説明

搾乳システムの牛番管理方法

【課題】 搾乳する乳牛に対して牛番を誤ってしまう不具合を確実に防止し、牛番を読取る際の確実性及び信頼性を確保するとともに、汎用性及び応用性を高め、さらに、全体の管理システムにおけるコストダウンを図る。
【解決手段】 予め、各ストールAs…に対応した全乳牛C…に係わる牛番データDn…を牛番管理データDc…として管理コンピュータ4に登録するとともに、搾乳作業時に、各搾乳ユニット2ax…を順番に初回搾乳位置に移動させ、各ユニットコントローラ3ax…により搾乳受持分に係わる牛番管理データDc…の一部を受持管理データDcp…として管理コンピュータ4から受信することにより各ユニットコントローラ3ax…に設定し、この後、受持管理データDcp…に基づく牛番Nc…を、搾乳を行う各乳牛C…に対応させてユニットコントローラ3ax…の表示部5ax…に表示処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳ユニットのユニットコントローラと管理コンピュータが通信することにより牛番に対する管理を行う際に用いて好適な搾乳システムの牛番管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳牛が繋留された各ストールに対して一又は二以上の搾乳機を移動させて搾乳を行う搾乳システムにおいて、各搾乳機に搭載した搾乳ユニットのユニットコントローラと管理室等に別途備える管理コンピュータが通信することにより牛番に対する管理を行うようにした搾乳システムの牛番管理方法としては、特許文献1で開示される繋留牛舎の乳牛飼養管理方法が知られている。
【0003】
同文献1に開示される乳牛飼養管理方法は、データの有効活用を図るとともに、搾乳処理及び給餌処理、更にこれらの段取等における能率性及び利便性を高めることを目的としたものであり、具体的には、乳牛が繋留された各ストールに対して搾乳機コントローラを搭載した搾乳機を移動させて搾乳を行うとともに、各ストールに対して給餌機コントローラを搭載した給餌機を自動で移動させて給餌を行うに際し、搾乳時に、搾乳機コントローラにより、少なくとも牛床番号に対応した乳量データを得、搾乳機コントローラ及び給餌機コントローラに対して通信可能な管理コントローラにより、少なくとも各乳量データに基づく固有の給餌量データを求めるとともに、他方、給餌時には、乳牛検出センサにより乳牛の存在有無を検出し、かつ牛番リーダにより乳牛に取付けたIDタグから牛番を読取ることにより各乳牛を識別するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−112207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来における繋留牛舎の乳牛飼養管理方法(搾乳システムの牛番管理方法)は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、搾乳を行う際に、搾乳する乳牛に対して牛番(ID)が誤って管理された場合、疾病牛の不良乳が良乳に混入したり給餌量を誤ってしまうなどの不具合を招くため、牛番リーダにより乳牛に取付けたIDタグから牛番を読取ることにより、乳牛と管理される牛番が一致しているかを管理コントローラにより確認している。この場合、IDタグは、耳標として牛体に取付けるが、牛体は動くため、読取りは容易でない。このため、牛番リーダを給餌機に取付け、乳牛が餌槽の餌(飼料)を食べるときに接近する短距離を利用して牛番を読取っていたが、疾病牛のように、食欲の無い乳牛は、餌槽の餌を食べようとしないことも多いとともに、給餌システムの形態によっては取付けできない場合もあり、牛番を読取る際の確実性及び信頼性を確保し、汎用性を高める観点からは、必ずしも最良な方法とは言えなかった。
【0007】
第二に、乳牛にIDタグを取付け、給餌機に取付けた牛番リーダにより牛番(ID)を読取る方法であるため、各乳牛に取付ける多数のIDタグ及びこのIDタグから牛番を読取る牛番リーダが必要になる。したがって、小規模繋留牛舎のように、管理面及び作業効率面における省力化がさほど重要な要素とならないような場合には、コンピュータを用いた全体の管理システムにおける無視できないコストアップ要因になる。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した搾乳システムの牛番管理方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、乳牛C…が繋留された各ストールAs…に対して複数の搾乳ユニット2ax,2ay…を自動搬送方式により各搾乳位置へ移動させて搾乳を行う際に、各搾乳ユニット2ax,2ay…に搭載したユニットコントローラ3ax,3ay…と別途備える管理コンピュータ4が通信することにより牛番に対する管理を行う搾乳システム1の牛番管理方法であって、予め、少なくとも各ストールAs…に対応した全乳牛C…に係わる牛番データDn…を牛番管理データDc…として管理コンピュータ4に登録するとともに、搾乳作業時に、各搾乳ユニット2ax,2ay…を順番に初回搾乳位置に移動させ、各ユニットコントローラ3ax,3ay…により搾乳受持分に係わる牛番管理データDc…の一部を受持管理データDcp…として管理コンピュータ4から受信することにより各ユニットコントローラ3ax,3ay…に設定し、この後、受持管理データDcp…に基づく牛番Nc…を、搾乳を行う各乳牛C…に対応させてユニットコントローラ3ax,3ay…の表示部5ax,5ay…に表示処理するようにしたことを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、ユニットコントローラ3ax,3ay…は、初回に搾乳する乳牛Cに係わる初回情報を管理コンピュータ4に送信し、管理コンピュータ4から当該初回情報に対応する受持管理データDcp…を受信することができる。