説明

撮像装置、撮像制御方法及びプログラム

【課題】シャッタタイミングを指示するための専用の装置がなくとも、ユーザの意図したシャッタタイミングで記録用の撮像の指示を可能にすること。
【解決手段】表示制御部71は、撮像部22により逐次撮像されている被写体の撮像画像と、記録指示を示す指標とが重畳された結果得られる指標重畳画像を、表示部21に表示させる。重なり判断部72は、撮像画像に重畳表示された指標に対して、被写体の一部が重なったか否かを判断する。記録制御部74は、指標に被写体の一部が重なったと重なり判断部72により判断され、カウントダウン部73によるカウントダウンが終了すると、撮像部22により撮像された被写体の撮像画像のデータをリムーバブルメディア52に記録させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザは、デジタルカメラ等の撮像装置等を用いて自己を撮影する場合等において、シャッタボタン等を直接押下操作することなく、遠隔操作により、シャッタタイミング(記録用の撮像タイミング)を指示することができる。
【0003】
例えば特許文献1には、リモートコントローラにLED(Light Emitting Diode)を配備することで、デジタルカメラが、当該リモートコントローラのLEDの光を捉えたのみに被写体を撮像する、という技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−192015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来の技術では、ユーザは、リモートコントローラ等のシャッタタイミングを指示するための専用装置を常に持っていないと、自己が意図するシャッタタイミングで記録用の撮像を指示できないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、シャッタタイミングを指示するための専用の装置がなくとも、ユーザの意図したシャッタタイミングで記録用の撮像の指示を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
被写体を逐次撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により逐次撮像されている前記被写体の画像と、記録指示を示す指標とを所定の表示部に重畳表示させるように制御する表示制御手段と、
前記表示制御手段の制御により重畳表示された前記指標に前記被写体の一部が重なったか否かを判断する重なり判断手段と、
前記指標に前記被写体の一部が重なったと前記重なり判断手段により判断されると、前記撮像手段により撮像された前記被写体の画像のデータを記録する記録手段と、
を備えた撮像装置であることを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、
前記指標に前記被写体の一部が重なったと前記重なり判断手段により判断されると、計時を開始する計時手段と、
前記計時手段による計時時間が所定の時間を経過したか否かを判断する時間判断手段と、
をさらに備え、
前記記録手段は、前記指標に前記被写体の一部が重なったと前記重なり判断手段により判断された後、さらに、前記計時時間が前記所定の時間を経過したと前記時間判断手段に判断されると、前記被写体の画像のデータを前記所定の記録媒体に記録させるように制御する、
ことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、
前記被写体は、前記撮像手段が撮像している人物であり、前記被写体の一部とは、前記人物の手である、
であることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、
被写体を逐次撮像する撮像手段を備えた撮像装置が実行する撮像制御方法において、
前記撮像手段により逐次撮像されている前記被写体の画像と、記録指示を示す指標とを所定の表示部に重畳表示させるように制御する表示制御ステップと、
前記表示制御ステップの制御処理により重畳表示された前記指標に前記被写体の一部が重なったか否かを判断する重なり判断ステップと、
前記指標に前記被写体の一部が重なったことが前記重なり判断ステップの処理で判断されると、前記撮像手段により撮像された前記被写体の画像のデータを所定の記録媒体に記録させるように制御する記録制御ステップと、
を含む撮像制御方法であることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、
被写体を逐次撮像する撮像手段と記録媒体を備えた電子機器のコンピュータを、
