説明

搾乳器

【課題】仕切り膜の不安定な変形を極力回避することで仕切り膜の変形を制御可能とし、これにより搾乳を安定して行い得る搾乳器を提供する。
【解決手段】第一の空間8と第二の空間9とを仕切る仕切り膜17は、筒部21と底部22とを一体に有するもので、シリコンゴム等、可撓性を有する材料で薄膜状に形成される。筒部21には、複数の(3つの)補強部23が円周方向等間隔に設けられている。各補強部23は、筒部21の他の部分と比べて厚肉に形成されており、筒部21の長手方向に沿って延びている。また、各補強部23は筒部21の内周側に盛り上がった状態で形成されている。上述の構成をなす仕切り膜17は全体として伸縮性を有し、搾乳器11に組み込まれた状態では、第二の空間9の圧力変化に伴い伸縮するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母乳を搾乳するための搾乳器に関する。
【背景技術】
【0002】
搾乳器は、乳当て部およびボトル取付け部を有するヘッド部と、ヘッド部の内部空間に負圧を発生させるための排気装置とを備えたものであり、排気装置として、手動式のポンプや、モータ等を備えた電動式のポンプなどが用いられる。
【0003】
また、最近では、搾乳した母乳がポンプ側に流入するのを防止して母乳の衛生状態を清潔に保つ目的で、排気装置と負圧発生空間との間に伸縮可能な仕切り膜を設け、仕切り膜を介して負圧発生空間と排気装置により排気を行う空間とを区画したものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
図4は、その一例を示すもので、同図に係る搾乳器1は、乳当て部2を有するヘッド部3と、ヘッド部3に設けられる排気装置10と、ボトル4とを備えている。ヘッド部3は、外径側に向けて延びる乳当て部2を設けた筒部5と、筒部5の上開口部を覆う上蓋部6とを有している。上蓋部6と筒部5との間には、有底円筒状をなす薄膜状の仕切り膜7が設けられる。これにより、ヘッド部3の内部空間が、乳当て部2の一端開口側に設けられた第一の開口部2aおよび筒部5の下端に設けられた第二の開口部5aとを有する第一の空間8と、第一の空間8と仕切り膜7を介して仕切られ、排気装置10と連通する第二の空間9とに区画される。なお、この図示例では、排気装置10はゴム球で構成されており、ゴム球の圧縮、解放に伴い、第二の空間9に対して吸気および排気を行うようになっている。
【0005】
上記構成の搾乳器1において、例えば排気装置10により第二の空間9の排気を行うことで、第二の空間9が負圧状態となり、仕切り膜7が第二の空間9の側に移動する。このようにして、第二の空間9を収縮させることで、第二の空間9と仕切り膜7を介して隣接する第一の空間8が、第二の空間9が収縮した分だけ拡張し、負圧状態に変化する。また、この図示例のように、ゴム球からなる排気装置10で第二の空間9に気体を送り込む(吸気を行う)ことで仕切り膜7が第一の空間8の側に移動し、第一の空間8が、第二の空間9が拡張した分だけ収縮する。これにより、仕切り膜7を介して第2の空間9の側から押し込まれた第一の空間8内の気体が、例えば筒部5とボトル4との嵌合部の隙間から外部空間に漏れ出す。このようにして、第一の空間8を拡張させることで、あるいは拡張と収縮を一又は複数回繰り返すことで、第一の空間8内の負圧が高められる。そのため、予め乳当て部2に押し当てた乳房が乳頭と共に第一の空間(負圧発生空間)8内に吸引され、母乳が搾乳される。
【特許文献1】特開2006−015004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の搾乳器においては、その構造上、仕切り膜の伸縮量が負圧発生能力ひいては乳房の吸引力に直結するため、例えば仕切り膜を薄肉に形成して仕切り膜を極力大きく変形させるようにしている。
【0007】
しかしながら、上述のように伸縮可能な程度に仕切り膜を薄肉に形成する場合、その変形挙動(伸縮)が不安定になりやすい。例えば図4に示す形状の仕切り膜7であれば、仕切り膜7の底部が上蓋部6の側に向けて均等に変形(収縮)することが望ましいが、実際には、上述の理由から仕切り膜7は不安定に変形(収縮)する。そのため、例えば図4中二点鎖線で示すように仕切り膜7が変形した場合には、仕切り膜7のほとんど変形せずに残った部分が、乳当て部2からボトル4に至る母乳の流路を塞ぐことにもなりかねない。あるいは、変形せずに残る部分があることで、仕切り膜の伸縮能を活かし切れず、本来得るべきはずの負圧が十分に発生しない事態も起こり得る。
