説明

携帯電話

【課題】使用の容易な機能を有する携帯電話を提供する。
【課題を解決するための手段】
携帯電話の上部両角に携帯電話外壁から突出せずそれぞれ耳珠に接触可能な軟骨伝導振動部を設ける。携帯電話上部両角にそれぞれ設けられる軟骨伝導振動部の間に、音声出力部を設ける。軟骨伝導振動部と音声出力部から同時に音声情報を出力するとともに両者に出力する音声信号を相対調整する。環境騒音マイクおよび、軟骨伝導振動部に環境騒音マイクから拾った音声情報を位相反転させて出力する位相調整部を設け、鼓膜への環境騒音をキャンセルする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
従来種々の目的のために種々の携帯電話が提案されている。例えば、高騒音下でも明瞭に聴取可能な携帯電話を提供するため骨伝導スピーカを採用し、この骨伝導スピーカとともに外耳道閉塞手段を備えた携帯電話が提案されている。(特許文献1)一方、骨伝導スピーカの使用方法として耳珠に当接される振動面を耳珠との当接する圧力を手動操作により調節することにより、外部騒音の大きさに合わせて軟骨導経由の音声情報と気導経由の音声情報の伝達比率を変更することも提案されている。(特許文献2)さらに、骨伝導の振動源として圧電素子を用いることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−348208号公報
【特許文献2】特許4541111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、携帯電話に関しては、さらに検討すべき課題が多い。
【0005】
本発明の課題は、上記に鑑み、使用の容易な機能を有する携帯電話を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明は、携帯電話上部に、携帯電話外壁から突出せず耳軟骨に当接する軟骨伝導振動部を設けた携帯電話を提供する。
【0007】
上記構成によって、耳軟骨の良好な音声情報伝達能力を活用し、押圧や耳挿入の不快感なしに、通常の通話状態に近い使用感にて使用可能な携帯電話を提供することができる。
【0008】
本発明の具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動部は、携帯電話の上部角に配置される。
【0009】
上記構成によって、耳軟骨への自然な当接を達成でき、携帯電話外壁から突出しない軟骨伝導振動部の配置を実現することができる。
【0010】
本発明の他の具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動部は、耳珠に接触可能な位置に配置される。
【0011】
上記構成によって、軟骨伝導効率の良い耳珠への自然な当接を達成でき、携帯電話外壁から突出しない軟骨伝導振動部の配置を実現することができる。
【0012】
本発明の他の具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動部は、前記軟骨伝導振動部は、携帯電話上部両角にそれぞれ設けられる。
【0013】
上記構成によって、右耳使用および左耳使用のいずれにも対応して耳軟骨への自然な当接を達成できる。
【0014】
本発明のさらに具体的な特徴によれば、携帯電話上部両角にそれぞれ設けられる軟骨伝導振動部の間に、音声出力部が設けられる。これによって、軟骨伝導による聴取および通常の音による聴取が可能となる。さらに具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動部と音声出力部に同時に音声情報が出力されるととともに両者に出力する音声信号を相対調整する調整部が設けられる。
【0015】
本発明の他の具体的な特徴によれば、環境騒音マイクおよび、軟骨伝導振動部に環境騒音マイクから拾った音声情報を位相反転させて出力する位相調整部が設けられる。これによって、環境騒音のキャンセルが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
上記のように、本発明によれば、軟骨伝導を利用した有用な携帯電話を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例1を示す斜視図である。(実施例1)
【図2】右耳使用状態と左耳使用状態の機能を示す携帯電話1の側面図である。
【図3】実施例1のブロック図である。
【図4】図2の実施例1における制御部の動作のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例2を示す斜視図である。(実施例2)
【図6】本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例3を示す斜視図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例1を示す斜視図である。図1において、携帯電話1は、表示部5等を有する上部7と、テンキーなどの操作部9および操作者の口から発音される音声をひろうマイク等の送話部23を有する下部11からなり、上部7がヒンジ部3によって下部11の上に折り畳み可能に構成される。上部7には、操作者の耳に音声を伝えるイヤホン等の受話部13が設けられ、下部11の送話部23とともに電話機能を構成している。また、上部7には、携帯電話1をテレビ電話として利用する場合において表示部5を見ている操作者の顔を写すことができるとともに、自分撮りの際にも利用される内側カメラ17が配置されている。さらに、上部7には、携帯電話1が通話のために耳に当接していることを検知するための近接センサを構成する一対の赤外光発光部19、20および耳からの赤外反射光を受光する共通の赤外光近接センサ21が設けられている。なお、図1では図示しないが、上部7の背面には背面カメラが設けられており、携帯電話1の背面側にあって表示部5でモニタされる被写体を撮影することができる。