前記撮像手段により逐次撮像されている前記被写体の画像と、記録指示を示す指標とを所定の表示部に重畳表示させるように制御する表示制御手段、
前記表示制御手段の制御により重畳表示された前記指標に前記被写体の一部が重なったか否かを判断する重なり判断手段、
前記指標に前記被写体の一部が重なったと前記重なり判断手段により判断されると、前記撮像手段により撮像された前記被写体の画像のデータを前記記録媒体に記録させるように制御する記録制御手段、
として機能させるプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シャッタタイミングを指示するための専用の装置がなくとも、ユーザの意図したシャッタタイミングで記録用の撮像を指示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す平面図である。
【図2】机上等に立設された撮像装置の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図1の撮像装置に表示される画像の一例を示している。
【図4】遠隔撮像合図による撮像処理を実行可能な撮像装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図5】このようなハードウェア構成の撮像装置が有する機能のうち、遠隔撮像合図による撮像処理の実行機能を発揮させる機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図6】遠隔撮像合図による撮像処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す平面図である。
詳しくは、図1(A)は、撮像面と表示面とを対向する面にそれぞれ配置させた場合の撮像装置の外観構成を示す平面図である。
図1(B)は、撮像面と表示面とを同一面に配置させた場合の撮像装置の外観構成を示す平面図である。
【0016】
撮像装置1は、例えばデジタルカメラにより構成され、被写体を逐次撮像し、その都度得られる被写体を含む画像に対して、シャッタタイミングの指示(記録指示)を示す指標を重畳した画像(以下、「指標重畳画像」と呼ぶ)を表示することができる。
この場合、ユーザは、指標重畳画像を見ながら、自己の意図するタイミングで手を用いた所定の所作をして、指標重畳画像内において手の像が指標に重なるようにすることで、シャッタタイミングを指示することができる。
なお、以下、手を用いた所作を、「ハンドジェスチャ」と呼び、また、ハンドジェスチャによる撮像装置1に対する操作を、「ハンドジェスチャ操作」と呼ぶ。
このように、撮像装置1は、ユーザの意図するシャッタタイミングを指示するハンドジェスチャ操作に基づいて、当該ユーザを撮像して、その結果得られる画像(以下、「撮像画像」と呼ぶ)のデータを記録するまでの一連の処理を実行することができる。
ユーザの意図するシャッタタイミングを指示するハンドジェスチャ操作とは、遠隔撮像合図に他ならないので、このような一連の処理を、以下、「遠隔撮像合図による撮像処理」と呼ぶ。
【0017】
撮像装置1は、遠隔撮像合図による撮像処理を実行すべく、カメラ本体11と、表示部本体12と、フレーム本体13と、を備えている。
カメラ本体11は、平面形状五角形の短柱状に形成され、図1(A)に示すように、カメラ本体11の裏面は、平坦に形成され、図1(B)に示すように、カメラ本体11の表面は、撮像部22の撮像面(撮像レンズ側の面)が配置されている。即ち、カメラ本体11は、撮像部22を内蔵する第1筐体である。
カメラ本体11は、貫通して配置された回動軸Aを回動中心として表示部本体12に対し回動可能に軸支される。
また、カメラ本体11は、回動軸Aに対し直交方向に配置され貫通して配置された回動軸Bを回動中心としてフレーム本体13に対し回動可能に軸支される。
より具体的には、カメラ本体11は、カメラ本体11の五角形の外形のうちの一の辺を表示部本体12に摺接しながら、回動軸Aを中心として回動し得るように構成される。
【0018】
なお、以下、撮像装置1のうち、カメラ本体11が設置されている側(図1の左側)を「カメラ側」と呼び、表示部本体12が設置されている側(図1の右側、即ち、特にカメラ本体11に対向する側と反対側)を「表示部側」と呼ぶ。
【0019】
表示部本体12は、平面形状略矩形に形成され、その表面の中央には矩形状の表示部21の表示面が配置されている。即ち、表示部本体12は、表示部21を内蔵する第2筐体である。
【0020】
フレーム本体13は、底辺と、該底辺部の両端において該底辺部に対し略直交方向に延設された平行する2本の腕と、により平面形状略コ字状に形成されている。
