説明

撚り合わせケーブル製造装置およびケーブル連接体

【課題】撚り合わせケーブル製造装置において、両端に各電線の位置が確定して整列された撚り合わせケーブルを容易かつ効率的に製造することができるようにする。
【解決手段】ケーブル製造装置1は、絶縁被覆された複数の電線Lを送出する素線ボビン6と、素線ボビン6を回転させて複数の電線Lを撚り合わせることにより撚り体部50Aを形成する撚り合わせ部3と、撚り合わせ部3の休止時に、素線ボビン6と撚り体部50Aとの間で、複数の電線Lを並列させて帯状に整列する電線整列部と、電線整列部で整列された複数の電線Lの相対位置を固定した第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rを形成する帯状体形成部と、撚り体部50Aおよび第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rが交替して形成されたケーブル連接体50を牽引する巻き取りボビン21を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚り合わせケーブル製造装置およびケーブル連接体に関する。例えば、複数の電線を撚り合わせて構成するケーブルを製造する撚り合わせケーブル製造装置、および両端の電線が所定の相対位置関係に配列された複数のケーブルを連接体として構成したケーブル連接体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の電気機器において、例えば信号線接続などに用いるケーブル組立体は、耐屈曲性を増すため、複数の電線を撚り合わせてケーブルの両端部にコネクタを接続したものが用いられることが多い。
その際、各コネクタのピン配置に対応させた配線を行う。このため電線の本数が少ない場合には、各電線の被覆を色分けしたり、マーキングしたりするなどの識別表示が行われている。しかし、電線の本数が多くなるにつれ、識別表示のみでは間違いが起こりやすくなるため、導通チェッカーによって導通を確認しながらコネクタとの接続作業を行っている。
一方、特許文献1には、電線を撚り合わせる前に、平行に整列させ、電線の端部における相対位置を固定してから電線を撚る技術が記載されている。すなわち、外径が約0.15mm以下の内部導体の外周を絶縁体で被覆し、絶縁体の外周に外部導体を設け、外部導体の外周をジャケットで被覆した複数本の極細同軸ケーブルを1ユニットとし、このユニットを複数本用意して撚り合わせ、撚り合わせたユニット群の外周に編組シールドを施し、編組シールドの外周をシースで被覆したシース付き丸形フラット極細同軸多心ケーブルであって、前記1ユニットは、各極細同軸ケーブル同士が固定されていない非接着部と隣り合う極細同軸ケーブル 同士が固定されている平行接着部とをある一定のスパンで設けた構成からなることを特徴とするシース付き丸形フラット極細同軸多心ケーブルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3719184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来のケーブル製造技術には、以下のような問題があった。
電線を撚ってケーブルを形成してから、ケーブルの両端の配線の位置関係を確かめてコネクタに接続する従来技術では、配線ミスを確実に防止するには、導通チェッカーなどを用いて製造されたケーブルの両端の電線の対応を1本ずつ確認する作業が発生するためケーブル組立体の組み立て作業に多大な時間がかかってしまうという問題がある。
特許文献1に記載の技術では、1ユニットごとに電線の相対位置が固定されたものを撚り合わせるため、配線の確認の手間は低減される。ただし、特許文献1では、撚り合わせと称しているものの、平行に配置された1ユニットの電線を束ねて複数を撚り合わせても、1ユニットごとは撚り戻しができないため電線束が捻られているにすぎない。このため、通常の意味で撚られたケーブルのような耐屈曲性を得ることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、両端に各電線の位置が確定して整列された撚り合わせケーブルを容易かつ効率的に製造することができる撚り合わせケーブル製造装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、連接部分を切断するのみで両端に各電線の位置が確定して整列された撚り合わせケーブルが得られるケーブル連接体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、絶縁被覆された複数の電線を送出する電線送出部と、該電線送出部を回転させて前記複数の電線を撚り合わせることにより撚り体部を形成する撚り合わせ部と、該撚り合わせ部の休止時に、前記電線送出部と前記撚り体部との間で、前記複数の電線を並列させて帯状に整列する電線整列部と、該電線整列部で整列された前記複数の電線の相対位置を固定した帯状体部を形成する帯状体形成部と、前記撚り体部および前記帯状体部が交替して形成されたケーブル連接体を牽引する牽引部と、を備える構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の撚り合わせケーブル製造装置において、前記電線整列部は、前記複数の電線の整列順序を変更する順序変更機構を備える構成とする。
構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の撚り合わせケーブル製造装置において、前記順序変更機構は、前記複数の電線を個別に移動する電線移動部と、移動された前記電線を並列された整列状態に係止する電線係止部材と、を備える構成とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の撚り合わせケーブル製造装置において、前記順序変更機構は、前記複数の電線を複数の電線群に分けて該電線群ごとに整列させる電線群整列部と、整列された前記複数の電線群を電線群単位で整列順序を設定する電線群順序設定部と、を備える構成とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載の撚り合わせケーブル製造装置において、前記電線整列部は、前記電線送出部と前記撚り体部との間で、前記複数の電線をそれぞれ挿通させて挿通位置を規制する電線案内部材を備え、前記順序変更機構は、前記電線案内部材の位置を、前記撚り合わせ部の動作時には前記挿通位置を円周上で互いに離間する一定順序の位置関係である撚り体部形成位置に保持し、前記撚り合わせ部の休止時には前記撚り体部形成位置において互いに隣り合う前記挿通位置のうちの1組の間隔を選択的に拡大して、他の挿通位置を一方向に沿って隣接するように移動させる電線案内部材移動部を有する構成とする。
【0011】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載の撚り合わせケーブル製造装置において、前記牽引部は、前記ケーブル連接体を巻き取る巻き取り部を備える構成とする。
【0012】
請求項7に記載の発明では、ケーブル連接体において、前記複数の電線が撚り合わされた撚り体部と、前記複数の電線を帯状に整列して相対位置が固定された帯状体部とが、交替してそれぞれ複数形成された構成とする。
【0013】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載のケーブル連接体において、前記撚り体部を挟んで互いに隣接する前記帯状体部は、前記複数の電線の配列順序が異なる構成とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の撚り合わせケーブル製造装置によれば、電線送出部と撚り体部との間で複数の電線を並列させて帯状に整列する電線整列部と、整列された複数の電線の相対位置を固定した帯状体部を形成する帯状体形成部とを備えるため、両端に各電線の位置が確定して整列された撚り合わせケーブルを容易かつ効率的に製造することができるという効果を奏する。
本発明のケーブル連接体によれば、複数の電線が撚り合わされた撚り体部と複数の電線を帯状に整列して相対位置が固定された帯状体部とが交替してそれぞれ複数形成されているため、連接部分である帯状体部を切断するのみで両端に各電線の位置が確定して整列された撚り合わせケーブルが得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態のケーブル連接体の構成を示す模式的な正面図である。
【図2】図1のA部の詳細を示す部分拡大図、およびそのD−D断面図である。
【図3】図1のB部の詳細を示す部分拡大図、およびそのE−E断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のケーブル連接体から形成された撚り合わせケーブルを示す模式的な正面図、および配線図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。
【図6】図5におけるF視の部分拡大図である。
【図7】図5におけるG視の部分拡大図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の帯状体部形成時の模式的な動作説明図である。
【図9】図8におけるH視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の電線整列工程の動作を説明するための模式的な斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の電線固定工程の動作を説明するための模式的な断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な斜視図、および電線固定工程の動作を説明するための動作説明図である。
【図13】本発明の第2の実施形態のケーブル連接体の構成を示す模式的な正面図、およびこのケーブル連接体から形成された撚り合わせケーブルを示す模式的な正面図である。
【図14】図13におけるJ(K)部の詳細を示す部分拡大図、およびそのL−L断面図である。
【図15】本発明の第2の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。
【図16】本発明の第2の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の電線固定工程の動作を説明するための模式的な断面図である。
【図17】図16に続く電線固定工程の動作を説明するための模式的な断面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な構成図、およびそのM視図である。
【図19】本発明の第3の実施形態のケーブル連接体から形成された撚り合わせケーブルの配線図である。
【図20】本発明の第3の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の電線整列工程の動作を説明するための模式的な断面図である。
【図21】図20におけるN視図である。
【図22】本発明の第4の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な構成図、およびその動作説明図である。
【図23】本発明の第5の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な構成図、およびそのP部の拡大図である。
【図24】本発明の第5の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置を用いた電線整列工程を説明する工程説明図である。
