説明

撮像機器

【課題】水中撮影を可能としたカメラ等の撮像機器における水中検知手段による誤検知を抑えて確実な水中検知を行い得る撮像機器を提供する。
【解決手段】水中で撮影可能な撮像機器1において、電気的導電性を有する外装部材2と、外部に露出する露出表面部分17aaを有し水を介して外装部材と電気的に導通可能な端子部材17と、電気的に非導通性の部材からなり外装部材と端子部材とを電気的に絶縁し、露出表面部分の周囲を囲む壁面を有し露出表面部分の高さより該壁面の高さが高い形状となっている接点隔離部材14とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像機器、詳しくは水中撮影を可能としたカメラ等の撮像機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影光学系により結像される光学像を撮像素子等の光電変換素子によって光電変換処理することにより取得した静止画像や動画像の画像データと、この画像データに関連する各種の情報データとをデジタルデータファイルとして記録媒体に記録し得るように構成したカメラやビデオカメラ等の撮像機器が広く一般に普及している。
【0003】
このような従来のカメラ等の撮像機器には、水中等の環境下で使用することができるように液密性の内部筐体を備えて構成されたものが種々実用化されている。
【0004】
また、従来の撮像機器においては、機器に設けられる開口部等からの浸水を検出する浸水検知手段を備えたものが、例えば特開2005−340874号公報等によって、種々提案されている。
【0005】
上記特開2005−340874号公報等によって開示されている技術は、小型携帯機器の筐体内への浸水によるマイクの破損を防止するためになされた提案である。
【0006】
これによれば、マイクは筐体内部に設けられており、筐体外面に設けられた開口部を通って侵入する水等がマイクへ到達する前に浸水したことを検知し、その浸水が検知された場合には、マイクへの電力供給を遮断する制御を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−340874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特開2005−340874号公報等によって開示されている技術は、水中使用を可能とする機器を前提とするものではないので、例えば水中使用によってチェンバ内が水等で満たされた状態となったときには、マイクを使用する動作が不可能になってしまう。また、そればかりでなく、水中環境からそれ以外の環境に移行したときには、チェンバ内に侵入した水等を意図的に排出しない限り、マイクを使用する動作を再開することができないという問題点がある。したがって、水中環境以外の環境にあってもチェンバ内の水等が排出しきれていない場合には誤検知が生じてしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、水中撮影を可能としたカメラ等の撮像機器において、撮像機器が水中環境に晒されたことを検知する水中検知手段による誤検知を抑え得るような構造を備え、確実な水中検知を行い得る撮像機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による第1の撮像機器は、水中で撮影可能な撮像機器であって、電気的導電性を有する外装部材と、外部に露出する露出表面部分を有し、水を介して上記外装部材と電気的に導通可能な端子部材と、電気的に非導通性の部材からなり、上記外装部材と上記端子部材とを電気的に絶縁し、上記露出表面部分の周囲を囲む壁面を有し、上記露出表面部分の高さより該壁面の高さが高い形状となっている接点隔離部材と、を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明による第2の撮像機器は、水中で撮影可能な撮像機器であって、電気的導電性を有する外装部材と、貫通穴を有し、内部に配置された内部筐体と、内部に上記貫通穴を介して電気的に導通し、外部に露出する露出表面部分を有し、水を介して上記外装部材と電気的に導通可能な端子部材と、電気的に非導通性の部材からなり、上記外装部