フレーム本体13の底辺は、フレーム本体13を構成する2本の腕が延設されている方向とは逆方向(表示部側)にV字状に突出して形成されている。
【0021】
フレーム本体13は、第1筐体であるカメラ本体11と、回動軸Bを回動中心として回動可能に接続されている。換言すると、カメラ本体11は、フレーム本体13の2本の腕の先端間に配置された回動軸Bを回動中心として、回動可能に軸支される。
従って、カメラ本体11は、その五角形の外形のうち対向する2辺をフレーム本体13の2本の腕に当接した状態でフレーム本体13と軸支している。このため、カメラ本体11は、該対向する2辺をフレーム本体13の2本の腕にそれぞれ摺接させながら回動することができる。
【0022】
このように、カメラ本体11は、フレーム本体13に対し回動可能に軸支されているため、撮像部22の撮像面が配置されている表面の向きを自在に変えることができる。即ち、ユーザは、カメラ本体11を回動させることで、図1(A)に示すように撮像部22の撮像面を紙面に対し奥側に配置させたり、図1(B)に示すように撮像部22の撮像面を紙面に対し手前側に配置させることができる。
従って、ユーザは、被写体が奥側に存在する場合には、回動軸Bを中心としてカメラ本体11を回動して図1(A)の状態することで、奥側の被写体を撮像部22に撮像させることができる。
これに対して、ユーザは、自己を被写体として撮像する場合等、被写体が手前側に存在する場合には、回動軸Bを中心としてカメラ本体11を回動して図1(B)の状態にすることで、手前側の被写体を撮像部22に撮像させることができる。
【0023】
図2は、机上等に立設された撮像装置1の外観構成を示す斜視図である。
ユーザは、自己を撮像する場合等には、先ず、図2に示すように、表示部21の表示面と撮像部22の撮像面との各法線が略同一の方向で、かつ、カメラ本体11とフレーム本体13とが所定角度拡開するように変形した状態の撮像装置1を、机上等に立設させる。
即ち、フレーム本体13を構成する突出したV字状の底辺の先端と、表示部本体12の端部とが台座として機能して机上の面に当接され、フレーム本体13と表示部本体12とは回動軸Bを介して互いに軸支されることにより、撮像装置1は机上等に立設する。
【0024】
図3は、図1の撮像装置1に表示される画像の一例を示している。
図3(A)は、ユーザが自己を被写体として撮像する場合の準備段階に表示される指標重畳画像の一例を示している。
図3(B)は、ユーザがシャッタタイミングを指示した時点に表示される指標重畳画像の一例を示している。
図3(C)は、記録用の撮像が行われる時点に表示される撮像画像の一例を示している。
【0025】
具体的には、ユーザは、自己を被写体として撮像する場合、図2に示すように撮像装置1を机上等に立設させた後、撮像部22の撮像面と対向するように、ある程度離間した位置(表示部21の表示が見える程度の位置)に移動する。
すると、図3(A)に示すような指標重畳画像P1が撮像されて、指標重畳画像P1がユーザから見て鏡像となるように表示部21に表示される。即ち、図3(A)に示すように、指標重畳画像P1においては、被写体像たるユーザ像Uを含む撮像画像(後述するスルー画像)に対して、シャッタイミングを指示する指標たるアイコンirが右上部に重畳されている。ただし、指標重畳画像P1においては、ユーザ像Uの手像hは、アイコンirに重なっていない。
なお、表示部21による表示の仕方としては、指標重畳画像P1を表示部21にユーザから見て鏡像となるように表示させずに、ユーザから見て正像となるように表示させても良い。
【0026】
ユーザは、その後、図示せぬ指標重畳画像を見ながら、シャッタイミングをはかる。ここで、図示せぬ指標重畳画像としたのは、逐次ユーザが撮像された結果得られる後述のスルー画像に対して、アイコンirが重畳された画像である点で、図3(A)の指標重畳画像P1とは異なるからである。
そして、ユーザは、その場で(撮像装置1から離間した位置で)、所望のタイミングに手を覆ったり手を振ったりするハンドジェスチャ操作をすることで、その手像hをアイコンirに重ならせる。即ち、この時点では、図3(B)に示すように、ユーザ像Uの手像hがアイコンirに重なった状態の指標重畳画像P2が表示部21に表示される。
撮像装置1は、ユーザ像Uの手像hがアイコンirに重なったことを認識することによって、シャッタタイミングの指示、即ち記録用撮像の指示がなされたと認識する。
【0027】
なお、撮像装置1は、ユーザ像Uの手像hがアイコンirに重なったことを認識した時点の撮像画像のデータを記録してもよいが、この時点の撮像画像とは、図3(B)の指標重畳画像P2からアイコンirが除去された画像、即ち、ハンドジェスチャ操作をしている時点の手像hが写った画像である。このような撮像画像は、ユーザにとって記録用として相応しくない場合が多い。即ち、ユーザの多くは、ハンドジェスチャ操作をしてポーズを整えた後の撮像画像のデータを記録用として保存したいと所望する。