【0019】
上部7にはさらに、内側(耳に当たる側)の上部角において、耳珠の接触するための圧電バイモルフ素子等からなる右耳用振動部24および左耳用振動部26が設けられている。これらの右耳用振動部24および左耳用振動部26は、携帯電話外壁から突出してデザインを害さないよう構成されるが、携帯電話外壁の角に設けられることにより、効果的に耳珠に接触する。これによって、受話部13からの音声による受話と併せて、耳珠の軟骨からの骨伝導にて受話が可能となる。なお、上記特許文献2に開示されているように、耳珠は、耳乳様突起、外耳口後部軟骨面、耳珠およびもみ上げ部等の耳軟骨構成の中で最も大きな聴感が得られるとともに押し付け圧力を増大させたときの低音部の上昇が他の位置よりも大きくなることが知られている。この知見については特許文献2に詳述されているのでこれを参照することができる。
【0020】
携帯電話1は、これを右耳に当てたとき図1において時計方向に若干回転し、図1において右下がりの状態となる。そしてこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に右耳用振動部24を設けることにより、振動部を携帯電話外壁から突出させることなく右耳用振動部24を自然に右耳の耳珠に接触させることができる。この状態は、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。なお、受話部13は右耳用振動部24近傍にあるので、耳珠軟骨経由の音声情報と外耳道経由の音声情報がともに耳に伝わることになる。このとき、異なった発音対と経路により同じ音声情報が伝えられることになるので、お互いが打ち消しあうことがないよう、両者間の位相調整が行われる。
【0021】
一方、携帯電話1を左耳に当てたときは、携帯電話1が図1において反時計方向に若干回転し、図1において左下がりの状態となる。そして、右耳の場合と同様にして、携帯電話耳側上端の傾斜下側角に左耳用振動部26が設けられている状態となり、左耳用振動部26を自然に左耳の耳珠に接触させることができる。この状態が、通常の通話状態に近い姿勢であること、および受話部13が左耳用振動部26近傍にあって耳珠軟骨経由の音声情報と外耳道経由の音声情報がともに耳に伝わるので、両者間の位相調整が行われることは、右耳の場合と同様である。
【0022】
なお、上記近接センサにおける一対の赤外光発光部19、20は時分割で交互に発光しているので、共通の赤外光近接センサ21はいずれの発光部からの赤外光による反射光を受光しているのか識別可能であり、これによって右耳用振動部24および左耳用振動部26のいずれが耳珠に当たっているのか判断可能である。これによって、携帯電話がいずれの耳で使用されているかが判別でき、耳珠が当接している方の振動部を振動させて他方をオフとすることが可能である。しかしながら、携帯電話1の耳への当て方や耳の形の個人差にはバラツキがあるので、実施例1では、さらに後述のように加速度センサを内蔵し、この加速度センサによって検知される重力加速度によって、携帯電話1がどちらに傾いているのかを検知して、傾斜下側角にある方の振動部を振動させて他方をオフとするよう構成している。以上の右耳使用および左耳使用については、各仕様状態に即した図示により再度説明する。
【0023】
上部7にはさらに、環境騒音を拾うよう外側(耳に当たらない背面側)に配置され、かつ右耳用振動部24と左耳用振動部26の振動の伝導防止手段が施された環境騒音マイク38が設けられる。この環境騒音マイク38はさらに操作者の口から発音される音声を拾う。環境騒音マイク38が拾った環境騒音および操作者自身の声は位相反転された上で右耳用振動部24および左耳用振動部26にミキシングされ、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音および操作者自身の声をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。この機能の詳細は後述する。
【0024】
図2は、右耳用振動部24と左耳用振動部26の機能を示す携帯電話1の側面図であり、図2(A)は、右手に携帯電話1を持って右耳28を当てている状態を示す。一方、図2(B)は、左手に携帯電話1を持って左耳30に当てている状態を示す。なお、図2(A)は、顔の右側面から見た図であり、図2(B)は、顔の左側面から見た図なので、携帯電話1はそれぞれ背面側(図1の裏側)が見えている。なお、携帯電話1と右耳28および左耳30との関係を図示するため、携帯電話1は一点鎖線にて示している。
【0025】
図2(A)に示すように、携帯電話1は、これを右耳に当てたとき図2において反時計方向(図1と裏表の関係)に若干傾き、図2において左下がりの状態となる。そして耳用振動部24はこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に設けられているので、これを自然に右耳の耳珠32に接触させることができる。すでに述べたように、この状態は、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。一方、図2(B)に示すように、携帯電話1は、これを左耳に当てたとき図2において時計方向(図1と裏表の関係)に若干傾き、図2において右下がりの状態となる。そして耳用振動部26はこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に設けられているので、これを自然に左耳の耳珠34に接触させることができる。この状態においても、右耳の場合と同様、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。
【0026】
