとしてメイン表示部を用いて、メインカメラによる撮影が可能となる。また、サブ表示部と同一面にメインカメラ用のシャッターを設けると縦型のスチルカメラとして使用できる。更にメイン表示部はカメラからの映像とサブカメラからの映像を重ねるなど同時に更に多彩な使用が可能となり、操作性が向上する。
【0028】
本発明では、上記のような構成の携帯可能な多機能電子機器において、サブ表示部において、通信要求のあった相手側の電話番号などの識別情報を表示させ、更に、電子機器本体内に該識別情報と関連づけた画像等の関連情報を記憶できるように構成し、識別情報と一致したときに、該サブ表示部に関連情報を表示できるようにする。
【0029】
これによれば、着信があったときに、サブ表示部を見るだけで誰から電話があったのかを知ることができ、携帯電話としての使用勝手を良いものとすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、展開した状態で表示部と入力キー部とを有する通常の多機能電子機器(例えば携帯電話)として快適に使用できると共に、折畳んだ状態で本格的なスチルカメラと全く同様な感覚で使用でき、手ぶれの少ない快適な撮影を行うことが出来る。
【0031】
本発明によれば、蓋体を閉じた状態で多機能電子機器に関連する情報をサブ表示部で見ることが出来る。従って、通信による情報が得られた場合、例えば着信があった場合、サブ表示部を見るだけで誰から電話があったかを容易に知ることができるという効果を有する。特に、予め、電子機器本体内のメモリに通信相手の顔等を記憶させておけば、着信時にその顔を表示させることが出来るため、更に使用時の楽しみが増すという効果を有する。
【0032】
また、本発明によれば、多機能携帯電子機器を閉じた状態で連結部が上になるように保持すると、そのままの状態でサブ表示部の文字を読むことが出来、更に、そのままの保持状態で蓋体部を上方に開くとメイン表示部の文字をそのままの保持状態のまま直ちに読むことが出来、快適に使用できるという効果を有する。
【0033】
また、本発明によれば、多機能電子機器をTV電話として使用した場合に、相手側からの画像を見ながら自分の画像を送信でき、しかも相手側からの音声を拡声して聞くことができるため、快適に使用できるという効果を有する。
【0034】
更に、本発明によれば、カメラのためのシャッターが種々の箇所に設けているため、カメラとして使用状態に応じて多彩な撮影が可能となり、操作性が向上するという効果を有する。
【0035】
本発明によれば、メイン表示部にメインカメラによる映像と、サブカメラによる映像とを表示することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の多機能電子機器の実施の形態を示す図であり、(a)は蓋を途中まで開いた状態の斜視図、(b)は蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の多機能電子機器の実施の形態を示す図であり、(a)は図1(a)とは異なる他方の側から見た斜視図、(b)は図1(b)の裏面を示す図である。
【図3】本発明の多機能電子機器を折畳んだ状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の多機能電子機器を本格的なカメラとして使用する場合を示す説明図である。
【図5】本発明の多機能電子機器を立て位置用のカメラとして使用した場合を示す説明図である。
【図6】本発明の多機能電子機器を用いて自分を撮影する場合の使用状態を示す説明図である。
【図7】本発明の更に他の使用状態を示す図であり、多機能電子機器を展開状態で相手を撮影する状況を示した図である。
【図8】本発明の多機能電子機器の使用状態の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の多機能電子機器の信号処理系の概略を示すブロック図である。
【図10】従来の小型電子機器の斜視図であり、(a)は折畳んでカメラとして使用する状態、(b)は携帯電話として使用する状態、(c)は折畳んで収納する状態を示している。
