説明

撚線の潤滑

導管に引き通されている撚線が自動的に潤滑される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2003年8月14日出願の米国特許出願第10/641000号の継続出願であり、これは2001年11月15日出願の米国特許出願第09/991418号の一部継続出願であり、これは2000年11月16日出願の米国特許仮出願第60/249413号の優先権の利益を受ける権利を有するものである。
【0002】
本明細書は撚線の潤滑に関する。
【背景技術】
【0003】
1本の撚線または複数の撚線(例えば、絶縁された電線)を導管に引き通すことを容易化するために、撚線はしばしば潤滑される。典型的には、1人が手で撚線に潤滑剤、例えば、石鹸を塗り、他の1人または複数の人が(撚線の直径および重量に応じて)、その撚線を巻線または他の供給源から引き出し、かつそれを導管の中に送り込む。導管の他端では、撚線を潤滑しかつ送り込んでいる間に1人または複数の人がそれを掴んで引っ張る。
【0004】
導管の端部は典型的に外部ねじ山を有する。電線が導管に引き通されると、別様であれば導管端部の時としてぎざぎざの縁によって引き起こされ兼ねない損傷から電線を保護するために、標準的な円筒形の套管が導管の端部にねじ込まれる。
【0005】
撚線が引っ張られている間にそれを潤滑する過程を簡素化するために、様々な装置が提案されてきた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、一態様では、本発明は、撚線が導管に引き通されている間に潤滑剤を撚線に分注するための潤滑器を含み、この潤滑器が、プラスチック材料から作製され、潤滑剤を圧力下で吸入口から潤滑剤が分注される吐出口まで運搬する内蔵経路を有する装置を特徴とする。
【0007】
本発明の実施態様は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。プラスチックはガラス繊維入りポリプロピレンを含む。潤滑器は2つのプラスチック部品を含む。リブが潤滑器の外表面に形成される。
【0008】
一般に、別の態様では、本発明は、撚線が導管に引き通されている間に潤滑剤を撚線に分注するための潤滑器を含み、この潤滑器が、(a)潤滑器の一端を導管の端部に結合し、かつ(b)潤滑器の他端を保護套管に結合することを可能にするように構成されている装置を特徴とする。
【0009】
本発明の実施態様は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。潤滑器はその一端に導管の端部に結合可能にするためのねじ山を含む。このねじ山は導管の外部ねじ山と合う内部ねじ山を含む。潤滑器はその他端にて保護套管に結合可能にするためのねじ山を含む。このねじ山は套管の内部ねじ山と嵌合する外部ねじ山を含む。潤滑器はその他端に套管の内部ねじ山と嵌合する外部ねじ山を含み、潤滑器の一端上の内部ねじ山と潤滑器の他端上の外部ねじ山とは同じピッチでありかつ直径が一致する。潤滑器はその組立体を撚線回りに装着するために分離可能である2つの部品を含む。
【0010】
一般に、別の態様では、本発明は、撚線を引き通すべき導管の端部に潤滑器を一時的に装着するステップと、撚線を套管、潤滑器、および導管に引き通すステップと、套管を撚線から取り外すことなく撚線から潤滑器を脱着しかつそれを取り外すステップと、套管を導管の端部に装着するステップとを含む方法を特徴とする。
【0011】
本発明の実施態様は、次の特徴の1つまたは複数を含む。撚線を引っ張る前に、套管は潤滑器に装着される。導管の端部に套管を装着する前に、套管は潤滑器から脱着される。潤滑器はねじ込みまたは固締によって導管のねじ山付き端部に装着される。套管はねじ込みによって導管の端部に装着される。潤滑器および套管は導管の端部のねじ山を使用して導管の端部に装着される。套管は、導管に到達するために必ずしも撚線の自由端の上をかつ撚線の長さに沿って套管を送らなくても、導管の端部に装着される。
【0012】
一般に、別の態様では、本発明は、撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を撚線に塗布するための潤滑器と、潤滑剤が潤滑器から漏出するのを防止するためのブラシとを含み、ブラシが摩耗されると、ブラシは交換のために潤滑器から取外し可能である装置を特徴とする。
【0013】
本発明の実施態様は、次の特徴の1つまたは複数を含み得る。ブラシはリングの中に配置された剛毛を含み、これらの剛毛のそれぞれの端部はリング形状の口輪の中に保持されている。潤滑器はリング形状の口輪を挿入しかつ交換取出しできる受け口を含む。潤滑器はこの口輪と嵌合する溝を含む。ブラシは潤滑器の一部に対してブラシの一部を滑導させることによって取外し可能である。ブラシは、潤滑器が導管に装着されるとき、このブラシと導管との間に小室を画成し、潤滑器は潤滑剤を小室の中へ分注するように構成された吐出口を含む。
【0014】
一般に、別の態様では、本発明は、撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を撚線に塗布するための潤滑器を含み、この潤滑器が、(a)潤滑器を撚線の回りに装着するために接合される2つの分離可能な部品と、(b)潤滑剤の供給分を収容し、2つの分離可能な部品の間で分割される貯槽と、(c)2つの部品が接合されるときに貯槽を封止し、これらの部品の少なくとも一方の中に装着されたシリコンパッキンを含む封止体とを有する装置を特徴とする。
【0015】
本発明の実施態様は、次の1つまたは複数の特徴を含み得る。貯槽は2つの分離可能な部品のそれぞれの壁の中に形成されるリング形状管を含み、この管は部品が接合されていないときには分割されている。
【0016】
一般に、別の態様では、本発明は、潤滑器のセットであって、これらの潤滑器のそれぞれは撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を撚線に塗布し、異なるサイズの導管で使用するようにそれぞれに構成されている潤滑器と、このセットの潤滑器の1つを保持するようにそれぞれにサイズ決めされる受け座を有する保持箱とを含む装置を特徴とする。
【0017】
本発明の実施態様は、次の1つまたは複数の特徴を含み得る。セットの中に少なくとも2つの、しかし6つよりも少ない潤滑器が存在する。セットは、このセット中の潤滑器の1つを保持するように、それぞれにサイズ決めされる受け座を有する保持箱を備え、1セットの中のすべての潤滑器は別のセットの潤滑器のいずれとも異なるサイズである。保持箱は潤滑剤が乾燥するのを防止するために封止される気密容器を含む。撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を撚線に塗布するために使用される潤滑器のための容器を含み、この容器が、容器の移動時に潤滑器を定位置に保持するために潤滑器の少なくとも一部の外形に一致するように構成される受け座と、潤滑剤が容器の外側に漏出するのを防止するための封止体とを含む装置。容器は本体および蓋を備え、封止体は本体と蓋との間にある。
【0018】
