説明

撮像装置、及びプログラム

【課題】セルフタイマ撮影時のカメラ設置場所の自由度を高め、意図した撮影範囲の画像を容易に撮影可能とする。
【解決手段】デジタルカメラ1では、撮影者が手持ちで方向を定め、ズームを合わせ、撮影範囲(その時にライブビューされている範囲そのもの)を決めると、第1の撮影処理(仮撮影)を行う。撮影者が、仮撮影画像を確認後、デジタルカメラ1を適当な面上(机の上など)に設置し、被写体側に移動して撮影範囲に入ると、光学ズームを仮撮影時よりも広角側に移動させ、セルフタイマがタイムアップすると、第2の撮影処理(本撮影)を行い、仮撮影画像と本撮影画像との間の位置合わせを行い、本撮影画像から仮撮影画像で規定される撮影範囲の画像を切り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフタイマ撮影が可能な撮像装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セルフタイマ付きのカメラはあるが、その使い勝手はあまり良くなかった。その理由として、三脚がない時には、カメラを何かの上面に設置することになるが、その位置での画角設定が難しい場合があることが挙げられる。例えば、低いテーブルの上に置く場合には、撮影者は、画角設定のためにかがんで覗き込むような姿勢で作業しなければならないし、壁際や、書棚の棚板などの背面がふさがっているような場所に置く場合には、回り込んで作業することがそもそも不可能である。回転レンズ式の場合には、ある程度解決されるが、機構上のコストなど別の問題が発生する。
【0003】
また、セルフタイマ撮影では、撮影者を除く被撮影者が撮影視野に入るように画角を設定してシャッターボタンを押下し、その後、素早く撮影者が被撮影者として撮影視野に入ることになる。このとき、撮影者が入る位置によっては、撮影者が設定画角からはみ出したり、被撮影者全体の位置が変わり、設定画角内に収まらなくなる場合もある。
【0004】
そこで、デジタルカメラ等の撮影装置において、被撮影者が撮影視野に収まっていない場合に、被撮影者を確実に撮影視野内に収めるように、それを(3次元的に)検出して、警告を出したり、自動的にズームで画角を広げる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−92008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、被撮影者を確実に撮影視野内に収めるために、単に、自動的にズームで画角を広げるため、デジタルカメラの向きがずれ、撮影視野の中心から設定画角がずれてしまった場合などには、被写体が撮影画像の一方に偏ったり、むりやり撮影視野内に収めようとすると、必要以上に広角にしなければならず、意図した設定画角の画像を得ることができないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、セルフタイマ撮影時のカメラ設置場所の自由度を高め、意図した撮影範囲の画像を容易に撮影することができる撮像装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明は、セルフタイマによる撮影が可能な撮像装置であって、撮影手段と、撮影範囲を設定する撮影範囲設定手段と、セルフタイマによる撮影が実行された際に、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲に基づいて、前記撮影手段の撮影画角を制御して撮影する撮影制御手段とを備えることを特徴とする撮像装置である。
【0009】
また、好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、請求項1に記載の撮像装置において、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲の特徴点と前記撮影制御手段が前記撮影範囲に基づいて前記撮影手段の撮影画角を制御して撮影した画像の特徴点とを比較することによって、前記撮影した画像内に前記撮影範囲を特定して前記撮影範囲の画像を取得する画像処理手段を更に備えることを特徴とする。
【0010】