【図11】(a)、(b)、(c)はそれぞれ上記図10(a)、(b)、(c)に対応する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0038】
図1、図2は、本発明の実施の形態に係る携帯可能な多機能電子機器の概観図である。図1(a)は、電子機器本体をその中間部分で折畳んだ状態を示しており、図1(b)は、電子機器本体を広げた状態を示している。図2(a)は、同じく電子機器本体をその中間部で折畳んだ状態を示しているが、図1(a)の場合とは反対の側から見た状態を示している。図2(b)は、電子機器本体を広げた状態を示しているが、図1(b)に示した側とは反対の側から見た図である。
【0039】
この携帯可能な多機能電子機器は携帯電話機能とカメラ機能を有しており、常時携帯して携帯電話機端末として使用でき、また、カメラとしての機能を有する。さらに、カメラ機能を用いて撮像した画像を、携帯電話機能を利用して送信することも出来る。更に、TV電話端末としても使用可能である。
【0040】
図1、図2において、1は矩形状の本体部(図では縦長)であり、内部に携帯電話機能を動作させるための種々のコントロール回路などを有し、更に、後で詳細を説明する操作のための各種のキー類などを有する。2は上記本体部1とほぼ同形状を有する蓋体部であり、本体部1とは連結部3により、回動可能に連結されて電子機器本体を構成している。連結部3は本体部1と蓋体部2とを任意の角度で開閉保持できるヒンジ機構とすることが好ましく、約180度の角度まで開くことができる。本体部1及び蓋体部2により多機能な電子機器本体を構成している。上記本体部1及び蓋体部2は連結部3の反対端が弧状に形成されると共に当該両者を重ね合わせた際には、この弧状の反対端同士をロックするロック機構(図示省略)が設けられている。また、本体部1の上記反対端中央部1aには、当該多機能電子機器を首からぶら下げるためのストラップ兼用の吊り下げ紐1bが設けられている。従って、首にかけた場合にはこの多機能電子機器が一種の装飾用ペンダントとなる。そのため、後述するように、本体部1及び蓋体部2の外面は装飾にも合うような形状、構成となっている。
【0041】
本体部1の折畳み内面側には、数字、アルファベットなどの入力のための入力キー部4、各種操作のための操作キー群5、携帯電話機端末と使用した場合の音声入力部となるマイク6、音声を拡大再生する場合に用いるスピーカ7が設けられ、本体部1の側面部52にはこの電子機器をカメラとして使用した場合に用いる横位置用シャッター8が設けられている。本体部1の外面側には、図2(a)に示されるように第1のカメラとしてのメインカメラのレンズ部9、フラッシュ10が設けられており、メインカメラのレンズ部9を保護するための回転式のレンズカバー11が設けられている。この実施の形態では操作キー群5の内の中心のキー51をカメラの第2のシャッターとしても機能するように構成している。レンズカバー11は図示のとおり全体として円形の薄板で構成されており、表面が本体部1と同一面となるように本体部に埋め込まれている。レンズカバー11はその中心部で本体部1に回動可能に保持されており、円形の凹みで構成された指かけ部12が設けられる。レンズカバー11の指かけ部12に指先を引っ掛けながら該レンズカバー11を回転させることができる。
【0042】
レンズカバー11のメインカメラのレンズ部9に該当する箇所およびフラッシュ10の前面部には開口が設けられており、カメラとして使用する際には、レンズカバー11を回動させて、この開口部をメインカメラのレンズ部9、フラッシュ10に位置させる。また、カメラ不使用時には、レンズカバー11を別の所定位置に置くことにより、メインカメラ部のレンズ部9、フラッシュ10をカバーできる。なお、上記レンズカバー11の開口部がメインカメラのレンズ部9を露出させる回転位置になったことを検知する手段を設け、この検知手段の出力により電子スチルカメラモードする構成にしても良い。18はグリップであり、カメラとして使用した場合の保持性を高めることが出来る。更に、メインカメラのレンズ部9を連結部3に対応する位置に設けると、当該連結部3にメインカメラを収納することが可能となる。
【0043】