一般に、別の態様では、本発明は、導管の端部がマンホールの壁の中に保持されているときに潤滑器の継手を受けることを可能にするために、導管の端部に適合させるためのアダプタを含み、このアダプタが、導管の端部の中に挿入するための一端と、潤滑器の継手を受けるための継手を有する他端とを有する環状本体を含む装置を特徴とする。
【0019】
本発明の実施態様は、次の1つまたは複数の特徴を含み得る。アダプタの継手はねじ切りを含む。環状本体の一端は先細にされている。アダプタは2つの部品を含む。これらの2つの部品は円筒の半部分を含む。アダプタはプラスチック製である。
【0020】
一般に、別の態様では、本発明は、潤滑剤を供給源から、導管に引き通されている撚線に潤滑剤を分注すべき潤滑器に強制送出するためのポンプを含み、このポンプが蓄電池式である装置を特徴とする。
【0021】
本発明の実施態様は、次の1つまたは複数の特徴を含み得る。蓄電池式モータはポンプを駆動する。粘性の潤滑剤を供給源から、導管を引き通されている撚線に潤滑剤を分注すべき潤滑器に強制送出するためのポンプを含み、このポンプが歯車ポンプを含む装置。特許請求に係る本装置は、歯車ポンプを駆動する蓄電池式モータも含み、このモータは撚線に塗布される潤滑剤の量を変更するために異なる伝動速度を有する。足踏みスイッチはモータのスイッチを入れたりまたは切ったりする。歯車ポンプは、潤滑剤を貯槽から供給ホース用の吐出口まで強制送出するための1対の複数の歯車を含む。機構が潤滑剤を供給源から貯槽に送出する。この機構はオーガを含む。このオーガは歯車ポンプに噛み合う。このオーガは、歯車ポンプによって汲み上げられている潤滑剤の量に対して、貯槽を供給過剰にするように駆動される。
【0022】
一般に、別の態様では、本発明は、潤滑剤を標準的なサイズの潤滑剤バケットから、導管に引き通されている撚線に潤滑剤を分注すべき潤滑器に強制送出するためのポンプを含み、このポンプがバケットの開口部と嵌合するように構成され、かつバケットの上方にポンプを支持する突縁を含む装置を特徴とする。
【0023】
本発明の実施態様は、次の1つまたは複数の特徴を含み得る。オーガが潤滑剤をバケットから引き込み、このオーガはモータによって駆動され、このモータは突縁の上方に搭載され、このオーガは突縁の下方に突出する。従動板が、オーガを受け入れるようにかつ従動板がオーガに沿って上下に滑動できるようにサイズ決めされた穴を有する。従動板は、バケットの内側壁にぴったり合うように構成され、かつオーガ回りの吸引パイプを上下に滑動させるように構成された外縁を有する。
【0024】
一般に、別の態様では、本発明は、粘性の潤滑剤を供給源から、導管に押し通されている撚線に潤滑剤を分注すべき潤滑器に強制送出するための蓄電池式ポンプと、このポンプに電力供給するための可搬式の非常用蓄電池とを含み、この可搬式の非常用蓄電池が、蓄電池とポンプとの間のケーブルの接続および切断を可能にするために蓄電池の筐体に取り付けられた電気コネクタを含む装置を特徴とする。
【0025】
本発明の実施態様は、次の1つまたは複数の特徴を含み得る。足踏みスイッチが電力を蓄電池からポンプに送出するのを制御する。
【0026】
一般に、別の態様では、本発明は、潤滑器を導管の端部に装着するステップと、套管を潤滑器の他端に装着するステップと、潤滑剤を供給源から潤滑器に汲み上げるステップと、撚線を潤滑器および導管に引き通すステップとを含み、この潤滑剤が、引っ張るステップの間に潤滑器から撚線に分注される方法を特徴とする。
【0027】
本発明の実施態様は、次の1つまたは複数の特徴を含み得る。套管は潤滑器から取り外され、潤滑器は導管から取り外され、かつ套管は導管に装着される。
【0028】
一般に、別の態様では、本発明は、オーガを使用して潤滑剤を供給源から貯槽に引き込むステップと、潤滑剤を2つの噛合い歯車の間の貯槽から供給管路の中へ強制送出するステップと、撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を撚線に塗布するために、供給管路を介して潤滑剤を潤滑器に送出するステップとを含む方法を特徴とする。
【0029】
本発明の実施態様は、次の1つまたは複数の特徴を含み得る。2つの噛合い歯車およびオーガは単一のモータによって駆動される。オーガおよび2つの噛合い歯車は、潤滑剤が貯槽から供給管路の中へ強制送出される速度に対して、オーガに貯槽を供給過剰にさせるように相対的な速度で駆動される。
【0030】
一般に、別の態様では、本発明は、撚線を撚線の供給源から導管に引き通すステップと、撚線が導管に進入するときに、それを供給端で自動的に潤滑するステップと、たった1人で、撚線を撚線の供給源から導管まで送出するのを制御し、かつ潤滑剤を潤滑剤の供給源から送出する速度を制御することを可能にするステップとを含む方法を特徴とする。
【0031】
次の1つまたは複数が本発明の利点に含まれる。液体石鹸または他の潤滑剤が(非常に粘性のある潤滑剤であっても)、電気技師が手で潤滑剤を塗布する必要もなく、自動的にかつ均一に電線上に塗布可能である。このような装置が、電線を導管に引き通す電気、データ、通信、および保守関係の人員によって使用されると、電線をより円滑に引っ張ることが可能になり、しかも電線が損傷する恐れを減少させ得る。この機械装置を使用すると、人力要件も軽減され、また洗浄時間、材料費、および電線を損傷する危険性を減少させることによって人件費が削減される。
【0032】
他の利点および特徴も以下の説明および特許請求の範囲から明白になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図面、特に、図1から3を参照すると、全体的に参照符号10で示された自動電線潤滑装置が組み立てられた形態で例示されている。装置10は基本的に、概ね円弧状の、さらに詳細には半円筒形構成の本体部分16、18をそれぞれに形成する第1および第2の構成要素12、14と、各本体10部分16、18の対向する角変位した端部16A、16Bおよび18A、18Bに位置する着脱式の固定手段20とを具備する。この着脱式の固定手段20は、図1から3の組み立てた状態で装置10を提供するために、これらの第1および第2の構成要素12、14の平坦な端面16C、16Dおよび18C、18Dを釈放自在に相互に固定する。図4および7で明確に理解されるように、本体部分16の平坦な端面16C、16Dは共通平面内に位置し、同様に本体部分18の平坦な端面18C、18Dも共通の平面内に位置する。
【0034】
同様に図4から9を参照すると、図4から6に第1の構成要素12が単独で例示され、図7から9に第2の構成要素14が単独で例示されている。装置10の第1の構成要素12は簡易連結部材22を有するが、その連結部材は、第1の構成要素12の本体部分16の外周側部16Cに溶接などによって取り付けられているパイプ取付け具24(サイズが約0.64cm(1/4インチ)など)の中に、ねじ込みなどによって嵌入する。この簡易連結部材22は、ポンプ(図示せず)から延びるソープライン即ち石鹸管路(同様に図示せず)に容易にかつ迅速に装着可能である。第1および第2の各構成要素12、14から成る本体部分16、18は共に、その軸方向に変位した対向端27A、27Bにて開口する環状本体27を形成し、図1〜3で理解されるように、それぞれの本体部分16、18は、第1および第2の構成要素12、14が相互に固定されるとき、環状本体27の中に連続的な円筒形内部貯槽26の片半分を画成する。この連続的な内部貯槽26は、第1の構成要素12の簡易連結部材22およびパイプ取付け具24と流れ連通している。本体部分16、18も、その内壁部分16D、18Dを貫通してそれぞれに画成された分注穴または塗布穴28、30を有するが、これらの穴は、内部貯槽26と、装置10の環状本体27を貫通し、本装置の第1および第2の構成要素12、14が相互に固定されるときに、第1及び第2の構成要素によって形成された中央開口部32との間を流れ連通させる。円筒形構成である環状本体27は、図2で理解されるように、中央開口部32を貫通して環状本体27の対向端27Aと27Bとの間に延びる長手中心軸Aを有する。
