説明

撮像方法

【課題】画像のブレぼけを補正し易い画像を撮像する方法を提供する。
【解決手段】撮像装置32を用いて第1部品9を撮像する撮像方法にかかわる。撮像装置32が第1部品9を撮像する把持予定場所55に接近して停止する第1接近工程と、撮像装置32が第1部品9を撮像して画像を形成する撮像工程と、画像を補正する画像補正工程と、を有し、第1接近工程において撮像装置32は第1部品9に対して直線移動する。さらに、第1接近工程において把持予定場所55に接近して停止した後に撮像工程にて撮像を開始するまでの時間である減衰待機時間65は、撮像装置32の振動が所定の振幅まで減衰する減衰時間より長い時間に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像方法にかかわり、特に補正し易い画像を撮像する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークを操作するためにワークを撮像し、その撮像画像によりワークの形状及び位置を検出する方法が活用されている。移動するワークを撮像するときや、撮像装置が移動するとき、撮像装置が振動するために撮像した画像にブレぼけが発生することがある。そして、ブレぼけした画像を補正する方法が特許文献1に開示されている。それによると、画像データの輝度プロファイルを微分している。そして、画像のブレ開始点とブレ終了点とを推測する。その後、ブレ開始点とブレ終了点とを用いて画像のブレぼけを除去していた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−198200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークと撮像装置との相対位置を複数の方向に移動した後、ワークと撮像装置とを対向する場所に停止する。このとき、ワークと撮像装置との相対位置は複数の方向に振動する。この状態にて撮像するとき撮像した画像は複数の方向にブレぼけが形成される。そして、複数の方向にブレぼけが形成された画像を用いて、ブレぼけのない画像を形成することは難しい。そこで、画像を補正し易い画像を撮像する方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる撮像方法は、撮像装置を用いてワークを撮像する撮像方法であって、前記撮像装置が前記ワークを撮像する撮像場所に接近して停止する第1接近工程と、前記撮像装置が前記ワークを撮像して画像を形成する撮像工程と、前記画像を補正する画像補正工程と、を有し、前記第1接近工程において前記撮像装置は前記ワークに対して直線移動することを特徴とする。
【0007】
この撮像方法によれば、撮像装置が直線移動して撮像場所に接近する。撮像装置が撮像場所に移動する間に撮像装置の振動成分が減衰する。そして、撮像装置が停止するとき撮像装置に加速度が加わるので、撮像装置が振動する。このとき、撮像装置は直線移動から停止するので、撮像装置が振動する方向は直線移動した1方向に大きくなる。従って、撮像する画像は1方向にブレぼけが生じ易い画像となる。その結果、画像補正工程では多方向にブレぼけが生じている画像を補正するときに比べて補正し易くすることができる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかる撮像方法において、前記撮像するときに前記撮像装置が振動する振動状態を推定する振動状態推定工程を有し、前記画像補正工程では推定した前記振動状態を用いて前記画像を補正することを特徴とする。
【0009】
この撮像方法によれば、推定した振動状態の情報を用いて画像を補正するので、品質良く補正することができる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかる撮像方法において、前記直線移動を開始する場所である直線移動開始場所に前記撮像装置が移動する第2接近工程を有し、前記振動状態推定工程は前記直線移動開始場所における前記撮像装置の運動状態の情報を用いて、前記振動状態を推定することを特徴とする。
【0011】
この撮像方法によれば、直線移動開始場所における撮像装置の運動状態から振動状態を推定している。従って、撮像工程の前に振動状態推定工程を行うことができる。振動状態推定工程を実施する間にも撮像装置の振動は減衰するので、ブレぼけの少ない画像を撮像することができる。
【0012】
[適用例4]
上記適用例にかかる撮像方法において、前記運動状態の情報は前記撮像装置の移動速度の推移情報であることを特徴とする。
【0013】
この撮像方法によれば、撮像装置が直線移動開始場所に移動するときの速度の推移を用いて振動状態を推定している。従って、撮像装置の振動、速度及び加速度等を検出する装置を用いる必要がない。従って、簡便な装置を用いてブレぼけの補正をすることができる。
【0014】
[適用例5]
上記適用例にかかる撮像方法において、前記運動状態の情報は前記撮像装置の速度または加速度を検出した情報であることを特徴とする。
【0015】
この撮像方法によれば、撮像装置の速度または加速度を検出しているので、撮像装置が直線移動開始場所に位置するときの振動状態を精度良く把握することができる。従って、撮像工程における撮像装置の振動状態を精度良く推定することができる。
【0016】
[適用例6]
上記適用例にかかる撮像方法において、前記第1接近工程において前記直線移動開始場所から移動して撮像を開始するまでの時間である減衰待機時間は、前記撮像装置の振動が予め設定した振幅まで減衰する減衰時間より長い時間に設定されていることを特徴とする撮像方法。
【0017】
この撮像方法によれば、減衰待機時間は減衰時間より長く設定されている。従って、直線移動開始場所における撮像装置の振動の振幅は撮像工程では予め設定した振幅より小さくすることができる。
【0018】
[適用例7]
上記適用例にかかる撮像方法において、前記第2接近工程では前記撮像装置が直線移動することを特徴とする。
【0019】
この撮像方法によれば、撮像装置が直線移動して直線移動開始場所に移動する。従って、短い移動距離で直線移動開始場所に到達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(実施形態)
