説明

撮像装置及びそのフリッカ検出方法

【課題】被写体の模様をフリッカと誤判別することなく、フリッカに起因する明暗縞を精度良く検出することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】フリッカ検出回路108は、周波数成分検出回路107により検出された、画面中の分割された1つの枠内の画像の周波数成分を検出する(S1)。検出した周波数成分が一定以下の周波数である場合、フリッカ検出回路108は、その枠をフリッカ検出候補枠として決定し(S3)、検出した周波数成分が一定の周波数を超える場合、フリッカ検出回路108は、その枠をフリッカ検出候補枠として設定しない(S4)。全ての枠について検出すると、フリッカ検出回路108は、フリッカ検出候補枠と決定された枠の画像を用い、フリッカの有無およびその周期を検出する(S6)。検出されたフリッカの有無およびその周期を基に、フリッカ補正回路109はフリッカ補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影時におけるフリッカの検出を行う撮像装置及びそのフリッカ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラやデジタルビデオカメラにおいては、光学像を光電変換するものとして、CCDセンサが多く使われてきた。
【0003】
近年、ハイビジョン撮影や高画素静止画撮影が求められてきているが、CCDセンサの場合、水平転送周波数が高くなるので、電荷の転送劣化が大きくなる。このため、CCDセンサは高速転送に不向きである。
【0004】
このような用途においては、上記理由により、高速読み出しが可能な、XYアドレス型CMOSセンサ(以下、CMOSセンサという)が使われ始めている。
【0005】
CCDセンサとCMOSセンサとでは、それらの駆動方式の違いにより、画素の露光のタイミングが異なる。すなわち、CCDセンサの場合、全ての画素をフィールドもしくはフレーム毎に同時に露光し、光電変換して電荷蓄積を行う。一方、CMOSセンサの場合、ライン毎に順々に露光し、電荷蓄積を行う。
【0006】
太陽光や電球などの連続発光光源である場合、露光時間ごとの電荷蓄積量は同じであるが、蛍光灯などの点滅光源である場合、露光時間と点滅周期が異なった際、画面上に明暗が発生する。
【0007】
CCDセンサの場合、画面の露光ごとの蓄積時間が異なることになるので、画面全体の明滅がフリッカとして現れる。一方、CMOSセンサの場合、画面のラインごとの蓄積時間が異なることになるので、図9に示すように、画面中の上下方向の輝度のうねりがフリッカとして現れる。図9は画面中の上下方向の輝度のうねりとして現れるフリッカを示す図である。
【0008】
このようなフリッカが発生すると、画質が劣化して見た目が良くないので、フリッカの発生を検出し、補正を行う必要がある。
【0009】
フリッカの検出においては、CCDセンサの場合、各フレームの画面全体の平均輝度の変動により、フリッカの発生の有無を検出していた。一方、CMOSセンサの場合、フリッカは、画面中の横縞として現れるので、この方法では十分に検出することができない。
【0010】
このため、従来では、画面中の周波数成分を検出し、フリッカの横縞の周波数成分を抽出することで、フリッカの検出が行われていた。このような技術を用いたものとして、特許文献1に記載のものが知られている。
【特許文献1】特開2004−007402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の撮像装置では、次のような問題があった。CMOSセンサにおいては、前述したように、蛍光灯などの点滅光源の場合、画面の上下方向の輝度のうねり、つまり横縞がフリッカとして現れる。このようなフリッカを検出する場合、フリッカの横縞の周波数成分を抽出することで検出が行われるが、画面中に細かい模様、特に横縞を持つ被写体では、横縞が被写体の模様であるか、光源の点滅によって発生するフリッカであるかを判別することが困難であった。
【0012】
そこで、本発明は、被写体の高周波の模様をフリッカと誤判別することなく、フリッカに起因する低周波の明暗縞を精度良く検出することができる撮像装置及びそのフリッカ検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、撮像素子により光学像を光電変換して映像信号を得る撮像装置であって、前記映像信号を複数の枠の領域に分割し、前記枠内の画像の周波数成分をそれぞれ検出する周波数成分検出手段と、前記検出された周波数成分と所定の周波数とを比較する比較手段と、前記比較の結果、前記検出された周波数成分が前記所定の周波数以下であった前記枠内の画像を使用し、フリッカ情報を検出するフリッカ検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の撮像装置のフリッカ検出方法は、撮像素子により光学像を光電変換して映像信号を得る撮像装置のフリッカ検出方法であって、前記映像信号を複数の枠の領域に分割し、前記枠内の画像の周波数成分をそれぞれ検出する周波数成分検出ステップと、前記検出された周波数成分と所定の周波数とを比較する比較ステップと、前記比較の結果、前記検出された周波数成分が前記所定の周波数以下であった前記枠内の画像を使用し、フリッカ情報を検出するフリッカ検出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る撮像装置は、映像信号を複数の枠の領域に分割し、前記枠内の画像の周波数成分をそれぞれ検出し、検出された周波数成分が所定の周波数以下であった画像を使用し、フリッカ情報を検出する。これにより、被写体の高周波の模様をフリッカと誤判別することなく、フリッカに起因する低周波の明暗縞を精度良く検出することができる。