そこで、本実施形態では、ユーザ像Uの手像hがアイコンirに重なったことは、いわゆるセルフタイマがオン状態にされたことを意味するものとして、撮像装置1は、記録用の撮像動作を実行する。
即ち、撮像装置1は、カウントダウンを開始する。この間、図示はしないが、カウントダウン用のカウンタが表示部21に表示されたり、所定の照明部分が点滅される等により、カウントダウンの状態がユーザに報知されることで、ユーザはポーズ等の準備をすることができる。
【0028】
そして、カウントダウンが終了すると、撮像装置1のシャッタが切られることになる。即ち、撮像装置1は、カウントダウン終了時点で撮像部22により撮像された撮像画像のデータを、記録用の画像データとして記録する。
本例では、カウントダウンが終了してシャッタが切られた時点では、図3(C)に示す画像P3、即ち、アイコンirが配置されていた位置から手像hが離れた状態でポーズを決めているユーザ像Uが鏡像となるように写った画像P3が表示部21に表示されると共に、当該画像P3に対応する撮像画像のデータが記録用として記録される。
本実施形態では、このようにして、遠隔撮像合図による撮像処理が撮像装置1により実行される。
【0029】
図4は、このような遠隔撮像合図による撮像処理を実行可能な撮像装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0030】
撮像装置1は、上述した表示部21及び撮像部22に加えてさらに、CPU(Central Processing Unit)41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、画像処理部44と、バス45と、入出力インターフェース46と、計時部47と、操作部48と、記憶部49と、通信部50と、ドライブ51と、を備えている。
【0031】
CPU41は、ROM42に記録されているプログラム、又は、記憶部49からRAM43にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0032】
RAM43には、CPU41が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0033】
画像処理部44は、DSP(Digital Signal Processor)や、VRAM(Video Random Access Memory)等から構成されており、CPU41と協働して、画像のデータに対して各種画像処理を施す。
例えば、画像処理部44は、撮像部22から出力される撮像画像のデータに対して、ノイズ低減、ホワイトバランスの調整、手ぶれ補正等の画像処理を施す。
【0034】
CPU41、ROM42、RAM43、及び画像処理部44は、バス45を介して相互に接続されている。このバス45にはまた、入出力インターフェース46も接続されている。入出力インターフェース46には、表示部21、撮像部22、計時部47、操作部48、記憶部49、通信部50、及びドライブ51が接続されている。
【0035】
表示部21は、指標重畳画像等各種画像を表示可能なディスプレイ等により構成される。
【0036】
撮像部22は、図示はしないが、光学レンズ部と、イメージセンサと、を備えている。
【0037】
光学レンズ部は、被写体を撮影するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。
フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。
光学レンズ部にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0038】
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。
光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。
AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、ディジタル信号が生成され、撮像部22の出力信号として出力される。
このような撮像部22の出力信号が、撮像画像のデータであり、CPU41、画像処理部44等に適宜供給される。
【0039】
計時部47は、CPU41の制御の下、計時動作を実行する。
操作部48は、例えば、図示せぬレリーズ釦等の各種釦により構成され、ユーザの指示操作を受け付ける。
