説明

撮像装置及びその制御方法、並びにプログラム

【課題】露出の異なる複数枚の画像を合成して合成画像を生成するために要する処理の負荷を低減する。
【解決手段】撮像装置100は、被写体を、異なる複数の露出条件を一度ずつ用いて予め定められた間隔で連続して撮像する連続撮像を複数回に渡り行うことが可能な撮像手段と、撮像手段により、複数回に渡り連続撮像を行う場合、2回目以降の連続撮像では、連続撮像における最初の撮像での露出条件を、前に行われた連続撮像における最後の露出条件と一致させるように撮像手段を制御する制御手段と、撮像手段による連続撮像ごとに得られた複数の画像を1つの画像に合成する合成手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、複数の画像を合成して1つの画像を生成する撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDやCMOS等の固体撮像素子を用いたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラが数多く開発されている。
【0003】
これらのカメラにおける撮影画像のダイナミックレンジは、通常、固体撮像素子のもつダイナミックレンジ性能に依存されることとなる。そのため逆光をはじめとする主被写体と背景の明暗差が大きい条件などでは、主被写体を適正露出に調整しても、背景には白とびや黒つぶれ等が発生してしまっていた。
【0004】
このような課題に対応するため、複数画像合成によるダイナミックレンジ拡大手法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
これは画面の領域毎に、露出条件の異なる複数の画像から被写体のコントラストが残存している部分を有効に活用した画像処理を施すことによって、撮影画像の実質的なダイナミックレンジを拡大するものである。
【0006】
このような技術は、従来静止画像に対して行うものが主であったが、撮像素子からの読み出し速度の高速化に伴い動画に対して施すことも活発に行われている。
【0007】
動画において、複数画像合成を行うダイナミックレンジ拡大手法における、露出条件の異なる複数の画像の取得方法について説明する。
【0008】
図7は、一般的なダイナミックレンジ拡大手法の複数画像の取得方法を示す撮像素子駆動タイミングチャートである。
【0009】
図7において、出力同期信号は、複数画像合成後の画像を出力するタイミングを表す同期信号であり、この周期が画像出力のフレームレートに対応している。また撮影同期信号は、1フレームの画像を撮影するタイミングを表す同期信号であり、この周期が画像撮影のフレームレートに対応している。この例では、出力同期信号の周期は撮影同期信号の周期の2倍の周期となっている。
【0010】
撮影画像及び合成後出力画像は撮影及び生成タイミングを示す概念図として表現しており、高露出画像をHigh、低露出画像をLow、合成後のダイナミックレンジ拡大画像をHDRとしている。また、露出切り替え処理負荷が発生するタイミングを概念図であらわしている。
【0011】
同図に示される取得方法では、時刻T1のタイミングで、自動露出(AE)処理から得られる被写体の適正露出条件を元に、適正露出条件よりプラス1段の高露出の条件を算出し、その条件で高露出画像の撮影を行う。
【0012】
このとき、図に示される通りの露出切り替え処理が生じることとなる。この露出切り替え処理負荷は、CPUの計算処理等に加え、撮像素子の露光時間の切り替え指示、信号増幅量の切り替え指示、絞り値変更指示等に要する処理負荷や、それに伴う撮像素子や絞り機構の動作等を意味している。
【0013】
続く時刻T2のタイミングで、適正露出条件よりマイナス1段の低露出の条件を算出し、その条件で低露出画像の撮影を行う。このときにも図示の通り露出切り替え処理負荷が生じることとなる。
【0014】
続く時刻T3のタイミングで、2フレーム前に撮影した高露出画像と1フレーム前に撮像した低露出画像から生成されたダイナミックレンジ拡大画像を動画像として出力する。これと同時に、時刻T1の時と同様に露出切り替え処理と次フレームの高露出画像の撮影を行う。
【0015】
以上の様に、出力動画像のフレームレートの倍の速度で高露出と低露出の画像撮影を切り替える動作を繰り返し、ダイナミックレンジ拡大画像を生成するための複数画像を取得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特公平07−97841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した従来技術では、合成画像同士の露光時刻のずれを縮小化するため、可能な限り高速の読み出しが求められている。そのため、合成する画像処理の負荷などといった課題と同様に、高速の読み出しに伴う制御、特に高速の読み出しに対応した露出切り替え処理がCPU処理等の各種処理負荷を圧迫することとなる。
【0018】