材と上記端子部材とを電気的に絶縁し、上記露出表面部分の周囲を囲む壁面を有し、上記露出表面部分の高さより該壁面の高さが高い形状となっている接点隔離部材と、ゴム状の弾性を有する素材からなり上記端子部材の上記露出表面部分を外部に露出させ、上記接点隔離部材により押圧され、上記露出表面部分周囲と上記内部筐体の上記貫通穴周囲との間を液密とする絶縁部材と、を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の撮像機器は、上記第1の発明又は第2の発明による撮像機器において、上記壁面と上記露出表面部分とにより凹形状を形成し、該凹の底面に上記露出表面部分を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水中撮影を可能としたカメラ等の撮像機器において、撮像機器が水中環境に晒されたことを検知する水中検知手段による誤検知を抑え得るような構造を備え、確実な水中検知を行い得る撮像機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の撮像機器の概略的な構成を示す外観斜視図。
【図2】図1の撮像機器の一部を分解して示す要部分解斜視図。
【図3】図1の[III]−[III]線に沿う要部拡大断面図。
【図4】図4は、図1の[IV]−[IV]線に沿う要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
水中撮影を可能としたカメラ等の撮像機器において、撮像機器が水中環境に晒されたことを検知して、当該撮像機器の撮影モード設定を自動的に水中撮影モードに切り換えることにより、使用者による手動での設定操作を不要とし、もって操作性に優れ、かつ確実に誤検知を抑え得る構造を備えた撮像機器を提供するという目的を、撮像機器内の適切な位置に適切な構造で水中検知手段を配設することで実現した。
【0016】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態の撮像機器の概略的な構成を示す外観斜視図である。図2は、図1の撮像機器の一部を分解して示す要部分解斜視図である。なお、図2においては、本発明の要旨に関らない一部の構成部材は省略して図示している。図3は、図1の[III]−[III]線に沿う要部拡大断面図である。図4は、図1の[IV]−[IV]線に沿う要部拡大断面図である。
【0018】
なお、本発明の撮像機器の実施形態としては、撮影光学系により結像される光学像を撮像素子等の光電変換素子によって光電変換処理することにより取得した静止画像や動画像の画像データと、この画像データに関連する各種の情報データとをデジタルデータファイルとして記録媒体に記録し得るように構成したカメラであって、かつ水中撮影を可能としたカメラを例に挙げて説明する。
【0019】
まず、本実施形態の撮像機器の概略的な構成を、図1,図2を用いて以下に説明する。図1は、本実施形態のカメラ1の主に前面側を示している。
【0020】
本実施形態のカメラ1は、内部に設けられる内部筐体を構成するカメラ本体7(図1では図示せず。図2参照)及び本体背面部材7bと、このカメラ本体7及び本体背面部材7bの内部に配設される各種の内部構成部材等(図示せず)と、カメラ本体7及び本体背面部材7bの外面を覆う複数の外装部材とによって構成されている。そして、カメラ1の外形形状は、例えば略直方体形状に形成されている。
【0021】
本カメラ1の外装部材は、カメラ本体7の前面側周縁部と上面及び底面のそれぞれの所定の一部を覆う前カバー2と、この前カバー2の略中央領域に形成される前面開口2b(図1では図示せず。図2参照)を覆うように配置される前面装飾板5a,5bと、カメラ本体7の前面に向かって右側面を覆う右側面カバー3と、カメラ本体7の前面に向かって左側面を覆う左側面カバー4と、カメラ本体7の底面に形成されている電池収納室開口(図示せず)を開閉自在にする電池室蓋2aと、カメラ本体7の背面側の開口を覆うようにカメラ本体7と一体に設けられて当該カメラ1の内部筐体を構成する本体背面部材7b(図1,図2では図示せず。後述する図3参照)と、この本体背面部材7bの背面側の一部を覆う背面カバー8(図3参照)等によって構成される。