本実施形態における特徴的な撮像方法と撮像したワークをピッキングして組み立てる製造方法とついて図1〜図10に従って説明する。ピッキングはワークを把持して移動して離すことにより、ワーク移動させる動作を示す。
【0021】
図1は、組立装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、組立装置1は主に部品供給装置2、ロボット3、組立テーブル4及び除材用搬送装置5から構成されている。部品供給装置2は主に第1部品供給装置6、第2部品供給装置7及び第3部品供給装置8から構成されている。組立装置1はピッキング装置の機能も備えている。第1部品供給装置6はワークとしての第1部品9を供給する装置であり、第2部品供給装置7はワークとしての第2部品10を供給する装置である。そして、第3部品供給装置8はワークとしての第3部品11を供給する装置である。
【0022】
第1部品供給装置6は第1部品整列装置12と第1搬送装置13とを備えている。第1部品整列装置12は円錐状の皿部12a及び皿部12aを支持する支持台12b等から構成されている。そして、皿部12aと支持台12bの間には図示しない振動装置が配置されている。皿部12aの内側には螺旋状の段差が形成されている。段差は所定の幅の平坦部を有し、平坦部は第1部品9が通過する通路になっている。平坦部は皿部12aの底から上部まで連続して形成されている。そして、振動装置が皿部12aを振動させるとき第1部品9が平坦部に沿って移動するようになっている。平坦部の幅は第1部品9が1個に限って通過可能な幅に形成されているので、第1部品9が通路を通過することにより第1部品9は1列に配列する。
【0023】
第1搬送装置13の上側にはベルトコンベア13aが配置されている。ベルトコンベア13aは1方向に長く延在して配置されている。この方向をY方向とする。そして水平方向においてY方向と直交する方向をX方向とし、鉛直方向をZ方向とする。第1搬送装置13は内部にステップモータ及びプーリーを備え、ベルトコンベア13aを移動及び停止することができる。ベルトコンベア13aの一端は第1部品整列装置12の上部と接続されている。皿部12aの上部まで移動した第1部品9はベルトコンベア13aの上に移動する。そして、第1部品9はベルトコンベア13aにより順次図中右側へ移動し、所定の場所に停止するようになっている。従って、ベルトコンベア13a上には第1部品9が配列して配置される。
【0024】
第1部品供給装置6の図中左下側には第2部品供給装置7が配置されている。第2部品供給装置7は第2部品整列装置14及び第2搬送装置15を備えている。第2部品整列装置14は第1部品整列装置12と同様の装置であり、第2搬送装置15は第1搬送装置13と同様の装置である。そして、第2搬送装置15の上側にはベルトコンベア15aが配置され、ベルトコンベア15a上には第2部品10が配列して配置される。
【0025】
第1部品供給装置6の図中右上側には第3部品供給装置8が配置されている。第3部品供給装置8は第3部品整列装置16及び第3搬送装置17を備えている。第3部品整列装置16は第1部品整列装置12と同様の装置であり、第3搬送装置17は第1搬送装置13と同様の装置である。そして、第3搬送装置17の上側にはベルトコンベア17aが配置され、ベルトコンベア17a上には第3部品11が配列して配置される。
【0026】
部品供給装置2の図中右側にはロボット3が配置されている。ロボット3は基台20を備え、基台20上には回転台21が配置されている。回転台21は固定台21aと回転軸21bとを備えている。回転台21は内部にサーボモータと減速機構とを備え、回転軸21bを角度精度良く回転及び停止することができる。
【0027】
回転台21の回転軸21bと接続して第1関節22が配置され、第1関節22と接続して第1腕23が配置されている。第1腕23と接続して第2関節24が配置され、第2関節24と接続して第2腕25が配置されている。第2腕25は固定軸25aと回転軸25bとを備え、第2腕25は第2腕25の長手方向を軸にして回転軸25bを回転することができる。第2腕25の回転軸25bと接続して第3関節26が配置され、第3関節26と接続して第3腕27が配置されている。第3腕27は固定軸27aと回転軸27bとを備え、第3腕27は第3腕27の長手方向を回転軸にして回転軸27bを回転することができる。第3腕27の回転軸27bと接続して手部28が配置され、手部28には一対の指部28aが配置されている。手部28にはサーボモータとサーボモータにより駆動される直動機構を備えている。そして、この直動機構により指部28aの間隔を変更可能になっている。
【0028】
回転軸25bと接続して第1支持腕29が配置されている。第1支持腕29は第2腕25の上側に突出して配置されている。第1支持腕29と接続して支持部関節30が配置され、支持部関節30と接続して第2支持腕31が配置されている。第2支持腕31には撮像装置32が配置されている。
【0029】
第1関節22、第2関節24及び第3関節26は内部にサーボモータと減速機構とを備え、第1腕23、第2腕25及び第3腕27を角度精度良く回転及び停止することができる。上述のようにロボット3は多くの関節と回転機構を備えている。そして、これらの関節及び回転機構に加えて指部28aを制御することによりワークを把持することが可能になっている。
【0030】
同様に、支持部関節30は内部にサーボモータと減速機構とを備え、第2支持腕31を角度精度良く回転及び停止することができる。そして、第2腕25の角度と対応して第2支持腕31の角度を制御することにより、撮像装置32の光軸がZ方向となるようにすることができる。
【0031】
ロボット3の図中右上には組立テーブル4が配置されている。組立テーブル4の上面は作業面4aとなっており、水平に形成されている。そして、作業面4aにおいてロボット3は第1部品9、第2部品10及び第3部品11を組み合わせて、合体品33を組み立てることができる。
【0032】
組立テーブル4の図中右上には除材用搬送装置5が配置されている。除材用搬送装置5の上側にはベルトコンベア5aが配置されている。除材用搬送装置5は第1搬送装置13と同様な装置であり、ロボット3がベルトコンベア5a上に合体品33をのせると、ベルトコンベア5aにより合体品33が移動される。
