説明

撮像装置及びプログラム

【課題】ユーザ操作により任意に指定された撮影画像内の位置或いは範囲に対してその撮影画像の全体がどのように画像処理されたのかを明示できるようにする。
【解決手段】制御部1は、撮像部6から取得してタッチ表示部4に表示したライブビュー画像内の位置或いは範囲が指定された場合に、その位置或いは範囲に相当するライブビュー画像内の部分画像データに基づいて、その画像部分に対して画像処理(ホワイトバランス調整処理)した部分処理画像と、ライブビュー画像の画像全体に対して画像処理(ホワイトバランス調整処理)した全体処理画像をタッチ表示部4に識別可能に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像に対して画像処理を行う撮像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、撮像装置(デジタルカメラ)においては、撮影画像に対する色調調整としてホワイトバランス調整(白色補正)を行うようにしている。このホワイトバランス調整方法としては、オートホワイトバランス、マニュアルホワイトバランスなどの調整方法が存在しており、オートホワイトバランスでは、さまざまな光源が持つ色温度の違いを補正することにより、可能な限り同じ色調に調整するようとしているが、例えば、複数の光源が混在しているミックス光の下では、その調整が不十分となり、マニュアル操作でホワイトバランスを調整したほうが良い場合がある。このようにマニュアル操作によってホワイトバランスを調整することにより、よりユーザの意思を反映させることが可能となるために、従来では、例えば、ユーザが指定したい位置や領域に基づいて撮影画像の画像全体(画面全体)をホワイトバランス調整するようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−112021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように、特許文献1の技術にあっては、撮影画像内の位置や領域がユーザ操作により指定された際に、その位置や領域内の部分画像データに基づいて、その撮影画像の画像全体(画面全体)に対してホワイトバランスを調整するようにしているが、単に、画像全体をホワイトバランス調整するだけでは、ユーザ操作で指定された位置や領域に対して画像全体がどのようにホワイトバランス調整されたのかが分かりづらいという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、ユーザ操作により任意に指定された撮影画像内の位置或いは範囲に対してその撮影画像の全体がどのように画像処理されたのかを明示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の一つの態様は、
撮像手段と、
前記撮像手段により取得された撮影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、その画像部分に対して画像処理を行うと共に前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を前記表示手段に識別可能に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置である。
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
撮像手段と、
前記撮像手段により取得された撮影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を前記表示手段に表示させると共に、前記指定手段により指定された位置或いは範囲を前記表示手段に識別可能に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置である。
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
撮像手段により取得された撮影画像を表示する機能と、
前記表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する機能と、
前記指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、その画像部分に対して画像処理を行うと共に前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う機能と、
前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を識別可能に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラムである。