蓋体部2の折畳み内面側には、メール本文の表示、送付されてきた写真の表示、TV電話として使用した場合の相手からの送信画像の表示、或いは携帯電話操作のための各種情報の表示を行うための第1の表示部となるメイン表示部13、携帯電話機端末として使用した場合のイヤースピーカ14、携帯TV電話機端末して使用した場合のカメラ等として用いる第2のカメラとしてのサブカメラのレンズ部15が設けられている。
【0044】
この例では、サブカメラのレンズ部15を蓋体部2の連結部3近くに設けているが、この位置に限られることはなく、例えば、スペースがあれば本体部1の内面側に設けても良い。
【0045】
蓋体部2の外面側は、連結部3に近い位置が円錐台状に若干膨出し、その平面部に第2表示部としての矩形状のサブ表示部17が設けられ、更に、サブ表示部17の下部であって上記膨出部の裾野に沿って3個のボタン16が設けられている。この3個のボタン16は携帯電話のメールに関する情報に関する操作に用いられるものであり、第3のシャッター16は縦位置でカメラを使用した場合に用いる。この第3のシャッター16の位置は、サブ表示部を見ながら操作できればよいことから、サブ表示部の近傍であれば図示の位置に限らない。その外、各種の操作用のキーが設けられている。サブ表示部17はメイン表示部13より表示サイズが小さくともよいが、何を表示させるかにより適宜の表示サイズとすることができることは言うまでもない。サブ表示部17では、例えば、この発明による携帯可能な多機能電子機器を折畳んで携帯電話機端末として待機状態にした時に、着信があった場合の相手側電話番号の表示、或いはその電話番号に対して特定の名前などが記憶されている場合のその名前表示等に用いる。また、サブ表示部17は、上記メインカメラを用いてこの電子機器を電子スチルカメラとして使用する場合の電子ファインダーとして用いられる。サブ表示部17には、これらの情報に限らず、適宜の情報を表示できることは言うまでもない。
【0046】
メイン表示部13は図1(b)に示すように、入力キー部4が下方に来るように持った場合に文字が正立するように構成されており、サブ表示部17は、連結部3が文字の上方として表示されるように構成している。
【0047】
第1のカメラである上記メインカメラは本格的なカメラとしての使用を考慮して200万画素或いはそれ以上の画素とすることが好ましい。第2のカメラとしてのサブカメラは、この発明による多機能電子機器をカメラ付き携帯電話機端末として使用する際の撮像用として、或いは携帯TV電話端末とて使用する際の撮像用等として用いるものであり、30万画素程度のものでも良い。
【0048】
本発明の多機能電子機器内部にはメモリを設け、カメラなどで撮影した画像情報を記憶できるようにする。この画像データが人の顔写真であるときには、例えば、写真の人物の電話番号等の識別情報と関連付けておく。そして、その電話番号の電話が着信した場合に、この画像データをサブ表示部に表示させる。画像データとしては顔写真に限らないことは言うまでもなく、特定の識別情報に関連付けた顔写真などを含む関連情報であればよい。
【0049】
図3は、この多機能電子機器を折畳んだ状況を示している。図示のとおり、折畳んで連結部3を上になるように保持した場合、縦長形状となりサブ表示部17の文字が正立するように構成されている。この状態で蓋体部2を上方に上げて開くと、蓋体部2の内面側にメイン表示部13設けられており、しかも図1(b)に示すように、メイン表示部13の文字が連結部3とは反対の側が上になるように表示されることから、持ち替えることなくメイン表示部の文字を読むことができ、非常に使い勝手の良い構成となっている。
【0050】
この多機能電子機器を携帯電話機端末として使用するには、通常、図1(b)に示すように本体部1及び蓋体部2を開いた状態でマイク6を口の近くに、スピーカ14を耳の近くに持っていく。これによりこの多機能電子機器を携帯電話機端末として、従来同様快適に使用することができる。なお、図1(b)のように最も大きく開いた場合、本体部1の連結部3側端部と蓋体部2の連結部側端部とが衝接している。
【0051】
この多機能電子機器は携帯電話機端末として使用する以外にも、カメラとして快適に使用でき、更に、TV電話端末としても快適に使用できる。
【0052】
図4、図5、図6、図7を用いてこの多機能電子機器をカメラとして使用する場合の使用状況を説明する。また、この多機能電子機器をTV電話として使用する場合の使用状況を説明する。