記憶部49は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、後述するスルー画像等の各種画像のデータを記憶する。
通信部50は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する。
【0040】
ドライブ51には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア52が適宜装着される。ドライブ51によってリムーバブルメディア52から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部49にインストールされる。また、リムーバブルメディア52は、記憶部49に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部49と同様に記憶することができる。
【0041】
図5は、このようなハードウェア構成の撮像装置1が有する機能のうち、遠隔撮像合図による撮像処理の実行機能を発揮させる機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0042】
遠隔撮像合図による撮像処理が実行される場合、画像処理部44においては、指標重畳画像生成部61が機能し、CPU41においては、表示制御部71、重なり判断部72、カウントダウン部73、及び記録制御部74が機能する。
ROM42の一領域には、アイコンir(図3)等の指標の画像データを記憶する指標記憶部81が設けられている。
【0043】
指標重畳画像生成部61は、撮像部22から逐次供給される撮像画像のデータに対して、指標記憶部81から読み出した指標の画像データを重畳することによって、指標画像のデータを逐次生成し、表示制御部71及び重なり判断部72に供給する。
【0044】
表示制御部71は、指標重畳画像生成部61からデータとして逐次供給される指標画像を、スルー画像として表示部21に表示させる。
【0045】
ここで、スルー画像について説明する。
即ち、CPU41等は、先ず、撮像部22による被写体の撮像動作を継続させる。そして、CPU41等は、撮像部22による被写体の撮像動作が継続されている間、当該撮像部22を介して画像処理部44から順次出力される撮像画像(フレーム)のデータを、メモリ(本実施形態では記憶部49)に一時的に記憶させる。このようなCPU41による一連の制御処理を、以下「スルー撮像処理」と呼ぶ。ただし、本実施形態では、画像処理部44の指標重畳画像生成部61から、撮像画像に指標が重畳された指標画像のデータが順次出力されて、メモリ(本実施形態では記憶部49)に一時的に記憶される。
また、表示制御部71は、スルー撮像処理時にメモリ(本実施形態では記憶部49)に一時的に記録された各画像データを順次読み出して、各々に対応する撮像画像(フレーム)、本実施形態では撮像画像に指標が重畳された指標画像を表示部21に順次表示させる。このような表示制御部71による一連の制御処理を、以下「スルー表示処理」と呼ぶ。なお、スルー表示処理により表示部21に表示されている撮像画像、本実施形態では撮像画像に指標が重畳された指標画像が、「スルー画像」である。
【0046】
重なり判断部72は、指標重畳画像生成部61から逐次供給される指標画像のデータに基づいて、被写体の一部(図3の例ではユーザ像Uの手像h)が指標(図3の例ではアイコンir)に重なっているか否かを判断し、判断結果をカウントダウン部73に通知する。
【0047】
カウントダウン部73は、重なり判断部72により被写体の一部が指標に重なっていると判断されると、計時部47を制御してカウントダウンを開始し、カウントダウンが終了すると、その旨を記録制御部74に通知する。
即ち、計時部47は、カウントダウン部73の制御の下、一定の時間(カウントダウンの開始から終了までの時間)の計時を開始する。カウントダウン部73は、計時部47による計時時間と、一定の時間に相当する閾値とを逐次比較し、計時時間が閾値を経過したとき、カウントダウンの終了を記録制御部74に通知する。
【0048】
記録制御部74は、カウントダウン部73からカウントダウンの終了が通知されると、その直後に撮像部22から出力された撮像画像のデータ、より正確には、その後必要に応じて画像処理部44による画像処理が適宜施された撮像画像のデータを、記録用の画像データとしてリムーバブルメディア52に記録させるよう制御する。
【0049】
次に、図6を参照して、このような図5の機能的構成の撮像装置1が実行する、遠隔撮像合図による撮像処理について説明する。
図6は、遠隔撮像合図による撮像処理の流れを説明するフローチャートである。
【0050】