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
撮像手段により取得された撮影画像を表示する機能と、
前記表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する機能と、
前記指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う機能と、
前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を表示させると共に、前記指定された位置或いは範囲を識別可能に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザ操作により任意に指定された撮影画像内の位置或いは範囲に対してその撮影画像の全体がどのように画像処理されたのかを明示することができ、ユーザにとって最適な処理結果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】撮像装置として適用したデジタルカメラの基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】(1)〜(4)は、第1実施形態におけるホワイトバランス調整機能を説明するための表示例を示した図。
【図3】電源投入に応じて実行開始されるデジタルカメラの動作(本実施形態の特徴的な動作)を説明するためのメインのフローチャート。
【図4】図3に続く動作を示したフローチャート。
【図5】(1)〜(3)は、第1実施形態の変形例を説明するための表示状態を示した図
【図6】第2実施形態において、図3に続く動作を示したフローチャート。
【図7】(1)〜(3)は、第2実施形態におけるホワイトバランス調整機能を説明するための表示例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
先ず、図1〜図4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、撮像装置として適用したデジタルカメラの基本的な構成要素を示したブロック図である。
このデジタルカメラ(撮像装置)は、例えば、フルカラーの静止画像のほかに動画像の撮影も可能なコンパクトカメラで、撮像機能、タッチ入力機能などのほか、ホワイトバランス調整機能を有している。
【0011】
このホワイトバランス調整機能は、例えば、ライブビュー画面(モニタ画面)に表示されている撮影画像(ライブビュー画像:スルー画像)に対して画像処理(ホワイトバランス調整)を行うようにした機能で、撮影可能な状態に設定する動作モード(撮影モード)への切り換えに応じて動作可能となる。このデジタルカメラの中核となる制御部1は、電源部(二次電池)2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこのデジタルカメラ(以下、カメラと略称する)の全体動作を制御する中央演算処理装置である。
【0012】
記憶部3は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどを有する構成で、後述する図3及び図4に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほかに、このカメラが動作するために必要となる各種の情報(例えば、フラグ、タイマなど)を一時的に記憶するワーク領域を有する構成となっている。そして、記憶部3は、プログラムメモリM1、ワークメモリM2などを有している。なお、記憶部3は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介してネットワークに接続された状態においては所定の外部サーバ側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0013】
タッチ表示部4は、上述のタッチ入力機能として、指などでタッチ操作された位置を検出するタッチ入力手段(タッチスクリーン)を構成するもので、表示パネル4aとタッチパネル4bとを有する構成となっている。なお、タッチパネル4bとしては、静電容量方式、抵抗皮膜方式、電磁誘導方式、圧電方式などの各種方式のうち、軽量化、光透過性、耐久性などに優れた静電容量方式を採用しているが、その他の方式であってもよい。表示パネル4aは、例えば、縦横比(横4:縦3)の異なる画面を有した高精細液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで、ソフトウェアキーとしての機能名を表示するほか、撮像された画像(ライブビュー画像:スルー画像)を表示するファインダ画面(モニタ画面)として機能したり、保存済み画像(撮影済み画像)を表示する再生画面として機能したりする。このタッチ表示部4を構成するタッチパネル4b上でのタッチ操作に応じて制御部1は、そのタッチ位置を取得してその位置に応じた座標データを入力する処理を行う。
