説明

撮像装置、その制御方法及びプログラム並びに記録媒体

【課題】
連続撮影した画像から動体像を除去する場合に、必要な画像を過不足なく得ることができるようにする。
【解決手段】
連写手段(90)は、連写機能が設定されている状態でシャッタボタンが押下されると、設定された時間間隔と回数(枚数)で連続して撮影を行うよう撮像部22を制御する。識別手段(91)は、連写手段(90)によって撮像された連続する2つの画像を順次比較し、一致部分と不一致部分を識別し、不一致部分の領域を除去した差分画像を生成する。識別手段(91)は、更に、差分画像の不一致部分の領域に、続く差分画像の同じ領域の画像を合成することで、合成画像を逐次的に生成する。表示部(28)は、逐次生成される合成画像を表示する。撮影終了指示に応じて、システム制御部(50)は、連写を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続撮影した画像から動体像を除去する場合において、必要な画像を過不足なく得ることのできる撮像装置、その制御方法及びプログラム並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
連続して撮影した画像の比較により、静止部分(通常は、背景)又は動体部分を識別する方法が知られている。背景のみで撮影した画像と、背景に動体が加わった状態で撮影した画像とを比較して、背景又は動体を識別する方法が知られている。
【0003】
また、障害物となる動体を除去した領域に、この領域に一致する背景画像を埋め込むことで、背景のみの画像を生成できる。背景画像は、連続撮影で得られる他の画像から得ることが出来る。
【0004】
特許文献1には、静止体の前方を横切る移動体がある場合に、ユーザによる1回のシャッタ操作で同一画角での連続撮影を行い、移動体を消去した、静止部分のみからなる画像を生成する技術が記載されている。
【0005】
特許文献2には、一連の複数の画像間で、部分的な相関度を使って静止部分/動体部分を評価し、1枚の静止画像を生成する技術が記載されている。すなわち、一連の複数の画像のそれぞれを画面上の同じ分割線で複数の分割領域に分割し、その分割領域毎に画像間の相関を評価する。その評価結果から、分割領域毎に相関度の高い分割領域の画像を抽出し、このように抽出した画像を合成して一枚の静止画像を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−13681号公報
【特許文献2】特開2002−288674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、一般に、ユーザには、認識した動体を除去した領域を補完する背景画像が既に得られているかどうかを認識できないので、必要以上に撮影を行うことになる。これは、時間やメモリの浪費につながる。
【0008】
特許文献1に記載された技術では、ユーザの1シャッタ操作による連続撮影で必要十分な画像が撮影できる保証が無い。すなわち、動体が完全に消去できないか、または時間やメモリ量を浪費してしまうという問題がある。
【0009】
特許文献2に記載の技術では、複数の静止画像が合成静止画像を得るために必要十分である保証はない。特許文献1に記載の技術と同様に、動体を完全に消去できないか、または時間やメモリ量を浪費してしまうという問題がある。
【0010】
このように、従来技術では、所望の静止画像を得るために必要な連続画像又は分割画像が既に得られているか否かをユーザが知ることができなかった。
【0011】
本発明は、連続撮影した画像から動体像を除去する場合において、必要な画像を過不足なく得ることのできる撮像装置、その制御方法及びプログラム並びに記録媒体を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る撮像装置は、撮像手段と、連写開始指示を受け付けると前記撮像手段での連写を開始する連写手段と、前記連写手段によって撮像された複数の画像を順次比較し、一致部分と不一致部分を識別する識別手段と、前記連写手段による連写の間に、前記識別手段で識別した前記一致部分と前記不一致部分とを撮影者が識別できるように表示する表示手段と、前記表示手段による表示の間に、連写終了指示を受け付けると、前記連写手段による連写を終了するように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る撮像装置の制御方法は、連写開始指示を受け付けると撮像手段での連写を開始する連写ステップと、前記撮像手段によって撮像された複数の画像を順次比較し、一致部分と不一致部分を識別する識別ステップと、連写の間に、前記識別ステップで識別した前記一致部分と前記不一致部分とを撮影者が識別できるように表示する表示ステップと、連写終了指示を受け付けると、前記連写ステップによる連写を終了するように制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る撮像装置の