本発明の目的は、露出の異なる複数枚の画像を合成して合成画像を生成するために要する処理の負荷を低減した撮像装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、請求項1の撮像装置は、被写体を、異なる複数の露出条件を一度ずつ用いて予め定められた間隔で連続して撮像する連続撮像を複数回に渡り行うことが可能な撮像手段と、前記撮像手段により、複数回に渡り連続撮像を行う場合、2回目以降の連続撮像では、当該連続撮像における最初の撮像での露出条件を、前に行われた連続撮像における最後の露出条件と一致させるように前記撮像手段を制御する制御手段と、前記撮像手段による連続撮像ごとに得られた複数の画像を1つの画像に合成する合成手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、露出の異なる複数枚の画像を合成して合成画像を生成するために要する処理の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるシステム制御回路により実行される撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】複数画像合成後の画像を出力するタイミングを表す撮像素子駆動タイミングチャートである。
【図4】図1におけるシステム制御回路により実行される撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図1におけるシステム制御回路により実行される撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】複数画像合成後の画像を出力するタイミングを表す撮像素子駆動タイミングチャートである。
【図7】一般的なダイナミックレンジ拡大手法の複数画像の取得方法を示す撮像素子駆動タイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置100の概略構成を示す図である。
【0024】
図1において、撮影レンズ110は被写体像を撮像素子120に導く。この撮影レンズ110を1つのレンズとして表しているが、実際にはフォーカスレンズやズームレンズ等、複数のレンズから構成されている。また、絞り機構もここに含まれる。
【0025】
レンズ制御部111はシステム制御回路180による制御に基づいて、撮影レンズ110のフォーカスやズーム、絞りを制御する。
【0026】
撮像素子120は、光電変換により入射光量に応じた電荷を生成して出力するCMOSセンサであり、全画素の信号を読み出す以外に、特定の画素の加算および特定の行または列おきに間引いて電荷を読み出すこともできる。
【0027】
撮像素子駆動回路121は、システム制御回路180による制御に基づいて撮像素子120を駆動する。この撮像素子駆動回路121の制御に基づいて、撮像素子120の撮影時露光時間や信号増幅量などを変更することができる。
【0028】
撮像素子120から出力された画像信号は、ダイナミックレンジ拡大回路200を内包する画像処理回路130に取り込まれる。ダイナミックレンジ拡大回路200は予めメモリ部140に保存された高露出画像及び低露出画像を用いてダイナミックレンジ拡大画像を生成する機能を備えている。このダイナミックレンジ拡大回路200は、撮像手段による連続撮像ごとに得られた複数の画像を1つの画像に合成する合成手段に対応する。
【0029】
また、動き検出回路210は、被写体の移動量を検出する検出手段に対応し、必要に応じてフレーム及びその前のフレームの画像から主被写体の動き量を検出する処理を行い、処理結果をシステム制御回路180に伝達することが出来る。
【0030】
画像処理回路130は、画像信号をデジタル変換するとともにガンマ処理、色信号処理などの各種信号処理を行い、画像データを出力する。この処理では、画像信号をメモリ部140との間で書き込み/読み出し処理をしている。また、画像処理回路130の出力はLCD150にて表示することも可能となっている。
【0031】
画像処理回路130で画像処理により出力された画像データは、画像変換回路160を介して圧縮され、メモリカード170に書き込まれ、記録される。
【0032】
画像変換回路160は、画像処理回路130からの画像データを圧縮してメモリカード170へ出力する機能と、メモリカード170より読み出した画像データを伸長して画像処理回路130へ出力する機能とを有する。
【0033】
また、システム制御回路180は、画像処理回路130から出力された画像データを用いて、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のオートフォーカス(AF)処理、自動露出(AE)処理、フラッシュプリ発光(EF)処理等を行う。
【0034】
なお、システム制御回路180は、画像撮影時の露出条件について、自動露出(AE)処理の結果やダイナミックレンジ拡大に必要な条件などから任意の条件を算出し、レンズ制御部111や撮像素子駆動回路121に制御指示をすることができる。
【0035】
また、操作部190は、例えば、レリーズ釦やモード切り換えダイヤルなど、撮影者が撮像装置100に指示を入力するための操作部であり、入力内容はシステム制御回路180に通知される。
