説明

携帯電話端末

【課題】紛失した場合に、遠隔ロックを用いながらも発見されやすくするとともに、所有者からの着信のみに対して自動的に通話状態とする。
【解決手段】遠隔地からのロック要求に応じて外部からの操作を受け付けなくする端末ロック部11と、着信があった場合に自動的に通話状態に設定するハンズフリー設定部12とを有し、ハンズフリー設定部12は、着信時に予め決められた条件が付与された場合に自動的に通話状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話は、情報交換や情報収集の面から、生活にはなくてはならないツールとなりつつある。そのため、若者やビジネスマンのみならず、主婦や年配者も携帯電話を所有することが多くなっており、また、子供の安全性の面から子供向けのキッズ携帯といった機種も販売されている。このような携帯電話は、世の中に登場した当時は、通話機能しか有していないものがほとんどであったが、近年では、一般のパーソナルコンピュータと同様に、電子メールを送信したり、インターネットに接続したりすることができるとともに、画像等のデータが保存可能となっており、また、ICチップによって電子マネーとしても利用可能となっている。
【0003】
そのため、携帯電話を紛失した場合、保存された個人情報が漏洩したり、電子マネーが無断で使用されたりする虞れが生じてしまう。
【0004】
そこで、携帯電話を紛失した場合に、遠隔操作を行うことにより、携帯電話に対する操作を受け付けなくする遠隔ロックの技術が用いられている。さらに、携帯電話を紛失した場合に、遠隔操作を行うことにより、アラーム音や音声メッセージを出力し、それにより、紛失した携帯電話の周囲にいる人に携帯電話の存在を知らせる技術が特許文献1に開示されている。また、携帯電話を紛失して遠隔操作によって遠隔ロックをかけた場合に、オフフックボタンを押さなくても自動的に通話状態となる自動着信機能を動作させ、それにより、携帯電話の所有者が、携帯電話を紛失した場合にその携帯電話に電話をかけ、例えば、「誰か拾って下さーい」という呼びかけを行うことにより、紛失した携帯電話の周囲にいる人に携帯電話を拾ってもらいやすくする技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−294688号公報
【特許文献2】特開2007−318363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、遠隔操作を行うことにより、アラーム音や音声メッセージを出力するだけであるため、携帯電話の存在に気づいた人が携帯電話を拾ったものの、携帯電話が遠隔ロック状態であるため、その携帯電話の所有者に連絡をとることができないという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されたものにおいては、遠隔操作によって遠隔ロックをかけた場合に、オフフックボタンを押さなくても自動的に通話状態となる自動着信機能を動作させるため、携帯電話の所有者が遠隔ロックをかけた後に携帯電話に電話をかけることにより、携帯電話を拾った人が携帯電話の所有者と通話をすることができるものの、携帯電話の所有者が遠隔ロックをかけた後の着信に対しては全て通話状態となるため、携帯電話の所有者が遠隔ロックをかけた後にすぐに携帯電話に電話をかけなければ、携帯電話が他の電話と通話状態となってしまう場合があり、セキュリティ上好ましくない。また、携帯電話の所有者が遠隔ロックをかけた後にすぐに携帯電話に電話をしたものの、携帯電話が拾われずに電話を一旦切った場合も、その後に他の電話から着信があった場合にその電話と通話状態となってしまい、同様にセキュリティ上好ましくはない。
【0008】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、紛失した場合に、遠隔ロックを用いながらも発見されやすくするとともに、所有者からの着信のみに対して自動的に通話状態とすることができる携帯電話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
遠隔地からのロック要求に応じて外部からの操作を受け付けなくする機能制限手段と、着信があった場合に自動的に通話状態に設定する自動着信手段とを有してなる携帯電話端末において、
前記自動着信手段は、着信時に予め決められた条件が付与された場合に自動的に通話状態に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上説明したように構成されているので、遠隔ロックを用いながらも発見されやすくするとともに、所有者からの着信のみに対して自動的に通話状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の携帯電話端末の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した携帯電話端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の携帯電話端末の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】図3に示した携帯電話端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の携帯電話端末の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【0014】
