説明

撮像装置及びストリーキング補正方法

【課題】ストリーキングの補正精度を向上可能な撮像装置及びストリーキング補正方法等を提供すること。
【解決手段】撮像装置は、画素配列部2と、垂直走査部5と、列処理部6と、を含む。画素配列部2は、有効領域VRと、第1遮光領域OB1と、第2遮光領域OB2と、を有する。列処理部6は、第1列処理部CL1と、第2列処理部CL2と、を有する。第1列処理部CL1は、有効領域VR及び第1遮光領域OB1の画素からの画素信号を処理する。第2列処理部CL2は、第2遮光領域OB2の画素からの画素信号を処理する。第1列処理部CL1及び第2列処理部CL2に対して電源電圧を供給する電源ライン及び接地電圧を供給する接地ラインは、それぞれ異なる電源ラインVL1、VL2及び接地ラインGL1、GL2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びストリーキング補正方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置には、光学像を電気信号に変換する撮像素子が搭載されている。近年では、CCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)型の撮像素子から、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor、相補型金属酸化膜半導体)型の撮像素子への置き換えが加速しつつある。
【0003】
CMOS型撮像素子は、撮像面に2次元状に配列された多数の画素の電荷を順次読み出すようになっている。その配列画素の列毎に信号増幅機能やA/D(Analog to Digital)変換機能を持たせた回路を、素子上に搭載したCMOS型撮像素子が、各種報告されている。
【0004】
これらの撮像素子を利用した撮像装置において、高輝度被写体(例えば、強力なスポット光)を撮像した場合、撮像された画像データにストリーキングが生じる場合がある。このストリーキングは、画像データにおいて高輝度被写体の左右に発生し、水平方向に帯状のデータを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−130331号公報
【特許文献2】特開2008−236271号公報
【特許文献3】特開2008−17155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のストリーキングは、画像データにおけるノイズ成分であり、著しく画質を劣化させる要因となり得る。そのため、何らかの補正手段を用いて信号処理を施すことにより、ストリーキングを軽減する必要があるという課題がある。
【0007】
例えば特許文献1には、撮像面を遮光した水平遮光部を撮像素子に設け、その水平遮光部が出力する信号の変動分を検出することで、ストリーキング成分の減算を行う手法が開示されている。
【0008】
しかしながら、この手法では、一旦、撮像素子を遮光して水平遮光部の信号レベルを取得し、次に被写体を撮像して水平遮光部の信号レベルを取得し、これらの信号レベルからストリーキング成分を抽出する必要がある。そのため、撮像シーケンスが複雑化し、補正処理レスポンスが遅くなることで、撮像装置の操作性という観点で課題が残る。
【0009】
また特許文献2には、垂直遮光部の信号レベルを基準として、水平遮光部の信号に現れるストリーキング成分を検出し、そのストリーキング成分の補正を行う手法が開示されている。
【0010】
しかしながら、この手法では、垂直遮光部の信号レベルを基準として水平遮光部の信号に現れるストリーキング成分を検出するため、撮像素子の水平シェーディング特性の影響を強く受ける可能性がある。そのため、ストリーキング成分の検出精度が劣化する可能性がある。
【0011】
また特許文献3には、撮像素子内部に設けられた列処理回路において、電源ライン及び接地ラインのインピーダンス設計を最適化し、ストリーキングの発生を抑制する手法が開示されている。
【0012】
しかしながら、この手法では、列処理回路における電源ライン及び接地ラインのインピーダンスが最適化されることにより、ストリーキングノイズ抑圧の理想形態に近づくが、製造上の観点で特性の不均一性を考慮した場合には、各インピーダンスを精度良く管理することは困難である。
【0013】
本発明の幾つかの態様によれば、ストリーキングの補正精度を向上可能な撮像装置及びストリーキング補正方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、複数の画素が行列状に配列され、撮像光学系により結像された被写体像を受光する有効領域と、遮光された複数列の画素により構成される第1遮光領域と、遮光された複数列の画素により構成される第2遮光領域と、を有する画素配列部と、前記画素配列部の行を順次選択する垂直走査部と、選択された前記行における各列の画素からの画素信号を処理し、処理後の前記画素信号を行信号として出力する列処理部と、を備え、前記列処理部は、前記有効領域及び前記第1遮光領域の画素からの前記画素信号を処理する第1列処理部と、前記第2遮光領域の画素からの前記画素信号を処理する第2列処理部と、を有し、前記第1列処理部及び前記第2列処理部に対して電源電圧を供給する電源ライン及び接地電圧を供給する接地ラインは、それぞれ異なる電源ライン及び接地ラインである撮像装置に関係する。
【0015】