制御プログラムは、撮像装置の制御プログラムであって、前記撮像装置に、連写開始指示を受け付けると撮像手段での連写を開始させる連写機能と、前記撮像手段によって撮像された複数の画像を順次比較させ、一致部分と不一致部分を識別させる識別機能と、連写の間に、前記識別機能で識別した前記一致部分と前記不一致部分とを撮影者が識別できるように表示部に表示させる表示機能と、連写終了指示を受け付けると、前記連写機能による連写を終了するように制御させる制御機能とを実現することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る記録媒体には、上述の制御プログラムが格納される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連写の間に逐次的に生成される合成画像上で、動体を除去した領域を背景で埋めきっているかどうかを視覚的に確認できるので、必要な画像を得た適切なタイミングで連写を終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る撮像装置の一実施例の外観図である。
【図2】本実施例の概略構成ブロック図である。
【図3】本実施例で連続撮影して得られた画像の例である。
【図4】識別手段による一致部分と不一致部分の識別の例である。
【図5】逐次生成される合成画像の変化例である。
【図6】本実施例の動作フローチャートである。
【図7】連写終了に関する別の制御動作のフローチャートである。
【図8】連写途中でのユーザによる連写終了指示のタイミング例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係る撮像装置の一実施例としてのデジタルカメラの外観図を示す。表示部28は画像や各種情報を表示する表示部である。シャッタボタン61は、撮影指示を行うための操作部である。モード切替えスイッチ60は、各種モードを切り替えるための操作部である。コネクタ112は、接続ケーブル111をデジタルカメラ100に接続するコネクタである。操作部70は、ユーザ又は撮影者による各種操作を受け付ける各種スイッチ、ボタン、タッチパネル等の操作部材より成る操作部である。コントローラホイール73は、操作部70に含まれる回転操作可能な操作部材である。72は電源スイッチであり、電源オン、電源オフを切り替える。記録媒体200は、メモリカード又はハードディスク等の記録媒体である。記録媒体スロット201は記録媒体200を格納するためのスロットである。記録媒体スロット201に格納された記録媒体200は、デジタルカメラ100との通信が可能となる。蓋202は記録媒体スロット201の蓋である。
【0020】
図2は、デジタルカメラ100の概略構成ブロック図である。103はフォーカスレンズを含む撮影レンズである。101は絞り機能を備えるシャッタである。22は光学像を電気信号に変換するCCD又はCMOS方式の撮像素子等で構成される撮像部である。23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。バリア102は、デジタルカメラ100の、撮影レンズ103を含む撮像部を覆うことにより、撮影レンズ103、シャッタ101及び撮像部22を含む撮像系を汚れや破損から保護する。
【0021】
24は画像処理部であり、A/D変換器23からのデータ、又は、メモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間及び縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。画像処理部24は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御及び測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理及びEF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部24は更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行う。
【0022】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、メモリ制御部15を介してメモリ32に直接書き込まれる。メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0023】
また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。13はD/A変換器であり、メモリ32に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して表示部28に供給する。メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器13を介して表示部28により表示される。表示部28は、LCD等の表示器上に、D/A変換器13からのアナログ信号に応じた画像を表示する。