【0035】
第1および第2の構成要素12、14には、それらの本体部分16、18上で環状本体27の軸方向に変位した対向端部の一方27Aに、環状本体27の長手中心軸A回りに同心である内部ねじ山付きの円筒形のクランプ用フランジ34のそれぞれの半部分を追加的に構成している。また、着脱式の固定手段20は、本体部分16、18の外周側部16E、18Eと、それぞれの角変位した端部16A、16Bおよび18A、18Bの平坦な端面16C、16Dおよび18C、18Dとに隣接して配置される。着脱式の固定手段10は、対になった軸筒36、38とピン40とを具備する。これらの軸筒36、38は、それぞれのピン40を受け入れるように中空である。本体部分16のそれぞれの端部16A、16Bの軸筒36と、本体部分18のそれぞれの端部18A、18Bの軸筒38とは、相互に対して軸方向にずらされ、環状本体27中の連続内部貯槽26に対して逆方向へ実質的に等距離に延在し、かつ図1および4〜9で理解されるように、それぞれの平坦な端面16C、16Dまたは18C、18Dを越えて一部が張り出す。第1および第2の構成要素12、14が本体部分16、18の平坦な端面16C、18Cおよび16D、18Dで一体に組み付けられるとき、本体部分16、18の端部16A、18Aおよび16B、18Bの対応する端部にある軸筒36、38が対として配置され、かつ対向する側部軸線B、Cに沿って相互と軸方向に位置合わせされるが、これらの側軸は、図1〜3で理解されるように、環状本体27の長手中心軸Aに対して実質的に平行関係で延在し、かつ前記平坦な端面によって形成された共通平面内に実質的に位置する。ピン40は、第1および第2の構成要素12、14の2つの本体部分16、18を一体に保持するために、位置合わせされた中空軸筒36、38の対の中に滑動式に挿通される。第1および第2の構成要素12、14を分解するために、ピン40は、位置合わせされた軸筒36、38のそれぞれの平行な側部軸線B、Cに沿って逆方向に、位置合わせされた軸筒36、38の対から滑動式に引き抜くことができる。
【0036】
さらには、中空構造で僅かに円弧形状の継手ピン42、44が、平坦な端面16C、16Dおよび18C、18Dから外向きに突出して本体部分16、18によって画成された内部貯槽26の両半部分の対向端の間を連通させるように、第1および第2構成要素12、14の本体15部分16、18の角変位した対向端部16A、16Bおよび18A、18Bの平坦な端面16C、16Dおよび18C、18Dに装着されている。中空の継手ピン42、44の回りにO−リング45が配置され、かつ継手ピン42、44が嵌り合うことにより、第1および第2構成要素12、14が相互に固定されるときに、本体部分の平坦な端面16C、16Dおよび18C、18Dが互いにぴったり接触して配置されて両半分の内部貯槽26の間に緊密な封止体を形成する。
【0037】
装置10は、位置合わせされた軸筒36、38の中にピン40を挿入することによって、上で説明した導管(図示せず)のねじ山付き端部回りに内部ねじ山付きの円筒形のクランプ用フランジ34の両半分を装着することで、導管のねじ山付き端部に連結されかつその上で定位置に保持される。ポンプが簡易連結部材22を介して液体石鹸を内部貯槽26の中へ送出するとき、液体石鹸は、内部貯槽26を通って装置10を360度巡回し、かつ分注穴または塗布穴28、30を介して、装置10の中央開口部32に引き通されて導管のねじ山付き端部の中に引き込まれている電線の上に噴出する。
【0038】
第1および第2の構成要素12、14は、それらの本体部分16、18上で環状本体27の軸方向に変位した対向端部の他方27Bに、環状本体27の長手中心軸A回りに同心である外部ねじ山付きの円筒形ニップル46のそれぞれの半部分を追加的に形成している。これらのニップル46は、電線の損傷、または電線を垂直に引っ張っている間に確実に石鹸が「飛散しないで」電線に塗布されるための座ゴムの損傷を防止するために、ニップルに套管などの部材を装着可能にする。
【0039】
装置10の実際の物理的サイズは、1人で電線を引き通している導管の業界サイズに依存し、導管のそれぞれの業界サイズ毎に異なるサイズの装置をもたらす。また、装置10は、様々で適切な通常の材料を使用する様々で適切な通常の方法によって製造可能であり、かつ様々な異なる構成を有することが理解されるべきである。
【0040】
要するに、自動電線潤滑装置10は二重ピン固締装置である。この装置は、すべての業界サイズの導管に固締し、液体石鹸を装置10の中に供給するための手動式または電動式ポンプに連結する小型の雄アダプタまたは簡易連結部22を有し、さらに複数の内部穴28、30(数が4つなど)を備え、そこから液体石鹸が、装置10の中央開口部32に電線が引き通されるときにそれを潤滑するように、電線に均一にかつ完全に分注される。この装置10の利点は、(1)飛散なしの塗布、(2)洗浄の軽減、(3)必要人力の削減、(4)費用の低減、および(5)引っ張られている電線の潤滑作業の着実化である。
【0041】
図10に示すように、潤滑器110の別の実施例では、2つのリブが付いた半円筒形部品116および118が、プラスチックなどの材料から作製された潤滑器を導管125の外部ねじ山付き端部123に取付け(および取外し)を行うように、着脱自在のピン120、121によって相互に固定(又は固定解除)可能である。
【0042】
導管とは、その最も広い意味では、任意の連続または不連続の材料を使用して任意の様態で製造され、かつ1本または複数の撚線が内部に延びる経路または内腔を有する任意の種類のパイプ、管、筒、または他の細長い要素を意味する。導管の1つの特定の実施例は、建物の中で電線を保持するために使用される金属パイプである。撚線とは、その最も広い意味では、任意の材料を使用して任意の様態で製造され、かつ単独でまたは長さが等しい複数の撚線と一緒に導管の内部に延び得る電線、ケーブル、細線、編線、ファイバ、または他の細長い要素を意味する。時として複数本の撚線を指すのに撚線が使われる。
【0043】
本潤滑器は、内部ねじ山112および外部ねじ山114を備える。内部ねじ山および外部ねじ山は、同じピッチおよび同じ直径(後述する套管の装着に関して有用である)であっても、または異なるピッチおよび直径であってもよい。これらのねじ山が、図では共通軸上で位置合わせされているものとして示してあるが、それらは、相互に平行であるかまたは相互にある一定の角度を成す異なる軸上で位置合わせされることも可能である。
【0044】
