説明

撮像装置および画像再生装置

【課題】連続撮影時においても、画像データのデータ容量を抑えながら、画質の高い再生画像を容易に合成可能な画像データを生成することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】入射する被写体光に応じた画素信号を出力する複数の画素が二次元状に配置された撮像素子3と、複数の画素のうち、所定の方向に沿って所定の画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出し、画像データを生成する生成手段6と、撮像素子3に、所定の時間間隔で繰り返し画素信号を出力させ、かつ、時間的に連続する前後の画像データにおいて、画素信号を読み出す画素が互いに異なるものとなるように生成手段を制御する制御手段6と、を備えることを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および画像再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動画撮影が可能な撮像装置が知られている。このような撮像装置において、動画撮影時に、データ容量を抑えるため、撮像素子を構成する各画素の画素信号を所定の画素間隔で間欠的に読み出して再生画像を生成する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−301475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、所定の画素間隔で間欠的に読み出した画素信号に基づいて、再生画像を生成しているため、再生画像の画質が低くなるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、連続撮影時においても、画像データのデータ容量を抑えながら、画質の高い再生画像を容易に合成可能な画像データを生成することができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1] 本発明に係る撮像装置は、入射する被写体光に応じた画素信号を出力する複数の画素が二次元状に配置された撮像素子(3)と、前記複数の画素のうち、所定の方向に沿って所定の画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出し、画像データを生成する生成手段(6)と、前記撮像素子に、所定の時間間隔で繰り返し前記画素信号を出力させ、かつ、時間的に連続する前後の画像データにおいて、前記画素信号を読み出す画素が互いに異なるものとなるように前記生成手段を制御する制御手段(6)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
[2] 上記撮像装置に係る発明において、前記複数の画素は行列状に配置されており、前記所定の方向は、行列状に配置された前記画素の行方向または列方向であるように構成することができる。
【0009】
[3] 上記撮像装置に係る発明において、前記生成手段(6)で、N画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出す場合、前記制御手段(6)は、時間的に連続する(N+1)個の画像データにおいて、前記画素信号を読み出す画素が互いに異なるものとなるように前記生成手段を制御するように構成することができる。
【0010】
[4] 上記撮像装置に係る発明において、複数の前記画像データを合成する合成手段(6)をさらに備えるように構成することができる。
【0011】
[5] 上記撮像装置に係る発明において、前記生成手段(6)で、N画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出す場合、前記合成手段(6)は、時間的に連続する(N+1)個の画像データを合成するように構成することができる。
【0012】
[6] 上記撮像装置に係る発明において、前記制御手段(6)は、前記所定の時間間隔に応じて、前記所定の画素間隔を決定するように構成することができる。
【0013】
[7] 本発明に係る画像再生装置は、入射する被写体光に応じた画素信号を出力する複数の画素を有する撮像素子の、前記複数の画素のうち、所定の画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出して生成された画像データを取得する取得手段と、前記複数の画像データを合成し、再生画像を生成する合成手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