【0036】
上記撮像レンズ110、レンズ制御部111、撮像素子120、及び撮像素子駆動回路121が、撮像手段に対応する。
【0037】
図2は、図1におけるシステム制御回路180により実行される撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0038】
図3は、複数画像合成後の画像を出力するタイミングを表す撮像素子駆動タイミングチャートである。
【0039】
図2において、1フレームを生成するために撮影する2枚の画像のうち1枚目を1stフレーム、2枚目を2ndフレームと呼ぶ。また、図3では、1stフレームを1st、2ndフレームを2ndとしている。
【0040】
図3において、出力同期信号は、複数画像合成後の画像を出力するタイミングを表す同期信号であり、この周期が画像出力のフレームレートに対応している。また撮影同期信号は、1フレームの画像を撮影するタイミングを表す同期信号であり、この周期が画像撮影のフレームレートに対応している。従って、撮像装置100は、予め定められた間隔で連続して撮像する連続撮像を複数回に渡り行うことが可能となっている。この例では、出力同期信号の周期は撮影同期信号の周期の2倍の周期となっている。図3において、連続撮像は、異なる複数の露出条件(High,Low)を一度ずつ用いて予め定められた間隔で連続して撮像するものである。従って、連続撮像は、出力同期信号1周期で1回だけ行われることとなる。
【0041】
なお、撮影画像及び合成画像は撮影及び生成タイミングを示す概念図として表しており、高露出画像をHigh、低露出画像をLow、合成後のダイナミックレンジ拡大画像をHDRとして表記している。また、露出切り替え処理負荷も発生するタイミングも示されている。
【0042】
これら図2、及び図3を用いて、本実施の形態での1フレームの画像の撮像方法について説明する。
【0043】
時刻T1において、前フレームと同じ露出条件にて1stフレームの撮影を行い、撮影画像をメモリ部140に保存する(ステップS201)。
【0044】
続く時刻T2において、システム制御回路180は、自動露出(AE)処理から得られる被写体の適正露出条件を算出する(ステップS202)。この適正露出条件は、被写体の明るさ、及び撮像素子120の感度によって定まる。以下の説明で用いられる適正露出条件も同じ意味である。
【0045】
上記ステップS201において撮像された1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件であるか否か判別する(ステップS203)。
【0046】
ステップS203の判別の結果、1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件のとき(ステップS203でYES)、露出条件を適正露出条件+1段とした高露出条件に変更し(ステップS204)、ステップS206に進む。
【0047】
一方、1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件ではないとき(ステップS203でNO)、露出条件を適正露出条件−1段とした低露出条件に変更し(ステップS205)、ステップS206に進む。このように、露出条件は、適正露出条件に応じた露出条件である。
【0048】
ステップS204及び205で変更された露出条件は、システム制御回路180からレンズ制御部111及び撮像素子駆動回路121に指示される。
【0049】
次いで、変更された露出条件にて2ndフレームを撮像し(ステップS206)、撮影画像をメモリ部140に保存する。
【0050】
続いて時刻T3において、メモリ部140の高露出画像及び低露出画像を用い、ダイナミックレンジ拡大回路200にて合成処理を行い、1フレームのダイナミックレンジ拡大画像を生成する(ステップS207)。
【0051】
次いで、ステップS207にて生成された1フレームの画像に画像処理回路130の各画像処理を施し、出力画像としてメモリカード170に保存するとともにLCD150に表示し(ステップS208)、本処理を終了する。
【0052】
なお、高露出画像と低露出画像を利用したダイナミックレンジ合成処理方法は、特許文献1をはじめ一般的な方法であるため詳細については省略する。
【0053】
上記撮像処理に示される処理を毎フレーム行うことで動画像の撮影及び保存を行っている。
【0054】
図2に示される処理の場合、あるフレームでは1stフレームが高露出で2ndフレームが低露出になるのに対し、その次のフレームでは1stフレームが低露出で2ndフレームが高露出になる。しかしこの違いはダイナミックレンジ拡大回路200で各画像の合成処理を行うのに何ら障害とはならない。
【0055】
上記に示した通り、本実施の形態における撮像処理ではステップS201にて前フレームと同じ露出条件を用いた撮影とすることにより、従来技術と比較して露出条件の切り替えを削減することが出来ている。
【0056】
