撮像素子冷却ユニット、撮影レンズユニットおよび電子機器
【課題】撮像素子等の熱源を効率よく冷却し、また、組み立てが複雑とならず、小型化が可能な撮像素子冷却ユニットを提供する。
【解決手段】撮像素子冷却ユニット30は、撮像素子支持板22に固着されて支持される撮像素子21と、放熱機能を有するヒートパイプ31,32と、熱伝導面となる両面に第1の熱伝導シート41と第二の熱伝導シート42とが接合される熱電変換素子63とを具備しており、撮像素子21の反撮像面側に上記第1の熱伝導シート41が接合され、ヒートパイプ31,32の撮像素子側に第二の熱伝導シート42が接合された状態で熱電変換素子63が挟持して支持され、さらに、ヒートパイプ31,32には、撮像素子支持板22との間に断熱部材44,45を介在させ、さらに、循環流体流路を配置する。
【解決手段】撮像素子冷却ユニット30は、撮像素子支持板22に固着されて支持される撮像素子21と、放熱機能を有するヒートパイプ31,32と、熱伝導面となる両面に第1の熱伝導シート41と第二の熱伝導シート42とが接合される熱電変換素子63とを具備しており、撮像素子21の反撮像面側に上記第1の熱伝導シート41が接合され、ヒートパイプ31,32の撮像素子側に第二の熱伝導シート42が接合された状態で熱電変換素子63が挟持して支持され、さらに、ヒートパイプ31,32には、撮像素子支持板22との間に断熱部材44,45を介在させ、さらに、循環流体流路を配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子冷却ユニット、または、撮像素子冷却ユニットを内蔵する撮影レンズユニットおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器にて、例えば、撮像素子一体型レンズ交換式カメラやカメラヘッド内に撮像素子や制御回路(CPU)を配備する場合、防塵性を持たせた上、さらに、カメラヘッド等に放熱構造を備える必要がある。しかしながら撮像素子や制御回路(CPU)などの電子部品を防塵構造とすると、撮像素子や制御回路(CPU)などで発生した熱を外部へ放熱するのが困難となる。この熱対策を怠ると撮像素子やCPUの温度が上昇して雑音レベルが上がり、画質の劣化を引き起してしまう。この熱対策として例えば、ゼーベック効果素子からなる熱電変換素子を適用したものが特許文献1に提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された撮影装置は、該装置の駆動により発熱するCPUによってゼーベック効果素子(熱電変換素子)が加熱され、該ゼーベック効果素子に発生する熱起電力によってプロペラファンを駆動し、CPU等の冷却を行うものである。
【0004】
非特許文献1には、金型やパソコンなどの冷却用として用いられるウィック(毛細管現象発生手段)を適用したヒートパイプの構造について記載されている。図14は、該ヒートパイプの断面図であって、ヒートパイプ501は、外周が銅製パイプ502で覆われ、一方部が吸熱部501a、他方部が放熱部501bとなる。内部には、毛細管作用をする構造のウイック部503と、ウイック部503内部に蒸気通路505が配されている。蒸気通路505の吸熱部501a側は、気化部504となり、蒸気通路505の放熱部501b側は、凝縮部504となる。
【特許文献1】特開2006−337531号公報
【非特許文献1】ヒートパイプのカタログ(日本金型産業株式会社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、上記ゼーベック効果素子が上記CPUに対して近接した状態で配置されているとだけ記載されており、高速駆動により発生する撮像素子からの熱を効率よく冷却するための具体的な配置が示されていない。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、例えば、携帯または据え置き式撮像ユニットなどの電子機器において、撮像素子等の熱源を効率よく冷却し、また、組み立てが複雑とならず、小型化が可能な撮像素子冷却ユニットおよび該撮像素子冷却ユニットを適用する撮影レンズユニットや電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の撮像素子冷却ユニットは、撮像素子支持板に固着されて支持される撮像素子と、放熱機能を有する放熱部材と、第一の熱伝導シート材および第二の熱伝導シート材と、熱伝導面となる両面にそれぞれ上記第一の熱伝導シート材と上記第二の熱伝導シート材とが接合される熱電変換素子と、を具備しており、上記撮像素子の反撮像面側に上記第一の熱伝導シート材が接合され、放熱部材の撮像素子側に上記第二の熱伝導シートが接合された状態で上記熱電変換素子が挟持して支持され、さらに、上記放熱部材には、上記撮像素子支持板との間に断熱部材を介在させ、さらに、循環流体流路を配置する。
【0008】
本発明の請求項2記載の撮像素子冷却ユニットは、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットにおいて、上記循環流体流路は、吸熱部および放熱部を有するウイック付きヒートパイプからなり、上記第二の熱伝導シートは上記ヒートパイプの吸熱部に接合するとともに上記断熱部材に上記ヒートパイプの放熱部を接合する。
【0009】
本発明の請求項3記載の撮像素子冷却ユニットは、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットにおいて、上記循環流体流路は、水冷ヒートパイプと圧電ポンプとを具備している。
【0010】
本発明の請求項4記載の撮像素子冷却ユニットは、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットにおいて、さらに、撮影レンズ内に設けられた所望のレンズ群を駆動するためのフォーカス駆動用アクチュエータとレンズマウントとを具備する。
【0011】
本発明の請求項5記載の撮影レンズユニットは、請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、撮影レンズの装着されるレンズ鏡枠部とを具備する。
【0012】
本発明の請求項6記載の電子機器は、請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、上記撮像素子冷却ユニットおよび防塵機構部を制御するためのボディ制御用制御回路と、機器本体に着脱可能な撮影レンズとを有する。
【0013】
本発明の請求項7記載の電子機器は、請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、機器本体から着脱可能な撮影レンズとを有する。
【0014】
本発明の請求項8記載の電子機器は、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットと、上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、上記撮像素子を撮影レンズからの入射する光束の光軸に対して垂直な2次元方向に移動する撮像素子シフト駆動機構と、を有しており、上記撮像素子支持板および上記放熱部材は、上記撮像素子シフト駆動機構の移動部材に配されている。
【0015】
本発明の請求項9記載の電子機器は、ライブビュー機能を有する電子機器であって、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットと、上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、上記撮像素子の近傍に配される温度センサとを有し、上記ボディ制御用制御回路は、上記温度センサにより検出される温度が所定値以上であるとき、ライブビュー動作を停止し、排気ファン、または、圧電ポンプを駆動する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高速駆動により発生する撮像素子からの熱を効率よく、冷却し、かつ、組み立てが複雑とならず、小型化も可能な撮像素子冷却ユニットおよび該撮像素子冷却ユニットを適用する撮影レンズユニットや電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の第一の実施形態である撮像素子冷却ユニットを適用する電子機器としての一眼レフデジタルカメラ(以下カメラと記載する)の要部の光軸を含む縦断面図である。図2は、上記デジタルカメラに内蔵される撮像素子ユニットまわりの断面図である。図3は、上記撮像素子ユニットの拡大断面図である。図4は、上記撮像素子ユニットに配される熱電変換素子の構造を示す模式図である。図5は、内蔵される排気ファンおよび吸排気口の配置を示す上記カメラの斜視図である。図6は、カメラの電気制御システムについてのブロック構成図である。
【0019】
なお、以下に説明するカメラの撮影レンズの光軸は、各図中「O」で示す。また、以下の説明で光軸の被写体側を前方側とし、撮像面側を後方側(背面側)として説明する。
【0020】
本実施形態のカメラ(カメラボディ)1は、交換レンズ鏡筒15が着脱可能な一眼レフデジタルカメラであって、ファインダモード(被写体像観察モード)として光学ファインダ装置による光学ファインダモードと液晶モニタによるライブビューモードとを選択可能なカメラである。
【0021】
カメラ(カメラボディ)1は、図1に示すように下記の各構成部材を収容するカメラ外装カバー2と、カメラ外装カバー2に固定支持され、光軸に沿った中央開口部4aを有するカメラ構造体4と、上記交換式レンズ鏡筒15が着脱されるボディマウント3と、さらに、カメラ構造体4の中央開口部4aの後方に光軸上に沿って配置される構成部材として、メインミラー5と、フォーカルプレーン式シャッタ6と、ヒートパイプを適用する冷却式の撮像素子ユニット8とを備えており、さらに、カメラ構造体4の上側に固定支持され、光学ファインダ装置を構成する部材としてフォーカシングスクリーン9と、ペンタプリズム10と、接眼レンズ11とを有している。さらに、カメラ外装カバー2の背面側のモニタ表示窓13の内方に電子ビューファインダ(液晶表示装置)としての液晶モニタ12と、排気ファン65(図5)と、後述する防塵機構部を駆動する圧電素子26と、カメラ本体内部に設けられた各機能を制御し、後述するレンズ制御用マイクロコンピュータ76を制御するボディ制御用制御回路であるボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bμcomと記載する)61とを含む電気制御部(図6)とを備えている。
【0022】
交換レンズ鏡筒15には、撮影レンズ14と、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと記載する)76を含む電気制御部(図6)とが内蔵されている。
【0023】
ボディマウント3は、カメラ構造体4の前面に当て付けた状態で固定される。メインミラー5は、被写体光束を上方のフォーカシングスクリーン側に反射する斜設位置と光軸Oの被写体光路上から退避した退避位置とに回動駆動される。シャッタ6は、光軸O上であって斜設位置にあるメインミラー5の後方位置に配される。
【0024】
カメラ構造体4は、ボディマウント3の他に撮像素子ユニット8やファインダ装置等を支持する枠体であって、軽量化およびコスト低減が可能であって、さらに、熱伝導率の高い素材として炭素繊維などのフィラーが混入させているポリカボネート樹脂やPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂が適用される。そして、カメラ構造体4は後述の撮像素子支持板22と結合され、内蔵潜熱蓄熱体4bにより撮像素子21周辺の熱を蓄積する機能を有する。この潜熱蓄熱体4bを設けることにより放熱板を別途配置するスペースが不要となる。
【0025】
潜熱蓄熱体4bは、カメラ構造体4にインサート成形により熱的に結合されて配される。潜熱蓄熱体4bの壁面に凹凸形状の補強リブ4cが設けられている。補強リブ4cにより潜熟畜熱体4bが液化した状態におけるカメラ構造体4の強度が確保される。
【0026】
潜熟畜熱体4bを構成する有機系蓄熱材は、パラフィンまたは熱伝導性の高い炭素繊維およびゲル材が充填されたバラフィンで形成され、このパラフィンや無機水和塩などの芯材を容器で被覆した畜熱マイクロカプセルで構成される。この蓄熱クロカプセルは、撮像素子21の使用限界温度以下、例えば、50°〜60°Cで、相変化して融解可能とする。
【0027】
通常の撮影状態において、撮像素子21から発生した熱は、後述する上方に上昇し、カメラ外装カバー2の排気口2b(図5)から外部へ放出される。したがって、カメラ構造体4のペンタプリズム10の右側に位置する補強リブ4c付近が上昇するが、この潜熱蓄熱体4bによって蓄熱することができるので、撮像素子21の周辺温度が著しく上昇するのを抑え、インサート成形による合成樹脂のカメラ構造体4を用いた場合にはボディマウント3の全端面から撮像素子の結像面までの距離(フランジバック)の精度が高精度に確保される。
【0028】
撮像素子ユニット8は、図2,3に示すように後述する撮像素子21の前面側に配される防塵機構部と、シャッタ6の後方位置に配され、カメラ構造体4に密着して直接的に支持される撮像素子支持板22に支持される撮像素子冷却ユニット30とからなる。
【0029】
上記防塵機構部は、図2に示すようにカメラ構造体4に固定される基台23と、基台23により弾性体からなる支持部材27を介して支持される保護ガラス24と、ゴム枠23aを介して保護ガラス24の先端部に装着される圧電素子26と、基台23の裏面側に押さえ板により押さえられた状態で支持される光学フィルタ25からなる。この防塵機構部により保護ガラス24および基台23で囲まれた撮像素子21の撮像面側表面への埃の侵入が防止される。さらに、圧電素子26により保護ガラス24が振動駆動されると保護ガラス24上の付着したゴミが除去される。そして、図6には図示されていないが、Bμcom61は圧電素子駆動回路を介して防塵フィルタ24の周縁部に取り付けられた電極を有している圧電素子26を駆動し、その振動により防塵フィルタ24の表面に付着した埃を除去し得る構成とする。
【0030】
上記撮像素子冷却ユニット30は、撮像素子支持板22と、極めて薄い絶縁シート28を介して撮像素子支持板22に非撮像面(裏面)側が接着固定される撮像素子21と、撮像素子21の非撮像面側に取り付け接続され、撮像回路基板36にコネクタ39を介して接続される接続フレキシブルプリント基板(以下、接続FPCと記載する)35と、絶縁シート28の背面側に熱伝導シートを介して密着して配される熱電変換素子63と、撮像素子支持板22に支持され、熱電変換素子63の後面に配される後述する冷却部と、撮像回路基板36に装着される温度センサ62と、さらに、撮像素子支持板22の後方に配される撮像回路基板36とからなる。
【0031】
撮像回路基板36には、CPUからなるカメラボディ側制御部であるBμcom61やインターフェース回路部品や画像処理回路部品等が実装される。
【0032】
撮像素子支持板22は、アルミニウム板、あるいは、ステンレス鋼板で形成され、撮像素子21を保持すると共に撮像素子の放熱機能も有しており、カメラ構造体4の背面部に固定して取り付けられる。撮像素子支持板22は、撮像素子21側の絶縁シート28に対向する開口部22aを有している。
【0033】
なお、撮像素子支持板22は、カメラ構造体4と同一材料である熱伝導率の高い素材であって、炭素繊維などのフィラーを混入させたポリカボネートやPPS樹脂を適用してもよい。上記PPS樹脂には、球状黒鉛と非結晶(ガラス)繊維やカーボン繊維が充填されたポリフェニレンサルファイド樹脂の成型品を適用する。
【0034】
絶縁シート28は、所定寸法の極めて薄い厚みを有するシートであり、接着剤塗布用孔が設けられる。
【0035】
接続FPC35は、絶縁シート28に対向する部分が開口部となっており、両端部が撮像回路基板36の接続コネクタ部39に接続されている。
【0036】
撮像素子21は、ベアチップタイプ(非パッケージ)の撮像素子であって、接続FPC35に接続された状態の撮像素子21の非撮像面側(光電変換面である撮像面の裏面側)に絶縁シート28を貼り付けた状態で撮像素子支持板22の前面側に接着固定される。
【0037】
なお、カメラ構造体4に対して撮像素子支持板22は、光軸と直交する方向の位置が精度よく位置決めされており、カメラ構造体4の前面側に固着されるボディマウント3の前端面から撮像素子支持板22上の撮像素子21の撮像面までの距離(フランジバック)の精度は、撮像素子21がベアチップであることも加味されて高精度が確保される。
【0038】
熱電変換素子63は、図4に示すように使用温度領域が低温のBi2Te3のN型半導体63aとP型半導体63bが接合された形成されるセラミックス熱変換モジュールからなり、熱伝導面となる両面に電極63c,63dが配され、該電極に熱伝導シート63e,63fが接合されている。熱電変換素子63の厚みは3mm程度である。一方の絶縁シート63e側が高温側に配され、他方の絶縁シート63f側が低温側に配される。熱電変換素子63の撮像素子21側と上記冷却部側の両側表面に放熱部材である熱伝導シート41,42が貼付されている。熱電変換素子63は、熱伝導シート41を絶縁シート28側に密着させる。ここでは絶縁シート28と熱電変換素子63との間に、熱伝導シート材41(図4では63e)介在させたが、撮像素子21の背面側に絶縁シート28が接合されていない場合には直接、熱伝導シート材28を接合することも可能である。
【0039】
熱伝導シート41,42は、例えば、弾性変形可能な熱伝導シート材であるシリコンゴムシート、金属繊維を含有するポリアミド樹脂シート、あるいは、グラファイトシート等が適用可能である。
【0040】
カメラ1において、撮影動作中、撮像素子21が動作している状態で温度上昇し、熱電変換素子63の電極41c,41d間に温度差が生じると、ゼーベック効果により熱起電力が発生し、電極41cより電力が出力される。Bμcom61の制御のもとで熱電変換素子63からの電力により排気ファン65を駆動し、カメラ外装カバー2内の排気が行われ、撮像素子21を含む内部制御要素の冷却が行われる。この制御動作の詳細については後でフローチャートを用いて説明する。
【0041】
上記冷却部は、図3に示すように撮像素子支持板22に断熱部材44,45を介在して支持されるユニットであって、蒸発部と凝縮部とを備えた循環流体流路を形成するヒートパイプ31,32と、ヒートパイプ31,32の前後面に密着して配される伝熱板33,34とからなる。ヒートパイプ31,32は、複数対からなり、撮像素子支持板22の後方側に開口部22aを跨いで隙間のある状態で対向して配置される。
【0042】
ヒートパイプ31と32は、同一断面形状の部材であり、非特許文献1に記載される図14のヒートパイプが適用可能である。ヒートパイプ31は、棒状、かつ、円形断面を有する銅製パイプ材からなるコンテナ31aと、該パイプ材内に沿って配される毛細管作用をする構造をもつウイック31bと、該ウイック内部に形成される蒸気通路部とからなる。コンテナ31aは、密封されており、ウイック31b内に純水、メタノール、アンモニア水、または、公知の潜熱蓄熱体や高温度(例えば、59°C)で発色開始および記憶可能な可逆熱変色性顔料を内包したマイクロカプセルの分散液等の作動流体である作動液を封入されている。上記蒸気通路部は、一端側(ヒートパイプ対向側)の蒸発部31cと他端側の凝縮部31dとからなる。なお、ヒートパイプ外径(コンテナ31aの外径)が1〜2mmであるものを適用する。
【0043】
ヒートパイプ32もヒートパイプ31と同様にコンテナ32aとウイック32bと一端側の蒸発部32c、他端側の凝縮部32dとからなる蒸気通路部とを有している。また、伝熱板33,34はアルミニウム材やステンレス鋼材等の金属材料、またはフィラー入りPPS樹脂からなる一対の高熱伝導性材料を適用する。
【0044】
伝熱板33,34の中央部には、開口部33aと伝熱板34には放熱フィン34aが形成されている。この開口部33aにより伝熱板33の内部に淀む熱が排出される。
【0045】