[8] 上記画像再生装置に係る発明において、前記合成手段は、時間的に連続して生成された複数の画像データを合成するように構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、連続撮影時においても、画像データのデータ容量を抑えながら、画質の高い再生画像を容易に合成可能な画像データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態に係る電子カメラ100の要部構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す撮像素子3を構成する画素配列の一例を示す平面図である。
【図3】図3は、撮像素子3を構成する各画素において、画素信号の蓄積および転送のタイミングの例を示す図である。
【図4】図4は、画像データの生成方法を説明するための図である。
【図5】図5は、画像データの生成方法を説明するための図である。
【図6】図6は、画像データの生成方法を説明するための図である。
【図7】図7は、再生画像の生成方法を説明するための図である。
【図8】図8は、再生画像の生成方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態に係る電子カメラは、静止画像を撮像可能であることに加えて、連続撮像による動画撮影も可能となっている。
【0018】
図1は、本実施形態に係る電子カメラ100の要部構成を示す図である。図1に示すように、電子カメラ100は、撮像レンズ群1、光量調節部2、撮像素子3、A/D変換部4、タイミングジェネレータ(TG)5、CPU6、カードメモリ7、カードインタフェース(カードI/F)8、内蔵メモリ9、操作部10、表示回路11、表示部12、レンズ駆動部14および光量調節制御部15から構成される。CPU6、カードI/F8、内蔵メモリ9、操作部10および表示回路11は、バス13を介して接続されており、互いに情報の授受が可能となっている。
【0019】
撮像レンズ群1は、複数の光学レンズにより構成され、被写体像を撮像素子3の受光面に結像する。撮像レンズ群1は、光軸L1に沿って移動可能に設けられており、レンズ駆動部14によるフォーカシング動作およびズーミング動作により、その位置が調整される。なお、レンズ駆動部14は、CPU6と接続されており、CPU6の指令により撮像レンズ群1の位置調整を制御している。
【0020】
光量調節部2は、絞り機構およびシャッタ機構を備え、被写体像を撮像素子3で撮像させるために、被写体からの光束(光軸L1)を、シャッタ速度で決まる時間(露光時間)の間、撮像素子3の受光面へ通す。なお、光量調節部2の絞り動作およびシャッタ動作は、CPU6の指令に基づいて、光量調節制御部15により制御される。
【0021】
撮像素子3は、例えば、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどで構成される。ここで、図2は、撮像素子3を構成する画素配列の一例を示す平面図である。図2に示すように、撮像素子3には、複数の光電変換素子から構成される複数の画素が二次元状かつ行列状に配置されている。なお、図2に示す例においては、説明を簡単にするため、縦24×横36の画素が行列状に配置された撮像素子3を例示しているが、撮像素子3を構成する画素の数および配列態様は特に限定されるものではない。また、図2に示す撮像素子3において、行方向(縦方向)の座標をy=0〜23とし、撮像素子3を構成する画素の列方向(横方向)の座標をx=0〜35とする(後述する図4〜図6、および図8においても同じ)。
【0022】
撮像素子3は、TG5が発するタイミングパルスに応じて、撮像レンズ群1により撮像素子3の画素上に結像された被写体像を、アナログの電気信号(画素信号)に変換して出力する。被写体光に応じて撮像素子3から出力されたアナログの画素信号は、A/D変換部4でデジタルの画素信号に変換され、CPU6へ転送される。なお、撮像素子3の動作の詳細については、後述する。
【0023】
CPU6は、撮像素子3から画素信号を読み出して、読み出した画素信号に基づいて画像データを生成する。また、CPU6は、複数の画像データを連続的に合成して、再生画像を生成する。さらに、CPU6は、画像データの補正、焦点調節状態、および絞り調節状態の検出など、電子カメラ100全体の制御を司る。なお、画像データの生成方法、再生画像の生成方法についての詳細は、後述する。
【0024】
内蔵メモリ9には、CPU6により生成された画像データが記憶される他、CPU6が電子カメラ100を制御するための制御プログラムなどが記憶されている。内蔵メモリ9に記憶されている画像データや制御プログラムは、バス13を介して、CPU6から適時参照される。なお、内蔵メモリ9として、半導体メモリのうち、任意の不揮発性メモリを適宜選択して用いることができる。
【0025】