内部ねじ山112は、潤滑器110を導管125の外部ねじ山付きの端部123と螺合可能にする。外部ねじ山114は、通常の(または特殊の)内部ねじ山117付きの保護套管115を潤滑器110に装着可能にする。この套管は、例えば、撚線が套管に引き通されるときに、それを摩耗および損傷から保護するために滑らかでかつ丸味を付けた前縁103を有する。供給源(図示せず)から汲み上げられた潤滑剤を運搬するホース(図示せず)は、簡易連結継手(図示せず)を使用してパイプ取付け具に取り付く。取付け具および継手は、図1、2、および3で示しかつ説明した種類でよい。供給源から潤滑器の中へ汲み上げられる潤滑剤は、潤滑器110の内表面に開口する分注穴128(図10では1つのみを示す)を介して退出する。
【0045】
図11は、図10の11−11における潤滑器の断面を示す。半円筒形部品116、118が閉じ合わされるとき、それらは軸筒124、125に挿通されたピン120、121によって相互に固定可能である。それぞれの部品116および118の内部にかつ軸筒124、125付近の箇所に、この例では、溝1350、1360の底にシリコンパッキンのリング134、135が位置しており、それらは、潤滑剤をパイプ取付け具から分注穴128(図10)まで運搬する内部貯槽を形成するために、環状管137、139の結合端の緊密封止体を確実なものにする。
【0046】
図12および13に示すように、潤滑器110は、図14に詳細に示す着脱自在の環状ブラシ144を具備するが、それは撚線が潤滑されているときに潤滑剤が潤滑器から漏れるのを防止するために使用される。分注穴から撚線に送出された潤滑剤の量が撚線を潤滑するのに必要な量を超えるとき、その過剰分は、ブラシの剛毛と導管の端部との間にある小室の中に保持される。
【0047】
このブラシは2つの半円形の半ブラシ139、141を具備し、それぞれが潤滑器110のそれぞれの部品116、118の内壁150、152の中に形成されている対応する半円形の溝136、138の内部に保持される金属製の半円形リング146、148(図14)を有する。半円形の溝は潤滑器の軸に沿って相互からずらされている。従って、潤滑器を導管に取り付けるために潤滑器の2つの部品が閉じ合わされるときに、両半部分の剛毛が相互に係合して2つの部品の閉じ合わせが困難にならない。
【0048】
ブラシの半円形リングは、ブラシ146、148(図14)の両半分が、滑動によって脱着交換を可能にするために溝内部で滑動するように構成される。次いで、交換半ブラシ146、148は、半円形の溝150、138を滑動してから定位置にぴったりと嵌められる。潤滑器のより小型の変型(例えば、直径が約3.8cm(1 1/2インチ)よりも小さい)は潤滑剤を漏らす嫌いがないので、それらにはブラシの必要がない。これらのより小型の潤滑器は、ブラシ装着用の溝が存在しないことを除けば、図12および13の潤滑器と同様である。保持用留め具710、720は、潤滑器が二分割されるときにブラシを定位置に保持する。
【0049】
図14および14Aが示すように、ブラシの半分部分はそれぞれ半円形である。剛毛160のそれぞれの一端が半円形の口輪146の中に保持され(口輪148では剛毛を図示しない)、この口輪は潤滑器の溝136に嵌る構成を有する。剛毛のそれぞれの他端はリングの軸に向かって突出する。潤滑剤がブラシを通り抜けて漏れ難くいことを確実にするためにブラシには十分の剛毛が存在する。
【0050】
導管の直径は広範囲に亘るので、様々なサイズの利用可能な潤滑器を有することが有用である。異なるサイズの潤滑器はセットで供給することが可能である。セットには広範囲のサイズの潤滑器(例えば、内径が約1.27cm(1/2インチ)から約15.2cm(6インチ)に亘る12の異なる潤滑器)が含まれ得るか、または潤滑器は、特定のサイズ範囲の導管に関するより小型のセット、例えば、小径導管用のセットおよび大径導管用のセットとして構成され得る。セットの潤滑器は、図15、15A、および16に示すような潤滑器161〜168、910〜913の各セット174、176、178用の保持箱170、171、172など、保持箱の中に保持可能である。この保持箱は、セットを運搬しかつ保管するための簡便な方法を提供し、潤滑器に付着する潤滑剤が乾燥したりまたは保持箱から漏出したりするのを防止する。
【0051】
それぞれの保持箱170、171、172は、本体173、蓋175、本体と蓋との間の封止体177を具備する密閉可能な容器である。潤滑器161〜168、910〜913は、小型178(直径約1.27;1.91;2.54;3.18;3.81;および5.10cm(1/2;3/4;1;1 1/4;1 1/2;および2インチ)を備える潤滑器)セット、中型176(直径約6.35;7.62;8.90;および10.16cm(2 1/2;3;3 1/2;および4インチ)を備える潤滑器)セット、および大型174(直径約12.70および15.24cm(5および6インチ)を備える潤滑器)セットで販売され、各セットが少なくとも2つの潤滑器を含む。それぞれの潤滑器161〜168、910〜913は、別々の受け座181〜188、920〜923の中に着座する。保持箱の蓋が本体上に閉じられかつ掛止されるとき、封止体が保持箱170、171、172を気密にする。
【0052】
各セットは最大で6つの潤滑器を含む。セットは、適切にサイズ決めされた受け座を有する保持箱を備え、それぞれの受け座はセット内部の潤滑器の1つ毎に構成されており、1セット中のすべての潤滑器は、別のセット中のすべての潤滑器とは異なるサイズである。
【0053】
同様に、それぞれの潤滑器の受け座は、潤滑器をその定位置に保持するために潤滑器の少なくとも一部と一致するように輪郭が形成されている。
【0054】
セット(およびすべてのセット)の潤滑器はすべて、ポンプから延びるホースの1つのサイズに対応するように、共通サイズおよび種類のパイプ取付け具ならびに簡易連結継手を共有する。
【0055】
図17に示すように、ポンプ280が連結ホース(図17に図示しないが、図18の326)を介して潤滑剤を供給源から潤滑器まで移送する。オーガ管(図17に図示しないが、図18の309)の内部で回転するオーガ290を使用して、ポンプは供給源が収容されている標準的なバケット(図17に図示しないが、図18の328)から粘性の潤滑剤をこの潤滑剤が収容されているポンプ内部貯槽(図17では隠れている)に強制送出する。潤滑剤は、粘性または非粘性の物質、例えば、石鹸、洗剤、油、またはグリスでよい。この組立体は、歯車ポンプを形成する2つの噛合い歯車も内蔵する。歯車ポンプは、潤滑剤を貯槽138からホース(図17に図示しないが、図18の326)の中へ強制送出し、次いでこのホースが潤滑剤を潤滑器まで運搬する。ポンプのオーガ290および噛合い歯車(図17では隠れている)は、市販のモータ(図示しないが、米国ミズーリ州カンサスシティー市のブラックアンドデッカー社(Black&Decker)から入手可能)によって駆動される。ポンプ操作者は、足踏みスイッチ(図17に図示しないが、図17A、17B、および26の332;これも米国コネチカット州ウッドストック市のラインマスターコーポレーション社(Linemaster Coporation)から入手可能)を使用してモータのスイッチを入れたりまたは切ったりする。モータの回転速度は3段変速機によって制御されるが、それによって撚線に分注される潤滑剤の量を制御する。モータは蓄電池(図17に図示しないが、図25の400)によって電力供給を受ける。
【0056】