【図25】本発明の第6の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材等には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0017】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置、およびこれにより製造される本実施形態のケーブル連接体について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のケーブル連接体の構成を示す模式的な正面図である。図2(a)は、図1のA部の詳細を示す部分拡大図である。図2(b)は、図2(a)におけるD−D断面図である。図3(a)は、図1のB部の詳細を示す部分拡大図である。図3(b)は、図3(a)におけるE−E断面図である。図4(a)、(b)は、それぞれ本発明の第1の実施形態のケーブル連接体から形成された撚り合わせケーブルを示す模式的な正面図、および配線図である。図5は、本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。図6は、図5におけるF視の部分拡大図である。図7は、図5におけるG視の部分拡大図である。
なお、各図面は模式図のため、寸法や形状は誇張されている(以下の図面も同じ)。
【0018】
本実施形態のケーブル製造装置1(撚り合わせケーブル製造装置、図5参照)は、撚り合わせケーブルを製造するために、図1に示す本実施形態のケーブル連接体50を製造する装置である。
ケーブル連接体50は、図1に示すように、複数の電線Lが撚り合わされた撚り体部50Aと、複数の電線Lを帯状に整列して相対位置が固定された帯状体部とが、交替してそれぞれ複数形成された部材である。本実施形態における帯状体部は、各撚り体部50Aの両端側に、それぞれ、複数の電線Lの撚りが不完全な部分である不完全撚り部50Bを介して、互いに電線の整列順序が異なる第1帯状体部50Lおよび第2帯状体部50Rが連接されている。
すなわち、本実施形態のケーブル連接体50は、第1帯状体部50L、不完全撚り部50B、撚り体部50A、不完全撚り部50B、第2帯状体部50R、不完全撚り部50B、撚り体部50A、および不完全撚り部50Bが、この順に配列された単位連接体を1以上連接した構成を有する。
また、ケーブル連接体50は、製造後ただちに切断して、後述する撚り合わせケーブル51を製造してもよいし、適宜長さに切断したり、ロールに巻き取るなどしてケーブル連接体50自体を製品形態としてもよい。
【0019】
複数の電線Lは、図2(b)に示すように、いずれも芯線50aが絶縁被覆部50bによって被覆された構成を備える。
芯線50aは、線状の金属線であれば、単線でも撚り線でもよい。
絶縁被覆部50bは、本実施形態では、熱可塑性を有する合成樹脂によるチューブ被覆を採用している。各絶縁被覆部50bは、適宜色分けして個別の電線Lが識別できるようにしてもよいし、すべてに共通の配色を採用してもよい。
電線Lの本数は、複数であれば特に限定されないが、以下では、一例として、電線L、L、L、L、L、Lの合計6本からなるものとして説明する。電線L、L、L、L、L、Lは、撚り体部50Aでは、周方向に沿って、この順に隣接するように撚り合わされている。
撚り体部50Aにおける撚り方向は、特に限定されないが、本実施形態では、一例としてS撚りを採用している。
以下では、特定の電線や電線の配列順序などを明確に示さなくてよい場合には、単に、「電線L」、「各電線L」などと略称する場合がある。
【0020】
第1帯状体部50Lは、図2(a)、(b)に示すように、電線L、L、L、L、L、Lが、図示上側からこの順に並列して帯状に固定された部分である。なお、図1、図2(a)は図示が煩雑にならないように模式的に描いている。このため、不完全撚り部50Bの図示形状、すなわち、撚り体部50Aの各電線Lと第1帯状体部50L(第2帯状体部50R)の各電線Lとの接続関係は、正確には表示されていない。各電線Lの配置、接続関係は、明細書の記載および第1帯状体部50L(第2帯状体部50R)における図面の符号の記載の通りである。(以下の図面も同様)
各電線Lの固定方法は、本実施形態では加熱溶着による固定方法を採用している。このため、各電線Lは、隣接する他の電線Lと絶縁被覆部50b同士が溶着されることによって固定されている。
第2帯状体部50Rは、図3(a)、(b)に示すように、電線Lが、図示上側から、電線L、L、L、L、L、Lの順に並列して帯状に固定された部分である。 各電線Lは、第1帯状体部50Lと同様にして固定されている。
【0021】
不完全撚り部50Bは、複数の電線Lを撚り体部50Aにおける撚り状態から、第1帯状体部50L(50R)における並列配置状態に移行する部分であり、電線Lの腰の強さや電線Lの本数などに応じて、適宜の長さに設定される。
【0022】
図4(a)に示す撚り合わせケーブル51は、このようなケーブル連接体50における各第1帯状体部50L、各第2帯状体部50Rを、撚り体部50Aの中心軸線に直交する方向に沿ってそれぞれの中心部で切断して得られる。(図2(a)、図3(a)に示す切断線C参照)
撚り合わせケーブル51は、撚り体部50Aの両端部に、それぞれ第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rが切断されてなるケーブル端部51L、51Rを備える。
このような構成の撚り合わせケーブル51は、ケーブル端部51L、51Rに適宜のコネクタを取り付けることによって6ピンのクロスケーブルを製造することができる。
撚り合わせケーブル51は、ケーブル端部51L、51Rにおける電線配列をそのまま用いてコネクタを取り付けると、図4(b)に示すクロス配線が実現される。
【0023】
次に、ケーブル製造装置1の構成について説明する。
ケーブル製造装置1の概略構成は、図5に示すように、装置のベースとなる基台2上に、撚り合わせ部3、整列固定部8、ケーブル支持部材19、巻き取りボビン21(牽引部、巻き取り部)、および制御部100を備える。
【0024】
ケーブル製造装置1の配置姿勢は特に限定されないが、以下では、一例として、基台2が水平に配置され、ケーブル製造装置1で製造されるケーブル連接体50の牽引方向が水平方向である場合の例で説明する。
また、以下では、方向参照の便宜のために、水平面をXY平面、鉛直軸をZ軸とするXYZ右手系直角座標軸を用いる場合がある。各軸の方向は、X軸の正方向がケーブル連接体50の牽引方向に一致され、Z軸の正方向は鉛直上方向になっている。
【0025】
撚り合わせ部3は、図5〜7に示すように、基台2上に立設された支持部材4と、支持部材4の上端部においてX軸に平行な方向に延ばされた回転軸線U回りに回転可能に支持された撚り円盤5と、撚り円盤5のX軸の正方向側の板面の外縁側において周方向に互いに離間して配置されそれぞれ電線Lを送出する6個の素線ボビン6(電線送出部)と、素線ボビン6が設けられた板面において撚り円盤5の中心から回転軸線Uと同軸に延ばして設けられた支柱7aと、支柱7aの先端(X軸の正方向側)に固定された電線ガイド部材7と、を備える。
【0026】
支持部材4には、撚り円盤5を間欠的に回転駆動するモータ(図示略)が設けられている。モータの回転方向は、撚り円盤5をX軸の正方向から負方向側に向かって見たときに反時計回りに設定されている。
撚り円盤5を駆動するモータは、制御部100に電気的に接続され、制御部100からの制御信号に応じて、動作が制御されるようになっている。
【0027】
6個の素線ボビン6には、それぞれ電線L、L、L、L、L、Lに対応する電線Lが収容され、撚り円盤5をX軸の正方向から負方向側に向かって見たとき時計回りに、この順となるように配置されている(図7参照)。
また、各素線ボビン6は、撚り合わせに伴う電線Lのよじれを防止するための撚り戻し動作を行う自転機構が設けられている。
また、撚り合わせ部3には、撚り円盤5の停止時に各素線ボビン6の配置位置を特定する回転位置検出手段(図示略)が設けられている。回転位置検出手段は、制御部100に電気的に接続され、制御部100に検出信号を送出できるようになっている。
撚り円盤5と電線ガイド部材7とは一体に固定されているため、撚り円盤5上の各素線ボビン6の位置と、それぞれから送出された各電線Lが挿通される電線ガイド部材7上の各ガイド孔7bの位置とは、一対一に対応する。このため、回転位置検出手段から検出信号を受信した制御部100は、ガイド孔7bにガイドされた電線L、L、L、L、L、Lの位置を特定できるようになっている。
回転位置検出手段としては、撚り円盤5を回転させるモータに設けられたロータリエンコーダ出力を用いた検出手段でもよいし、光センサなどによって撚り円盤5に設けられた回転位置識別マークの位置検出を行う検出手段でもよい。
【0028】
電線ガイド部材7は、各素線ボビン6から送出された各電線Lの周方向のピッチを所定ピッチに設定するとともに、回転軸線Uに対する各電線Lの径方向の位置を一定に保つ部材である。本実施形態の電線ガイド部材7は、図7に示すように、支柱7aと同軸に設けられた円板部材からなる。
電線ガイド部材7の外縁側には、回転軸線Uを中心とする円周上で一定ピッチに設けられた6個のガイド孔7bが板厚方向に貫通して設けられている。各ガイド孔7bの配置は、X軸の正方向から負方向を見たとき、回転軸線Uから各素線ボビン6の取付位置に向かう放射線上にそれぞれ1個のガイド孔7bが整列する位置関係とされている。
各ガイド孔7bは、電線Lを滑らかに挿通できる孔径を有し、素線ボビン6から送出された各電線Lが1本ずつ挿通されている。
【0029】
このような構成により、撚り円盤5を回転させると、電線ガイド部材7が撚り円盤5とともに回転し、電線ガイド部材7の回転力が各電線Lに伝達される。このため、先端側が固定された各電線Lは、電線ガイド部材7の回転に伴って順次、撚り合わされていく。この結果、先端側には撚り体部50Aが形成されていく。
このようにしてある程度の長さの撚り体部50Aが形成されると、撚り円盤5の回転速度に応じた牽引速度で、後述する巻き取りボビン21によってX軸の正方向に牽引される。
また、撚り円盤5の回転が休止されると、撚り体部50Aの牽引も停止される。
このため、撚り体部50AのX軸の負方向側の端部は、回転軸線U上において、電線ガイド部材7からX軸の正方向側に一定距離だけ離れた撚り合わせ位置Q(図5参照)に形成されるようになっている。
【0030】
したがって、ケーブル製造装置1では、撚り合わせの初期動作時を除くと、撚り体部50Aの端部は撚り合わせ位置Qに形成されており、各電線Lは、電線ガイド部材7の各ガイド孔7bと撚り合わせ位置Qとの間で張架されている。
以下では、このように各ガイド孔7bと撚り合わせ位置Qとの間で張架された各電線Lの部分を撚り前張架部T、撚り前張架部Tの各電線Lを稜線とする多角錐領域を撚り前張架領域Sと称する。
【0031】
整列固定部8は、撚り合わせ部3の休止時、すなわち撚り円盤5の回転の停止時に、各素線ボビン6と撚り体部50Aとの間で、複数の電線Lを並列させて帯状に整列する電線整列部と、この電線整列部で整列された複数の電線Lの相対位置を固定し、整列順序に対応して第1帯状体部50Lまたは第2帯状体部50Rからなる帯状体部を形成する帯状体形成部とを兼ねる装置部分である。
整列固定部8の概略構成は、図6、7に示すように、撚り前張架領域Sの側方に配置され撚り前張架部Tを構成する各電線Lのうち任意の1本を選択して、撚り前張架領域Sの側方に移動させるフック17(図7参照)と、フック17によって移動された電線Lを係止する係止部10(図6参照)と、係止部10に係止された各電線Lを並列に整列させて保持するため、櫛歯状の6つの溝部が形成された1対の櫛歯ガイド11と、1対の櫛歯ガイド11の間に整列された各電線Lの相対位置を固定して第1帯状体部50Lまたは第2帯状体部50Rを形成する固定ヘッド13(帯状体形成部)と、を備える。
【0032】
本実施形態におけるフック17は、Y軸に平行な水平方向に延ばされた棒状部の先端側(Y軸の正方向側)にU字状のフック部17aが形成されている。
フック17の基端部(Y軸の負方向側の端部)は、フック17をY軸に平行な水平方向に進退させる水平アクチュエータ16に接続されている。