【0022】
なお、本実施形態においては、カメラ1を使用するときの姿勢を考慮して、カメラ1の使用時に被写体に対向する側の面をカメラ1の前面というものとする。また、カメラ1を構えたときに、その使用者が対面する側の面をカメラ1の背面というものとする。
【0023】
一方、撮影動作を行う際に操作すべき操作部材、例えばシャッターボタン等が配設されている側の面を上面というものとする。また、カメラ1の上面に対向する側の面を底面というものとする。
【0024】
他方、カメラ1の通常の使用時に両側に配置される面を左側面及び右側面というものとする。ただし、この場合における左右は、カメラ1の前面に向かったときの左右で区別するものとする。
【0025】
カメラ本体7及び本体背面部材7bは、例えば樹脂製のモールド成形部品によって形成されていて、両者が一体となることにより扁平な箱型形状の内部筐体が形成されるようになっている。そして、この内部筐体の内部には、本カメラ1の各種の構成ユニット、例えば撮像ユニットを含む光学レンズユニットや閃光発光装置,電子制御回路等を実装した電気基板等が収容されている。また、当該内部筐体の表面の一部には、内部に設けられる電気回路に連動する各種の操作部材が稼動可能に保持されている。
【0026】
前カバー2,前面装飾板5a,5b,左側面カバー4,右側面カバー3,背面カバー8,電池室蓋2a等の外装部材は、本カメラ1の内部筐体(7,7a)の外面の略全てを覆うように配置されている。
【0027】
なお、図示されていないが、カメラ1の内部筐体(7,7a)の背面側には開口が形成されていて、この開口には表示装置10(図3参照)が配設されている。この表示装置10は、例えば液晶パネル10b及びパネル保護用透明板10a等からなる液晶表示装置が適用される。そして、内部筐体(7,7a)の背面開口には、この表示装置10の表示部が外部に向けて露呈するようになっている。
【0028】
前カバー2,前面装飾板5a,5b,左側面カバー4,右側面カバー3,背面カバー8,電池室蓋2a等の外装部材は、電気的導電性を有する金属部材によって主に形成されている。したがって、カメラ1は、金属製の外装部材(2,5a,5b,4,3,8)が、樹脂製の内部筐体(7,7a)の外面の全体を覆うことで、内部筐体(7,7a)内から発生する電磁輻射を抑止する構造となっている。また、これと同時に、本カメラ1の金属製の外装部材の一部(2,4,3,8)は、電気的に導通状態となっており、かつ本カメラ1の内部電気回路のグランド(GND)に接続されている。
【0029】
カメラ1の外装部材のうち左側面カバー4及び電池室蓋2aは、例えばニッケルクロム等のメッキが施された亜鉛ダイキャスト材等の金属部材からなる。また、前カバー2,右側面カバー3,背面カバー8は、例えばステンレス材等の金属部材からなる。そして、前面装飾板5a,5bは、例えばアルミニウム等の金属部材からなる。
【0030】
前カバー2は、上述したように当該カメラ1の前面側周縁部と上面及び底面の各一部を覆うように形成されている。また、前カバー2の前面側の略中央領域には、前面開口2b(図2参照)が形成されている。この前面開口2bは、前面装飾板5a,5bによって塞がれている。
【0031】
前面装飾板5a,5bは、上述したように、前カバー2に対して、その前面開口2bを塞ぐように配置されている。即ち、カメラ本体7の前面に前カバー2を配置した状態のとき、前カバー2の前面開口2bからは、カメラ本体7の前面の一部が露呈している。この前面露呈領域(つまり前面開口2bに対応するカメラ本体7の前面の一部の領域)の周縁部分の前カバー2の表面上には、エラストマ等の絶縁体21が配設されている。
【0032】
カメラ1の前面には、撮影光学系を構成する複数の撮影レンズのうちの第1レンズ20と、閃光発光装置の発光部11とが、外部に露呈するように配設されている。
【0033】
また、カメラ1の上面側には、図1に示すように、シャッターボタン12,電源ボタン13,水検知端子17が配設されている。これらの部材のうちシャッターボタン12,電源ボタン13は、電気的に非導通性の部材であって、例えば樹脂製モールド部品等により形成される接点隔離部材14によって固定保持されている。なお、図2においては、シャッターボタン12,電源ボタン13の図示は省略している(図4参照)。また、水検知端子17は、内部筐体の液密性を確保するための絶縁部材である防水ゴム16を介して接点隔離部材14に固定されるようになっている(この部分の詳細構成は後述する)。