【0008】
以上の事情に鑑み、本発明では、仕切り膜の不安定な変形を極力回避することで仕切り膜の変形を制御可能とし、これにより搾乳を安定して行い得る搾乳器を提供することを技術的な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、乳房の押し当てにより閉塞される第一の開口部と、容器を取り付けた状態で容器内部と連通可能な第二の開口部とを有する第一の空間と、伸縮可能な仕切り膜で第一の空間と仕切られる第二の空間と、第二の空間に対して排気を行う排気装置とを備えたものにおいて、仕切り膜に補強部を設けたことを特徴とする搾乳器を提供する。
【0010】
上述の構成をなす仕切り膜であれば、吸排気空間の排気時、仕切り膜の補強されていない部分が補強部に優先して変形し、次いで補強部が変形する。そのため、常に一定の変形を仕切り膜に与えることができ、薄肉に形成した仕切り膜の不安定な変形を極力回避することができる。また、予め補強部の形状やサイズ、あるいはその配列態様を適正に定めた上で補強部を設けることで、仕切り膜の変形を制御することが可能となる。これにより、仕切り膜が部分的に変形せずに残る事態を避けて、例えば乳房の押し付けにより閉塞される第一の開口部から容器の取り付け口となる第二の開口部までの通路を確保することができる。従って、搾乳された母乳を確実に容器の側へと送ることが可能となる。
【0011】
また、補強部には、変形(収縮)時、非補強部分に比べて高い弾性復元力が蓄積される。そのため、補強部を含めた仕切り膜全体を変形させることで、第二の空間の吸気時(常圧復帰時)、補強部の高い弾性復元力により仕切り膜を容易かつスムーズに元の形状に戻すことができ、負圧発生作用を安定的に得ることができる。
【0012】
また、補強部は規則的に設けることが好ましい。これは、上述の適正な配列態様の一例であって、規則的に補強部を設けることで、常に規則性をもった変形を仕切り膜に付与することができる。これにより、仕切り膜をより安定的に変形させることができ、また制御も容易となる。なお、ここでいう規則的とは、補強部が一定のきまりに従って仕切り膜に設けられている様を意味し、そのことが外観から見て取れるものであればよい。
【0013】
上記補強部は、例えば仕切り膜の他の部分と比べて厚肉とすることで形成することができる。あるいは、他所と比べて剛性を高めることで当該箇所に補強部を形成することもできる。
【0014】
補強部は規則的に設けられたものであればよいが、より好ましくは、仕切り膜の形状に合わせて、先に生じる補強部以外の部分の変形が対称的に生じるよう、あるいは仕切り膜全体としてみた場合に変形の方向が一貫するように設定するのがよい。
【0015】
例えば、仕切り膜は、通常、これを収容するヘッド部がボトル状容器の取り付け部を有することから、有底筒状あるいは半球状を主体とする形状であることが多い。この場合、複数の補強部を円周方向等間隔に設けるのが好ましく、これにより、仕切り膜全体を極力均等に変形させることが可能となる。
【0016】
本発明は、仕切り膜により仕切られる第一の空間(負圧発生空間)と第二の空間(排気空間)とを有するものである限り、種々の構成の搾乳器に適用可能である。例えば、排気装置が電動式ポンプで構成されたものの他、ゴム球等の手動式ポンプで構成されたものに対しても本発明を適用することができる。あるいは、排気装置が、第二の空間に対する吸気機能を兼ねたものであってもよい。
【0017】
また、本発明に係る搾乳器は、第一の空間や仕切り膜を収容するヘッド部に対して着脱可能である限り、任意の容器を使用することが可能である。例えば容器としてボトルを取り付けた状態で使用することもできる。あるいは、容器として母乳保存用の袋を取り付けた状態で使用することもできる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、仕切り膜の不安定な変形を極力回避することで仕切り膜の変形を制御可能とし、これにより搾乳を安定して行い得る搾乳器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図3に基づいて説明する。なお、既述の図4における要素と実質的に同じ要素には同じ符号を付して説明を行う。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る搾乳器11の部分断面図であり、乳当て部2を有するヘッド部3と、ヘッド部3に設けられる排気装置20とを備えている。搾乳器1は、この実施形態では、ヘッド部3に着脱自在に設けられたボトル4をさらに備えている。