【0033】
ロボット3の図中左下側には制御装置34が配置されている。制御装置34は部品供給装置2、ロボット3、除材用搬送装置5等を含む組立装置1を制御する装置である。
【0034】
図2は、組立装置の電気制御ブロック図である。図2において、組立装置1の制御部としての制御装置34はプロセッサとして各種の演算処理を行うCPU(演算処理装置)37と各種情報を記憶する記憶部としてのメモリ38とを有する。
【0035】
ロボット駆動装置39、撮像装置32、第1部品供給装置6、第2部品供給装置7、第3部品供給装置8、除材用搬送装置5は、入出力インターフェース40及びデータバス41を介してCPU37に接続されている。さらに、入力装置42、表示装置43も入出力インターフェース40及びデータバス41を介してCPU37に接続されている。
【0036】
ロボット駆動装置39は、ロボット3と接続されロボット3の動作を制御する装置である。ロボット駆動装置39はロボット3の姿勢に関する情報をCPU37に出力することができる。そして、CPU37が指示する場所に撮像装置32を移動して、所望の場所を撮像することができる。さらに、CPU37が指示する場所に手部28を移動して、指部28aを動作することによりワークを把持することが可能になっている。
【0037】
入力装置42はワークが配置される動作や組立動作等の動作条件を入力する装置である。例えば、ワーク毎の形状を示す座標を図示しない外部装置から受信し、入力する装置である。表示装置43はワークやロボットに関するデータや作業状況を表示する装置である。表示装置43に表示される情報を基に入力装置42を用いて操作者が入力操作を行う。
【0038】
メモリ38は、RAM、ROM等といった半導体メモリや、ハードディスク、DVD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、組立装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト44を記憶する記憶領域がメモリ38に設定される。さらに、第1部品9、第2部品10及び第3部品11の形状や手部28が把持する場所等の情報であるワーク関連データ45を記憶するための記憶領域もメモリ38に設定される。さらに、第1部品供給装置6、第2部品供給装置7、第3部品供給装置8、組立テーブル4及び除材用搬送装置5とロボット3との相対位置等の情報であるロボット関連データ46を記憶するための記憶領域もメモリ38に設定される。さらに、ロボット3が撮像装置32を移動して停止した後に撮像装置32の振動が減衰する減衰特性等の情報である振動量データ47を記憶するための記憶領域もメモリ38に設定される。さらに、撮像装置32が撮像した画像を補正するために用いる画像フィルタデータ48を記憶するための記憶領域もメモリ38に設定される。他にも、CPU37のためのワークエリアやテンポラリファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域がメモリ38に設定される。
【0039】
CPU37はメモリ38内に記憶されたプログラムソフト44に従って、ワークの位置及び姿勢を検出した後、ワークを移動させるための制御を行うものである。具体的な機能実現部として、ロボット3を駆動してワークを移動させるための制御を行うロボット制御部49を有する。他にも、撮像装置32の速度及び加速度情報を用いて撮像装置32の振動が減衰する推移を演算する振動演算部50を有する。さらに、撮像装置32の振動量に応じた画像フィルタを選択するフィルタ演算部51を有する。さらに、撮像した画像を用いてワークの位置を演算するワーク位置演算部53を有する。他にも、ロボット3動作と連携してベルトコンベア5a,13a,15a,17aの動作を制御する除給材制御部54等を有する。
【0040】
(撮像方法及びロボット制御方法)
次に、上述した組立装置1を用いて、第1部品9、第2部品10及び第3部品11を組み立てる作業を通して撮像方法及びロボットの制御方法について図3〜図10にて説明する。図3は合体品を説明するための模式図であり、合体品は組立装置1により組み立てられる物品を示す。図4(a)は、部品の組立工程を示すフローチャートである。そして、図4(b)は、部品の組立工程の中でロボットが部品を把持する工程を詳しく示すフローチャートである。図5〜図10は、組立作業の作業方法を説明するための模式図である。
【0041】
図3(a)は合体品を示す概略斜視図である。図3(b)は合体品を示す模式平面図であり、図3(c)は図3(a)の合体品合のA−A’線に沿う模式側断面図である。図3に示すように、合体品33は第1部品9を有している。第1部品9は略直方体の形状に形成されている。そして、X方向の側面に一対の溝部9aが形成されている。そして、一対の溝部9aは対向する場所に形成されている。
【0042】
第1部品9の上には第2部品10が配置されている。第2部品10は略円柱の形状に形成されている。そして、X方向両側の側面に一対の溝部10aが形成されている。その一対の溝部10aは対向する場所に形成されている。第1部品9の溝部9aと第2部品10の溝部10aとは繋がって配置されている。
【0043】
第2部品10の上には第3部品11が配置されている。第3部品11は略門形の形状に形成されている。従って、第3部品11の両端を端部11aとするとき、一対の端部11aは対向する場所に位置している。第3部品11は弾力性を有する板材より形成されている。そして、対向する端部11a間の距離は対向する溝部9a及び溝部10aより短い距離に形成されている。
【0044】
合体品33を組み立てるとき、まず、第1部品9の上に第2部品10を、溝部9aと溝部10aが合うように重ねる。そして、第3部品11の端部11aを溝部9a及び溝部10aに上方向(Z方向)から挿入する。このとき、対向する端部11aは溝部9a及び溝部10aを押圧する。そして、端部11aと溝部9a及び溝部10aとの間の摩擦により第3部品11はZ方向に抜け難くなる。従って、第1部品9と第2部品10とが分離しないようになる。
【0045】