ヒートパイプ31,32は、撮像素子支持板22の背面側に収納され、該ヒートパイプの放熱フィン34aを有する伝熱板34が接合された凝縮部31d側と32d側が撮像素子支持板22に直接、断熱部材44,45を介して接着固定される。そして、ヒートパイプ31,32の撮像素子支持板22のシリコンゲル剤46が埋め込まれた開口部22a側であって、ヒートパイプが互いに対向する側の端部である蒸発部31c、および、32cの光軸方向前後面を光軸直交平面に沿った伝熱板33,34の凹部で挟持した状態で熱伝導性のよい紫外線硬化型接着剤、または、高熱伝導性合成樹脂シートと接着剤により接合される。
【0046】
上述した構成を有する撮像素子冷却ユニット30において、撮像動作により撮像素子21が駆動電流により加熱された場合、撮像素子21の熱は、絶縁シート28、熱電変換素子63に伝わり、さらに、伝熱板33に吸収される。伝熱板33の熱は、ヒートパイプ31,32の蒸気通路部の蒸発部31c,32cに伝わる。蒸発部31c,32cにてウイック31b,32bにより搬送された作動液が加熱され、蒸気となる。その蒸気は、撮像素子支持板22の凹部22bに支持されている断熱部材44,45および放熱フィンを有する伝熱板34の凝縮部31d,32dに搬送される。そして凝縮部31d,32dに到達した蒸気の熱は放熱フィン34aの表面が隙間を流れる外部からの空気流により冷却されて凝縮部31d、32dで液体化する。その液体化した作動液は、ウイック31bを通して再度蒸発部31c,32cに搬送され、吸放熱サイクルが繰り返される。このような吸放熱作用によって撮像素子21の熱は、吸収され、温度上昇が抑えられる。
【0047】
撮像素子21の近傍の撮像素子冷却ユニット30の撮像素子21の背面側近傍には温度センサ62が取り付けられている。温度センサ62により撮像素子21近傍が所定の温度に達したことが検出された場合、熱電変換素子63より出力される熱起電力によって排気ファン65の運転が開始される。
【0048】
カメラ1の外装カバー2には、図5に示すように背面部、底面部に吸気孔2a,2b,が設けられている。さらに、カメラグリップ部2dの反対側の側面部に排気孔2cが設けられている。排気孔2cの内側に排気ファン65が配されている。なお、吸気孔2a,2b、排気孔2cの内側には通気性を有するスポンジ状のフィルタ部材が外装カバー2内面に密着させて配されている。これらフィルタ部材を備えることで、塵埃等が吸気孔2a,2b、排気孔2cからカメラ1内に入り込むことが防止される。また、吸気孔2a,2bは、撮像回路基板36や液晶モニタ12の近傍に配されており、排気ファン65の駆動時には吸気孔2a,2bから吸い込まれた空気が撮像回路基板36や液晶モニタ12を冷却してさらにその近傍の側方に配される排気孔2cを通って外部に排出される。
【0049】
なお、外装カバー2には、グリップ部2dの上面部にシャッタボダン53や露出補正ボタン54を備え、さらに、パワースイッチを含むモードダイヤル55やコントロールダイヤル56を備えている。背面部に液晶モニタ12を備える。この液晶モニタ12は、撮影画像の他に各種設定・調整内容を表示するTFTタイプのモニタからなり、背面側面積の半分程度を占める大型の矩形状表示パネルである。また、背面側から見て液晶モニタ12の左側に再生ボタン、消去ボタン、メニューボタ情報表示ボタン等を備える。さらに、背面側の液晶モニタ12の上部に、撮影時に操作者が覗く光学ファインダ接眼部57や、外付けフラッシュを取り付けるホットシュー58を備えている。
【0050】
本実施形態のカメラ1の電気制御システムについて図6のブロック構成図を用いて説明する。本実施形態のカメラ(カメラボディ)1には、アクセサリ装置の一つである交換レンズ鏡筒15が装着可能である。
【0051】
交換レンズ鏡筒15は、カメラ1の前面に設けられた図示しないレンズマウントを介して着脱自在である。レンズ鏡筒15の制御は、自身が有するレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと記載する)76が行う。一方、カメラ1(カメラボディ)1の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bμcomと記載する)61が行う。これらLμcom76とBucom61とは、カメラ(カメラボディ)1にレンズ鏡筒15を装着した状態において通信コネクタ75を介して通信可能に接続される。上記接続状態でLμcom76がBucom61に従属的に協働する。
【0052】
交換レンズ鏡筒15は、制御要素としてLμcom76の他に撮影レンズ14を進退駆動するためのレンズ駆動回路77と、絞り開閉駆動するための絞り駆動回路と、撮影レンズ駆動用モータおよび絞り駆動用モータとを備える。
【0053】
カメラ(カメラボディ)1は、制御要素としてBμcom61の他にBμcom61により制御される制御要素として被写体輝度検出用測光回路66と、被写体距離を検出し、合焦データを得るためのAF回路67と、メインミラー5を駆動するためのミラー駆動回路68と、シャッタ6を駆動制御するためのシャッタ制御回路69と、撮像素子21と、撮像素子制御回路71と、液晶表示装置73(液晶モニタ12)と、液晶表示装置制御回路72と、画像データ記録用のメモリ74と、撮像素子制御回路71、液晶表示装置制御回路72、メモリ74を制御する画像処理コントローラ70と、さらに、撮像素子近傍の温度を検出する温度センサ62と、熱電変換素子63と、熱電変換素子63の出力電圧を昇圧するDC/DCコンバータ64と、DC/DCコンバータ64の出力電圧によりBμcom61により制御される駆動回路65aによって駆動される排気ファン65と、ファインダモード設定スイッチを含む操作スイッチ群80とを備えている。なお、撮像素子制御回路71、液晶表示装置制御回路72は、前述した撮像回路基板36に実装されており、発熱体となるAFEIC等を有している。
【0054】
上述した構成を有するレンズ鏡筒装着状態のカメラ1における排気ファン動作を含む撮影動作の処理について図7のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
カメラ1においてパワースイッチがオンされると、Bμcom61の制御のもとで図7のメイン処理が立ち上げられ、制御動作が開始される。まず、ステップS100にてシステム(各制御要素)の初期化がなされ、撮影に関する各種の制御が開始される。
【0056】
ステップS101では、操作スイッチ群80のファインダモード設定スイッチ(SW)が操作されたかをチェックし、ファインダモードの切り換え操作がなされたかを判別する。ファインダモードの切り換え操作があった場合、ステップS102に進み、切り換え操作がなかった場合は、ステップS107にジャンプする。
【0057】
ステップS102では、設定されたファインダモードを確認して、光学ファインダモードであった場合は、ステップS103へ、ライブビューモードであった場合は、ステップS105に進む。
【0058】
ステップS103ではファインダモードをライブビューモードに設定し、撮像素子21を駆動して被写体像を電気的撮像信号に変換し、その撮像信号による画像を液晶表示装置73(液晶モニタ12)に表示させ、ステップS104でメインミラー5をアップ位置へ移動してステップS101に戻る。
【0059】
一方、ステップS105ではファインダモードを光学ファインダモードに設定し、上記ライブビューモード動作を中止させ、ステップS106でメインミラー5をダウン位置へ移動して光学ファインダ観察状態としてステップS101に戻る。
【0060】
ステップS101でファインダモードの切り換え操作がなかったことが確認され、ステップS107にジャンプした場合、撮像素子21の近傍に配置された温度センサ62の検出温度Tが第一の設定温度T2 を超えたかを判別する。この設定温度T2 は、例えば、60〜70℃に設定されている。検出温度Tが設定温度T2 を超えている場合は、ステップS108に進み、超えていない場合は、ステップS114に進む。
【0061】
ステップS108では、現在設定されているファインダモードがライブビューモードであるかをチェックし、ライブビューモードでない場合は、そのままステップS112にジャンプするが、ライブビューモードであった場合には、ステップS109に進む。
【0062】
ステップS109では、ファインダモードを光学ファインダモードに切り換え、ステップS110でメインミラー5をダウン位置へ移動させて光学ファインダ観察が可能な状態とし、ライブビューモード動作を中止させ、ステップS111に進む。
【0063】
ステップS111では熱電変換素子63の熱起電力による排気ファン65の駆動が開始される。排気ファン65の排気により撮像素子支持板22の周囲の加熱された空気が排気孔2cより排気され、発熱体である撮像素子21やAFEIC素子が強制冷却される。さらに、排気ファンの駆動時において、DC−DCコンバータ64から出力する電力が不足した場合には2次電池から補助供給することが好ましい。また、Bμcom61は、状況に応じて、例えば、撮像素子の温度が所定温度以下に下がったときになどにバッテリ(図示されていない)からの電力を用いて排気ファン64を駆動し、撮像素子の周辺温度を強制的に下げる。
【0064】
その後、ステップS112で温度センサ62の検出温度Tが第二の設定温度T1 以下に下がったかが判別が行われる。この設定温度T1 は、検出温度の変化を示す図8に示すように第一の設定温度T2 に対してヒステリシスを持たせ、所定の温度差ΔTだけ低い温度に設定されており、排気ファン65のオン/オフ動作が不安定になることを防止している。
【0065】
上記ステップS112の判別で検出温度Tが設定温度T1 より低くなったことが確認された場合、ステップS113に進み、排気ファン65の駆動を停止させ、ステップS101に戻り、再度ファインダモードの切り換え操作のチェックを行う。
【0066】
ステップS107における検出温度Tの判別で設定温度T2 を超えていないことが確認され、ステップS114に進んだ場合、レリーズスイッチが操作されたかを判別し、操作された場合は、ステップS115に進み、AEまたはAFの撮影準備動作が実行され、さらに、ステップS116に進み、撮影動作が実行される。その後、ステップS101に戻る。また、上記レリーズスイッチが操作されなかった場合は、ステップS117に進む。
【0067】
ステップS117ではパワースイッチのオン/オフをチェックし、オンの場合は、ステップS101に戻るが、オフ状態の場合は、ステップS118にてシステムを停止させ、本ルーチンを終了する。
【0068】
上述した第一の実施形態のカメラによれば、撮像素子等の発熱部近傍に熱電変換素子を配し、該熱電変換素子の熱起電力を用いて排気ファンを駆動し、カメラ内蔵電池の電力を消費することなく、撮像素子等の発熱部を効率よく冷却することができ、また、組み立てが複雑とならず、小型化も可能なカメラを提供することができる。
【0069】
次に本発明の第二の実施形態の撮像素子冷却ユニットについて、図9,10を用いて説明する。
図9は、本実施形態の撮像素子冷却ユニットを構成する撮像部の光軸を含む縦断面図である。図10は、上記撮像素子冷却ユニットを構成し、上記撮像部に連結される放熱部の断面図である。
【0070】
本実施形態の撮像素子冷却ユニットは、交換式撮影レンズの鏡筒部(図示せず)が着脱可能な、手ぶれ補正機能を有する一眼レフデジタルカメラに適用可能な撮像素子冷却ユニットであって、撮像部160と放熱部190とからなる。撮像部160は、カメラ構造体(図示せず)によって光軸と直交する平面上移動可能な状態で支持され、撮影時に手ぶれ駆動機構部(例えば、本出願人による特願2006−222709号の図3,4に示される)により手ぶれ状態に対応して上記平面上を駆動される。放熱部190は、上記カメラ構造体に対して固定支持される。
【0071】
本実施形態の撮像素子冷却ユニットの撮像部160は、図9に示すよう固定部材である上記カメラ構造体に対して上記直交平面上を移動可能に支持される移動部材である移動枠164と、ボディ制御用マイクロコンピュータの指示に基づいて、移動枠164を移動させるための撮像素子シフト機構および撮像素子シフト機構を駆動する駆動回路(図示せず)と、移動枠164の後面に固着される撮像素子支持板166と、移動枠164に撮像素子支持板166を介して固着される基板押さえ板171と、絶縁シート167を介して撮像素子支持板166の前面側に接着固定される撮像素子162と、撮像素子162や該撮像素子を駆動するためのタイミングジェネレータを含むインターフェースIC素子172、温度センサ173等が実装され、基板押さえ板171に保持される中央開口部を有する接続FPC(フレキシブルプリント基板)168と、撮像素子162の撮像面側に保護ガラス支持用押さえ板165を介して移動枠164に支持される保護ガラス163と、撮像素子162の反撮像面側に絶縁シート167を介して装着される熱電変換素子151と、撮像素子支持板166および基板押さえ板171の背面側に固着される伝熱板175,176と、伝熱板175,176に挟持される複数本(例えば、5本)の循環流体流路を形成する棒状ヒートパイプ(蒸発部)174と、伝熱板176の背面側に固着される放熱板177と、さらに、ヒートパイプ(蒸発部)174の蒸気送出側S1 に接続されるベローズ接続管183と該接続管に接続される可撓性合成樹脂管182、および、ヒートパイプ(蒸発部)174への作動液流入側S2 に接続されるベローズ接続管185と該接続管に接続される可撓性合成樹脂管184からなる。
【0072】
移動枠164は、球状黒鉛と非結晶(ガラス)繊維やカーボン繊維が充填されたPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂からなる部材である。また、基板押さえ板171は、薄いアルミニウム板、または、ステンレス鋼板からなる。そして、接続FPC168は、基板押さえ板171によって振れ防止状態で保持されている。
【0073】
撮像素子支持板166は、金属板、または、熱伝導率の高いフィラー(例えば、炭素繊維)やセラミックなどが混入したABS樹脂やポリカーボネート樹脂材料からなり、中央部に開口部が設けられている。
【0074】
熱電変換素子151は、前記第一の実施形態に適用した図4の熱電変換素子63と同様の素子であり、熱電変換素子151の撮像素子162側とヒートパイプ(蒸発部)174側の両側に放熱部材である熱伝導シート152,153が貼付されている。熱電変換素子151は、熱伝導シート152を絶縁シート167に密着させ、熱伝導シート153をヒートパイプ(蒸発部)174に対して放熱のための隙間C2 を設けた状態で撮像素子支持板166の開口部166aに配される。なお、隙間C2 は、必ずしも必要ではなく、熱伝導シート153を密着状態で配してもよい。熱電変換素子151からの熱起電電力は、後述する放熱部190の圧電素子188に供給され、圧電ポンプ187を駆動する。
【0075】
なお、熱伝導シート152,153は、例えば、弾性変形可能な熱伝導シート材であるシリコンゴムシート、金属繊維を含有するポリアミド樹脂シート、あるいは、グラファイトシート等が適用可能である。
【0076】
ヒートパイプ(蒸発部)174は、第一の実施形態にて適用したヒートパイプ31の蒸発部のみで形成されるものとし、棒状以外、平型形状であってもよい。ヒートパイプ(蒸発部)174の複数本の一方の蒸気送出側は、単一の管にまとめられ、ベローズ接続管183に接続される。さらに、ベローズ接続管183は、蒸気送出側S1 の気相流体流路用可撓性合成樹脂管182に接続される。また、作動液流入側S2 の液相流体流路用可撓性合成樹脂管184は、ベローズ接続管185を経た後、複数本に分割され、ヒートパイプ(蒸発部)174の作動液流入側に接続される。可撓性合成樹脂管182,184は、ヒートパイプ174を直径2mmとすると接続FPC168よりやや狭い幅15mm×高さ3mmのサイズを有し、接続FPC168と一体の状態で保持される可撓性樹脂ケーブルを構成し、放熱部190側接続される。
【0077】
ヒートパイプ174を保持する伝熱板175,176は、酸化アルミニウム(Al2 O3 )、または、熱伝導率の高いフィラー(例えば、炭素繊維)やセラミックなどが混入したABS樹脂やポリカーボネート樹脂材料、あるいは、球状黒鉛と非結晶(ガラス)繊維やカーボン繊維が充填されたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂からなる。この伝熱板175,176にはY方向に沿って形成されるヒートパイプ外径に合わせた形状の溝部が設けられる。該溝部によりヒートパイプを挟み込み、面接触した状態で熱伝導性の高い接着剤で接合される。さらに、伝熱板175側は、基板押さえ板171の背面部に熱伝導性の高い接着剤で接合される。なお、伝熱板175,176は、酸化アルミニウムの場合は黒色アルマイト処理されたものを適用し、また、それ以外の素材の場合、表面に小さい凹凸を付し、高放射性表面を有するものとする。
【0078】
なお、上記PPS樹脂は、熱伝導に優れており、このPPS樹脂を撮像素子支持板166に適用すると、ヒートパイプ174とは圧着接合が可能であり、PPS樹脂と該ヒートパイプ間の接着剤介在による熱伝導の低下が阻止できる。
【0079】
放熱板177は、アルミニウム材、または、熱伝導率の高いフィラー(例えば、炭素繊維)やセラミックなどが混入したABS樹脂やポリカーボネート樹脂材料からなり、伝熱板176の背面側に密着して配される。放熱板177の中央部に2枚の金属板178,179で囲われた熱媒体室が設けられている。該熱媒体室にはシリコングリース181が注入され、さらに、伝熱フィン178a,179aが配されている。この放熱板177は、伝熱板176に熱伝導性の高い両面接着剤で接合される。なお、上記シリコングリース181は、グラファイト、炭素繊維を含有した樹脂からなる発砲材に置き換えることもできる。
【0080】
上記撮像素子支持板166,基板押さえ板171,伝熱板175,176,放熱板177は、ビス180によって締結され、一体化される。
【0081】
接続FPC168は、U字状に折り曲げられて形成され。この接続FPC168は、可撓性合成樹脂管182,184に積層され、一体状態の可撓性樹脂ケーブルとして放熱部190側に導かれ、プリント基板支持台193に配されるメインプリント基板に接続される。
【0082】
一方、本実施形態の撮像素子冷却ユニットの放熱部190は、図10に示すように上記カメラボディのカメラ構造体(図示せず)により固定支持されるプリント基板支持台193と、プリント基板支持台193上に固着される制御回路(CPU)やTG(タイミングジェネレータ)ICが実装されているプリント基板189と、該プリント基板189に実装される圧電ポンプ用駆動ICチップ191と、プリント基板189に絶縁シート192介して装着される伝熱ブロック体186と、伝熱ブロック体186に取り付けられ、熱電変換素子151の出力電圧が印加される圧電素子188と、圧電素子188により駆動される圧電ポンプ187とを有している。
【0083】
伝熱ブロック体186は、例えば、多孔質金属材料などの金属からなり、外部に伝熱用フィン186aが配され、さらに、伝熱ブロック体186の放熱性を改善するために伝熱ブロック体186とプリント基板支持台193との間が金属箔186dで連結されている。そして、伝熱ブロック体186には、蒸気流入側S1 に循環流体流路を形成するヒートパイプ(凝縮部)186bと、作動液送出側S2に作動液送出部186cが配されている。
【0084】
圧電ポンプ187は、作動液が循環する流速を所定の速度に保ち、可撓性合成樹脂管内における熱の淀みを少なくするために伝熱ブロック体186に配されている。なお、圧電ポンプ187と伝熱ブロック体186のヒートパイプ(凝縮部)186bとの間、および、圧電ポンプ187と伝熱ブロック体186の作動液送出部186cとの間にはそれぞれ逆止弁が配されている。
【0085】
伝熱ブロック体186のヒートパイプ(凝縮部)186bは、撮像部160の蒸気送出側S1の前記可撓性合成樹脂管182に接続されている。伝熱ブロック体186の作動液送出部186cは、撮像部160の作動液流入側S2の前記可撓性合成樹脂管184に接続されてる。