【0021】
排気装置20は、この実施形態では主に電動ポンプにより構成される。ここでは図示および詳細は省略するが、排気装置20は、モータと、モータに偏心軸を介して連結され、モータの回転駆動により振動する薄膜状のダイヤフラムと、ダイヤフラムの振動に伴いその容積を増減させるポンプ空間と、ダイヤフラムと共にポンプ空間を区画形成する区画部と、後述するヘッド部3の第二の空間9の気体をポンプ空間内に流入させる吸気部、およびポンプ空間内の空気を外部に排出する排気部とを主要な構成要素として構成されている。また、この実施形態における排気装置20は、後述する第二の空間9に対する吸気機能を兼ねたものであり、図示は省略するが、外部空間との連通機構を備えている。
【0022】
また、この実施形態では、ダイヤフラムに対して区画部を相対移動させるための相対移動手段が設けられており、例えば図1に示す操作ダイヤル29を回転操作することで、ダイヤフラムと区画部とによって区画形成されるポンプ空間の容積を調整することができる。なお、同図中、27はモータの電源スイッチを、28は、上述の連通機構を操作して、第二の空間9に外気を導入するための押しボタンをそれぞれ示している。
【0023】
ヘッド部3を構成する乳当て部2の一端開口側には、乳房を押し当てることにより閉塞される第一の開口部2aが形成されている。また、同じくヘッド部3を構成する筒部5の下端には第二の開口部5aが形成されている。ヘッド部3の内部に形成される第一の空間8はこれら第一の開口部2aと第二の開口部5aとを有する。そのため、例えばボトル4をねじ嵌合により筒部5に固定した状態では、第二の開口部5aを介して、ヘッド部3の内部に形成される第一の空間8とボトル4内部とが連通するようになっている。また、筒部5の上開口端を覆う上蓋部6との間には、有底円筒状をなす仕切り膜17が介設されている。これにより、ヘッド部3の内部空間が、第一の開口部2aおよび第二の開口部5aとを有する第一の空間8と、第一の空間8と隣接し、かつ仕切り膜17を介して第一の空間8と仕切られる第二の空間9とに区画される。ここで、第二の空間9は、排気装置20の吸気部を介して図示しないポンプ空間と連通している。
【0024】
仕切り膜17は、この実施形態では図1および図3に示すように筒部21および底部22を一体に有するもので、可撓性を有しかつ無臭性の材料、例えばシリコンゴムあるいはポリプロピレン等で薄膜状に形成される。
【0025】
仕切り膜17には、規則的に補強部23が設けられている。この実施形態では、図2に示すように、複数の(3つの)補強部23が筒部21に対して円周方向等間隔となるように設けられている。各補強部23は、筒部21の他の部分と比べて厚肉に形成されており、筒部21の長手方向(軸方向)に沿って延びている。また、この実施形態では、各補強部23は筒部21の内周側に盛り上がった状態で形成されている。このように構成された仕切り膜17は全体として伸縮性を有し、後述するように搾乳器11に組み込まれた状態では、第二の空間9の圧力変化に伴い伸縮するようになっている。
【0026】
筒部21の一端(底部22とは反対の側)には、その周縁全周にわたって鍔部24が形成されており、この鍔部24を筒部5と上蓋部6とで挟持することで、ヘッド部3内の所定位置に固定される。この実施形態では、図3に示すように、上蓋部6と当接する鍔部24の一端面25が隆起しており、この隆起部分が筒部5と上蓋部6との間で挟持されて押し潰されることで、各部材5、6と仕切り膜17との間のシール性を高めるようになっている。
【0027】
また、この実施形態では、ボトル4とヘッド部3との間に仕切り部材18が配設され、この仕切り部材18に設けられた逆止弁19を介して、第一の空間8の側からボトル4内部の側に流体が流れるようになっている。また、仕切り部材18の鍔部下面には半径方向溝(図示は省略)が形成されており、ボトル4の外周嵌合面4aとこれにねじ嵌合する筒部5の内周嵌合面5bとの間に僅かな隙間を介してボトル4内部と外部空間とがつながるようになっている。
【0028】
次に、この搾乳器1の動作を説明する。
【0029】
まず、電源スイッチ27を操作してモータを駆動させることで、モータの偏心軸に連結されたダイヤフラムを振動させ、ダイヤフラムと区画部との間に形成されるポンプ空間を拡縮させる。ポンプ空間を拡張させることで、ダイヤフラムに設けられた第一の逆止弁を開き、第二の空間9からポンプ空間に空気を引き込む。また、ポンプ空間を収縮させることでダイヤフラムに設けられた第二の逆止弁を開き、ポンプ空間内の空気を外部に放出する。このようにして、第二の空間9内の空気がポンプ空間を介して連続的に外部空間に放出されることで、第二の空間9内が負圧状態になるとともに、仕切り膜17が第二の空間9側に移動して第二の空間9が収縮する。これにより、第二の空間9と仕切り膜17を介して隣接する第一の空間8が、第二の空間9が収縮した分だけ拡張し、負圧状態に変化する。
【0030】
次に、押しボタン28を押して、第二の空間9と外部空間とを連通させることで、常圧の外気が負圧状態の第二の空間9に流れ込む。これにより、仕切り膜17が第一の空間8の側に移動し、第一の空間8が、第二の空間9が拡張した分だけ収縮する。これにより、第一の空間8を第二の空間9の拡張により押し込まれ、第一の空間8内の気体が、筒部5とボトル4との嵌合面5b、4a間の隙間から外部空間に漏れ出す。このようにして、第一の空間8の拡張、収縮を一又は複数回繰り返すことで、第一の空間8内の負圧が徐々に高められる。そして、予め乳当て部2に押し当てた乳房が乳頭と共に第一の空間8内に吸引され、母乳が搾乳される。この実施形態では、第一の空間8内の空気が、仕切り部材18の逆止弁19を押し開いてボトル4に流れ込むことで、搾乳された母乳がボトル4内に溜められていく。
【0031】
この際、第二の空間9への吸排気に伴い伸縮する仕切り膜17に補強部23を設けることで、より好ましくは補強部23を規則的に設けることで、第二の空間9の排気時、仕切り膜17のうち補強されていない部分が第二の空間9の側に向けて変形し、次いで補強部23が変形する。そのため、仕切り膜17全体としては、例えば図1中一点鎖線で示す位置まで収縮する。このように、補強部23を設けることで、常に仕切り膜17の特定箇所を補強部23に先立って変形させ、仕切り膜17全体に対して常に一定の変形を与えることができる。これにより、仕切り膜17が部分的に変形せずに残る事態(例えば仕切り膜17の乳当て部2の側が変形せずに残る事態)を避けて、第一の開口部2aから第二の開口部5aまでの通路を確保することができる。従って、搾乳された母乳を第二の開口部5aおよび仕切り部材18の逆止弁19を介して確実にボトル4内部に送ることが可能となる。
【0032】
また、各補強部23には、変形(収縮)時、仕切り膜17の他の部分(非補強部分)に比べて高い弾性復元力が蓄積される。そのため、補強部23を含めた仕切り膜17全体を余すことなく変形させることで、第二の空間9の吸気時(常圧復帰時)、補強部23の高い弾性復元力により仕切り膜17全体を容易かつスムーズに元の形状に戻すことができる。これにより、所定の容積分だけ第一の空間8を押し込むことができ、十分な負圧発生作用を確実に得ることができる。かかる復元作用は、上述のように、各補強部23を筒部21の長手方向に延ばして設けることで一層顕著に現れる。また、筒部21の長手方向に沿って補強部23を設けることで、搾乳された母乳を乳当て部2の側に押し戻すことなく、ボトル4の側(第二の開口部5aの側)に向けて確実に押し出すことができる。
【0033】
また、この実施形態では、複数の補強部23を、円周方向等間隔に設けたので、仕切り膜17の伸縮を筒部21の仮想軸に対して均等に生じることができ、かかる変形挙動を安定的に発現することができる。また、補強部23を筒部21の長手方向に延ばして設けることと相まって、仕切り膜17をできる限り大きく伸縮させることが可能となる。このように、補強部23を規則的に設けることで、仕切り膜17の変形挙動を所望の状態に制御することが可能となる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態に係る搾乳器11について説明したが、本発明は、規則的に補強部を設けた仕切り膜を備えたものである限り、任意構成の搾乳器に対して適用可能である。
【0035】
上記実施形態では、図2に示すように、補強部23を、仕切り膜17の他の部分に比べて厚肉とすることで形成した場合を例示したが、もちろんこの形態に限る必要はない。仕切り膜17に対して補強作用を発揮する限り、例えば他所よりも剛性を高めることで補強部23を設けることも可能である。具体的には、仕切り膜17の補強部23以外の部分と比べて剛性の高い材料で補強部23を予め作製しておき、これを残りの部分と一体化することで仕切り膜17を得ることができる。あるいは、成形時の加硫操作等を工夫することで膜厚は同じで剛性が他所より高い補強部23を一体に有する仕切り膜17を得ることができる。