図4(a)に示すフローチャートにおいて、ステップS1は、第1部品把持工程に相当する。制御装置が第1部品供給装置を駆動してベルトコンベア上に第1部品を配置する。次に、制御装置が第1部品の位置を検出して、手部に第1部品を把持させる工程である。ステップS2は、第1部品移動工程に相当し、第1部品を第1部品供給装置から組立テーブルへ移動する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、第2部品把持工程に相当する。制御装置が第2部品供給装置のベルトコンベア上に第2部品を配置する。次に、制御装置が第2部品の位置を検出して、手部に第2部品を把持させる工程である。次に、ステップS4に移行する。ステップS4は、第2部品組立工程に相当する。制御装置は第2部品を第2部品供給装置から組立テーブルへ移動させる。次に、制御装置が第2部品を第1部品の上に重ねて配置する工程である。次にステップS5に移行する。
【0046】
ステップS5は、第3部品把持工程に相当する。制御装置が第3部品供給装置のベルトコンベア上に第3部品を配置する。次に、制御装置が第3部品の位置を検出して、手部に第3部品を把持させる工程である。次に、ステップS6に移行する。ステップS6は、第3部品組立工程に相当する。制御装置は第3部品を第3部品供給装置から組立テーブルへ移動させる。次に、制御装置が第3部品を第2部品の上方から挿入する工程である。次に、ステップS7に移行する。ステップS7は、組立品移動工程に相当する。ロボットが合体品を組立テーブルから除材用搬送装置へ移動させる。そして、除材用搬送装置がベルトコンベアを駆動して合体品を移動する工程である。ステップS8は、終了判断工程に相当し、組立作業を終了するか否かを判断する工程である。組立作業を継続するとき、ステップS1に移行する。組立作業を終了するとき、部品の組立工程を終了する。
【0047】
図4(b)はステップS1の第1部品把持工程、ステップS3の第2部品把持工程及びステップS5の第3部品把持工程を詳細に示すフローチャートである。図4(b)に示すフローチャートにおいて、ステップS11は、第2接近工程に相当し、撮像装置を所定の位置まで移動させる工程である。次にステップS12に移行する。ステップS12は、振動状態推定工程に相当し、撮像装置が部品を撮像するときにおける撮像装置の振動状態を推定する工程である。次にステップS13に移行する。ステップS13は、第1接近工程に相当し、撮像装置が部品を撮像可能な場所へロボットが撮像装置を移動させる工程である。次にステップS14に移行する。ステップS14は、撮像工程に相当し、撮像装置が部品を撮像する工程である。次にステップS15に移行する。ステップS15は、画像補正工程に相当し、撮像した画像のブレぼけを補正する工程である。次にステップS16に移行する。ステップS16は、把持工程に相当し、手部が部品を把持する工程である。以上により各部品の部品把持工程を終了する。
【0048】
次に、図5〜図10を用いて、図4に示したステップと対応させて、組立工程における撮像方法及びロボット制御方法を詳細に説明する。図5〜図9はステップS1の第1部品把持工程に対応する図である。ステップS1はステップS11〜ステップS16から成り、ステップS11から順次説明する。図5(a)及び図5(b)はステップS11の第2接近工程に対応する図である。図5(a)に示すように、ステップS11において、ベルトコンベア13aに第1部品9が載置される。そして、ベルトコンベア13aが第1部品9を移動させる。その結果、第1部品9は予め設定された撮像場所としての把持予定場所55に位置する。
【0049】
次に、ロボット3は移動前場所56から直線移動開始場所としての撮像待機場所57に撮像装置32を移動させる。移動前場所56は特定の場所では無く、前工程の作業が終了したときに撮像装置32が位置した場所である。撮像待機場所57は予め設定された場所であり、撮像待機場所57と把持予定場所55との距離58が予め設定された距離58となっている。
【0050】
図5(b)は撮像装置32が移動前場所56から移動して撮像待機場所57に停止するときの速度及び加速度の推移を示すタイムチャートである。図5(b)において、横軸は時間の経過を示し、時間は左から右へ移行する。縦軸には、撮像装置32が移動するときの速度及び加速度が配置されている。速度及び加速度は図中上側が下側より大きな値となっている。速度推移線59は撮像装置32が移動して停止するまでの速度の推移を示す。加速度推移線60は加速度の推移を示している。速度推移線59が示すように撮像装置32は所定の時間等速で移動する。時間軸におけるこの区間を等速度区間59aとする。次に、速度推移線59が0まで減少する区間を減速区間59bとする。
【0051】
速度推移線59の下降に伴い加速度推移線60も下降する。そして、速度推移線59が0に接近するにつれて、加速度推移線60は上昇し、0に近づく。制御装置34はロボット3の各関節に配置されているモータを制御することにより撮像装置32の移動速度及び加速度を制御する。従って、速度推移線59及び加速度推移線60は制御装置34により制御することが可能になっている。
【0052】
図5(c)及び図6(a)はステップS12の振動状態推定工程に対応する図である。図5(c)は撮像装置32が撮像待機場所57に停止した後で撮像装置32が振動する様子を示している。図5(c)において、横軸は時間の経過を示し、時間の経過は左から右へ推移する。縦軸は、撮像装置32が振動する変位を示している。そして、振動推移線61は撮像装置32が振動する変位の推移を予想した線を示している。振動推移線61を挟む一対の包絡線61aの間隔は振動の振幅となる。振動演算部50は予め振幅の閾値である振幅閾値62を設定する。そして、ロボット3の質量分布、ロボット3の各腕及び関節のバネ定数、速度推移線59及び加速度推移線60等の情報を用いて振動演算部50は振動推移線61及び包絡線61aを演算する。次に、振動推移線61の振幅が振幅閾値62より小さくなるまでの時間である減衰時間63を演算する。
【0053】