本発明の一態様によれば、有効領域及び第1遮光領域からの画素信号を処理する第1列処理部と、第2遮光領域からの画素信号を処理する第2列処理部には、それぞれ独立した電源ラインにより電源電圧が供給される。また、第1列処理部と第2列処理部には、それぞれ独立した接地ラインにより接地電圧が供給される。これにより、ストリーキングの補正精度を向上することが可能になる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記第1遮光領域信号のM行分を平均化する処理を行って第1M行平均化信号を出力する第1平均化処理部と、前記第2遮光領域信号のM行分を平均化する処理を行って第2M行平均化信号を出力する第2平均化処理部と、前記第1M行平均化信号と前記第2M行平均化信号に基づいて、前記第1遮光領域信号におけるストリーキングを検出するストリーキング検出部と、前記ストリーキングの検出結果に基づいて、前記ストリーキングを補正するストリーキング補正部と、を備えてもよい。
【0017】
また本発明の一態様では、前記第1平均化処理部は、前記第1遮光領域信号の、前記M行よりも大きいN行分を平均化したN行平均化信号と、前記第1M行平均化信号と、を出力し、前記ストリーキング検出部は、前記ストリーキングの開始行と終了行を検出し、前記ストリーキング補正部は、前記開始行から所定行数が経過するまでのストリーキング開始領域、及び前記終了行から所定行数が経過するまでのストリーキング終了領域において、前記第1M行平均化信号を選択し、前記ストリーキング開始領域の終わりから前記ストリーキング終了領域の始まりまでの領域において、前記N行平均化信号を選択する選択部と、前記選択された信号を基準信号として、前記有効領域信号に対してクランプ処理を行うクランプ処理部と、を有してもよい。
【0018】
また本発明の一態様では、前記ストリーキング検出部は、前記第1M行平均化信号と前記第2M行平均化信号の差分信号においてエッジを検出するエッジ検出部と、前記検出されたエッジから、前記ストリーキングの開始エッジ及び終了エッジであるか否かを判定することで、前記開始行と前記終了行とを検出するストリーキング判定部と、を有してもよい。
【0019】
また本発明の一態様では、前記ストリーキング判定部は、前記エッジが検出された後の所定の判定領域において、前記差分信号が第1所定値以上である場合、前記エッジが前記ストリーキングの開始エッジであると判定し、前記エッジが検出された後の所定の判定領域において、前記差分信号が前記第1所定値よりも小さい第2所定値以下である場合、前記エッジが前記ストリーキングの終了エッジであると判定してもよい。
【0020】
また本発明の他の態様は、複数の画素が行列状に配列された画素配列部が、撮像光学系により結像された被写体像を受光する有効領域と、遮光された複数列の画素により構成される第1遮光領域と、遮光された複数列の画素により構成される第2遮光領域と、で構成され、前記第1遮光領域に対応する行信号である第1遮光領域信号のM行分を、平均化する処理を行って、第1M行平均化信号を出力し、前記第2遮光領域に対応する行信号である第2遮光領域信号のM行分を、平均化する処理を行って、第2M行平均化信号を出力し、前記第1M行平均化信号と前記第2M行平均化信号に基づいて、前記有効領域に対応する行信号である有効領域信号におけるストリーキングを検出し、前記ストリーキングの検出結果に基づいて、前記ストリーキングを補正するストリーキング補正方法に関係する。
【0021】
また本発明の他の態様では、前記第1遮光領域信号の、前記M行よりも大きいN行分を平均化する処理を行ってN行平均化信号を出力し、前記ストリーキングの開始行と終了行を検出し、前記開始行から所定行数が経過するまでのストリーキング開始領域及び前記終了行から所定行数が経過するまでのストリーキング終了領域において、前記第1M行平均化信号を選択し、前記ストリーキング開始領域の終わりから前記ストリーキング終了領域の始まりまでの領域において、前記N行平均化信号を選択し、前記選択された信号を基準信号として、前記有効領域信号に対してクランプ処理を行うことにより、前記ストリーキングを補正してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の撮像装置に対する比較構成例。
【図2】比較構成例の撮像装置により高輝度被写体を撮像した場合に取得される画像データの例。
【図3】図3(A)〜図3(D)は、比較構成例の撮像装置におけるストリーキング補正についての説明図。
【図4】比較構成例の撮像装置におけるストリーキング補正についての説明図。
【図5】本実施形態の固体撮像装置の構成例。
【図6】本実施形態の水平信号処理部の構成例。
【図7】水平信号処理部が行う処理のフローチャート。
【図8】図8(A)、図8(B)は、本実施形態の撮像装置により高輝度被写体を撮像した場合に取得される画像データの例。
【図9】図9(A)〜図9(D)は、本実施形態の撮像装置におけるストリーキング補正についての説明図。
【図10】撮像装置の第1の変形構成例。
【図11】撮像装置の第2の変形構成例。
【図12】撮像装置の第3の変形構成例。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0024】
1.比較構成例
従来の撮像装置により高輝度の被写体を撮影すると、画像の水平方向に帯状のノイズ(ストリーキング)を生じる場合がある。本実施形態では、ストリーキングを過不足なく補正することが可能であり、また、その補正によるS/N低下を抑制することが可能である。まず、本実施形態を説明する前にストリーキングについて説明する。
【0025】
図1に、本実施形態の撮像装置に対する比較構成例を示す。図1に示す固体撮像装置1は、画素配列部2(撮像面)、垂直走査部5、列処理部6、水平走査部8、電源端子9、接地端子11、出力端子13を含む。
【0026】