本形態は図1に示すように、パスワードの受信や着呼、発呼を行うアンテナ部60と、アンテナ部60を介したこれらの通信を制御する無線部50と、電話番号等の情報を入力するためのキーボタン等からなる操作部30と、情報を表示するディスプレイからなる表示部70と、音声を出力するスピーカー40と、アンテナ部60を介して受信したパスワードの処理を行うパスワード処理部20と、これらを制御する制御部10とから構成されている。
【0015】
パスワード処理部20は、予め設定された端末ロック用のパスワードと強制ハンズフリー用のパスワードを記憶したパスワード記憶部21と、アンテナ部60を介して受信したパスワードとパスワード記憶部21に記憶されたパスワードとを比較するパスワード比較部22とを備えている。
【0016】
制御部10は、遠隔地からのロック要求においてアンテナ部60を介して受信したパスワードがパスワード記憶部21に記憶された端末ロック用のパスワードと一致した場合に、携帯電話端末をロック状態として操作部30を介した操作を受け付けなくする機能制限手段である端末ロック部11と、着信状態においてアンテナ部60を介して受信したパスワードがパスワード記憶部21に記憶された強制ハンズフリー用のパスワードと一致した場合に、自動的に応答してハンズフリー通話状態に設定する自動着信手段であるハンズフリー設定部12とを備えている。
【0017】
以下に、上記のように構成された携帯電話端末の動作について説明する。
【0018】
図2は、図1に示した携帯電話端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【0019】
携帯電話端末の所有者が、携帯電話端末を紛失した場合に遠隔地から端末ロック用のパスワードを送信することによりロック要求を発信すると、このパスワードがアンテナ部60を介して受信される(ステップA1)。
【0020】
アンテナ部60にてパスワードが受信されると、パスワード処理部20のパスワード比較部22において、アンテナ部60を介して受信したパスワードとパスワード記憶部21に記憶された端末ロック用のパスワードとが比較され、アンテナ部60を介して受信したパスワードがパスワード記憶部21に記憶された端末ロック用のパスワードと一致した場合(ステップA2)、制御部10の端末ロック部11において、携帯電話端末がロック状態に設定され、操作部30を介した操作が一切受け付けなくされる(ステップA3)。
【0021】
その後、携帯電話端末の所有者が、携帯電話端末へ発呼し、強制ハンズフリー用のパスワードを送信すると、携帯電話端末が着信状態となるとともに(ステップA4)、送信されたパスワードがアンテナ部60を介して受信される(ステップA5)。
【0022】
アンテナ部60にてパスワードが受信されると、パスワード処理部20のパスワード比較部22において、アンテナ部60を介して受信したパスワードとパスワード記憶部21に記憶された強制ハンズフリー用のパスワードとが比較され、アンテナ部60を介して受信したパスワードがパスワード記憶部21に記憶された強制ハンズフリー用のパスワードと一致した場合(ステップA6)、制御部10のハンズフリー設定部12において、自動的に応答してハンズフリー通話状態に設定される(ステップA7)。ハンズフリー通話中の音声はスピーカー40から出力され、携帯電話端末の所有者を携帯電話端末の周囲に届かせることができる。
【0023】
また、アンテナ部60を介して受信したパスワードがパスワード記憶部21に記憶された強制ハンズフリー用のパスワードと一致しない場合は、ハンズフリー通話状態には設定されず、通常の着信状態となる(ステップA8)。この通常の着信状態においては、携帯電話端末がロック状態となっているため、外部からの操作によって通話状態とすることはできず、メッセージ応答モードに設定されている場合は、決められたメッセージが流れることになる。
【0024】
このように本形態においては、携帯電話端末をロック状態に設定した後、予め決められた強制ハンズフリー用のパスワードを用いて携帯電話端末を自動的にハンズフリー通話状態に設定するので、遠隔ロックを用いながらも発見されやすくするとともに、所有者からの着信のみに対して自動的にハンズフリー通話状態とすることができる。
【0025】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の携帯電話端末の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【0026】
本形態は図3に示すように、パスワードの受信や着呼、発呼を行うアンテナ部160と、アンテナ部160を介したこれらの通信を制御する無線部150と、電話番号等の情報を入力するためのキーボタン等からなる操作部130と、情報を表示するディスプレイからなる表示部170と、音声を出力するスピーカー140と、アンテナ部160を介して受信したパスワードの処理を行うパスワード処理部120と、着信した電話番号の比較処理を行う番号処理部180と、これらを制御する制御部110とから構成されている。
【0027】
パスワード処理部120は、予め設定された端末ロック用のパスワードを記憶したパスワード記憶部121と、アンテナ部160を介して受信したパスワードとパスワード記憶部121に記憶されたパスワードとを比較するパスワード比較部122とを備えている。