図3は、実施例1のブロック図であり、同一部分には図1と同一番号を付し、必要のない限り、説明は省略する。携帯電話1は、記憶部37に記憶されるプログラムに従って動作する制御部39によって制御される。記憶部37はまた、制御部39の制御に必要なデータを一時記憶するとともに、種々の測定データや画像も記憶することができる。表示部5の表示は制御部39の制御に基づき表示ドライバ41の保持する表示データに基づいて行われる。表示部5は表示バックライト43を有しており、周囲の明るさに基づいて制御39がその明るさを調節する。
【0027】
受話部13および送話部23を含む電話機能部45は、制御部39の制御下にある電話通信部47により、無線電話回線に接続可能である。スピーカ51は、制御部39の制御により着信音や種々の案内を行うとともにテレビ電話時の相手の声を出力する。このスピーカ51の音声出力は、右耳用軟骨伝送振動部24および左耳用軟骨伝送振動部26から出力されることはない。テレビ電話の際は、軟骨伝導振動部が耳に当てられる可能性がないからである。また、画像処理部53は、制御部39に制御されてテレビ電話用内側カメラ17および背面主カメラ55によって撮像される画像を処理し、これらの処理結果の画像を記憶部37に入力する。
【0028】
上記のように、近接センサにおける一対の赤外光発光部19、20は制御部39の制御に基づき時分割で交互に発光している。従って、共通の赤外光近接センサ21によって制御部39に入力される赤外反射光は、いずれの発光部からの赤外光による反射光識別可能である。制御部39は赤外光発光部19、20の両者から反射光が検知されるときは、これらを相互比較し、右耳用振動部24および左耳用振動部26のいずれが耳珠に当たっているのか判断する。さらに加速度センサ49は、検知される重力加速度の向きを検知する。この検知信号に基づき、制御部39は、携帯電話1が図2(A)および図2(B)のいずれの状態で傾いているのか判断し、図2で説明したように傾斜下側角にある方の振動部を振動させて他方をオフとする。
【0029】
携帯電話1はさらに、制御部39からの音声情報に位相調整を行い、右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達するための位相調整ミキサー部36を有する。より詳細に説明すると、この位相調整部36は、受話部13から発生して外耳道から鼓膜経由で伝わる音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26から発生して耳珠軟骨経由で伝わる同じ音声情報がお互い打ち消しあうことがないよう、制御部39から受話部13に伝達される音声情報を基準にして、制御部39からの音声情報に位相調整を行い、右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達する。なお、この位相調整は、受話部13と右耳用振動部24および左耳用振動部26との間の相対調整なので、制御部39から右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達される音声情報を基準にして、制御部39から受話部13に伝達される音声情報の位相を調整するよう構成してもよい。この場合、スピーカ51への音声情報も受話部13への音声情報と同位相で調整する。
【0030】
なお、位相調整ミキサー部36は上記のような受話部13からの音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26からの同じ音声情報がお互い打ち消しあうことがないようにする第1の機能を有する他、環境騒音マイク38との協働による第2の機能を有する。この第2の機能では、環境騒音マイク38が拾う環境騒音および操作者自身の声が位相調整ミキサー部36によって位相反転された上で右耳用振動部24または左耳用振動部26の音声情報にミキシングされ、これによって、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音および操作者自身の声をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。なお、このとき、受話部13からの音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26からの音声情報の伝達ルートの違いにかかわらず環境騒音および操作者自身の声が効果的に打ち消されるよう、第1の機能に基づく位相調整も加味してミキシングが行われる。
【0031】
図4は、図2の実施例1における制御部39の動作のフローチャートである。なお、図4のフローは主に右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図4のフローに表記していない制御部39の動作も存在する。図4のフローは、携帯電話1の操作部9による主電源のオンでスタートし、ステップS2で初期立上および各部機能チェックを行うとともに表示部5における画面表示を開始する。次いでステップS4では、右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能をオフにしてステップS6に移行する。ステップSでは、メール操作やインターネット操作、その他諸設定並びにダウンロード済のゲームなど電波を使わない操作(以下、「非通話操作」と総称する)の有無をチェックする。そしてこれらの操作があればステップS8に進んで非通話処理を実行し、ステップS10に至る。なお、非通話操作では、携帯電話1の上部7における受話部13や右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能を耳に当てて行う機能を想定していない。一方、ステップS6で非通話操作が検知されないときは直接ステップS10に移行する。
【0032】