【0034】
接点隔離部材14は、前カバー2の上面に形成される上面開口2cに内側から嵌合するように配置される。接点隔離部材14の長手方向の両端近傍には、それぞれに貫通孔14cが穿設されている。この貫通孔14cのそれぞれには、ネジ14aが挿通されるようになっている。このネジ14aは、カメラ本体7の上面に形成されたネジ穴7cに螺合することで、接点隔離部材14をカメラ本体7上に固定するようになっている。
【0035】
また、接点隔離部材14には、シャッターボタン12,電源ボタン13,水検知端子17が配設される孔部14e,14d,14bが穿設されている。
【0036】
この接点隔離部材14の配置されている部分においては、前カバー2,接点隔離部材14,防水ゴム押圧部材15,防水ゴム16の順に積層された形態でカメラ本体7上に配置されている。そして、接点隔離部材14と防水ゴム押圧部材15との間には、シャッターボタン12,電源ボタン13が配置されている。また防水ゴム16には、金属等の導電性部材により形成される軸状の端子部材である水検知端子17が、所定の形態で固定保持されている。
【0037】
これらの構成を詳述すれば次のようになる。即ち、上述したように、接点隔離部材14は前カバー2の上面開口2cに対し内側から嵌合している。
【0038】
この接点隔離部材14の下面側には、防水ゴム押圧部材15が配置される。この防水ゴム押圧部材15は、金属製等の硬質な平板部材で形成され、各所定の位置には、シャッターボタン12,電源ボタン13,水検知端子17の各軸部を挿通配置するための孔部15e,15d,15aが穿設されている。
【0039】
なお、接点隔離部材14がカメラ本体7に対して前カバー2を介してネジ14aにより固定された状態では、接点隔離部材14の下面が防水ゴム押圧部材15を押圧し、この防水ゴム押圧部材15が防水ゴム16をカメラ本体7に向けて押圧することになる。このときの接点隔離部材14から防水ゴム16へと伝わる押圧力が平面上で均一となるように、防水ゴム押圧部材15は、硬質の平板部材で形成するようにしている。
【0040】
防水ゴム押圧部材15の下面側には、絶縁部材である防水ゴム16が配置される。この防水ゴム16は、ゴム状の弾性を有し防水性を有するシリコン等の素材等で形成される。防水ゴム16には、各所定の位置にシャッターボタン12,電源ボタン13の各軸部先端を受ける凹部16e,16dが形成されている。これら凹部16e,16dのそれぞれには、底面側に向けて突出する下向き凸部16ee,16ddがそれぞれ形成されている。さらに、防水ゴム16には、水検知端子17を挿通保持するための貫通孔16aが形成され上方(上面側)に突出する円筒形状の凸部16bが、上記凹部16dの近傍に形成されている。
【0041】
この防水ゴム16は、カメラ本体7上に載置されている。そのために、カメラ本体7の上面の所定の部位には、防水ゴム16の凹部16eが形成されている部位に対応する凹部7eと、防水ゴム16の凹部16d及び凸部16bが形成されている部位に対応する凹部7dが形成されている。防水ゴム16は、これら2つの凹部7e,7dに液密的に嵌合するようになっている。さらに、凹部7e,7d内には、上記防水ゴム16の下向き凸部16ee,16ddと、水検知端子17の下端部とのそれぞれに対応する貫通孔7ee,7dd,7aaが穿設されている。
【0042】
この場合において、凹部7e,7dは、環状の周壁面7eee,7dddにより形成されている。この周壁面7eee,7dddの断面は、図4に示すように、カメラ本体7の上方に向けた凸形状に形成されている。したがって、上述したように、カメラ本体7の上面に、下から防水ゴム16,防水ゴム押圧部材15,接点隔離部材14の順に配置し、接点隔離部材14をカメラ本体7に対してネジ14aで固定したとき、防水ゴム押圧部材15が防水ゴム16をカメラ本体7に向けて押圧すると、防水ゴム16は弾性変形して、カメラ本体7の周壁面7eee,7dddの凸状の上端に密着する。これにより、接点隔離部材14の孔部14bに配置される水検知端子17の最先端面17aa(露出表面部分)の周囲と、カメラ本体7(内部筐体)の貫通孔7ee,7dd,7aaの周囲との間の液密性が確保されるようになっている。