カードI/F8には、カードメモリ7が着脱可能に装着される。内蔵メモリ9に記憶された画像データは、JPEG形式またはYUV形式などの圧縮形式に変換され、カードメモリ7に記録される。
【0026】
操作部10は、撮影者による操作内容に応じた操作信号をCPU6に出力する。操作部10には、例えば、電源ボタン、撮影モードを設定するためのモード設定ボタン、フレームレートを設定するためのフレームレート設定ボタン、およびレリーズボタンなどが含まれる。本実施形態においては、モード設定ボタンにより、静止画を撮像する静止画撮影モードと、動画を撮影する動画撮影モードとを切り替えることができる。撮影者により操作部10のモード設定ボタンを介して設定された撮影モードの情報はCPU6へ送出され、CPU6により撮影モードに応じた電子カメラ100の動作制御が行われる。なお、これら操作部10に含まれる各種ボタンは、表示部12の画面に表示されるタッチパネル形式のボタンであってもよい。
【0027】
表示部12は、表示回路11を介して、撮像素子3が撮像したスルー画などの動画や静止画像、撮影モード設定画面、フレームレート設定画面などを表示部12が備える表示モニタ上に表示する。なお、表示部12として、液晶モニタなどを適宜選択して用いることができる。
【0028】
次いで、撮影者により操作部10を介して動画撮影モードが選択された場合の撮像動作を、図3に示す例に基づいて説明する。図3は、撮像素子3において、画素信号の蓄積および出力を行う際のタイミングの一例を示す図である。動画撮影モードが選択されている場合、CPU6の制御により、TG5から撮像素子3に対して、所定の周期(フレームレート)でタイミングパルスが発せられる。図3に示す例においては、周期T〜Tでタイミングパルスが発せられており、また、図示していないが、周期T以降においても、タイミングパルスが所定の周期で繰り返し発せられる。
【0029】
そして、撮像素子3は、TG5からのタイミングパルスに応じて、画素信号の蓄積と、蓄積した画素信号の出力とを繰り返す。例えば、図3に示す例では、撮像素子3は、周期Tの間、撮像レンズ1によって結像される被写体光を画素信号CA1に変換して蓄え、蓄積した画素信号CA1に基づく画素信号OA1を、周期Tに続く周期Tにおいて、A/D変換部4に出力する。さらに、撮像素子3は、周期Tの間、被写体光を画素信号CB1に変換して蓄え、蓄積した画素信号CB1に基づく画素信号OB1を、周期Tに続く周期Tにおいて、A/D変換部4に出力する。以下同様に、撮像素子3は、タイミングパルスに応じて、画素信号CC1の蓄積と画素信号CC1に基づく画素信号OC1の出力、画素信号CA2の蓄積と画素信号CA2に基づく画素信号OA2の出力、および画素信号CB2の蓄積と画素信号CB2に基づく画素信号OB2の出力というように、動画撮影モードによる撮影の間、画素信号の蓄積と、蓄積した画素信号の出力とを繰り返し行う。
【0030】
ここで、図3に示す例では、画素信号OA1、画素信号OB1、画素信号OC1は、以下に説明するように、異なる出力態様により、撮像素子3から出力される。
【0031】
具体的には、画素信号OA1は、図4に示す第1の出力態様により出力される。ここで、図4は、撮像素子3から画素信号を出力させる際の第1の出力態様を示す図である。図4において、撮像素子3を構成する画素のうち、画素信号を構成する信号を出力する画素を斜線で表す一方、画素信号を構成する信号を出力しない画素を白塗りで表している。すなわち、第1の出力態様においては、図4において斜線で表す画素から出力された信号が画素信号として出力される。また、図4に示すように、第1の出力態様では、撮像素子3を構成する画素のうち、y軸方向(行方向)およびx軸方向(列方向)に沿って2画素間隔ごとに配置された複数の画素の信号が画素信号として出力される。具体的には、第1の出力態様においては、図4に示すように、画素の画素位置を(x,y)とした場合、x+y=3n(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された複数の画素の信号が画素信号として出力される。
【0032】
一方、画素信号OB1は、図5に示す第2の出力態様により出力される。ここで、図5は、撮像素子3から画素信号を出力する際の第2の出力態様を示す図である。図5において、撮像素子3を構成する画素のうち、画素信号を構成する信号を出力させる画素を横線で表す一方、画素信号を構成する信号を出力させない画素を白塗りで表している。すなわち、第2の出力態様においては、図5において横線で表す画素から出力された信号が画素信号として出力される。また、上述した図4に示す第1の出力態様と、図5に示す第2の出力態様とを比べると、撮像素子3を構成する画素のうち、y軸方向(行方向)およびx軸方向(列方向)に沿って2画素間隔ごとに配置された複数の画素の信号を画素信号として出力させる点は共通するが、図5に示す第2の出力態様では、図4に示す第1の出力態様とは異なる画素の信号を画素信号として出力させる点で異なる。具体的には、第2の出力態様においては、図5に示すように、画素の画素位置を(x,y)とした場合、x+y=3n+1(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された複数の画素の信号を画素信号として出力させる。すなわち、図5に示す第2の出力態様で出力される画素信号は、図4に示す第1の出力態様で出力される画素信号に対し、1画素分だけ画素位置がずれた画素の信号からなる画素信号である。