【0053】
図4はこの多機能電子機器をスチルカメラとして使用する場合を示しており、本体部1と蓋体部2とを閉じて一体型の横長状態において、その弧状の端部18bを持ち、図面では隠れた位置にある本体部1のメインカメラのレンズ9を被写体側に向け、蓋体部2のサブ表示部17を電子ファインダーとして使用している。本体部1の前面部は弧状の端部18b側に向かってテーパー18aが形成されているので、このテーパー18aに沿って指を添え、このテーパーに突出したグリップ18を保持して機器本体を横位置に構え、横位置用シャッター8を操作することにより撮影ができる。本体部1、蓋体部2が一体となっているためカメラ自体が構造的に堅固となって安定し、更に、この堅固なカメラをしっかりと保持することができることから手ぶれなどの少ない写真をとることができる。特に、図示してないが、左手を本体下部に添えることで更に安定した保持が可能である。
【0054】
この多機能電子機器の電源を投入して、折畳み状態にし、携帯電話機端末として待機状態にしておいた場合に、シャッターを操作すると、直ちにカメラとしての動作が開始するように構成することが好ましく、これにより、とっさの場合でも短時間の内にカメラのシャッターを切ることが可能となり、カメラとしての操作性が更に高まる。例えば、シャッター8を押し下げると、この押し下げの検知出力によって携帯電話モードからスチルカメラモードに移行すると共にその時の撮影条件で撮影して画像情報を記憶するようにすれば良い。
【0055】
図5は縦位置での撮影の状況を示している。この場合は、サブ表示部17の下部に設けた第3のシャッター16を用いるとカメラを片手で保持しながら安定した撮影が可能である。
【0056】
図6は自分を撮影する場合の状況を示している。この場合は、メイン表示部13の下部に設置されたサブカメラのレンズ部15を用いている。メイン表示部13を電子ファインダーとして用い、操作キー群5の中のキー51をシャッターとして用いる。
【0057】
この場合、用いるカメラをメインカメラとし、そのレンズ部9に切り替えて相手を取るように構成しても良いことは言うまでもない。図7はこの状況を示している。
【0058】
この多機能電子機器をTV電話端末として用いるときには、自分をサブカメラのレンズ部15を利用して撮影しこの画像を相手側に送信し、メイン表示部13に相手から送信されてくる画像を表示させる。この場合、サブカメラのレンズ部15が連結部3の近くにあるので、メイン表示部13を見る使用者の目線近くに位置しており、サブカメラで撮影される使用者の顔が最適な角度となる。スピーカ7により相手側からの音声を拡大再生し、自分の音声をマイク6で捕らえて送信する。この場合、メイン表示部の一部に相手への送信画像を表示しこれをモニターしながら通話できるようにしても良い。また、電子機器を開いて図1(b)、図2(b)の状態とし、これを横型として右手で本体部の弧状端部18b側を持ち、サブカメラによって自分を撮影すると共にメインカメラによって風景などを撮影し、自分の背景に風景を合成した画像として相手に送信すると共に、この画像をメイン表示部13の一部分に表示するようにしても良い。
【0059】
なお、上記の例では本体部1の裏面側にメインカメラのレンズ部9を設け、蓋体部2の裏面側にサブ表示部17を設けた例を示したが、本体部1の裏面側にサブ表示部17を設け、蓋体部2の裏面側にメインカメラのレンズ部9を設けても本格的なスチルカメラとして使用できる多機能電子機器を得る事ができる。また、この場合、図1(a)の状態よりも蓋体部2の開き具合を大きく例えば90度程度に開いて、本体部1を手に持つか、机上に置いて縦型とし、サブカメラのレンズ部15で自分を撮影すると共に蓋体部2の外面側に設けたメインカメラのレンズ部9によって風景を撮影することが出来る。
【0060】
また、メインカメラを本格的なスチルカメラとして使用する場合を例に説明したが、このメインカメラで撮像した画像を携帯電話機能によって送信しても良いことは言うまでもない。この場合、画像のサイズが大きくなることから、カメラ制御回路内に適宜画像サイズの変更ができる手段を設けておくことが好ましい。
【0061】