【0086】
上述した構成を有する本実施形態の撮像部160と放熱部190とからなる撮像素子冷却ユニットにおいては、撮影動作時、撮像部160における撮像素子162が高速動作時に発生する熱が熱電変換素子151を経て、伝熱板175からヒートパイプ(蒸発部)174に伝わり、その熱により作動液が蒸発し、蒸気に変態する。なお、上記熱の一部は、伝熱板176を経て放熱板177より外部に放出される。また、熱電変換素子151において撮像素子162から伝わる熱により発電がなされ、その熱起電力は、圧電ポンプ187の駆動電力として供給される。
【0087】
ヒートパイプ(蒸発部)174で生じた蒸気は、ヒートパイプ(蒸発部)174から送出され、可撓性合成樹脂管182を通過して放熱部190の伝熱ブロック体186のヒートパイプ(凝縮部)186bに到達する。そこで冷却され,凝縮して作動液に戻る。その作動液は、圧電ポンプ187側に送られる。圧電ポンプ187は、熱電変換素子151から供給される電力により駆動され、上記作動液を強制的にヒートパイプ(凝縮部)186bから作動液送出部186cへ送る。そして、該作動液は、可撓性合成樹脂管184を経て再度、撮像部160のヒートパイプ(蒸発部)174に戻され、吸放熱のサイクルが繰り返される。この吸放熱動作によって撮像素子162が冷却される。
【0088】
なお、圧電ポンプ187は、ボディ制御用マイクロコンピュータの指示に基づいて駆動回路により駆動されるが、その駆動制御部の構成は、図6に示す排気ファン65を上記圧電ポンプに入れ替えたものとなる。さらに、圧電ポンプ187の駆動制御は、図7のフローチャートにてステップS111,S113における排気ファンを圧電ポンプに入れ替えた処理を適用することができる。
【0089】
上述した本実施形態の撮像部160と放熱部190とからなる撮像素子冷却ユニットによれば、発熱部となる撮像素子を有する可動の撮像部160に対して固定支持される放熱部190を離間させ、独立して配置したことにより、効率のよい十分な冷却が可能となる。また、撮像素子162の背面側に熱電変換素子151を配し、撮像素子162の熱による熱電変換素子151の熱起電力により圧電ポンプ187を駆動することによりヒートパイプ174の作動液を強制的に循環させることにより、カメラ内蔵電池の消費電力の少ない状態で上述した撮像部160の冷却を行うことができる。
【0090】
また、撮像部160にて移動枠164と共に基板押さえ板171が手ぶれ補正動作時にXY平面に沿って移動した場合、撮像部160と放熱部190とを接続する管部材であって、ベローズ接続管183,185を介して接続されている可撓性合成樹脂管182,185が柔軟に変形することにより移動枠164および基板押さえ板171の移動を妨げることがない。例えば、振動型モータや電磁モータなどの駆動モータによって基板押さえ板171を駆動する際に、棒状または平板型マイクロヒートパイプの反力による影響で、撮像素子の所望位置において、位置きめの不安定さや駆動モータの負荷の増大が避けられる。
【0091】
また、手ぶれ補正のための駆動源が電磁駆動モータであって、ムービングコイル型のアクチュエータを使用する場合にはその電力駆動信号線をベローズ接続管183,185と重ねて配置することも可能となる。さらに、上記駆動信号線がXおよびY軸用それぞれの電力駆動線が2つに分離されている場合には棒状または平板型マイクロヒートパイプも分離することができ、駆動モータヘの過負荷を防止することが可能となる。
【0092】
また、図示していないが、合成樹脂からなるカメラ構造体において、ストロボ回路や撮像画像処理回路、電源制御回路などのプリント基板、または、液晶表示部および操作部基板と撮像素子支持板との間に介在した金属材料(ステンレス鋼材、アルミニウム材など)の凹凸形状の仕切り板や外部へ露出する金属材料(ステンレス材料、アルミニウム材料など)の前カバー、後カバー、外装体と電気的に導通するアース端子などに対してフィン付き伝熱ブロック体の一部の面(棒状および平板型ヒートパイプ(凝縮部)が接する面)をカシメ加工、弾性力のあるクリップ、小ネジなどにより直接的に接触させて固定する構造を採用することもできる。さらには棒状および平板型ヒートパイプを金属性外装カバーに、また、液晶表示部や操作部基板を覆う金属材料からなる仕切り板と熱伝導率の高い両面テープで接合することも可能である。これらの構造を採用した場合、撮像素子や回路部品の発熱による機器本体の温度上昇を極めて効率よく抑制することができる。
【0093】
次に本発明の第三の実施形態の撮像素子冷却ユニットを備えた撮影レンズユニットについて、図11を用いて説明する。
なお、図11は、本実施形態の撮影レンズユニットの光軸に沿った断面図である。
【0094】
本実施形態の撮影レンズユニット201は、デジタルカメラ等の電子機器に内蔵される撮影レンズユニットであって、図11に示すようにレンズ鏡枠部202と撮像素子冷却ユニット203とからなり、撮影時に上記撮像素子を手ぶれに対応させて移動させる手ぶれ撮影防止機能を有し、さらに、上記撮像素子の冷却を内蔵ヒートパイプにより行うものである。
【0095】
レンズ鏡枠部202は、カメラ本体等に固定され、各構成部材を直接、または、間接的に支持し、下記の第三群レンズ枠207の背面側に配され、開口部204aを有する地板204と、レンズ光軸に沿って配される構成部材として、第一群レンズ205aを保持する第一群レンズ枠205と、第二群レンズ206aを保持する第二群レンズ枠206と、第三群レンズ207aを保持する第三群レンズ枠207と、スムーズ/フォーカス駆動アクチュエータ208と、撮像素子冷却ユニット203と、手ぶれ検出センサ(図示せず)を備えている。
【0096】
第一群レンズ枠205は、地板に対して固定支持されている。第二群レンズ枠206は、ズーミング時にスムーズ/フォーカス駆動アクチュエータ208のズーム駆動部208aによりレンズ光軸に沿って進退駆動される。また、第三群レンズ枠207は、ズーミング時にスムーズ/フォーカス駆動アクチュエータ208のフォーカス駆動部208bによりレンズ光軸に沿って進退駆動される。
【0097】
スムーズ/フォーカス駆動アクチュエータ208は、モータ部からなるズーム駆動部208aと、電磁コイル部からなるフォーカス駆動部208bとを有している。
【0098】
撮像素子冷却ユニット203は、地板204の背面側に取り付けられる冷却式の撮像素子冷却ユニットであって、固定枠部材である撮像撮像冷却ユニット支持体211と、撮像素子冷却ユニット用プリント基板212と、レンズ光軸に直交する平面に沿って移動可能に支持される撮像素子支持板215と、撮像素子支持板215に固定支持されるCCD、または、CMOS等からなる撮像素子213と、撮像素子213が実装される接続用フレキシブルプリント基板(以下、接続FPCと記載する)231と、撮像素子213の反撮像面側(下面側)の絶縁シート214に密着して配される熱電変換素子241と、撮像素子支持板215側に固着支持され、循環流体流路を形成する吸熱用ヒートパイプ(以下、吸熱ヒートパイプと記載する)216と、撮像素子冷却ユニット支持体211側に固着支持され、循環流体流路を形成する放熱用ヒートパイプ(以下、放熱ヒートパイプと記載する)217と、吸熱ヒートパイプ216と放熱ヒートパイプ217とを連接する伸縮接続管であるベローズ型接続管218と、撮像素子支持板215を光軸直交平面に沿って移動可能に支持する支持板支持機構部(撮像素子シフト機構)と、撮像素子支持板215を上記光軸直交平面に沿って駆動するための支持板電磁駆動部とを備えている。なお、図6のブロック図は、本実施形態にも適用可能であるが、ボディ制御用マイクロコンピュータの指示に基づき、上記支持板電磁駆動を駆動するための駆動回路は図示していない。
【0099】
撮像素子冷却ユニット支持体211は、リング形状の部材であって、熱伝導性の高い金属や合成樹脂であるステンレス材、アルミニウム材や繊維入りの合成樹脂、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂やPC(ポリカーボネイト)樹脂からなる。そして、放熱ヒートパイプ217が挿入接着される取り付け孔211aを有し、地板204の背面側に取り付けられる。
【0100】
この撮像素子冷却ユニット支持体211のリング内周表面には潜熱蓄熱剤を含有したシートであって、球状黒鉛にガラス繊維やカーボン繊維が充填された合成樹脂、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂やPC(ポリカーボネイト)樹脂からなる蓄熱シート238が接着剤により接合されている。上記潜熱蓄熱剤は、例えば、撮像素子の使用限界温度以下である60°〜80°Cで相変化して融解、凝固可能なものであって、有機系であれば、パラフィンやワックスが適用可能である。撮像素子冷却ユニット支持体211の内周表面に蓄熱シート238を接合することによって撮像素子近傍の温度上昇を一次的に抑えることができる。従って、CPUによる撮像素子の異常温度上昇検出の頻度が低減され、ユーザの利便性が改善される。
【0101】
なお、撮像素子冷却ユニット支持体211が球状黒鉛にガラス繊維やカーボン繊維が充填された合成樹脂、例えば、PPS樹脂やPC樹脂である場合は、撮像素子冷却ユニット支持体211の内部に上記潜熱蓄熱剤を含有したシート239(図11に二点鎖線で示す)を内部にインサート成型により埋め込んでもよい。
【0102】
撮像素子冷却ユニット用プリント基板212は、撮像素子冷却ユニット支持体211の下面にビス229によって光軸直交平面に沿った姿勢で固着されている。プリント基板212の上面側に上記支持板支持機構部を介して撮像素子支持板215が支持されている。プリント基板212の背面側にはCPU221やTG(タイミングジェネレータ)回路を有し、撮像素子から出力された画像信号に対して保持および利得制御回路を含むAFE(アナログ・フロント・エンド回路)IC(以下,AFEICと記載する)222等が実装されている。
【0103】
なお、CPU221やAFEIC222の熱は、プリント基板212を介して撮像素子冷却ユニット支持体211側に伝わるので上記CPU等の温度上昇が抑えられる。
【0104】
撮像素子213は、撮像面側である上面側に保護ガラス213aが固着され、非撮像面側である下面側に絶縁シート214が接着されており、接続FPC231に実装された状態で撮像素子支持板215の上面に固定支持されている。
【0105】
撮像素子支持板215は、アルミニウム板、あるいは、ステンレス鋼板で形成され、撮像素子213側の絶縁シート214に対向する開口部215aと、該開口部下方に配される開放凹部215bと、吸熱ヒートパイプ216の両端がが取り付けられるヒートパイプ固着凹部215cと、撮影レンズの光軸に対して撮像素子213の位置を決めるための位置決め孔215d,215eと有している。
【0106】
上記開放凹部215bは、撮像素子冷却ユニット203の外部に対して開放された凹部であり、撮像素子213からの熱が撮像素子支持板215内部での滞るのを防止する。また、ヒートパイプ固着凹部215cは、ヒートパイプの幅よりやや広い幅であって、ヒートパイプよりやや深い溝からなり、その断面は、半円形状、U字形状、多角形状、矩形形状、楕円形状等の形状を有する。
【0107】
なお、撮像素子支持板215の材料として熱伝導率の高い素材であって、炭素繊維などのフィラーを混入させたPC(ポリカボネート)樹脂やPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を適用してもよい。上記PPS樹脂には、球状黒鉛と非結晶(ガラス)繊維やカーボン繊維が充填された樹脂の成型品を適用する。このPPS樹脂を撮像素子支持板215に適用すると、後述する吸熱ヒートパイプ216と圧着接合が可能であり、PPS樹脂と該ヒートパイプ間の接着剤介在による熱伝導の低下が阻止できる。
【0108】
熱電変換素子241は、前記第一の実施形態に適用した図4の熱電変換素子63と同様の素子であり、撮像素子213側と吸熱ヒートパイプ216側との両側に放熱部材である熱伝導シート242,243が貼付されている。熱電変換素子241は、熱伝導シート242を絶縁シート214に密着させ、熱伝導シート243を吸熱ヒートパイプ216に対して接合した状態で撮像素子支持板215の開口部215aに配される。
【0109】
なお、熱伝導シート242,243は、例えば、弾性変形可能な熱伝導シート材であるシリコンゴムシート、金属繊維を含有するポリアミド樹脂シート、あるいは、グラファイトシート等が適用可能である。
【0110】
撮像素子213の動作時の発熱により熱電変換素子241にて発電がなされ、その熱起電力により第一、または、第二の実施形態の場合と同様に排気ファン(図示せず)、あるいは、作動液循環用の圧電ポンプを駆動することができる。
【0111】
吸熱ヒートパイプ216は、4本のヒートパイプからなり、前記非特許文献1に記載されるヒートパイプ(図14)の吸熱部が適用可能であり、棒状、かつ、円形断面を有する銅製パイプ材からなるコンテナ部と、該パイプ材内に沿って配される毛細管作用をする構造をもつウイック部と、該ウイック内部に形成される気化部を有する蒸気通路部とからなる。上記ウイック内に純水、メタノール、アンモニア水、または、公知の潜熱蓄熱材や高温度(例えば、59°C)で発色開始および記憶可能な可逆熱変色性顔料を内包したマイクロカプセルの分散液等の作動流体である作動液が封入されている。上記コンテナ部の外表面はサンド加工等により微細な凹凸面(ナシ地面)になっており、さらに、黒色塗装が施されており、高放射率の表面になっている。なお、ヒートパイプ外径(コンテナの外径)が1〜2mmであるものを適用する。上記ウイック部は、細いワイヤを網状に編み込んだ細網部分やメッシュなどからなる。
【0112】
放熱ヒートパイプ217は、1本のヒートパイプからなり、吸熱ヒートパイプ216と同様に棒状、かつ、円形断面を有する銅製パイプ材からなるコンテナ部と、該パイプ材内に沿って配され、上記作動液が通る毛細管構造を有するウイック部と、該ウイック内部に形成される凝縮部をもつ蒸気通路部とからなる。放熱ヒートパイプ217は、撮像素子冷却ユニット支持体211に設けられるヒートパイプ装着孔211aに挿入され、接着固定される。
【0113】
吸熱ヒートパイプ216と放熱ヒートパイプ217とは、ベローズ型接続管218を介してに互いに連接接続されている。
【0114】
ベローズ型接続管218は、伸縮性、可撓性を有する接続管であり、ベローズ型接続管218の放熱ヒートパイプ217側は、撮像素子冷却ユニット支持体211に支持され、放熱ヒートパイプ217の支持具217aを介して固定支持されている。吸熱ヒートパイプ216が撮像素子支持板215と共に撮像素子冷却ユニット支持体211に対して光軸直交平面に沿って移動した場合、ベローズ型接続管218が弾性変形し、吸熱ヒートパイプ216に大きな力を与えることなく、また、上記撮像素子支持板電磁駆動部の負荷抵抗も少ない状態を維持できる。ベローズ型接続管218の接続部は、接続FPC231のU字折り曲げ部の配置位置と反対側に位置している。
【0115】
上記支持板支持機構部(撮像素子シフト機構)は、撮像素子支持板215の下面部と撮像素子冷却ユニット用プリント基板212の上面部の間に摺動板を介して挟持した状態で配されるすくなくとも4つの鋼製のベアリングボール223と、該ベアリングボール223を保持するリテーナ部材224とからなる。撮像素子支持板215はベアリングボール223を介してプリント基板212に対してXY平面に沿って移動可能に支持される。
【0116】
撮像素子支持板215のすくなくとも一対の永久磁石とプリント基板側の上記磁性材との間で、4つのベアリングボール223に磁気的な押圧力(磁気吸引力)が作用する。この押圧力が作用すると、ベアリングボール223が撮像素子支持板215とプリント基板212とに押し付けられる。この結果、撮像素子支持板215とプリント基板212とはベアリングボール223を介在して押圧され、がた付きが除去される。
【0117】
上記支持板電磁駆動部は、光軸直交平面上の二次元直交座標系のX方向駆動部とY方向駆動部とからなり、該XおよびY方向駆動部はそれぞれプリント基板212の上面に実装されるX,Y駆動用プリントコイル225,228と、撮像素子支持板215の下面に固着され、上記プリントコイル225,228に対向した状態で厚さ方向に磁化された異極対向で2つが結合した永久磁石227,230とからなる。該プリントコイル225,228には、それぞれの中央部にXY位置検出用ホール素子226,229が配されている。さらに、プリントコイルの225,228上面には磁性材が貼り付けられている。
【0118】
永久磁石227は、N極とS極がプリント基板の延在方向(X方向)に並ぶように分極着磁されている。また、永久磁石230は、N極とS極がプリント基板の延在方向と直交する方向(Y方向)に並ぶように分極着磁されている。Y軸駆動用ブリントコイル228は横長の長方形をしており、その長辺が永久磁石227の各磁極に対向するように配置されている。同様にX軸駆動用プリントコイル225は横長の長方形をしており、その長辺が永久磁石230の各磁極に対向するように配置されている。
【0119】
また、撮像素子支持板215とプリント基板212の間には、撮像素子213からの出力信号をプリント基板側に伝達するための接続FPC231が接続されている。
【0120】
撮像素子213を支持する撮像素子支持板215の位置制御を行うCPU(図示せず)は、プリント基板212上に実装され、撮像素子支持板215の水平方向であるX軸方向の移動と、撮像素子支持板215の鉛直方向であるY軸方向の移動を制御する。このCPUは、図示されていない手ぶれ検出センサから入力される角速度に基づいて、撮像素子支持板215を所望位置へ位置制御を行う。撮像素子支持板215に配置された異極接合された永久磁石227,230の磁束内に鉛直方向のX,Y軸駆動用ブリントコイル225,228に通電され、撮像素子支持板215が移動すると位置検出用ホール素子226,229により位置検出が行われる。上記X,Y軸駆動用プリントコイル225,228の通電が遮断されると撮像素子支持板215は永久磁石227,230と上記磁性材との磁気バランスで初期位置に戻る。このように撮影レンズユニット201が振動したときに、可動の撮像素子支持板215上の撮像素子213が2次元方向に移動して撮像素子213の撮像面における画像の振れを補正することができる。
【0121】
上述した構成を有する撮影レンズユニット201において、撮影動作中の撮像素子213は、動作電流により加熱され、動作温度が上昇するが、撮像素子213の熱は、撮像素子下方の撮像素子支持板215に固着されている吸熱ヒートパイプ216側に放射および伝熱により吸収される。吸熱ヒートパイプ216内の上記作動液は、上記熱により蒸発し、その蒸気は、蒸気通路を通って放熱ヒートパイプ217側に流入する。該蒸気の熱は、放熱ヒートパイプ217側が固着されている撮像子冷却ユニット支持体211に放熱され、作動液に凝縮する。その作動液は、上記ウイック部を通って、再度、吸熱ヒートパイプ216側に戻され、吸熱動作が行われる。この吸熱、放熱が繰り返され、撮像素子213の温度上昇が抑えられる。
【0122】
さらに、第一の実施形態の場合と同様に撮像素子213の近傍に配される温度センサにより所定の温度上昇が検出された場合、熱電変換素子241の熱起電力により排気ファン(図示せず)が駆動され、カメラボディの排気孔(図示せず)より内部の加熱空気が排出され、撮像素子213やCPU221の温度上昇が抑えることができる。また、排気ファンの駆動と同様に圧電ポンプによりヒートパイプの作動液に強制循環を行わせてもよい。上記排気ファン、または、圧電ポンプの駆動制御を含む撮影処理は、図7のフローチャートに示す処理と略同様となる。
【0123】
一方、撮影レンズユニット201の撮影動作中に上記手ぶれ検出センサにより手ぶれが検出された場合、上記支持板電磁駆動部によって上記支持板支持機構部で支持される撮像素子支持板215がXY平面に沿って手ぶれ量に応じて駆動される。この駆動状態においてもベローズ型接続管218の弾性変形によって吸熱ヒートパイプ216は、大きな力を受けることなく、同時に撮像素子支持板215は、上記支持板電磁駆動部により抵抗の増加が少ない状態で駆動される。