また、ユニットコントローラ3ax,3ay…は、表示部5ax,5ay…に表示された牛番Nc…が誤りのとき、作業者の修正操作により当該牛番Nc…に係わる牛番データDn…を修正する修正処理を行い、修正後の牛番データDn…を管理コンピュータ4に送信する送信処理を行うことができる。この際、ユニットコントローラ3ax,3ay…による牛番データDn…の修正処理は、作業者の番号入力に基づく修正処理,作業者による表示部5ax,5ay…に表示される牛番リストからの選択に基づく修正処理,のいずれか一方又は双方を含ませることができる。一方、ユニットコントローラ3ax,3ay…は、任意の牛番Nc…の乳牛C…に対する搾乳が終了したなら、受持管理データDcp…から当該搾乳が終了した牛番データDnを自動で削除する削除処理を行うとともに、受持管理データDcp…に基づいて次に搾乳する乳牛C…の牛番Nc…を表示部5ax,5ay…に自動で表示する表示処理を行うことができる。また、ユニットコントローラ3ax,3ay…は、初回搾乳位置において、タップ6…への接続による給電により管理コンピュータ4から受持管理データDcp…を自動で受信処理することができる。
【発明の効果】
【0011】
このような手法による本発明に係る搾乳システム1の牛番管理方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 搾乳を行う乳牛C…と管理される牛番Nc…が一致しているか否かの確認は、表示部5ax…に表示される受持管理データDcp…上の牛番Nc…と乳牛C…の牛体に取付けられた番号札T…の牛番Nc…を作業者が目視により参照して行うことができるため、ストールAs…内の乳牛C…がどのような状態(位置や姿勢)にあっても、搾乳する乳牛C…に対する牛番の管理を誤ってしまう不具合を確実に防止できる。したがって、牛番Nc…を読取る際の確実性及び信頼性を確保できるとともに、給餌機の有無や形態に左右されることなく実施できるため、汎用性及び応用性を高めることができる。
【0013】
(2) 牛体に取付ける番号札T…は、従前からの一枚のプラスチック板等の印刷表示物で足りるため、各乳牛C…に取付ける多数のIDタグやこのIDタグから牛番を読取る牛番リーダ等は不要となる。したがって、全体の管理システムにおけるコストダウンを図ることができ、特に、管理面及び作業効率面における省力化がさほど重要な要素とならない小規模繋留牛舎等に適用して最適となる。
【0014】
(3) 予め、少なくとも各ストールAs…に対応した全乳牛C…に係わる牛番データDn…を牛番管理データDc…として管理コンピュータ4に登録するとともに、搾乳作業時に、各搾乳ユニット2ax…を順番に初回搾乳位置に移動させ、各ユニットコントローラ3ax…により搾乳受持分に係わる牛番管理データDc…の一部を受持管理データDcp…として管理コンピュータ4から受信することにより各ユニットコントローラ3ax…に設定するため、自動搬送方式により各搾乳ユニット2ax…を自動で移動させる際における牛番管理に係わる手動操作を極力排するとともに、牛番管理の確実性及び効率性を高めることができる。
【0015】
(4) 好適な態様により、ユニットコントローラ3ax…から初回に搾乳する乳牛Cに係わる初回情報を管理コンピュータ4に送信し、管理コンピュータ4から当該初回情報に対応する受持管理データDcp…を受信するようにすれば、搾乳ユニット2ax…単位の牛番管理を確実に行うことができるとともに、牛番エラーが発生した際におけるエラー解消時の迅速性を確保できる。
【0016】
(5) 好適な態様により、ユニットコントローラ3ax…が、表示部5ax…に表示された牛番Nc…が誤りのときに、作業者の修正操作により当該牛番Nc…に係わる牛番データDn…を修正する修正処理を行い、修正後の牛番データDn…を管理コンピュータ4に送信する送信処理を行うようにすれば、牛番管理データDc…の修正を確実かつ容易に行うことができる。
【0017】
(6) 好適な態様により、ユニットコントローラ3ax…による牛番データDn…の修正処理に、作業者の番号入力に基づく修正処理,作業者による表示部5ax…に表示される牛番リストからの選択に基づく修正処理,のいずれか一方又は双方を含ませれば、基本的に、受持管理データDcp…が設定された上での限られた数に対する牛番Nc…の修正となるため、修正作業の単純化及び容易化を図ることができる。
【0018】