遠隔撮像合図による撮像処理は、本実施形態では、ユーザが電源を投入する操作を操作部48に対して行った場合、その操作を契機として開始される。即ち、次のような処理が実行される。
【0051】
ステップS1において、指標重畳画像生成部61は、撮像部22から逐次出力される撮像画像(例えば図3のユーザ像Uが写った撮像画像)のデータに対して、指標記憶部81に記憶されている指標(図3のアイコンir等)の画像データを重畳することで、指標重畳画像のデータを生成する。
【0052】
ステップS2において、表示制御部71は、ステップS1の処理でデータとして生成された指標重畳画像を表示部21に表示させる。
【0053】
ステップS3において、重なり判断部72は、ステップS1の処理で生成された指標重畳画像のデータについて、被写体像の一部(例えば図3のユーザ像Uの手像h)が指標(図3のアイコンir等)に重なったか否かを判定する。
【0054】
例えば図3(A)の指標重畳画像P1のように、指標重畳画像において被写体像の一部(例えば図3のユーザ像Uの手像h)が指標(図3のアイコンir等)に重なっていない場合、ステップS3においてNOであると判定されて、処理はステップS1に戻され、それ以降の処理が繰り返される。
即ち、スルー画像として逐次表示が変更される指標重畳画像において、被写体の一部が指標に重なるまでの間、ステップS1乃至S3のループ処理が繰り返し実行されて、遠隔撮像合図による撮像処理は待機状態となる。
【0055】
その後、例えば図3(B)の指標重畳画像P2のように、被写体像の一部(例えば図3のユーザ像Uの手像h)が指標(図3のアイコンir等)に重なると、ステップS3においてYESであると判定されて、処理はステップS4に進む。
【0056】
ステップS4において、カウントダウン部73は、計時部47による計時の動作を開始させる。即ち、カウントダウン部73によるカウントダウンの動作が開始され、図3のアイコンirがカウントダウンの数字(残りの秒等を示すカウント)に変更された画像が逐次表示される。
このように、スルー画像に重畳される画像がアイコンir等の指標からカウントダウンの数字に変更された画像、即ちカウントダウンの数字が重畳されたスルー画像を、以下「計時状態表示画像」と呼ぶ。
ステップS5において、カウントダウン部73は、計時部47による計時時間が所定時間(閾値として予め設定された時間)を経過したか否かを判定する。
計時時間が所定時間を経過していない場合、ステップS5においてNOであると判定されて、処理は再びステップS5に戻される。即ち、計時時間が所定時間を経過するまでの間、ステップS5の判定処理が繰り返して実行されて、カウントダウンの動作が進むことになる。
なお、この間、図示はしないが、計時状態表示画像が表示部21に表示されることによって、カウントダウンの途中経過がユーザに報知される。この場合、報知を受けたユーザは、後どれぐらいでカウントダウンが終了するのかを容易に認識できるので、ポーズの準備等を適切に行うことができる。
その後、計時時間が所定時間を経過した場合、ステップS5においてYESであると判定されて、カウントダウンの終了がカウントダウン部73から記録制御部74に通知されて、処理はステップS6に進む。
【0057】
ステップS6において、記録制御部74は、撮像部22から出力された撮像画像のデータ、より正確には、その後必要に応じて画像処理部44による画像処理が適宜施された撮像画像のデータを、記録用の画像データとしてリムーバブルメディア52に記録させる。
【0058】
ステップS7において、記録制御部74は、撮像終了の指示があったか否かを判定する。
撮像終了の指示がない場合、ステップS7においてNOであると判定されて、処理はステップS1に戻される。即ち、撮像終了の指示があるまでの間、ステップS1乃至S7の処理が繰り返し行われる。
このようにして、ユーザは、撮像終了の指示を行うまでの間、手を指標にかざすようなハンドジェスチャ操作を繰り返すことで、所望のシャッタタイミングで撮像された撮像画像のデータを何回でも記録させることができる。
その後、例えばユーザが操作部48に対して所定の操作を行うことで、撮像終了の指示をした場合、ステップS7においてYESであると判定されて、遠隔撮像合図による撮像処理は終了となる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置1は、表示部21と、撮像部22と、表示制御部71と、重なり判断部72と、記録制御部74と、を備えている。
表示制御部71は、撮像部22により逐次撮像されている被写体の撮像画像と、記録指示を示す指標(例えば図3のアイコンir)とが重畳された結果得られる指標重畳画像を、表示部21に表示させるように制御する。