【0124】
本実施形態の撮影レンズユニット201に内蔵される撮像素子冷却ユニット203によれば、構成が簡単であって、上述した吸熱、放熱ヒートパイプ216,217を備えたことによって撮像素子213の温度上昇を抑え、同時に、手ぶれ補正動作時における撮像素子支持板215を駆動する電磁駆動部の負荷増大を抑えることができる。また、ベローズ型接続管218の接続部が接続FPC231のU字折り曲げ部の配置位置と反対側に位置しており、組み立て作業が容易である。
【0125】
なお、上述の実施形態においては、リテーナ付きベアリングボール223を挟持した状態で撮像素子支持板215とプリント基板212との間に磁気吸引力を作用させた支持手段を適用した。その支持手段に替えてプリント基板上の磁性材を使用せず、撮像素子支持板側に軸受けを形成し、プリント基板側にガイド軸を設け、さらに、撮像素子支持板とプリント基板との間に一軸方向に移動可能な中間部材を配置し、該中間部材の移動方向に対して直交する方向に撮像素子支持板を移動させる構成のメタル軸受け支持手段を適用してもよい。
【0126】
また、本実施形態では1組の永久磁石227,230を適用したが、それぞれの永久磁石が対角線に位置するように4つの永久磁石とそれに対向するプリント基板上に4つの駆動用プリントコイルとを適用し、X軸、Y軸駆動用ブリントコイルの対向する延長線上で各駆動用プリントコイルの裏面位置にそれぞれ磁性片を配置した電磁駆動部を採用することも可能である。または、磁性片をX軸またはY軸駆動用プリントコイルによって囲まれるように配置することも可能である。
【0127】
本実施形態では駆動プリントコイルと永久磁石はN極とS極に跨るように磁性片とをプリント基板に配置し、永久磁石を撮像素子支持板側に配置したが、逆に、駆動プリントコイルと磁性材を撮像素子支持側に配置し、永久磁石をプリント基板側に配置してもよい。
【0128】
永久磁石をプリント基板側に配置してもよい。このように配置すると、可動コイル型の駆動機構となるので撮像素子を二次元方向に駆動する駆動線やサーボ用信号線をFPC基板に形成し、リード線の本数を削減し、可動の撮像素子の移動の妨げを防止し、組み立て時の配線の引き回しを簡略化することができる。
【0129】
また、上述の実施形態では撮像素子冷却ユニット203が可動の撮像素子支持板215を適用する手ぶれ防止機能を有するものであったが、これに限らず、上記撮像素子支持板が固定支持される撮像素子冷却ユニットに対しても吸熱、放熱ヒートパイプ接続用として上述したベローズ型接続管218を適用することにより組み立て、修理作業等が容易な撮像素子冷却ユニットを提供することができる。
【0130】
次に本発明の第四の実施形態であって、撮像部のない一眼レフデジタルカメラボディに着脱可能な撮像素子冷却ユニット内蔵レンズマウントについて、図12を用いて説明する。
図12は、本実施形態の撮像素子冷却ユニットを内蔵するレンズマウントの光軸を含む縦断面図である。
【0131】
本実施形態の撮像素子冷却ユニット内蔵レンズマウント358には、図12に示すようにレンズマウント358の前面側に撮像素子冷却ユニット341、および、交換式レンズ鏡筒部のフォーカスレンズを駆動するためのアクチュエータが組み込まれており、その前方側には図示しない上記交換式レンズ鏡筒部が装着される。また、後端のレンズマウント面358a上に接続端子基板359が取り付けられている。
【0132】
撮像素子冷却ユニット341は、金属製のレンズマウント358の凹部に固定支持される撮像素子支持板353と、撮像素子支持板353に固着され、中央開口部を有するるセラミックパッケージ344と、低放射率の絶縁シート345を介してセラミックパッケージ344内に固着され、光軸上の所定位置に位置決めされるベアチップタイプの撮像素子と、該撮像素子にボンディングワイヤを介して接続される端子板、該端子板に接続され、撮像素子支持板353に支持される接続プリント基板346と、セラミックパッケージ344に前面に固着され、上記撮像素子の前面側を密封する保護ガラス343と、上記撮像素子の背面側に絶縁シート345に密着して配される熱電変換素子361と、冷却部350とからなる。なお、接続プリント基板346は、FPC(フレキシブルプリント基板)で構成することも可能である。
【0133】
熱電変換素子361は、図4に示した熱電変換素子63と同様のものであり、撮像素子側とヒートパイプ349側との両面に放熱部材である熱伝導シート362,363が貼付されている。ヒートパイプ349とは所定の隙間をもって、あるいは、密着状態で配されている。
【0134】
冷却部350は、撮像素子支持板353により断熱部材354を介して支持され、その裏面側に高熱伝導性の接着剤により接着固定され、循環流体流路を形成する複数対の棒状ヒートパイプ349と、ヒートパイプ349を挟持する伝熱板351と、ヒートパイプ349の背面側を押さえる押さえ板352とからなる。
【0135】
撮像素子支持板353は、金属材料、または、熱伝導率の高い素材であって、炭素繊維などのフィラーを混入させたポリカボネートや球状黒鉛および非結晶(ガラス)繊維あるいはカーボン繊維が充填されたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂材料からなる。
【0136】
ヒートパイプ349としては、非特許文献1に記載される図14のヒートパイプと同様の複数対のヒートパイプが適用される。
【0137】
上述した構成を有する本実施形態の撮像ユニット内蔵レンズマウント358においては、該マウントをカメラに装着した状態でパッケージ344の撮像素子が駆動状態にあるとき、該撮像素子の熱を熱電変換素子361を経て伝熱板で受け、ヒートパイプ349の蒸発部に伝わり、ヒートパイプ349中の作動液を蒸発させる。その蒸気は、ヒートパイプ349の凝縮部に移動し、撮像素子支持板353により冷却され、再度、作動液に変態し、ウイック部を通して蒸発部に戻される。この吸熱サイクルを繰り返すことにより上記撮像素子の熱が吸収され、温度上昇が抑えられる。
【0138】
熱電変換素子361は、上記撮像素子の熱により発電し、その起電力は、上記作動液の循環用圧電ポンプ(図示せず)の駆動電力として利用できる。
【0139】
上述した本実施形態の撮像ユニット内蔵レンズマウント358によれば、ヒートパイプ349から撮像素子支持板353で吸収された熱は、熱容量の大きい金属製のレンズマウント358に速やかに伝わる。従って、上記撮像素子の温度上昇を効率よく抑えることができる。また、撮像ユニット内蔵レンズマウントとして大型化することなく、コンパクトにまとめることができる。
【0140】
次に本発明の第五の実施形態の撮像素子冷却ユニットを備えたミラー/撮像素子ユニットについて図13を用いて説明する。
図13は、本実施形態のミラー/撮像素子ユニットの横断面図(水平方向の断面図)である。
【0141】
本実施形態のミラー/撮像素子ユニット400は、一眼レフカメラに適用され、カメラボディ(図示せず)のフレーム本体に支持されるユニットであって、交換レンズが装着可能なボディマウント422と、該ボディマウントが装着される前フレーム420と、ミラーボックス401と、該ミラーボックス内に収納される回動可能な反射ミラー402と、撮像素子460と、循環流体流路を形成する水冷ヒートパイプ454と、ゼーベック素子からなる熱電変換素子451と、圧電ポンプ455と、該サイドフレーム背面に固着される後フレーム440とからなる。
【0142】
前フレーム420は、中央開口部を有しており、その前面部にボディマウント422が固着され、後面側中央にミラーボックス401が固着され、後面部がフレーム本体のサイドフレーム430Lと430Rに支持される。
【0143】
後フレーム440は、ステンレス金属板またはアルミニウム板からなり、ミラーボックス401の後端部を跨いで配され、サイドフレーム430Lと430Rに対して支柱438c,438aを挟んで固着されている。この支柱438a,438cは、撮像素子460で発生した熱が後フレーム440からサイドフレーム430L,430Rへの熱伝達を遮断するために断熱部材となる。また、後フレーム440には放熱効果を向上させるための放熱用フィン440aが外方に配されている。
【0144】
そして、後フレーム440に形成された多数の挿通孔のうちの所定の挿通孔を利用して、サイドフレーム430L,430Rに後フレーム440がねじ止めされている。
【0145】
上述のように前フレーム420と、サイドフレーム430L,Rと、後フレーム440とが順次固定され、これら三つの部材が一体化されて、カメラの外形形状に合わせた中空のボックス形状のフレーム本体が構成される。
【0146】
なお、右のサイドフレーム430Rは、左のサイドフレーム430Lよりも薄く形成されているため、その厚さ不足を補うように断熱部材を用いた支柱438aがサイドフレーム430Rの背面から後方に延びており、支柱438aおよびサイドフレーム430Lに立設された支柱438cの先端のねじ孔にはビスが螺合され、後フレーム440が固着される。支柱438aと平行に伸びる長い支柱438bは、後フレーム440の背後の電気基板470をサイドフレーム430Lの先端に形成された鍔部に挿入してサイドフレーム430Rに固定するために使用される。
【0147】
ミラーボックス401は、中央開口部を有したボックス形状に形成され、前面フランジ部にて前フレーム420に取り付けられる。中央開口部内部に回動可能な反射ミラー402が配され、上記開口部上方にスクリーン(図示されていない)が配置されている。また、後方部に撮像素子支持板480を介して撮像素子460が固着される。
【0148】
さらに、撮像素子460の背面と後フレーム440の前面との間にシリコンゴムシート等からなる熱伝導性シート452、453を介して熱電変換素子451が密着状態で接合して配置される。そして、熱電変換素子451の側壁と後フレーム440の対向する側面突起部440bと間にシリコンゲル剤456を介在させる。なお、このシリコンゲル剤456は、カメラボディを誤って落下したときなどの衝撃による熱電変換素子451の破損を防止するためのものである。
【0149】
熱電変換素子451は、図4に示した熱電変換素子63と同様のものであり、撮像素子側と後フレーム440側との両面に放熱部材である熱伝導シート452,453が貼付されている。後フレーム440に密着状態で配されている。
【0150】
撮像素子支持板480は、挿通孔に挿通するビスをミラーボックス401の背面のねじ孔に螺着することによりミラーボックス401に取付けられている。
【0151】
ストッパーとしての位置決めピンがミラーボックス401背面に形成され、撮像素子支持板480の挿通孔、後フレーム440の挿通孔に挿通されている。後フレーム440の位置決め孔に対しては、十分な隙間を残して上記位置決めピンが挿通され、いわゆる、スキマハメの状態にあり、ミラーボックス401は、後フレーム440に直接固定されていない。上記位置決めピンと後フレーム440の位置決め孔との嵌合は、ミラーボックス401の位置決めピンの直径寸法誤差とミラーボックス401におけるその位置寸法誤差および後フレーム440の位置決め孔の孔径寸法誤差と後フレーム440における位置決め孔の位置寸法誤差を考慮してもなお、位置決めピンと位置決め孔との間に隙間があるように設定される。そして、上記フレーム本体が大きく変形すれば、この片側隙間が詰まって、変形をそれ以上防ぐことができ、大きな変形が防止される。
【0152】
撮像素子460は、ミラーボックス401の背面開口に配置され、撮像素子支持板480の前面に接着、固定され、上記フレーム本体に囲まれるように配置されている。そして、撮像素子460はその上下に、光軸方向に延出した一対の複数のリード(接続端子)462を有する。撮像素子460のリード(端子)462は、撮像素子支持板480の長孔(逃げ孔)、後フレーム440の円形の逃げ孔、電気基板470の長孔(逃げ孔)を遊嵌状態で挿通し、さらに、電気基板470上のフレキシブルプリント基板490に挿着されて、撮像素子460と電気基板470とが一対のフレキシブルプリント基板490によって電気的に接続されている。なお、一対のフレキシブルプリント基板490は、いずれも、撮像素子460のリード462が挿入可能な周囲に導電パターンを有する複数の挿入孔を有するとともに、導電パターンと電気的に接続されていて電気基板470上の接続パターンと接続される複数の接続パターンを有している。
【0153】
後フレーム440の上面には圧電ポンプ455と、該圧電ポンプに接続され、ミラーボックス401の撮像素子装着位置の外周部を2回巻回する水冷ヒートパイプ454が設けられている。熱電変換素子451による熱起電力により圧電ポンプ455を駆動し、該圧電ポンプにより水冷ヒートパイプ454内の流体を循環させ、撮像素子460の冷却する(水冷方式)。この水冷方式により後フレーム440を冷却することで、撮像素子460を冷却する。同時に撮像素子460と後フレーム440との温度差を生じさせ、熱電変換素子451の熱起電力の変換効率を高めている。
【0154】
本実施形態のミラー/撮像素子ユニット400によれば、熱電変換素子451にて撮像素子460の熱を電力に変換し、その電力を水冷ヒートパイプ454の流体循環用圧電ポンプ455の駆動電力として利用することによりカメラ側電池の電力を消費することなく効果的に撮像素子460の冷却を行うことができる。
【0155】
また、また、デジタル一眼レフカメラのミラーボックス内に撮像素子を有する撮像ユニットは特開2006−81008号の図3に開示されている。この図3に撮像素子冷却ユニットを適用した場合、以下のようになる。即ち、撮像素子の背面と電気基板との間に熱電変換素子(例えば、ゼーベック素子)を配置するために、電気基板上に熱伝導シートを接合し、その熱伝導シート上に熱電変換素子を接合する。ここで、熱伝導シートに熱の溜りをなくすために、電気基板と熱伝導シートとの間にアルミニウムまたはステンレス鋼板材の金属シートを積層し、介在する。この金属シートと撮像素子支持板の開口部との間にシリコンゲル剤を設ける。このようにすると、カメラ本体を誤って落下したときなどの衝撃による熱電変換素子の破損を防止できる。また、電気基板の長孔状開口部に撮像素子のリード線を遊嵌状態で貫通させて電気基板がアルミニウムまたはステンレス鋼板材の撮像素子支持板の背面側に配置され、電気基板の背面側よりネジ挿通穴に挿入されたネジが前枠のネジ孔に螺着される。
【0156】
上述したように前枠に対して、電気基板がミラーユニット、シャッタユニット、防塵ユニット、撮像素子、撮像素子支持板を少なくとも間に介在させた形で固定される。この取り付けた状態で。電気基板は撮像素子支持板に対して防塵ユニットの支持台は該支持台もしくは撮像素子支持板に設けられた断熱部材(たとえば、発泡材やグラスウールを接着剤で接合)の部材受け部(スペーサ)に位置規制されて所定の間隔のある状態で支持される。また、撮像素子の結像面は、ボディマウントのマウント面から光軸方向に沿った所定距であるフランジバックLに位置きめされる。そして撮像素子と撮像素子支持板との間に断熱部材を介在することで、支持台の材質(例えば、炭素繊維が充填されたPPS合成樹脂)による伸縮を抑えることができる。
【0157】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明による撮像素子冷却ユニットは、撮像素子を効率よく冷却し、かつ、組み立てが複雑とならず、小型化も可能な撮像素子冷却ユニットとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の第一の実施形態である撮像素子冷却ユニットを適用する電子機器としての一眼レフデジタルカメラの要部の光軸を含む縦断面図である。
【図2】図1のカメラに内蔵される撮像素子ユニットまわりの断面図である。
【図3】図2の撮像素子ユニットの拡大断面図である。
【図4】図2の撮像素子ユニットに配される熱電変換素子の構造を示す模式図である。
【図5】図1のカメラの斜視図である。
【図6】図1のカメラの電気制御システムのブロック構成図である。
【図7】図1のカメラにおける撮影処理のフローチャートである。
【図8】図1のカメラにおける温度センサの検出温度の変化を示す線図である。
【図9】本発明の第二の実施形態の撮像冷却ユニットを構成する撮像部の光軸を含む縦断面図である。
【図10】図9の撮像素子冷却ユニットを構成する放熱部の断面図である。
【図11】本発明の第三の実施形態の撮影レンズユニットの光軸に沿った断面図である。
【図12】本発明の第四の実施形態の撮像素子冷却ユニットを内蔵するレンズマウントの光軸を含む縦断面図である。
【図13】本発明の第五の実施形態のミラーユニットの横断面図(水平方向の断面図)である。
【図14】非特許文献1に記載されているヒートパイプの断面図である。
【符号の説明】
【0160】
21,162,213,460
…撮像素子
22,166,215,353,480
…撮像素子支持板
28,167,214,345
…絶縁シート(第一の熱伝導シート)
31,32,174,216,349
…ヒートパイプ
41,63e…熱伝導シート(第一の熱伝導シート)
42,63f…熱伝導シート(第二の熱伝導シート)
62,173…温度センサ
63,151,241,361,451
…熱電変換素子
164…移動枠(移動部材)
344…セラミックパッケージ(撮像素子)
454…水冷ヒートパイプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子冷却ユニット、または、撮像素子冷却ユニットを内蔵する撮影レンズユニットおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器にて、例えば、撮像素子一体型レンズ交換式カメラやカメラヘッド内に撮像素子や制御回路(CPU)を配備する場合、防塵性を持たせた上、さらに、カメラヘッド等に放熱構造を備える必要がある。しかしながら撮像素子や制御回路(CPU)などの電子部品を防塵構造とすると、撮像素子や制御回路(CPU)などで発生した熱を外部へ放熱するのが困難となる。この熱対策を怠ると撮像素子やCPUの温度が上昇して雑音レベルが上がり、画質の劣化を引き起してしまう。この熱対策として例えば、ゼーベック効果素子からなる熱電変換素子を適用したものが特許文献1に提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された撮影装置は、該装置の駆動により発熱するCPUによってゼーベック効果素子(熱電変換素子)が加熱され、該ゼーベック効果素子に発生する熱起電力によってプロペラファンを駆動し、CPU等の冷却を行うものである。
【0004】
非特許文献1には、金型やパソコンなどの冷却用として用いられるウィック(毛細管現象発生手段)を適用したヒートパイプの構造について記載されている。図14は、該ヒートパイプの断面図であって、ヒートパイプ501は、外周が銅製パイプ502で覆われ、一方部が吸熱部501a、他方部が放熱部501bとなる。内部には、毛細管作用をする構造のウイック部503と、ウイック部503内部に蒸気通路505が配されている。蒸気通路505の吸熱部501a側は、気化部504となり、蒸気通路505の放熱部501b側は、凝縮部504となる。
【特許文献1】特開2006−337531号公報
【非特許文献1】ヒートパイプのカタログ(日本金型産業株式会社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1においては、上記ゼーベック効果素子が上記CPUに対して近接した状態で配置されているとだけ記載されており、高速駆動により発生する撮像素子からの熱を効率よく冷却するための具体的な配置が示されていない。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、例えば、携帯または据え置き式撮像ユニットなどの電子機器において、撮像素子等の熱源を効率よく冷却し、また、組み立てが複雑とならず、小型化が可能な撮像素子冷却ユニットおよび該撮像素子冷却ユニットを適用する撮影レンズユニットや電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の撮像素子冷却ユニットは、撮像素子支持板に固着されて支持される撮像素子と、放熱機能を有する放熱部材と、第一の熱伝導シート材および第二の熱伝導シート材と、熱伝導面となる両面にそれぞれ上記第一の熱伝導シート材と上記第二の熱伝導シート材とが接合される熱電変換素子と、を具備しており、上記撮像素子の反撮像面側に上記第一の熱伝導シート材が接合され、放熱部材の撮像素子側に上記第二の熱伝導シートが接合された状態で上記熱電変換素子が挟持して支持され、さらに、上記放熱部材には、上記撮像素子支持板との間に断熱部材を介在させ、さらに、循環流体流路を配置する。