【0014】
キー操作部5は、図示省略したが、モード切り換え操作、シャッタ操作、動画撮影操作、露出やシャッタスピードなどの撮影条件を設定する設定操作、撮影済み画像の再生を指示する再生操作などを行う押しボタン式のキーを備えたもので、制御部1は、キー操作部5からの入力操作信号に応じた処理として、例えば、撮影処理、撮影条件の設定、再生処理、データ入力処理などを行う。なお、モード切り換え操作は、撮影が可能な撮影モードに設定したり、撮影済み画像を再生可能な再生モードに設定したりして動作モードを切り換える操作である。
【0015】
撮像部6は、図示省略したが、レンズ部、撮像素子、A/D(アナログ/デジタル)変換部などを有し、静止画像のほかに動画像の撮影も可能な構成で、ズームレンズ、フォーカスレンズなどを備えたレンズ部からの被写体像が、図示省略した絞りやシャッタを介して撮像素子(CCD又はCMOS)に結像されることにより被写体を高精細に撮影可能な構成となっている。ここで、撮像素子で光電変換された画像信号(アナログ値の信号)に対して、色分離やRGBの色成分毎のゲイン調整などが行われた後に、デジタル値のデータに変換されると共に、デジタル変換された画像データは、色補間処理(デモザイク処理)が施される。このようにしてデモザイク処理された画像データは、表示パネル4aに送られて、ライブビュー画像としてフルカラー表示される。
【0016】
図2は、第1実施形態におけるホワイトバランス調整機能を説明するための表示例を示した図である。
図2(1)は、タッチ表示部4のライブビュー画面(モニタ画面)に撮影画像(ライブビュー画像)が表示されている状態において、このライブビュー画像内の任意の位置或いは範囲がタッチ操作により指定された際の表示状態を示した図である。このライブビュー画像に対してホワイトバランスの調整を指示する際に、ユーザがそのライブビュー画像内に写っている空の雲などの任意の位置或いは範囲をタッチ操作により指定すると、制御部1は、タッチ操作により指定された位置或いは範囲に応じて、所定の領域を検出領域DAとして検出し、この検出領域DAをライブビュー画面内に識別表示させるようにしている。
【0017】
すなわち、制御部1は、タッチ表示部4へのタッチ操作が、例えば、円を描くなどのように範囲を指定する操作であれば、範囲指定された領域を輪郭検出してその検出領域DAを識別表示(例えば、輪郭表示:外枠表示)させる。また、タッチ表示部4へのタッチ操作が、位置を指定(ポイント指定)する操作であれば、その指定位置の色情報(例えば、雲の白色)に基づいて、その周囲の同系色の領域を検出してその検出領域DAを識別表示(例えば、輪郭表示:外枠表示)させるようにしている。なお、図示の例は、位置指定(ポイント指定)された場合を示し、この指定位置の周囲の矩形領域が検出領域DAとして表示された場合である。
【0018】
図2(2)は、図2(1)で示したようにライブビュー画像内の任意の位置或いは範囲がタッチ操作により指定された際に、その検出領域DAに相当するライブビュー画像内の部分画像データに基づいて、ライブビュー画像の画像全体に対して画像処理(ホワイトバランス調整)を行った後の画像の表示状態(全体処理画像の表示状態)を示している。この場合、検出領域DA内の部分画像データから色情報を検出し、この色情報から算出したホワイトバランス調整値(係数)に基づいて、ライブビュー画像の画像全体(画面全体)に対してホワイトバランス調整を行うようにしている。なお、図示の塗り潰し領域は、ホワイトバランス調整された後の処理済み画像(全体処理画像)を示し、図中、画像(1)は、この全体処理画像を示している。(以下、同様)。
【0019】
図2(3)は、図2(1)で示したようにライブビュー画像内の任意の位置或いは範囲がタッチ操作により指定された際に、その検出領域DAに相当するライブビュー画像内の部分画像データに基づいて、検出領域DA内の部分画像データに対してのみホワイトバランス調整を行った後の画像の表示状態(部分処理画像の表示状態)を示している。この場合においても、検出領域DA内の部分画像データから色情報を検出し、この色情報から算出したホワイトバランス調整値(係数)に基づいて、検出領域DAの部分画像データ(画面の一部)に対してのみホワイトバランス調整を行うようにしている。なお、図示の塗り潰し領域は、ホワイトバランス調整された後の処理済み画像(部分処理画像)を示し、図中、画像(2)は、この部分処理画像を示している(以下、同様)。
【0020】