また、好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、請求項2に記載の撮像装置において、前記撮影制御手段は、前記撮影範囲よりも広い範囲で前記撮影手段によって仮画像を撮影するとともに、前記撮影範囲に基づいて前記撮影手段の撮影画角を制御して本画像を撮影し、前記画像処理手段は、前記撮影範囲よりも広い範囲で撮影された仮画像の特徴点と前記本画像の特徴点とを比較することによって、前記本画像内における前記撮影範囲を特定して前記撮影範囲の画像を取得することを特徴とする。
【0011】
また、好ましい態様として、例えば請求項4記載のように、請求項1に記載の撮像装置において、前記撮影手段は、光学ズームレンズを備え、前記撮影制御手段は、前記光学ズームレンズを前記撮影範囲設定手段による撮影範囲の設定時よりも広角側に設定して前記撮影手段により本画像を撮影し、前記画像処理手段は、前記撮影手段によって撮影した本画像から、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲の画像を切り抜くことを特徴とする。
【0012】
また、好ましい態様として、例えば請求項5記載のように、請求項4に記載の撮像装置において、前記撮影制御手段は、前記撮影した本画像から前記撮影範囲の画像が取得できなかった場合には、前記光学ズームレンズを更に広角側に設定して前記本画像を再度撮影し、前記画像処理手段は、前記撮影制御手段によって更に広角側に設定して前記撮影手段により撮影した本画像から、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲の画像を切り抜くことを特徴とする。
【0013】
また、好ましい態様として、例えば請求項6記載のように、請求項1に記載の撮像装置において、前記撮影手段は、光学ズームレンズを備え、前記撮影制御手段は、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲が、該撮影範囲に基づいて前記撮影手段の撮影画角を制御して撮影した画像の撮影範囲よりも狭い場合には、前記光学ズームレンズを前記設定された撮影範囲が収まる範囲で望遠側に設定して再度撮影することを特徴とする。
【0014】
また、好ましい態様として、例えば請求項7記載のように、請求項1に記載の撮像装置において、前記撮影手段で撮影する画像を表示する表示手段と、前記表示手段の表面上に設けられたタッチパネルとを更に備え、前記撮影範囲設定手段は、前記表示手段の表面上に設けられた前記タッチパネルへのユーザ操作に応じて前記撮影範囲を設定すること特徴とする。
【0015】
また、好ましい態様として、例えば請求項8記載のように、請求項1に記載の撮像装置において、前記撮影制御手段の制御に従って前記撮影手段によって撮影された撮影画像を保存するか否かの確認を行う確認手段を更に備えることを特徴とする。
【0016】
また、上記目的達成のため、請求項9記載の発明は、セルフタイマによる撮影が可能な撮像装置のコンピュータに、撮影機能、撮影範囲を設定する撮影範囲設定機能、セルフタイマによる撮影が実行された際に、前記撮影範囲設定機能により設定された撮影範囲に基づいて、前記撮影機能による撮影画角を制御して撮影する撮影制御機能、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、セルフタイマ撮影時のカメラ設置場所の自由度を高め、意図した撮影範囲の画像を容易に撮影することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態によるデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本第1実施形態によるデジタルカメラの動作を説明するための概念図である。
【図4】本発明の第2実施形態のデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の変形例(撮影範囲の指定変形例)を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。図において、デジタルカメラ1は、撮像レンズ2、レンズ駆動部3、絞り兼用シャッタ4、CCD5、TG(Timing
Generator)6、ユニット回路7、画像処理部8、CPU11、DRAM12、メモリ13、フラッシュメモリ14、画像表示部15、キー入力部16、カードI/F17、及びメモリ・カード18を備えている。
【0021】