【0016】
請求項2に係る撮像装置によれば、検出したフリッカ情報に基づき、シャッタ速度を光源の点滅周期と同期させたり、あるいはCCDではフレームごとに、CMOSではラインごとに、明暗に応じてゲインを増減させることで、フリッカの発生を抑えることができる。
【0017】
請求項3に係る撮像装置によれば、検出枠候補の数が少なかった場合、サンプル数不足によるフリッカの誤検出を減少させることができる。
【0018】
請求項4、5に係る撮像装置によれば、フリッカ検出のサンプル数を増加させることができ、フリッカに起因する低周波の明暗縞を精度良く検出することができる。
【0019】
請求項6に係る撮像装置によれば、フリッカ検出候補枠が垂直方向に途切れ、フリッカ検出のサンプル数不足による誤検出を防ぐことができる。
【0020】
請求項7に係る撮像装置によれば、絞り手段を開放にすることで、フリッカ検出候補枠が垂直方向に途切れる機会を減らすことができる。
【0021】
請求項8に係る撮像装置によれば、シャッタ速度を遅くすることで、フリッカ検出候補枠が垂直方向に途切れる機会を減らすことができる。
【0022】
請求項9に係る撮像装置によれば、フリッカ検出を有効に行うことができる。請求項10に係る撮像装置によれば、画像の高周波の模様に応じて、フリッカ検出候補枠の数が増減可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の撮像装置及びそのフリッカ検出方法の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態の撮像装置はデジタルカメラに適用される。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態における撮像装置の構成を示す図である。レンズ101は撮像する映像を撮像素子104に結像させる。アイリス・メカシャッタ102は、入射する光量を制限して明るさを調節するとともに、入射光の開閉を行う。レンズ・アイリス駆動回路103は、レンズ101およびアイリス・メカシャッタ102を駆動する。
【0025】
撮像素子104は、結像した光を光電変換するものであり、CCDセンサやCMOSセンサなどで構成される。CDS・AGC・A/D回路105は、撮像素子104の信号に対し、相関二重サンプリング(CDS)、ゲインコントロールおよびA/D変換を行う。TG(タイミング発生器)106は、撮像素子104やCDS・AGC・A/D回路105に対し、水平・垂直転送パルス、シャッタパルス、サンプルホールド信号、水平・垂直同期信号などを供給する。
【0026】
周波数成分検出回路107は、画面を垂直方向および水平方向の格子状に複数の枠に分割し、それぞれの枠内での垂直方向および水平方向の周波数成分を検出する。なお、検出される周波数成分は、垂直方向および水平方向の少なくとも一方であってもよく、フリッカ検出に有効である。また、検出される周波数成分として、フリッカの検出に関わる周波数成分のうち、例えば、画像中の最大周波数成分であってもよいし、最小周波数成分であってもよい。
【0027】
フリッカ検出回路108は、分割した複数の枠ごとにフリッカ成分を分離して検出する。フリッカ補正回路109は、フリッカ検出回路108によって検出されたフリッカ成分(フリッカ情報)に基づき、画面全体のゲインもしくは画面のラインごとのゲインを変化させるといった動作を行い、フリッカを補正する。
【0028】
信号処理回路110は、フリッカ補正回路109からの画像データを入力し、リサイズ処理、アパーチャ処理、WB処理、色信号処理などを行い、静止画像および動画像を生成する。システムコントローラ111は、レンズ・アイリス駆動回路103、TG106、信号処理回路110などの制御を行う。
【0029】
画像入出力コントローラ112は、記録媒体113を制御し、動画像や静止画像の入出力を行う。記録媒体113は、磁気テープ、光ディスク、メモリカードなどである。パネル・ビデオ出力回路114は、撮像あるいは再生した画像を表示したり、外部に出力する。撮影スイッチ115はユーザが画像記録を指示する際に操作される。
【0030】
図2は周波数成分検出回路107によって複数の枠に分割され、この枠内の周波数成分が一定周波数以下であることが分かるように区別された画面を示す図である。枠301は周波数成分が一定周波数以下のものであり、図中、黒い部分で示される。また、枠302は周波数成分が一定周波数を超えるものであり、図中、白い部分で示される。ここでは、被写体として人物303が含まれる枠は、周波数成分が一定周波数を超える枠302となっている。一方、被写体像として背景あるいは花304が含まれる枠は、周波数成分が一定周波数以下である枠301となっている。一定の周波数としては、例えば、50Hz、60Hzに対応する特定の周波数(100Hz、120Hz)近傍の周波数成分が挙げられる。
【0031】