図8は多機能電子機器の充電状態を示す斜視図である。同図において、100は矩形状のアダプタで機器本体の連結部3の外周部に凹状嵌合部102をもって着脱自在に嵌合される。なお、連結部3とアダプタ100とを磁力で結合するようにしておけば、両者の結合は強固となる。このダプタの背面にはアダプタ立て102が設けられており、アダプタを適度の角度例えば135度の傾斜で立てることが出来、このアダプタ100に嵌合した電子機器も同一角度に傾斜して保持され写真立てのようになる。この状態においては、サブ表示部17が正面から見えるので、携帯電話モードにしておけば、待ち受け画像を表示する写真立てとなる。なお、この多機能電子機器は電話として使用する場合、縦型にしているので、送信されて来た画像や撮影画像は連結部3、弧状の反対端を天地とする画像として表示される。しかし、上記のように横型にして置いた場合、サブ表示部17の画像は90度回転されて横長の側辺を天地とする画像として表示される。機器本体が縦長に使用されているのか、横長に使用されているのかの検知は内部に設けた位置センサー(図示せず)によって行われる。
【0062】
更にこの場合、サブ表示部17を3次元表示と2次元表示とを切り替え表示できる液晶表示装置を用い、待ち受け画面に3次元情報を表示することが出来る。この場合には、使用者の視線との関係で最も立体像の見え易い角度に機器本体を傾斜させるように調節をしておけば良い。
【0063】
図9は、携帯電話機能、電子カメラ機能を有する本発明による多機能電子機器の信号処理系の概略を示す図である。特に信号処理系についてはこの発明の主要部をなすものではないことから、詳細は省略する。
【0064】
本発明に係る携帯電話機能及び電子カメラ機能等を有する多機能電子機器81は、この多機能電子機器の全体の制御を行う情報処理手段88を有する。この情報処理手段88にはCPUが含まれており、各種のキー入力部、音声入力用マイク、音声出力用スピーカ等を含む入出力手段75およびメモリ72が接続されている。このメモリ72にはこの多機能電子機器を電子カメラとしての動作或いはカメラ付携帯電話としての動作を制御するための動作制御プログラムが記憶されているROM、電子カメラ機能のための各種定数、撮影条件を示すパラメータ等が記憶されているROM、及びプログラム実行時の作業領域となる記憶手段であるRAMより構成されている。
【0065】
この情報処理手段88は、詳細は省略するが電子カメラ或いはカメラ付携帯電話の画像データのサンプリングタイミング制御、絞りやシャッタースピード等を含む露光制御、フォーカス制御、ズーム制御、ホワイトバランス設定、画像データの記録制御、通信制御、表示制御、画像データの画素数変換処理、加増データの各種変換処理、省電力モードの設定や解除等を行う等、この発明による多機能電子機器81の全体を統括制御する。
【0066】
本発明に従った多機能電子機器81は、更に、メイン表示部87、サブ表示部82、電子カメラ83(メインカメラ、サブカメラを含む)、画像処理手段84、画像データを一時的に記憶しておくフレームメモリ85、D/A変換機86、圧縮・解凍手段89、記録媒体インターフェース76、記録媒体77を有しており、加えて、特に携帯電話機能として必要な送受信手段73、通信コネクタ71、アンテナ74を有している。
【0067】
画像処理手段84は、画素数の変更、シャープネス補正、ガンマ補正、コントラスト補正、ホワイトバランス補整等の処理を行うもので、この画像処理手段84からの画像データはフレームメモリに一時的に記憶される。
【0068】
圧縮・解凍手段89は、画像データなどのデータをJPEGやMPEGに代表される手法で圧縮制御したり、情報処理手段88の指示により圧縮したデータを伸張展開制御するものである。これにより、画像データ等の大容量のデータを効率よく送受信できることになる。記録媒体インターフェース76は、各種のメモリカードやMOなどの半導体、磁気記録、光磁気記録より成る記録媒体77を着脱可能に装着するためのものである。
【0069】