図6(a)は撮像装置32が把持予定場所55と対向する場所まで移動して停止した後で撮像装置32が振動する様子を示している。図6(a)において、横軸は時間の経過を示し、時間の経過は左から右へ推移する。縦軸は、撮像装置32が振動する変位を示している。そして、振動推移線64は撮像装置32が振動する変位の推移を予想した線を示している。移動開始時刻65aは撮像装置32が撮像待機場所57から移動を開始するタイミングを示している。移動開始時刻65aでは撮像装置32を移動させるための加速度が撮像装置32に加わるので撮像装置32の振幅が増大する。撮像装置32が移動している間は等速で移動するので、撮像装置32の振幅は減衰する。撮像装置32が停止するタイミングを移動終了時刻65bとする。移動終了時刻65bでは撮像装置32が停止するための加速度が加わるので撮像装置32の振幅が増大する。
【0054】
撮像装置32が停止した後、撮像を開始するタイミングを撮像開始時刻65cとする。そして、移動開始時刻65aから撮像開始時刻65cまでの時間を減衰待機時間65とするとき、減衰待機時間65は減衰時間63より長い時間に設定されている。従って、撮像装置32が撮像待機場所57に移動して停止するときに生じる振動の影響を受け難くなっている。振動演算部50は撮像開始時刻65cにおける振幅66と振動方向を演算する。このとき、撮像待機場所57における撮像装置32の振動状態と制御装置34が制御する撮像装置32の移動速度及び加速度等の条件を用いて、振動演算部50は振幅66と振動方向を演算する。
【0055】
図6(b)はステップS13の第1接近工程に対応する図である。図6(b)に示すように、ステップS13において、ロボット3は撮像装置32を撮像待機場所57から把持予定場所55と対向する場所である撮像場所に移動させる。このとき、撮像装置32が直線移動するように制御装置34はロボット3を駆動する。そして、撮像装置32が図中左右に振動しないように、制御装置34はロボット3を駆動するのが好ましい。例えば、回転台21を作動させずに、第1関節22、第2関節24及び支持部関節30を駆動して撮像装置32を駆動するのが好ましい。但し、振動の影響が小さいときには必ずしもこの方法に限らない。
【0056】
図6(c)はステップS14の撮像工程に対応する図である。ステップS14において撮像装置32が第1部品9を撮像する。その結果、図6(c)に示すように、撮影画像67に第1部品9の画像68が撮像される。撮像装置32がY方向に振動する状態にて撮像するので、画像68にはY方向にブレぼけが生じる。その結果、撮影画像67における画像68のY方向側の辺68pが太く観察される。
【0057】
図7〜図9はステップS15の画像補正工程に対応する図である。図7(a)は補正フィルタ71の1例を示す。ステップS15では図7(a)に示すような補正フィルタ71を用いて画像68のブレぼけを補正する。補正フィルタ71は例えば5行5列のマトリクスに表現される。行数及び列数は5行5列に限定されず、ブレぼけの程度に合わせて設定するのが良い。
【0058】
補正フィルタ71の行を図中上より第1行71a〜第5行71eとする。そして、補正フィルタ71の列を図中左より第1列71f〜第5列71jとする。補正フィルタ71に配置された各数値を演算子元71kと称す。補正フィルタ71は鮮鋭化フィルタと呼ばれるフィルタである。マトリクスの中央に位置する第3行71c且第3列71hの演算子元71kが正の値に設定される。例えば、実施例では演算子元71kの値は15に設定される。そして、第3行71c且第3列71hの周辺の演算子元71kが負の値に設定されている。例えば、実施例では演算子元71kの値は−1に設定される。そして、第3列71hにおける第1行71a及び第5行71eの演算子元71kは他の演算子元71kより大きな負の値に設定されている。例えば、実施例では演算子元71kの値は−3に設定される。この設定によりY方向に対して強い鮮鋭化を実施することができる。補正フィルタ71の演算子元71kにおいて数値が設定されていない演算子元71kには0の値が設定される。尚、補正フィルタ71における演算子元71kの値はこれに限定されない。
【0059】
メモリ38の画像フィルタデータ48には複数の補正フィルタ71が記憶されている。そして、ステップS12の振動状態推定工程において1つの補正フィルタ71が選択される。このとき、予想した撮像開始時刻65cの振幅66に応じて、補正フィルタ71の行数及び列数と補正フィルタ71の各行列における演算子元71kの値とが設定される。振幅66と補正フィルタ71のパターンとの関係は予め実験により最適な組合せが設定されている。補正フィルタ71の設定が適正でない場合には第1部品9と異なる画像に補正される可能性があるので、予め実験して適正な補正フィルタ71を用意する必要がある。
【0060】
図7(b)は撮影画像67の各画素の輝度を数値で表示した例を示す。撮像装置32は撮像素子とアナログデジタル変換回路を備えている。そして、撮像装置32は画像の各画素の輝度を256階調の数値データとして出力することが可能になっている。撮影画像67において光が照射されなかった場所は輝度数値が0として出力される。そして、最も明るい光が照射された場所では輝度数値が255として出力される。つまり、撮影画像67において明るい画素は大きな数値であり、暗い画素は小さな数値となっている。画像68の各行を図中上より下へ第1行画素68a〜第7行画素68gとする。そして、画像68の各列を図中左より右へ第1列画素68h〜第5列68mとする。画像68に配置された各数値を画素元68nと称す。
【0061】
次に、撮影画像67と補正フィルタ71とを用いて撮影画像67を補正する例を説明する。この例では、第1行画素68a〜第5行画素68e且第1列画素68h〜第5列68mの画素元68nを用いて演算した値を第3行画素68c且第3列画素68jの画素元68nの補正値とする。つまり、画素元68nの補正値は補正対象とする画素元68nの周囲の画素元68nを用いて演算される。
【0062】
先ず、補正フィルタ71の第1行71aと画像68の第1行画素68aとを用いる。第1列71fと第1列画素68hとを積算し、第2列71gと第2列画素68iとを積算する。同様に、第3列71hと第3列画素68jとを積算し、第4列71iと第4列画素68kとを積算する。同様に、第5列71jと第5列68mとを積算する。次に、各列にて積算した値の総和を演算する。図中の数値においては、0×30+0×30−3×50+0×50+0×80=−150となる。
【0063】