図3は一定周波数以下の枠の数が図2と異なることが分かるように区別された画面を示す図である。図3では、一定周波数が図2の場合と比べて低く設定されている。従って、図2と比べて、周波数成分が一定周波数以下である枠301の数が少なくなっている。このように、しきい値となる一定周波数はある程度の範囲で可変自在であり、予めあるいは適宜、周波数成分検出回路107に設定される。従って、画像の高周波の模様に応じて、フリッカ検出候補枠の数が増減可能である。また、一定周波数が固定であっても、後述する制御によって、フリッカ検出候補枠の数を増やすことが可能である。
【0032】
図4はフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。この動作はフリッカ検出回路108によって行われる。まず、フリッカ検出回路108は、周波数成分検出回路107により検出された、画面中の分割された1つの枠内の画像の周波数成分を検出する(ステップS1)。フリッカ検出回路108は、枠内の画像から検出した周波数成分と一定以下の周波数とを比較し、検出した周波数成分が一定以下の周波数であるか否かを判別する(ステップS2)。このステップS2の処理は請求項に記載の比較手段に相当する。
【0033】
比較の結果、検出した周波数成分が一定以下の周波数である場合、フリッカ検出回路108は、その枠をフリッカ検出候補枠として決定する(ステップS3)。一方、検出した周波数成分が一定の周波数を超える場合、フリッカ検出回路108は、その枠をフリッカ検出候補枠として設定しない(ステップS4)。
【0034】
この後、フリッカ検出回路108は、分割した全ての枠について、枠内の画像の周波数成分を検出したか否かを判別する(ステップS5)。全ての枠について検出していない場合、フリッカ検出回路108はステップS1の処理に戻る。一方、全ての枠について検出した場合、フリッカ検出回路108は、フリッカ検出候補枠と決定された枠の画像を用い、フリッカの有無およびその周期(フリッカ情報)を検出する(ステップS6)。この後、フリッカ検出回路108は本処理を終了する。
【0035】
フリッカ検出回路108は、この一連の動作を、撮像中に繰り返し行う。そして、検出されたフリッカの有無およびその周期を基に、フリッカ補正回路109は映像信号中のフリッカ補正を行う。
【0036】
第1の実施形態の撮像装置によれば、上記動作によって、被写体の高周波の模様をフリッカと誤判別することなく、フリッカに起因する低周波の明暗縞を精度良く検出することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の撮像装置の構成は前記第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。前記第1の実施形態と異なる動作について説明する。
【0038】
図5は第2の実施形態におけるフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。この動作はフリッカ検出回路108によって行われる。前記第1の実施形態と同一のステップ処理については同一の符号を付すことによりその説明を省略する。すなわち、S1〜S5までの動作は、前記第1の実施形態で説明したとおりである。
【0039】
ステップS5でフリッカ検出候補枠を決定した後、フリッカ検出回路108は、検出候補枠の数が一定数以上(所定値以上)であるか否かを判別する(ステップS5A)。検出候補枠の数が一定数以上であった場合、フリッカ検出回路108は、ステップS6でフリッカの有無およびその周期を検出する。
【0040】
フリッカ検出回路108がこの一連の動作を撮像中に繰り返し行い、フリッカ補正回路109が検出されたフリッカの有無およびその周期を基に映像信号中のフリッカ補正を行うことは、前記第1の実施形態と同様である。
【0041】
第2の実施形態の撮像装置によれば、例えば、検出枠候補の数が少なかった場合、サンプル数不足によるフリッカの誤検出を減少させることができる。
【0042】
[第3の実施形態]
第3の実施形態の撮像装置の構成は前記第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。前記第1の実施形態と異なる動作について説明する。
【0043】
図6は第3の実施形態におけるフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。この動作はフリッカ検出回路108によって行われる。前記第1、第2の実施形態と同一のステップ処理については同一の符号を付すことによりその説明を省略する。すなわち、S1〜S6までの動作は、前記第1、第2の実施形態で説明したとおりである。
【0044】
ステップS5でフリッカ検出候補枠を決定した後、フリッカ検出回路108は、検出候補枠の数が一定数以上であるか否かを判別する(ステップS5A)。検出候補枠の数が一定数以上であった場合、フリッカ検出回路108は、ステップS6でフリッカの有無およびその周期を検出する(ステップS6)。
【0045】
一方、検出候補枠の数が一定数に満たなかった場合、フリッカ検出回路108は、システムコントローラ111にその旨を通知する(ステップS7)。この通知を受けると、システムコントローラ111は、レンズ・アイリス駆動回路103を制御し、アイリスを開放にすると同時にND(Neutral Density)を追加して光量を制限する。あるいは、システムコントローラ111は、TG106を制御し、同時にシャッタ速度を速める。これにより、露出を変えることなく、被写界深度を浅くすることができる。
【0046】