画素配列部2には、遮光領域OBと有効領域VRが設けられており、遮光領域OBは、画素配列の垂直方向を長辺とする領域である。垂直走査部5により選択された行の画素信号SB、SVRが列処理部6により処理され、処理後の信号が水平走査部8に入力される。列処理部6には、各列に対応して、それぞれ処理回路が設けられており、その処理回路が各列の画素信号を処理する。これら各列の処理回路には、共通の電源電圧VDD1及び接地電圧GNDが、電源端子9及び接地端子11を介して供給される。水平走査部8は、各行の画素信号を行信号OUTに変換し、行信号OUTを出力端子13から出力する。
【0027】
図2に、比較構成例の撮像装置により、矩形状の強力な高輝度(ハイライト)被写体を撮像した場合に取得される画像データの例を示す。図2において、61は有効領域VRの暗部領域データを示し、62は有効領域VRの高輝度領域のデータを示し、65は有効領域VRのストリーキングデータを示し、67は遮光領域データを示し、68は遮光領域OBのストリーキングデータを示す。
【0028】
例えば、図2のA1に示す列に注目すると、有効領域VRの高輝度領域62を撮影する画素では、画素回路部で光電変換された信号は高レベルの信号となる。この高レベルの信号は、列処理部6に入力され、列処理部6の増幅回路などにより更に大きなレベルの信号に変換される。この際、65や68に示すようにストリーキングが発生する。
【0029】
ストリーキング発生の主な要因は、列処理部6の電源ライン及び接地ラインが持つ内部抵抗成分により、電源電圧VDD1の降下や接地電圧GNDの上昇が起きることにある。例えば、高輝度被写体の撮像信号が列処理部6において処理される際、A1に示す列の信号を処理する処理回路は、高レベルの信号を増幅するため大きな電流を流す。そのため、列処理部6に水平方向に接続される電源ラインや接地ラインに大きな電流が流れ、VDD1やGNDの電圧変動を引き起こす。電源ラインや接地ラインは、A1以外の列の信号を処理する処理回路にも接続されているため、VDD1やGNDの電圧変動は、高輝度被写体以外の撮像信号を処理している処理回路にも強く影響する。そのため、列処理部6が不正規な動作状態となりストリーキングを生じることとなる。
【0030】
次に、図3(A)〜図3(D)を用いて、比較構成例の撮像装置におけるストリーキング補正について説明する。
【0031】
図3(A)には、有効領域VR及び遮光領域OBにおけるストリーキング成分の例を示す。例えば図2のA2〜A4に示す列の信号には、図3(A)に示すように、ストリーキング成分が生じる。図3(B)に示すように、比較構成例では、遮光領域OBの信号に対して、水平方向及び垂直方向に平均化処理(例えば遮光領域の複数行分の信号を平均化する処理)を行う。処理後の信号では、平均化によりストリーキング成分のエッジがなまっている。
【0032】
次に、図3(B)の信号を基準として、有効領域VRの信号に対して水平クランプ処理を行う。図3(C)に示すように、図3(A)の信号(図2のA3、A4)に対して水平クランプ処理を行うと、基準信号がなまっているため、画像の垂直方向においてストリーキング65のエッジ部に補正の過不足が発生する。また、図3(D)に示すように、高輝度領域62の信号(図2のA1)に対して水平クランプ処理を行った場合も、同様に、画像の垂直方向において高輝度領域62のエッジ部に補正の過不足が発生する。これらの過不足は、不正規に行われた輪郭強調処理のような見え方をし、撮像画質を著しく劣化させる原因となる。
【0033】
さて、仮に図3(A)の信号を基準として有効領域VRの信号を水平クランプ処理したとする。この場合、図3(A)の信号は平均化されていないため、ストリーキング65や高輝度領域62のエッジ部において、ストリーキング補正の過不足は発生しない。しかしながら、遮光領域OBの信号を垂直方向に平均化する処理を行っていないため、遮光領域OBの各行において信号を平均した値が垂直方向において不均一な場合、図3(A)の信号は垂直方向にノイズを持った信号となってしまう。そのため、ストリーキング補正後の画像全体にはノイズによる横縞が現れてしまい、結果として、取得画像のSNR(Signal to Noise Ratio)を悪化させることになる。
【0034】
図4に、この特徴を定性的にグラフ化した模式図を示す。図4に示すように、水平クランプ処理後の信号において、横縞ノイズ及びストリーキング補正過不足量は、遮光領域OBの信号を平均化する際の平均行数に依存する。具体的には、平均行数に対して、横縞ノイズとストリーキング補正過不足量とがトレードオフの関係にある。即ち、平均行数を変化させて一方を小さくすると他方が大きくなり、横縞ノイズとストリーキング補正過不足量をともに小さくすることはできない。
【0035】
2.固体撮像装置
次に、上記の課題を解決可能な本実施形態の撮像装置の構成例について説明する。本実施形態の撮像装置は、図5に示す固体撮像装置1、図6に示す水平信号処理部51を含む。まず、図5に示す固体撮像装置1について説明する。
【0036】
固体撮像装置1(撮像素子)は、画素配列部2(撮像面、受光面)、垂直走査部5(垂直走査回路)、列処理部6(列処理回路)、水平走査部8(水平走査回路)、電源端子9、10、接地端子11、12(グランド端子)、出力端子13(撮像信号出力端子)を含む。なお図5では、本実施形態の説明上必要な端子(例えば電源端子や接地端子、出力端子)についてのみ図示しており、固体撮像装置1の動作上必要な他の端子は省略する。
【0037】
画素配列部2には、光情報を電気情報に変換する画素(光電変換素子)と、その画素の蓄積電荷を画素信号に変換する画素回路とが、2次元に配列される。個々の画素は、2次元の位置や座標により指定される。画素は、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタなどで構成される。なお以下では2次元配列として行列状の画素配列を例にとり説明する。
【0038】