水平アクチュエータ16は、ガイド支柱18および鉛直スライダ15によって、Z軸に沿う方向に移動可能に支持されている。
ガイド支柱18は、電線ガイド部材7と撚り合わせ位置Qとの間のX軸方向の中間部において、撚り前張架領域Sに対するX軸の負方向側の側方の基台2上に立設された柱状の案内部材である。
また、鉛直スライダ15は、ガイド支柱18によってZ軸に沿って案内され、Z軸方向に移動可能に設けられた移動機構である。
水平アクチュエータ16および鉛直スライダ15は、制御部100に電気的に接続され、制御部100からの制御信号に応じて、動作が制御されるようになっている。
このような構成により、フック17は、撚り前張架領域Sの側方においてYZ平面に平行な平面内で移動可能に支持されている。
【0033】
係止部10は、フック17によって撚り前張架領域Sの側方に移動された各電線Lを互いに離間して並列された状態に係止する部材である。本実施形態における係止部10は、図6、7に示すように、電線Lと同数の6本の円柱部材からなる係止部材10a、10b、10c、10d、10e、10fによって構成されている。
係止部材10a、10b、10c、10d、10e、10fは、それぞれ基台2上に立設されたブロック状の支持部9に形成されたZX平面に平行な平面に沿う支持面9aから、Y軸の負方向側に向かって突出されている。
支持面9aの位置は、図7に示すように、X軸の正方向側から負方向側を見るとき、撚り前張架領域Sの下方かつ撚り前張架領域SのY軸の負方向側の側方とされている。
また、係止部材10a、10b、10c、10d、10e、10fは、図6に示すように、支持面9aにおいて、X軸の正方向側から負方向側に向かうとともにZ軸の正方向側から負方向側に向かう斜め方向に沿ってこの順に間をあけて配列されている。係止部材10a、10b、10c、10d、10e、10fの間の隙間は、いずれも電線Lの外径よりも大きな寸法の設定されている。
このため、撚り前張架部Tの電線Lをフック17で引っかけて下方に移動した後、電線Lを係止部10のいずれかに下方側から係止することができるようになっている。
【0034】
1対の櫛歯ガイド11は、係止部10と撚り合わせ位置Qとの間の支持面9a上において、係止部10から撚り合わせ位置Qに向かう方向に沿って対向されている。
本実施形態における各櫛歯ガイド11は、図7に示すように、先端部(Y軸の負方向側の端部)が電線Lの外径よりも広く開口し、基端部(Y軸の正方向側の端部)において電線Lの外径と略同じ隙間が形成されるようにすぼんだ櫛歯状の形状を有する。
各櫛歯ガイド11の先端部は、係止部10の突出方向の先端部よりさらにY軸の負方向側に突出している。
また、各櫛歯ガイド11を構成する各櫛歯の厚さは、電線Lの外径よりも薄くなっている。これにより、各櫛歯ガイド11間に整列された電線Lの間の隣り合う距離は、電線Lの外径よりも小さくなっている。
【0035】
1対の櫛歯ガイド11の間には、櫛歯ガイド11の基端部の溝底と同一位置もしくは溝底よりもY軸の負方向側に突出した位置に、櫛歯ガイド11によって整列された各電線Lを支持する整列面12aを有する整列台12が設けられている。
本実施形態における整列台12は、例えば金属など固定ヘッド13からの加熱に耐える材質で形成されている。
【0036】
本実施形態における固定ヘッド13は、各電線Lの絶縁被覆部50bを加熱溶着する加熱体からなる。また固定ヘッド13は、図7に示すように、鉛直スライダ15上に水平アクチュエータ16と平行に設けられた水平アクチュエータ14によって、Y軸方向に沿う水平方向に進退可能に支持されている。
水平アクチュエータ14は、制御部100に電気的に接続され、制御部100からの制御信号に応じて、動作が制御されるようになっている。
固定ヘッド13の先端部(Y軸の正方向側の端部)には、整列台12上に整列された複数の電線Lを、各電線Lの外径の合計よりもわずかに広い所定幅内に収めた状態で、整列台12側に押圧する押圧面13aが形成されている。
【0037】
このような構成により、フック17、水平アクチュエータ16、および鉛直スライダ15は、複数の電線Lを個別に移動する電線移動部を構成している。
また、係止部10および櫛歯ガイド11は、電線移動部によって移動された電線Lを並列された整列状態に係止する電線係止部材を構成している。
そして、これら電線移動部および電線係止部材は、整列固定部8において電線整列部を構成する装置部分であり、複数の電線Lの整列順序を変更する順序変更機構を構成している。
【0038】
ケーブル支持部材19は、図5に示すように、撚り合わせ位置QよりもX軸の正方向側に形成されるケーブル連接体50の位置を、撚り合わせ位置Qの近傍において規制する部材である。本実施形態におけるケーブル支持部材19は、基台2上に立設された棒状部材の上端に、上方に開口するU字状のケーブル受け部19aを設けた構成を採用している。
ケーブル受け部19aの大きさは、後述するようにして整列固定部8によって撚り体部50Aの間に形成される不完全撚り部50B、第1帯状体部50L、および第2帯状体部50Rが、X軸の負方向側から正方向側に向かう水平方向に牽引される際に、いずれとも干渉しない程度の大きさに形成されている。
このような構成により、ケーブル受け部19aによって、ケーブル連接体50の撚り合わせ位置Qの近傍では、Y軸の正方向側および負方向側、ならびにX軸の負方向側の位置が規制されている。
なお、本実施形態のケーブル支持部材19は、例えば、製造するケーブル連接体50の種類、不完全撚り部50Bの長さなどによって、撚り合わせ位置Qの位置が変化しても撚り合わせ位置Qの近傍に配置できるように、基台2上で移動可能に配置されている。
【0039】
巻き取りボビン21は、ケーブル受け部19aをX軸の正方向側に通過したケーブル連接体50を、X軸の負方向側から正方向側に向かう水平方向に牽引して巻き取る部材である。本実施形態における巻き取りボビン21は、基台2上に設置された巻き取り駆動部20の上部に着脱可能に設けられ、装着時に巻き取り駆動部20からの駆動力を受けてY軸に平行な回転軸回りに回転できるようになっている。
巻き取り駆動部20は、特に図示しないが、制御部100に電気的に接続され制御部100からの制御信号によって回転されるモータと、モータの回転駆動力を巻き取りボビン21に伝達する伝動機構とを備える。なお、モータの回転方向は、巻き取りボビン21をY軸の負方向から正方向を見たときに時計回り方向に回転させる方向である。
【0040】
制御部100は、ケーブル製造装置1の全体動作を制御するもので、制御対象となる各装置部分と電気的に接続されている。制御部100が行う制御の例としては、撚り円盤5の回転および巻き取り駆動部20の回転の開始、停止、回転速度の制御、および撚り合わせ部3の回転位置検出手段からの検出信号に基づいて撚り円盤5の停止時における各電線Lの位置を算出しフック17を移動する等の整列固定部8に関する動作制御を挙げることができる。
制御部100の装置構成は、ハードウェアのみで構成してもよいし、適宜のハードウェアと、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などからなるコンピュータとから構成し、上記の制御機能をコンピュータによって制御プログラムを実行することで実現してもよい。
【0041】
次に、ケーブル製造装置1の動作について説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の帯状体部形成時の模式的な動作説明図である。図9は、図8におけるH視図である。図10は、本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の電線整列工程の動作を説明するための模式的な斜視図である。図11(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の電線固定工程の動作を説明するための模式的な断面図である。
【0042】
ケーブル製造装置1を用いて、ケーブル連接体50を製造するには、製造準備工程、撚り体部形成工程、電線整列工程、および電線固定工程をこの順に行い、電線固定工程終了後、同様にして、撚り体部形成工程、電線整列工程、および電線固定工程をこの順に繰り返す。
なお、以下の説明では、電線Lおよびケーブル連接体50が、X軸の負方向から正方向に移動していくため、これら電線Lおよびケーブル連接体50に沿う相対位置を表すため、X軸の負方向側を上流側、X軸の正方向側を下流側と称する場合がある。
また、撚り円盤5の回転方向は、X軸の正方向から負方向を見たときの方向で表し、巻き取りボビン21の回転方向は、Y軸の負方向から正方向を見たときの方向で表すものとする。
【0043】
製造準備工程では、巻き取りボビン21を巻き取り駆動部20に装着する。そして、撚り円盤5が停止した状態で、各素線ボビン6からそれぞれ電線Lを引き出し、これらの電線Lを各素線ボビン6から最も近いガイド孔7bに1本ずつ挿通する。このとき、各電線Lの挿通位置は、電線L、L、L、L、L、LがX軸の正方向から負方向を見たときに、時計回り方向にこの順序となるようにする。
次に、各電線Lの先端を巻き取りボビン21の固定部に固定する。このとき、ケーブル支持部材19は、各電線Lと絡まない位置に退避させておく。
次に、撚り円盤5を反時計回りに回転させる。これにより、撚り円盤5とともに、電線ガイド部材7が回転し、各ガイド孔7bに挿通された電線Lが撚り円盤5と同方向に回転する。
この結果、各電線Lは、巻き取りボビン21の固定部から、上流側に向かって徐々に撚り合わされ、撚り体部50Aが形成されていく。このとき、各素線ボビン6の自転機構によって撚り戻しが行われるため、撚り体部50Aは真直を保った状態に形成される。
撚り体部50Aの最も上流側の端部が撚り合わせ位置Qに形成されたら、撚り円盤5の回転を停止する。これにより、電線ガイド部材7と撚り合わせ位置Qとの間に、撚り前張架部Tおよび撚り前張架領域Sが形成される。
次に、ケーブル支持部材19を、撚り合わせ位置Qの近傍の撚り体部50Aを下方側から覆う位置に移動する。
以上で、製造準備工程が終了する。
【0044】
次に、撚り体部形成工程を行う。本工程は、すでに形成された撚り体部50Aまたはケーブル連接体50を下流側に牽引して、巻き取りボビン21に巻き取りつつ、撚り合わせ位置Qにおいて撚り体部50Aの形成を続ける工程である。
本工程では、撚り円盤5を反時計回りに回転しつつ、巻き取りボビン21を時計回りに回転させる。制御部100は、予め記憶された撚り円盤5の回転速度と撚り体部50Aの形成速度との関係に基づいて、巻き取りボビン21の回転による巻き取り速度が、撚り体部50Aの形成速度と一致するように、巻き取り駆動部20の回転速度を制御する。
これにより、本工程では、撚り体部50Aの上流側の端部が常に撚り合わせ位置Qに位置している。
撚り体部50Aが、ケーブル連接体50の1つの撚り体部50Aの長さだけ形成されたら、制御部100は、撚り円盤5および巻き取りボビン21の回転を停止する。
以上で、撚り体部形成工程が終了する。
【0045】
次に、電線整列工程を行う。本工程は、撚り前張架部Tを構成する各電線Lを整列台12上に整列させる工程である。
撚り円盤5が停止すると、回転位置検出手段の検出信号が制御部100に送出される。
制御部100では、検出信号を解析して、各素線ボビン6に対応した各ガイド孔7bの位置情報を算出し、撚り前張架部Tを構成する電線L、L、L、L、L、Lが張架された位置を特定する。
次に、制御部100は、第1帯状体部50Lおよび第2帯状体部50Rのいずれを形成するか判断し、それぞれの電線配列に応じてフック17を駆動して、係止部10上に撚り前張架部Tの各電線Lを移動する。
本実施形態のケーブル連接体50では、第1帯状体部50Lおよび第2帯状体部50Rは、1つの撚り体部50Aを挟んで隣接するため、第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rを交替に形成する。