つまり、ピント面以外の距離にある被写体の画像をぼかす。この動作を行うことで、フリッカ検出候補枠から除外されていた枠の高周波成分が除かれる。フリッカ検出回路108が再度この動作を行う際、フリッカ検出候補枠として、高周波成分が除かれたその枠を使用することが可能となる。
【0047】
フリッカ検出回路108がこの一連の動作を撮像中に繰り返し行い、フリッカ補正回路109が検出されたフリッカの有無およびその周期を基に映像信号中のフリッカ補正を行うことは、前記第1の実施形態と同様である。
【0048】
第3の実施形態の撮像装置によれば、フリッカ検出のサンプル数(フリッカ検出候補枠の数)を増加させることができ、フリッカに起因する低周波の明暗縞を精度良く検出することができる。例えば、図3に示すサンプル数(フリッカ検出候補枠の数)では、ステップS5Aの処理によって少ないと判別される場合、ステップS7の通知によってアイリスを開放にすることにより、図2に示すようにサンプル数を増やすことが可能である。
【0049】
[第4の実施形態]
第4の実施形態の撮像装置の構成は前記第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。前記第1の実施形態と異なる動作について説明する。
【0050】
図7は第4の実施形態におけるフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。この動作はフリッカ検出回路108によって行われる。前記第1、第2、第3の実施形態と同一のステップ処理については同一の符号を付すことによりその説明を省略する。すなわち、S1〜S6までの動作は、前記第1、第2の実施形態で説明したとおりである。
【0051】
ステップS5でフリッカ検出候補枠を決定した後、フリッカ検出回路108は、検出候補枠の数が一定数以上であるか否かを判別する(ステップS5A)。検出候補枠の数が一定数以上であった場合、フリッカ検出回路108は、ステップS6でフリッカの有無およびその周期を検出する。
【0052】
一方、検出候補枠の数が一定数に満たなかった場合、フリッカ検出回路108は、システムコントローラ111にその旨を通知する(ステップS7A)。この通知を受けると、システムコントローラ111は、TG106を制御し、シャッタを所定速度より低速に変更し、同時にND(Neutral Density)を追加して光量を制限する。あるいは、システムコントローラ111は、レンズ・アイリス駆動回路103を制御し、同時にアイリスを絞って光量を制限する。これにより、露出を変えることなく、被写体の動体ボケを増加させることができる。
【0053】
この動作を行うことで、フリッカ検出候補枠から除外されていた枠の高周波成分が除かれる。フリッカ検出回路108が再度この動作を行う際、フリッカ検出候補枠として、高周波成分が除かれたその枠を使用することができる。
【0054】
フリッカ検出回路108がこの一連の動作を撮像中に繰り返し行い、フリッカ補正回路109が検出されたフリッカの有無およびその周期を基に映像信号中のフリッカ補正を行うことは、前記第1の実施形態と同様である。
【0055】
第4の実施形態の撮像装置によれば、フリッカ検出のサンプル数を増加させることができ、フリッカに起因する低周波の明暗縞を精度良く検出することが可能となる。
【0056】
[第5の実施形態]
第5の実施形態の撮像装置の構成は前記第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。前記第1の実施形態と異なる動作について説明する。
【0057】
図8は第5の実施形態におけるフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。この動作はフリッカ検出回路108によって行われる。前記第1の実施形態と同一のステップ処理については同一の符号を付すことによりその説明を省略する。すなわち、S1〜S6までの動作は、前記第1の実施形態で説明したとおりである。
【0058】
ステップS5でフリッカ検出候補枠を決定した後、フリッカ検出回路108は、フリッカ検出候補枠が垂直方向に途切れることなく全部揃ったか否かを判別する(ステップS5B)。フリッカ検出候補枠が垂直方向に途切れることなく全部揃った場合、フリッカ検出回路108は、フリッカ検出候補枠と決定された枠の画像のみを用い、フリッカの有無およびその周期(フリッカ情報)を検出する(ステップS6A)。この後、フリッカ検出回路108は本処理を終了する。
【0059】
一方、ステップS5Bで途切れて全部揃わなかった場合、フリッカ検出回路108は、フリッカに起因する明暗縞を精度良く検出できなくなるので、フリッカ検出を行わない。この後、フリッカ検出回路108は本処理を終了する。
【0060】
フリッカ検出回路108がこの一連の動作を撮像中に繰り返し行い、フリッカ補正回路109が検出されたフリッカの有無およびその周期を基に映像信号中のフリッカ補正を行うことは、前記第1の実施形態と同様である。
【0061】
第5の実施形態の撮像装置によれば、フリッカ検出のサンプル数不足による誤検出を防ぐことができる。なお、フリッカ検出候補枠が垂直方向に途切れた場合、前記第3、第4の実施形態のように、露出を維持したままアイリスを開放にしたり、シャッタ速度を遅くしたりしてもよい。これにより、前記第3、第4の実施形態と同様の効果が得られ、フリッカ検出候補枠が垂直方向に途切れる機会を減らすことができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施形態における撮像装置の構成を示す図である。