画素配列部2には、第1遮光領域OB1、第2遮光領域OB2、有効領域VRが設けられる。遮光領域OB1、OB2は、画素が光学的に遮光されている領域であり、遮光された状態における信号レベルを表す黒レベルを、電気信号として出力する。遮光領域OB1、OB2は、長辺が垂直方向(垂直走査方向、行走査方向)と平行な矩形領域であり、長辺の行数は有効領域VRの行数と同一である。短辺は水平方向(水平走査方向、列走査方向)と平行であり、短辺の列数は例えば数十列(広義には複数列)である。遮光領域OB2は、水平方向における画素配列部2の一端に設けられ、遮光領域OB1は、遮光領域OB2と有効領域VRの間に設けられる。
【0039】
撮像動作において画素配列部2が露光を開始すると、所定の光蓄積時間を経過した後、垂直走査部5が画素配列部2に対して垂直走査を行う。この垂直走査では、1行の画素、即ち有効領域VR及び遮光領域OB1、OB2の水平方向に並ぶ画素を同時に選択し、その選択する行を順次移動することにより走査を行う。選択された画素の画素回路は、画素信号を列処理部6に対して出力する。以下では、この選択された1行分の画素信号を、行信号と呼ぶ。
【0040】
列処理部6は、垂直走査部5により選択された行の行信号に対して、信号処理を行う。例えば列処理部6には、画素配列部2の列毎に対応して処理回路が設けられている。処理回路は、例えば、画素信号を増幅処理するアナログ増幅回路や、その増幅信号をA/D変換処理するA/D変換回路等により構成される。
【0041】
列処理部6は、有効領域VRの画素信号SVR及び遮光領域OB1の画素信号SB1が入力される第1列処理部CL1と、遮光領域OB2の画素信号SB2が入力される第2列処理部CL2を含む。列処理部CL1、CL2は、接続される電源端子及び接地端子が異なっており、信号の処理機能については同一である。即ち、列処理部CL1には、電源端子9から電源ラインVL1を介して電源電圧VDD1が供給され、接地端子11から接地ラインGL1(グランドライン)を介して接地電圧GND1(グランド電圧)が供給される。列処理部CL2には、電源端子10から電源ラインVL2を介して電源電圧VDD2が供給され、接地端子12から接地ラインGL2(グランドライン)を介して接地電圧GND2(グランド電圧)が供給される。
【0042】
電源ラインVL1、VL2は、固体撮像装置1の内部において独立した電源ラインであり、接地ラインGL1、GL2は、固体撮像装置1の内部において独立した接地ラインである。そのため、VL1、GL1のインピーダンスにより生じる電圧ドロップや電圧上昇は列処理部CL2に影響せず、有効領域VRにおいてストリーキングが生じても、その影響が遮光領域OB2の列処理に及ばないようになっている。
【0043】
なお、固体撮像装置1の外部では、VDD1、VDD2やGND1、GND2は、別個の電源から供給されてもよいし、共通の電源部から供給されてもよい。共通の電源から供給される場合、端子までのインピーダンスができるだけ小さい方が望ましい。
【0044】
列処理部6により処理された行信号DVR、DB1、DB2は、水平走査部8により水平走査される。水平走査部8は、行信号のうち、選択した列の信号を出力し、その選択する列を順次移動することにより水平走査を行う。水平走査により得られた時系列の画素信号は、撮像信号OUT(出力信号)として出力端子13から出力される。
【0045】
3.水平信号処理部
次に、固体撮像装置1からの撮像信号OUTに対して行う水平信号処理について説明する。図6に、水平信号処理部51の構成例を示す。水平信号処理部51は、水平クランプ処理部52、第1平均化処理部53(第1黒レベル検出部)、第2平均化処理部54(第2黒レベル検出部)、ストリーキング検出部55(比較処理部)、選択処理部58を含む。
【0046】
平均化処理部53は、撮像信号OUTのうち、遮光領域OB1の行信号DB1に対して平均化処理を行う。具体的には、平均化処理部53は、固体撮像装置1から水平走査周期で順次送られてくる行信号DB1を、行単位で平均化する処理を行い、処理後の信号を1行平均化信号AV11として出力する。また平均化処理部53は、行単位で平均化された信号のN(複数)行分を平均化する処理を行い、処理後の信号をN行平均化信号AVN1として出力する。この平均化処理には、種々の平均化手法を用いることができる。例えば、1又はN行分の画素信号を単純加算平均する処理であってもよいし、1又はN行分の画素数に対応する所定のカットオフ周波数をもつローパスフィルタ処理であってもよい。平均化処理された信号は、順次送られてくる行信号により更新され、平均化処理部53内の図示しないバッファメモリに一時記憶される。
【0047】
平均化処理部54は、撮像信号OUTのうち、遮光領域OB2の行信号DB2に対して平均化処理を行う。具体的には、平均化処理部54は、固体撮像装置1から水平走査周期で順次送られてくる行信号DB2を、行単位で平均化する処理を行い、処理後の信号を1行平均化信号AV12として出力する。
【0048】
なお、平均化処理部53、54において、行信号を行単位で平均化処理する際には、画素欠陥信号などの異常信号を除去して平均化処理することが望ましい。
【0049】
ストリーキング検出部55は、平均化処理部53、54からの平均化信号AV11、AV12を、水平走査周期毎に順次比較する処理を行うことでストリーキングを検出する。具体的には、ストリーキング検出部55は、エッジ検出部56、ストリーキング判定部57を含む。
【0050】