【0024】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数及び制御プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムは、後述する各種フローチャートを実行するための制御プログラム等からなる。
【0025】
50はシステム制御部であり、デジタルカメラ100全体を制御する。システム制御部50は、不揮発性メモリ56に記録された制御プログラムを実行することで、後述する各処理を実現する。52はシステムメモリであり、RAMが用いられる。システムメモリ52には、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出した制御プログラム等を展開する。また、システム制御部50は、メモリ32、D/A変換器13及び表示部28等を制御することにより表示制御も行う。
【0026】
モード切替えスイッチ60、第1シャッタスイッチ62、第2シャッタスイッチ64及び操作部70は、システム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。
【0027】
モード切替えスイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画記録モード、動画記録モード及び再生モード等のいずれかに切り替える。デジタルカメラ100は動体像除去モードを具えている。ユーザがモード切替えスイッチ60で動体像除去モードを選択すると、システム制御部50は、動体像を除去するために必要な撮影機能を呼び出す。第1シャッタスイッチ62は、デジタルカメラ100に設けられたシャッタボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でオンとなり、第1シャッタスイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタスイッチ信号SW1により、システム制御部50は、AF処理、AE処理、AWB処理及びEF処理等の動作を開始する。
【0028】
第2シャッタスイッチ64は、シャッタボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でオンとなり、第2シャッタスイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタスイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから記録媒体200への画像データの書き込みまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0029】
操作部70の各操作部材は、表示部28に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとの適宜機能を割り当てられ、各種の機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン及び属性変更ボタン等がある。例えば、メニューボタンが押されると、各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。利用者は、表示部28に表示されたメニュー画面と、4方向ボタンやSETボタンとを用いて、直感的に各種設定を行うことができる。
【0030】
コントローラホイール73は、操作部70に含まれる回転操作可能な操作部材であり、方向ボタンと共に選択項目を指示する際などに使用される。コントローラホイール73を回転操作すると、操作量に応じて電気的なパルス信号が発生する。システム制御部50は、このパルス信号に基づいてデジタルカメラ100の各部を制御する。システム制御部50は、このパルス信号によって、コントローラホイール73の回転操作された角度及び回転数を判定できる。
【0031】
なお、コントローラホイール73は、回転操作が検出できる操作部材であればどのようなものでもよい。例えば、ユーザの回転操作に応じてコントローラホイール73自体が回転してパルス信号を発生するダイアル操作部材であってもよい。また、タッチセンサよりなる操作部材で、コントローラホイール73自体は回転せず、コントローラホイール73上でのユーザの指の回転動作などを検出するものであってもよい。いわゆる、タッチホイールがこれに相当する。
【0032】
80は電源制御部であり、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類及び電池残量を検出する。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部に供給する。
【0033】