【0028】
番号処理部180は、予め設定された電話番号を記憶した番号記憶部181と、着信が
あった場合にその着信した電話番号と番号記憶部181に記憶された電話番号とを比較する番号比較部182とを備えている。
【0029】
制御部110は、遠隔地からのロック要求においてアンテナ部160を介して受信したパスワードがパスワード記憶部121に記憶された端末ロック用のパスワードと一致した場合に、携帯電話端末をロック状態として操作部130を介した操作を受け付けなくする機能制限手段である端末ロック部111と、着信があった場合にその着信した電話番号が番号記憶部181に記憶された電話番号と一致した場合に、自動的に応答してハンズフリー通話状態に設定する自動着信手段であるハンズフリー設定部112とを備えている。
【0030】
以下に、上記のように構成された携帯電話端末の動作について説明する。
【0031】
図4は、図3に示した携帯電話端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【0032】
携帯電話端末の所有者が、携帯電話端末を紛失した場合に遠隔地から端末ロック用のパスワードを送信することによりロック要求を発信すると、このパスワードがアンテナ部160を介して受信される(ステップB1)。
【0033】
アンテナ部160にてパスワードが受信されると、パスワード処理部120のパスワード比較部122において、アンテナ部160を介して受信したパスワードとパスワード記憶部121に記憶された端末ロック用のパスワードとが比較され、アンテナ部160を介して受信したパスワードがパスワード記憶部121に記憶された端末ロック用のパスワードと一致した場合(ステップB2)、制御部110の端末ロック部111において、携帯電話端末がロック状態に設定され、操作部130を介した操作が一切受け付けなくされる(ステップB3)。
【0034】
その後、携帯電話端末の所有者が、携帯電話端末へ発呼すると、携帯電話端末が着信状態となる(ステップB4)。
【0035】
そして、番号処理部180の番号比較部182において、着信した電話番号と番号記憶部181に記憶された電話番号とが比較され、着信した電話番号が番号記憶部181に記憶された電話番号と一致した場合、予め決められた電話番号からの着信であると判断され(ステップB5)、制御部110のハンズフリー設定部112において、自動的に応答してハンズフリー通話状態に設定される(ステップB6)。ハンズフリー通話中の音声はスピーカー140から出力され、携帯電話端末の所有者を携帯電話端末の周囲に届かせることができる。
【0036】
また、着信した電話番号が番号記憶部181に記憶された電話番号と一致しない場合は、予め決められた電話番号からの着信ではないと判断され、ハンズフリー通話状態には設定されず、通常の着信状態となる(ステップB7)。
【0037】
このように本形態においては、携帯電話端末をロック状態に設定した後、予め決められた電話番号からの着信があった場合のみ携帯電話端末を自動的にハンズフリー通話状態に設定するので、遠隔ロックを用いながらも発見されやすくするとともに、所有者からの着信のみに対して自動的にハンズフリー通話状態とすることができる。
【0038】
なお、本形態にて示した携帯電話端末は、上述したように携帯電話端末を紛失した場合に限らず、電話をかけた相手に強制的に応答させるといった用途や、携帯電話端末の周囲にいる全員に、遠隔地からメッセージを伝えるといった用途にも適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10,110 制御部
20,120 パスワード処理部
21,121 パスワード記憶部
22,122 パスワード比較部
30,130 操作部
40,140 スピーカー
50,150 無線部
60,160 アンテナ部
70,160 表示部
180 番号処理部
181 番号記憶部
182 番号比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地からのロック要求に応じて外部からの操作を受け付けなくする機能制限手段と、着信があった場合に自動的に通話状態に設定する自動着信手段とを有してなる携帯電話端末において、
前記自動着信手段は、着信時に予め決められた条件が付与された場合に自動的に通話状態に設定することを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電話端末において、
前記自動着信手段は、着信時に予め決められたパスワードを受信した場合に自動的に通話状態に設定する携帯電話端末。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯電話端末において、
前記自動着信手段は、予め決められた電話番号からの着信があった場合に自動的に通話状態に設定する携帯電話端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−258504(P2010−258504A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102913(P2009−102913)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】