エッジ検出部56は、1行平均化信号AV12を基準として、1行平均化信号AV11の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジを検出し、検出信号EGを出力する。ストリーキング判定部57は、エッジが検出された場合に、そのエッジがストリーキング成分のエッジであるか否かを判定する。即ち、ストリーキング判定部57は、立ち上がりエッジが検出された後に(例えばエッジ検出から所定行数後に)、AV11とAV12の差分信号が第1所定値より大きい場合には、ストリーキング成分の立ち上がりエッジであると判定する。また、ストリーキング判定部57は、立ち下がりエッジが検出された後に、AV11とAV12の差分信号が第2所定値(例えば第1所定値より小さい値)より小さい場合には、ストリーキング成分の立ち下がりエッジであると判定する。これらの判定条件を満たさないエッジは、ストリーキング成分のエッジではなく、例えばノイズであると判定される。
【0051】
選択処理部58は、ストリーキング検出の結果に基づいて、水平クランプ処理の基準信号を選択する。具体的には、選択処理部58は、選択信号出力部59、選択部60を含む。
【0052】
選択信号出力部59は、ストリーキング成分のエッジが検出された場合、そのエッジを含むエッジ領域(垂直エッジ領域)において、選択信号SELをアクティブ(例えばハイレベル“H”)にする。エッジ領域は、エッジが検出された行から開始して、所定行数(例えばN行)後の行において終了する領域である。なお、エッジ領域は、エッジが検出された行よりも前の行から開始してもよい。選択信号出力部59は、エッジ領域以外の領域においては、選択信号SELを非アクティブ(例えばローレベル“L”)にする。
【0053】
選択部60は、選択信号SELがアクティブの場合、基準信号SQとして1行平均化信号AV11を選択し、選択信号SELが非アクティブの場合、基準信号SQとしてN行平均化信号AVN1を選択する。即ち、ストリーキング成分のエッジ領域では1行平均化信号AV11が基準信号SQとして選択される。
【0054】
なお、ストリーキング検出部55が、ストリーキング成分のエッジであるか否かを判定した後、選択部60が、エッジ開始に遡ってAV11を選択することになる。そのため、平均化処理部53は、AV11、AVN1を図示しないバッファメモリにバッファリングして遅延させ、その遅延させたAV11、AVN1を選択部60に出力する。
【0055】
水平クランプ処理部52は、選択された基準信号SQを基準として、有効領域VRからの行信号DVRに対して水平クランプ処理(DC成分固定処理、減算処理)を行い、処理後の信号CLQを出力する。
【0056】
なお、平均化処理部53は、N行平均化信号として複数種類の信号を出力してもよい。例えば、図6に示すように、2行平均化信号、4行平均化信号、8行平均化信号、・・・を生成し、選択部60が、これらの信号の中から任意の1つをN行平均化信号として選択してもよい。
【0057】
次に、図7に、水平信号処理部51が行う処理のフローチャートを示す。図7に示す処理が開始されると、ステップS101に示すように、平均化処理部53が、遮光領域OB1からの行信号DB1を平均化する処理を行い、1行平均化信号AV11とN行平均化信号AVN1を出力する。また、平均化処理部54が、遮光領域OB2からの行信号DB2を平均化する処理を行い、1行平均化信号AV12を出力する。
【0058】
次にステップS102に示すように、ストリーキング検出部55が、1行平均化信号AV11と1行平均化信号AV12の比較処理を行う。具体的には、AV11からAV12を減算した差分信号を求める。次にステップS103に示すように、比較処理で得られた差分信号に基づいて、エッジ検出を行う。次にステップS104に示すように、差分信号とエッジ検出結果に基づいて、ストリーキング判定を行う。
【0059】
ストリーキング判定においてストリーキング成分のエッジであると判定された場合、ステップS105に示すように、選択部60が、1行平均化信号AV11を基準信号SQとして選択し、水平クランプ処理部52が、AV11を基準として水平クランプ処理を行う。ストリーキング判定においてストリーキング成分のエッジであると判定されなかった場合、ステップS106に示すように、選択部60が、N行平均化信号AVN1を基準信号SQとして選択し、水平クランプ処理部52が、AVN1を基準として水平クランプ処理を行う。
【0060】
以上の処理を行うことで、ストリーキング成分のエッジ領域において、水平クランプ処理の基準信号を選択的に切り替えることができる。これにより、高輝度被写体を撮像した際のストリーキングを、画質劣化を最小限に留めながら補正(低減処理)できる。また、ストリーキングが発生していない通常信号時において、画質に影響を与えることなく水平クランプ処理を行うことができる。この点について、以下に詳細に説明する。
【0061】
4.ストリーキング補正
図8(A)に、本実施形態の固体撮像装置1により、矩形状の強力な高輝度(ハイライト)被写体を撮像した場合に取得される画像データの例を示す。図8(A)において、61は有効領域VRの暗部領域データを示し、62は有効領域VRの高輝度領域のデータを示し、63は第1遮光領域OB1のデータを示し、64は第2遮光領域OB2のデータを示し、65は有効領域VRのストリーキングデータを示し、66は第1遮光領域OB1のストリーキングデータを示す。
【0062】
図8(B)のB1に示すように、遮光領域OB2からは、ストリーキング成分を含まない信号が取得される。B2に示すように、遮光領域OB1からは、ストリーキング成分D3を含む信号が取得される。B3に示すように、有効領域VRにおいて高輝度被写体が撮影されない列からは、ストリーキング成分D2を含む信号が取得される。B4に示すように、有効領域VRにおいて高輝度被写体が撮影された列からは、ハイライト成分D1を含む信号が取得される。本実施形態では、ストリーキング成分D2と、ハイライト成分D1に含まれるストリーキング成分とを、補正する。
【0063】