(7) 好適な態様により、ユニットコントローラ3ax…により、任意の牛番Nc…の乳牛C…に対する搾乳が終了したなら、受持管理データDcp…から当該搾乳が終了した牛番データDnを自動で削除する削除処理を行うとともに、受持管理データDcp…に基づいて次に搾乳する乳牛C…の牛番Nc…を表示部5ax…に自動で表示する表示処理を行うようにすれば、乳牛C…の入れ替え等による変更がない限り、作業者は目視による確認作業で足り、余計な操作等は不要となるため、作業性の向上及び作業能率の向上に寄与できる。
【0019】
(8) 好適な態様により、ユニットコントローラ3ax…が、初回搾乳位置において、タップ6…への接続による給電により管理コンピュータ4から受持管理データDcp…を自動で受信処理するようにすれば、作業者による受信のための操作が全く不要になるため、更なる作業性及び作業能率の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好適実施形態に係る牛番管理方法に基づく搾乳開始設定処理の手順を示すフローチャート、
【図2】同牛番管理方法に基づく搾乳作業の処理手順を示すフローチャート、
【図3】同牛番管理方法を適用した搾乳システムを備える繋留牛舎における内部のレイアウト構成を示す平面図、
【図4】同牛番管理方法を適用した搾乳システムの概要を示す平面概要図、
【図5】同牛番管理方法を適用した搾乳システムに備える搾乳ユニットの一部抽出拡大図を含む外観正面図、
【図6】同牛番管理方法を適用した搾乳システムの側面概要図、
【図7】同牛番管理方法を実施できる搾乳管理システムの全体構成を示すブロック系統図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係る牛番管理方法の理解を容易にするため、繋留牛舎Hにおける搾乳システム1の全体構成について、図3〜図6を参照して説明する。
【0023】
図3は、繋留牛舎H内に設置された搾乳システム1全体の概要を示す。繋留牛舎Hは多数のストールAs…が配列するストール群A1…が設けられた搾乳ゾーンHsとこの搾乳ゾーンHsに隣接したメンテナンスゾーンHcを有する。搾乳ゾーンHsにおいて、Wは作業者が通行可能な通路であり、この通路Wの両側に、各ストールAs…が当該通路Wに沿って順次配されるとともに、各ストールAs…には乳牛C…が繋留される。図3に示す繋留牛舎Hは、二つの平行したストール群A1,A2を備える。そして、図6に示すように、ストール群A1(A2側も同じ)の上方に、ストール群A1に沿った搾乳システム1が設置されるとともに、このストール群A1の前方に、ストール群A1に沿った給餌システム70が設置される。また、メンテナンスゾーンHcには、後述する搾乳機2a…の待機するホームポジションPoを有するとともに、洗浄装置等のメンテナンス設備及び後述する管理コンピュータ4を設置する管理室などを備える。
【0024】
搾乳システム1は、ストール群A1,A2の上方に配したガイドレール部51を備える。ガイドレール部51は、ストール群A1に沿って配した主レール51mと、この主レール51mの中途位置から直角方向に分岐し、かつストールAsとAs…間に配した複数の分岐レール51s…を備える。なお、51d…は分岐部に接続するディバータを示す。分岐レール51s…は、配列するストールAs…に対して一つ置き、即ち、相隣る分岐レール51sと51s…間に二つのストールAs…が入るように配する。また、ストール群A1における分岐レール51sの先端前方には、図6に示すミルクライン52及び真空ライン53を配設する。ミルクライン52及び真空ライン53はストール群A1に沿って配し、各分岐レール51sに対向する位置には、後述するディストリビュータ54が接続するタップ(ミルクタップ)6を配設する。この場合、タップ6には、電源用タップ6eが付属する。なお、他方のストール群A2も、位置や方向が異なる点を除き、ストール群A1と同様に構成する。
【0025】
さらに、搾乳システム1には、ガイドレール部51に沿って移動する二台の搾乳機2a,2bを備える。搾乳機2a(搾乳機2b側も同じ)は、図5及び図6に示すように、ガイドレール部51に装填した自動搬送方式により搬送されるキャリア部55と、このキャリア部55に搭載した主コントローラ56と、キャリア部55の両側に吊下げた左右一対の搾乳ユニット2ax,2ayと、キャリア部55の先端に設けたディストリビュータ54を備える。このディストリビュータ54には、上述した電源用タップ6eに着脱する電源用プラグ54eが付属する。キャリア部55には駆動モータを用いた駆動部57を搭載し、この駆動部57は主コントローラ56により駆動制御される。この場合、キャリア部55の停止や移動方向の制御は、キャリア部55に設けた検出部(検出センサ)がガイドレール部51の所定位置に配した被検出部を検出することにより行われる。
【0026】