撮像レンズ2は、フォーカスレンズ、ズームレンズなどを含み、レンズ駆動部3が接続されている。レンズ駆動部3は、撮像レンズ2を構成するフォーカスレンズ、ズームレンズをそれぞれ光軸方向に駆動させるモータと、CPU11からの制御信号に従ってフォーカスモータ、ズームモータを駆動させるフォーカスモータドライバ、ズームモータドライバから構成されている。
【0022】
絞り兼用シャッタ4は、図示しない駆動回路を含み、駆動回路によってCPU11から送られてくる制御信号に従って動作する。該絞り兼用シャッタ4は、撮像レンズ2から入ってくる光の量を制御する。CCD(撮像素子)5は、撮像レンズ2、絞り4を介して投影された被写体の光を電気信号に変換し、撮像信号としてユニット回路7に出力する。該CCD5は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。
【0023】
ユニット回路7は、CCD5から出力される撮像信号を相関二重サンプリングして保持するCDS(Correlated
Double Sampling)回路、そのサンプリング後の撮像信号の自動利得調整を行うAGC(Automatic
Gain Control)回路、その自動利得調整後のアナログの撮像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器から構成されている。該ユニット回路7は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。CCD5の撮像信号は、ユニット回路7を経てデジタル信号として画像処理部8に送られる。
【0024】
画像処理部8は、ユニット回路7から送られてきた画像データの画像処理(画素補間処理、γ補正、輝度色差信号の生成、ホワイトバランス処理、露出補正処理等)、画像データの圧縮・伸張(例えば、JPEG形式やM−JPEG形式又はMPEG形式の圧縮・伸張)の処理、複数の撮像画像を合成する処理などを行う。該画像処理部8は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。
【0025】
CPU11は、デジタルカメラ1の各部を制御するワンチップマイコンである。特に、本第1実施形態では、CPU11は、セルフタイマ撮影において、手持ちで方向、ズームを合わせることによって「撮影範囲」を設定して仮撮影を行い、その後、机の上等に設置された状態で、広角側で本撮影を行い、該本撮影画像から仮撮影で設定された「撮影範囲」の画像を切り出すべく各部を制御する。本撮影画像と仮撮影画像との位置合わせ、「撮影範囲」の画像切り出しは、特徴点の比較により行う。なお、セルフタイマ撮影の詳細については後述する。
【0026】
DRAM12は、CCD5によって撮像された後、CPU11に送られてきた画像データを一時記憶するバッファメモリとして使用されるとともに、CPU11のワーキングメモリとして使用される。メモリ13は、CPU11によるデジタルカメラ1の各部の制御に必要なプログラム、及び各部の制御に必要なデータが記録されており、CPU11は、このプログラムに従って処理を行う。フラッシュメモリ14や、メモリ・カード18は、CCD5によって撮像された画像データなどを保存しておく記録媒体である。
【0027】
画像表示部15は、カラーLCDとその駆動回路を含み、撮像待機状態にあるときには、CCD5によって撮像された被写体をスルー画像として表示し、記録画像の再生時には、フラッシュメモリ14や、メモリ・カード18から読み出され、伸張された記録画像を表示する。キー入力部16は、シャッタスイッチ、ズームスイッチ、モードキー、SETキー、十字キー等の複数の操作キーを含み、ユーザのキー操作に応じた操作信号をCPU11に出力する。カードI/F17には、デジタルカメラ1本体の図示しないカードスロットを介してメモリ・カード18が着脱自在に装着されている。
【0028】
次に、上述した第1実施形態の動作について説明する。
図2は、本第1実施形態によるデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。また、図3は、本第1実施形態によるデジタルカメラの動作を説明するための概念図である。「自動位置合せセルフタイマーモード」に設定すると、以下の手順でカメラは動作する。まず、ライブビュー表示に移行し(ステップS10)、「撮影範囲を設定してください」のメッセージを表示する(ステップS12)。撮影者は、通常の撮影時と同様に、手持ちで方向を定め、ズームを合わせることにより、「撮影範囲」(その時にライブビューされている範囲そのもの)を決める(ステップS14)。つまり、図3に示すように、撮影者自身が被写体として入ることを想定し、撮影しようとしている被写体全体が画角内に入るように撮影範囲20を決定する。撮影範囲20において、破線部は、撮影者自身が入る位置を示している。図示の例では、撮影者が中央に入るように想定しているが、左右の端であってもよい。