ステップS10では、携帯電波による通話が着信中であるか否かのチェックを行う。そして通話着信中でなければステップS12に進み、携帯電話1からの通話発呼に対する相手からの応答が合ったか否かチェックする。そして応答が検知されるとステップS14に進む。一方、ステップS10で携帯電波による通話が着信中であることが検知されたときはステップS16に移行し、携帯電話が開かれているかどうか、つまり上部7が下部11に重なって折り畳まれている状態から図1のように開かれた状態になっているかをチェックする。そして携帯電話が開かれていることが検知できなければステップS10に戻り、以下、ステップS10とステップS16を繰り返して携帯電話が開かれるのを待つ。なおこの繰り返しで携帯電話が開かれないまま通話の着信が終了すればフローはステップS10からステップS12に移行する。一方、ステップS16で携帯電話が開かれていることが検知されるとステップS14に進む。ステップS14では、送話部23および受話部13をオンしてステップS18に移行する。ステップS18では通話がテレビ電話か否かをチェックし、テレビ電話でなければステップS20に移行してこの時点で通話が断たれているか否か確認して通話断でなければステップS22に移行する。
【0033】
ステップS22では、赤外光近接センサ21が耳の当接を検知しているか否かチェックし、当接の検知があればステップS24に進む。一方、ステップS22で、赤外光近接センサ21が耳の当接を検知しないときはステップS14に戻り、以下、ステップS14およびステップS18から22を繰り返してステップS22における近接センサの検知を待つ。ステップS24では、加速度センサ49の検知信号に基づき、図2(A)に示すような右耳通話状態の傾斜が生じているかどうかチェックする。そして該当すればステップS26に進み、右耳用軟骨伝導振動部24をオンしてステップS28に移行する。一方、ステップS24で、右耳通話状態の傾斜が生じていることが検知できないときは、加速度センサ49の検知信号が図2(B)に示すような左耳通話状態傾斜を検出していることを意味するからステップS30に進み、左耳用軟骨伝導振動部26をオンしてステップS28に移行する。
【0034】
なお上記図4のフローの説明では、赤外光近接センサ21が検出する赤外反射光が赤外光発光部19によるものか20によるものかを問わずステップS24に進み、ステップS24では加速度センサ49の信号により右耳通話状態傾斜であるか否かの検知を行うよう説明した。しかしながら、赤外光近接センサ21によっても右耳通話状態傾斜であるか否かの検知が可能なので、ステップS24において加速度センサ49の信号に代え、赤外光発光部19の発光タイミングにおける赤外光近接センサ21の出力が赤外光発光部20の発光タイミングにおけるものより大きければ右耳通話状態傾斜と判断するよう構成してもよい。また、ステップS24において、加速度センサの信号と赤外光発光部19、20の発光タイミングにおける赤外光近接センサ21の出力比較結果とを総合して右耳通話状態傾斜であるか否かの判断をするよう構成してもよい。
【0035】
ステップS28では通話状態が断たれか否かをチェックし、通話が断たれていなければステップS24に戻って、以下ステップS28で通話断が検知されるまでステップS24からステップS30を繰り返す。これによって通話中の右耳通話状態と左耳通話状態の間の携帯電話の持ち替えに対応する。一方、ステップS28で通話断が検知されるとステップS32に移行し、オン状態にある右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26および受話部13ならびに送話部23をオフしてステップS34に移行する。一方、ステップS12で通話発呼応答が検知されないときは直ちにステップS34に移行する。また、ステップS18でテレビ電話であることが検知されたときはステップS36のテレビ電話処理に移行する。テレビ電話処理では、テレビ電話用内側カメラ17による自分の顔の撮像、スピーカ51による相手の声の出力、送話部23の感度切換、表示部5における相手の顔の表示などが行われる。そして、このようなテレビ電話処理が終了すると、ステップS38に進んでスピーカ51および受話部13ならびに送話部23をオフしてステップS34に移行する。また、ステップS20において通話断が検知されたときもステップS38に移行するがこのときは元々スピーカ51がオンされていないので受話部13と送話部23をオフしてステップS34に移行する。
【0036】
ステップS34では、主電源のオフ操作の有無がチェックされ、オフ操作があればフローを終了する。一方、ステップS34で主電源オフ操作が検知されないとき、フローはステップS6に戻り、以下ステップS6からステップS38を繰り返す。以上のように、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26は、携帯電話1が開かれていないとき、携帯電話1が通話状態にないとき、通話状態であってもテレビ電話通話であるとき、および通常通話状態であっても携帯電話1が耳に当てられていないときにおいてオンになることはない。但し、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26が一度オン状態となったときは、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26とのオンオフ切り換えを除き、通話断が検知されない限り、これがオフとなることはない。
【実施例2】
【0037】
図5は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例2を示す斜視図である。実施例2においても発明の趣旨は共通しているので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例2の携帯電話101は、上部と下部に分離された折り畳み方ではなく、可動部のない一体型のものである。従って、この場合における「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
【0038】