【0008】
本発明の請求項2記載の撮像素子冷却ユニットは、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットにおいて、上記循環流体流路は、吸熱部および放熱部を有するウイック付きヒートパイプからなり、上記第二の熱伝導シートは上記ヒートパイプの吸熱部に接合するとともに上記断熱部材に上記ヒートパイプの放熱部を接合する。
【0009】
本発明の請求項3記載の撮像素子冷却ユニットは、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットにおいて、上記循環流体流路は、水冷ヒートパイプと圧電ポンプとを具備している。
【0010】
本発明の請求項4記載の撮像素子冷却ユニットは、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットにおいて、さらに、撮影レンズ内に設けられた所望のレンズ群を駆動するためのフォーカス駆動用アクチュエータとレンズマウントとを具備する。
【0011】
本発明の請求項5記載の撮影レンズユニットは、請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、撮影レンズの装着されるレンズ鏡枠部とを具備する。
【0012】
本発明の請求項6記載の電子機器は、請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、上記撮像素子冷却ユニットおよび防塵機構部を制御するためのボディ制御用制御回路と、機器本体に着脱可能な撮影レンズとを有する。
【0013】
本発明の請求項7記載の電子機器は、請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、機器本体から着脱可能な撮影レンズとを有する。
【0014】
本発明の請求項8記載の電子機器は、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットと、上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、上記撮像素子を撮影レンズからの入射する光束の光軸に対して垂直な2次元方向に移動する撮像素子シフト駆動機構と、を有しており、上記撮像素子支持板および上記放熱部材は、上記撮像素子シフト駆動機構の移動部材に配されている。
【0015】
本発明の請求項9記載の電子機器は、ライブビュー機能を有する電子機器であって、請求項1記載の撮像素子冷却ユニットと、上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、上記撮像素子の近傍に配される温度センサとを有し、上記ボディ制御用制御回路は、上記温度センサにより検出される温度が所定値以上であるとき、ライブビュー動作を停止し、排気ファン、または、圧電ポンプを駆動する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高速駆動により発生する撮像素子からの熱を効率よく、冷却し、かつ、組み立てが複雑とならず、小型化も可能な撮像素子冷却ユニットおよび該撮像素子冷却ユニットを適用する撮影レンズユニットや電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の第一の実施形態である撮像素子冷却ユニットを適用する電子機器としての一眼レフデジタルカメラ(以下カメラと記載する)の要部の光軸を含む縦断面図である。図2は、上記デジタルカメラに内蔵される撮像素子ユニットまわりの断面図である。図3は、上記撮像素子ユニットの拡大断面図である。図4は、上記撮像素子ユニットに配される熱電変換素子の構造を示す模式図である。図5は、内蔵される排気ファンおよび吸排気口の配置を示す上記カメラの斜視図である。図6は、カメラの電気制御システムについてのブロック構成図である。
【0019】
なお、以下に説明するカメラの撮影レンズの光軸は、各図中「O」で示す。また、以下の説明で光軸の被写体側を前方側とし、撮像面側を後方側(背面側)として説明する。
【0020】
本実施形態のカメラ(カメラボディ)1は、交換レンズ鏡筒15が着脱可能な一眼レフデジタルカメラであって、ファインダモード(被写体像観察モード)として光学ファインダ装置による光学ファインダモードと液晶モニタによるライブビューモードとを選択可能なカメラである。
【0021】
カメラ(カメラボディ)1は、図1に示すように下記の各構成部材を収容するカメラ外装カバー2と、カメラ外装カバー2に固定支持され、光軸に沿った中央開口部4aを有するカメラ構造体4と、上記交換式レンズ鏡筒15が着脱されるボディマウント3と、さらに、カメラ構造体4の中央開口部4aの後方に光軸上に沿って配置される構成部材として、メインミラー5と、フォーカルプレーン式シャッタ6と、ヒートパイプを適用する冷却式の撮像素子ユニット8とを備えており、さらに、カメラ構造体4の上側に固定支持され、光学ファインダ装置を構成する部材としてフォーカシングスクリーン9と、ペンタプリズム10と、接眼レンズ11とを有している。さらに、カメラ外装カバー2の背面側のモニタ表示窓13の内方に電子ビューファインダ(液晶表示装置)としての液晶モニタ12と、排気ファン65(図5)と、後述する防塵機構部を駆動する圧電素子26と、カメラ本体内部に設けられた各機能を制御し、後述するレンズ制御用マイクロコンピュータ76を制御するボディ制御用制御回路であるボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bμcomと記載する)61とを含む電気制御部(図6)とを備えている。
【0022】
交換レンズ鏡筒15には、撮影レンズ14と、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと記載する)76を含む電気制御部(図6)とが内蔵されている。
【0023】
ボディマウント3は、カメラ構造体4の前面に当て付けた状態で固定される。メインミラー5は、被写体光束を上方のフォーカシングスクリーン側に反射する斜設位置と光軸Oの被写体光路上から退避した退避位置とに回動駆動される。シャッタ6は、光軸O上であって斜設位置にあるメインミラー5の後方位置に配される。
【0024】
カメラ構造体4は、ボディマウント3の他に撮像素子ユニット8やファインダ装置等を支持する枠体であって、軽量化およびコスト低減が可能であって、さらに、熱伝導率の高い素材として炭素繊維などのフィラーが混入させているポリカボネート樹脂やPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂が適用される。そして、カメラ構造体4は後述の撮像素子支持板22と結合され、内蔵潜熱蓄熱体4bにより撮像素子21周辺の熱を蓄積する機能を有する。この潜熱蓄熱体4bを設けることにより放熱板を別途配置するスペースが不要となる。
【0025】
潜熱蓄熱体4bは、カメラ構造体4にインサート成形により熱的に結合されて配される。潜熱蓄熱体4bの壁面に凹凸形状の補強リブ4cが設けられている。補強リブ4cにより潜熟畜熱体4bが液化した状態におけるカメラ構造体4の強度が確保される。
【0026】
潜熟畜熱体4bを構成する有機系蓄熱材は、パラフィンまたは熱伝導性の高い炭素繊維およびゲル材が充填されたバラフィンで形成され、このパラフィンや無機水和塩などの芯材を容器で被覆した畜熱マイクロカプセルで構成される。この蓄熱クロカプセルは、撮像素子21の使用限界温度以下、例えば、50°〜60°Cで、相変化して融解可能とする。
【0027】
通常の撮影状態において、撮像素子21から発生した熱は、後述する上方に上昇し、カメラ外装カバー2の排気口2b(図5)から外部へ放出される。したがって、カメラ構造体4のペンタプリズム10の右側に位置する補強リブ4c付近が上昇するが、この潜熱蓄熱体4bによって蓄熱することができるので、撮像素子21の周辺温度が著しく上昇するのを抑え、インサート成形による合成樹脂のカメラ構造体4を用いた場合にはボディマウント3の全端面から撮像素子の結像面までの距離(フランジバック)の精度が高精度に確保される。
【0028】
撮像素子ユニット8は、図2,3に示すように後述する撮像素子21の前面側に配される防塵機構部と、シャッタ6の後方位置に配され、カメラ構造体4に密着して直接的に支持される撮像素子支持板22に支持される撮像素子冷却ユニット30とからなる。
【0029】
上記防塵機構部は、図2に示すようにカメラ構造体4に固定される基台23と、基台23により弾性体からなる支持部材27を介して支持される保護ガラス24と、ゴム枠23aを介して保護ガラス24の先端部に装着される圧電素子26と、基台23の裏面側に押さえ板により押さえられた状態で支持される光学フィルタ25からなる。この防塵機構部により保護ガラス24および基台23で囲まれた撮像素子21の撮像面側表面への埃の侵入が防止される。さらに、圧電素子26により保護ガラス24が振動駆動されると保護ガラス24上の付着したゴミが除去される。そして、図6には図示されていないが、Bμcom61は圧電素子駆動回路を介して防塵フィルタ24の周縁部に取り付けられた電極を有している圧電素子26を駆動し、その振動により防塵フィルタ24の表面に付着した埃を除去し得る構成とする。
【0030】
上記撮像素子冷却ユニット30は、撮像素子支持板22と、極めて薄い絶縁シート28を介して撮像素子支持板22に非撮像面(裏面)側が接着固定される撮像素子21と、撮像素子21の非撮像面側に取り付け接続され、撮像回路基板36にコネクタ39を介して接続される接続フレキシブルプリント基板(以下、接続FPCと記載する)35と、絶縁シート28の背面側に熱伝導シートを介して密着して配される熱電変換素子63と、撮像素子支持板22に支持され、熱電変換素子63の後面に配される後述する冷却部と、撮像回路基板36に装着される温度センサ62と、さらに、撮像素子支持板22の後方に配される撮像回路基板36とからなる。
【0031】
撮像回路基板36には、CPUからなるカメラボディ側制御部であるBμcom61やインターフェース回路部品や画像処理回路部品等が実装される。
【0032】
撮像素子支持板22は、アルミニウム板、あるいは、ステンレス鋼板で形成され、撮像素子21を保持すると共に撮像素子の放熱機能も有しており、カメラ構造体4の背面部に固定して取り付けられる。撮像素子支持板22は、撮像素子21側の絶縁シート28に対向する開口部22aを有している。
【0033】
なお、撮像素子支持板22は、カメラ構造体4と同一材料である熱伝導率の高い素材であって、炭素繊維などのフィラーを混入させたポリカボネートやPPS樹脂を適用してもよい。上記PPS樹脂には、球状黒鉛と非結晶(ガラス)繊維やカーボン繊維が充填されたポリフェニレンサルファイド樹脂の成型品を適用する。
【0034】
絶縁シート28は、所定寸法の極めて薄い厚みを有するシートであり、接着剤塗布用孔が設けられる。
【0035】
接続FPC35は、絶縁シート28に対向する部分が開口部となっており、両端部が撮像回路基板36の接続コネクタ部39に接続されている。
【0036】
撮像素子21は、ベアチップタイプ(非パッケージ)の撮像素子であって、接続FPC35に接続された状態の撮像素子21の非撮像面側(光電変換面である撮像面の裏面側)に絶縁シート28を貼り付けた状態で撮像素子支持板22の前面側に接着固定される。
【0037】
なお、カメラ構造体4に対して撮像素子支持板22は、光軸と直交する方向の位置が精度よく位置決めされており、カメラ構造体4の前面側に固着されるボディマウント3の前端面から撮像素子支持板22上の撮像素子21の撮像面までの距離(フランジバック)の精度は、撮像素子21がベアチップであることも加味されて高精度が確保される。
【0038】
熱電変換素子63は、図4に示すように使用温度領域が低温のBi2Te3のN型半導体63aとP型半導体63bが接合された形成されるセラミックス熱変換モジュールからなり、熱伝導面となる両面に電極63c,63dが配され、該電極に熱伝導シート63e,63fが接合されている。熱電変換素子63の厚みは3mm程度である。一方の絶縁シート63e側が高温側に配され、他方の絶縁シート63f側が低温側に配される。熱電変換素子63の撮像素子21側と上記冷却部側の両側表面に放熱部材である熱伝導シート41,42が貼付されている。熱電変換素子63は、熱伝導シート41を絶縁シート28側に密着させる。ここでは絶縁シート28と熱電変換素子63との間に、熱伝導シート材41(図4では63e)介在させたが、撮像素子21の背面側に絶縁シート28が接合されていない場合には直接、熱伝導シート材28を接合することも可能である。
【0039】
熱伝導シート41,42は、例えば、弾性変形可能な熱伝導シート材であるシリコンゴムシート、金属繊維を含有するポリアミド樹脂シート、あるいは、グラファイトシート等が適用可能である。
【0040】
カメラ1において、撮影動作中、撮像素子21が動作している状態で温度上昇し、熱電変換素子63の電極41c,41d間に温度差が生じると、ゼーベック効果により熱起電力が発生し、電極41cより電力が出力される。Bμcom61の制御のもとで熱電変換素子63からの電力により排気ファン65を駆動し、カメラ外装カバー2内の排気が行われ、撮像素子21を含む内部制御要素の冷却が行われる。この制御動作の詳細については後でフローチャートを用いて説明する。
【0041】
上記冷却部は、図3に示すように撮像素子支持板22に断熱部材44,45を介在して支持されるユニットであって、蒸発部と凝縮部とを備えた循環流体流路を形成するヒートパイプ31,32と、ヒートパイプ31,32の前後面に密着して配される伝熱板33,34とからなる。ヒートパイプ31,32は、複数対からなり、撮像素子支持板22の後方側に開口部22aを跨いで隙間のある状態で対向して配置される。
【0042】
ヒートパイプ31と32は、同一断面形状の部材であり、非特許文献1に記載される図14のヒートパイプが適用可能である。ヒートパイプ31は、棒状、かつ、円形断面を有する銅製パイプ材からなるコンテナ31aと、該パイプ材内に沿って配される毛細管作用をする構造をもつウイック31bと、該ウイック内部に形成される蒸気通路部とからなる。コンテナ31aは、密封されており、ウイック31b内に純水、メタノール、アンモニア水、または、公知の潜熱蓄熱体や高温度(例えば、59°C)で発色開始および記憶可能な可逆熱変色性顔料を内包したマイクロカプセルの分散液等の作動流体である作動液を封入されている。上記蒸気通路部は、一端側(ヒートパイプ対向側)の蒸発部31cと他端側の凝縮部31dとからなる。なお、ヒートパイプ外径(コンテナ31aの外径)が1〜2mmであるものを適用する。
【0043】
ヒートパイプ32もヒートパイプ31と同様にコンテナ32aとウイック32bと一端側の蒸発部32c、他端側の凝縮部32dとからなる蒸気通路部とを有している。また、伝熱板33,34はアルミニウム材やステンレス鋼材等の金属材料、またはフィラー入りPPS樹脂からなる一対の高熱伝導性材料を適用する。
【0044】
伝熱板33,34の中央部には、開口部33aと伝熱板34には放熱フィン34aが形成されている。この開口部33aにより伝熱板33の内部に淀む熱が排出される。
【0045】
ヒートパイプ31,32は、撮像素子支持板22の背面側に収納され、該ヒートパイプの放熱フィン34aを有する伝熱板34が接合された凝縮部31d側と32d側が撮像素子支持板22に直接、断熱部材44,45を介して接着固定される。そして、ヒートパイプ31,32の撮像素子支持板22のシリコンゲル剤46が埋め込まれた開口部22a側であって、ヒートパイプが互いに対向する側の端部である蒸発部31c、および、32cの光軸方向前後面を光軸直交平面に沿った伝熱板33,34の凹部で挟持した状態で熱伝導性のよい紫外線硬化型接着剤、または、高熱伝導性合成樹脂シートと接着剤により接合される。
【0046】
上述した構成を有する撮像素子冷却ユニット30において、撮像動作により撮像素子21が駆動電流により加熱された場合、撮像素子21の熱は、絶縁シート28、熱電変換素子63に伝わり、さらに、伝熱板33に吸収される。伝熱板33の熱は、ヒートパイプ31,32の蒸気通路部の蒸発部31c,32cに伝わる。蒸発部31c,32cにてウイック31b,32bにより搬送された作動液が加熱され、蒸気となる。その蒸気は、撮像素子支持板22の凹部22bに支持されている断熱部材44,45および放熱フィンを有する伝熱板34の凝縮部31d,32dに搬送される。そして凝縮部31d,32dに到達した蒸気の熱は放熱フィン34aの表面が隙間を流れる外部からの空気流により冷却されて凝縮部31d、32dで液体化する。その液体化した作動液は、ウイック31bを通して再度蒸発部31c,32cに搬送され、吸放熱サイクルが繰り返される。このような吸放熱作用によって撮像素子21の熱は、吸収され、温度上昇が抑えられる。
【0047】
撮像素子21の近傍の撮像素子冷却ユニット30の撮像素子21の背面側近傍には温度センサ62が取り付けられている。温度センサ62により撮像素子21近傍が所定の温度に達したことが検出された場合、熱電変換素子63より出力される熱起電力によって排気ファン65の運転が開始される。
【0048】
カメラ1の外装カバー2には、図5に示すように背面部、底面部に吸気孔2a,2b,が設けられている。さらに、カメラグリップ部2dの反対側の側面部に排気孔2cが設けられている。排気孔2cの内側に排気ファン65が配されている。なお、吸気孔2a,2b、排気孔2cの内側には通気性を有するスポンジ状のフィルタ部材が外装カバー2内面に密着させて配されている。これらフィルタ部材を備えることで、塵埃等が吸気孔2a,2b、排気孔2cからカメラ1内に入り込むことが防止される。また、吸気孔2a,2bは、撮像回路基板36や液晶モニタ12の近傍に配されており、排気ファン65の駆動時には吸気孔2a,2bから吸い込まれた空気が撮像回路基板36や液晶モニタ12を冷却してさらにその近傍の側方に配される排気孔2cを通って外部に排出される。
【0049】
なお、外装カバー2には、グリップ部2dの上面部にシャッタボダン53や露出補正ボタン54を備え、さらに、パワースイッチを含むモードダイヤル55やコントロールダイヤル56を備えている。背面部に液晶モニタ12を備える。この液晶モニタ12は、撮影画像の他に各種設定・調整内容を表示するTFTタイプのモニタからなり、背面側面積の半分程度を占める大型の矩形状表示パネルである。また、背面側から見て液晶モニタ12の左側に再生ボタン、消去ボタン、メニューボタ情報表示ボタン等を備える。さらに、背面側の液晶モニタ12の上部に、撮影時に操作者が覗く光学ファインダ接眼部57や、外付けフラッシュを取り付けるホットシュー58を備えている。
【0050】
本実施形態のカメラ1の電気制御システムについて図6のブロック構成図を用いて説明する。本実施形態のカメラ(カメラボディ)1には、アクセサリ装置の一つである交換レンズ鏡筒15が装着可能である。
【0051】
交換レンズ鏡筒15は、カメラ1の前面に設けられた図示しないレンズマウントを介して着脱自在である。レンズ鏡筒15の制御は、自身が有するレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと記載する)76が行う。一方、カメラ1(カメラボディ)1の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bμcomと記載する)61が行う。これらLμcom76とBucom61とは、カメラ(カメラボディ)1にレンズ鏡筒15を装着した状態において通信コネクタ75を介して通信可能に接続される。上記接続状態でLμcom76がBucom61に従属的に協働する。