選択処理部58の具体的な処理の一例を以下に記す。図9(A)には、1行平均化信号AV11を示す。図9(B)には、N行平均化信号AVN1を示す。図9(C)に示すように、ステップS103において検出された、1行平均化信号AV11及びAV12の差分から検出されたエッジにおいて、エッジ検出信号EGが“H”レベルとなる。ストリーキング成分のエッジと判定された場合、選択信号SELは、検出されたエッジ位置から信号値が確実に安定する行までの領域をエッジ領域T11、T12として選択し、そのエッジ領域において“H”レベルとなる。
【0064】
例えば図8(B)に示す信号B3を例にとると、図9(D)に示すように、エッジ領域T11、T12では、エッジが急峻な1行平均化信号AV11を基準として水平クランプ処理が行われる。そのため、図3(C)等で説明したような過不足を生じることなく、ストリーキング成分のエッジ領域を補正できる。また、エッジ領域以外の領域TNでは、N行平均化信号AVN1を基準として水平クランプ処理が行われる。そのため、図4で説明したような横縞ノイズの増加を招くことなく、ストリーキング成分を補正できる。
【0065】
以上の実施形態によれば、図5に示すように、撮像装置は、複数の画素が行列状に配列された画素配列部2と、画素配列部2の行を順次選択する垂直走査部5と、選択された行における各列の画素からの画素信号を処理し、処理後の画素信号を行信号(DVR、DB1、DB2)として出力する列処理部6と、を含む。
【0066】
画素配列部2は、撮像光学系により結像された被写体像を受光する有効領域VRと、遮光された複数列の画素により構成される第1遮光領域OB1と、遮光された複数列の画素により構成される第2遮光領域OB2と、を有する。列処理部6は、有効領域VR及び第1遮光領域OB1の画素からの画素信号SVR、SB1を処理する第1列処理部CL1と、第2遮光領域OB2の画素からの画素信号SB2を処理する第2列処理部CL2と、を有する。第1列処理部CL1及び第2列処理部CL2に対して電源電圧を供給する電源ライン及び接地電圧を供給する接地ラインは、それぞれ異なる電源ラインVL1、VL2及び接地ラインGL1、GL2である。
【0067】
ここで、それぞれ異なる電源ライン及び接地ラインであるとは、第2列処理部CL2には、第1列処理部CL1に対して電源電圧VDD1を供給する第1電源ラインVL1とは異なる第2電源ラインVL2により電源電圧VDD2が供給され、第1列処理部CL1に対して接地電圧GND1を供給する第1接地ラインGL1とは異なる第2接地ラインGL2により接地電圧GND2が供給されるということである。
【0068】
本実施形態によれば、特定の遮光領域(OB2)の信号を、他の領域(OB1、VR)の信号を処理する列処理部CL1とは電源ラインVL2及び接地ラインGL2が独立した列処理部CL2により、処理できる。そのため、図8(A)等で説明したように、高輝度被写体を撮影した場合に、列処理部CL1で処理される大きな信号による電源電圧VDD1及び接地電圧GND1の変動の影響を受けずに、遮光領域信号DB2を出力できる。これにより、遮光領域信号DB2を用いてストリーキング成分を高精度に検出し補正することが可能になる。
【0069】
また、遮光領域OB1とOB2は複数列の画素により構成され、ともに垂直方向に長辺をもつ領域であるため、特性(例えばノイズ特性)を近づけることができる。この遮光領域OB1に特性の近い遮光領域OB2の信号を基準としてストリーキング成分を検出することで、ストリーキング成分を高精度に検出し補正することが可能になる。
【0070】
具体的には、図6に示すように、撮像装置は第1平均化処理部53と第2平均化処理部54とストリーキング検出部55とストリーキング補正部(選択処理部58、水平クランプ処理部52に対応する)を含む。第1平均化処理部53は、第1遮光領域信号DB1のM行分を平均化する処理を行って第1M行平均化信号(例えばAV11)を出力する。第2平均化処理部54は、第2遮光領域信号DB2のM行分を平均化する処理を行って第2M行平均化信号(例えばAV12)を出力する。ストリーキング検出部55は、第1M行平均化信号(AV11)と第2M行平均化信号(AV12)に基づいて、第1遮光領域信号DB1におけるストリーキングを検出する。ストリーキング補正部は、ストリーキングの検出結果に基づいてストリーキングを補正する。
【0071】
ここで、第1遮光領域信号DB1とは、列処理部CL1が出力する行信号のうち、第1遮光領域OB1に対応する行信号である。また、第2遮光領域信号DB2とは、列処理部CL2が出力する行信号であり、第2遮光領域OB2に対応する行信号である。
【0072】
このようにすれば、ストリーキングの影響を受けず且つ特性の近い遮光領域OB2の信号を基準として遮光領域OB1のストリーキングを検出できる。例えば特許文献2では、ストリーキングの影響を受けない遮光領域として水平方向に長い遮光領域を用いるため、垂直方向に長い遮光領域との特性の違いにより、ストリーキング検出精度が低下するおそれがある。この点、本実施形態によれば、共に垂直方向に長い特性の近い遮光領域を用いてストリーキングを検出できる。
【0073】
ここで、図6等ではM行が1行である場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されず、Mは他の自然数であってもよい。また、M(及び後述するN)は必ずしも自然数に限定されない。M行平均化信号とは、遮光領域における黒レベルを表す信号であり、黒レベルを検出するための種々の検出処理により生成される信号である。
【0074】