30は電源部であり、アルカリ電池若しくはリチウム電池等の一次電池、NiCd電池NiMH電池若しくはLi電池等の二次電池、又はACアダプタ等からなる。18は記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、メモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリ又は磁気ディスク等から構成される。
【0034】
デジタルカメラ100は、連写手段90および識別手段91を具える。連写手段90は、連写機能が設定されている状態でシャッタボタンが押下されると、設定された時間間隔と回数(枚数)で連続して撮影を行うよう制御する手段である。撮像した画像データは、メモリ32のバッファ領域に一時的に保存される。バッファ領域に一時的に保存された画像データは、プレビュー又は各種処理に使用され、終了後に記憶手段に格納される。
【0035】
識別手段91は、連写手段90によって撮像された連続する2つの画像を順次比較し、一致部分と不一致部分を識別する処理を行う手段である。具体的には、システム制御部50が、メモリ32のバッファ領域に保存された画像データを画像処理部24に送る。画像処理部24は、システム制御部50の制御下で、連続する2つの画像について、一致部分と不一致部分を順次比較する処理を実行する。連続する2つの画像の一致部分と不一致部分の識別方法としては、情報処理技術分野の当業者には周知の方法を用いることができる。例えば、フレーム間/フィールド間の差分を算出し、一定値以上の差分がある画像部分を不一致部分と識別し、そうでない部分を一致部分と識別する。
【0036】
なお、連写手段90及び識別手段91は、ハードウェアとして独立した構成でなくてもよく、システム制御部50が各部を制御することによって同じ機能を実現してもよい。その場合、連写手段90に対応する連写機能と、識別手段91に対応する識別機能が、システム制御部50上で動作する制御プログラムにより実現される。また、表示部28に上述の種々の画像を表示させる表示機能、及び上述の制御を実現する制御機能もまた、システム制御部50上で動作する制御プログラムにより実現される。
【0037】
図3は、デジタルカメラ100で連続撮影して得られた画像の一例を示す。図3(a),(b),(c),(d)はそれぞれ、撮影された順番の画像1、画像2、画像3,画像4を示す。図3に示す画像例は、カメラを三脚に固定し、動体像除去モードで30秒の間隔で連続して撮影したものである。撮影の間隔は、任意(たとえば300ミリ秒間隔、5秒間隔又は1分間隔等)に設定できる。
【0038】
図3に示す画像1〜4は、観光地における大仏を写そうとした画像である。このような観光地では、ひっきりなしに観光客が訪れるため、対象物(大仏)のみの状態で撮影を行うことは困難である。すなわち、観光地で撮影を行っているので、図3に示す各撮影画像には、対象物(大仏)を見学中、撮影中又は移動中の観光客の姿が写り込んでしまっている。本実施例では、複数回の撮影を連続して行い、その連続する撮影画像から動体像を認識し、動体像を除去した領域に、他画像の当該領域の背景画像を合成することで、対象物のみの画像を生成する。
【0039】
図4は、図3に示す撮影画像例に対して識別手段91が一致部分と不一致部分を識別する様子を示す。識別手段91は、まず、メモリ32のバッファ領域に保存された画像1と画像2をデータ比較し、一致部分と不一致部分を識別する。識別には種々の方法を採用することができるが、例えば、双方の画像データの値を画素ごとに比較することで識別を行う。画像1と画像2で変化がない、つまり、差分がない画素領域を一致部分とする。また、双方の画像で変化がある部分、つまり、差分がある画素領域を不一致部分と識別する。
【0040】
画像2との差分計算の結果、識別手段91は、一致部分と識別された領域を画像1から消去し、図4(a)に示す差分画像1を得る。差分画像1では、画像1から消去された領域は斜線で識別可能な状態で表示されている。同様に、画像2と画像3の差分算出に基づいて、図4(b)に示す差分画像2が得られる。画像3と画像4の差分算出に基づいて、図4(c)に示す差分画像3が得られる。以降の連続して撮影された2つの画像についても、識別手段91は、続けて撮影された2つの画像間で差分を算出し、先に撮影された画像から、不一致部分と識別された領域を消去する。
【0041】
図5(a)、(b)は、システム制御部50により逐次的に生成される合成画像の変化例を示す。
【0042】
時間的に連続する2つの画像の差分の算出については、上記のように、全ての画素ごとに行うのではなく、画像をm×nのブロックに分割して、ブロックごとに行ってもよい。また、差分算出に要する処理を軽減するため、例えば、4画素おきに3画素ずつといった方法で間引き処理を行ってもよい。
【0043】