なお、本実施の形態では説明を簡単にするため高露出、低露出の露出条件をそれぞれプラス1段、マイナス1段としたが、適宜変更しても同様の効果が期待できることは言うまでもない。
【0057】
また、図2の撮像処理のうち、ステップS201〜ステップS206が制御手段に対応する。そして、図2の撮像処理によれば、複数回に渡り連続撮像を行う場合、2回目以降の連続撮像では、当該連続撮像における最初の撮像での露出条件を、前に行われた連続撮像における最後の露出条件と一致させるように撮像手段を制御する。その結果、(High,Low)、(High,Low)・・として撮像する場合と比較して、露出条件の切り換えを低減できるので、露出の異なる複数枚の画像を合成して合成画像を生成するために要する処理の負荷を低減することができる。
【0058】
本実施の形態によれば、露出の異なる複数枚の画像を合成してダイナミックレンジ拡大画像を生成する動画システムにおいて、撮影時の露出切り替えの周期を低減した撮像装置を提供することができる。
【0059】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、例えば高露出画像にて白とびし、低露出画像にて鮮明な被写体像が撮像された場合、図3のように低露出画像が等間隔となってないときは、被写体が高速に移動する際に動きの滑らかさが損なわれることを回避するための実施の形態である。
【0060】
そのため、第2の実施の形態は、被写体の動きが小さいときには第1の実施の形態と同様に露出切り替え処理を低減する一方、被写体の動きが大きいときには高露出画像、低露出画像の撮影タイミングを等間隔となるように撮影シーケンスを切り替える。
【0061】
前者は図3に示すタイミングチャート、後者は図7に示すタイミングチャートの通りとなる。また、第2の実施の形態においても、撮像装置100の構成は、図1に示した構成と同じ構成となっている。
【0062】
図4は、図1におけるシステム制御回路180により実行される撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0063】
時刻T1において、前フレームの画像及び前々フレームの画像を動き検出回路210に入力し、主被写体の移動量Mを算出する(ステップS501)。移動量Mは、フレーム間で主被写体のエッジ部にあたる座標の差分を積算し、求められる値である。動き量の検出に関しては一般的な技術であるので詳細は省略する。
【0064】
次いで、移動量Mが予め定められた閾値Th未満か否か判別する(ステップS502)。ステップS502の判別の結果、移動量Mが閾値Th未満のとき(ステップS502でYES)、動きが微少であると判断し、前フレームと同じ露出条件にて1stフレームの撮影を行い、撮影画像をメモリ部140に保存する(ステップS503)。
【0065】
続く時刻T2において、システム制御回路180は、自動露出(AE)処理から得られる被写体の適正露出条件を算出する(ステップS504)。
【0066】
上記ステップS503において撮像された1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件であるか否か判別する(ステップS505)。
【0067】
ステップS505の判別の結果、1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件のとき(ステップS505でYES)、露出条件を適正露出条件+1段とした高露出条件に変更し(ステップS507)、ステップS508に進む。
【0068】
一方、1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件ではないとき(ステップS505でNO)、露出条件を適正露出条件−1段とした低露出条件に変更し(ステップS506)、ステップS508に進む。
【0069】
ステップS506及び507で変更された露出条件は、システム制御回路180からレンズ制御部111及び撮像素子駆動回路121に指示される。
【0070】
次いで、変更された露出条件にて2ndフレームを撮像し(ステップS508)、撮影画像をメモリ部140に保存する。
【0071】
続いて時刻T3において、メモリ部140の高露出画像及び低露出画像を用い、ダイナミックレンジ拡大回路200にて合成処理を行い、1フレームのダイナミックレンジ拡大画像を生成する(ステップS509)。
【0072】
次いで、ステップS509にて生成された1フレームの画像に画像処理回路130の各画像処理を施し、出力画像としてメモリカード170に保存するとともにLCD150に表示し(ステップS510)、本処理を終了する。
【0073】
一方、移動量Mが閾値Th以上のとき(ステップS502でNO)、システム制御回路180は自動露出(AE)処理から得られる被写体の適正露出条件を算出する(ステップS511)。
【0074】
次いで、露出条件を適正露出条件+1段の高露出の条件を算出してこれに変更し(ステップS512)、その露出条件をレンズ制御部111及び撮像素子駆動回路121に指示する。
【0075】
次いで、変更した露出条件にて1stフレームを撮像し(ステップS513)、撮像画像をメモリ部140に保存する。