【0029】
次に、撮影者によりシャッターボタンが押下されたか否かを判断し(ステップS16)、シャッターボタンが押下されない場合には、ステップS14に戻り、「撮影範囲」の決定処理を継続する。一方、シャッターボタンが押下されると、図3に示すように、撮影範囲20で第1の撮影処理(仮撮影)を行い(ステップS18)、仮撮影画像IMG1を画像表示部15に表示し、DRAM12に保存する(ステップS20)。
【0030】
これにより、撮影者自身を除く、撮影しようとしている撮影範囲20で被写体全体が撮影される。このとき、光学ズームとデジタルズームを併用することで(光学ズームを広角よりにしてキャプチャし、それを打ち消すようにデジタルズームしたものを表示する)、ライブビューの画角(つまり上記「撮影範囲」)よりも広い範囲を撮影して保持しておくと、後の位置合せ処理において有利な場合がある。
【0031】
次に、デジタルカメラ1側では、撮影者によりシャッターボタンが再度押下されたか否かを判断し(ステップS22)、シャッターボタンが押下されるまで待機する。撮影者は、仮撮影画像を確認後、図3の符号21に示すように、カメラを概ね被写体方向に向けて適当な面上(机の上など)に設置し、再び、シャッターボタンを押下し、被写体側に移動して撮影範囲に入る。このとき、デジタルカメラ1と被写体との位置関係は、図3の符号22に示すような状態となる。
【0032】
デジタルカメラ1では、シャッターボタンが押下されると、セルフタイマのカウントダウンを始動し(ステップS24)、光学ズームを仮撮影時よりも広角側に移動させ(ステップS26)、セルフタイマがタイムアップしたか否かを判断する(ステップS28)。そして、タイムアップすると、図3に示すように、第2の撮影処理(本撮影)を行い(ステップS30)、本撮影画像IMG2をDRAM12に保存する(ステップS32)。このように、光学ズームを広角側に移動させて第2の撮影処理を行うことにより、デジタルカメラ1の位置・方向の違いがあっても「撮影範囲」を画角内に収めることができる。
【0033】
このとき、後述の幾何変換に回転が含まれていれば、デジタルカメラ1の設置面は傾いた面であっても良い。つまり、デジタルカメラ1の方向は、概ね被写体を向いていればよい。
【0034】
次に、仮撮影画像IMG1と本撮影画像IMG2との間の位置合わせ処理(切り出しを含む)を行う(ステップS34)。具体的には、図3に示すように、不変特徴(SIFT(Scale-Invariant
Feature Transform)や、SURF(Speed Up Robust Features)など)により特徴点(図3の黒点)の対応を検出し、アウトライアを除去しつつ、仮撮影画像IMG1と本撮影画像IMG2間の幾何変換パラメータをRANSAC(RANdom Sample
Consensus)などのロバストなフィッティングにより求め(位置合わせ)、本撮影画像IMG2から仮撮影画像IMG1で規定される「撮影範囲」の画像IMG3を切り出す。そして、切り出した画像IMG3を画像表示部15に表示し、DRAM12に保存する(ステップS36)。必要ならば、ユーザの確認を経て、仮撮影画像IMG1、本撮影画像IMG2を破棄する。
【0035】
これにより、デジタルカメラ1が概ね被写体側を向いた状態で撮影しても、確実に仮撮影で撮影した「撮影範囲」の画像、つまり、集合写真のような撮影したい全ての人物が収まった画像が容易に得られる。
【0036】
なお、特徴点は、図3の「位置合わせ」に示すように、前景(被写体)領域からも、背景領域からも無差別にとってよい。前景(被写体)領域は、人の動きにより変動するし、前景と背景との視差誤差もあるため、フィッティングの許容誤差を大きめに取り、自由度の少ない幾何モデルを用いることが望ましい。
【0037】
例えば、ユークリッド相似変換の幾何モデルによって、本撮影画像を仮撮影画像の位置・方向・スケールに誤差極小で重ねる、ユークリッド相似変換係数を求めることができる。求められた変換パラメータに従い、本撮影画像IMG2を仮撮影画像IMG1に合わせるように幾何変換を行う。そのとき、仮撮影画像IMG1の「撮影範囲」設定の外部領域を捨てる。これにより、本撮影画像IMG2から、仮撮影画像IMG1の「撮影範囲」で切り出した画像(出力画像)IMG3が得られる。