同様の演算を補正フィルタ71の第2行71bと画像68の第2行画素68bとを用いて行う。図中の数値においては、0×80−1×50−1×70−1×70+0×80=−190となる。さらに、同様の演算を補正フィルタ71の第3行71cと画像68の第3行画素68cとを用いて行う。図中の数値においては、0×100−1×100+15×110−1×100+0×100=1450となる。さらに、同様の演算を補正フィルタ71の第4行71dと画像68の第4行画素68dとを用いて行う。図中の数値においては、0×150−1×140−1×160−1×150+0×150=−450となる。さらに、同様の演算を補正フィルタ71の第5行71eと画像68の第5行画素68eとを用いて行う。図中の数値においては、0×180+0×170−3×190+0×180+0×190=−570となる。次に、各行にて加算した値の総和を演算する。図中の数値においては、−150−190+1450−450−570=90となる。この値が5行及び5列の各積算値の総和となる。
【0064】
次に、補正フィルタ71の各演算子元71kの総和を演算する。図中の数値においては、1行目は0+0−3+0+0=−3となる。2行目は0−1−1−1+0=−3となる。3行目は0−1+15−1+0=13となる。4行目は0−1−1−1+0=−3となる。5行目は0+0−3+0+0=−3となる。次に各行にて加算した値の総和を演算する。各行の総和は−3−3+13−3−3=1となる。次に、5行及び5列の各積算値の総和を補正フィルタ71の各演算子元71kの総和にて除算する。図中の数値においては、90÷1=90となる。この値を画素変換値とする。この画素変換値を第3行画素68c且第3列画素68jの画素元68nの補正値とする。フィルタ演算部51は上述の演算を各画素元68nに対して行うことにより各画素元68nの補正値を算出する。
【0065】
図8〜図9は補正フィルタ71の作用を説明するためのグラフであり、図8(a)は撮像する画像のブレぼけを説明するグラフである。図8(a)において、横軸は撮像素子の配列におけるY方向の位置を示している。縦軸は、撮像装置32に照射される光の輝度分布を示している。輝度は図中下側より上側が高い輝度となっている。そして、第1輝度分布線72は撮像を開始する時の輝度分布を示している。第1輝度分布線72は第1部品9からの反射光の分布を示している。第1輝度分布線72は第1位置72aにおいて分布が変化しており、第1位置72aに明るい場所と暗い場所との境界があることを示している。そして、第1位置72aは第1部品9の輪郭の場所と対応している。
【0066】
第2輝度分布線73は撮像を終了する時の輝度分布を示している。第2輝度分布線73は第1輝度分布線72と同様に第1部品9からの反射光の分布を示している。第2輝度分布線73は第2位置73aにおいて分布が変化しており、第1位置72aに明るい場所と暗い場所との境界があることを示している。そして、第2位置73aは第1部品9の輪郭の場所と対応している。つまり、撮像を開始して終了するまでの間に第1部品9の輪郭が第1位置72aから第2位置73aに移動したことを示している。
【0067】
撮像装置32の出力は、撮像する時間の間に撮像素子には照射される光量の積分値が出力される。第3輝度分布線74は撮像装置32が出力する撮影画像67における輝度分布を示している。第3輝度分布線74において、第1位置72aの左側は照射される光量が小さいので輝度は小さくなっている。第2位置73aの右側は照射される光量が大きいので輝度は大きくなっている。第1位置72aと第2位置73aとの間では左側から右側へ輝度が増加している。そして、輝度の変化が第1輝度分布線72及び第2輝度分布線73に比べて緩やかであり、ブレぼけとして認識される。第1位置72aと第2位置73aとの間の幅を補正前変化幅74aとするとき、補正前変化幅74aが長いほどブレぼけが大きいと認識される。
【0068】
図8(b)において、横軸はフィルタの数値配列におけるY方向の位置を示している。縦軸は、演算子元の値を示している。演算子元の値は上側の方が下側より大きな値となっている。フィルタ輪郭線75は補正フィルタ71の第3列71hにおける演算子元71kの変化を示している。フィルタ輪郭線75は第3行71cにおいて正のピーク値が設定され、第2行71b及び第4行71dには負の値が設定されている。そして、第1行71a及び第5行71eにも負の値が設定され、第2行71b及び第4行71dより低い値が設定されている。フィルタ輪郭線75は左右対称に設定され、第3行71cに対して2画素分離れている第1行71a及び第3行71cの影響を受けるように設定されている。
【0069】
図8(c)において、横軸は撮像素子の配列におけるY方向の位置を示している。縦軸は、撮像装置32に照射される光の輝度を補正した後の輝度分布を示している。輝度は図中下側より上側が高い輝度となっている。そして、補正後分輝度布線76はフィルタ輪郭線75の補正フィルタ71を用いて第3輝度分布線74を補正演算した後の輝度分布を示している。補正後分輝度布線76において第3位置76aの左側は平坦になっている。この場所は、補正フィルタ71による影響を受けていないので、第3輝度分布線74の分布と同じ分布となっている。
【0070】
補正後分輝度布線76において第1位置72aの場所の輝度は第3位置76aの場所より低く変換されている。第3輝度分布線74において、第1位置72aの右側は輝度が増加している。そして、補正フィルタ71の第1行71a及び第2行71bにより負の値に変換されるので、第1位置72aでは低い値に変換される。
【0071】
補正後分輝度布線76において第4位置76bの右側は平坦になっている。この場所は、補正フィルタ71による影響を受けていないので、第3輝度分布線74の分布と同じ分布となっている。
【0072】
補正後分輝度布線76において第2位置73aの場所の輝度は第4位置76bの場所より高く変換されている。第3輝度分布線74において、第2位置73aの左側は輝度が減少している。そして、補正フィルタ71の第4行71d及び第5行71eにより負の値に変換されるので、第2位置73aでは高い値に変換される。
【0073】
第1位置72aと第2位置73aとの間では補正後分輝度布線76の傾斜が急になるように変換される。従って、第1位置72aと第2位置73aとの間では輝度の変化が大きくなるように変換される。