搾乳ユニット2ax(搾乳ユニット2ay側も同じ)は、パルセータ装置や自動離脱装置等を含むユニット本体60と、乳牛Cの各乳房Cb…に装着する四つのティートカップ61…と、ミルククロー62を備える。そして、ティートカップ61…とミルククロー62とユニット本体60とディストリビュータ54間は、ミルクチューブにより接続するとともに、ティートカップ61…とユニット本体60とディストリビュータ54間は、真空チューブにより接続する。また、ユニット本体60から繰出される離脱用ワイヤ63はミルククロー62に接続する。なお、図5に、搾乳機2aを前面から見た外観図を示す。このような搾乳システム1の構成により、各ストールAs…に対して搾乳機2a…を移動させて搾乳を行うことができる。
【0027】
他方、給餌システム70は、ストール群A1…の前上方に配したガイドレール部71と、このガイドレール部71に沿って移動する給餌機72…を備える。給餌機72は、図6に示すように、ガイドレール部71に装填した自動搬送方式により搬送される移動部73と、この移動部73に吊下げられた給餌機本体74を備える。給餌機本体74は、底部に計量器付の飼料排出機構75を有する飼料ケース部76を備える。この場合、移動部73の停止や移動方向の制御は、移動部73に設けた検出部(検出センサ)が、ガイドレール部71の所定位置に設けた被検出部を検出することにより行われる。このような給餌システム70の構成により、各ストールAs…に対して給餌機72を自動で移動させ、各ストールAs…の前に設けた餌槽に、計量した所定量の飼料Bを供給することができる。
【0028】
次に、本実施形態に係る牛番管理方法を実施できる搾乳システム1の制御系(電気系)の構成について、図4〜図7を参照して説明する。
【0029】
まず、搾乳ユニット2ax(搾乳ユニット2ay側も同じ)にはユニットコントローラ3axを搭載する。ユニットコントローラ3axは、図7に示すように、ユニットコントローラ本体部11を備え、このユニットコントローラ本体部11には、表示部5ax及び入力部13を接続するとともに、乳量計14,乳汁センサ15及び無線通信部16を接続する。さらに、電源部17を備え、この電源部17の一次側は、前述した電源用プラグ54eに接続する。ユニットコントローラ本体部11は、コンピュータ機能を備え、メモリに格納した処理プログラムに基づく一連の制御処理(シーケンス制御処理)をはじめ、演算処理,記憶処理,通信処理及び入出力処理等の各種データ処理(コンピューティング処理)を実行する。これにより、ユニットコントローラ3axは、本発明に関連して、搾乳作業時に、搾乳ユニット2axを初回搾乳位置に移動させた際に、搾乳受持分に係わる牛番管理データDcの一部を受持管理データDcpとして管理コンピュータ4から受信することによりユニットコントローラ3axに設定し、この後、受持管理データDcpに基づく牛番Nc…を、搾乳を行う各乳牛C…に対応させてユニットコントローラ3axの表示部5axに表示処理することができる。
【0030】
この場合、ユニットコントローラ本体部11,乳量計14,乳汁センサ15,無線通信部16及び電源部17は、搾乳ユニット2axに内蔵するとともに、表示部5ax及び入力部(操作部)13は、図5に示すように、搾乳ユニット2axの前面パネル21に配設する。なお、乳量計14は搾乳時の乳量を検出する機能を有するとともに、乳汁センサ15は搾乳した乳汁の品質を検査する機能を有し、この乳汁センサ15には乳汁の品質(特性)が正常か否かを検出する様々なセンサを適用できる。また、表示部5axは、図5に示すデジタル表示器を使用し、搾乳処理に必要な各種データ類、例えば、リアルタイム乳量や搾乳時間等を数値で表示するとともに、搾乳処理を開始する前には、本発明に関連して、例えば、四桁の牛番Ncを表示することができる。さらに、入力部13には、搾乳開始キーをはじめ、各種入力キー,スイッチ類及びランプ類を配する。なお、5ayは搾乳ユニット2ay側の表示部を示す。
【0031】
一方、繋留牛舎Hに備える、例えば管理室には管理コンピュータ4を設置する。管理コンピュータ4は、図4に示すように、汎用コンピュータシステム80により構成することができる。汎用コンピュータシステム80は、コンピュータ本体部81と、このコンピュータ本体部81に接続したディスプレイ82,入出力部83及び無線通信部84を備える。コンピュータ本体部81は、CPU(処理部)81s,データメモリ81d及びプログラムメモリ81p等を含むコンピュータ機能を備え、プログラムメモリ81pに格納した処理プログラムに基づく各種管理処理をはじめ、演算処理,記憶処理,通信処理及び入出力処理等の各種データ処理(コンピューティング処理)を実行する。これにより、データメモリ81dには、本発明に関連して、少なくとも各ストールAs…に対応した全乳牛C…に係わる牛番データDn…を牛番管理データDc…として登録することができる。
【0032】
ディスプレイ82は、カラー液晶ディスプレイ等を利用できるとともに、入出力部83には、外部メディア用ドライブ,キーボードやマウス等の入力部、及びプリンタ等の出力部を含む。これにより、各ストールAs…に対して二台の搾乳機2a,2bを移動させて搾乳を行う際に、無線通信部84及び各無線通信部16…を介して、各ユニットコントローラ3ax,3ayと管理コンピュータ4が通信し、牛番に対する基本的な管理を行うことができる。なお、通信方式は、特に、限定されるものではなく、例えば、Bluetooth(登録商標),無線LAN等の近距離無線通信、更には特定省電力無線通信等の双方向通信可能な各種無線通信方式及び有線通信方式を利用できる。また、管理コンピュータ4は各搾乳ユニット2ax,2ay…を認識する必要があるため、各搾乳ユニット2ax,2ay…にはID(識別コード)を設定する。このIDは、IPアドレス等の予め設定されているIDを利用してもよいし、通信時のデータにIDデータを含ませてもよい。