【0052】
交換レンズ鏡筒15は、制御要素としてLμcom76の他に撮影レンズ14を進退駆動するためのレンズ駆動回路77と、絞り開閉駆動するための絞り駆動回路と、撮影レンズ駆動用モータおよび絞り駆動用モータとを備える。
【0053】
カメラ(カメラボディ)1は、制御要素としてBμcom61の他にBμcom61により制御される制御要素として被写体輝度検出用測光回路66と、被写体距離を検出し、合焦データを得るためのAF回路67と、メインミラー5を駆動するためのミラー駆動回路68と、シャッタ6を駆動制御するためのシャッタ制御回路69と、撮像素子21と、撮像素子制御回路71と、液晶表示装置73(液晶モニタ12)と、液晶表示装置制御回路72と、画像データ記録用のメモリ74と、撮像素子制御回路71、液晶表示装置制御回路72、メモリ74を制御する画像処理コントローラ70と、さらに、撮像素子近傍の温度を検出する温度センサ62と、熱電変換素子63と、熱電変換素子63の出力電圧を昇圧するDC/DCコンバータ64と、DC/DCコンバータ64の出力電圧によりBμcom61により制御される駆動回路65aによって駆動される排気ファン65と、ファインダモード設定スイッチを含む操作スイッチ群80とを備えている。なお、撮像素子制御回路71、液晶表示装置制御回路72は、前述した撮像回路基板36に実装されており、発熱体となるAFEIC等を有している。
【0054】
上述した構成を有するレンズ鏡筒装着状態のカメラ1における排気ファン動作を含む撮影動作の処理について図7のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
カメラ1においてパワースイッチがオンされると、Bμcom61の制御のもとで図7のメイン処理が立ち上げられ、制御動作が開始される。まず、ステップS100にてシステム(各制御要素)の初期化がなされ、撮影に関する各種の制御が開始される。
【0056】
ステップS101では、操作スイッチ群80のファインダモード設定スイッチ(SW)が操作されたかをチェックし、ファインダモードの切り換え操作がなされたかを判別する。ファインダモードの切り換え操作があった場合、ステップS102に進み、切り換え操作がなかった場合は、ステップS107にジャンプする。
【0057】
ステップS102では、設定されたファインダモードを確認して、光学ファインダモードであった場合は、ステップS103へ、ライブビューモードであった場合は、ステップS105に進む。
【0058】
ステップS103ではファインダモードをライブビューモードに設定し、撮像素子21を駆動して被写体像を電気的撮像信号に変換し、その撮像信号による画像を液晶表示装置73(液晶モニタ12)に表示させ、ステップS104でメインミラー5をアップ位置へ移動してステップS101に戻る。
【0059】
一方、ステップS105ではファインダモードを光学ファインダモードに設定し、上記ライブビューモード動作を中止させ、ステップS106でメインミラー5をダウン位置へ移動して光学ファインダ観察状態としてステップS101に戻る。
【0060】
ステップS101でファインダモードの切り換え操作がなかったことが確認され、ステップS107にジャンプした場合、撮像素子21の近傍に配置された温度センサ62の検出温度Tが第一の設定温度T2 を超えたかを判別する。この設定温度T2 は、例えば、60〜70℃に設定されている。検出温度Tが設定温度T2 を超えている場合は、ステップS108に進み、超えていない場合は、ステップS114に進む。
【0061】
ステップS108では、現在設定されているファインダモードがライブビューモードであるかをチェックし、ライブビューモードでない場合は、そのままステップS112にジャンプするが、ライブビューモードであった場合には、ステップS109に進む。
【0062】
ステップS109では、ファインダモードを光学ファインダモードに切り換え、ステップS110でメインミラー5をダウン位置へ移動させて光学ファインダ観察が可能な状態とし、ライブビューモード動作を中止させ、ステップS111に進む。
【0063】
ステップS111では熱電変換素子63の熱起電力による排気ファン65の駆動が開始される。排気ファン65の排気により撮像素子支持板22の周囲の加熱された空気が排気孔2cより排気され、発熱体である撮像素子21やAFEIC素子が強制冷却される。さらに、排気ファンの駆動時において、DC−DCコンバータ64から出力する電力が不足した場合には2次電池から補助供給することが好ましい。また、Bμcom61は、状況に応じて、例えば、撮像素子の温度が所定温度以下に下がったときになどにバッテリ(図示されていない)からの電力を用いて排気ファン64を駆動し、撮像素子の周辺温度を強制的に下げる。
【0064】
その後、ステップS112で温度センサ62の検出温度Tが第二の設定温度T1 以下に下がったかが判別が行われる。この設定温度T1 は、検出温度の変化を示す図8に示すように第一の設定温度T2 に対してヒステリシスを持たせ、所定の温度差ΔTだけ低い温度に設定されており、排気ファン65のオン/オフ動作が不安定になることを防止している。
【0065】
上記ステップS112の判別で検出温度Tが設定温度T1 より低くなったことが確認された場合、ステップS113に進み、排気ファン65の駆動を停止させ、ステップS101に戻り、再度ファインダモードの切り換え操作のチェックを行う。
【0066】
ステップS107における検出温度Tの判別で設定温度T2 を超えていないことが確認され、ステップS114に進んだ場合、レリーズスイッチが操作されたかを判別し、操作された場合は、ステップS115に進み、AEまたはAFの撮影準備動作が実行され、さらに、ステップS116に進み、撮影動作が実行される。その後、ステップS101に戻る。また、上記レリーズスイッチが操作されなかった場合は、ステップS117に進む。
【0067】
ステップS117ではパワースイッチのオン/オフをチェックし、オンの場合は、ステップS101に戻るが、オフ状態の場合は、ステップS118にてシステムを停止させ、本ルーチンを終了する。
【0068】
上述した第一の実施形態のカメラによれば、撮像素子等の発熱部近傍に熱電変換素子を配し、該熱電変換素子の熱起電力を用いて排気ファンを駆動し、カメラ内蔵電池の電力を消費することなく、撮像素子等の発熱部を効率よく冷却することができ、また、組み立てが複雑とならず、小型化も可能なカメラを提供することができる。
【0069】
次に本発明の第二の実施形態の撮像素子冷却ユニットについて、図9,10を用いて説明する。
図9は、本実施形態の撮像素子冷却ユニットを構成する撮像部の光軸を含む縦断面図である。図10は、上記撮像素子冷却ユニットを構成し、上記撮像部に連結される放熱部の断面図である。
【0070】
本実施形態の撮像素子冷却ユニットは、交換式撮影レンズの鏡筒部(図示せず)が着脱可能な、手ぶれ補正機能を有する一眼レフデジタルカメラに適用可能な撮像素子冷却ユニットであって、撮像部160と放熱部190とからなる。撮像部160は、カメラ構造体(図示せず)によって光軸と直交する平面上移動可能な状態で支持され、撮影時に手ぶれ駆動機構部(例えば、本出願人による特願2006−222709号の図3,4に示される)により手ぶれ状態に対応して上記平面上を駆動される。放熱部190は、上記カメラ構造体に対して固定支持される。
【0071】
本実施形態の撮像素子冷却ユニットの撮像部160は、図9に示すよう固定部材である上記カメラ構造体に対して上記直交平面上を移動可能に支持される移動部材である移動枠164と、ボディ制御用マイクロコンピュータの指示に基づいて、移動枠164を移動させるための撮像素子シフト機構および撮像素子シフト機構を駆動する駆動回路(図示せず)と、移動枠164の後面に固着される撮像素子支持板166と、移動枠164に撮像素子支持板166を介して固着される基板押さえ板171と、絶縁シート167を介して撮像素子支持板166の前面側に接着固定される撮像素子162と、撮像素子162や該撮像素子を駆動するためのタイミングジェネレータを含むインターフェースIC素子172、温度センサ173等が実装され、基板押さえ板171に保持される中央開口部を有する接続FPC(フレキシブルプリント基板)168と、撮像素子162の撮像面側に保護ガラス支持用押さえ板165を介して移動枠164に支持される保護ガラス163と、撮像素子162の反撮像面側に絶縁シート167を介して装着される熱電変換素子151と、撮像素子支持板166および基板押さえ板171の背面側に固着される伝熱板175,176と、伝熱板175,176に挟持される複数本(例えば、5本)の循環流体流路を形成する棒状ヒートパイプ(蒸発部)174と、伝熱板176の背面側に固着される放熱板177と、さらに、ヒートパイプ(蒸発部)174の蒸気送出側S1 に接続されるベローズ接続管183と該接続管に接続される可撓性合成樹脂管182、および、ヒートパイプ(蒸発部)174への作動液流入側S2 に接続されるベローズ接続管185と該接続管に接続される可撓性合成樹脂管184からなる。
【0072】
移動枠164は、球状黒鉛と非結晶(ガラス)繊維やカーボン繊維が充填されたPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂からなる部材である。また、基板押さえ板171は、薄いアルミニウム板、または、ステンレス鋼板からなる。そして、接続FPC168は、基板押さえ板171によって振れ防止状態で保持されている。
【0073】
撮像素子支持板166は、金属板、または、熱伝導率の高いフィラー(例えば、炭素繊維)やセラミックなどが混入したABS樹脂やポリカーボネート樹脂材料からなり、中央部に開口部が設けられている。
【0074】
熱電変換素子151は、前記第一の実施形態に適用した図4の熱電変換素子63と同様の素子であり、熱電変換素子151の撮像素子162側とヒートパイプ(蒸発部)174側の両側に放熱部材である熱伝導シート152,153が貼付されている。熱電変換素子151は、熱伝導シート152を絶縁シート167に密着させ、熱伝導シート153をヒートパイプ(蒸発部)174に対して放熱のための隙間C2 を設けた状態で撮像素子支持板166の開口部166aに配される。なお、隙間C2 は、必ずしも必要ではなく、熱伝導シート153を密着状態で配してもよい。熱電変換素子151からの熱起電電力は、後述する放熱部190の圧電素子188に供給され、圧電ポンプ187を駆動する。
【0075】
なお、熱伝導シート152,153は、例えば、弾性変形可能な熱伝導シート材であるシリコンゴムシート、金属繊維を含有するポリアミド樹脂シート、あるいは、グラファイトシート等が適用可能である。
【0076】
ヒートパイプ(蒸発部)174は、第一の実施形態にて適用したヒートパイプ31の蒸発部のみで形成されるものとし、棒状以外、平型形状であってもよい。ヒートパイプ(蒸発部)174の複数本の一方の蒸気送出側は、単一の管にまとめられ、ベローズ接続管183に接続される。さらに、ベローズ接続管183は、蒸気送出側S1 の気相流体流路用可撓性合成樹脂管182に接続される。また、作動液流入側S2 の液相流体流路用可撓性合成樹脂管184は、ベローズ接続管185を経た後、複数本に分割され、ヒートパイプ(蒸発部)174の作動液流入側に接続される。可撓性合成樹脂管182,184は、ヒートパイプ174を直径2mmとすると接続FPC168よりやや狭い幅15mm×高さ3mmのサイズを有し、接続FPC168と一体の状態で保持される可撓性樹脂ケーブルを構成し、放熱部190側接続される。
【0077】
ヒートパイプ174を保持する伝熱板175,176は、酸化アルミニウム(Al2 O3 )、または、熱伝導率の高いフィラー(例えば、炭素繊維)やセラミックなどが混入したABS樹脂やポリカーボネート樹脂材料、あるいは、球状黒鉛と非結晶(ガラス)繊維やカーボン繊維が充填されたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂からなる。この伝熱板175,176にはY方向に沿って形成されるヒートパイプ外径に合わせた形状の溝部が設けられる。該溝部によりヒートパイプを挟み込み、面接触した状態で熱伝導性の高い接着剤で接合される。さらに、伝熱板175側は、基板押さえ板171の背面部に熱伝導性の高い接着剤で接合される。なお、伝熱板175,176は、酸化アルミニウムの場合は黒色アルマイト処理されたものを適用し、また、それ以外の素材の場合、表面に小さい凹凸を付し、高放射性表面を有するものとする。
【0078】
なお、上記PPS樹脂は、熱伝導に優れており、このPPS樹脂を撮像素子支持板166に適用すると、ヒートパイプ174とは圧着接合が可能であり、PPS樹脂と該ヒートパイプ間の接着剤介在による熱伝導の低下が阻止できる。
【0079】
放熱板177は、アルミニウム材、または、熱伝導率の高いフィラー(例えば、炭素繊維)やセラミックなどが混入したABS樹脂やポリカーボネート樹脂材料からなり、伝熱板176の背面側に密着して配される。放熱板177の中央部に2枚の金属板178,179で囲われた熱媒体室が設けられている。該熱媒体室にはシリコングリース181が注入され、さらに、伝熱フィン178a,179aが配されている。この放熱板177は、伝熱板176に熱伝導性の高い両面接着剤で接合される。なお、上記シリコングリース181は、グラファイト、炭素繊維を含有した樹脂からなる発砲材に置き換えることもできる。
【0080】
上記撮像素子支持板166,基板押さえ板171,伝熱板175,176,放熱板177は、ビス180によって締結され、一体化される。
【0081】
接続FPC168は、U字状に折り曲げられて形成され。この接続FPC168は、可撓性合成樹脂管182,184に積層され、一体状態の可撓性樹脂ケーブルとして放熱部190側に導かれ、プリント基板支持台193に配されるメインプリント基板に接続される。
【0082】
一方、本実施形態の撮像素子冷却ユニットの放熱部190は、図10に示すように上記カメラボディのカメラ構造体(図示せず)により固定支持されるプリント基板支持台193と、プリント基板支持台193上に固着される制御回路(CPU)やTG(タイミングジェネレータ)ICが実装されているプリント基板189と、該プリント基板189に実装される圧電ポンプ用駆動ICチップ191と、プリント基板189に絶縁シート192介して装着される伝熱ブロック体186と、伝熱ブロック体186に取り付けられ、熱電変換素子151の出力電圧が印加される圧電素子188と、圧電素子188により駆動される圧電ポンプ187とを有している。
【0083】
伝熱ブロック体186は、例えば、多孔質金属材料などの金属からなり、外部に伝熱用フィン186aが配され、さらに、伝熱ブロック体186の放熱性を改善するために伝熱ブロック体186とプリント基板支持台193との間が金属箔186dで連結されている。そして、伝熱ブロック体186には、蒸気流入側S1 に循環流体流路を形成するヒートパイプ(凝縮部)186bと、作動液送出側S2に作動液送出部186cが配されている。
【0084】
圧電ポンプ187は、作動液が循環する流速を所定の速度に保ち、可撓性合成樹脂管内における熱の淀みを少なくするために伝熱ブロック体186に配されている。なお、圧電ポンプ187と伝熱ブロック体186のヒートパイプ(凝縮部)186bとの間、および、圧電ポンプ187と伝熱ブロック体186の作動液送出部186cとの間にはそれぞれ逆止弁が配されている。
【0085】
伝熱ブロック体186のヒートパイプ(凝縮部)186bは、撮像部160の蒸気送出側S1の前記可撓性合成樹脂管182に接続されている。伝熱ブロック体186の作動液送出部186cは、撮像部160の作動液流入側S2の前記可撓性合成樹脂管184に接続されてる。
【0086】
上述した構成を有する本実施形態の撮像部160と放熱部190とからなる撮像素子冷却ユニットにおいては、撮影動作時、撮像部160における撮像素子162が高速動作時に発生する熱が熱電変換素子151を経て、伝熱板175からヒートパイプ(蒸発部)174に伝わり、その熱により作動液が蒸発し、蒸気に変態する。なお、上記熱の一部は、伝熱板176を経て放熱板177より外部に放出される。また、熱電変換素子151において撮像素子162から伝わる熱により発電がなされ、その熱起電力は、圧電ポンプ187の駆動電力として供給される。
【0087】
ヒートパイプ(蒸発部)174で生じた蒸気は、ヒートパイプ(蒸発部)174から送出され、可撓性合成樹脂管182を通過して放熱部190の伝熱ブロック体186のヒートパイプ(凝縮部)186bに到達する。そこで冷却され,凝縮して作動液に戻る。その作動液は、圧電ポンプ187側に送られる。圧電ポンプ187は、熱電変換素子151から供給される電力により駆動され、上記作動液を強制的にヒートパイプ(凝縮部)186bから作動液送出部186cへ送る。そして、該作動液は、可撓性合成樹脂管184を経て再度、撮像部160のヒートパイプ(蒸発部)174に戻され、吸放熱のサイクルが繰り返される。この吸放熱動作によって撮像素子162が冷却される。
【0088】
なお、圧電ポンプ187は、ボディ制御用マイクロコンピュータの指示に基づいて駆動回路により駆動されるが、その駆動制御部の構成は、図6に示す排気ファン65を上記圧電ポンプに入れ替えたものとなる。さらに、圧電ポンプ187の駆動制御は、図7のフローチャートにてステップS111,S113における排気ファンを圧電ポンプに入れ替えた処理を適用することができる。
【0089】
上述した本実施形態の撮像部160と放熱部190とからなる撮像素子冷却ユニットによれば、発熱部となる撮像素子を有する可動の撮像部160に対して固定支持される放熱部190を離間させ、独立して配置したことにより、効率のよい十分な冷却が可能となる。また、撮像素子162の背面側に熱電変換素子151を配し、撮像素子162の熱による熱電変換素子151の熱起電力により圧電ポンプ187を駆動することによりヒートパイプ174の作動液を強制的に循環させることにより、カメラ内蔵電池の消費電力の少ない状態で上述した撮像部160の冷却を行うことができる。
【0090】
また、撮像部160にて移動枠164と共に基板押さえ板171が手ぶれ補正動作時にXY平面に沿って移動した場合、撮像部160と放熱部190とを接続する管部材であって、ベローズ接続管183,185を介して接続されている可撓性合成樹脂管182,185が柔軟に変形することにより移動枠164および基板押さえ板171の移動を妨げることがない。例えば、振動型モータや電磁モータなどの駆動モータによって基板押さえ板171を駆動する際に、棒状または平板型マイクロヒートパイプの反力による影響で、撮像素子の所望位置において、位置きめの不安定さや駆動モータの負荷の増大が避けられる。
【0091】
また、手ぶれ補正のための駆動源が電磁駆動モータであって、ムービングコイル型のアクチュエータを使用する場合にはその電力駆動信号線をベローズ接続管183,185と重ねて配置することも可能となる。さらに、上記駆動信号線がXおよびY軸用それぞれの電力駆動線が2つに分離されている場合には棒状または平板型マイクロヒートパイプも分離することができ、駆動モータヘの過負荷を防止することが可能となる。
【0092】
また、図示していないが、合成樹脂からなるカメラ構造体において、ストロボ回路や撮像画像処理回路、電源制御回路などのプリント基板、または、液晶表示部および操作部基板と撮像素子支持板との間に介在した金属材料(ステンレス鋼材、アルミニウム材など)の凹凸形状の仕切り板や外部へ露出する金属材料(ステンレス材料、アルミニウム材料など)の前カバー、後カバー、外装体と電気的に導通するアース端子などに対してフィン付き伝熱ブロック体の一部の面(棒状および平板型ヒートパイプ(凝縮部)が接する面)をカシメ加工、弾性力のあるクリップ、小ネジなどにより直接的に接触させて固定する構造を採用することもできる。さらには棒状および平板型ヒートパイプを金属性外装カバーに、また、液晶表示部や操作部基板を覆う金属材料からなる仕切り板と熱伝導率の高い両面テープで接合することも可能である。これらの構造を採用した場合、撮像素子や回路部品の発熱による機器本体の温度上昇を極めて効率よく抑制することができる。