【0038】
前述したように、仮撮影画像IMG1の撮影の際に、「撮影範囲」より広い仮撮影画像を撮影しておくと、位置合せにおいて有利である。その理由は、特に集合写真の場合、「撮影範囲」内は人物ばかりになってしまうことが想定されるが、人物には動きがある(撮影者が入ることで特に変動する)ため、位置合せが失敗することが相対的に多く、したがって、人物以外の特徴点を増やすことが正しい特徴対応(インライア)を増やすことになるからである。但し、稀に、デジタルカメラ1の移動により2画像間の視差が大きい場合、不要な背景に引きずられて悪い結果をもたらすこともあるため、手動、あるいは自動(インライア数が有意に多いときのみ広い範囲を使う)で選択的に適用することがさらに良い。また、仮撮影画像と本撮影画像のオーバーラップ領域が不十分で切り出せないような場合にも、広角撮影により余白を大きくとってあれば、位置合せ処理そのものは行うことはでき、「カメラをもう少し右(左、上、下、等)に向けてください」のようなエラーメッセージを出す際に、「右(左、上、下、等)」の判定をロバストに行える可能性が高くなるという点でも有利である。
【0039】
また、図2に示すステップS34で、幾何モデルの当てはめに失敗した場合(インライアが少なすぎる)、本撮影画像IMG2の画角に撮影範囲20の画像が収まっていなかったと解釈して、再度、ステップS26で、ズームをさらに広角よりに設定して、本撮影処理全体をやり直すようにしてもよい。
【0040】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、デジタルカメラ1の構成は図1と同一であるので説明を省略する。
図4は、本第2実施形態のデジタルカメラ1の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図4において、図3のステップS10〜S32までは同じであるので説明を省略する。本第2実施形態では、ステップS40で、仮撮影画像と本撮影画像の間の位置合わせ処理を行った後、仮撮影画像が、本撮影画像の画像端よりも十分内側にあるか否かを判断する(ステップS42)。
【0041】
そして、仮撮影画像が、本撮影画像の画像端よりも十分内側にある場合には、その程度に応じて、光学ズームを望遠側に移動させ(ステップS44)、第3の撮影処理を行い(ステップS46)、該第3の撮影画像をDRAM12に保存する(ステップS48)。これにより、「撮影範囲」を画角に入れつつ、第2の撮影画像よりも画素数=解像度の高い撮影画像を得ることができる。
【0042】
この場合、ズーム量から第2、第3の撮影画像間の幾何変換(単なる拡大変換)は既知なので、改めて特徴対応処理を行わなくても(もちろん行っても良いが)、仮撮影画像と再撮影画像の幾何変換を導出し、同様に再撮影画像から切り出し画像を得ることができる。そこで、位置合わせに応じて第3の撮影画像から仮撮影画像(「撮影範囲」))を切り出す(ステップS50)。そして、切り出した画像を画像表示部15に表示し、DRAM12に保存する(ステップS54)。必要ならば、ユーザの確認を経て、仮撮影画像、本撮影画像を破棄する。
【0043】
これにより、デジタルカメラ1が概ね被写体側を向いた状態で撮影しても、確実に仮撮影で撮影した「撮影範囲」の画像、つまり、集合写真のような撮影したい全ての人物が収まった、より高解像度の画像が容易に得られる。
【0044】
一方、仮撮影画像が、本撮影画像の画像端よりも十分内側にない場合、前述した第1実施形態と同様に、本撮影画像から仮撮影画像を切り出し(ステップS52)、切り出した画像を画像表示部15に表示し、DRAM12に保存する(ステップS54)。これにより、概ね被写体を向いていても、確実に仮撮影で撮影した「撮影範囲」の画像、つまり、撮影者を含む集合写真であっても全ての人物が収まった画像が容易に得られる。
【0045】
C.変形例
次に、本発明の変形例について説明する。
仮撮影と本撮影とでカメラと被写体の距離がほとんど変わらないと仮定して、光学ズーム設定値に合わせて画像サイズを変換することでズームの違いを吸収して、幾何変換モデルをユークリッド合同変換、あるいは平行移動に限定してもよく、その場合、特徴点対応についてもSIFT、SURF等の代わりに、スケール不変性の乏しいブロックマッチングなどを適用するようにしてもよい。
【0046】