【0033】
次に、本実施形態に係る牛番管理方法に基づく搾乳システム1の動作について、図1〜図7を参照して説明する。
【0034】
最初に事前準備を行う。まず、管理コンピュータ(管理PC)4におけるデータメモリ81dには、本発明に従って、予め、少なくとも各ストールAs…に対応した全乳牛C…に係わる牛番データDn…を牛番管理データDc…として登録する(ステップS0)。なお、例示の場合、各ストールAs…は、平行に配した二つのストール群A1,A2に含まれるため、このストール群A1,A2の情報(データ)も含まれるとともに、搾乳機2a…は、左右一対の搾乳ユニット2ax,2ay…を備えるため、各ストールAs…が搾乳機2a…(分岐レール51s…)から見て右位置か又は左位置かの情報、更には各搾乳ユニット2ax,2ay,2bx,2byにより初回に搾乳を行う全乳牛C…(例示は四頭分)の牛番データDn…で構成される搾乳開始設定用データの情報等も含まれる。
【0035】
次いで、搾乳開始設定処理を行う(処理工程SA1)。この搾乳開始設定処理の手順について、図1に示すフローチャートを参照して説明する。
【0036】
なお、搾乳作業が開始するまでは、各搾乳機2a,2bはホームポジションPoに待機している。したがって、搾乳開始設定処理を行うには、搾乳処理開始時刻になったなら、各搾乳機2a,2bをホームポジションPoから順番に移動させる(ステップS1)。この場合、自動搬送方式により移動させるため、各搾乳機2a,2bのスタートスイッチを順番にONにする。これにより、各搾乳機2a,2bは、順番に走行を開始し、予め設定された各搾乳対象の一頭目(初回搾乳位置)までそれぞれ移動するとともに、初回搾乳位置に到着したなら停止する(ステップS2)。自動搬送方式では、前述したキャリア部55に設けた検出部(検出センサ)が、ガイドレール部51の所定位置に配した被検出部を検出し、かつ所定のシーケンスプログラムに従って、前進制御,停止制御,後退制御が行われることにより、搾乳位置まで自動で移動(自走)し、搾乳位置に到着したなら自動で停止する。また、例示の場合、搾乳機2aの初回搾乳位置は、ストール群A1の1番目の分岐レール51sに設定され、搾乳機2bの初回搾乳位置は、ストール群A2の1番目の分岐レール51sに設定される。
【0037】
一方、初回搾乳位置に到着した搾乳機2aに対しては自動でタップ接続が行われる。即ち、図6に示すように、搾乳機2aの停止位置(到着位置)により、ミルクライン52側のタップ(ミルクタップ)6に、搾乳機2a側のディストリビュータ54が自動で接続されるとともに、この際、同時に、タップ6側に付属する電源用タップ6eと搾乳機2a側における電源用プラグ54eも自動で接続される(ステップS3)。これにより、搾乳機2a、即ち、各搾乳ユニット2ax,2ayに対して給電が行われる(ステップS4)。なお、タップ接続により給電が行われるとは、電源用タップ6e及び電源用プラグ54eを通して給電が行われる場合と、タップ接続をトリガとして、例えば、キァリア部55に搭載したバッテリから搾乳ユニット2ax(及び2ay)に給電が行われる場合の双方が含まれる。
【0038】
そして、搾乳ユニット2ax,2ayへの給電によりユニットコントローラ3ax,3ayが作動し、ユニットコントローラ3ax,3ayは、それぞれ管理コンピュータ4から搾乳開始設定用データを自動で受信する(ステップS5)。この搾乳開始設定用データは、各搾乳ユニット2ax,2ay,2bx,2byにより初回に搾乳を行う全乳牛C…(例示は四頭分)の牛番データDn…により構成される。なお、この場合の牛番データDn…は、最低限、牛番データDn…が含まれることを意味し、牛番データDn…を含む牛番管理データDc…であってもよい。一方、搾乳開始設定用データを受信することにより、ユニットコントローラ3ax,3ayの各表示部5ax,5ayには、受信した牛番データDn…に基づく牛番Nc…が表示される。これにより、作業者は各表示部5ax…に表示される牛番Nc…を確認し、対応する牛番Ncが存在すれば、確認キー又は選択キー等を押して牛番Ncを確定させるとともに、対応する牛番Ncが存在しなければ、作業者は対応する牛番Ncを入力し、修正キー等を押して牛番Ncを確定させる(ステップS6,S7)。
【0039】
また、ユニットコントローラ3ax(ユニットコントローラ3ay側も同じ)は、確定させた牛番Ncを初回情報として管理コンピュータ(管理PC)4に送信する(ステップS8)。管理コンピュータ4は、初回情報を受信することにより、当該初回情報に対応した受持管理データDcpを送信する(ステップS9)。これにより、ユニットコントローラ3axは、送信された受持管理データDcpを受信し、自身のユニットコントローラ本体部11に設定(登録)する(ステップS10)。なお、受持管理データDcpは、搾乳ユニット2ax…一台当たりが受け持つ搾乳受持分(搾乳エリア)に対応するデータであるため、初回情報に基づく牛番Ncが判れば、対応する受持管理データDcpは確定する。即ち、例示の場合、搾乳ユニット2axからの初回情報が牛番Ncであれば、ストール群A1の右位置に係わる牛番データDn…を全て含む牛番管理データDcの一部が受持管理データDcpとして予め設定されているため、ユニットコントローラ3axは、この受持管理データDcpを受信することになる。