この蓄電池は、市販の可搬式の非常用筐体(例えば、米国ニュージャージー州パーシッパニー市のチームプロダクツインターナショナル社(Team Products International)から入手可能)の中に収容された標準的な12ボルト蓄電池でよい。電気コネクタ286(図20A、20B、および25)が蓄電池の筐体に追加可能であり、蓄電池400(図25)とポンプ280との間のケーブル284(図20A、20B、および25)の簡易式で信頼性のある反復接続または切断を可能にする。
【0057】
図18に示すように、ポンプ280の貯槽291の内部には、オーガ心棒の上端が歯車ポンプの噛合い歯車294、296と一緒に収容されており、潤滑剤がオーガによって貯槽の中へ引き込まれると、潤滑剤は、噛合い歯車によって掬い上げられて供給管路326へ汲み出されるようになっている。図19に示すように、貯槽の上方では、噛合い歯車の一方が駆動歯車302によって駆動され、次にはそれが中間歯車303によって駆動され、次いで、それがオーガ心棒306の上端に連結されているオーガ歯車298によって駆動される。オーガ心棒の上端はオーガ歯車にキー固定308される。オーガ心棒のキー固定された上端(オーガ歯車上方の箇所)はモータによって駆動される。オーガ歯車、中間歯車、および駆動歯車によってもたらされる歯車比は、貯槽から供給管路までの潤滑剤の流れに対して、潤滑剤を供給過剰気味に貯槽426の中へ強制送出するように配置されている。
【0058】
オーガ290は、その長さに沿って配置されたねじ部分310と、そのねじを包囲してオーガの先端311からオーガの頂部312までの通路を画成する管状筒309とを有する。動作時には、オーガがモータによって駆動されると、潤滑剤が供給源のバケットから貯槽426の中へ汲み上げられる。噛合い歯車294、296は、潤滑器(例えば、図10に示した潤滑器)によって撚線に分注されるべく、潤滑剤を貯槽426から押し出して連結ホース326の中へ押し入れる。
【0059】
貯槽を内蔵するブロック312は、供給源バケットの代用蓋の役割を果たすフランジ314にボルト留めされる。フランジ314は、円形であり、バケットの開口部と嵌め合うようにサイズ決めされかつ構成される周囲壁315を有し、さらにその上に着座するポンプ280を支持する。バケットの内部では、オーガ管の直径よりも僅かに直径が大きな穴318を有する従動板316が、潤滑剤の汲み出し時にオーガ管を自由に滑降し得る。従動板316は、鋼鉄製の中心円板320と、従動板が降下するときにバケットの内壁324を拭う柔軟な外輪322とを有する。潤滑剤がバケットから汲み出されると、従動板は重力によって降下して、内壁をきれいに拭いかつ潤滑剤の残存供給分をバケットの底に円筒形の塊に押し固めた状態にしておく。このような配置によって、オーガは確実に潤滑剤がすべて取り出されるまで潤滑剤を効果的に汲み出すことができる。
【0060】
オーガは鋼鉄または高分子材料から作製可能である。
【0061】
図20Aおよび20Bは、蓄電池400、ポンプ280、および約3.8リットル(1ガロン)(図20A)または約19.0リットル(5ガロン)(図20B)の供給源バケット328、329を保持する2つの容器700、701の側面を示す。蓄電池400は電気コネクタ286に装着されたケーブル284によってポンプ280に接続される。ポンプ280は、次にホース326によって潤滑器(図示せず)に連結される。図20Aの約3.8リットル(1ガロン)(図20A)の供給源バケット328では、ポンプ280および供給源バケット328が蓄電池400と同じ容器700の内部に位置する。取っ手750は容器700を手持ち可能にする。図20Bの約19.0リットル(5ガロン)(図20B)の供給源バケット329では、蓄電池400がポンプ280および供給源バケット329とは別個の隔室760の中に位置する。この容器701は、脚輪761で搬送される。両方とも組立体が搬送されるときに潤滑剤の漏出を防止する金属製の容器700、701である。
【0062】
幾つかの状況では、図24および24Aに例示するように、導管がマンホール504の壁502の中に保持され、導管の端部506が壁508の内側付近に保持されているときなどでは、導管の近位端にねじ山が存在しない。このような状況では、潤滑器110が螺合可能なねじ山付き端部を設けるために、アダプタ516を導管の近位端に取り付けることができる。アダプタ516は、嵌め合わせると管状本体516を形成する2つの半円筒形半部分530、550を有する。アダプタの円滑端518は導管の中に滑入し、他方でねじ山付きの端部520は潤滑器110を受ける。アダプタの外壁522は、アダプタが僅かに異なる内壁直径の導管の中に容易に滑入するように先細にされており、導管の中に食い込んで、引っ張り作業時にそれを確実に保持する。一旦潤滑が完了すると、潤滑器110は、継手の半円筒形の半部分530、550を外すことによってアダプタ510から取り外される。同様に、アダプタ510は導管580から滑り出て、その後でアダプタの半円筒形半部分530、550は相互から分離される。
【0063】
図22に示すように、マンホール用アダプタの半部分を形成する部品530は、潤滑器(例えば、図10に示した潤滑器)の一端の内部ねじ山を受けるようにサイズ決めされている外部ねじ山534を具備する半円筒形の上方部分532と、先細の壁538を具備する半円筒形の下方部分536とを有する。下方部分536の直径は、それがマンホールの壁内部に取り付けられている導管(図示せず)との嵌合を可能にする。この先細部分は、アダプタの中心軸(図示せず)に対応する線である想像線544に対する、部分540の外表面のずれ540によって表される。部品530の縁部の中の2つの切欠き546、548が、完全なアダプタ(図21に示す)を形成しかつ中心軸に沿ったアダプタの2つの受容半部分の相対的な動きを防止するために、アダプタの他方の半部分(図23に示す)の2つのつめ566、568と嵌り合うように構成されている。
【0064】
同様に、図23に示すように、マンホール用アダプタの他方の半部分を形成する部品550も半円筒形の上方部分552を有し、かつ図22に示した部品530と本質的に同じ構成を有するが、但し、それは、完全なアダプタ(図21に示す)を形成しかつ中心軸に沿ったアダプタの2つの受容半部分の相対的な動きを防止するために、アダプタの他方の半部分(図22に示す)の2つの切欠き546、548と嵌り合うように構成された2つのつめ566、568を有する点が異なる。
【0065】
図25は、電気コネクタ286および電気接続ケーブル284を有する標準的な12ボルトの非常用蓄電池400を示す。この例示では、蓄電池がポンプのモータに装着されていない。
【0066】
図26に示すように、使用に際して、蓄電池400は、ポンプ280の内部のモータにケーブルによって電気的に接続される。潤滑器110が導管402に装着され、この導管に撚線404が引き通されている。ホース326が潤滑器110をポンプ280に連結し、このポンプは潤滑剤が充填された標準的な供給源バケット328の上に着座する。足踏みスイッチ332が、蓄電池400とモータとの接続を制御し、他方で3段変速機が、潤滑剤が撚線404上に汲み出される速度を調整するためにモータの回転速度を制御する。
【0067】