また、実施例1では、携帯電話1が折りたたまれたとき、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は上部7と下部11の間に挟まれたて収納された形となるのに対し、実施例2では右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が常に携帯電話101の外壁に露出している形となる。実施例2においても、図3の内部構造および図4のフローチャートが基本的に流用可能である。但し、上記の構造の違いに関連し、図4のフローチャートのステップS16が省略され、ステップS10で通話着信中であることが確認されたときは直接ステップS14に移行する。
【実施例3】
【0039】
図6は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例3を示す斜視図である。実施例3においても発明の趣旨は共通しているので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例3の携帯電話201は、上部107が下部に111に対してスライド可能な構造のものである。実施例3の構造では、上部107を下部111に重ねた状態では、上下関係はなくなるが、実施例3における「上部」とは携帯電話201を伸ばした際に上に来る部分を意味するものとする。
【0040】
実施例3では、図6のように上部107を伸ばして操作部9を露出させた状態でフル機能が使用可能であるとともに、上部107を下部111に重ねて操作部9が隠れる状態とした場合でも着信応答や通話などの基本機能が使用可能である。実施例3でも、図6のように携帯電話201を伸ばした状態および上部107を下部111に重ねた状態のいずれにおいても、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が常に携帯電話201の外壁に露出している形となる。実施例3においても、図3の内部構造および図4のフローチャートが基本的に流用可能である。但し、上記のように実施例3は、上部107を下部111に重ねた状態でも通話可能であるので、実施例2と同様にして、図4のフローチャートのステップS16が省略され、ステップS10で通話着信中であることが確認されたときは直接ステップS14に移行する。
【0041】
上記本発明の種々の特徴の実施は上記の実施例に限られるものではなく、他の実施形態においても実施可能である。例えば、上記実施例では、持ち替えや使用者が変わることによる右耳使用時および左耳使用時の両者に対応するため、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26を設けているが、軟骨伝導の際には右耳のみまたは左耳のみの使用を前提とする場合は軟骨伝導振動部を一つにしてもよい。
【0042】
また、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は本来右耳および左耳の耳珠にそれぞれと当接することを前提に設けられているが、特許文献2に開示されているように、耳乳様突起や外耳口後部軟骨面など耳珠以外の耳軟骨構成においても軟骨伝導は可能なので、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26の両者を例えば右耳使用時において右耳軟骨の適当箇所を同時に押し付けて使用してもよい。この意味で、2つの軟骨伝導振動部24および26は必ずしも右耳用および左耳用に限るものではない。この場合は、実施例のように2つの軟骨伝導振動部24および26のいずれか一方のみをオンするのに代えて、両者を同時にオンする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、携帯電話に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
24、26 軟骨伝導振動部
32、34 耳珠
13 音声出力部
38 環境騒音マイク
36 調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話上部に、携帯電話外壁から突出せず耳軟骨に当接する軟骨伝導振動部を設けたことを特徴とする携帯電話。
【請求項2】
前記軟骨伝導振動部は、携帯電話の上部角に配置されることを特徴とする請求項1記載の携帯電話。
【請求項3】
前記軟骨伝導振動部は、耳珠に接触可能な位置に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の携帯電話。
【請求項4】
前記軟骨伝導振動部は、携帯電話上部両角にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の携帯電話。
【請求項5】
携帯電話上部両角にそれぞれ設けられる前記軟骨伝導振動部の間に、音声出力部を有することを特徴とする請求項4記載の携帯電話。
【請求項6】
前記軟骨伝導振動部と前記音声出力部に同時に音声情報が出力されるととともに両者に出力する音声信号を相対調整する調整部を有することを特徴とする請求項5記載の携帯電話。
【請求項7】
環境騒音マイクを有し、前記軟骨伝導振動部に前記環境騒音マイクから拾った音声情報を位相反転させて出力する調整部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の携帯電話。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−42562(P2013−42562A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−263372(P2012−263372)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2010−289894(P2010−289894)の分割
【原出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(500216628)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】