【0043】
なお、防水ゴム16の下方(底面側)であって、カメラ本体7の内側部分の固定部7a上には、図4に示すように、フレキシブルプリント基板等の電気基板18が固定配置されている。この電気基板18上には、シャッターボタン12に連動するシャッタースイッチ18eと、電源ボタン13に連動する電源スイッチ18dと、水検知端子17に連動する水検知導通部18a(導電パターン)等の電気部品が実装されている。水検知導通部18a上には、板状バネ部材等の弾性部材を断面がクリップ状または略U字形状に形成した接点バネ19が導通状態となるように接触載置されている。この接点バネ19は、水検知端子17と水検知導通部18aとの間を常に導通させるために配置される弾性部材である。
【0044】
ここで、水検知端子17,接点バネ19,水検知導通部18a,電気基板18等は、カメラ1が水中環境にあることを検知するための水中検知手段の一部を構成している。
【0045】
このように接点隔離部材14,防水ゴム押圧部材15,防水ゴム16は、積層された構造となっているのであるが、このうち、接点隔離部材14と防水ゴム押圧部材15との間には、図4に示すように、シャッターボタン12,電源ボタン13が配置されている。
【0046】
この場合において、シャッターボタン12の上面の押圧部位は接点隔離部材14の孔部14eに係合配置されている。これにより、シャッターボタン12は、カメラ1の上面に平行な面内で位置決め規定されている。
【0047】
また、シャッターボタン12の押圧部位から下方(底面側)に延出される軸部は、防水ゴム押圧部材15の孔部15eを挿通し、防水ゴム16の凹部16eに形成される下向き凸部16eeに嵌合している。そして、この下向き凸部16eeは、カメラ本体7の凹部7e内に穿設される貫通孔7eeに挿通された後、カメラ本体7内の電気基板18上のシャッタースイッチ18eに当接している。したがって、これにより、シャッターボタン12を押し下げる操作を行うことでシャッタースイッチ18eが作用するようになっている。
【0048】
そして、シャッターボタン12とシャッタースイッチ18eとの間には、防水ゴム16が介在していることによって、カメラ本体7の液密性が保持されているので、カメラ本体7の内部には水等が外部から侵入することがないような構造となっている。
【0049】
同様に、電源ボタン13の上面の押圧部位は接点隔離部材14の孔部14dに係合配置されている。これにより、電源ボタン13は、カメラ1の上面に平行な面内で位置決め規定されている。
【0050】
また、電源ボタン13の押圧部位から下方(底面側)に延出される軸部は、防水ゴム押圧部材15の孔部15dを挿通し、防水ゴム16の凹部16dに形成される下向き凸部16ddに嵌合している。そして、この下向き凸部16ddは、カメラ本体7の凹部7d内に穿設される貫通孔7ddに挿通された後、カメラ本体7内の電気基板18上の電源スイッチ18dに当接している。したがって、これにより、電源ボタン13を押し下げる操作を行うことで電源スイッチ18dが作用するようになっている。
【0051】
そして、電源ボタン13と電源スイッチ18dとの間には、防水ゴム16が介在していることによって、カメラ本体7の液密性が保持されているので、カメラ本体7の内部には水等が外部から侵入することがないような構造となっている。
【0052】
一方、水検知端子17は、防水ゴム16の凸部16b内の貫通孔16aに挿通配置されている。この場合において、水検知端子17の露出表面部分である最先端面17aa(図3参照)が接点隔離部材14の孔部14b内で外部に対して露呈するように配置されている。つまり、水検知端子17の最先端面17aa(露出表面部分)は、その周囲を接点隔離部材14の孔部14bの内側の壁面にて囲われる形態となっている。したがって、図3,図4に示すように、接点隔離部材14の孔部14bの内側の壁面と、水検知端子17の最先端面17aa(露出表面部分)とによって、凹形状の断面が形成されるようになっている。そして、このときの凹形状の底面が水検知端子17の最先端面17aa(露出表面部分)となっている。