図26に示すように、使用に際して、電気技師は、潤滑剤のバケットおよびポンプを収容する容器800を仕事現場に持ち込み、かつ仕事で使用すべき潤滑器を保持する保持箱810も持ち込む。供給源412からの絶縁された電線404が、導管の近位端416において、供給巻枠414から鋼鉄製の導管418を介して他端420まで引っ張られるものと想定されたい。電気技師は、導管に見合った適正なサイズの潤滑器を保持箱から取り出し、それを外部ねじ山にねじ込むことによって、またはピンの一方を抜き取り、潤滑器を開き、次いで導管の端部に被せるようにそれを閉じてピンを挿入することによって、それを導管の一端に取り付ける。標準的な套管422が先に潤滑器の他端に取り付けられていなければ、電気技師はそれをねじ山にねじ込む。
【0068】
剛性の電線が、導管の他端から導管を通って近位端まで強制的に挿通される。次いで、引っ張られるべき電線の自由端が剛性の電線の自由端に装着される。電気技師は、まだ完了していなければ、足踏みスイッチをポンプのモータに取り付け、それを便利な位置に配置する。電気技師は、まだ完了していなければ、ポンプを潤滑剤のバケットの上に搭載する。電気技師は、供給管路の一端をポンプの吐出口に連結し、供給管路の他端をポンプの簡易解除式継手に連結する。電気技師は電気ケーブルを使用して蓄電池のコネクタをポンプに接続する。
【0069】
導管の遠位端の剛性電線が引っ張られ、絶縁された電線を導管の近位端の中に引き込み始める。電気技師が足踏みスイッチを踏んで潤滑剤を供給源の中へ押し入れ、潤滑器中の貯槽の中に押し入れ、次いで貯槽からブラシと導管の近位端との間に位置する小室の中へ押し入れる。潤滑剤が流れている間に、電気技師は、剛性電線が導管の遠位端から引っ張られると、巻枠から絶縁された供給分の電線を引き出す。絶縁電線が導管を通過すると、電線の外壁が、ブラシに隣接する小室中に蓄積されている供給源からの潤滑剤によって自動的に塗布される。電気技師は同時に、巻枠から電線を送出し、かつモータの速度を制御するために足踏みスイッチを使用して潤滑剤の汲上げ速度を制御することができる。汲上げ速度が高すぎれば、潤滑剤がブラシを通過し始めるように強制することができる。その場合、電気技師は、モータの速度を落とすことができる。汲上げ速度が低くすぎれば、電線は導管を通り難くなり、電気技師は汲上げ速度を高めることができる。
【0070】
歯車ポンプは、非常に高いポンプ動作圧が可能である(例えば、約17、240kPa(2500psi)もの高圧)。潤滑剤をバケットから汲み出すオーガ方式と併用すると、それは極端に粘性の潤滑剤をうまくバケットから汲み上げてそれを潤滑器の中へ送り出すことが可能である。
【0071】
絶縁電線の端部が、導管を引き通されて導管の遠位端から必要な長さまで繰り出すと、電気技師はポンプを停止することができる。次の段階は、套管を潤滑器の端部からねじ戻すことである。次いで、ピンの一方を抜いて2つの半部分を開くことによって潤滑器が導管の端部から脱着される。一旦潤滑器が脱着されたら、絶縁電線が内部を通って延びかつ導管の端部に隣接して保持されていた套管が、電線引っ張り作業を終了するために導管の端部にねじ込まれる。
【0072】
次いで、潤滑器を洗浄しないで保持箱の中に戻すことが可能であり、バケットおよび蓄電池を備えるポンプも洗浄しないで運搬容器に戻すことが可能である。
【0073】
使用によって、半ブラシが消耗または損傷を受けて交換する必要があり得る。交換は、金属製のリング口輪をそれが保持されている溝に沿ってそれが自由になるまで滑動させ、次いで、交換ブラシを使用してこの手順を逆に行うことによって簡単に行われる。
【0074】
以上に特定の実施態様を説明してきたが、他の実施態様も添付の特許請求の範囲内にある。
【0075】
例えば、潤滑器は導管に取り付け可能であり、套管は、ねじ山以外の機構を使用して潤滑器に取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】組み立てられた状態で示した自動電線潤滑装置を示す上面図である。
【図2】図1の線2−2に沿って見た本装置を示す側面図である。
【図3】図1の線3−3に沿って見た本装置を示す別の側面図である。
【図4】本装置の第1の構成要素を示す上面図であり、本装置のほぼ片半分を示す。
【図5】図4の線5−5に沿って見た本装置の第1の構成要素を示す側面図である。
【図6】図4の線5−5に沿って見た本装置の第1の構成要素を示す別の側面図である。
【図7】本装置の第2の構成要素を示す上面図であり、本装置のほぼ片半分を示す。
【図8】図7の線8−8に沿って見た本装置の第2の構成要素を示す側面図である。
【図9】図7の線9−9に沿って見た本装置の第2の構成要素を示す別の側面図である。
【図10】別の潤滑器を示す3次元図である。
【図11】図10の線11−11に沿って示す潤滑器の断面図である。
【図12】図10の線12−12に沿って示す潤滑器の断面図である。
【図13】図10の線13−13に沿って示す潤滑器の断面図である。
【図14】分解されたブラシを示す上面図である。
【図14A】ブラシを示す側面図である。
【図15】最大径の潤滑器用の保持箱を示す3次元図である。
【図15A】中間径の潤滑器用の保持箱を示す3次元図である。
【図16】最小径の潤滑器用の保持箱を示す3次元図である。
【図17】ポンプを示す3次元図である。
【図17A】足踏みスイッチを示す側面図である。
【図17B】足踏みスイッチを示す上面図である。
【図18】図17の線18−18に沿って示すポンプの側部断面図である。
【図19】図17の線19−19に沿って示すポンプの断面図である。
【図20】図17の線20−20に沿って示すポンプの断面図である。
【図20A】容器を示す側面図である。
【図20B】容器を示す側面図である。
【図21】アダプタを示す3次元図である。
【図22】アダプタの2つの部品を示す3次元図である。
【図23】アダプタの2つの部品を示す3次元図である。
【図24】使用中のアダプタを示す模式図である。
【図24A】使用中のアダプタを示す模式図である。
【図25】蓄電池およびその電気コネクタを示す側面図である。
【図26】使用中の潤滑器を示す3次元図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撚線が導管に引き通されている間に潤滑剤を前記撚線に分注するための潤滑器を含み、前記潤滑器が、プラスチック材料から作製され、前記潤滑剤を圧力下で吸入口から前記潤滑剤が分注される吐出口まで運搬する内蔵経路を有する装置。
【請求項2】
前記プラスチックはガラス繊維入りポリプロピレンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記潤滑器は2つのプラスチック部品を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記潤滑器の外表面に形成されたリブも含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
撚線が導管に引き通されている間に潤滑剤を前記撚線に分注するための潤滑器を含み、前記潤滑器が、(a)前記潤滑器の一端を前記導管の端部に結合し、かつ(b)前記潤滑器の他端を保護套管に結合することを可能にするように構成されている装置。
【請求項6】