以下では、一例として、第2帯状体部50Rを形成する場合の例で本工程の動作を説明する。
【0046】
まず、制御部100は、停止時の撚り前張架部Tを構成する各電線Lの位置関係と、係止部10上における配列を解析して、電線Lの移動に支障となる絡み合いが発生しないように、各電線Lの移動順序を決定する。
例えば、図8に示すような位置に電線ガイド部材7が停止している場合、制御部100は、Y軸方向における係止部10までの距離と、係止すべき係止部10上の位置(図9参照)までの距離とを評価し、最初に電線Lを係止部材10fに、次に電線Lを係止部材10dに、次に電線Lを係止部材10eに、次に電線Lを係止部材10cに、次に電線Lを係止部材10bに、次に電線Lを係止部材10aに係止するように、各電線Lを移動する。
【0047】
例えば、電線Lを移動する場合、鉛直スライダ15を駆動して、フック17を電線L4のわずかに上方に位置付け、水平アクチュエータ16をY軸の正方向側に進出させてフック部17aを電線LよりもY軸の正方向側に位置させる。次に、鉛直スライダ15をわずかに下降させ、この状態で水平アクチュエータ16をY軸の負方向側に後退させて、フック部17aを電線Lに引っ掛けて、電線Lを整列台12よりもY軸の負方向側に移動する。電線Lには、水平アクチュエータ16の駆動力に応じて張力が増大し、電線Lを送出している素線ボビン6から電線Lが引き出される。
次に、鉛直スライダ15および水平アクチュエータ16の位置を変更し、Z軸方向において電線Lを係止部材10fの下方側の近傍に位置付けてから、水平アクチュエータ16をY軸の正方向側に進出させる。これにより、電線Lが支持面9aに向かってY軸の正方向に移動する。
これに伴って、図10に示すように、各櫛歯ガイド11に向かう電線Lの部分L4Aは、各櫛歯ガイド11の最も下方側の開口に進入して、各櫛歯ガイド11の溝底に向かって位置規制されつつ、整列台12の整列面12aに押し付けられる。このため、電線Lの移動が停止し、フック部17aが電線Lから外れる。フック部17aが電線Lから外れたら、水平アクチュエータ14の進出を停止する。
このとき、係止部材10fに向かう電線Lの部分L4Bは、係止部材10fの下側の側面に位置しているため、電線Lの張力によって、係止部材10fに下方側から押し付けられる。
【0048】
このようにして、電線Lの部分L4Bが係止部材10fに係止されるとともに、電線Lの部分L4Aが1対の櫛歯ガイド11の溝部に沿って整列される。
さらに同様な動作を他の電線Lに対して行うことによって、図8、9に示すように、各電線Lが、係止部10に係止され1対の櫛歯ガイド11によって整列台12の整列面12a上に並列に整列される。
以上で、第2帯状体部50Rを形成する電線整列工程が終了する。
【0049】
次に、電線固定工程を行う。本工程は、整列台12上に整列された各電線Lの相対位置を固定した帯状体部を形成する工程である。
まず、制御部100は、鉛直スライダ15をわずかに上昇させた状態で水平アクチュエータ16を後退させてフック17を撚り前張架領域Sの側方に移動し、図8に示すように、鉛直スライダ15を駆動して、固定ヘッド13を1対の櫛歯ガイド11に挟まれた整列台12に対向する位置に移動する。
次に、制御部100は、水平アクチュエータ14を進出させ、図11(a)に示すように、固定ヘッド13を整列台12上に整列された各電線Lに向けて押し付ける。
図11(b)に示すように、固定ヘッド13が整列台12に当接すると、各電線Lは、固定ヘッド13の押圧面13aと密着して、各絶縁被覆部50bに固定ヘッド13からの熱が伝わる。このため、各電線Lの絶縁被覆部50bが加熱溶着され、各電線Lが整列状態で固定される。
各電線Lが一体に固定されたら、制御部100は、固定ヘッド13をY軸の負方向に退避させる。これにより、整列台12上に第2帯状体部50Rが形成される。
【0050】
次に、制御部100は、水平アクチュエータ16および鉛直スライダ15を駆動して、フック17を第2帯状体部50Rの近傍のいずれかの電線Lに引っ掛けてY軸の負方向に移動し、第2帯状体部50Rおよび各電線Lを櫛歯ガイド11から引き抜く。このとき、同時に係止部10の各電線LもY軸の負方向側に引き抜かれるため、係止部10に係止された各電線Lも外れる。
次に、制御部100は、水平アクチュエータ16および鉛直スライダ15を駆動して、フック17を引っ掛けた電線Lから外し、フック17および固定ヘッド13を撚り前張架領域Sの側方に退避させる。
以上で、電線固定工程が終了する。
【0051】
次に、上記と同様にして、撚り体部形成工程を行って、上記工程で形成した第2帯状体部50Rに隣接する撚り体部50Aを形成する。このとき、電線固定工程で形成された第2帯状体部50Rに隣接する各電線Lは、それぞれの剛性が許容する範囲で撚り合わせられるため、撚り体部50Aと第2帯状体部50Rとの間にはそれぞれ不完全撚り部50Bが形成される。
撚り体部50Aが必要な長さだけ形成されたら撚り体部形成工程を終了する。
【0052】
次に、電線整列工程を行う。このとき、各電線Lの整列順序は第1帯状体部50Lに対応する整列順序とする。
次に、上記と同様にして電線固定工程を行う。これにより、第1帯状体部50Lが形成される。
このようにして、撚り体部形成工程、第2帯状体部50Rを形成する電線整列工程、電線固定工程、第1帯状体部50Lを形成する電線整列工程、電線固定工程を順次繰り返すことにより、ケーブル連接体50が形成され、巻き取りボビン21に巻き取られていく。
ケーブル連接体50が必要な長さだけ形成されたら、ケーブル連接体50の端部を切断し、巻き取りボビン21を巻き取り駆動部20から取り外す。
なお、以上の説明では、第2帯状体部50Rを形成してから第1帯状体部50Lを形成するとして説明したが、第2帯状体部50R、第1帯状体部50Lを交替に形成すれば、どちらを最初に形成してもよい。
【0053】
このようにして形成されたケーブル連接体50は、第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rの中心部を切断することにより、撚り合わせケーブル51に加工することができる。
撚り合わせケーブル51のケーブル端部51L、51Rは、図4(b)に示すパターンのクロス配線が形成されている。このため、パターンに応じて、いずれかの配線の導通を確認すれば、各電線Lの対応関係が判明する。
【0054】
例えば、本実施形態の場合、撚り合わせケーブル51の一端部における幅方向の一端から2番目の電線Lと、撚り合わせケーブル51の他端部における幅方向の端部の電線Lとの導通を確認する。導通した場合を[ケースa]、導通しない場合を[ケースb]とする。
[ケースa]では、それぞれの配列位置は、図4(b)に示す2番、1番であることが分かるので、次に、いずれがケーブル端部51Lかケーブル端部51Rかを判別するため、例えば、一端部の4番目の電線Lと、他端部の6番目の電線Lとの導通を確認する。導通が確認されれば、この電線Lは電線Lと特定され、一端部はケーブル端部51L、他端部はケーブル端部51Rであることが分かる。導通しない場合はこの逆である。
また、[ケースb]では、それぞれの配列位置は、図4(b)に示す5番、6番であることが分かるので、次に、いずれがケーブル端部51Lかケーブル端部51Rかを判別するため、例えば、一端部の3番目の電線Lと、他端部の1番目の電線Lとの導通を確認する。導通が確認されれば、この電線Lは電線Lと特定され、一端部はケーブル端部51L、他端部はケーブル端部51Rであることが分かる。導通しない場合はこの逆である。
このように、2回の導通チェックによって、すべての電線Lの対応が判明するため、端部の各電線Lの配置が固定されていない場合に比べて配線チェックが格段に容易となる。
【0055】
なお、撚り合わせケーブル51は、電線Lの一部の配色を変えることによって、特定の電線Lが視認できるようにしてもよい。例えば、本実施形態において、電線Lが特定できるように配色を変えれば、上記のような導通チェックはいずれも不要である。
また、電線固定工程において、交替に形成される第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rの一方を特定するため、例えば印刷などによってマーキングを施してもよい。マーキングは、例えば、一つおきの帯状体部に文字やシンボルをマーキングするものであってもよいし、例えば第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rに応じてそれぞれに「R」、「L」などのマーキングを施してもよい。この場合、上記の2回目の導通チェックは不要になる。
【0056】
撚り合わせケーブル51の配線の対応が確認されたら、例えばレーザ光を照射するなどして絶縁被覆部50bのストリップ処理を行って、ケーブル端部51L、51Rにそれぞれコネクタを取り付けることにより、コネクタ付きのケーブルを形成することができる。
【0057】
このように、ケーブル製造装置1によれば、電線整列部と帯状体形成部とを兼ねる整列固定部8を備えるため、撚り体部50Aと第1帯状体部50Lまたは第2帯状体部50Rが交替してそれぞれ複数形成されているケーブル連接体50を容易かつ効率的に製造することができる。また、ケーブル連接体50を切断することにより、両端に各電線Lの位置が確定して整列された撚り合わせケーブル51を容易かつ効率的に製造することができる。
【0058】
[第1変形例]
次に、本実施形態の変形例(第1変形例)の撚り合わせケーブル製造装置について説明する。
図12(a)は、本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。図12(b)は、本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)における電線固定工程の動作説明図である。
【0059】
本変形例のケーブル製造装置1A(撚り合わせケーブル製造装置)は、図5、図12(a)に示すように、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1の整列固定部8、制御部100に代えて、整列固定部8A、制御部100Aを備える。
整列固定部8Aは、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1の整列固定部8における固定ヘッド13、整列台12に代えて固定ヘッド13A、整列台12Aを備え、さらにシリンジ22およびUV光源24(図12(b)参照)を備える。
制御部100Aは、上記第1の実施形態の制御部100が行う制御に加えて、シリンジ22およびUV光源24の動作の制御を行うものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0060】
固定ヘッド13Aは、上記第1の実施形態に係る固定ヘッド13の加熱体としての機能を削除し、固定ヘッド13と同様な外形を有する押圧部材である。押圧面13aの表面には、後述するUV(紫外線硬化)接着剤23が硬化後に固着しないように離型コーティングが施されている。
整列台12Aは、上記第1の実施形態の整列台12の電線Lを配置する整列面12aに代えて、表面に固定ヘッド13Aと同様な離型コーティングが施された整列面12bを備える。
【0061】
シリンジ22は、各電線Lの絶縁被覆部50b同士を接着するUV接着剤23を吐出して、各電線Lが押し付けられる前の整列面12b上に塗布するものであり、不図示の移動部材によって、1対の櫛歯ガイド11の間の整列面12b上で進退可能に支持されている。
UV光源24は、整列面12b上に塗布されたUV接着剤23を硬化するための紫外線を照射する光源であり、整列台12Aの側方に不図示の支持部材によって支持されている。
シリンジ22、UV光源24は、図示略の配線により制御部100Aと電気的に接続され、制御部100Aからの制御信号に基づいて動作が制御されるようになっている。
【0062】
このような構成により、整列固定部8Aは、上記第1の実施形態と同様な電線整列部と帯状体形成部とを兼ねる装置部分になっている。