また本実施形態では、図6に示すように、ストリーキング補正部は、選択部60と、クランプ処理部(水平クランプ処理部52)と、を含む。第1平均化処理部53は、第1遮光領域信号DB1の、M行よりも大きいN行分を平均化したN行平均化信号AVN1と、第1M行平均化信号AV11と、を出力する。図9(A)〜図9(D)で説明したように、ストリーキング検出部55は、ストリーキングの開始行と終了行を検出する。選択部60は、開始行から所定行数が経過するまでのストリーキング開始領域T11、及び終了行から所定行数が経過するまでのストリーキング終了領域T12において、第1M行平均化信号(AV11)を選択する。選択部60は、ストリーキング開始領域T11の終わりからストリーキング終了領域T12の始まりまでの領域TNにおいて、N行平均化信号AVN1を選択する。クランプ処理部は、選択された信号を基準信号として、有効領域信号DVRに対してクランプ処理を行うことにより、ストリーキングを補正する。
【0075】
ここで、有効領域信号DVRとは、列処理部CL1が出力する行信号のうち、有効領域VRに対応する行信号である。
【0076】
このようにすれば、ストリーキング補正の過不足を生むエッジ領域では、1行平均化信号を用いることで補正の過不足を低減でき、エッジ部以外では、N行平均化信号を用いることでS/Nの高い画像を得ることができる。
【0077】
また本実施形態では、ストリーキング検出部55はエッジ検出部56とストリーキング判定部57を含む。エッジ検出部56は、第1M行平均化信号(AV11)と第2M行平均化信号(AV12)の差分信号においてエッジを検出する。ストリーキング判定部57は、検出されたエッジから、ストリーキングの開始エッジ及び終了エッジであるか否かを判定することで、ストリーキングの開始行と終了行とを検出する。
【0078】
具体的には、ストリーキング判定部57は、検出されたエッジが、ストリーキングの開始エッジであるか否かの判定を行い、ストリーキングの開始エッジであると判定した場合には、そのエッジが検出された行をストリーキングの開始行とする。またストリーキング判定部57は、検出されたエッジが、ストリーキングの終了エッジであるか否かを判定し、ストリーキングの終了エッジであると判定した場合には、そのエッジが検出された行をストリーキングの終了行とする。
【0079】
より具体的には、ストリーキング判定部57は、エッジが検出された後の所定の判定領域において、差分信号が第1所定値以上である場合、そのエッジがストリーキングの開始エッジであると判定する。またストリーキング判定部57は、エッジが検出された後の所定の判定領域において、差分信号が、第1所定値よりも小さい第2所定値以下である場合、そのエッジがストリーキングの終了エッジであると判定する。
【0080】
ここで、所定の判定領域とは、エッジが検出された行から所定行数後の領域であり、例えば1又は複数の行から構成される領域である。この判定領域において、継続的に差分信号が第1所定値以上(又は第2所定値以下)である場合に、開始エッジ(又は終了エッジ)であると判定される。
【0081】
このようにすれば、エッジ検出及びスリーキング判定によりストリーキングの開始行と終了行を検出でき、その開始行と終了行を用いてストリーキング開始領域とストリーキング終了領域を設定できる。
【0082】
5.変形構成例
なお図5では、列処理部6のみにおいて独立した2系統の電源ライン及び接地ラインが設けられる場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、有効領域VR及び遮光領域OB1の画素回路に対して電源電圧や接地電圧を供給する電源端子15、接地端子17、電源ラインVL3、接地ラインGL3と、遮光領域OB2の画素回路に対して電源電圧や接地電圧を供給する電源端子16、接地端子18、電源ラインVL4、接地ラインGL4とが、分離されてもよい。
【0083】
今後の技術的な進歩を鑑みれば、さらなる画素の微細化や、固体撮像装置を駆動する電圧の低電圧化は必至である。そうなった場合に、ストリーキングが必ずしも列処理部6のみで発生するとは限らず、画素回路で発生する可能性が大きくなる。図10の固体撮像装置1は、このような場合にもストリーキングの影響を受けない黒レベルを出力可能である。
【0084】
また図5、図6では、水平信号処理部51が固体撮像装置1の外部に設けられる場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、水平信号処理部51を固体撮像装置1に内蔵し、水平信号処理部51を列処理部6と水平走査部8の間に設けてもよい。また、図12に示すように、水平信号処理部51を固体撮像装置1に内蔵し、更に図10と同様に画素回路に対して独立した2系統の電源ライン及び接地ラインを設けてもよい。これらの固体撮像装置1においても、図5〜図9で説明した実施形態と同様のストリーキング補正効果を得ることができる。
【0085】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また固体撮像装置、水平信号処理部、撮像装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 固体撮像装置、2 画素配列部、5 垂直走査部、6 列処理部、
8 水平走査部、9,10 電源端子、11,12 接地端子、
13 出力端子、15,16 電源端子、17,18 接地端子、
51 水平信号処理部、52 水平クランプ処理部、
53 第1平均化処理部、54 第2平均化処理部、
55 ストリーキング検出部、56 エッジ検出部、
57 ストリーキング判定部、58 選択処理部、59 選択信号出力部、
60 選択部、62 高輝度領域、65 ストリーキング、
AV11 第11行平均化信号、AV12 第21行平均化信号、
AVN1 N行平均化信号、CL1 第1列処理部、
CL2 第2列処理部、D1 ハイライト成分、
D2,D3 ストリーキング成分、DB1 第1遮光領域信号、