前記潤滑器は前記一端に前記導管の前記端部に結合可能にするためのねじ山を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ねじ山は前記導管の外部ねじ山と嵌合する内部ねじ山を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記潤滑器は前記他端に前記保護套管に結合可能にするためのねじ山を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記ねじ山は前記套管の内部ねじ山と嵌合する外部ねじ山を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記潤滑器は前記他端に前記套管の内部ねじ山と嵌合する外部ねじ山を含み、前記潤滑器の一端上の前記内部ねじ山と前記潤滑器の他端上の前記外部ねじ山とは同じピッチでありかつ直径が一致する、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記潤滑器はその組立体を前記撚線回りに装着するために分離可能である2つの部品を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
撚線を引き通すべき導管の端部に潤滑器を一時的に装着するステップと、
前記撚線を套管、前記潤滑器、および前記導管に引き通すステップと、
前記套管を前記撚線から取り外すことなく前記撚線から前記潤滑器を脱着しかつそれを取り外すステップと、
前記套管を前記導管の前記端部に装着するステップとを含む方法。
【請求項13】
前記撚線を引っ張るステップの前に、前記套管を前記潤滑器に装着するステップも含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記導管の前記端部に前記套管を装着するステップの前に、前記套管を前記潤滑器から脱着するステップも含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記潤滑器はねじ込みまたは固締によって前記導管の前記ねじ山付き端部に装着される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記套管はねじ込みによって前記導管の前記端部に装着される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記潤滑器および前記套管は前記導管の前記端部のねじ山を使用して前記導管の前記端部に装着される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記套管は、前記導管に到達するために必ずしも前記撚線の自由端の上をかつ前記撚線の長さに沿って前記套管を送らなくても、前記導管の前記端部に装着される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を前記撚線に塗布するための潤滑器と、
前記潤滑剤が前記潤滑器から漏出するのを防止するためのブラシと含み、
前記ブラシが摩耗されると、前記ブラシは交換のために前記潤滑器から取外し可能である装置。
【請求項20】
前記ブラシはリングの中に配置された剛毛を含み、前記剛毛のそれぞれの端部はリング形状の口輪の中に保持されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記潤滑器は前記リング形状の口輪を挿入しかつそれを交換取出しできる受け口を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記潤滑器は前記口輪と嵌合する溝を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ブラシは前記潤滑器の一部に対して前記ブラシの一部を滑導させることによって取外し可能である、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記ブラシは、前記潤滑器が前記導管に装着されるとき、前記ブラシと前記導管との間に小室を画成し、前記潤滑剤は前記潤滑剤を前記小室の中へ分注するように構成された吐出口を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項25】
撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を前記撚線に塗布するための潤滑器を含み、前記潤滑器が、(a)前記潤滑器を前記撚線の回りに装着するために接合される2つの分離可能な部品と、(b)潤滑剤の供給分を収容し、前記2つの分離可能な部品の間で分割される貯槽と、(c)前記2つの部品が接合されるときに前記貯槽を封止し、前記部品の少なくとも一方の中に装着されたシリコンパッキンを含む封止体とを有する装置。
【請求項26】
前記貯槽は前記2つの分離可能な部品のそれぞれの壁の中に形成されるリング形状管を含み、前記管は前記部品が接合されていないときには分割されている、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
潤滑器のセットであって、前記潤滑器のそれぞれは撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を前記撚線に塗布し、異なるサイズの導管で使用するようにそれぞれに構成されている前記潤滑器のセットと、
前記セットの前記潤滑器の1つを保持するようにそれぞれにサイズ決めされる受け座を有する保持箱とを含む装置。
【請求項28】
前記セットの中には6つよりも少ない潤滑器が存在する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記セットは前記潤滑器の少なくとも2つのサブセットを含み、前記サブセットの一方の前記潤滑器の1つを保持するようにそれぞれにサイズ決めされる受け座を有する第2の保持箱を備え、前記サブセットの一方の前記潤滑器はすべて、前記サブセットの他方の前記潤滑器のいずれよりも大きい、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記保持箱は前記潤滑剤が乾燥するのを防止するために封止される気密容器を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
撚線が導管に引き通されるときに潤滑剤を前記撚線に塗布するために使用される潤滑器のための容器を含み、前記容器が、
前記容器の移動時に前記潤滑器を定位置に保持するために前記潤滑器の少なくとも一部の外形に一致するように構成される受け座と、
前記潤滑剤が前記容器の外側に漏出するのを防止するための封止体とを含む装置。
【請求項32】
前記容器は本体および蓋を備え、前記封止体は前記本体と前記蓋との間にある、請求項21に記載の装置。
【請求項33】
導管の端部がマンホールの壁の中に保持されているときに潤滑器の継手を受けることを可能にするために、前記導管の前記端部に適合させるためのアダプタを含み、前記アダプタが、前記導管の前記端部の中に挿入するための一端と、前記潤滑器の前記継手を受けるための継手を有する他端とを有する環状本体を含む装置。
【請求項34】
前記アダプタの前記継手はねじ切りを含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記環状本体の前記一端は先細にされている、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記アダプタは2つの部品を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項37】