【0076】
続く時刻T2において、露出条件を適正露出条件−1段の低露出の条件を算出してこれに変更し(ステップS514)、その露出条件をレンズ制御部111及び撮像素子駆動回路121に指示する。
【0077】
この露出条件にて2ndフレームを撮像し(ステップS515)、撮影画像をメモリ部140に保存して、上述したステップS509に進む。
【0078】
上述したように、図4の処理では主被写体の動きが小さいときには露出切り替え処理を低減することが出来る。一方で主被写体の動きが大きいときには、高露出画像及び低露出画像の撮影タイミングが等間隔となるように露出切り替えを行うことで、出力動画像における主被写体の動きを滑らかにすることが可能となる。
【0079】
図4の撮像処理のうち、ステップS503〜ステップS508が、制御手段に対応する。また、ステップS511〜ステップS515が他の制御手段に対応する。そして、図4の撮像処理によれば、検出された移動量が、予め定められた閾値未満の場合には、制御手段による制御を行う。一方、検出された移動量が、予め定められた閾値以上の場合には、同一の露出条件による撮像が等間隔で行われるように撮像手段を制御する。
【0080】
本実施の形態によれば、被写体の動きが小さいときは撮像時の露出切り替えの周期を低減しつつ、動きが大きいときはその滑らかさを損なうことなくダイナミックレンジ拡大画像を生成することができる。
【0081】
[第3の実施の形態]
本実施の形態は、第1の実施の形態における出力同期信号の周期が撮影同期信号の周期の2倍の周期であったのに対し、3倍の周期となっている場合の実施の形態である。この場合、撮影時の露出切り替えの周期を低減しつつ、適正露出となる画像の撮影タイミングを等間隔となる。その結果、被写体が高速に移動する際も動きの滑らかさを損なわないようにすることができる。
【0082】
図5は、図1におけるシステム制御回路180により実行される撮像処理の手順を示すフローチャートである。
【0083】
図6は、複数画像合成後の画像を出力するタイミングを表す撮像素子駆動タイミングチャートである。
【0084】
図6において、出力同期信号は、複数画像合成後の画像を出力するタイミングを表す同期信号であり、この周期が画像出力のフレームレートに対応している。また撮影同期信号は、1フレームの画像を撮影するタイミングを表す同期信号であり、この周期が画像撮影のフレームレートに対応している。この例では、出力同期信号の周期は撮影同期信号の周期の3倍の周期となっている。
【0085】
図5において、1フレームを生成するために撮像する3枚の画像のうち1枚目を1stフレーム、2枚目を2ndフレーム、3枚目を3rdフレームと呼ぶ。また、図6では、1stフレームを1st、2ndフレームを2nd、3rdフレームを3rdとしている。
【0086】
さらに、図6において、撮像画像及び合成画像は撮像及び生成タイミングを示す概念図としてあらわしており、高露出画像をHigh、適正露出画像をMid、低露出画像をLow、合成後のダイナミックレンジ拡大画像をHDRとして表記している。また、露出切り替え処理負荷も発生するタイミングも示されている。
【0087】
時刻T1において、前フレームと同じ露出条件にて1stフレームの撮影を行い(ステップS601)、撮影画像をメモリ部140に保存する。
【0088】
続く時刻T2において、システム制御回路180は自動露出(AE)処理から得られる被写体の適正露出条件を算出する(ステップS602)。この適正露出条件を露出条件に変更するようにレンズ制御部111及び撮像素子駆動回路121に指示する(ステップS603)。
【0089】
この適正露出条件にて2ndフレームを撮像し(ステップS604)、撮影画像をメモリ部140に保存する。
【0090】
続く時刻T3において、上記ステップS601において撮像された1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件であるか否か判別する(ステップS605)。
【0091】
ステップS605の判別の結果、1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件のとき(ステップS605でYES)、露出条件を適正露出条件+1段とした高露出条件に変更し(ステップS606)、ステップS608に進む。
【0092】
一方、1stフレームの撮像時露出条件が低露出条件ではないとき(ステップS605でNO)、露出条件を適正露出条件−1段とした低露出条件に変更し(ステップS607)、ステップS608に進む。
【0093】
ステップS606及び607で変更された露出条件は、システム制御回路180からレンズ制御部111及び撮像素子駆動回路121に指示される。
【0094】
次いで、変更された露出条件にて3rdフレームを撮像し(ステップS608)、撮影画像をメモリ部140に保存する。
【0095】
続いてT4において、メモリ部140の高露出画像、適正露出画像及び低露出画像を用い、ダイナミックレンジ拡大回路200にて合成処理を行い、1フレームのダイナミックレンジ拡大画像を生成する(ステップS609)。