【0053】
水検知端子17は、前カバー2(外装部材)との間に防水ゴム16の凸部16b,接点隔離部材14が介在していることにより、電気的に絶縁状態となっている。換言すれば、接点隔離部材14は、電気的に非導通性の部材で構成されていることから、導電体である前カバー2(外装部材)と水検知端子17(端子部材)との間を絶縁している。
【0054】
ここで、接点隔離部材14の孔部14bは、図4に示すように、その断面が下方(底面側)に向けて広がるようにテーパー状に形成されている。これに対応させて、防水ゴム16の凸部16bの先端部分及び水検知端子17の先端部分近傍は、接点隔離部材14の孔部14bのテーパー状に合わせた形態のテーパー状に形成されている。このような構成とすることにより、接点隔離部材14がカメラ本体7に対して前カバー2を介してネジ14aにより固定されたときには、接点隔離部材14の孔部14b内のテーパー部が、防水ゴム16の凸部16bのテーパー部を介して水検知端子17の側に押圧される。これにより、接点隔離部材14側のテーパー部と、防水ゴム16側のテーパー部とが密着し、この状態で防水ゴム16が押し潰されて弾性変形した状態となる。すると、これにより、接点隔離部材14の孔部14bを介した浸水は防止されるようになっている。
【0055】
防水ゴム押圧部材15は、カメラ1の内部電気回路のグランド(GND)に接続されている。したがって、例えば、接点隔離部材14の孔部14bを介して浸水した場合、この水等を介して水検知端子17と防水ゴム押圧部材15とは、電気的に導通状態になる。つまり、この場合には、水検知端子17(プラス(+)端子)とグランド(GND)とが導通状態となるので、誤検知されてしまうことになる。したがって、上述のように水検知端子17と接点隔離部材14の孔部14bとの間に防水ゴム16を介在させて、接点隔離部材14の孔部14bにおける液密性を確保することにより、誤検知を抑止することができるようになっている。
【0056】
また、水検知端子17の中程の部位は、防水ゴム16の凸部16bによって覆われた状態で、防水ゴム押圧部材15の孔部15aに挿通されている。したがって、これにより、水検知端子17(導電性部材)と防水ゴム押圧部材15(金属製)との間の電気的な導通を遮断している。
【0057】
そして、水検知端子17の下端軸部は、図3,図4に示すように、その軸径が同水検知端子17の中程の部位よりも若干小径となるようにフランジ形状に形成されている。この下端軸部は、カメラ本体7の貫通孔7aaに嵌合しており、少なくとも最下端面を含む一部がカメラ本体7の内部に突設されている。そして、水検知端子17の下端面は、接点バネ19の一端に当接している。このとき、水検知端子17の下端面は、接点バネ19の弾性力に抗して当該接点バネ19の一端を下方(底面側)に向けて押圧している。接点バネ19は、その他端がカメラ本体7内の固定部7aに固設された電気基板18の水検知導通部18a上に接触載置されている。したがって、水検知端子17は、接点バネ19を介して電気基板18の水検知導通部18aとの間で常に導通状態となっている。これにより、水検知端子17はプラス(+)側の端子となっている。
【0058】
上述したように、水検知端子17の最先端面17aaは、接点隔離部材14の孔部14b内に露呈している。この場合において、水検知端子17の最先端面17aaは、図3の符合14Aで示す部位(接点隔離部材14の最上面となる部位=カメラ1の最外面に沿う部位)に対して段差Dを設けて配置されている。この段差Dは、例えば使用者の指等がカメラ1の外装部品の表面、具体的には接点隔離部材14の上面側の表面に触れたとしても、使用者の指等が水検知端子17の最先端面17aaの露呈部分には接触しないだけの寸法となるように設定されている。
【0059】
換言すれば、接点隔離部材14の孔部14b内に配置される水検知端子17の露呈部分は、カメラ1の最外面よりも一段下がった部位、即ち所定寸法の段差Dだけ奥まった部位に配置されるように構成している。これは、例えば使用者の指等が水検知端子17に直接触れてしまうことを防ぐための構成である。
【0060】