DB2 第2遮光領域信号、DVR 有効領域信号、
EG エッジ検出信号、GL1〜GL4 第1〜第4接地ライン、
GND,GND1,GND2 接地電圧、OB 遮光領域、
OB1 第1遮光領域、OB2 第2遮光領域、OUT 撮像信号、
SB,SB1,SB2,SVR 画素信号、SEL 選択信号、
SQ 基準信号、T11,T12 エッジ領域、
TN エッジ領域以外の領域、VDD1〜VDD4 電源電圧、
VL1〜VL4 第1〜第4電源ライン、VR 有効領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が行列状に配列され、撮像光学系により結像された被写体像を受光する有効領域と、遮光された複数列の画素により構成される第1遮光領域と、遮光された複数列の画素により構成される第2遮光領域と、を有する画素配列部と、
前記画素配列部の行を順次選択する垂直走査部と、
選択された前記行における各列の画素からの画素信号を処理し、処理後の前記画素信号を行信号として出力する列処理部と、
を備え、
前記列処理部は、
前記有効領域及び前記第1遮光領域の画素からの前記画素信号を処理する第1列処理部と、
前記第2遮光領域の画素からの前記画素信号を処理する第2列処理部と、
を有し、
前記第1列処理部及び前記第2列処理部に対して電源電圧を供給する電源ライン及び接地電圧を供給する接地ラインは、それぞれ異なる電源ライン及び接地ラインであることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1遮光領域信号のM行分を平均化する処理を行って第1M行平均化信号を出力する第1平均化処理部と、
前記第2遮光領域信号のM行分を平均化する処理を行って第2M行平均化信号を出力する第2平均化処理部と、
前記第1M行平均化信号と前記第2M行平均化信号に基づいて、前記第1遮光領域信号におけるストリーキングを検出するストリーキング検出部と、
前記ストリーキングの検出結果に基づいて、前記ストリーキングを補正するストリーキング補正部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1平均化処理部は、前記第1遮光領域信号の、前記M行よりも大きいN行分を平均化したN行平均化信号と、前記第1M行平均化信号と、を出力し、
前記ストリーキング検出部は、前記ストリーキングの開始行と終了行を検出し、
前記ストリーキング補正部は、
前記開始行から所定行数が経過するまでのストリーキング開始領域、及び前記終了行から所定行数が経過するまでのストリーキング終了領域において、前記第1M行平均化信号を選択し、前記ストリーキング開始領域の終わりから前記ストリーキング終了領域の始まりまでの領域において、前記N行平均化信号を選択する選択部と、
前記選択された信号を基準信号として、前記有効領域信号に対してクランプ処理を行うクランプ処理部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ストリーキング検出部は、
前記第1M行平均化信号と前記第2M行平均化信号の差分信号においてエッジを検出するエッジ検出部と、
前記検出されたエッジから、前記ストリーキングの開始エッジ及び終了エッジであるか否かを判定することで、前記開始行と前記終了行とを検出するストリーキング判定部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ストリーキング判定部は、
前記エッジが検出された後の所定の判定領域において、前記差分信号が第1所定値以上である場合、前記エッジが前記ストリーキングの開始エッジであると判定し、
前記エッジが検出された後の所定の判定領域において、前記差分信号が前記第1所定値よりも小さい第2所定値以下である場合、前記エッジが前記ストリーキングの終了エッジであると判定することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
複数の画素が行列状に配列された画素配列部が、撮像光学系により結像された被写体像を受光する有効領域と、遮光された複数列の画素により構成される第1遮光領域と、遮光された複数列の画素により構成される第2遮光領域と、で構成され、
前記第1遮光領域に対応する行信号である第1遮光領域信号のM行分を、平均化する処理を行って、第1M行平均化信号を出力し、
前記第2遮光領域に対応する行信号である第2遮光領域信号のM行分を、平均化する処理を行って、第2M行平均化信号を出力し、
前記第1M行平均化信号と前記第2M行平均化信号に基づいて、前記有効領域に対応する行信号である有効領域信号におけるストリーキングを検出し、
前記ストリーキングの検出結果に基づいて、前記ストリーキングを補正することを特徴とするストリーキング補正方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1遮光領域信号の、前記M行よりも大きいN行分を平均化する処理を行ってN行平均化信号を出力し、
前記ストリーキングの開始行と終了行を検出し、
前記開始行から所定行数が経過するまでのストリーキング開始領域及び前記終了行から所定行数が経過するまでのストリーキング終了領域において、前記第1M行平均化信号を選択し、
前記ストリーキング開始領域の終わりから前記ストリーキング終了領域の始まりまでの領域において、前記N行平均化信号を選択し、
前記選択された信号を基準信号として、前記有効領域信号に対してクランプ処理を行うことにより、前記ストリーキングを補正することを特徴とするストリーキング補正方法。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図2】
image rotate

【図8】
image rotate