重なり判断部72は、撮像画像に重畳表示された指標に対して、被写体の一部(例えば図3のユーザ像Uの手像h)が重なったか否かを判断する。
記録制御部74は、指標に被写体の一部が重なったと重なり判断部72により判断されると、撮像部22により撮像された被写体の撮像画像のデータを所定の記録媒体(例えば上述の例ではリムーバブルメディア52であるが、その他記憶部41等撮像装置1に内蔵される記録媒体でも可)に記録させる。
この場合、シャッタタイミングを指示する専用の装置がなくとも、被写体たるユーザは、自己が意図したシャッタタイミングで、ユーザの一部(手等)を指標にかざすようなハンドジェスチャ操作をするだけで、記録用の撮像の指示を容易にすることができる。
【0060】
さらに、本実施形態の撮像装置1は、カウントダウン部73の制御の下、指標に被写体の一部が重なったと重なり判断部により判断されると、計時を開始する計時部47と、計時部47による計時時間が所定の閾値(図6のステップS5でいう所定時間)を経過したか否かを判断するカウントダウン部73と、をさらに備えている。
この場合、記録制御部74は、指標に被写体の一部が重なったと重なり判断部72により判断された後さらに、カウントダウン部73により計時時間が所定の閾値を経過した(カウントダウン終了した)と判断されると、被写体の撮像画像のデータを所定の記録媒体に記録させる。
これにより、被写体たるユーザの一部(手等)を指標にかざすようなハンドジェスチャ操作をした時点ではなく、その後一定時間経過した(カウントダウンが終了した)後の時点の、ユーザの撮像画像のデータが記録される。
よって、ユーザは、ハンドジェスチャ操作をしてから一定時間経過するまでの間に、ポーズの準備等を行うことができるので、ユーザにとって好適な状態で撮像された撮像画像が得られることになる。
【0061】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0062】
例えば、上述の実施形態では、撮像画像に重畳表示される指標は、撮像指示を示すアイコンir(図3)とされたが、特にこれに限定さない。即ち、撮像動作等に必要な各種各様のGUI(Graphical User Interface)を指標として採用することができる。また、被写体の一部(ユーザの手等)が重複して重ならない範囲内で、複数の指標を、撮像画像の任意の位置に配置させるようにしても構わない。
例えばこのようなGUIとしては、本実施形態の記録指示(セルフタイマ)の他、明るさやISO(International Organization for Standardization)感度の調整を行うUIや、ムービーボタン(ソフトウェアボタン)等各種各様のものを採用することができる。
【0063】
ここで、明るさやISO調整を行うUIは、アイコンやソフトウェアボタンである必要はなく、例えば、スライダーであってもよい。
スライダーとは、オーディオ機器等で見られるスライドボリュームを模したソフトウェア上のコントロールをいう。一般的に、スライダーは、小さなつまみと、それを動かすための溝を模した表示によって構成される。
このスライダーは、一定の範囲内から1つの値を選択するという機能を有している。溝の両端のうち、一方の端が最小値であり、他方の端が最大値である。即ち、被写体たるユーザは、自己の手を左右に移動させるハンドジェスチャ操作をして、指標重畳画像内の小さなつまみをドラッグして移動させることにより、溝の範囲内で任意の値(明るさやISO感度の所望値)を選択することができる。
なお、選択肢の中から1つを選ぶという機能だけに着目すると、ラジオボタンやリストボックスを採用してもよいが、スライダーを採用することで、ユーザは、連続した関係にある多数の値の中から所望の値を選択することが可能になる。
【0064】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される電子機器は、デジタルカメラ等の撮像装置1を例として説明したが、特にこれに限定されない。本発明は、撮像機能及び表示機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話装置、ポータブルゲーム機、WEBカメラ等に適用可能である。