制御部1は、図2(2)に示した全体処理画像と、図2(3)に示した部分処理画像とをタッチ表示部4のライブビュー画面に切り換え表示させる。この場合、ユーザ操作による手動切り換えのほか、一定時間の経過を検出することによる自動切り換えが可能となっている。図2(4)は、ホワイトバランス調整後の画像に対して保存を指示する確定操作が行われた際に、図2(2)の全体処理画像が保存対象となることを示した図である。すなわち、この確定操作は、ライブビュー画像の全体に対してホワイトバランス調整を行った全体処理画像を保存対象として確定することを指示する操作である。
【0021】
次に、第1実施形態におけるカメラの動作概念を図3及び図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0022】
図3及び図4は、電源投入に応じて実行開始されるカメラの動作(本実施形態の特徴的な動作)を説明するためのメインのフローチャートである。
先ず、制御部1は、電源投入操作に応じてメモリなどをクリアする初期化処理を実行した後(図3のステップS1)、現在の動作モードとして、撮影が可能な撮影モードに切り換えられているかを調べる(ステップS2)。いま、再生モードに切り換えられているときには(ステップS2でNO)、再生モードの初期設定を行った後、再生対象の撮影済み画像を呼び出してタッチ表示部4に再生表示させる(ステップS3)。
【0023】
この再生モードにおいて、モード切り換え操作が行われたかを調べたり(ステップS4)、その他の操作が行われたかを調べたりし(ステップS5)、モード切り換え操作が行われたときには(ステップS4でYES)、撮影モードに応じた処理を実行するためにステップS7に移るが、再生モードにおいて、その他の操作が行われたときには(ステップS5でYES)、操作に応じた処理として、例えば、画像送り、ズーム、スライドショーなどの処理を実行した後(ステップS6)、上述のモード切り換え操作の有無を判別するステップS4に戻る。
【0024】
いま、撮影モードに切り換えられているときには(ステップS2でYES)、撮影モードの初期設定を行った後、撮像部6から取得した撮像画像(ライブビュー画像)をタッチ表示部4にファインダ画面(モニタ画面)として表示させる(ステップS7)。この撮影モードにおいて、タッチ表示部4へのタッチ操作の有無を調べたり(ステップS8)、シャッタ操作の有無を調べたり(ステップS9)、その他の操作の有無を調べたりする(ステップS10)。いま、その他の操作として、例えば、露出設定、ズーム調整などの設定操作が行われると(ステップS10でYES)、その操作に応じた処理として、露出設定などの設定処理を行った後(ステップS11)、上述のタッチ有無を判別するステップS8に戻る。
【0025】
また、撮影モードにおいてシャッタ操作が行われたときには(ステップS9でYES)、撮像部6を撮影条件に応じて制御する撮影処理を実行する(ステップS12)。そして、撮像部6から取得した撮像画像を記録保存する処理を行う(ステップS13)。その後、上述のタッチ操作有無を判別するステップS8に戻る。
【0026】
また、撮影モードにおいてタッチ表示部4へのタッチ操作が行われたときには(ステップS8でYES)、図4のフローに移り、タッチ表示部4からそのタッチ位置座標を取得した後(ステップS14)、領域検出処理を行う(ステップS15)。この場合、タッチ操作が範囲指定であれば、範囲指定された領域を輪郭検出し、また、タッチ操作が位置指定(ポイント指定)であれば、その指定位置の色情報(例えば、雲の白色)に基づいて、その周囲の同系色の領域を検出することにより検出領域DAを検出する。なお、その際、タッチ操作が位置指定の場合には、その指定位置を中心とする半径が固定ドット数の領域を検出領域DAとして検出するようにしてもよい。
【0027】
そして、制御部1は、検出領域DA内の部分画像データから色情報を検出し、この色情報からホワイトバランス調整値を算出し(ステップS16)、このホワイトバランス調整値に基づいて、ライブビュー画像の全体(画面全体)に対してホワイトバランス調整を行い、その調整後のライブビュー画像(全体処理画像)を画像(1)として生成して(ステップS17)、この生成画像(1)をバッファ(図示省略)に一時記憶させる(ステップS18)。また、算出したホワイトバランス調整値に基づいて、ライブビュー画像の検出領域DA内の部分画像データに対してのみホワイトバランス調整を行い、その調整後の検出領域DA内の画像(部分処理画像)を識別可能な画像(2)として生成する(ステップS19)。この場合、検出領域DAの輪郭を形作る外枠を付加することにより、識別可能な画像(2)として生成するようにしている。そして、この画像(2)を上述のバッファに一時記憶させる(ステップS20)。
【0028】