前記2つの部品は円筒の半部分を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項38】
前記アダプタはプラスチック製である、請求項33に記載の装置。
【請求項39】
潤滑剤を供給源から、導管に引き通されている撚線に前記潤滑剤を分注すべき潤滑器に強制送出するためのポンプを含み、前記ポンプが蓄電池式である装置。
【請求項40】
前記ポンプは蓄電池式モータによって駆動される、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
粘性の潤滑剤を供給源から、導管に引き通されている撚線に前記潤滑剤を分注すべき潤滑器に強制送出するためのポンプを含み、前記ポンプが歯車ポンプを含む装置。
【請求項42】
前記歯車ポンプを駆動する蓄電池式モータも含み、前記モータは前記撚線に塗布される潤滑剤の量を変更するために異なる伝動速度を有する、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記モータを制御するための足踏みペダルも含む、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記歯車ポンプは、前記潤滑剤を貯槽から供給ホース用の吐出口まで強制送出するための1対の複数の歯車を含む、請求項41に記載の装置。
【請求項45】
潤滑剤を前記供給源から前記貯槽に送出する機構も含む、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記機構はオーガを含む、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記オーガは前記歯車ポンプに噛み合う、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記オーガは、前記歯車ポンプによって汲み上げられている潤滑剤の量に対して、前記貯槽を供給過剰にするように駆動される、請求項41に記載の装置。
【請求項49】
供給源から前記歯車ポンプに送出するためにオーガも含む、請求項41に記載の装置。
【請求項50】
潤滑剤を標準的なサイズの潤滑剤バケットから、導管に引き通されている撚線に前記潤滑剤を分注すべき潤滑器に強制送出するためのポンプを含み、前記ポンプが前記バケットの開口部と嵌合するように構成され、かつ前記バケットの上方に前記ポンプを支持する突縁を含む装置。
【請求項51】
潤滑剤を前記バケットから引き込むオーガも含み、前記オーガはモータによって駆動され、前記モータは前記突縁の上方に搭載され、前記オーガは前記突縁の下方に突出する、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記装置は従動板を含み、前記従動板は、前記オーガを受け入れるようにかつ前記従動板が前記オーガに沿って上下に滑動できるようにサイズ決めされた穴を有し、前記従動板は、前記バケットの内側壁にぴったり合うように構成されかつ前記オーガ回りの吸引パイプを上下に滑動させるように構成された外縁を有する、請求項50に記載の装置。
【請求項53】
粘性潤滑剤を供給源から、導管に押し通されている撚線に前記潤滑剤を分注すべき潤滑器に強制送出するための蓄電池式ポンプと、
前記ポンプに電力供給するための可搬式の非常用蓄電池とを含み、
前記可搬式の非常用蓄電池が、前記蓄電池と前記ポンプとの間のケーブルの接続および切断を可能にするために前記蓄電池の筐体に取り付けられた電気コネクタを含む装置。
【請求項54】
電力を前記蓄電池から前記ポンプに送出するのを制御するための足踏みスイッチも含む、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
潤滑器を導管の端部に装着するステップと、
套管を前記潤滑器の他端に装着するステップと、
潤滑剤を供給源から前記潤滑器に汲み上げるステップと、
撚線を前記潤滑器および前記導管に引き通すステップとを含み、前記引っ張るステップの間に、前記潤滑剤が前記潤滑器から前記撚線に分注される方法。
【請求項56】
前記套管を前記潤滑器から取り外すステップと、前記潤滑器を導管から取り外すステップと、前記套管を前記導管に装着するステップも含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
オーガを使用して潤滑剤を供給源から貯槽に引き込むステップと、
前記潤滑剤を2つの噛合い歯車の間の前記貯槽から供給管路の中へ強制送出するステップと、
撚線が導管に引き通されるときに前記潤滑剤を前記撚線に塗布するために、前記供給管路を介して前記潤滑剤を潤滑器に送出するステップとを含む方法。
【請求項58】
前記2つの噛合い歯車および前記オーガを単一のモータによって駆動するステップも含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記オーガおよび前記2つの噛合い歯車は、前記潤滑剤が前記貯槽から前記供給管路の中へ強制送出される速度に対して、前記オーガに前記貯槽を供給過剰させるように相対的な速度で駆動される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
撚線を前記撚線の供給源から導管に引き通すステップと、
前記撚線が前記導管に進入するときに、前記撚線を供給端で自動的に潤滑するステップと、
たった1人で、前記撚線を前記撚線供給源から前記導管まで送出するのを制御し、かつ前記潤滑剤を潤滑剤供給源から送出する速度を制御することを可能にするステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図14A】
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【図15】
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【図15A】
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【図16】
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【図17】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図24A】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2007−502206(P2007−502206A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523405(P2006−523405)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026342
【国際公開番号】WO2005/017404
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506051533)ダブリューエルディー・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】