また、幾何モデルとして平面射影変換モデルを使うこともでき、その場合には、仮撮影と本撮影とのカメラ設置方向の違いに起因するアオリ変形までもある程度補正することができる。但し、アウトライアが多い場合、誤差が大きい場合には、不自然な結果をもたらすので、平面射影変換モデルに当てはめても十分なインライア数が取れるときだけ、選択的に行うほうがよい。
【0047】
また、上述した第1、第2実施形態では、仮撮影画像を撮影することにより、設定した「撮影範囲」の画像を得るようにしたが、これに限らず、手持ちで方向を定め、広角側のライブビュー表示(図5(a))からデジタルズームなどでズームして、画像表示部15に設けられたタッチパネル(図示略)で「撮影範囲」の端(画角)を指定し(図5(b))、その後、適当な所にデジタルカメラ1を置いてセルフタイマを始動させるようにしてもよい。デジタルカメラ1では、指定されたポイントから「撮影範囲」を特定し(図5(c))、該「撮影範囲」が撮影画角いっぱいになるように(撮影画角からはみ出ない程度に)、自動的にズーム(必要に応じて角度を補正)して撮影することで(図5(d))、確実に「撮影範囲」の画像、つまり、集合写真のような撮影したい全ての人物が収まった画像が容易に得られる。
【0048】
上述した第1実施形態によれば、撮影範囲を設定し、セルフタイマによる撮影が実行された際に、設定されている撮影範囲に基づいて撮影画角を制御して撮影するようにしたことで、三脚がない場合でも、前準備として手持ちで撮影範囲を設定しておけば、撮像装置を机等に設置して向き等がずれた状態でセルフタイマ撮影を行っても、自動で意図した撮影範囲の画像を容易に撮影することができる。すなわち、セルフタイマの画角設定(撮影範囲設定)が容易で直観的になり、カメラ設置場所の自由度が高まり、従来カットアンドトライするしかなかったような場所でさえも、一回でセルフタイマ撮影を成功させることができる。また、撮影者本人が被写体とならないような場合であっても、机等の安定した場所に設置して撮影できるので、三脚がなくとも手振れを防ぐことができる。
【0049】
また、設定された撮影範囲の画像の特徴点と、撮影画角を制御して撮影した撮影画像の特徴点とを比較することで、設定された撮影範囲の画像を確実に得ることができる。
【0050】
また、撮影範囲よりも広い範囲で前記撮影手段によって仮画像を撮影するとともに、前記撮影範囲に基づいて前記撮影手段の撮影画角を制御して本画像を撮影し、撮影範囲よりも広い範囲で撮影された仮画像の特徴点と本画像の特徴点とを比較することによって、本画像内における撮影範囲を特定して撮影範囲の画像を取得するようにしたことで、より正確に意図した撮影範囲の画像を得ることができる。
【0051】
また、撮影画角を制御して撮影する際、光学ズームを撮影範囲の設定時よりも広角側に設定して本画像を撮影し、該広角側に設定して撮影した本画像から、設定された撮影範囲に該当する画像を切り抜くことで、撮像装置を机等に設置して向き等がずれても意図した撮影範囲の画像を得ることができる。
【0052】
また、撮影した本画像から撮影範囲の画像が取得できなかった場合には、光学ズームを更に広角側に設定して本画像を再度撮影し、該広角側に設定して再撮影した本画像から、設定された撮影範囲に該当する画像を切り抜くようにしたことで、撮像装置を机等に設置する際に、設定された撮影範囲から大きくずれても、より確実に意図した撮影範囲の画像を得ることができる。
【0053】
また、セルフタイマによる撮影を実行する際に、設定された撮影範囲で撮影された仮画像が本画像よりも十分に狭い場合には、光学ズームを、設定された撮影範囲が収まる範囲で望遠側に設定して撮影するようにしたことで、より高画質な、意図した撮影範囲の画像を得ることができる。
【0054】
また、撮影範囲の設定を、表示手段が備えるタッチパネル上で操作・指定可能としたことで、よりきめ細かく撮影範囲を指定することができる。
【0055】
また、撮影後、該撮影画像を保存するか否かを確認するようにしたことで、失敗した撮影画像の無駄な保存を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 デジタルカメラ
2 撮像レンズ
3 レンズ駆動部
4 絞り兼用シャッタ
5 CCD
6 TG
7 ユニット回路
8 画像処理部
11 CPU
12 DRAM
13 メモリ
14 フラッシュメモリ
15 画像表示部
16 キー入力部
17 カードI/F