送受信手段73は、情報処理手段88からの指令により、画像データやディレクトリ等のデータを符号化し、複合化して搬送波に乗せ、アンテナ74を介して送信又は受信する。通信コネクタ71は、画像データ等の情報の送受信を有線で行うためのコネクタであり、同様な通信コネクタを有する機器に対して画像ファイルや、メモリ72中のRAM、ROM、或いはフレームメモリ85に記憶されているデータを送信し、また、相手方から送信されてきたデータを前記各記憶手段に記憶させたりすることができる。コネクタ間は光ケーブルで行ってもよく、この場合には信号を光信号に変換する必要がある。
【0070】
電子カメラ83は、実際には表示していないが、並列に上記メインカメラ、上記サブカメラの二つのカメラが設けてあり、適宜どのカメラを用いるか選択可能とされている。本発明による折畳み可能な多機能電子機器を折畳んで携帯電話の待機状態にしておく場合には、メインカメラが直ちに動作するように設定しておくことが好ましく、したがって、この状態であれば横位置用シャッター8を操作すると直ちにカメラのシャッターを切ることができる。カメラとしてシャッターは各種キー入力部から選ばれ得るが、実施例のものでは、既に説明したとおり、横位置用シャッター8、縦位置用シャッター16、操作キー群5中のキー51が選ばれている。更に、詳細は省略するが、電子カメラ83には、被写体を受光面に結像させて光電変換し、画像データとして出力するCCD等の光電変換素子、被写体受光面に結像させるためのフォーカス手段、露光量を調節するための絞り機構、露光時間を調節するためのシャッタースピード調節手段、画角を調節するためのズーム機構とが含まれ、これらは情報処理手段88により制御される。また、入出力手段75により、携帯電話端末として利用した場合の音声入力、音声出力が行われる。
【0071】
上記実施態様はスチルカメラ機能と携帯電話機能とを兼ね備えた多機能電子機器であるが、携帯電話機能に代えて、パソコン機能、計算機機能、PDA機能、メール機能、翻訳機能等とすることが出来る。また、これら機能を1つ又は複数備えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 本体部
2 蓋体部
3 連結部
4 入力キー部
5 操作キー群
6 マイク
7 スピーカ
8 横位置用シャッター
9 メインカメラのレンズ部
10 フラッシュ
11 レンズカバー
12 指かけ部
13 メイン表示部
14 イヤースピーカ
15 サブカメラのレンズ部
16 縦位置用シャッター
17 サブ表示部
18 グリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と蓋体部を連結部により折畳み可能に連結して機器本体と成し、本体部の折畳み内面側に数字等の入力キー部を、本体部の折畳み外面側にカメラを設け、開いた状態でも折り畳んだ状態でも撮影可能な、開いた状態では縦長に持って使用するカメラ付き携帯電話機において、
開いた状態で撮影するためのシャッターボタンを前記入力キー部に備え、
折り畳んだ状態で横長に持って撮影するためのシャッターボタンを前記本体部の側面に備え、
前記カメラは折畳み外面であって前記連結部に近い位置に配置し、
前記開いた状態で撮影するためのシャッターボタンは前記折畳み内面であって前記連結部に近い位置に配置し、
前記折り畳んだ状態で横長に持って撮影するためのシャッターボタンは前記側面であって前記連結部の反対端に近い位置に配置したことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
開いた状態および折り畳んだ状態で撮影するためのファインダーとなる表示部を前記蓋体部に備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記蓋体部内面にサブカメラを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−72019(P2011−72019A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265201(P2010−265201)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【分割の表示】特願2004−83650(P2004−83650)の分割
【原出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】