【0063】
次に、ケーブル製造装置1Aの動作について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本変形例のケーブル製造装置1Aは、帯状体部を形成する場合の固定手段を上記第1の実施形態の加熱溶着から、接着に変更したものであるため、製造準備工程、撚り体部形成工程は、上記第1の実施形態と同様にして行う。ただし、これらの工程では、シリンジ22は、整列台12Aの側方に退避されている。
【0064】
本変形例の電線整列工程では、ます最初に、図12(a)に示すように、シリンジ22を整列面12b上に移動させて、第1帯状体部50Lまたは第2帯状体部50Rを形成する整列面12b上に接着剤23を塗布しておく。シリンジ22は塗布後に整列台12Aの側方に退避させる。
次に、上記第1の実施形態の電線整列工程と同様にして、各電線Lを係止部10に係止するとともに、整列台12Aの整列面12b上に整列させる。
これにより、各電線Lは、整列面12b上で、接着剤23の塗布された領域に押し付けられて整列される。
以上で、本変形例の電線整列工程が終了する。
【0065】
次に、本変形例の電線固定工程では、図12(b)に示すように、上記第1の実施形態と同様に固定ヘッド13Aを整列台12Aに向かって押し付けた後、UV光源24によって、接着剤23の塗布領域に紫外線を照射し、接着剤23を硬化させる。
各電線Lが一体に固定されたら、固定ヘッド13AをY軸の負方向に退避させる。これにより、整列台12A上に第1帯状体部50Lまたは第2帯状体部50Rが形成される。
その後、上記第1の実施形態の電線固定工程と同様にして、係止部10および整列台12Aから、各電線Lと、第1帯状体部50Lまたは第2帯状体部50Rとを外す。
以上で、電線固定工程が終了する。
【0066】
このように本変形例によれば、各電線Lが接着によって固定されるのみで、その他は上記第1の実施形態と同様にして、ケーブル連接体50を製造することができる。
特に本変形例によれば、各電線Lの固定部分は、接着剤23の塗布領域に限られるため、例えば、接着剤23を切断線C(図2(a)等参照)を挟んで離間する2条にわたって塗布して固定することができる。この場合、切断線Cを挟んで離間する2箇所において各電線Lが固定されるため、切断線Cで切断して撚り合わせケーブル51を形成したときに、端部の各電線Lの先端部が分離した状態とすることができる。
このため、コネクタの端子ピッチが、各電線Lの外径よりも大きい場合でも、固定部分を解体することなくコネクタの端子を接続することができる。
【0067】
また、本変形例によれば、絶縁被覆部50bが接着可能な材質であれば、溶着可能な熱可塑性樹脂に以外の材質も好適に採用できる。例えば、絶縁被覆部50bが、耐熱性の高い樹脂材料や、芯線50aに薄層の絶縁被覆コートなどであっても容易に固定できる。
【0068】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置について説明する。
図13(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態のケーブル連接体の構成を示す模式的な正面図、およびこのケーブル連接体から形成された撚り合わせケーブルを示す模式的な正面図である。図14(a)は、図13(a)におけるJ(K)部の詳細を示す部分拡大図である。図14(b)は、図14(a)におけるL−L断面図である。
【0069】
本実施形態のケーブル製造装置1B(撚り合わせケーブル製造装置)は、図5、図15に示すように、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1の整列固定部8、制御部100に代えて、整列固定部8B、制御部100Bを備える。
整列固定部8Bは、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1の整列固定部8における固定ヘッド13に代えて固定ヘッド13Bを備え、さらに図15に示すように、テープ供給部30、テープガイド31、テープカッター32、およびテープ引き出しハンド33を備え、これにより、上記第1の実施形態のケーブル連接体50に代えて、図13(a)、(b)、図14(a)に示すケーブル連接体52を製造するものである。
制御部100Bは、上記第1の実施形態の制御部100が行う制御に加えて、テープカッター32、テープ引き出しハンド33の動作の制御を行うものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0070】
ケーブル製造装置1Bの構成の説明に先立って、ケーブル連接体52の構成について説明する。なお、ケーブル連接体52の電線Lの本数および帯状体部の整列順序は特に限定されないが、以下では、一例として、6本の電線Lによって上記第1の実施形態と同様のクロス配線が実現されるものとして説明する。
【0071】
ケーブル連接体52は、図13(a)に示すように、上記第1の実施形態のケーブル連接体50の第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rに代えて、それぞれ第1帯状体部52L(帯状体部)、第2帯状体部52R(帯状体部)を備える。
第1帯状体部52L(第2帯状体部52R)は、図14(a)、(b)に示すように、電線L、L、L、L、L、Lが、図示上側から電線L、L、L、L、L、Lの順(電線L、L、L、L、L、Lの順)に並列して帯状に固定された部分である。
各電線Lは、互いに整列方向に離間され、テープ基材の片面に粘着剤または感圧接着剤が塗布された接着層を有するテープ片54が貼り付けられることで固定されている。
テープ片54は、第1帯状体部52L(第2帯状体部52R)の全体を周回して固定するものであってもよいが、本実施形態では、整列台12の整列面12aと反対側に向けられた各電線Lの側面に貼り付けられている。
また、テープ片54は、少なくともケーブル連接体52を切断してコネクタを取り付けるまで各電線Lを固定していればよいが、コネクタを取り付けた後に固定されたままで使用されてもよい。
【0072】
また、図13(b)に示す撚り合わせケーブル53は、このようなケーブル連接体52における各第1帯状体部52L、各第2帯状体部52Rを、撚り体部50Aの中心軸線に直交する方向に沿ってそれぞれの中心部で切断して得られる(図13(a)に示す切断線C参照)。
このため、撚り合わせケーブル53は、上記第1の実施形態のケーブル端部51L、51Rに代えて、それぞれ第1帯状体部52L、第2帯状体部52Rを切断して形成されたケーブル端部53L、53Rを備える。
撚り合わせケーブル53は、ケーブル端部53L、53Rに適宜のコネクタを取り付けることによって6ピンのクロスケーブルを製造することができる。
【0073】
次に、ケーブル製造装置1Bの整列固定部8Bの各構成について説明する。
固定ヘッド13Bは、図15に示すように、上記第1の実施形態に係る固定ヘッド13の加熱体としての機能を削除するとともに、押圧面13aを平坦な平面にした押圧面13bを備えた押圧部材である。
テープ供給部30は、各電線Lに貼り付けるテープ片54を切り出すためロール状に巻かれた固定テープ29を、その接着層が支持面9a側に向くように引き出し可能に保持する部材である。テープ供給部30は、1対の櫛歯ガイド11に挟まれた整列台12の側方の支持部9の支持面9a上に、支持面9aからの高さを変更するアクチュエータを介して支持されている。
テープガイド31は、テープ供給部30から引き出された固定テープ29の端部を支持面9aに平行に保つガイド部材であり、テープ供給部30と整列台12との間の支持面9a上に立設されている。また、テープガイド31は、支持面9aからの高さがテープ供給部30の高さと連動するようになっている。
【0074】
テープカッター32は、テープガイド31でガイドされ、テープガイド31から支持面9aに対して平行方向に延在された固定テープ29を挟んで切断するものであり、図示略のアクチュエータによって接離可能に保持されたカッター刃32A、32Bを備えている。
カッター刃32A、32Bは、本実施形態では、テープガイド31と整列台12との間において、整列台12側に向かって延出される固定テープ29を挟んで接離できるように、整列台12の側面に近接する位置に対向して配置されている。
また、カッター刃32Bの刃先は、整列面12aに対して電線Lの外径よりもわずかに高く突出した位置に固定されている。
【0075】
テープ引き出しハンド33は、図示略の駆動源によって、テープ供給部30と対向する整列台12の側方から、整列台12と固定ヘッド13Bの間を通り、テープガイド31にガイドされた固定テープ29の端部に向かって進退する可動把持機構である。すなわち、テープ引き出しハンド33は、進出時に固定テープ29の端部を把持し、固定テープ29を把持した状態で整列台12を挟んでテープ供給部30と反対側に退避することで、整列台12の上に固定テープ29を引き出すことができるようになっている。
カッター刃32A、32Bのアクチュエータ、およびテープ引き出しハンド33の駆動源は、図示略の配線により制御部100Bと電気的に接続され、制御部100Bからの制御信号に基づいて動作が制御されるようになっている。
【0076】
このような構成により、整列固定部8Bは、撚り合わせ部3の休止時、すなわち撚り円盤5の回転の停止時に、各素線ボビン6と撚り体部50Aとの間で、複数の電線Lを並列させて帯状に整列する電線整列部と、この電線整列部で整列された複数の電線Lの相対位置を固定し、整列順序に対応して第1帯状体部52Lまたは第2帯状体部52Rからなる帯状体部を形成する帯状体形成部とを兼ねる装置部分になっている。
また、第1フック37A、第2フック37B、およびフック駆動部36は、複数の電線Lの整列順序を変更する順序変更機構を構成している。
【0077】
次のケーブル製造装置1Bの動作について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図16(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の電線固定工程の動作を説明するための模式的な断面図である。図17(a)、(b)は、図16(b)に続く電線固定工程の動作を説明するための模式的な断面図である。
【0078】
ケーブル製造装置1Bは、帯状体部を形成する場合の固定手段を、上記第1の実施形態の加熱溶着からテープ片54による貼り付け固定に変更したものであるため、製造準備工程、撚り体部形成工程、電線整列工程は、上記第1の実施形態と同様にして行う。
すなわち、電線整列工程の終了後、図15に示すように、1対の櫛歯ガイド11によって整列された各電線Lが、整列台12の整列面12a上に並列に配置される。このとき、各電線Lは、櫛歯ガイド11の櫛歯の形状に基づいたピッチで、互いに離間して整列されている。したがって、各電線Lの整列ピッチは、櫛歯ガイド11の形状によって、適宜変更することができる。本実施形態では、一例として、コネクタの端子ピッチに合わせた配列ピッチを採用している。
【0079】
次に、本実施形態の電線固定工程では、制御部100Bは、上記第1の実施形態と同様にして、鉛直スライダ15を駆動して、図15に示すように、固定ヘッド13Bを1対の櫛歯ガイド11に挟まれた整列台12に対向する位置に移動する。また、カッター刃32A、32Bを離間させた状態とする。
次に、制御部100Bは、図16(a)に示すように、テープ引き出しハンド33をテープガイド31にガイドされた固定テープ29の端部に向かって進出させ、テープ引き出しハンド33によって固定テープ29の端部を把持させる。
次に、制御部100Bは、図16(b)に示すように、テープ引き出しハンド33を整列台12の側方に退避させ、テープ供給部30、テープガイド31、およびテープ引き出しハンド33を連動して、整列台12に近づく方(Y軸の負方向)に移動することで、引き出された固定テープ29を整列面12a上に配置された各電線Lおよびカッター刃32Bの刃先上に移動させる。