【0093】
次に本発明の第三の実施形態の撮像素子冷却ユニットを備えた撮影レンズユニットについて、図11を用いて説明する。
なお、図11は、本実施形態の撮影レンズユニットの光軸に沿った断面図である。
【0094】
本実施形態の撮影レンズユニット201は、デジタルカメラ等の電子機器に内蔵される撮影レンズユニットであって、図11に示すようにレンズ鏡枠部202と撮像素子冷却ユニット203とからなり、撮影時に上記撮像素子を手ぶれに対応させて移動させる手ぶれ撮影防止機能を有し、さらに、上記撮像素子の冷却を内蔵ヒートパイプにより行うものである。
【0095】
レンズ鏡枠部202は、カメラ本体等に固定され、各構成部材を直接、または、間接的に支持し、下記の第三群レンズ枠207の背面側に配され、開口部204aを有する地板204と、レンズ光軸に沿って配される構成部材として、第一群レンズ205aを保持する第一群レンズ枠205と、第二群レンズ206aを保持する第二群レンズ枠206と、第三群レンズ207aを保持する第三群レンズ枠207と、スムーズ/フォーカス駆動アクチュエータ208と、撮像素子冷却ユニット203と、手ぶれ検出センサ(図示せず)を備えている。
【0096】
第一群レンズ枠205は、地板に対して固定支持されている。第二群レンズ枠206は、ズーミング時にスムーズ/フォーカス駆動アクチュエータ208のズーム駆動部208aによりレンズ光軸に沿って進退駆動される。また、第三群レンズ枠207は、ズーミング時にスムーズ/フォーカス駆動アクチュエータ208のフォーカス駆動部208bによりレンズ光軸に沿って進退駆動される。
【0097】
スムーズ/フォーカス駆動アクチュエータ208は、モータ部からなるズーム駆動部208aと、電磁コイル部からなるフォーカス駆動部208bとを有している。
【0098】
撮像素子冷却ユニット203は、地板204の背面側に取り付けられる冷却式の撮像素子冷却ユニットであって、固定枠部材である撮像撮像冷却ユニット支持体211と、撮像素子冷却ユニット用プリント基板212と、レンズ光軸に直交する平面に沿って移動可能に支持される撮像素子支持板215と、撮像素子支持板215に固定支持されるCCD、または、CMOS等からなる撮像素子213と、撮像素子213が実装される接続用フレキシブルプリント基板(以下、接続FPCと記載する)231と、撮像素子213の反撮像面側(下面側)の絶縁シート214に密着して配される熱電変換素子241と、撮像素子支持板215側に固着支持され、循環流体流路を形成する吸熱用ヒートパイプ(以下、吸熱ヒートパイプと記載する)216と、撮像素子冷却ユニット支持体211側に固着支持され、循環流体流路を形成する放熱用ヒートパイプ(以下、放熱ヒートパイプと記載する)217と、吸熱ヒートパイプ216と放熱ヒートパイプ217とを連接する伸縮接続管であるベローズ型接続管218と、撮像素子支持板215を光軸直交平面に沿って移動可能に支持する支持板支持機構部(撮像素子シフト機構)と、撮像素子支持板215を上記光軸直交平面に沿って駆動するための支持板電磁駆動部とを備えている。なお、図6のブロック図は、本実施形態にも適用可能であるが、ボディ制御用マイクロコンピュータの指示に基づき、上記支持板電磁駆動を駆動するための駆動回路は図示していない。
【0099】
撮像素子冷却ユニット支持体211は、リング形状の部材であって、熱伝導性の高い金属や合成樹脂であるステンレス材、アルミニウム材や繊維入りの合成樹脂、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂やPC(ポリカーボネイト)樹脂からなる。そして、放熱ヒートパイプ217が挿入接着される取り付け孔211aを有し、地板204の背面側に取り付けられる。
【0100】
この撮像素子冷却ユニット支持体211のリング内周表面には潜熱蓄熱剤を含有したシートであって、球状黒鉛にガラス繊維やカーボン繊維が充填された合成樹脂、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂やPC(ポリカーボネイト)樹脂からなる蓄熱シート238が接着剤により接合されている。上記潜熱蓄熱剤は、例えば、撮像素子の使用限界温度以下である60°〜80°Cで相変化して融解、凝固可能なものであって、有機系であれば、パラフィンやワックスが適用可能である。撮像素子冷却ユニット支持体211の内周表面に蓄熱シート238を接合することによって撮像素子近傍の温度上昇を一次的に抑えることができる。従って、CPUによる撮像素子の異常温度上昇検出の頻度が低減され、ユーザの利便性が改善される。
【0101】
なお、撮像素子冷却ユニット支持体211が球状黒鉛にガラス繊維やカーボン繊維が充填された合成樹脂、例えば、PPS樹脂やPC樹脂である場合は、撮像素子冷却ユニット支持体211の内部に上記潜熱蓄熱剤を含有したシート239(図11に二点鎖線で示す)を内部にインサート成型により埋め込んでもよい。
【0102】
撮像素子冷却ユニット用プリント基板212は、撮像素子冷却ユニット支持体211の下面にビス229によって光軸直交平面に沿った姿勢で固着されている。プリント基板212の上面側に上記支持板支持機構部を介して撮像素子支持板215が支持されている。プリント基板212の背面側にはCPU221やTG(タイミングジェネレータ)回路を有し、撮像素子から出力された画像信号に対して保持および利得制御回路を含むAFE(アナログ・フロント・エンド回路)IC(以下,AFEICと記載する)222等が実装されている。
【0103】
なお、CPU221やAFEIC222の熱は、プリント基板212を介して撮像素子冷却ユニット支持体211側に伝わるので上記CPU等の温度上昇が抑えられる。
【0104】
撮像素子213は、撮像面側である上面側に保護ガラス213aが固着され、非撮像面側である下面側に絶縁シート214が接着されており、接続FPC231に実装された状態で撮像素子支持板215の上面に固定支持されている。
【0105】
撮像素子支持板215は、アルミニウム板、あるいは、ステンレス鋼板で形成され、撮像素子213側の絶縁シート214に対向する開口部215aと、該開口部下方に配される開放凹部215bと、吸熱ヒートパイプ216の両端がが取り付けられるヒートパイプ固着凹部215cと、撮影レンズの光軸に対して撮像素子213の位置を決めるための位置決め孔215d,215eと有している。
【0106】
上記開放凹部215bは、撮像素子冷却ユニット203の外部に対して開放された凹部であり、撮像素子213からの熱が撮像素子支持板215内部での滞るのを防止する。また、ヒートパイプ固着凹部215cは、ヒートパイプの幅よりやや広い幅であって、ヒートパイプよりやや深い溝からなり、その断面は、半円形状、U字形状、多角形状、矩形形状、楕円形状等の形状を有する。
【0107】
なお、撮像素子支持板215の材料として熱伝導率の高い素材であって、炭素繊維などのフィラーを混入させたPC(ポリカボネート)樹脂やPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を適用してもよい。上記PPS樹脂には、球状黒鉛と非結晶(ガラス)繊維やカーボン繊維が充填された樹脂の成型品を適用する。このPPS樹脂を撮像素子支持板215に適用すると、後述する吸熱ヒートパイプ216と圧着接合が可能であり、PPS樹脂と該ヒートパイプ間の接着剤介在による熱伝導の低下が阻止できる。
【0108】
熱電変換素子241は、前記第一の実施形態に適用した図4の熱電変換素子63と同様の素子であり、撮像素子213側と吸熱ヒートパイプ216側との両側に放熱部材である熱伝導シート242,243が貼付されている。熱電変換素子241は、熱伝導シート242を絶縁シート214に密着させ、熱伝導シート243を吸熱ヒートパイプ216に対して接合した状態で撮像素子支持板215の開口部215aに配される。
【0109】
なお、熱伝導シート242,243は、例えば、弾性変形可能な熱伝導シート材であるシリコンゴムシート、金属繊維を含有するポリアミド樹脂シート、あるいは、グラファイトシート等が適用可能である。
【0110】
撮像素子213の動作時の発熱により熱電変換素子241にて発電がなされ、その熱起電力により第一、または、第二の実施形態の場合と同様に排気ファン(図示せず)、あるいは、作動液循環用の圧電ポンプを駆動することができる。
【0111】
吸熱ヒートパイプ216は、4本のヒートパイプからなり、前記非特許文献1に記載されるヒートパイプ(図14)の吸熱部が適用可能であり、棒状、かつ、円形断面を有する銅製パイプ材からなるコンテナ部と、該パイプ材内に沿って配される毛細管作用をする構造をもつウイック部と、該ウイック内部に形成される気化部を有する蒸気通路部とからなる。上記ウイック内に純水、メタノール、アンモニア水、または、公知の潜熱蓄熱材や高温度(例えば、59°C)で発色開始および記憶可能な可逆熱変色性顔料を内包したマイクロカプセルの分散液等の作動流体である作動液が封入されている。上記コンテナ部の外表面はサンド加工等により微細な凹凸面(ナシ地面)になっており、さらに、黒色塗装が施されており、高放射率の表面になっている。なお、ヒートパイプ外径(コンテナの外径)が1〜2mmであるものを適用する。上記ウイック部は、細いワイヤを網状に編み込んだ細網部分やメッシュなどからなる。
【0112】
放熱ヒートパイプ217は、1本のヒートパイプからなり、吸熱ヒートパイプ216と同様に棒状、かつ、円形断面を有する銅製パイプ材からなるコンテナ部と、該パイプ材内に沿って配され、上記作動液が通る毛細管構造を有するウイック部と、該ウイック内部に形成される凝縮部をもつ蒸気通路部とからなる。放熱ヒートパイプ217は、撮像素子冷却ユニット支持体211に設けられるヒートパイプ装着孔211aに挿入され、接着固定される。
【0113】
吸熱ヒートパイプ216と放熱ヒートパイプ217とは、ベローズ型接続管218を介してに互いに連接接続されている。
【0114】
ベローズ型接続管218は、伸縮性、可撓性を有する接続管であり、ベローズ型接続管218の放熱ヒートパイプ217側は、撮像素子冷却ユニット支持体211に支持され、放熱ヒートパイプ217の支持具217aを介して固定支持されている。吸熱ヒートパイプ216が撮像素子支持板215と共に撮像素子冷却ユニット支持体211に対して光軸直交平面に沿って移動した場合、ベローズ型接続管218が弾性変形し、吸熱ヒートパイプ216に大きな力を与えることなく、また、上記撮像素子支持板電磁駆動部の負荷抵抗も少ない状態を維持できる。ベローズ型接続管218の接続部は、接続FPC231のU字折り曲げ部の配置位置と反対側に位置している。
【0115】
上記支持板支持機構部(撮像素子シフト機構)は、撮像素子支持板215の下面部と撮像素子冷却ユニット用プリント基板212の上面部の間に摺動板を介して挟持した状態で配されるすくなくとも4つの鋼製のベアリングボール223と、該ベアリングボール223を保持するリテーナ部材224とからなる。撮像素子支持板215はベアリングボール223を介してプリント基板212に対してXY平面に沿って移動可能に支持される。
【0116】
撮像素子支持板215のすくなくとも一対の永久磁石とプリント基板側の上記磁性材との間で、4つのベアリングボール223に磁気的な押圧力(磁気吸引力)が作用する。この押圧力が作用すると、ベアリングボール223が撮像素子支持板215とプリント基板212とに押し付けられる。この結果、撮像素子支持板215とプリント基板212とはベアリングボール223を介在して押圧され、がた付きが除去される。
【0117】
上記支持板電磁駆動部は、光軸直交平面上の二次元直交座標系のX方向駆動部とY方向駆動部とからなり、該XおよびY方向駆動部はそれぞれプリント基板212の上面に実装されるX,Y駆動用プリントコイル225,228と、撮像素子支持板215の下面に固着され、上記プリントコイル225,228に対向した状態で厚さ方向に磁化された異極対向で2つが結合した永久磁石227,230とからなる。該プリントコイル225,228には、それぞれの中央部にXY位置検出用ホール素子226,229が配されている。さらに、プリントコイルの225,228上面には磁性材が貼り付けられている。
【0118】
永久磁石227は、N極とS極がプリント基板の延在方向(X方向)に並ぶように分極着磁されている。また、永久磁石230は、N極とS極がプリント基板の延在方向と直交する方向(Y方向)に並ぶように分極着磁されている。Y軸駆動用ブリントコイル228は横長の長方形をしており、その長辺が永久磁石227の各磁極に対向するように配置されている。同様にX軸駆動用プリントコイル225は横長の長方形をしており、その長辺が永久磁石230の各磁極に対向するように配置されている。
【0119】
また、撮像素子支持板215とプリント基板212の間には、撮像素子213からの出力信号をプリント基板側に伝達するための接続FPC231が接続されている。
【0120】
撮像素子213を支持する撮像素子支持板215の位置制御を行うCPU(図示せず)は、プリント基板212上に実装され、撮像素子支持板215の水平方向であるX軸方向の移動と、撮像素子支持板215の鉛直方向であるY軸方向の移動を制御する。このCPUは、図示されていない手ぶれ検出センサから入力される角速度に基づいて、撮像素子支持板215を所望位置へ位置制御を行う。撮像素子支持板215に配置された異極接合された永久磁石227,230の磁束内に鉛直方向のX,Y軸駆動用ブリントコイル225,228に通電され、撮像素子支持板215が移動すると位置検出用ホール素子226,229により位置検出が行われる。上記X,Y軸駆動用プリントコイル225,228の通電が遮断されると撮像素子支持板215は永久磁石227,230と上記磁性材との磁気バランスで初期位置に戻る。このように撮影レンズユニット201が振動したときに、可動の撮像素子支持板215上の撮像素子213が2次元方向に移動して撮像素子213の撮像面における画像の振れを補正することができる。
【0121】
上述した構成を有する撮影レンズユニット201において、撮影動作中の撮像素子213は、動作電流により加熱され、動作温度が上昇するが、撮像素子213の熱は、撮像素子下方の撮像素子支持板215に固着されている吸熱ヒートパイプ216側に放射および伝熱により吸収される。吸熱ヒートパイプ216内の上記作動液は、上記熱により蒸発し、その蒸気は、蒸気通路を通って放熱ヒートパイプ217側に流入する。該蒸気の熱は、放熱ヒートパイプ217側が固着されている撮像子冷却ユニット支持体211に放熱され、作動液に凝縮する。その作動液は、上記ウイック部を通って、再度、吸熱ヒートパイプ216側に戻され、吸熱動作が行われる。この吸熱、放熱が繰り返され、撮像素子213の温度上昇が抑えられる。
【0122】
さらに、第一の実施形態の場合と同様に撮像素子213の近傍に配される温度センサにより所定の温度上昇が検出された場合、熱電変換素子241の熱起電力により排気ファン(図示せず)が駆動され、カメラボディの排気孔(図示せず)より内部の加熱空気が排出され、撮像素子213やCPU221の温度上昇が抑えることができる。また、排気ファンの駆動と同様に圧電ポンプによりヒートパイプの作動液に強制循環を行わせてもよい。上記排気ファン、または、圧電ポンプの駆動制御を含む撮影処理は、図7のフローチャートに示す処理と略同様となる。
【0123】
一方、撮影レンズユニット201の撮影動作中に上記手ぶれ検出センサにより手ぶれが検出された場合、上記支持板電磁駆動部によって上記支持板支持機構部で支持される撮像素子支持板215がXY平面に沿って手ぶれ量に応じて駆動される。この駆動状態においてもベローズ型接続管218の弾性変形によって吸熱ヒートパイプ216は、大きな力を受けることなく、同時に撮像素子支持板215は、上記支持板電磁駆動部により抵抗の増加が少ない状態で駆動される。
【0124】
本実施形態の撮影レンズユニット201に内蔵される撮像素子冷却ユニット203によれば、構成が簡単であって、上述した吸熱、放熱ヒートパイプ216,217を備えたことによって撮像素子213の温度上昇を抑え、同時に、手ぶれ補正動作時における撮像素子支持板215を駆動する電磁駆動部の負荷増大を抑えることができる。また、ベローズ型接続管218の接続部が接続FPC231のU字折り曲げ部の配置位置と反対側に位置しており、組み立て作業が容易である。
【0125】
なお、上述の実施形態においては、リテーナ付きベアリングボール223を挟持した状態で撮像素子支持板215とプリント基板212との間に磁気吸引力を作用させた支持手段を適用した。その支持手段に替えてプリント基板上の磁性材を使用せず、撮像素子支持板側に軸受けを形成し、プリント基板側にガイド軸を設け、さらに、撮像素子支持板とプリント基板との間に一軸方向に移動可能な中間部材を配置し、該中間部材の移動方向に対して直交する方向に撮像素子支持板を移動させる構成のメタル軸受け支持手段を適用してもよい。
【0126】
また、本実施形態では1組の永久磁石227,230を適用したが、それぞれの永久磁石が対角線に位置するように4つの永久磁石とそれに対向するプリント基板上に4つの駆動用プリントコイルとを適用し、X軸、Y軸駆動用ブリントコイルの対向する延長線上で各駆動用プリントコイルの裏面位置にそれぞれ磁性片を配置した電磁駆動部を採用することも可能である。または、磁性片をX軸またはY軸駆動用プリントコイルによって囲まれるように配置することも可能である。
【0127】
本実施形態では駆動プリントコイルと永久磁石はN極とS極に跨るように磁性片とをプリント基板に配置し、永久磁石を撮像素子支持板側に配置したが、逆に、駆動プリントコイルと磁性材を撮像素子支持側に配置し、永久磁石をプリント基板側に配置してもよい。
【0128】
永久磁石をプリント基板側に配置してもよい。このように配置すると、可動コイル型の駆動機構となるので撮像素子を二次元方向に駆動する駆動線やサーボ用信号線をFPC基板に形成し、リード線の本数を削減し、可動の撮像素子の移動の妨げを防止し、組み立て時の配線の引き回しを簡略化することができる。
【0129】
また、上述の実施形態では撮像素子冷却ユニット203が可動の撮像素子支持板215を適用する手ぶれ防止機能を有するものであったが、これに限らず、上記撮像素子支持板が固定支持される撮像素子冷却ユニットに対しても吸熱、放熱ヒートパイプ接続用として上述したベローズ型接続管218を適用することにより組み立て、修理作業等が容易な撮像素子冷却ユニットを提供することができる。
【0130】
次に本発明の第四の実施形態であって、撮像部のない一眼レフデジタルカメラボディに着脱可能な撮像素子冷却ユニット内蔵レンズマウントについて、図12を用いて説明する。
図12は、本実施形態の撮像素子冷却ユニットを内蔵するレンズマウントの光軸を含む縦断面図である。
【0131】
本実施形態の撮像素子冷却ユニット内蔵レンズマウント358には、図12に示すようにレンズマウント358の前面側に撮像素子冷却ユニット341、および、交換式レンズ鏡筒部のフォーカスレンズを駆動するためのアクチュエータが組み込まれており、その前方側には図示しない上記交換式レンズ鏡筒部が装着される。また、後端のレンズマウント面358a上に接続端子基板359が取り付けられている。
【0132】
撮像素子冷却ユニット341は、金属製のレンズマウント358の凹部に固定支持される撮像素子支持板353と、撮像素子支持板353に固着され、中央開口部を有するるセラミックパッケージ344と、低放射率の絶縁シート345を介してセラミックパッケージ344内に固着され、光軸上の所定位置に位置決めされるベアチップタイプの撮像素子と、該撮像素子にボンディングワイヤを介して接続される端子板、該端子板に接続され、撮像素子支持板353に支持される接続プリント基板346と、セラミックパッケージ344に前面に固着され、上記撮像素子の前面側を密封する保護ガラス343と、上記撮像素子の背面側に絶縁シート345に密着して配される熱電変換素子361と、冷却部350とからなる。なお、接続プリント基板346は、FPC(フレキシブルプリント基板)で構成することも可能である。
【0133】