【0033】
また、画素信号OC1は、図6に示す第3の出力態様により出力される。ここで、図6は、撮像素子3から画素信号を出力する際の第3の出力態様を示す図である。図6においては、撮像素子3を構成する画素のうち、画素信号を構成する信号を出力させる画素を黒塗りで表す一方、画素信号を構成する信号を出力させない画素を白塗りで表している。すなわち、第3の出力態様においては、図6において黒塗りで表す画素から出力された信号が画素信号として出力される。また、上述した図4に示す第1の出力態様および図5に示す第2の出力態様と、図6に示す第3の出力態様とを比べると、撮像素子3を構成する画素のうち、y軸方向(行方向)およびx軸方向(列方向)に沿って2画素間隔ごとに配置された複数の画素の信号が画素信号として出力される点で共通するが、図6に示す第3の出力態様は、図4に示す第1の出力態様および図5に示す第2の出力態様とは異なる画素の信号を画素信号として出力させる点で異なる。具体的には、第3の出力態様においては、図6に示すように、画素の画素位置を(x,y)とした場合、x+y=3n+2(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された複数の画素の信号が画素信号として出力される。すなわち、図6に示す第3の出力態様で出力される画素信号は、図4に示す第1の出力態様で出力される画素信号に対し、2画素分だけ画素位置がずれた画素の信号からなる画素信号であり、かつ、図5に示す第2の出力態様で出力される画素信号に対し、1画素分だけ画素位置がずれた画素の信号からなる画素信号である。
【0034】
さらに、図3に示す例では、画素信号OC1に引き続いて、画素信号OA2が出力される。ここで、画素信号OA2は、画素信号OA1と同様に、図4に示す第1の出力態様により出力される。また、画素信号OA2に引き続いて、画素信号OB2が出力される。ここで、画素信号OB2は、画素信号OB1と同様に、図5に示す第2の出力態様により出力される。このように、本実施形態では、図4に示す第1の出力態様による画素信号の出力と、図5に示す第2の出力態様による画素信号の出力と、図6に示す第3の出力態様による画素信号の出力とが繰り返し行われる。
【0035】
このように所定の出力態様で撮像素子3により出力された画素信号は、A/D変換部4に出力された後、CPU6に読み込まれる。そして、CPU6は、読み込んだ各画素信号に基づいて画像データを生成し、生成した画像データを内蔵メモリ9に記憶する。
【0036】
次に、本実施形態における再生画像の生成方法について説明する。再生画像の生成は、例えば、操作部10を介して、動画撮影モードによって撮影された画像の再生指令を受けた場合に、CPU6によって行われる。ここで、図7および図8は、再生画像の生成方法を説明するための図である。なお、図7は、図3に示す例において、複数の画素データから合成される合成画像を示しており、周期T〜Tおよび画素信号OA1〜OB2は、図3に示す例と同じである。以下、図3に示す場面における再生画像の生成例について、図7および図8を参照して説明する。
【0037】
具体的には、CPU6は、まず、図7に示すように、周期T、T、Tにおいて出力された各画素信号OA1、OB1、OC1に基づく各画像データを合成することで、合成画像PA1+B1+C1を生成する。ここで、それぞれ、画素信号OA1は図4に示す第1の出力態様で出力されたものであり、また、画素信号OB1は図5に示す第2の出力態様で出力されたものであり、さらに、画素信号OC1は図6に示す第3の出力態様で出力されたものである。そのため、このようにして生成される合成画像PA1+B1+C1は、図8に示すように、撮像素子3の全ての画素から出力された画素信号に基づく画像データに基づく画像となることとなる。すなわち、図8中において、それぞれ、斜線で示す画素については画素信号OA1に基づく画像データ、横線で示す画素については画素信号OB1に基づく画像データ、黒塗りで示す画素については画素信号OC1に基づく画像データで構成されるものとなり、これにより、合成画像PA1+B1+C1は、撮像素子3を構成する全ての画素からの画像信号に基づく画像となる。
【0038】