【0080】
次に、制御部100Bは、図17(a)に示すように、水平アクチュエータ14(図17(a)では図示略)を駆動して、固定ヘッド13Bを整列台12上に整列された各電線Lに向けて押し付ける。すなわち、固定ヘッド13Bの押圧面13bが固定テープ29のテープ基材に密着して固定テープ29を押圧する。この結果、各電線Lは、固定テープ29の接着層と整列面12aとの間に挟まれて加圧され、固定テープ29が各電線Lに貼り付けられる。このため、各電線Lが整列状態で固定される。
次に、制御部100Bは、テープカッター32を駆動して、カッター刃32Aを移動させてカッター刃32Bとの間に固定テープ29を挟んで、固定テープ29を切断する。
【0081】
次に、制御部100Bは、図17(b)に示すように、固定ヘッド13Bおよびカッター刃32AをY軸の負方向に退避させるとともに、テープ供給部30、テープガイド31、およびテープ引き出しハンド33を連動して、整列台12から遠ざかる方(Y軸の負方向)に移動させる。
これにより、整列台12上に、各電線Lに固定テープ29が切断されてなるテープ片54が貼り付けられた第2帯状体部52Rが形成される。
その後、上記第1の実施形態の電線固定工程と同様にして、係止部10および整列台12から、各電線Lと第2帯状体部52Rとを外す。
以上で、電線固定工程が終了する。
なお、本実施形態の第1帯状体部52Lを形成する電線固定工程は、電線整列工程における整列順序が異なるのみで、上記の電線固定工程とまったく同様に行われる。
【0082】
このように本変形例によれば、各電線Lがテープ片54の貼り付けによって固定されるのみで、その他は上記第1の実施形態と同様にして、ケーブル連接体52を製造することができる。
特に本実施形態によれば、櫛歯ガイド11の櫛歯のピッチを変更することで、各電線Lの整列ピッチを容易に変えることができるため、種々のコネクタピッチに合わせて各電線Lを整列させることが容易となる。したがって、コネクタの取付時に、整列させた各電線Lのピッチを変更する手間を省くことができる。
【0083】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置について説明する。
図18(a)は、本発明の第3の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な構成図である。図18(b)は、図18(a)におけるM視図である。図19は、本発明の第3の実施形態のケーブル連接体から形成された撚り合わせケーブルの配線図である。
【0084】
本実施形態のケーブル製造装置1C(撚り合わせケーブル製造装置)は、図15に主要部の構成を示すように、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1の整列固定部8、制御部100に代えて、整列固定部8C、制御部100Cを備える。
整列固定部8Cは、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1の整列固定部8における係止部10、および櫛歯ガイド11を削除し、フック17、水平アクチュエータ16に代えて、第1フック37Aおよび第2フック37B、フック駆動部36を備え、支持部9、整列台12、水平アクチュエータ14に代えて、整列台移動部39、整列台42、鉛直アクチュエータ34を備える。
これにより、図1に示すケーブル連接体55を製造するものである。
【0085】
ケーブル連接体55は、上記第1の実施形態のケーブル連接体50の第1帯状体部50L、第2帯状体部50Rに代えて、電線の整列順序のみが異なる第1帯状体部55L(帯状体部)、第2帯状体部55R(帯状体部)を備える。
このため、ケーブル連接体55を切断して得られる撚り合わせケーブル56は、図4(a)に示すように、上記第1の実施形態の撚り合わせケーブル51のケーブル端部51L、51Rに代えて、ケーブル端部56L、56Rを備える。
以下では、一例として、ケーブル端部56L、56Rは、図19に示すパターンのクロス配線が形成されている。
【0086】
制御部100Cは、上記第1の実施形態の制御部100が行う制御のうち、削除された構成の制御を削除し、加えて、鉛直アクチュエータ34、フック駆動部36、整列台移動部39の動作の制御を行うものである。さらに、制御部100Cは、回転位置検出手段の検出出力に基づいて、撚り円盤5の回転停止時に、各電線Lのうち周方向に隣接する3本ずつ2組の電線Lが、水平面に対する上側と下側とに分かれて停止させることができるようになっている。
以下では、一例として、図19に示すクロス配線を形成するため、第1帯状体部55Lの形成時には、図18(a)に示すように、電線L、L、Lが上側に、電線L、L、Lが下側に位置し、第2帯状体部55Rの形成時には、特に図示しないが、電線L、L、Lが上側に、電線L、L、Lが下側に位置するものとして説明する。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0087】
第1フック37Aは、撚り前張架領域Sの側方に配置され撚り前張架部Tを構成する各電線Lのうち、撚り円盤5の停止時に上側に位置する3本の電線Lを、平行に整列させて、撚り前張架領域Sの側方に移動させるものである。
本実施形態における第1フック37Aは、Y軸に平行な水平方向に延ばされた2本の棒状部のそれぞれの先端側(Y軸の正方向側)にU字状のフック部17bが形成されている。フック部17bのU字状の幅は、電線Lの外径よりわずかに大きく、U字状の深さは、電線Lを3本並列して収容することができる深さに設定されている。
また、各第1フック37Aは、図18(b)に示すように、X軸方向に離間して配置されている。各第1フック37AのX軸に沿う方向の離間距離は、第1帯状体部55Lおよび第2帯状体部55Rの長さよりも大きくなるように設定されている。
【0088】
第2フック37Bは、撚り前張架領域Sの側方に、第1フック37AとX軸に沿う方向に並んで配置され、撚り前張架部Tを構成する各電線Lのうち、撚り円盤5の停止時に下側に位置する3本の電線Lを、平行に整列させて、撚り前張架領域Sの側方に移動させるものである。
本実施形態における第2フック37Bは、第1フック37Aと同様な構成を有する。
【0089】
フック駆動部36は、各第1フック37A、各第2フック37Bの基端部(Y軸の負方向側の端部)を、それぞれY軸に平行な水平方向に進退させるとともに、X軸方向およびZ軸方向に平行移動させるもので、鉛直スライダ15に固定されている。このため、フック駆動部36は、鉛直スライダ15によってZ軸に沿う方向に移動可能に支持されている。
また、第1フック37A、第2フック37Bは、フック駆動部36によって、それぞれの2本ずつが連動して移動できるようになっている。
また、各第1フック37A、各第2フック37Bは、Y軸に平行に配置された棒状部材を中心としてそれぞれのフック部17bを回転させることができるようになっている。
【0090】
整列台移動部39は、適宜のアクチュエータによって整列台42をZ軸に沿って昇降可能に支持するものであり、ガイド支柱18と撚り前張架領域Sとの間の基台2上に設けられている。
整列台42は、第1フック37A、第2フック37Bによって移動された各電線Lを、
水平面(XY平面に平行な面)に沿って支持する整列面42aを有するブロック状部材である。本実施形態では、整列台移動部39の上端部に固定されている。
整列台42の材質は、整列台12と同様な材質を採用している。
【0091】
鉛直アクチュエータ34は、整列台42の整列面42aの上方において、固定ヘッド13をZ軸に沿う方向に移動可能に保持するもので、ガイド支柱18と撚り前張架領域Sとの間の基台2上に設けられている。
鉛直アクチュエータ34に保持された固定ヘッド13は、押圧面13aが整列面42aに対向されている。
【0092】
このような構成により、整列固定部8Cは、撚り合わせ部3の休止時、すなわち撚り円盤5の回転の停止時に、各素線ボビン6と撚り体部50Aとの間で、複数の電線Lを並列させて帯状に整列する電線整列部と、この電線整列部で整列された複数の電線Lの相対位置を固定し、整列順序に対応して第1帯状体部55Lまたは第2帯状体部55Rからなる帯状体部を形成する帯状体形成部とを兼ねる装置部分になっている。
また、第1フック37A、第2フック37B、およびフック駆動部36は、複数の電線Lの整列順序を変更する順序変更機構を構成している。
また、第1フック37A、第2フック37Bは、複数の電線Lを複数の電線群に分けてこの電線群ごとに整列させる電線群整列部を構成しており、フック駆動部36は、第1フック37A、第2フック37Bを移動させることにより、整列された複数の電線群を電線群単位で整列順序を設定する電線群順序設定部を構成している。
【0093】
次のケーブル製造装置1Cの動作について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図20(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の第3の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の電線整列工程の動作を説明するための模式的な断面図である。図21は、図20(d)におけるN視図である。
【0094】
ケーブル製造装置1Cは、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1と電線整列部の構成が異なっている。このため、製造準備工程、撚り体部形成工程は、上記第1の実施形態と同様にして行う。
【0095】
次に、本実施形態の電線整列工程を行う。本工程は、撚り前張架部Tを構成する各電線Lを電線群に分けて整列台42上に整列させる工程である。
撚り円盤5が停止すると、制御部100Cは回転位置検出手段の検出信号に基づき、必要に応じて撚り円盤5を回転して停止位置を修正する。例えば、第1帯状体部55Lを形成する場合には、図18(c)に示すように、水平面に対して、電線L、L、Lからなる電線群Gが上側に、電線L、L、Lからなる電線群Gが下側に位置するようにする。
【0096】
次に、制御部100Cは、鉛直スライダ15およびフック駆動部36を駆動して、図20(a)に二点鎖線で示すように、第1フック37Aを電線群G、Gの間に高さの側方に、第2フック37Bを電線群Gの下方の側方に、それぞれ移動する。
そして、図20(a)に実線で示すように各フック部17bが、撚り前張架領域Sの反対側の側方に突き抜ける位置まで、第1フック37Aおよび第2フック37Bを進出させる。このとき、電線群G、Gの間の隙間がフック部17bの大きさに比べて狭い場合には、進出動作開始前に、フック駆動部36により各第1フック37Aをその棒状部回りに90度回転させてフック部17bを水平面に整列させる。これにより、進出時にフック部17bと電線Lとが引っ掛かることなく円滑に第1フック37Aを進出させることができる。
【0097】
次に、制御部100Cは、フック駆動部36を駆動して、図20(b)に示すように、各第1フック37Aの回転を戻してフック部17bの開口が上側に位置する姿勢としてから、各第1フック37AをZ軸の正方向に移動する。これにより、第1フック37Aの棒状部に対して電線群Gが係止される。
次に、制御部100Cは、フック駆動部36を駆動して、図20(c)に示すように、各第1フック37AをY軸の負方向に向けて撚り前張架領域Sの側方まで移動させる。このとき、電線群Gは、フック部17bに引っ掛けられて移動するため、フック部17b内に、Y軸の負方向から正方向に向かって、電線L、L、Lの順に1列に並列に収容されて移動される。
また、これと並行して、制御部100Cは、各第2フック37BをZ軸の正方向に移動させ、電線群Gを第2フック37Bの棒状部に係止させる。
【0098】