熱電変換素子361は、図4に示した熱電変換素子63と同様のものであり、撮像素子側とヒートパイプ349側との両面に放熱部材である熱伝導シート362,363が貼付されている。ヒートパイプ349とは所定の隙間をもって、あるいは、密着状態で配されている。
【0134】
冷却部350は、撮像素子支持板353により断熱部材354を介して支持され、その裏面側に高熱伝導性の接着剤により接着固定され、循環流体流路を形成する複数対の棒状ヒートパイプ349と、ヒートパイプ349を挟持する伝熱板351と、ヒートパイプ349の背面側を押さえる押さえ板352とからなる。
【0135】
撮像素子支持板353は、金属材料、または、熱伝導率の高い素材であって、炭素繊維などのフィラーを混入させたポリカボネートや球状黒鉛および非結晶(ガラス)繊維あるいはカーボン繊維が充填されたポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂材料からなる。
【0136】
ヒートパイプ349としては、非特許文献1に記載される図14のヒートパイプと同様の複数対のヒートパイプが適用される。
【0137】
上述した構成を有する本実施形態の撮像ユニット内蔵レンズマウント358においては、該マウントをカメラに装着した状態でパッケージ344の撮像素子が駆動状態にあるとき、該撮像素子の熱を熱電変換素子361を経て伝熱板で受け、ヒートパイプ349の蒸発部に伝わり、ヒートパイプ349中の作動液を蒸発させる。その蒸気は、ヒートパイプ349の凝縮部に移動し、撮像素子支持板353により冷却され、再度、作動液に変態し、ウイック部を通して蒸発部に戻される。この吸熱サイクルを繰り返すことにより上記撮像素子の熱が吸収され、温度上昇が抑えられる。
【0138】
熱電変換素子361は、上記撮像素子の熱により発電し、その起電力は、上記作動液の循環用圧電ポンプ(図示せず)の駆動電力として利用できる。
【0139】
上述した本実施形態の撮像ユニット内蔵レンズマウント358によれば、ヒートパイプ349から撮像素子支持板353で吸収された熱は、熱容量の大きい金属製のレンズマウント358に速やかに伝わる。従って、上記撮像素子の温度上昇を効率よく抑えることができる。また、撮像ユニット内蔵レンズマウントとして大型化することなく、コンパクトにまとめることができる。
【0140】
次に本発明の第五の実施形態の撮像素子冷却ユニットを備えたミラー/撮像素子ユニットについて図13を用いて説明する。
図13は、本実施形態のミラー/撮像素子ユニットの横断面図(水平方向の断面図)である。
【0141】
本実施形態のミラー/撮像素子ユニット400は、一眼レフカメラに適用され、カメラボディ(図示せず)のフレーム本体に支持されるユニットであって、交換レンズが装着可能なボディマウント422と、該ボディマウントが装着される前フレーム420と、ミラーボックス401と、該ミラーボックス内に収納される回動可能な反射ミラー402と、撮像素子460と、循環流体流路を形成する水冷ヒートパイプ454と、ゼーベック素子からなる熱電変換素子451と、圧電ポンプ455と、該サイドフレーム背面に固着される後フレーム440とからなる。
【0142】
前フレーム420は、中央開口部を有しており、その前面部にボディマウント422が固着され、後面側中央にミラーボックス401が固着され、後面部がフレーム本体のサイドフレーム430Lと430Rに支持される。
【0143】
後フレーム440は、ステンレス金属板またはアルミニウム板からなり、ミラーボックス401の後端部を跨いで配され、サイドフレーム430Lと430Rに対して支柱438c,438aを挟んで固着されている。この支柱438a,438cは、撮像素子460で発生した熱が後フレーム440からサイドフレーム430L,430Rへの熱伝達を遮断するために断熱部材となる。また、後フレーム440には放熱効果を向上させるための放熱用フィン440aが外方に配されている。
【0144】
そして、後フレーム440に形成された多数の挿通孔のうちの所定の挿通孔を利用して、サイドフレーム430L,430Rに後フレーム440がねじ止めされている。
【0145】
上述のように前フレーム420と、サイドフレーム430L,Rと、後フレーム440とが順次固定され、これら三つの部材が一体化されて、カメラの外形形状に合わせた中空のボックス形状のフレーム本体が構成される。
【0146】
なお、右のサイドフレーム430Rは、左のサイドフレーム430Lよりも薄く形成されているため、その厚さ不足を補うように断熱部材を用いた支柱438aがサイドフレーム430Rの背面から後方に延びており、支柱438aおよびサイドフレーム430Lに立設された支柱438cの先端のねじ孔にはビスが螺合され、後フレーム440が固着される。支柱438aと平行に伸びる長い支柱438bは、後フレーム440の背後の電気基板470をサイドフレーム430Lの先端に形成された鍔部に挿入してサイドフレーム430Rに固定するために使用される。
【0147】
ミラーボックス401は、中央開口部を有したボックス形状に形成され、前面フランジ部にて前フレーム420に取り付けられる。中央開口部内部に回動可能な反射ミラー402が配され、上記開口部上方にスクリーン(図示されていない)が配置されている。また、後方部に撮像素子支持板480を介して撮像素子460が固着される。
【0148】
さらに、撮像素子460の背面と後フレーム440の前面との間にシリコンゴムシート等からなる熱伝導性シート452、453を介して熱電変換素子451が密着状態で接合して配置される。そして、熱電変換素子451の側壁と後フレーム440の対向する側面突起部440bと間にシリコンゲル剤456を介在させる。なお、このシリコンゲル剤456は、カメラボディを誤って落下したときなどの衝撃による熱電変換素子451の破損を防止するためのものである。
【0149】
熱電変換素子451は、図4に示した熱電変換素子63と同様のものであり、撮像素子側と後フレーム440側との両面に放熱部材である熱伝導シート452,453が貼付されている。後フレーム440に密着状態で配されている。
【0150】
撮像素子支持板480は、挿通孔に挿通するビスをミラーボックス401の背面のねじ孔に螺着することによりミラーボックス401に取付けられている。
【0151】
ストッパーとしての位置決めピンがミラーボックス401背面に形成され、撮像素子支持板480の挿通孔、後フレーム440の挿通孔に挿通されている。後フレーム440の位置決め孔に対しては、十分な隙間を残して上記位置決めピンが挿通され、いわゆる、スキマハメの状態にあり、ミラーボックス401は、後フレーム440に直接固定されていない。上記位置決めピンと後フレーム440の位置決め孔との嵌合は、ミラーボックス401の位置決めピンの直径寸法誤差とミラーボックス401におけるその位置寸法誤差および後フレーム440の位置決め孔の孔径寸法誤差と後フレーム440における位置決め孔の位置寸法誤差を考慮してもなお、位置決めピンと位置決め孔との間に隙間があるように設定される。そして、上記フレーム本体が大きく変形すれば、この片側隙間が詰まって、変形をそれ以上防ぐことができ、大きな変形が防止される。
【0152】
撮像素子460は、ミラーボックス401の背面開口に配置され、撮像素子支持板480の前面に接着、固定され、上記フレーム本体に囲まれるように配置されている。そして、撮像素子460はその上下に、光軸方向に延出した一対の複数のリード(接続端子)462を有する。撮像素子460のリード(端子)462は、撮像素子支持板480の長孔(逃げ孔)、後フレーム440の円形の逃げ孔、電気基板470の長孔(逃げ孔)を遊嵌状態で挿通し、さらに、電気基板470上のフレキシブルプリント基板490に挿着されて、撮像素子460と電気基板470とが一対のフレキシブルプリント基板490によって電気的に接続されている。なお、一対のフレキシブルプリント基板490は、いずれも、撮像素子460のリード462が挿入可能な周囲に導電パターンを有する複数の挿入孔を有するとともに、導電パターンと電気的に接続されていて電気基板470上の接続パターンと接続される複数の接続パターンを有している。
【0153】
後フレーム440の上面には圧電ポンプ455と、該圧電ポンプに接続され、ミラーボックス401の撮像素子装着位置の外周部を2回巻回する水冷ヒートパイプ454が設けられている。熱電変換素子451による熱起電力により圧電ポンプ455を駆動し、該圧電ポンプにより水冷ヒートパイプ454内の流体を循環させ、撮像素子460の冷却する(水冷方式)。この水冷方式により後フレーム440を冷却することで、撮像素子460を冷却する。同時に撮像素子460と後フレーム440との温度差を生じさせ、熱電変換素子451の熱起電力の変換効率を高めている。
【0154】
本実施形態のミラー/撮像素子ユニット400によれば、熱電変換素子451にて撮像素子460の熱を電力に変換し、その電力を水冷ヒートパイプ454の流体循環用圧電ポンプ455の駆動電力として利用することによりカメラ側電池の電力を消費することなく効果的に撮像素子460の冷却を行うことができる。
【0155】
また、また、デジタル一眼レフカメラのミラーボックス内に撮像素子を有する撮像ユニットは特開2006−81008号の図3に開示されている。この図3に撮像素子冷却ユニットを適用した場合、以下のようになる。即ち、撮像素子の背面と電気基板との間に熱電変換素子(例えば、ゼーベック素子)を配置するために、電気基板上に熱伝導シートを接合し、その熱伝導シート上に熱電変換素子を接合する。ここで、熱伝導シートに熱の溜りをなくすために、電気基板と熱伝導シートとの間にアルミニウムまたはステンレス鋼板材の金属シートを積層し、介在する。この金属シートと撮像素子支持板の開口部との間にシリコンゲル剤を設ける。このようにすると、カメラ本体を誤って落下したときなどの衝撃による熱電変換素子の破損を防止できる。また、電気基板の長孔状開口部に撮像素子のリード線を遊嵌状態で貫通させて電気基板がアルミニウムまたはステンレス鋼板材の撮像素子支持板の背面側に配置され、電気基板の背面側よりネジ挿通穴に挿入されたネジが前枠のネジ孔に螺着される。
【0156】
上述したように前枠に対して、電気基板がミラーユニット、シャッタユニット、防塵ユニット、撮像素子、撮像素子支持板を少なくとも間に介在させた形で固定される。この取り付けた状態で。電気基板は撮像素子支持板に対して防塵ユニットの支持台は該支持台もしくは撮像素子支持板に設けられた断熱部材(たとえば、発泡材やグラスウールを接着剤で接合)の部材受け部(スペーサ)に位置規制されて所定の間隔のある状態で支持される。また、撮像素子の結像面は、ボディマウントのマウント面から光軸方向に沿った所定距であるフランジバックLに位置きめされる。そして撮像素子と撮像素子支持板との間に断熱部材を介在することで、支持台の材質(例えば、炭素繊維が充填されたPPS合成樹脂)による伸縮を抑えることができる。
【0157】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明による撮像素子冷却ユニットは、撮像素子を効率よく冷却し、かつ、組み立てが複雑とならず、小型化も可能な撮像素子冷却ユニットとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の第一の実施形態である撮像素子冷却ユニットを適用する電子機器としての一眼レフデジタルカメラの要部の光軸を含む縦断面図である。
【図2】図1のカメラに内蔵される撮像素子ユニットまわりの断面図である。
【図3】図2の撮像素子ユニットの拡大断面図である。
【図4】図2の撮像素子ユニットに配される熱電変換素子の構造を示す模式図である。
【図5】図1のカメラの斜視図である。
【図6】図1のカメラの電気制御システムのブロック構成図である。
【図7】図1のカメラにおける撮影処理のフローチャートである。
【図8】図1のカメラにおける温度センサの検出温度の変化を示す線図である。
【図9】本発明の第二の実施形態の撮像冷却ユニットを構成する撮像部の光軸を含む縦断面図である。
【図10】図9の撮像素子冷却ユニットを構成する放熱部の断面図である。
【図11】本発明の第三の実施形態の撮影レンズユニットの光軸に沿った断面図である。
【図12】本発明の第四の実施形態の撮像素子冷却ユニットを内蔵するレンズマウントの光軸を含む縦断面図である。
【図13】本発明の第五の実施形態のミラーユニットの横断面図(水平方向の断面図)である。
【図14】非特許文献1に記載されているヒートパイプの断面図である。
【符号の説明】
【0160】
21,162,213,460
…撮像素子
22,166,215,353,480
…撮像素子支持板
28,167,214,345
…絶縁シート(第一の熱伝導シート)
31,32,174,216,349
…ヒートパイプ
41,63e…熱伝導シート(第一の熱伝導シート)
42,63f…熱伝導シート(第二の熱伝導シート)
62,173…温度センサ
63,151,241,361,451
…熱電変換素子
164…移動枠(移動部材)
344…セラミックパッケージ(撮像素子)
454…水冷ヒートパイプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子支持板に固着されて支持される撮像素子と、
放熱機能を有する放熱部材と、
第一の熱伝導シート材と、
第二の熱伝導シート材と、
熱伝導面となる両面にそれぞれ上記第一の熱伝導シート材と上記第二の熱伝導シート材とが接合された熱電変換素子と、
を具備しており、上記撮像素子の反撮像面側に上記第1の熱伝導シート材が接合され、放熱部材の撮像素子側に上記第二の熱伝導シートが接合された状態で上記熱電変換素子が挟持して支持され、さらに、上記放熱部材には、上記撮像素子支持板との間に断熱部材を介在させ、さらに、循環流体流路を配置することを特徴とする撮像素子冷却ユニット。
【請求項2】
上記循環流体流路は、吸熱部および放熱部を有するウイック付きヒートパイプからなり、上記第2の熱伝導シートは上記ヒートパイプの吸熱部に接合するとともに上記断熱部材に上記ヒートパイプの放熱部を接合したことを特徴とする請求項1記載の撮像素子冷却ユニット。
【請求項3】
上記循環流体流路は、水冷ヒートパイプと圧電ポンプとを具備していることを特徴とする請求項1記載の撮像素子冷却ユニット。
【請求項4】
さらに、撮影レンズ内に設けられた所望のレンズ群を駆動するためのフォーカス駆動用アクチュエータとレンズマウントとを具備したことを特徴とする請求項1記載の撮像素子冷却ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、
撮影レンズの装着されるレンズ鏡枠部と、
を具備することを特徴とする撮影レンズユニット。
【請求項6】
請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、
上記撮像素子冷却ユニットおよび防塵機構部を制御するためのボディ制御用制御回路と、
機器本体に着脱可能な撮影レンズと、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、
上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、
機器本体から着脱可能な撮影レンズと、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1記載の撮像素子冷却ユニットと、
上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、
上記撮像素子を撮影レンズからの入射する光束の光軸に対して垂直な2次元方向に移動する撮像素子シフト駆動機構と、
を有しており、上記撮像素子支持板および上記放熱部材は、上記撮像素子シフト駆動機構の移動部材に配されていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
ライブビュー機能を有する電子機器であって、
請求項1記載の撮像素子冷却ユニットと、
上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、
上記撮像素子の近傍に配される温度センサと、
を有し、上記ボディ制御用制御回路は、上記温度センサにより検出される温度が所定値以上であるとき、ライブビュー動作を停止し、排気ファン、または、圧電ポンプを駆動することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
撮像素子支持板に固着されて支持される撮像素子と、
放熱機能を有する放熱部材と、
第一の熱伝導シート材と、
第二の熱伝導シート材と、
熱伝導面となる両面にそれぞれ上記第一の熱伝導シート材と上記第二の熱伝導シート材とが接合された熱電変換素子と、
を具備しており、上記撮像素子の反撮像面側に上記第1の熱伝導シート材が接合され、放熱部材の撮像素子側に上記第二の熱伝導シートが接合された状態で上記熱電変換素子が挟持して支持され、さらに、上記放熱部材には、上記撮像素子支持板との間に断熱部材を介在させ、さらに、循環流体流路を配置することを特徴とする撮像素子冷却ユニット。
【請求項2】
上記循環流体流路は、吸熱部および放熱部を有するウイック付きヒートパイプからなり、上記第2の熱伝導シートは上記ヒートパイプの吸熱部に接合するとともに上記断熱部材に上記ヒートパイプの放熱部を接合したことを特徴とする請求項1記載の撮像素子冷却ユニット。
【請求項3】
上記循環流体流路は、水冷ヒートパイプと圧電ポンプとを具備していることを特徴とする請求項1記載の撮像素子冷却ユニット。
【請求項4】
さらに、撮影レンズ内に設けられた所望のレンズ群を駆動するためのフォーカス駆動用アクチュエータとレンズマウントとを具備したことを特徴とする請求項1記載の撮像素子冷却ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、
撮影レンズの装着されるレンズ鏡枠部と、
を具備することを特徴とする撮影レンズユニット。
【請求項6】
請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、
上記撮像素子冷却ユニットおよび防塵機構部を制御するためのボディ制御用制御回路と、
機器本体に着脱可能な撮影レンズと、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至3記載のいずれかの撮像素子冷却ユニットと、
上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、
機器本体から着脱可能な撮影レンズと、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1記載の撮像素子冷却ユニットと、
上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、
上記撮像素子を撮影レンズからの入射する光束の光軸に対して垂直な2次元方向に移動する撮像素子シフト駆動機構と、
を有しており、上記撮像素子支持板および上記放熱部材は、上記撮像素子シフト駆動機構の移動部材に配されていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
ライブビュー機能を有する電子機器であって、
請求項1記載の撮像素子冷却ユニットと、
上記撮像素子冷却ユニットを制御するためのボディ制御用制御回路と、
上記撮像素子の近傍に配される温度センサと、
を有し、上記ボディ制御用制御回路は、上記温度センサにより検出される温度が所定値以上であるとき、ライブビュー動作を停止し、排気ファン、または、圧電ポンプを駆動することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−100374(P2009−100374A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271666(P2007−271666)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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