【0074】
図9(a)は補正後分輝度布線76に補正をさらに加える方法を説明するためのグラフである。
図9(a)において、横軸は撮像素子の配列におけるY方向の位置を示している。縦軸は、撮像における光の輝度を補正した後の輝度分布を示している。輝度は図中下側より上側が高い輝度となっている。そして、再補正後分輝度布線77は補正後分輝度布線76の一部を補正した後の輝度分布を示している。
【0075】
続いて、補正後分輝度布線76を補正して再補正後分輝度布線77を算出する方法を説明する。補正後分輝度布線76において第3位置76aより左側の輝度を算出し、算出した値を暗部輝度値76cとする。そして、補正後分輝度布線76において暗部輝度値76cより低い輝度の場所の輝度を暗部輝度値76cに変更する。次に、補正後分輝度布線76において第4位置76bより右側の輝度を算出し、算出した値を明部輝度値76dとする。そして、補正後分輝度布線76において明部輝度値76dより高い輝度の場所の輝度を明部輝度値76dに変更する。その結果、第1位置72a付近と第2位置73a付近の輝度が変更され、補正後分輝度布線76が再補正後分輝度布線77に補正される。再補正後分輝度布線77において、輝度が暗部輝度値76cから明部輝度値76dに変化する場所のY方向の幅を補正後変化幅77aとする。補正後変化幅77aは第3輝度分布線74の補正前変化幅74aより短くなっているので、ブレぼけを小さくすることができている。従って、図9(b)に示すように、補正画像78における画像79のY方向側の辺79aが細く観察される。その結果、ワーク位置演算部53は辺79aのY方向の場所を位置精度良く検出することができる。
【0076】
図10(a)はステップS16の把持工程に対応する図である。図10(a)に示すように、ステップS16において、手部28が把持予定場所55に移動する。そして、ロボット制御部49は指部28aを移動させることにより第1部品9を把持する。ワーク位置演算部53が第1部品9の場所を精度良く検出しているので、指部28aは第1部品9の重心を挟んで保持することができる。従って、ロボット3は安定した状態で第1部品9を保持することができる。以上でステップS1を終了する。
【0077】
図10(b)はステップS2の第1部品移動工程に対応する図である。図10(b)に示すように、ステップS2において、ロボット制御部49はロボット3を駆動して、第1部品9を組立テーブル4の作業面4aに載置する。
【0078】
ステップS3の第2部品把持工程では、ステップS1と同様の方法を用いて第2部品10を把持する。従って、ワーク位置演算部53は第2部品10の場所を精度良く検出するので、指部28aは第2部品10の重心を挟んで保持することができる。従って、ロボット3は安定した状態で第2部品10を保持することができる。
【0079】
図10(c)はステップS4の第2部品組立工程に対応する図である。図10(c)に示すように、ステップS4において、ロボット制御部49はロボット3を駆動して、第2部品10を第1部品9の上に載置する。ロボット3の手部28は第2部品10を位置精度良く把持しているので、ロボット3は第2部品10を位置精度良く載置することができる。
【0080】
ステップS5の第3部品把持工程では、ステップS1と同様の方法を用いて第3部品11を把持する。従って、ワーク位置演算部53は第3部品11の場所を精度良く検出するので、指部28aは第3部品11の重心を挟んで保持することができる。従って、ロボット3は安定した状態で第3部品11を保持することができる。
【0081】
図10(d)はステップS6の第3部品組立工程に対応する図である。図10(d)に示すように、ステップS6において、ロボット制御部49はロボット3を駆動して、第3部品11を第2部品10及び第1部品9の側面を挟んで挿入する。ロボット3の手部28は第3部品11を位置精度良く把持しているので、ロボット3は第3部品11を位置精度良く挿入することができる。その結果、合体品33が完成する。
【0082】
ステップS7の組立品移動工程ではステップS1と同様の方法を用いて合体品33を把持する。そして、ロボット3が合体品33を作業面4aから除材用搬送装置5のベルトコンベア5a上に移動させる。その後、制御装置34はベルトコンベア5aを駆動することにより合体品33を移動させる。以上の工程により部品の組立工程を終了する。
【0083】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS13の第1接近工程において、撮像装置32が直線移動して把持予定場所55と対向する場所である撮像場所に接近する。撮像装置32が撮像場所に移動する間に撮像装置32の振動成分が減衰する。そして、撮像装置32が停止するとき撮像装置32に加速度が加わるので、撮像装置32が振動する。このとき、撮像装置32は直線移動から停止するので、撮像装置32が振動する方向は直線移動した1方向が大きくなる。従って、撮像する画像は1方向にブレぼけが生じ易い画像となる。その結果、ステップS15の画像補正工程では多方向にブレぼけが生じている画像を補正するときに比べて補正し易くすることができる。
【0084】
(2)本実施形態によれば、減衰待機時間65は減衰時間63より長く設定されている。従って、ステップS14の撮像工程では撮像装置32が撮像待機場所57における振幅の影響は振幅閾値62より小さくすることができる。
【0085】
(3)本実施形態によれば、ステップS12の振動状態推定工程にて推定した振動状態の情報を用いて補正フィルタ71のパターンを選定している。そして、その補正フィルタ71を用いて撮影画像67を補正するので、品質良く補正することができる。
【0086】
(4)本実施形態によれば、撮像待機場所57においてステップS12の振動状態推定工程にて撮像装置32の速度及び加速度から振動状態を推定している。従って、ステップS14の撮像工程の前に振動状態推定工程を行っている。振動状態推定工程の実施する間にも撮像装置の振動は減衰するので、撮像工程の後に振動状態推定工程を行う場合に比べて、ブレぼけの少ない画像を撮像することができる。
【0087】
(5)本実施形態によれば、撮像装置32が撮像待機場所57に移動するときの速度または加速度の推移を用いて振動状態を推定している。従って、撮像装置32の振動、速度及び加速度等を検出する装置を用いる必要がない。従って、簡便な装置構成にて振動の補正をすることができる。
【0088】
(6)本実施形態によれば、移動前場所56から直線移動して撮像待機場所57に移動する。従って、短い移動距離で撮像待機場所57に到達することができる。
【0089】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記実施形態では、ロボット制御部49の制御データから速度推移線59及び加速度推移線60を演算したが、速度または加速度を検出しても良い。撮像装置32に速度または加速度検出装置を配置しても良い。検出装置により撮像装置32が撮像待機場所57に位置するときの振動状態を精度良く把握することができる。従って、ステップS14の撮像工程における撮像装置32の振動状態を精度良く推定することができる。
【0090】
(変形例2)
前記実施形態では、ステップS12の振動状態推定工程にて振動推移線61及び包絡線61aを演算している。このとき、ロボット3の質量分布、ロボット3の各腕及び関節のバネ定数、速度推移線59及び加速度推移線60等の情報を用いて振動演算部50は振動推移線61及び包絡線61aを演算している。演算が複雑になる場合には、実験データを用いても良い。予め、撮像装置32を各種条件にて移動させて、撮像装置32の振幅を実測する。そして、その実験データを記憶する。そして、速度データ、加速度データ条件から振幅を推定しても良い。
【0091】
(変形例3)
前記実施形態では、補正フィルタ71を用いて撮影画像67を補正した。補正方法には他の方法を採用しても良い。例えば、特開2006−279807号公報に開示されている一般逆フィルタ関数や、特開平11−27574号公報に開示されているウィーナーフィルタを採用しても良い。他にも、特開2007−183842号公報に開示されているパラメトリックウイーナフィルタ、制限付最小二乗フィルタ、射影フィルタ等の復元方法を用いることができる。必要とする精度に合わせて補正方法を選択しても良い。
【0092】
(変形例4)
前記実施形態では、ロボット3に垂直多関節ロボットを採用したが、ロボットの形態に限定されない。水平多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボット等各種の形態のロボットを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】組立装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】組立装置の電気制御ブロック図。
【図3】(a)は合体品を示す概略斜視図、(b)は合体品を示す模式平面図、(c)は合体品を示す模式側断面図。
【図4】部品の組立工程を示すフローチャート。
【図5】組立作業の作業方法を説明するための模式図。
【図6】組立作業の作業方法を説明するための模式図。
【図7】組立作業の作業方法を説明するための模式図。
【図8】組立作業の作業方法を説明するための模式図。
【図9】組立作業の作業方法を説明するための模式図。
【図10】組立作業の作業方法を説明するための模式図。
【符号の説明】
【0094】
9…ワークとしての第1部品、10…ワークとしての第2部品、11…ワークとしての第3部品、32…撮像装置、55…撮像場所としての把持予定場所、57…直線移動開始場所としての撮像待機場所、68…画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置を用いてワークを撮像する撮像方法であって、
前記撮像装置が前記ワークを撮像する撮像場所に接近して停止する第1接近工程と、
前記撮像装置が前記ワークを撮像して画像を形成する撮像工程と、
前記画像を補正する画像補正工程と、を有し、
前記第1接近工程において前記撮像装置は前記ワークに対して直線移動することを特徴とする撮像方法。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像方法であって、
前記撮像するときに前記撮像装置が振動する振動状態を推定する振動状態推定工程を有し、
前記画像補正工程では推定した前記振動状態を用いて前記画像を補正することを特徴とする撮像方法。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像方法であって、
前記直線移動を開始する場所である直線移動開始場所に前記撮像装置が移動する第2接近工程を有し、
前記振動状態推定工程は前記直線移動開始場所における前記撮像装置の運動状態の情報を用いて、前記振動状態を推定することを特徴とする撮像方法。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像方法であって、
前記運動状態の情報は前記撮像装置の移動速度の推移情報であることを特徴とする撮像方法。
【請求項5】
請求項3に記載の撮像方法であって、
前記運動状態の情報は前記撮像装置の速度または加速度を検出した情報であることを特徴とする撮像方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の撮像方法であって、
前記第1接近工程において前記直線移動開始場所から移動して撮像を開始するまでの時間である減衰待機時間は、前記撮像装置の振動が予め設定した振幅まで減衰する減衰時間より長い時間に設定されていることを特徴とする撮像方法。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像方法であって、
前記第2接近工程では前記撮像装置が直線移動することを特徴とする撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−134318(P2010−134318A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311840(P2008−311840)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】