【0040】
このようなユニットコントローラ3axによる受持管理データDcpの設定(確定)は、全てのユニットコントローラ3ay…において同様に行われる(ステップS11)。これにより、各ユニットコントローラ3ax…には、異なる搾乳受持分(搾乳エリア)に対応した受持管理データDcp…がそれぞれ設定される。なお、ユニットコントローラ3axと3ayは対の関係になるため、一方のユニットコントローラにおける受持管理データDcpが設定されれば、他方のユニットコントローラにおける受持管理データDcpも確定する。したがって、一方の受持管理データDcpを設定したなら、他方の受持管理データDcpは自動で設定(確定)されるように処理してもよい。
【0041】
このように、初回に搾乳する乳牛Cに係わる初回情報を送信して管理コンピュータ4から当該初回情報に対応する受持管理データDcp…を受信するようにすれば、搾乳ユニット2ax…単位の牛番管理を確実に行うことができるとともに、牛番エラーが発生した際におけるエラー解消時の迅速性を確保できる。なお、受持管理データDcpの受信方法は、ユニットコントローラ3ax…からデータ送信指令を管理コンピュータ4に送信し、これに基づいて、管理コンピュータ4から対応する受持管理データDcpをユニットコントローラ3ax…に送信してもよいし、管理コンピュータ4から一方的に全受持管理データDcp…を発信し、ユニットコントローラ3ax…が対応する受持管理データDcpを選択して受信してもよい。このように、ユニットコントローラ3ax…が、初回搾乳位置において、タップ6…への接続による給電により管理コンピュータ4から受持管理データDcpを自動で受信処理するようにすれば、作業者による受信のための操作が全く不要になるため、作業性及び作業能率の向上に寄与できる利点がある。
【0042】
以上が搾乳開始設定処理となり、この搾乳開始設定処理の終了により主搾乳処理を行う(処理工程SA2)。以下、この主搾乳処理の手順について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0043】
まず、搾乳ユニット2a(搾乳ユニット2b側も同じ)において、ユニットコントローラ3axにおける表示部5axには、図5に示すように、初回に搾乳を行う牛番Ncが表示されるため、作業者は正しい牛番Ncか否かを確認する(ステップS21)。この場合、作業者は、表示部5axに表示される牛番Ncと、図6に示すように、乳牛Cの牛体(耳)に取付けられている番号札Tに表示される牛番Ncとを参照し、牛番Ncが一致するか否かを確認する(ステップS22)。もし、牛番Ncが一致しないときは、作業者の修正操作に基づき、ユニットコントローラ3axは、表示部5axに表示される牛番Ncに係わる牛番データDnを番号札Tの牛番Ncに修正処理する(ステップS23)。この際、牛番Ncの修正処理は、作業者の入力部13を利用した番号入力に基づく修正処理,作業者による表示部5axに表示される牛番リストからの選択に基づく修正処理,のいずれか一方又は双方により行うことができる。これにより、牛番データDnが書換えられ、別途保存される。この際、修正時に入力する数値或いは選択する牛番Ncは、基本的に、受持管理データDcp…が設定された上での限られた数に対する牛番Nc…の修正となるため、修正は、例えば、1桁又は2桁程度の修正で足り、修正作業の単純化及び容易化を図れる利点がある。
【0044】
牛番Nc…の確認処理が終了したなら、作業者は、乳牛Cにティートカップ61…を装着するなどの搾乳準備を行い、この搾乳準備が終了したなら搾乳開始キーをONにする(ステップS24)。これにより、搾乳処理が行われる(ステップS25)。搾乳処理では、搾乳と同時に、乳量の測定や乳の品質(特性)の検査が行われる。搾乳処理が終了すれば、自動離脱装置の作動によりティートカップ61…の自動離脱が行われる。そして、ユニットコントローラ3axは、得られた乳量や検査結果を含む搾乳データDmを、管理コンピュータ4に送信する。この際、牛番データDnを修正した場合には、ユニットコントローラ3axにより、搾乳データDmに対して、修正した牛番データDnを付加するデータ処理を行ない、この後、修正した牛番データDnを付加した搾乳データDmを管理コンピュータ4に送信する送信処理を行う(ステップS26,S27)。これにより、管理コンピュータ4では、搾乳データDmが記録されるとともに、牛番データDnの修正処理が行われる。なお、修正した牛番データDnを付加するデータ処理は、例えば、自動離脱装置の作動開始タイミングに基づいて実行させることができる。このように、表示部5axに表示された牛番Ncが誤りのときに、作業者の修正操作により当該牛番Ncに係わる牛番データDnを修正処理し、修正後の牛番データDnを、管理コンピュータ4に送信する送信処理を行うようにすれば、牛番管理データDcの修正を確実かつ容易に行うことができる。