差分画像が生成される都度、システム制御部50は、各差分画像を合成する。差分画像1と差分画像2を合成することにより、図5(a)に示す合成画像1が得られる。合成画像1は、先に作成された差分画像1の、消去されて空白となった領域に、後に作成された差分画像2の当該領域の画像を合成することにより作成される。作成された合成画像1は、表示部28にスルー画像表示される。差分画像1の消去された領域に差分画像2の当該領域を合成した結果、合成画像1上で空白領域は少なくなっている。しかし、差分画像2の当該領域にも空白領域が存在するので、合成画像1には、依然として空白の領域が残ったままになっている。空白の領域は斜線として識別可能に表示されるので、ユーザは表示部28のスルー画像を見ることで、動体除去が不完全であることを知ることができる。
【0044】
システム制御部50は、順次、作成される差分画像を合成画像に合成する、合成画像の更新作業を継続する。表示部28には、更新された合成画像がスルー画像表示される。例えば、合成画像1に差分画像3を合成することにより、図5(b)に示す合成画像2を得る。合成画像1の空白となった領域に、差分画像3の当該領域を合成することにより、合成画像1の空白領域が完全に埋められた合成画像2が得られる。ユーザは、表示部28に表示される合成画像2を見て、動体除去した合成画像が得られたことを知ることができる。この段階で、ユーザは連続撮影を解除するボタンを押下するなどして、以降の連続撮影を停止する。
【0045】
空白領域をユーザに識別させる表示方法としては、上述した斜線表示に限定されない。例えば、周囲の色成分を分析し、補色となる色で表示してもよい。また、空白領域をより明確に識別できるように、空白領域を点滅表示してもよい。さらに、空白領域以外の領域の彩度やコントラストを変更する等、空白領域以外の領域の表示を変更してもよい。
【0046】
上記機能を実現する上での本実施例の動作を説明する。デジタルカメラが行う処理について説明する。図6は、本実施例の特徴的な動作のフローチャートを示す。図6に示すフローチャートにおける各処理は、システム制御部50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0047】
ユーザが動体像除去モードにモード切替えスイッチをセットすると(S601)、システム制御部50は、連写機能が動作するように各部を自動設定し、ユーザの撮影開始指示を待機する(S602)。ユーザによる連写開始指示としての撮影開始指示があると(S602)、システム制御部50は、連写を開始する(S603)。撮影開始指示は例えば、シャッタボタン61の全押しによりシステム制御部50に入力される。
【0048】
識別手段91は、先に説明したように、連写により撮像された2つの画像を順次比較し、一致部分と不一致部分を識別し(S604)、各画像から不一致部分と識別された領域を消去した差分画像を生成する(S605)。続いて、識別手段91は、差分画像を合成して合成画像を生成する(S606)。システム制御部50は、生成された合成画像を表示部28にスルー画像表示させる(S607)。
【0049】
システム制御部50は、ユーザによる連写終了指示としての撮影終了指示を検出すると(S608)、連写を終了させ、得られた合成画像を記憶手段に記録する処理を行う(S609)。撮影終了指示は例えば、シャッタボタン61の全押しを解除するか、改めてシャッタボタン61を全押しすることにより、システム制御部50に入力される。前者の場合、シャッタボタン61を全押しし続けている期間、連写が行われることになる。後者の場合は、シャッタボタン61を全押しして一度離しても連写が継続して行われ、その後、シャッタボタン61を再度、全押しすると、連写が終了する。
【0050】
本実施例によれば、ユーザは連続撮影した画像の比較から作成される動体除去画像をスルー画像として視覚的に確認できるので、どこまでの動体を消去した画像を得られているか否かを容易に認識できる。これにより、動体除去のための過不足のない撮影を行うことができ、無駄な撮影時間と記録領域を削減できる。
【実施例2】
【0051】
実施例1では、ユーザの操作により連写を終了したが、合成画像上で動体が除去されたことを検知して自動的に連写を終了しても良い。
【0052】
図7は、連写の自動終了を組み込んだ制御動作のフローチャートを示す。図7に示すフローチャートにおける各処理は、システム制御部50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0053】
システム制御部50は、最新の合成画像で空白領域が埋まっているか否かを判断する(S701)。空白領域が埋まっていると判断した場合は、システム制御部50は、連写を終了するよう制御する(S702)。空白領域が埋まっていない場合、システム制御部50は、ユーザによる連写停止の指示があったか否かを判断する(S703)。ユーザによる連写停止の指示があったと判断した場合(S703)、システム制御部50は、連写を終了するよう制御する(S702)。空白領域が埋まっておらず(S701)、且つ、ユーザからの連写終了の指示がない場合(S703)、連写終了条件に達しているか否かを判断する(S704)。連写終了条件は例えば、予め設定される撮影時間又は撮影回数であり、メモリのバッファ領域の容量等で設定することもできる。システム制御部50は、連写終了条件に達していると判断した場合(S704)、連写を終了するよう制御する(S702)。