18 メモリ・カード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフタイマによる撮影が可能な撮像装置であって、
撮影手段と、
撮影範囲を設定する撮影範囲設定手段と、
セルフタイマによる撮影が実行された際に、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲に基づいて、前記撮影手段の撮影画角を制御して撮影する撮影制御手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲の特徴点と前記撮影制御手段が前記撮影範囲に基づいて前記撮影手段の撮影画角を制御して撮影した画像の特徴点とを比較することによって、前記撮影した画像内に前記撮影範囲を特定して前記撮影範囲の画像を取得する画像処理手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮影制御手段は、前記撮影範囲よりも広い範囲で前記撮影手段によって仮画像を撮影するとともに、前記撮影範囲に基づいて前記撮影手段の撮影画角を制御して本画像を撮影し、
前記画像処理手段は、前記撮影範囲よりも広い範囲で撮影された仮画像の特徴点と前記本画像の特徴点とを比較することによって、前記本画像内における前記撮影範囲を特定して前記撮影範囲の画像を取得することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮影手段は、光学ズームレンズを備え、
前記撮影制御手段は、前記光学ズームレンズを前記撮影範囲設定手段による撮影範囲の設定時よりも広角側に設定して前記撮影手段により本画像を撮影し、
前記画像処理手段は、前記撮影手段によって撮影した本画像から、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲の画像を切り抜くことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮影制御手段は、前記撮影した本画像から前記撮影範囲の画像が取得できなかった場合には、前記光学ズームレンズを更に広角側に設定して前記本画像を再度撮影し、
前記画像処理手段は、前記撮影制御手段によって更に広角側に設定して前記撮影手段により撮影した本画像から、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲の画像を切り抜くことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮影手段は、光学ズームレンズを備え、
前記撮影制御手段は、前記撮影範囲設定手段により設定された撮影範囲が、該撮影範囲に基づいて前記撮影手段の撮影画角を制御して撮影した画像の撮影範囲よりも狭い場合には、前記光学ズームレンズを前記設定された撮影範囲が収まる範囲で望遠側に設定して再度撮影することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮影手段で撮影する画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の表面上に設けられたタッチパネルと
を更に備え、
前記撮影範囲設定手段は、前記表示手段の表面上に設けられた前記タッチパネルへのユーザ操作に応じて前記撮影範囲を設定すること特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮影制御手段の制御に従って前記撮影手段によって撮影された撮影画像を保存するか否かの確認を行う確認手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
セルフタイマによる撮影が可能な撮像装置のコンピュータに、
撮影機能、
撮影範囲を設定する撮影範囲設定機能、
セルフタイマによる撮影が実行された際に、前記撮影範囲設定機能により設定された撮影範囲に基づいて、前記撮影機能による撮影画角を制御して撮影する撮影制御機能、
を実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−54624(P2012−54624A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193135(P2010−193135)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】