【0045】
他方、初回のストールAsにおいて、搾乳ユニット2ax,2ayによる搾乳処理が終了したなら、搾乳機2aのスタートスイッチをONにする。これにより、搾乳機2aは走行を開始し、タップ6及び6eに対する離脱が自動で行われる(ステップS28)。そして、次の搾乳位置となる二番目のストールAsへ自動搬送方式により自動で移動する(ステップS29,S30,S31)。また、搾乳機2aが、次の搾乳位置に到達したなら、上述した初回のストールAsの場合と同様に、自動によるタップ接続及び搾乳機2aにおける各搾乳ユニット2ax,2ayに対する給電が行われる(ステップS32)。このように、本実施形態に係る搾乳システム1では、ストール群A1における各分岐レール51s…に搾乳機2aの搾乳位置がそれぞれ設定され、各搾乳位置への搾乳機2aの移動は自動搬送方式により自動で行われるとともに、ストール群A2における各分岐レール51s…にも搾乳機2bの搾乳位置がそれぞれ設定され、各搾乳位置への搾乳機2bの移動も同様に行われる。
【0046】
この場合、二番目のストールAs以降の搾乳位置における搾乳処理作業は、初回搾乳位置における搾乳処理作業ではないため、タップ6及び6eに対するタップ接続が行われても、ユニットコントローラ2ax(ユニットコントローラ2ay側も同じ)は、既に受信している受持管理データDcpに基づき、次に搾乳する乳牛Cの牛番Ncを表示部5axに自動で表示する表示処理を行うとともに、受持管理データDcpから、直前に搾乳の終了した牛番データDnを自動で削除する削除処理を行う(ステップS33)。このような表示処理及び削除処理を行うようにすれば、乳牛C…の入れ替え等の変更がない限り、作業者は目視による確認作業で足り、余計な操作等は不要となるため、作業性の向上及び作業能率の向上に寄与できる利点がある。
【0047】
そして、ユニットコントローラ3axにおける表示部5axには、次に搾乳を行う牛番Ncが表示されるため、作業者は正しい牛番Ncか否かを確認する(ステップS34)。この際、表示部5axに表示される牛番Ncと、乳牛Cの牛体(耳)に取付けられている番号札Tに表示される牛番Ncが一致しないときは、作業者の修正操作に基づき、ユニットコントローラ3axは、表示部5axに表示される牛番Ncに係わる牛番データDnを番号札Tの牛番Ncに修正処理する(ステップS35,S36)。次いで、牛番Ncの確認が終了したなら、作業者は、乳牛Cにティートカップ61…を装着するなどの搾乳準備を行った後、搾乳開始キーをONにする(ステップS24)。以後、上述した搾乳処理が行われる(ステップS25…)。
【0048】
一方、ストール群A1における全ての分岐レール51s…に対する搾乳作業が終了すれば、搾乳機2aはホームポジションに戻り一連の搾乳処理が終了する(ステップS29,S11)。以上の搾乳処理作業は、搾乳機2aがストール群A1に進入する場合を説明したが、搾乳機2aがストール群A2に進入する場合も上述したストール群A1に進入する場合と同様の処理が行われるとともに、搾乳機2bがストール群A1或いはA2に進入する場合も上述した搾乳機2aがストール群A1に進入する場合と同様に行われる。
【0049】
よって、このような本実施形態に係る搾乳システム1の牛番管理方法によれば、搾乳を行う乳牛C…と管理される牛番Nc…が一致しているか否かの確認は、表示部5ax…に表示される受持管理データDcp…上の牛番Nc…と乳牛C…の牛体に取付けられた番号札T…の牛番Nc…を作業者が目視により参照して行うことができるため、ストールAs…内の乳牛C…がどのような状態(位置や姿勢)にあっても、搾乳する乳牛C…に対する牛番の管理を誤ってしまう不具合を確実に防止できる。したがって、牛番Nc…を読取る際の確実性及び信頼性を確保できるとともに、給餌機の有無や形態に左右されることなく実施できるため、汎用性及び応用性を高めることができる。また、牛体に取付ける番号札T…は、従前からの一枚のプラスチック板等の印刷表示物で足りるため、各乳牛C…に取付ける多数のIDタグやこのIDタグから牛番を読取る牛番リーダ等は不要となる。したがって、全体の管理システムにおけるコストダウンを図ることができ、特に、管理面及び作業効率面における省力化がさほど重要な要素とならない小規模繋留牛舎等に適用して最適となる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る牛番管理方法では、予め、少なくとも各ストールAs…に対応した全乳牛C…に係わる牛番データDn…(搾乳開始設定用データを含む)を牛番管理データDc…として管理コンピュータ4に登録するとともに、搾乳作業時に、各搾乳ユニット2ax…を順番に初回搾乳位置に移動させ、各ユニットコントローラ3ax…により搾乳受持分に係わる牛番管理データDc…の一部を受持管理データDcp…として管理コンピュータ4から受信することにより各ユニットコントローラ3ax…に設定するため、自動搬送方式により各搾乳ユニット2ax…を自動で移動させる際における牛番管理に係わる手動操作を極力排することができるとともに、牛番管理の確実性及び効率性を高めることができる。