そして、上述のようにして生成したバッファ内の画像(1)と画像(2)とを読み出して、タッチ表示部4に切り換え表示させる(ステップS21)。その際、ユーザ操作による手動切り換えのほかに、一定時間の経過を検出することによる自動切り換えを行うようにしてもよい。その際、この一定時間内に切り換え操作が行われたときには、手動切り換えを実行し、この一定時間が経過したときには自動切り換えを実行するようにしている。この状態において、ホワイトバランス調整後の画像に対して保存の確定操作が行われると(ステップS22でYES)、バッファ内の画像(1)を圧縮して所定形式のファイルとして保存する処理を行った後(ステップS23)、タッチ操作有無を判別するステップS8に戻るが、保存の確定操作が行われなければ(ステップS22でNO)、そのままタッチ操作有無を判別するステップS8に戻る。
【0029】
以上のように、第1実施形態において制御部1は、撮像部6から取得してタッチ表示部4に表示させたライブビュー画像内の任意の位置或いは範囲が指定された場合に、その位置或いは範囲に相当するライブビュー画像内の部分画像データに基づいて、その画像部分に対して画像処理(ホワイトバランス調整処理)した部分処理画像と、ライブビュー画像の全体に対して画像処理(ホワイトバランス調整処理)した全体処理画像をタッチ表示部4に識別可能に表示させるようにしたので、ユーザ操作により任意に指定されたライブビュー画像内の位置或いは範囲に対してそのライブビュー画像の全体がどのように画像処理(ホワイトバランス調整処理)されたのかを明示することができ、ユーザにとって最適な処理結果を得ることが可能となる。
【0030】
制御部1は、部分処理画像と全体処理画像を切り換え表示させるようにしたので、画像の表示位置を固定したままで両者を目視確認しながら比較することができると共に、画像を画面全体に大きく表示させることができ、その画像の確認及び比較を容易に行うことができる。
【0031】
制御部1は、確定操作が行われた際に、全体処理画像を保存対象として保存するようにしたので、画像を保存するか否かをユーザ操作により任意に選択することが可能となる。
【0032】
ライブビュー画像が表示されている表示パネル4aに重ね合わせて配設されているタッチパネル4bへのタッチ位置により、そのタッチ位置に基づいてライブビュー画像内の位置或いは範囲を指定するようにしたので、位置或いは範囲の指定を容易かつ確実に行うことができる。
【0033】
なお、上述した第1実施形態においては、部分処理画像と全体処理画像を切り換え表示させるようにしたが、部分処理画像と全体処理画像をタッチ表示部4の画面(ライブビュー画面)に分割表示させるようにしてもよい。図5は、部分処理画像と全体処理画像を分割表示させた場合の表示状態を示した図である。図5(1)は、タッチ表示部4のライブビュー画面にライブビュー画像が表示されている状態において、このライブビュー画像内の任意の位置或いは範囲がタッチ操作により指定された際の表示状態を示した図で、制御部1は、このライブビュー画像内の位置或いは範囲がタッチ操作により指定されると、その指定に応じて検出した検出領域DAをライブビュー画面内に識別表示させる。
【0034】
図5(2)は、検出領域DAに相当するライブビュー画像内の部分画像データに基づいて、ライブビュー画像の画像全体に対してホワイトバランス調整を行った後の全体処理画像を、その横方向(図中、左右方向)を1/2に圧縮した画像(全体処理画像)と、検出領域DAに相当するライブビュー画像内の部分画像データに基づいて検出領域DA内の部分画像データに対してのみホワイトバランス調整を行った後の部分処理画像を、その横方向を1/2に圧縮した画像(部分処理画像)を示した図である。図5(3)は、ライブビュー画面の横方向を1/2に分割し、図中、左側の分割領域に1/2圧縮の部分処理画像を割り当て表示させ、図中、右側の分割領域に1/2圧縮の全体処理画像を割り当て表示させることにより、1/2圧縮の部分処理画像と1/2圧縮の全体処理画像とを1画面内に分割表示させた状態を示した図である。
【0035】
このように部分処理画像と全体処理画像をタッチ表示部4の画面に分割表示させるようにすることにより、ユーザにあっては、部分処理画像と全体処理画像とを同時に目視確認しながら比較することができ、その画像確認及び比較を容易に行うことができる。
【0036】
上述した第1実施形態においては、ホワイトバランス調整を行った後の部分処理画像と全体処理画像を切り換え表示させるようにしたが、ホワイトバランス調整を行う前の未処理の画像とホワイトバランス調整を行った後の処理済みの画像とを切り換え表示させたり、1画面内に分割表示させたりするようにしてもよい。
【0037】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態について図6及び図7を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、ホワイトバランス調整を行った後の部分処理画像と全体処理画像を切り換え表示させるようにしたが、この第2実施形態においては、ホワイトバランス調整を行った後の全体処理画像と検出領域DAとを識別可能に表示するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的或いは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0038】