【0065】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、図5の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が撮像装置1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図5の例に限定されない。また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0066】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0067】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図4のリムーバブルメディア52により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア52は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図4のROM42や、図示せぬハードディスク等で構成される。
【0068】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0069】
1・・・撮像装置、11・・・カメラ本体、12・・・表示部本体、13・・・フレーム本体、21・・・表示部、22・・・撮像部、41・・・CPU、42・・・ROM、43・・・RAM、44・・・画像処理部、45・・・バス、46・・・入出力インターフェース、47・・・計時部、48・・・操作部、49・・・記憶部、50・・・通信部、51・・・ドライブ、52・・・リムーバブルメディア、61・・・指標重畳画像生成部、71・・・表示制御部、72・・・判断部、73・・・カウントダウン部、74・・・記録制御部、81・・・指標記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を逐次撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により逐次撮像されている前記被写体の画像と、記録指示を示す指標とを所定の表示部に重畳表示させるように制御する表示制御手段と、
前記表示制御手段の制御により重畳表示された前記指標に前記被写体の一部が重なったか否かを判断する重なり判断手段と、
前記指標に前記被写体の一部が重なったと前記重なり判断手段により判断されると、前記撮像手段により撮像された前記被写体の画像のデータを記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記指標に前記被写体の一部が重なったと前記重なり判断手段により判断されると、計時を開始する計時手段と、
前記計時手段による計時時間が所定の時間を経過したか否かを判断する時間判断手段と、
をさらに備え、
前記記録手段は、前記指標に前記被写体の一部が重なったと前記重なり判断手段により判断された後、さらに、前記計時時間が前記所定の時間を経過したと前記時間判断手段に判断されると、前記被写体の画像のデータを前記所定の記録媒体に記録させるように制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記被写体は、前記撮像手段が撮像している人物であり、前記被写体の一部とは、前記人物の手である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体を逐次撮像する撮像手段を備えた撮像装置が実行する撮像制御方法において、
前記撮像手段により逐次撮像されている前記被写体の画像と、記録指示を示す指標とを所定の表示部に重畳表示させるように制御する表示制御ステップと、
前記表示制御ステップの制御処理により重畳表示された前記指標に前記被写体の一部が重なったか否かを判断する重なり判断ステップと、
前記指標に前記被写体の一部が重なったことが前記重なり判断ステップの処理で判断されると、前記撮像手段により撮像された前記被写体の画像のデータを所定の記録媒体に記録させるように制御する記録制御ステップと、
を含むことを特徴とする撮像制御方法。
【請求項5】
被写体を逐次撮像する撮像手段と記録媒体を備えた電子機器のコンピュータを、
前記撮像手段により逐次撮像されている前記被写体の画像と、記録指示を示す指標とを所定の表示部に重畳表示させるように制御する表示制御手段、
前記表示制御手段の制御により重畳表示された前記指標に前記被写体の一部が重なったか否かを判断する重なり判断手段、
前記指標に前記被写体の一部が重なったと前記重なり判断手段により判断されると、前記撮像手段により撮像された前記被写体の画像のデータを前記記録媒体に記録させるように制御する記録制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−142721(P2012−142721A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293007(P2010−293007)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】