【0051】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の手法,構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0052】
例えば、二列のストール群A1,A2と二台の搾乳機2a,2bにより搾乳する場合を示したが、ストール群A1…の数や搾乳機2a…の数は任意に選定できる。この場合、受持管理データDcpは、ストール群A1,A2単位で設定したが、一つのストール群A1の1/2を一つの受持管理データDcpに設定したり、二列のストール群A1,A2の全体を一つの受持管理データDcpに設定してもよい。また、1〜10番目のストールAs…,11〜20番目のストールAs…等をそれぞれ一つの受持管理データDcpに設定してもよい。一方、ユニットコントローラ3ax…により、表示部5ax…に表示された牛番Nc…が誤りのときに、修正した牛番Nc…に係わる牛番データDn…を、搾乳データDm…に付加するデータ処理を行い、管理コンピュータ4に送信するようにしたが、修正した牛番データDn…については、全ての搾乳が終了した後に、一括して管理コンピュータ4に送信して書換えを行うなどの方法であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る牛番管理方法は、搾乳ユニットのユニットコントローラと管理コンピュータが通信することにより牛番に対する管理を行う各種搾乳システムに利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1:搾乳システム,2ax(2ay…):搾乳ユニット,3ax(3ay…):ユニットコントローラ,4:管理コンピュータ,5ax(5ay…):表示部,6…:タップ,C…:乳牛,As…:ストール,Nc…:牛番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳牛が繋留された各ストールに対して複数の搾乳ユニットを自動搬送方式により各搾乳位置へ移動させて搾乳を行う際に、各搾乳ユニットに搭載したユニットコントローラと別途備える管理コンピュータが通信することにより牛番に対する管理を行う搾乳システムの牛番管理方法であって、予め、少なくとも各ストールに対応した全乳牛に係わる牛番データを牛番管理データとして前記管理コンピュータに登録するとともに、搾乳作業時に、各搾乳ユニットを順番に初回搾乳位置に移動させ、各ユニットコントローラにより搾乳受持分に係わる牛番管理データの一部を受持管理データとして前記管理コンピュータから受信することにより各ユニットコントローラに設定し、この後、前記受持管理データに基づく牛番を、搾乳を行う各乳牛に対応させて前記ユニットコントローラの表示部に表示処理することを特徴とする搾乳システムの牛番管理方法。
【請求項2】
前記ユニットコントローラは、初回に搾乳する乳牛に係わる初回情報を前記管理コンピュータに送信し、前記管理コンピュータから当該初回情報に対応する受持管理データを受信することを特徴とする請求項1記載の搾乳システムの牛番管理方法。
【請求項3】
前記ユニットコントローラは、前記表示部に表示された牛番が誤りのとき、作業者の修正操作により当該牛番に係わる牛番データを修正する修正処理を行い、修正後の牛番データを前記管理コンピュータに送信する送信処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の搾乳システムの牛番管理方法。
【請求項4】
前記ユニットコントローラによる牛番データの修正処理には、作業者の番号入力に基づく修正処理,作業者による前記表示部に表示される牛番リストからの選択に基づく修正処理,のいずれか一方又は双方を含むことを特徴とする請求項3記載の搾乳システムの牛番管理方法。
【請求項5】
前記ユニットコントローラは、任意の牛番の乳牛に対する搾乳が終了したなら、前記受持管理データから当該搾乳が終了した牛番データを自動で削除する削除処理を行うとともに、前記受持管理データに基づいて次に搾乳する乳牛の牛番を前記表示部に自動で表示する表示処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搾乳システムの牛番管理方法。
【請求項6】
前記ユニットコントローラは、前記初回搾乳位置において、タップへの接続による給電により前記管理コンピュータから前記受持管理データを自動で受信処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の搾乳システムの牛番管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244905(P2012−244905A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116625(P2011−116625)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】