同様に、CPU6は、図7に示すように、周期T、T、Tにおいて出力された各画素信号OB1、OC1、OA2に基づく各画像データを合成し、合成画像PB1+C1+A2を生成し、さらに、周期T、T、Tにおいて出力された各画素信号OC1、OA2、OB2に基づく各画像データを合成し、合成画像PC1+A2+B2を生成し、以下、同様にして、時間的に連続する3個の画像データを逐次合成し、複数の合成画像を生成する。そして、本実施形態では、このようにして得られた各合成画像を、時間的に連続したものとして(たとえば、PA1+B1+C1→PB1+C1+A2→PC1+A2+B2→・・・)、再生画像とする。
【0039】
すなわち、本実施形態では、N画素間隔ごとに配置された複数の画素の信号を画素信号として読み出す場合には、時間的に連続する(N+1)個の画像データを連続的に合成することで、再生画像を生成する。例えば、図3に示す例においては、2画素間隔ごとに配置された複数の画素の信号を画素信号として読み出しており、時間的に連続する3個の画像データを連続的に合成することで、再生画像を生成する。すなわち、図3に示す例において、まず、時間的に連続する画素信号OAm、OBm、OCmに基づく画像データ(mは正の整数、以下同じ)を合成して、合成画像を生成する。そして、同様に、画素信号OBm、OCm、OA(m+1)に基づく合成画像、画素信号OCm、OA(m+1)、OB(m+1)に基づく合成画像、画素信号OA(m+1)、OB(m+1)、OC(m+1)に基づく合成画像というように、時間的に連続する3つの画像データを連続的に合成して、合成画像を連続的に生成することで、再生画像を生成する。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る電子カメラ100では、動画撮影などの連続撮影を行う際に、撮像素子3に二次元状に配置された画素のうち、所定の画素間隔(例えば、図4〜図6に示す出力態様においては2画素間隔)ごとに配置された複数の画素の信号を画素信号として出力させ、この画素信号に基づいて画像データを生成する。このように、本実施形態で生成される画像データは、所定の画素間隔で配置された複数の画素の信号からなる画素信号に基づくものであるため、本実施形態では、高フレームレートの連続撮影においても、各画像データのデータ容量を抑えることができ、また、画像データを内蔵メモリ9などに保存する際の処理速度の向上も図れる。
【0041】
さらに、本実施形態では、N画素間隔ごとに配置された複数の画素の信号を画素信号として読み出す場合に、時間的に連続する(N+1)個の画像データにおいて、画素信号を読み出す画素が互いに異なるものとなるように制御し、時間的に連続する(N+1)個の画像データを連続的に合成することで、再生画像を生成する。例えば、上述した実施形態では、図4に示す第1の出力態様、図5に示す第2の出力態様、および図6に示す第3の出力態様により出力される画素信号は、いずれも2画素間隔ごとに配置された複数の画素に基づく画素信号であり、さらに、画素信号を読み出す画素が重複することなく互いに異なっている。そのため、図4〜図6に示す各出力態様において、画素信号を構成する信号を出力する画素を重ね合わせると、図8に示すように、第1の出力態様で画素信号を読み出す画素が図8中の斜線で示す画素に対応し、第2の出力態様で画素信号を読み出す画素が図8中の横線で示す画素に対応し、第3の出力態様で画素信号を読み出す画素が図8中の黒塗りで示す画素に対応する。すなわち、図4〜図6に示す出力態様で出力した3つの画像データを重ね合わせることにより、撮像素子3の全ての画素に基づく画像と同様の高画質な合成画像を生成することができる。このように、本実施形態では、従来のような複雑な画像処理を行うことなく、時間的に連続する複数の画像データを単に重ね合わせて合成するだけで、高画質な再生画像を迅速かつ容易に生成することができ、さらに、再生画像を生成する際の処理負担も軽減することができる。
【0042】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0043】
例えば、本実施形態においては、電子カメラ100において、時間的に連続する複数の画像データを生成し、生成した複数の画像データを連続的に合成することで、再生画像を生成しているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、電子カメラ100において、時間的に連続する複数の画像データを生成し、生成した複数の画像データを出力するとともに、電子カメラ100以外の装置、例えば、画像を再生するための画像再生装置において、電子カメラ100により出力された複数の画像データを取得し、取得した複数の画像データを連続的に合成することで、画像再生装置において、再生画像を生成する構成としてもよい。