次に、制御部100Cは、フック駆動部36を駆動して、各第2フック37BをY軸の負方向に向けて撚り前張架領域Sの側方まで移動させる。このとき、電線群Gは、フック部17bに引っ掛けられて移動するため、フック部17b内に、Y軸の負方向から正方向に向かって、電線L、L、Lの順に1列に並列に収容されて移動される。
次に、制御部100Cは、フック駆動部36を駆動して、第1フック37A、第2フック37Bの位置を調整して、図20(c)、図21に示すように、各第1フック37A間の電線群Gを、各第2フック37B間の電線群GのY軸の負方向側に隣接させる。
これにより、各第1フック37Aの間および各第2フック37Bの間に、Y軸の負方向から正方向に向かって、電線L、L、L、L、L、Lが並列して整列される。
【0099】
次に、制御部100Cは、整列台移動部39を駆動して、整列面42aが、これら整列した各電線Lの下側に近接して位置するように、整列台42をZ軸の正方向に移動する。
以上で、電線整列工程が終了する。
【0100】
次に、本実施形態の電線固定工程では、制御部100Cが鉛直アクチュエータ34を駆動して、固定ヘッド13をZ軸の負方向に移動させ、固定ヘッド13を整列台42上に整列された各電線Lに向けて押し付ける。
これにより、上記第1の実施形態と同様にして、各電線Lが固定ヘッド13の押圧面13aで押圧され、各絶縁被覆部50bが加熱溶着されることで、各電線Lが整列状態で固定される。
各電線Lが一体に固定されたら、制御部100Cは、固定ヘッド13をZ軸の正方向に退避させるとともに、フック駆動部36を駆動して、第1フック37A、第2フック37BをY軸の正方向に向けて、撚り前張架領域Sの反対側の側方まで移動させる。これにより、各フック部17bが各電線Lから外れる。フック部17bが外れたら、制御部100Cは、鉛直スライダ15を駆動して、第1フック37A、37Bを撚り前張架領域Sの下方に移動した後、フック駆動部36を駆動して、各第1フック37A、各第2フック37Bを電線整列工程の開始前の位置に移動する。
以上で、電線固定工程が終了する。
【0101】
次に、上記第1の実施形態と同様にして、撚り体部50Aを形成する撚り体部形成工程、第2帯状体部55Rを形成する電線整列工程、電線固定工程を行う。第2帯状体部55Rを形成する電線整列工程では、電線群の構成を第2帯状体部55Rに合わせて変えればよい。
ケーブル製造装置1Cによれば、これらの工程を、上記第1の実施形態と同様に繰り返すことでケーブル連接体55を製造することができる。
【0102】
このように、ケーブル製造装置1Cによれば、電線整列部と帯状体形成部とを兼ねる整列固定部8Cを備えるため、撚り体部50Aと第1帯状体部55Lまたは第2帯状体部55Rが交替してそれぞれ複数形成されているケーブル連接体55を容易かつ効率的に製造することができる。また、ケーブル連接体55を切断することにより、両端に各電線Lの位置が確定して整列された撚り合わせケーブル56を容易かつ効率的に製造することができる。
【0103】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置について説明する。
図22(a)、(b)は、本発明の第4の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な構成図、およびその動作説明図である。
【0104】
本実施形態のケーブル製造装置1D(撚り合わせケーブル製造装置)は、図22(a)に主要部の構成を示すように、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1の整列固定部8を削除し、電線ガイド部材7に代えて、回転整列機構47を備え、整列台12、整列台移動部39、櫛歯ガイド11、固定ヘッド13を追加したものである。また、これらの制御対象の変更に対応して、制御部100を制御部100Dに変更している。
ケーブル製造装置1Dで製造するケーブル連接体は、ケーブル連接体50とは異なり、特に図示しないが、帯状体部の整列順序を素線ボビン6の周方向の整列順序の順に循環的に変更したものである。例えば、一方の帯状体部の整列順序が、電線L、L、L、L、L、Lであるとしたとき、例えば、電線L、L、L、L、L、Lの順序に変更したものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0105】
回転整列機構47は、図22(a)に示すように、同一の長さを有する棒状の回転ガイド部材47a、47b、47c、47d、47e、47fが、支柱7aの先端部に設けられた回転ガイド部材駆動部47gによって可動支持されたものである。各回転ガイド部材の回転ガイド部材駆動部47gと反対側の端部には、上記第1の実施形態と同様のガイド孔7bが形成されている。
回転ガイド部材駆動部47gは、支柱7aに内蔵された図示略の回転アクチュエータに接続され、回転ガイド部材47a、47b、47c、47d、47e、47fの回転軸線Uに対する回転位置が変更できるようになっている。
このため、撚り体部形成工程では、各回転ガイド部材は、図22(a)に示すように、回転ガイド部材駆動部47gを中心として、約60度の角度ピッチで、周方向の順序がX軸の正方向から負方向を見たときに時計回りに回転ガイド部材47a、47b、47c、47d、47e、47fの順となる放射状に展開される(以下、展開時と称する)。このとき、各ガイド孔7bは、回転軸線Uを中心とする円周上に略等ピッチで配列されている。
【0106】
また、電線整列工程および電線固定工程では、図22(b)に示すように、各回転ガイド部材が、回転軸線Uの下側となる位置で扇状に畳まれ(以下、畳み時と称する)、各ガイド孔7bが周方向に隣接して整列する配置をとる。
このとき、本実施形態の回転ガイド部材駆動部47gは、展開時の配置における互いに隣り合うガイド孔7bの1組を選択し、その間隔を拡大することにより畳む動作を行う。
このため、各回転ガイド部材の整列順序は変更可能であるが、展開時の周方向の順序を保持した循環的な順序に設定される。例えば、図22(b)に示す例では、X軸の正方向から負方向を見たときにY軸の正方向側から時計回りに、回転ガイド部材47b、47c、47d、47e、47f、47aが並んでいる。
【0107】
回転整列機構47の各ガイド孔7bには、上記第1の実施形態と同様に、各電線Lが挿通されている。本実施形態では、回転ガイド部材47a、47b、47c、47d、47e、47fの各ガイド孔7bに、それぞれ、電線L、L、L、L、L、Lが挿通されている。この配列順序は、上記第1の実施形態と同様に、撚り体部50Aにおいて、各電線Lが周方向に並ぶ一定順序に合致されている。
すなわち、展開時の各回転ガイド部材は、回転ガイド部材駆動部47gによって、各電線Lの挿通位置である各ガイド孔7bの位置を、円周上で互いに離間する一定順序の位置関係である撚り体部形成位置に保持している。
また、畳み時には、各ガイド孔7bの整列順序に対応して、各電線Lも整列されることになる。例えば、図22(b)に示す畳み時の各電線Lは、Y軸の負方向側から正方向側に向かって、電線L、L、L、L、L、Lの順序に整列されている。
【0108】
本実施形態の整列台12は、上記第1の実施形態と同様に側面に1対の櫛歯ガイド11を備え、上記第1の実施形態とは異なり、図示略の基台2上に設けられた整列台移動部39の上端部に支持されている。また、本実施形態では、櫛歯ガイド11が対向する方向は、X軸に沿う方向になっている。
整列台移動部39は、上記第3の実施形態と異なり、撚り前張架領域Sの下方において、回転軸線Uを含むZX平面に平行な平面に関して対称となる位置に配置されている。
すなわち、整列台移動部39および整列台12は、回転整列機構47の畳み時に整列された各電線Lの下方に位置している。
【0109】
本実施形態の固定ヘッド13は、図示略のアクチュエータによって、整列面12aの上方に可動支持され、撚り前張架領域Sの上方から整列面12aに向かって進退できるようになっている。
【0110】
制御部100Dは、上記第1の実施形態の制御部100が行う制御のうち、削除された構成の制御を削除し、加えて、回転整列機構47、整列台移動部39、固定ヘッド13の進退移動の動作の制御を行うものである。
【0111】
本実施形態では、回転整列機構47の回転ガイド部材47a、47b、47c、47d、47e、47fは、電線送出部と撚り体部との間で、複数の電線Lをそれぞれ挿通させて挿通位置を規制する電線案内部材を構成している。また、回転整列機構47の回転ガイド部材駆動部47gは、電線案内部材の位置を、撚り合わせ部3の動作時には挿通位置を円周上で互いに離間する一定順序の位置関係である撚り体部形成位置に保持し、撚り合わせ部3の休止時には撚り体部形成位置において互いに隣り合う挿通位置のうちの1組の間隔を選択的に拡大して、他の挿通位置を一方向に沿って隣接するように移動させる電線案内部材移動部を構成している。
【0112】
次に、ケーブル製造装置1Dの動作について上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ケーブル製造装置1Dでは、回転整列機構47は、展開時において、上記第1の実施形態の電線ガイド部材7とまったく同様の機能を有する。このため、製造準備工程、撚り体部形成工程は、上記第1の実施形態と同様にして行うことができる。
【0113】
次に、本実施形態の電線整列工程を行う。本工程は、撚り前張架部Tを構成する各電線Lを整列台42上に整列させる工程である。
撚り円盤5が停止すると、制御部100Dは、回転ガイド部材駆動部47gを駆動して、形成すべき帯状体部の電線の整列順序に応じて、各回転ガイド部材を畳む。本実施形態では、一例として、回転ガイド部材47a、47fの間、または回転ガイド部材47a、47bの間の周方向の間隔を拡大するように畳み、これにより、各電線Lを2種類の順序に整列させる。
例えば、図22(b)に示す例では、回転ガイド部材47a、47bの間隔を拡大して、回転軸線Uの下方に、X軸の正方向から負方向に見たとき、反時計回りに回転ガイド部材47a、47f、47e、47d、47c、47bがこの順に整列するように畳む。これにより、Z軸の正方向から負方向を見るとき、各電線Lは、Y軸の負方向側から正方向側に向かって、電線L、L、L、L、L、Lの順に並んで整列される。
【0114】
次に、制御部100Dは、整列台移動部39を駆動して、整列台12および櫛歯ガイド11をZ軸の正方向に向けて移動する。1対の櫛歯ガイド11が各電線Lが張られた領域に到達すると、各電線Lは、櫛歯ガイド11の溝部にそれぞれ分かれて収容され、1対の櫛歯ガイド11の間で、略平行に整列される。
整列面12aが、各電線Lの直下に移動したら、整列台移動部39の移動を停止する。
以上で電線整列工程が終了する。
【0115】
次に、本実施形態の電線固定工程では、制御部100Dが固定ヘッド13の図示略のアクチュエータを駆動して、固定ヘッド13をZ軸の負方向に向けて移動する。これにより、上記第1の実施形態と同様にして、1対の櫛歯ガイド11の間に整列された各電線Lが加熱溶着されて固定される。これにより、帯状体部が形成される。
以上で電線固定工程が終了する。
【0116】
このように、ケーブル製造装置1Dによれば、電線整列部を構成する回転整列機構47、櫛歯ガイド11、および整列台移動部39と、帯状体形成部を構成する固定ヘッド13とを備えるため、撚り体部と整列順序が異なる帯状体部とが交替してそれぞれ複数形成されているケーブル連接体を容易かつ効率的に製造することができる。
【0117】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置について説明する。
図23(a)、(b)は、本発明の第5の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の主要部の構成を示す模式的な構成図、およびそのP部の拡大図である。図24は、本発明の第5の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置を用いた電線整列工程を説明する工程説明図である。