【図2】周波数成分検出回路107によって複数の枠に分割され、この枠内の周波数成分が一定周波数以下であることが分かるように区別された画面を示す図である。
【図3】一定周波数以下の枠の数が図2と異なることが分かるように区別された画面を示す図である。
【図4】フリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態におけるフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態におけるフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。
【図7】第4の実施形態におけるフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。
【図8】第5の実施形態におけるフリッカ検出動作手順を示すフローチャートである。
【図9】画面中の上下方向の輝度のうねりとして現れるフリッカを示す図である。
【符号の説明】
【0064】
102 アイリス・シャッタ
103 アイリス・シャッタ駆動回路
104 撮像素子
106 TG(タイミング発生器)
107 周波数成分検出回路
108 フリッカ検出回路
109 フリッカ補正回路
111 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子により光学像を光電変換して映像信号を得る撮像装置であって、
前記映像信号を複数の枠の領域に分割し、前記枠内の画像の周波数成分をそれぞれ検出する周波数成分検出手段と、
前記検出された周波数成分と所定の周波数とを比較する比較手段と、
前記比較の結果、前記検出された周波数成分が前記所定の周波数以下であった前記枠内の画像を使用し、フリッカ情報を検出するフリッカ検出手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記検出されたフリッカ情報に基づき、前記映像信号中のフリッカを補正するフリッカ補正手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記フリッカ検出手段は、前記検出された前記枠内の画像の周波数成分が所定の周波数以下であった前記枠の数が所定値以上であった場合、前記フリッカ情報を検出し、一方、前記所定値に満たない場合、前記フリッカ情報を検出しないことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像素子によって撮像される光学像の明るさを調節する絞り手段を備え、
前記検出された前記枠内の画像の周波数成分が所定の周波数以下であった前記枠の数が所定値に満たなかった場合、前記絞り手段を開放にすることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子への入射光の開閉を行うシャッタ手段を備え、
前記検出された前記枠内の画像の周波数成分が所定の周波数以下であった前記枠の数が所定値に満たなかった場合、前記シャッタ手段を所定速度より低速にすることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記検出された前記枠内の画像の周波数成分が所定の周波数以下であった前記枠が垂直方向に途切れることなく揃った場合、前記フリッカ検出手段は、前記フリッカ情報を検出することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項7】
前記検出された前記枠内の画像の周波数成分が所定の周波数以下であった前記枠が垂直方向に途切れて揃わなかった場合、前記絞り手段を開放にすることを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項8】
前記検出された前記枠内の画像の周波数成分が所定の周波数以下であった前記枠が垂直方向に途切れて揃わなかった場合、前記シャッタ手段を所定速度より低速にすることを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項9】
前記検出される周波数成分は、垂直方向および水平方向の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項10】
前記所定の周波数は可変自在であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
撮像素子により光学像を光電変換して映像信号を得る撮像装置のフリッカ検出方法であって、
前記映像信号を複数の枠の領域に分割し、前記枠内の画像の周波数成分をそれぞれ検出する周波数成分検出ステップと、
前記検出された周波数成分と所定の周波数とを比較する比較ステップと、
前記比較の結果、前記検出された周波数成分が前記所定の周波数以下であった前記枠内の画像を使用し、フリッカ情報を検出するフリッカ検出ステップとを有することを特徴とする撮像装置のフリッカ検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−194835(P2009−194835A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36034(P2008−36034)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】