この場合、電子カメラ100により、上述した画像データの生成方法で複数の画像データを生成し、そして、画像再生装置により、上述した再生画像の生成方法と同様にして、電子カメラ100により生成された複数の画像データを連続的に合成し、再生画像を生成する構成とすることができる。この場合にも、複雑な画像処理を行うことなく、時間的に連続する3個の画像データを単に重ね合わせるだけで、高画質な再生画像を迅速かつ容易に生成することができ、再生画像を合成する際の処理負担を軽減することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、図4〜図6に示すように、2画素間隔ごとに配置された画素の信号を画素信号として出力させているが、画素信号の出力態様はこれに限定されず、例えば、1画素間隔ごとに配置された画素の信号を画素信号として出力させてもよいし、さらに、3画素以上の画素間隔ごとに配置された画素の信号を画素信号として出力させてもよい。この場合においても、N画素間隔ごとに配置された複数の画素の信号を画素信号として読み出す場合と同様に、時間的に連続する(N+1)個の画像データにおいて、画素信号を読み出す画素が互いに異なるものとなるように制御し、このように読み出した時間的に連続する(N+1)個の画像データを連続的に合成することで、再生画像を生成すればよい。すなわち、画素信号を構成する信号を出力する画素を、1画素間隔ごとに配置した場合には、時間的に連続する2個の画像データを合成することで、撮像素子3の全ての画素に対応する画素信号に基づく画像と同様の高画質な再生画像を生成することができる。また、画素信号を構成する信号を出力する画素を、3画素間隔ごとに配置した場合には、時間的に連続する4個の画像データを合成することで、撮像素子3の全ての画素に対応する画素信号に基づく画像と同様の高画質な再生画像を生成することができる。
【0045】
さらに、本実施形態においては、図4〜図6に示すように、y軸方向(行方向)およびx軸方向(列方向)に沿って2画素間隔ごとに配置された画素の信号を画素信号として出力させているが、画素信号の出力態様はこれに限定されず、例えば、y軸方向(行方向)に連続する画素列をx軸方向(列方向)に沿って2画素間隔ごとに配置させた画素であって、かつ、時間的に連続する3個の画像データにおいて、画素信号を読み出す画素が互いに異なるように配置された画素の信号を画素信号として出力させてもよい。具体的には、画素の画素位置を(x,y)とした場合に、x=3n(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された画素の信号を画素信号として出力する態様を第1の出力態様とし、x=3n+1(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された画素の信号を画素信号として出力する態様を第2の出力態様とし、x=3n+2(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された画素の信号を画素信号として出力する態様を第3の出力態様として、これら第1の出力態様から第3の出力態様により、画素信号を繰り返し出力させてもよい。また同様に、x軸方向(列方向)に連続する画素列をy軸方向(行方向)に沿って2画素間隔ごとに配置させた画素であって、かつ、時間的に連続する3個の画像データにおいて、画素信号を読み出す画素が互いに異なるように配置された画素の信号を画素信号として出力させてもよい。具体的には、画素の画素位置を(x,y)とした場合に、y=3n(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された画素の信号を画素信号として出力する態様を第1の出力態様とし、y=3n+1(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された画素の信号を画素信号として出力する態様を第2の出力態様とし、y=3n+2(nは0以上の整数)を満たす画素位置に配置された画素の信号を画素信号として出力する態様を第3の出力態様として、これら第1の出力態様から第3の出力態様により、画素信号を繰り返し出力させてもよい。これらの場合においても、時間的に連続する3つの画像データを合成することで、撮像素子3の全ての画素に対応する画素信号に基づく画像と同様の高画質な再生画像を生成することができる。
【0046】