【0118】
本実施形態のケーブル製造装置1E(撚り合わせケーブル製造装置)は、図23(a)に主要部の構成を示すように、上記第4の実施形態のケーブル製造装置1の回転整列機構47を回転整列機構57に代えたものである。ただし、図23(a)では、固定ヘッド13、整列台12等の図示は省略している(図23(b)、図24も同様)。
以下、上記第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0119】
回転整列機構57は、図23(a)に示すように、上記第4の実施形態の回転ガイド部材47a、47b、47c、47d、47e、47f(以下、回転ガイド部材47a等として総称する場合がある)に代えて、回転ガイド部材57a、57b、57c、57d、57e、57f(以下、回転ガイド部材57a等として総称する場合がある)を備える。
回転ガイド部材57a等は、図23(b)に示すように、回転ガイド部材47a等のガイド孔7bに代えて、先端に電線Lを出し入れ可能な幅に開口された開口57Aを有し電線Lの外径よりも大きな内径を有するC字状溝57Bをそれぞれ備える。
【0120】
このような構成により、回転整列機構57では、上記第4の実施形態の回転整列機構47と同様に、回転ガイド部材57a等の各C字状溝57Bに各電線Lを挿通させることができる。したがって、ケーブル製造装置1Eでは、上記第4の実施形態とまったく同様にして、ケーブル連接体を製造することができる。
さらに、回転整列機構57では、一旦挿通させた電線Lを移動させることにより、電線Lの挿通位置を変更することができる。この電線Lの移動は、本実施形態では適宜の治具も用いて手動で行うが、上記第1の実施形態のフック17など構成を追加することにより電線Lを個別に移動する構成を設けることで、自動的に行ってもよい。
例えば、図24に示すように、回転ガイド部材57aのC字状溝57Bに挿通されていた電線Lと、回転ガイド部材57fのC字状溝57Bに挿通されていた電線Lとを交換した配置とすることができる。
【0121】
このため、本実施形態の電線整列工程では、最初に電線Lの挿通位置を変更した後に、上記第4の実施形態と同様に電線整列工程、電線固定工程を行うことで、上記第4の実施形態では実現できない電線Lの整列順序を実現することができる。
その際、回転整列機構57を畳むことによっても整列順序が変更されるため、電線Lの移動は、一部でよいため、すべての電線Lの挿通位置を変更して整列順序を変更する場合に比べて、容易に整列順序を変更することができる。
撚り体部形成工程は、電線Lの配置を元に戻してから行う。
このようにして、ケーブル製造装置1Eによれば、種々の電線Lの整列順序を有する帯状体部を容易に形成することができる。
【0122】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置について説明する。
図25は、本発明の第6の実施形態の撚り合わせケーブル製造装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。
【0123】
本実施形態のケーブル製造装置1F(撚り合わせケーブル製造装置)は、図25に構成を示すように、上記第1の実施形態のケーブル製造装置1の撚り円盤5の外周部に、撚り円盤5から撚り合わせ位置Qに向かうX軸に沿う方向に延ばされた板状の整列固定部保持部材62を一体化し、この整列固定部保持部材62上に、上記第1の実施形態の整列固定部8および支持部9を設けたものである。
整列固定部8および支持部9は、回転軸線U、撚り前張架領域S、撚り合わせ位置Qに対する位置関係が、上記第1の実施形態と同様の位置関係となるように配置されている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0124】
本実施形態のケーブル製造装置1Fによれば、上記第1の実施形態と同様にして、ケーブル連接体50を製造することができる。
さらに本実施形態では、撚り円盤5の回転に伴って、整列固定部保持部材62が回転するため、電線ガイド部材7と整列固定部8とは、撚り円盤5がどの位置で停止しても相対位置は変わらない。この結果、整列固定部8に対する各電線Lの位置が常に一定となるため、上記第1の実施形態の場合のように撚り円盤5の回転位置検出手段の検出位置を解析して移動する電線Lの位置を解析する工程を省略することができる。また、回転位置検出手段も省略することができる。
したがって、ケーブル製造装置1に比べて簡素な構成であっても、より迅速にケーブル連接体50を製造することができる。
【0125】
なお、上記の説明では、撚り合わせケーブル製造装置によって、ケーブル連接体において帯状体部の電線の配列順序が異なる場合の例で説明したが、撚り合わせケーブル製造装置は、電線を一定の順序に配列した帯状体部、例えば、第1帯状体部50Lのみ、第2帯状体部50Rのみを帯状体部として有するケーブル連接体を製造するものであってもよい。このため、撚り合わせケーブル製造装置において、順序変更機構を削除した構成としてもよい。
【0126】
また、上記第2の実施形態の説明では、テープ片54によって帯状体部を形成した跡、テープ片54とともに帯状体部を切断することによって、撚り合わせケーブル53を形成する場合の例で説明したが、1つの帯状体部2条のテープ片によって固定し、これらのテープ片の間で各電線Lを切断してもよい。この場合、切断して撚り合わせケーブルを形成したときに、端部の各電線Lの先端部が分離した状態とすることができる。
このため、コネクタの端子ピッチが、固定された電線の配列ピッチと異なる場合でも、固定部分を解体することなくコネクタの端子を接続することができる。
また、テープ片が切断されないため、切断時の負荷が低減できる。
【0127】
また、上記第3の実施形態の説明では、電線群が、3本ずつ2組形成された場合の例で説明したが、これは一例であり、電線群の本数は、2本、あるいは4本以上であってもよい。また、フックの数を増やせば、3組以上の電線群に分けて整列順序を変更してもよい。この場合、電線群の分け方も、上下方向のみには限定されない。フックの進退方向を種々設定することにより、種々の組合せの電線群を構成し、電線群ごとに整列させることができる。
【0128】
また、上記第3の実施形態の説明では、電線Lの整列順序を変える際に、電線群の分け方を変えて、整列順序を変える場合の例で説明したが、例えば、第1フック37A、第2フック37Bの隣接位置を入れ替え、これにより整列順序を変更してもよい。
【0129】
また、上記の各実施形態、変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えたり、削除したりして実施することができる。
【符号の説明】
【0130】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F ケーブル製造装置(撚り合わせケーブル製造装置)
3 撚り合わせ部
5 撚り円盤
6 素線ボビン(電線送出部)
7 電線ガイド部材
7b ガイド孔
8、8A、8B、8C 整列固定部(電線整列部、帯状体形成部)
10 係止部(電線係止部材)
10a、10b、10c、10d、10e、10f 係止部材
11 櫛歯ガイド(電線整列部、電線係止部材)
12、12A、42 整列台(電線整列部)
12a、12b、42a 整列面
13、13A、13B 固定ヘッド(帯状体形成部)
13a、13b 押圧面
14 水平アクチュエータ
15 鉛直スライダ(電線整列部、順序変更機構、電線移動部)
16 水平アクチュエータ(電線整列部、順序変更機構、電線移動部)
17 フック(電線整列部、順序変更機構、電線移動部)
17a、17b フック部
18 ガイド支柱
19 ケーブル支持部材
20 駆動部(牽引部)
21 巻き取りボビン(牽引部、巻き取り部)
22 シリンジ
23 接着剤
24 UV光源
29 固定テープ
30 テープ供給部
34 鉛直アクチュエータ
36 フック駆動部(順序変更機構、電線群順序設定部)
37A 第1フック(順序変更機構、電線群整列部)
37B 第2フック(順序変更機構、電線群整列部)
47、57 回転整列機構(電線案内部材移動部)
47a、47b、47c、47d、47e、47d、47f、57a、57b、57c、57d、57e、57d、57f 回転ガイド部材(電線案内部材)
47g 回転ガイド部材駆動部
50、52、55 ケーブル連接体
50A 撚り体部
50B 不完全撚り部
50L、52L、55L 第1帯状体部(帯状体部)
50R、52R、55R 第2帯状体部(帯状体部)
50b 絶縁被覆部
51、53、56 撚り合わせケーブル
52 ケーブル連接体
54 テープ片
57B C字状溝
62 整列固定部保持部材
、G 電線群
L、L、L、L、L、L、L 電線
U 回転軸線
Q 撚り合わせ位置
S 撚り前張架領域
T 撚り前張架部
100、100A、100B、100C、100D 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁被覆された複数の電線を送出する電線送出部と、
該電線送出部を回転させて前記複数の電線を撚り合わせることにより撚り体部を形成する撚り合わせ部と、
該撚り合わせ部の休止時に、前記電線送出部と前記撚り体部との間で、前記複数の電線を並列させて帯状に整列する電線整列部と、
該電線整列部で整列された前記複数の電線の相対位置を固定した帯状体部を形成する帯状体形成部と、
前記撚り体部および前記帯状体部が交替して形成されたケーブル連接体を牽引する牽引部と、
を備えることを特徴とする撚り合わせケーブル製造装置。
【請求項2】
前記電線整列部は、
前記複数の電線の整列順序を変更する順序変更機構を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の撚り合わせケーブル製造装置。
【請求項3】
前記順序変更機構は、
前記複数の電線を個別に移動する電線移動部と、
移動された前記電線を並列された整列状態に係止する電線係止部材と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の撚り合わせケーブル製造装置。
【請求項4】
前記順序変更機構は、
前記複数の電線を複数の電線群に分けて該電線群ごとに整列させる電線群整列部と、
整列された前記複数の電線群を電線群単位で整列順序を設定する電線群順序設定部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の撚り合わせケーブル製造装置。
【請求項5】
前記電線整列部は、
前記電線送出部と前記撚り体部との間で、前記複数の電線をそれぞれ挿通させて挿通位置を規制する電線案内部材を備え、
前記順序変更機構は、
前記電線案内部材の位置を、前記撚り合わせ部の動作時には前記挿通位置を円周上で互いに離間する一定順序の位置関係である撚り体部形成位置に保持し、前記撚り合わせ部の休止時には前記撚り体部形成位置において互いに隣り合う前記挿通位置のうちの1組の間隔を選択的に拡大して、他の挿通位置を一方向に沿って隣接するように移動させる電線案内部材移動部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の撚り合わせケーブル製造装置。
【請求項6】
前記牽引部は、
前記ケーブル連接体を巻き取る巻き取り部を備える
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撚り合わせケーブル製造装置。
【請求項7】
前記複数の電線が撚り合わされた撚り体部と、前記複数の電線を帯状に整列して相対位置が固定された帯状体部とが、交替してそれぞれ複数形成されたことを特徴とするケーブル連接体。
【請求項8】
前記撚り体部を挟んで互いに隣接する前記帯状体部は、前記複数の電線の配列順序が異なることを特徴とする請求項7に記載のケーブル連接体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate