説明

撮像システム

【課題】様々な設置環境においても、設置環境の影響を受けることなく、撮像範囲の鮮明な画像を取得可能な撮像システムを提供することを課題とする。
【解決手段】監視カメラ5のカメラ本体51の正面中央にはレンズ61が配置される。レンズ61の周囲には照明装置62が配置される。照明装置62は、複数のLED63、63・・・から構成され、それらLED63、63・・・は3つの領域A1、A2、A3に分割されている。監視カメラ5の撮像範囲の右側に壁などの物体が近接している場合には、右側の領域A2のLED63、63・・・を消灯させ、左側の領域A1および正面側の領域A3のLED63、63・・・を点灯させる。これにより、撮像範囲の右側の領域において画像が白飛びする現象を回避できるとともに、撮像範囲の左側および正面側の領域において画像が黒つぶれすることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間においても被写体を撮像可能とする撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティに対する意識の高まりから、一般家屋やマンションにおいても監視カメラの設置が行われている。たとえば、ガレージ、駐車場を撮像範囲とする監視カメラを設置することで車の盗難を防止することができる。その他にも、家屋の裏口付近やマンションの階段、ロビーなどに監視カメラを設置し、不審者の侵入防止などに役立っている。
【0003】
監視カメラは、照明装置を備えるものがある。照明装置により撮像範囲を照らすことで、夜間においても監視エリアを撮像可能としている。多くの場合は、センサにより移動物体を検知すると、照明装置が自動で点灯するようになっている。これにより、夜間における不審者の侵入防止も可能となっている。
【0004】
特許文献1は照明部を備えた監視カメラに関する技術を開示している。この文献の監視カメラは、カメラの撮像範囲およびその焦点と、照明部における照明範囲とを連動させるようにしている。このようにして、撮像範囲に充分な光量を供給できるように考えられている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−94080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、ガレージを撮像範囲とする監視カメラは、家屋の壁に取り付けられることが多い。このとき、監視カメラの撮像範囲のうち、左右どちらかの撮像範囲が壁に近くなる場合がある。このような設置環境において、夜間の画像を撮像すると、照明装置による照明が壁により反射し、撮像画像に反射光の影響が強く出ることになる。つまり、撮像範囲のうち、壁に近い側の領域は、壁からの反射光で輝度が非常に高くなる。このような画像に対してホワイトバランス処理を施すと、壁からの反射光の影響を受けてない領域の輝度が低下し、映像が黒つぶれする。つまり、壁からの反射光の影響を受ける領域は輝度が非常に高く、白飛びしたような画像になり、それ以外の領域は黒つぶれするため、被写体の観察を充分に行えないという問題がある。
【0007】
反射光の影響を避けるために、撮像範囲から壁が外れるように監視カメラの角度を調整するという方法も考えられるが、壁の近くが監視エリアから外れることになる。たとえば、戸や窓を監視している場合などには、監視エリアである戸や窓を撮像範囲から外すわけにはいかないため、監視カメラの角度を調整するという方法はとれない。
【0008】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、様々な設置環境においても、設置環境の影響を受けることなく、撮像範囲の鮮明な画像を取得可能な撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載の撮像システムは、レンズを介して入射した被写体光を結像する撮像素子と、被写体光入射領域の周囲に配置される照明装置と、を備え、前記照明装置は、前記被写体光入射領域の周囲における第1の方向に配置される第1の照明要素と、前記被写体光入射領域の周囲における前記第1の方向とは対向する第2の方向に配置される第2の照明要素と、を含み、前記第1および前記第2の照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の撮像システムにおいて、さらに、前記第1の照明要素と前記第2の照明要素との間に配置される第3の照明要素、を備え、前記第1、第2および第3の照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の撮像システムにおいて、前記第1の照明要素が、複数の第1の部分照明要素、を含み、各第1の部分照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の撮像システムにおいて、前記第2の照明要素が、複数の第2の部分照明要素、を含み、各第2の部分照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の撮像システムにおいて、前記第3の照明要素が、複数の第3の部分照明要素、を含み、各第3の部分照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1に記載の撮像システムにおいて、前記第1および第2の照明要素は、指向性を持つことを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項2に記載の撮像システムにおいて、前記第1、第2および第3の照明要素は、指向性を持つことを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の撮像システムにおいて、さらに、前記撮像素子が出力した画像データを解析する制御装置、を備え、前記制御装置は、画像データの解析結果に基づいて点灯させる照明要素を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の撮像システムは、被写体光入射領域の周囲における第1の方向に配置される第1の照明要素と、被写体光入射領域の周囲における第1の方向とは対向する第2の方向に配置される第2の照明要素と、を含み、第1および第2の照明要素が個別に点灯および消灯可能である。
【0018】
これにより、撮像範囲に対する照明光の照射量を、領域に応じて調整することが可能である。たとえば、撮像カメラの右側に壁などの物体が近接している場合には、右側に配置された照明要素を消灯し、左側に配置された照明要素を点灯させる。これにより、撮像範囲において右側の領域の画像が白飛びするという現象を回避できるとともに、撮像範囲において左側の領域の画像が黒つぶれするという現象を回避できる。
【0019】
また、本発明の撮像システムでは、第1の照明要素と第2の照明要素との間に、個別に点灯および消灯可能な第3の照明要素が配置される。これにより、撮像範囲における照明光の照射量を、領域に応じて調整することができる。
【0020】
また、第1、第2、第3の照明要素は、それぞれ、複数の第1の部分照明要素、複数の第2の部分照明要素、複数の第3の部分照明要素、を備え、それら部分照明要素が個別に点灯および消灯可能である。これにより、撮像範囲における照明光の照射量を領域に応じて、さらに微調整可能である。
【0021】
また、第1、第2および第3の照明要素は、指向性を持つので、撮像範囲における照明光の照射量を領域に応じて、さらに適切に調整可能である。
【0022】
また、本発明の撮像システムは、画像データの解析結果に基づいて点灯させる照明要素を決定する。これにより、設置環境の影響を受けることなく、撮像システムにより得られる撮像画像が自動制御により鮮明となる。また、手動設定による照明要素の設定が誤っている場合にも、鮮明な撮像画像を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
{第1の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る監視システムが設置された家屋1とその周辺の様子を示している。家屋1の横には、ガレージ2が設けられ、自動車3が駐車している。そして、ガレージ2の奥側で、家屋1の壁面に監視カメラ5が設置されている。
【0024】
監視カメラ5は、監視カメラ5の撮像範囲が、ガレージ2の奥側から、入り口側(道路側)に向けて広がるように設置されている。これにより、ガレージ2内に侵入した人物や、家屋1に近づいた人物を撮像することが可能であり、ガレージ2内に不審人物が侵入することや、家屋1に不審人物が近づくことを防止することができる。本実施の形態においては、監視カメラ5がガレージ2付近を監視する場合を例に説明するが、この他にも、戸や窓の周囲の領域を撮像可能となるように設置し、それらの領域を監視するために用いられる。
【0025】
図2は、監視カメラ5の正面図である。監視カメラ5は、略円筒形状のカメラ本体51を備えている。カメラ本体51の上部および左右側部は、本体カバー52に覆われている。
【0026】
カメラ本体51の正面中央には、レンズ61が配置されている。そして、レンズ61の周囲を360°囲むようにして、照明装置62が設けられている。照明装置62は、複数のLED63、63・・・を備えている。本実施の形態では、LED63として、白色LEDを用いている。この複数のLED63、63・・・を点灯させることで、監視カメラ5の撮像範囲を照射し、夜間でも、画像を撮像可能としている。
【0027】
図3は、監視システムのブロック図である。この監視システムは、図1、図2で示した監視カメラ5と、監視カメラ5に接続されたコントローラ7とを備えて構成される。監視カメラ5は、図1にも示したように、家屋1の外壁に取り付けられている。監視カメラ5は、ケーブル6を介してコントローラ7に接続されている。コントローラ7は、家屋1内に設置されている。
【0028】
監視カメラ5は、図2においても示したように、レンズ61、照明装置62を備える。また、監視カメラ5は、レンズ61を介して入射した被写体光を結像し、被写体光を電気信号に変換するCCD65を備えている。撮像素子としては、CCDのほかに、CMOSを利用してもよい。また、監視カメラ5は、CCD65から出力された画像データに画像処理を施す画像処理部66、監視カメラ5の全体制御を行う制御部67を備えている。
【0029】
また、監視カメラ5は、図示せぬセンサを備えており、夜間においては、センサが移動物体を検知したときに、照明装置32が点灯されるよう制御される。後で詳しく説明するが、本実施の形態においては、センサが移動物体を検知したとき、照明装置32が備える複数のLED63、63・・・のうち、設定されている領域に含まれるLED63、63・・・が点灯する。
【0030】
コントローラ7は、コントローラ7の全体制御を行う制御部71を備える。また、コントローラ7は、記録部72、操作部73、表示部74を備えている。記録部72は、監視カメラ5から転送された撮像画像を記録する。記録部72は、撮像画像を記録するハードディスクを備えている。操作部73は、監視システムに対する各種の設定操作や記録画像の再生操作などを行うための操作ボタンやカーソルなどで構成される。表示部74は、記録画像の表示や、監視システムの各種の設定内容などを表示する。
【0031】
次に、照明装置62の構成および制御方法について詳細に説明する。本実施の形態に係る照明装置62は、上述したように複数のLED63、63・・・を備えている。そして、照明装置62は、複数のLED63、63・・・を領域ごとに個別に点灯、消灯することが可能となっている。
【0032】
具体的には、図4に示すように、照明装置62は、3つの領域A1、A2、A3に分割されている。領域A1には、監視カメラ5から見て主に左側の撮像範囲に照明光を照射するLED63、63・・・が配置されている。領域A1には、図に示すように、6個のLED63、63・・・が配置されている。領域A2には、監視カメラ5から見て主に右側の撮像範囲に照明光を照射するLED63、63・・・が配置されている。領域A2には、図に示すように、6個のLED63、63・・・が配置されている。領域A3には、監視カメラ5から見て主に正面側の撮像範囲に照明光を照射するLED63、63・・・が配置されている。領域A3には、図に示すように、上部側に6個と下部側に6個の合計12個のLED63、63・・・が配置されている。
【0033】
そして、照明装置62は、3つの領域A1、A2、A3について、領域ごとにLED63を点灯、消灯することが可能となっている。たとえば、領域A1のLED63、63・・・を消灯し、領域A2、A3のLED63、63・・・を点灯させることで、監視カメラ5から見て主に右側および正面側の撮像範囲に照明光を照射することが可能である。逆に、領域A2のLED63、63・・・を消灯し、領域A1、A3のLED63、63・・・を点灯させることで、監視カメラ5から見て主に左側および正面側の撮像範囲に照明光を照射することが可能である。
【0034】
たとえば、図1に示したように、監視カメラ5が家屋1の外壁に取り付けられている場合を考える。図1で示した設置状況では、監視カメラ5の撮像範囲の右側は、家屋1の壁に近接している。このような設置状況においては、ユーザは、照明装置62の領域A2のLED63、63・・・を消灯させ、領域A1および領域A3のLED63、63・・・を点灯させるよう設定するのである。
【0035】
これにより、監視カメラ5から見て右側の撮像範囲に対する照明装置62による照明光の照射量が低減され、壁による照射光の反射の影響を小さくすることができるのである。したがって、撮像範囲のうち、右側領域の輝度が非常に高くなり画像が白飛びするといった現象を回避することができる。これに対して、撮像範囲の左側および正面側の範囲には、領域A1および領域A3のLED63、63・・・によって被写体に対する照明光の照射量が確保されるので、撮像範囲のうち、左側領域および正面側の輝度を必要レベル以上に維持することが可能である。これにより、ホワイトバランス調整を行った場合にも、左側領域および正面側の領域の輝度が低下し、撮像画像が黒つぶれするといった現象を回避でき、被写体を鮮明に確認することが可能となる。
【0036】
また、本実施の形態の監視システムであれば、監視カメラ5の角度を調整することなく、つまり、撮像範囲を変更することなく、有用な撮像画像を得ることができる。したがって、窓や戸など壁に近い領域を監視エリアとしたい場合にも、有効である。
【0037】
逆に、監視カメラ5の左側に壁などの物体が近接している場合には、領域A1のLED63、63・・・を消灯させ、領域A2、A3のLED63、63・・を点灯させればよい。これにより、壁からの反射光の影響を低減させつ、撮像画像の輝度を必要レベル以上に維持することが可能である。
【0038】
また、監視カメラ5の左右両側に壁などの物体が近接している場合には、領域A1および領域A2のLED63、63・・・を消灯させ、領域A3のLED63、63・・・のみを点灯させるようにしてもよい。
【0039】
監視カメラ5に対する領域ごとのLEDの点灯、消灯設定は、コントローラ7の操作部73を操作してユーザが設定可能である。あるいは、監視カメラ5のカメラ本体51に領域ごとの点灯、消灯設定を可能とする操作部が設けられていても良い。たとえば、監視システムの導入時に、監視カメラ5の設置状態に合わせて設置作業員が領域ごとのLEDの点灯、消灯設定を行えばよい。また、記録された画像の状況をユーザが確認して、適宜、LEDの点灯、消灯設定を変更することができる。
【0040】
{第2の実施の形態}
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態に係る監視カメラ5の構成は図2に示したものと同様である。また、監視システムの構成も図3に示したものと同様である。第2の実施の形態の監視カメラ5は、さらに、照明装置32の領域が細分化されている。
【0041】
図5は、第2の実施の形態に係る監視カメラ5における照明装置32の分割領域を示す図である。図に示すように、照明装置32は、6個の領域に分割されている。具体的には、図4で示した第1の実施の形態に係る領域A1が、さらに、上下の2つの領域A11、A12に分割されている。また、図4で示した領域A2が、さらに、上下の2つの領域A21、A22に分割されている。また、図4で示した領域A3が、さらに、上下の2つの領域A31、A32に分割されている。
【0042】
そして、照明装置32は、領域A11、A12、A21、A22、A31、A32を個別に点灯、消灯設定できるように構成されている。このような構成とすることで、監視カメラ5は、さらに、撮像範囲に対する照明光の照射量を適切に調整することが可能である。
【0043】
第1の実施の形態で説明した場合と同様、たとえば、図1で示した設置状況では、監視カメラ5の撮像範囲の右側は、家屋1の壁に近接している。このような設置状況においては、ユーザは、照明装置62の領域A21および領域A22のLED63、63・・・を消灯させ、領域A11、A12、A31、A32のLED63、63・・・を点灯させるよう設定するのである。
【0044】
これにより、監視カメラ5から見て右側の撮像範囲に対する照明装置62による照明光の照射量が低減され、壁による照射光の反射の影響を小さくすることができる。さらに、記録部72に記録された撮像画像を確認した結果、撮像範囲の右側の輝度がやや低いと感じられる場合には、領域A21あるいは領域A22の一方のLED63、63・・・を点灯させるのである。これにより、反射光の影響を低減させつつ、撮像画像の輝度を必要レベル以上に維持させるための微調整が可能となる。あるいは、撮像範囲の右側に存在する壁などの物体との距離が比較的長い場合には、初期設定として、領域A21あるいは領域A22の一方のLED63、63・・・のみを消灯させるようにしてもよい。
【0045】
逆に、監視カメラ5の左側に壁などの物体が近接している場合には、ユーザは、照明装置62の領域A11および領域A12のLED63、63・・・を消灯させ、領域A21、A22、A31、A32のLED63、63・・・を点灯させるよう設定するのである。そして、撮像画像を確認した結果、撮像範囲の左側の輝度がやや低いと感じられる場合には、領域A11あるいは領域A12の一方のLED63、63・・・を点灯させるのである。これにより、反射光の影響を低減させつつ、撮像画像の輝度を必要レベル以上に維持させるための微調整が可能となる。
【0046】
また、監視カメラ5の左右両側に壁などの物体が近接している場合には、領域11および領域12のうち、一方あるいは両方のLED63、63・・・を消灯させ、且つ、領域21および領域22のうち、一方あるいは両方のLED63、63・・・を消灯させることで、領域ごとの照明光の照射量を調整すればよい。
【0047】
さらに、本実施の形態の監視カメラ5は、上下方向について照明光の照射量を調整することが可能である。たとえば、監視カメラ5のすぐ上に、家屋1の屋根などの物体があり、撮像範囲の上部側について反射光の影響が強い場合が想定される。このような設置環境においては、上部側の領域A11、A21、A31のLED63、63・・・を消灯させ、下部側の領域A12、A22、A32のLED63、63・・・を点灯させるのである。あるいは、撮像画像の輝度の状態に応じて、領域A11、A21、A31のいずれかの領域についてLED63、63・・・を点灯するなどして、光量を調整することができる。
【0048】
また、本実施の形態の監視カメラ5は、反射光の影響とは関係なく、照明光の光量をバランスよく調整することが可能である。たとえば、照明装置32の領域A11、A21、A32の3つの領域のLED63、63・・・を点灯させ、領域A31、A12、A22の3つの領域のLED63、63・・・を消灯させることで、全体の光量をバランスよく低減させることが可能である。
【0049】
{第3の実施の形態}
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。この実施の形態において、照明装置32が備える各LED63、63・・・は指向性を持っている。つまり、各LED63、63・・・は、それぞれ特定の方向の撮像範囲に照明光を照射する。
【0050】
まず、図4で示した第1の実施の形態に係る照明装置32の各LED63、63・・・が指向性を持っている場合について説明する。この場合、領域A1に配置される6個のLED63、63・・・は、監視カメラ5から見て左側の領域に照明光を照射する指向性を持ったLEDが用いられる。図6で示す領域R1に照明光を照射する。また、領域A2に配置される6個のLED63、63・・・は、監視カメラ5から見て右側の領域に照明光を照射する指向性を持ったLEDが用いられる。図6で示す領域R2に照明光を照射する。また、領域A3に配置される12個のLED63、63・・・は、監視カメラ5から見て正面側の領域に照明光を照射する指向性を持ったLEDが用いられる。図6で示す領域R3に照明光を照射する。
【0051】
このような構成において、第1の実施の形態で説明した場合と同様、物体が近接している側の領域のLED63、63・・・を消灯させるのである。たとえば、図1で示した設置状況においては、領域A2のLED63、63・・・を消灯させる。このとき、領域A1、領域A3のLED63、63・・・は点灯するが、指向性を持ち、図6に示すように、領域R1、R3に集中的に照明光を照射するので、壁による反射光の影響をより低減させることが可能である。また、撮像範囲の正面側および左側については、光量を低減させることなく、撮影画像の輝度を必要レベル以上に維持することが可能である。
【0052】
次に、図5で示した第2の実施の形態に係る照明装置32の各LED63、63・・・が指向性を持っている場合について説明する。この場合、領域A11、A12に配置される6個のLED63、63・・・は、監視カメラ5から見て左側の領域に照明光を照射する指向性を持ったLEDが用いられる。図6で示す領域R1に照明光を照射する。また、領域A21、A22に配置される6個のLED63、63・・・は、監視カメラ5から見て右側の領域に照明光を照射する指向性を持ったLEDが用いられる。図6で示す領域R2に照明光を照射する。また、領域A31、A32に配置される12個のLED63、63・・・は、監視カメラ5から見て正面側の領域に照明光を照射する指向性を持ったLEDが用いられる。図6で示す領域R3に照明光を照射する。
【0053】
このような構成において、第2の実施の形態で説明した場合と同様、物体が近接している側の領域のLED63、63・・・を消灯させるのである。たとえば、図1で示した設置状況においては、領域A21あるいは領域A22のLED63、63・・・を消灯させる。このとき、領域A11、A12、A31、A32のLED63、63・・・は点灯するが、指向性を持ち、図6に示すように、領域R1、R3に集中的に照明光を照射するので、壁による反射光の影響をより低減させることが可能である。また、撮像範囲の正面側および左側については、光量を低減させることなく、撮像画像の輝度を必要レベル以上に維持することが可能である。
【0054】
{第4の実施の形態}
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態に係る監視カメラ5の構成は図2に示したものと同様である。また、監視システムの構成も図3に示したものと同様である。第4の実施の形態の監視カメラ5は、画像解析により、各LED63、63・・・の点灯および消灯を制御する。
【0055】
図7は、LEDの点灯制御に関するフローチャートである。コントローラ7の制御部71は、まず、記録部72から撮像画像を取得する(ステップS1)。制御部71は、撮像画像を画像解析した結果、撮像範囲の左右一側の輝度が一様に高く、中央の輝度が低いと判定した場合(ステップS2でYES)、ステップS4に移行し、LED点灯領域の変更制御を行う。
【0056】
ステップS2の条件を判定するために、制御部71には、輝度に関する第1および第2の閾値が設定されている。そして、撮像範囲の左右一側の領域について、輝度が第1の閾値よりも高い領域が所定の割合以上(たとえば50%以上など)占める場合には、左右一側の輝度が一様に高いと判定する。また、撮像範囲の中央の領域について、輝度が第2の閾値よりも低い領域が所定の割合以上(たとえば50%以上など)占める場合には、中央の領域の輝度が低い(中央が暗い)と判定するのである。
【0057】
ステップS2で上記の条件を満たさなかった場合、ステップS3に移行する。制御部71は、撮像画像を画像解析した結果、撮像範囲の左右一側の輝度が一様に高く、エッジが検出できないと判定した場合(ステップS3でYES)、ステップS4に移行し、LED点灯領域の変更制御を行う。
【0058】
ステップS3の条件を判定するために、制御部71には、輝度に関する上記の第1の閾値に加えて、エッジ判定用の第3の閾値が設定されている。そして、撮像範囲の左右一側の領域について、輝度が第1の閾値よりも高い領域が所定の割合以上(たとえば50%以上など)占める場合には、左右一側の輝度が一様に高いと判定する。また、撮像範囲の全域において、エッジ画素と判定された画素の割合が第3の閾値よりも下回る場合には、エッジが検出できないと判定するのである。
【0059】
これら第1、第2、第3の閾値は、ユーザが自由に設定することが可能である。ユーザは、閾値の設定値と撮像画像の状態から最適な設定を選定するようにすることができる。
【0060】
ステップS3で上記の条件を満たさなかった場合、ステップS1に戻り処理を繰り返す。つまり、被写体を確認可能な品質の撮像画像が得られていると判断できるので、LEDの点灯領域を変更することなく、処理を繰り返すのである。
【0061】
ステップS4では、LEDの点灯領域が変更される。たとえば、撮像範囲の右側領域の輝度が一様に高く、中央が暗い場合には、右側の領域のLEDを消灯する制御を行うのである。たとえば、図4で示す領域A2のLED63、63・・・を消灯させるのである。あるいは、図5で示す領域A21のLED63、63・・・を消灯させ、領域A22についてはLED63、63・・・を点灯させるようにしてもよい。そして、さらに、制御を繰り返し、再び、ステップS2の条件に当てはまった場合には、さらに、領域A22についても、LED63、63・・・を消灯させるようにしてもよい。
【0062】
また、撮像範囲の左側領域の輝度が一様に高く、エッジが検出できない場合には、左側の領域のLEDを消灯する制御を行うのである。たとえば、図4で示す領域A1のLED63、63・・・を消灯させるのである。あるいは、図5で示す領域A11のLED63、63・・・を消灯させ、領域A12についてはLED63、63・・・を点灯させるようにしてもよい。そして、さらに、制御を繰り返し、再び、ステップS3の条件に当てはまった場合には、さらに、領域A12についても、LED63、63・・・を消灯させるようにしてもよい。
【0063】
図7を用いたLEDの点灯制御処理においては、ステップS2あるいはステップS3で示されるような判定基準を設けたが、これは一例である。たとえば、撮像画像全体のエッジ検出量が所定の閾値より小さい場合に、左右一側に壁などの反射物が存在すると判断してもよい。この場合には、左右一側のうち輝度が高い側の領域のLEDを消灯させるよう制御すればよい。
【0064】
また、図7を用いたLEDの点灯制御処理においては、左右一側の輝度が高い場合を判定するようにしたが、上下一側の輝度が高い場合を判定するようにしてもよい。
【0065】
このような画像解析によるLEDの点灯領域変更処理は、常時行ってもよいし、1日1回など定期的に行うようにしてもよい。
【0066】
また、上記で説明した画像解析によりLEDの点灯制御を単独で用いるようにしてもよいし、ユーザによる手動設定と併用してもよい。LEDの点灯制御を単独で用いる場合には、ユーザによる手動設定は不要である。画像解析に基づいて点灯および消灯すべきLEDが決定される。
【0067】
一方、ユーザによる手動設定と併用させる場合には、まず、ユーザにより点灯および消灯させるLEDの領域が手動設定される。そして、図7を用いて説明した制御を行うことにより、ユーザによる手動設定が適合しないと判断した場合には、自動制御に切り替わり、画像解析によるLEDの点灯制御が行われるのである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施の形態に係る監視システムの設置状態を示す図である。
【図2】実施の形態に係る監視カメラの正面図である。
【図3】実施の形態に係る監視システムのブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る監視カメラの照明装置の分割領域を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る監視カメラの照明装置の分割領域を示す図である。
【図6】第3の実施の形態に係る監視カメラの照明装置による照射領域を示す図である。
【図7】第4の実施の形態に係る監視システムのLED点灯制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 家屋
2 ガレージ
3 自動車
5 監視カメラ
61 レンズ
62 照明装置
63 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを介して入射した被写体光を結像する撮像素子と、
被写体光入射領域の周囲に配置される照明装置と、
を備え、
前記照明装置は、
前記被写体光入射領域の周囲における第1の方向に配置される第1の照明要素と、
前記被写体光入射領域の周囲における前記第1の方向とは対向する第2の方向に配置される第2の照明要素と、
を含み、
前記第1および前記第2の照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像システムにおいて、さらに、
前記第1の照明要素と前記第2の照明要素との間に配置される第3の照明要素、
を備え、
前記第1、第2および第3の照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする撮像システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像システムにおいて、
前記第1の照明要素が、
複数の第1の部分照明要素、
を含み、
各第1の部分照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする撮像システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の撮像システムにおいて、
前記第2の照明要素が、
複数の第2の部分照明要素、
を含み、
各第2の部分照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする撮像システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の撮像システムにおいて、
前記第3の照明要素が、
複数の第3の部分照明要素、
を含み、
各第3の部分照明要素が個別に点灯および消灯可能であることを特徴とする撮像システム。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像システムにおいて、
前記第1および第2の照明要素は、指向性を持つことを特徴とする撮像システム。
【請求項7】
請求項2に記載の撮像システムにおいて、
前記第1、第2および第3の照明要素は、指向性を持つことを特徴とする撮像システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の撮像システムにおいて、さらに、
前記撮像素子が出力した画像データを解析する制御装置、
を備え、
前記制御装置は、画像データの解析結果に基づいて点灯させる照明要素を決定することを特徴とする撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−111656(P2009−111656A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281227(P2007−281227)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】