あるいは、本実施形態においては、画素信号を構成する信号を出力する画素の画素間隔を、フレームレート(時間間隔)に応じて決定する構成としてもよい。具体的には、フレームレートが高く設定されている場合には、画素信号を構成する信号を出力する画素の画素間隔を大きくし、フレームレートが低く設定されている場合には、画素信号を構成する信号を出力する画素の画素間隔を小さくする構成としてもよい。このように、フレームレートに応じて画素信号を出力させる画素の画素間隔を可変にすることで、フレームレートに応じた適切な画素間隔を設定することができ、例えば、高フレームレートでの連続撮影時のようにフレームレートが高い場合には、画素信号を構成する信号を出力する画素の画素間隔が大きくなり、画像データのデータ容量が増大することを有効に抑制することができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、複数の画像データに基づいて連続的に生成した合成画像を、動画の再生画像として再生する例について説明したが、かかる合成画像を静止画像として表示する構成であってもよい。
【0048】
さらに、本実施形態では、撮像素子3を構成する全ての画素のうち出力態様に応じた一部の画素の信号のみを画像信号として、撮像素子3から出力させる構成としているが、例えば、撮像素子3を構成する全ての画素の信号を撮像素子3から出力させ、出力させた信号のうち、出力態様に応じた一部の信号を画素信号として、CPU6が読み取る構成としてもよい。
【0049】
なお、本実施形態に係る電子カメラ100は、特に限定されず、例えば、一眼レフデジタルカメラ、デジタルコンパクトカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
100…電子カメラ
1…撮像レンズ群
2…光量調節部
3…撮像素子
4…A/D変換部
5…タイミングジェネレータ(TG)
6…CPU
7…カードメモリ
8…カードインタフェース(カードI/F)
9…内蔵メモリ
10…操作部
11…表示回路
12…表示部
13…バス
14…レンズ駆動部
15…光量調節制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する被写体光に応じた画素信号を出力する複数の画素が二次元状に配置された撮像素子と、
前記複数の画素のうち、所定の方向に沿って所定の画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出し、画像データを生成する生成手段と、
前記撮像素子に、所定の時間間隔で繰り返し前記画素信号を出力させ、かつ、時間的に連続する前後の画像データにおいて、前記画素信号を読み出す画素が互いに異なるものとなるように前記生成手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記複数の画素は行列状に配置されており、
前記所定の方向は、行列状に配置された前記画素の行方向または列方向であることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記生成手段で、N画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出す場合、前記制御手段は、時間的に連続する(N+1)個の画像データにおいて、前記画素信号を読み出す画素が互いに異なるものとなるように前記生成手段を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
複数の前記画像データを合成する合成手段をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記生成手段で、N画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出す場合、前記合成手段は、時間的に連続する(N+1)個の画像データを合成することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記所定の時間間隔に応じて、前記所定の画素間隔を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
入射する被写体光に応じた画素信号を出力する複数の画素を有する撮像素子の、前記複数の画素のうち、所定の画素間隔ごとに配置された画素から出力される画素信号を読み出して生成された画像データを取得する取得手段と、
前記複数の画像データを合成し、再生画像を生成する合成手段と、
を備えることを特徴とする画像再生装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像再生装置において、
前記合成手段は、時間的に連続して生成された複数の画像データを合成することを特徴とする画像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−5166(P2013−5166A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133373(P2011−133373)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】