例えば、使用者の指等が水検知端子17に触れてしまうということは、該指等は、そのとき同時に、カメラ1のグランド(GND)部分(金属製の外装部材等)にも接触する可能性がある。このような場合には、水検知端子17(プラス(+)端子)とグランド(GND)とが導通状態となるので、誤検知されてしまうことになる。したがって、このような誤検知を防ぐために、上述のように水検知端子17の配置構成が採用されている。
【0061】
また、雨滴のような水分が水検知端子17の最先端面17aaに当たって、接点隔離部材14の孔部14b内に溜まってしまっても、水検知端子17と外装部材とは接点隔離部材14により電気的に隔離絶縁されているので、カメラ1が水中環境下にあると誤検知されることもない。
【0062】
上述したように構成される本実施形態のカメラ1においては、その使用中に通常環境下での使用中に、水中環境下に移行されたときの作用を、以下に簡単に説明する。
【0063】
まず、カメラ1の電源状態がオン状態にされて、通常の環境下で撮影を行い得る通常撮影モード(水中撮影モード以外の撮影モード)に設定されているものとする。
【0064】
この状態にあるカメラ1が、使用者により水中環境下に置かれたとすると、接点隔離部材14の孔部14b内に水等が浸入して水検知端子17が浸漬される。すると、浸入した水等を媒介として、水検知端子17(端子部材)とカメラ1のグランドが接続されている金属製の外装部材とが電気的に導通可能な状態になる。
【0065】
本実施形態のカメラ1にて採用されている水中検知手段は、水検知端子17と本カメラ1のグランド端子(金属製の外装部材の接続先)との間の導電抵抗を測定することにより、水中環境にあるか否かの検知をおこなうようにしたものである。
【0066】
つまり、カメラ1が電源オン状態にされているときには、本カメラ1の制御回路は、水検知端子17と本カメラ1のグランド端子との間の導電抵抗を、例えば所定の時間間隔を置いて測定し続けている。
【0067】
上述したように、カメラ1が水中環境下に置かれて、水検知端子17と金属製の外装部材とが水等を介して電気的に導通状態になると、本カメラ1の制御回路は、カメラ1が水中環境下に置かれたと判断して、設定されている撮影モードを、通常撮影モードから水中撮影モードへと自動的に切り換える制御を行う。
【0068】
ここで言う水中撮影モードへの切り換え制御の具体例としては、ホワイトバランス等の撮影に関する複数項目の設定のそれぞれを水中撮影に適した設定に一括して切り換える制御を行うこと等を挙げることができる。
【0069】
一方、水中環境下に置かれ使用中のカメラ1が、水中から取り出されて、通常環境下に置かれたとする。カメラ1の制御回路は、上述したように、水検知端子17と本カメラ1のグランド端子との間の導電抵抗を測定し続けている。したがって、同制御回路は、水検知端子17と金属製の外装部材との導電抵抗の測定結果の変化によって、両者間が電気的に非導通状態になったことを検知する。これを受けて、同制御回路は、カメラ1が水中環境下から水中以外の環境下、例えば通常環境下に戻されたと判断して、設定されている撮影モードを、水中撮影モードから通常撮影モードへと自動的に切り換える制御を行う。
【0070】
なお、この場合においては、水中撮影モードから復帰させる撮影モードを通常撮影モードとする制御としているが、これに限ることはなく、例えば、前回水中撮影モードに切り換わった際に、その直前に設定されていた他の撮影モードを記憶しておくようにし、その撮影モードに復帰させるような制御としてもよい。
【0071】
このようにして、本カメラ1の制御回路は、カメラ1の置かれている環境が水中環境であるか否かを判断して、水中環境下にあると判断した場合には自動的に水中撮影モードへの切り換え設定を行うようにしている。また、水中環境下から水中以外の環境下に変化したと判断された場合には、設定されている水中撮影モードを解除して、例えば通常撮影モード等、水中撮影モード以外の撮影モードに復帰させる切り換え設定を行うようにしている。
【0072】
したがって、これにより、使用者は、使用中のカメラ1の撮影モードの設定変更操作を意識する必要がなく、水中環境下での使用時には、適切な水中撮影モードが自動的に設定されるので、設定操作に煩わされることなく、撮影に専念することができるようになる。
【0073】
以上説明したように上記一実施形態によれば、水検知端子17を接点隔離部材14の孔部14b内に配置する際に、水検知端子17の最先端面17aaの露呈部分は所定の寸法Dだけ奥まった部位に配置されるように構成している。これにより、例えば使用者の指等が水検知端子17に直接触れてしまうことを防ぎ、よって誤検知を防止することができる。
【0074】
接点隔離部材14と水検知端子17との間に防水ゴム16を介在させるようにし、かつ接点隔離部材14と防水ゴム16とが接触する両部材の対応部位をテーパー状に形成することにより、接点隔離部材14をカメラ本体7に対してネジ止め固定する際に生じる押圧力が、接点隔離部材14から防水ゴム16に対して効率的にかかるようすることができ、よって、接点隔離部材14と水検知端子17との間の水密性が確保されて接点隔離部材14の孔部14bから内部への浸水を防ぐことができる。したがって、水検知端子17と防水ゴム押圧部材15との間に浸水して両者間が導通状態となることを防ぐことができるので誤検出が生じることがない。
【0075】

なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、静止画撮影用のカメラや動画撮影用のビデオカメラ等、水中での使用を可能とした構成の撮像機器だけでなく、水中使用を可能としかつ撮像機能を備えた携帯電話等の各種の電子機器に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1……撮像機器
2……前カバー
2a……電池室蓋
2b……前面開口
2c……上面開口
3……右側面カバー
4……左側面カバー
5a,5b……前面装飾板
7……カメラ本体
7a……固定部
7b……本体背面部材
8……背面カバー
12……シャッターボタン
13……電源ボタン
14……接点隔離部材
14b……孔部
15……防水ゴム押圧部材
16……防水ゴム
17……水検知端子
17aa……最先端面
18……電気基板
18a……水検知導通部
18d……電源スイッチ
18e……シャッタースイッチ
19……接点バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中で撮影可能な撮像機器において、
電気的導電性を有する外装部材と、
外部に露出する露出表面部分を有し、水を介して上記外装部材と電気的に導通可能な端子部材と、
電気的に非導通性の部材からなり、上記外装部材と上記端子部材とを電気的に絶縁し、上記露出表面部分の周囲を囲む壁面を有し、上記露出表面部分の高さより該壁面の高さが高い形状となっている接点隔離部材と、
を具備することを特徴とした撮像機器。
【請求項2】
水中で撮影可能な撮像機器において、
電気的導電性を有する外装部材と、
貫通穴を有し、内部に配置された内部筐体と、
内部に上記貫通穴を介して電気的に導通し、外部に露出する露出表面部分を有し、水を介して上記外装部材と電気的に導通可能な端子部材と、
電気的に非導通性の部材からなり、上記外装部材と上記端子部材とを電気的に絶縁し、上記露出表面部分の周囲を囲む壁面を有し、上記露出表面部分の高さより該壁面の高さが高い形状となっている接点隔離部材と、
ゴム状の弾性を有する素材からなり上記端子部材の上記露出表面部分を外部に露出させ、上記接点隔離部材により押圧され、上記露出表面部分周囲と上記内部筐体の上記貫通穴周囲との間を液密とする絶縁部材と、
を具備することを特徴とした撮像機器。
【請求項3】
上記壁面と上記露出表面部分とにより凹形状を形成し、該凹の底面に上記露出表面部分を配置したことを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の撮像機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−161734(P2010−161734A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3876(P2009−3876)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】