【0054】
本実施例では、合成画像上で空白領域が埋まると、自動的に連写を終了するので、無駄な撮影を行うことなく、メモリや時間の浪費を回避できる。また、空白領域が埋まってない場合でも、ユーザによる連写終了操作に基づいて、連写を終了するので、所望の画像が得られたとユーザが判断した時点で撮影を停止できる。例えば、図8は表示部28に表示された合成画像の一例を示す。動体の領域801を消去した部分が存在する。しかし、領域801を除く領域802をトリミングすることにより所望の画像が得られるとユーザが判断した場合は、ユーザは撮影終了を指示することで、連写を終了させることができる。
【0055】
撮影状況によっては、長期にわたり動体が不在にならないことがあり、その場合には、長期間、連写を続けることになる。これに対し、本実施例では、一定の撮影時間又は撮影回数に達すると、連写を終了するので、無駄に長い間、連写を続けてしまうことを防止できる。
【0056】
なお、システム制御部50の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0057】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0058】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、本発明はデジタル一眼レフカメラやデジタルビデオカメラ、撮像機能を有する携帯電話端末、PDA、音楽プレーヤー、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、電子ブックリーダーなど、撮像手段と表示部を有する機器であれば適用可能である。
【0059】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
連写開始指示を受け付けると前記撮像手段での連写を開始する連写手段と、
前記連写手段によって撮像された複数の画像を順次比較し、一致部分と不一致部分を識別する識別手段と、
前記連写手段による連写の間に、前記識別手段で識別した前記一致部分と前記不一致部分とを撮影者が識別できるように表示する表示手段と、
前記表示手段による表示の間に、連写終了指示を受け付けると、前記連写手段による連写を終了するように制御する制御手段
とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、不一致部分がなくなったと判断した場合、ユーザによる連写の終了指示を受け付けた場合、及び、連写終了条件に達したと判断した場合のいずれかの場合に、前記連写手段による連写を終了するように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
連写開始指示を受け付けると撮像手段での連写を開始する連写ステップと、
前記撮像手段によって撮像された複数の画像を順次比較し、一致部分と不一致部分を識別する識別ステップと、
連写の間に、前記識別ステップで識別した前記一致部分と前記不一致部分とを撮影者が識別できるように表示する表示ステップと、
連写終了指示を受け付けると、前記連写ステップによる連写を終了するように制御する制御ステップ
とを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項4】
撮像装置の制御プログラムであって、前記撮像装置に、
連写開始指示を受け付けると撮像手段での連写を開始させる連写機能と、
前記撮像手段によって撮像された複数の画像を順次比較させ、一致部分と不一致部分を識別させる識別機能と、
連写の間に、前記識別機能で識別した前記一致部分と前記不一致部分とを撮影者が識別できるように表示部に表示させる表示機能と、
連写終了指示を受け付けると、前記連写機能による連写を終了するように制御させる制御機能
とを実現することを特徴とする撮像装置の制御プログラム。
【請求項5】
撮像装置の制御プログラムを記憶する記録媒体であって、前記制御プログラムが前記撮像装置に、
連写開始指示を受け付けると撮像手段での連写を開始させる連写機能と、
前記撮像手段によって撮像された複数の画像を順次比較させ、一致部分と不一致部分を識別させる識別機能と、
連写の間に、前記識別機能で識別した前記一致部分と前記不一致部分とを撮影者が識別できるように表示部に表示させる表示機能と、
連写終了指示を受け付けると、前記連写機能による連写を終了するように制御させる制御機能
とを実現するものであることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−60299(P2012−60299A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199903(P2010−199903)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】