【0036】
また、上記実施形態では、補強部23を、筒部21の長手方向に沿って延びる、いわゆるリブ形状に形成した場合を例示したが、これに限る必要はない。例えば図示の形状(有底円筒形状)をなす仕切り膜17の場合であれば、補強部23以外の部分の変形が筒部21の仮想中心軸に対して対称的に生じるよう、あるいは、仕切り膜17全体として筒部21の仮想軸方向に向けて伸縮するように補強部23の形状やサイズ、配列態様等を定めてやればよい。上述の関係を満たすものである限り、例えば複数の補強部23同士を連結することも可能である。あるいはスパイラル形状など、全体として見れば1つの補強部23からなるものであってもよい。
【0037】
また、上記構成の補強部23を設けた仕切り膜17の形状として、上記実施形態では、有底筒形状でかつ断面真円状をなすものを例示したが、これに限る必要はない。排気装置20による排気動作(吸気動作を含む)で所要の伸縮量が得られるものであれば、例えば断面多角形状をなすものでもよい。あるいは有底円筒状に限らず、半球状など、種々の形状を採ることも可能である。
【0038】
また、上記実施形態では、排気装置20として電動式ポンプからなるものを例示したが、第二の空間9に対して排気を行い得るものである限り、これに限定する必要はない。例えば、ゴム球等で構成した手動式の排気装置を上蓋部6に取り付けて、第二の空間9と連通させた構成の搾乳器に対しても本発明を適用することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、搾乳器11として、ヘッド部3にボトル4を着脱自在に取り付けたものを例示したが、ヘッド部3に着脱可能な容器であれば、これに限ることなく、他の使用形態を採ることも可能である。例えば図示は省略するが、ボトル4に替えて母乳保存用の袋を取り付けることも可能である。この場合には、上記例示のように、筒部5の第二の開口部5aと取り付けるべき容器との間に逆止弁19を有する仕切り部材18を介設することにより当該袋を、特段の対策を講じることなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る搾乳器の部分断面図である。
【図2】仕切り膜を排気装置の側から見た平面図である。
【図3】搾乳器に組み込む前の仕切り膜の断面図である。
【図4】従来構成の搾乳器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1、11 搾乳器
2 乳当て部
2a 第一の開口部
3 ヘッド部
5 筒部
5a 第二の開口部
8 第一の空間(負圧発生空間)
9 第二の空間(排気空間)
10、20 排気装置
17 仕切り膜
21 筒部
22 底部
23 補強部
24 鍔部
25 一端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房の押し当てにより閉塞される第一の開口部と、容器を取り付けた状態で容器内部と連通可能な第二の開口部とを有する第一の空間と、伸縮可能な仕切り膜で第一の空間と仕切られる第二の空間と、第二の空間に対して排気を行う排気装置とを備えた搾乳器において、
仕切り膜に補強部を設けたことを特徴とする搾乳器。
【請求項2】
補強部を規則的に設けた請求項1記載の搾乳器。
【請求項3】
補強部を、他所と比べて厚肉とすることで形成した請求項1記載の搾乳器。
【請求項4】
補強部を、他所と比べて剛性を高めることで形成した請求項1記載の搾乳器。
【請求項5】
仕切り膜が有底筒状をなす請求項1記載の搾乳器。
【請求項6】
複数の補強部を円周方向等間隔に設けた請求項4記載の搾乳器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−330703(P2007−330703A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169227(P2006−169227)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000107284)ジェクス株式会社 (26)
【Fターム(参考)】