【0096】
次いで、ステップS609にて生成された1フレームの画像に画像処理回路130の各画像処理を施し、出力画像としてメモリカード170に保存するとともにLCD150に表示し(ステップS610)、本処理を終了する。
【0097】
なお、高露出画像と低露出画像を利用したダイナミックレンジ合成処理方法は、特許文献1をはじめ一般的な方法であるため詳細については省略する。
【0098】
上記撮像処理に示される処理を毎フレーム行うことで動画像の撮影及び保存を行っている。
【0099】
本実施の形態における撮像処理ではステップS601にて前フレームと同じ露出条件を用いた撮影とすることにより、従来技術と比較して露出条件の切り替えを削減することが出来ている。
【0100】
なお、本実施の形態では説明を簡単にするため高露出、低露出の露出条件をそれぞれプラス1段、マイナス1段としたが、適宜変更しても同様の効果が期待できることは言うまでもない。
【0101】
本実施の形態によれば、露出の異なる複数枚の画像を合成してダイナミックレンジ拡大画像を生成する動画システムにおいて、撮像時の露出切り替えの周期を低減し、さらに被写体の動きの滑らかさを損なわない撮像装置を提供することができる。
【0102】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータはがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【符号の説明】
【0103】
100 撮像装置
110 レンズ
111 レンズ制御部
120 撮像素子
121 撮像素子駆動回路
130 画像処理回路
140 メモリ部
160 画像変換回路
170 メモリカード
200 ダイナミックレンジ拡大回路
210 動き検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を、異なる複数の露出条件を一度ずつ用いて予め定められた間隔で連続して撮像する連続撮像を複数回に渡り行うことが可能な撮像手段と、
前記撮像手段により、複数回に渡り連続撮像を行う場合、2回目以降の連続撮像では、当該連続撮像における最初の撮像での露出条件を、前に行われた連続撮像における最後の露出条件と一致させるように前記撮像手段を制御する制御手段と、
前記撮像手段による連続撮像ごとに得られた複数の画像を1つの画像に合成する合成手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記被写体の移動量を検出する検出手段をさらに備え、
前記検出手段により検出された移動量が、予め定められた閾値未満の場合には、前記制御手段による制御を行い、
前記検出手段により検出された移動量が、予め定められた閾値以上の場合には、同一の露出条件による撮像が等間隔で行われるように前記撮像手段を制御する他の制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記露出条件は、被写体の明るさ、及び前記撮像手段に設けられた撮像素子の感度によって定まる適正露出条件に応じた露出条件であることを特徴する請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体を、異なる複数の露出条件を一度ずつ用いて予め定められた間隔で連続して撮像する連続撮像を複数回に渡り行うことが可能な撮像手段を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像手段により、複数回に渡り連続撮像を行う場合、2回目以降の連続撮像では、当該連続撮像における最初の撮像での露出条件を、前に行われた連続撮像における最後の露出条件と一致させるように前記撮像手段を制御する制御ステップと、
前記撮像手段による連続撮像ごとに得られた複数の画像を1つの画像に合成する合成ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
被写体を、異なる複数の露出条件を一度ずつ用いて予め定められた間隔で連続して撮像する連続撮像を複数回に渡り行うことが可能な撮像手段を備えた撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記撮像手段により、複数回に渡り連続撮像を行う場合、2回目以降の連続撮像では、当該連続撮像における最初の撮像での露出条件を、前に行われた連続撮像における最後の露出条件と一致させるように前記撮像手段を制御する制御ステップと、
前記撮像手段による連続撮像ごとに得られた複数の画像を1つの画像に合成する合成ステップと
を備えたことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−70234(P2013−70234A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207293(P2011−207293)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】