図6は、第2実施形態において、図3に続く動作を示したフローチャートである。図7は、ホワイトバランス調整機能を説明するための表示例を示した図で、以下、図6のフローチャートを、図7を参照して具体的に説明する。なお、第2実施形態において図6のフローチャートのうち、図4の第1実施形態と基本的に同様な部分は簡単に説明するものとする。
【0039】
先ず、制御部1は、撮影モードにおいてタッチ表示部4へのタッチ操作が行われたときには、タッチ表示部4からそのタッチ位置座標を取得した後(図6のステップS31)、図7(1)に示すように領域検出処理を行って検出領域DAを特定する(ステップS32)。そして、この検出領域DA内の部分画像データから色情報を検出し、この色情報からホワイトバランス調整値を算出し(ステップS33)、このホワイトバランス調整値に基づいてライブビュー画像の画像全体(ライブビュー画面の全体)に対してホワイトバランス調整を行い、その調整後の画像(全体処理画像)を生成する(ステップS34)。
【0040】
そして、ホワイトバランス調整された後の処理済み画像(全体処理画像)をタッチ表示部4の画面(ライブビュー画面)に表示させると共に、検出領域DAを識別可能に重畳表示(例えば、輪郭表示:外枠表示)させる(ステップS35)。図7(4)は、図7(2)で示した全体処理画像に、図7(3)で示した検出領域DAの輪郭(外枠)を重畳させて識別表示させた状態を示している。この状態において、保存の確定操作が行われると(ステップS36でYES)、バッファ内の画像(1)を圧縮して所定形式のファイルとして保存する処理を行った後(ステップS37)、図3のステップS8に戻るが、確定操作が行われなければ(ステップS36でNO)、そのまま図3のステップS8に戻る。
【0041】
以上のように、第2実施形態において制御部1は、撮像部6から取得してタッチ表示部4に表示したライブビュー画像内の位置或いは範囲が指定された場合に、その位置或いは範囲に相当するライブビュー画像内の部分画像データに基づいて、そのライブビュー画像の画像全体に対して画像処理(ホワイトバランス調整処理)を施した全体処理画像と検出領域DAとをタッチ表示部4に識別可能に表示させるようにしたので、ライブビュー画像の全体がホワイトバランス調整された場合に、その全体がどのようにホワイトバランス調整されたのかを確認できると共に、どの位置或いは範囲に基づいてホワイトバランス調整されたかを同時に確認することができ、ユーザにとって最適な処理結果を得ることが可能となる。
【0042】
なお、上述した第2実施形態においては、ホワイトバランス調整を行った後の全体処理画像と検出領域DAとを識別可能に表示するようにしたが、この識別可能のほか更に、ホワイトバランス調整を行う前の未処理の全体画像とホワイトバランス調整を行った後の処理済みの画像(全体処理画像)とを切り換え表示させたり、1画面内に分割表示させたりするようにしてもよい。
【0043】
また、上述した各実施形態においては、画像処理としてホワイトバランス調整を実行する場合を例示したが、例えば、空を背景に人物を撮影した場合や逆光で被写体とその周りとの輝度差が大きい場合などでは、撮影エリアの中をいくつかの部分に分けて、エリア毎に独立してその明るさを測定することにより、適正な露出値を得るようにしたカメラにおいては、露出補正処理を実行するようにしてもよい。この場合、撮像部6から取得してタッチ表示部4に表示させたライブビュー画像内の位置或いは範囲が指定された場合に、その位置或いは範囲に相当するライブビュー画像内の部分画像データに基づいて、露出補正値を算出するようにすればよい。
【0044】
このように画像処理として露出補正処理を実行するようにすれば、ユーザ操作により任意に指定されたライブビュー画像内の位置或いは範囲に対してそのライブビュー画像の画像全体がどのように画像処理(露出補正処理)されたのかを明示することができ、ユーザにとって最適な処理結果を得ることが可能となる。
【0045】
また、上述した各実施形態においては、撮像装置として、デジタルカメラ(コンパクトカメラ)に適用した場合を示したがコンパクトカメラに限らず、カメラ機能付きパーソナルコンピュータ・PDA・音楽プレイヤーなどであってもよい。
【0046】
また、上述した各実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0047】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
撮像手段と、
前記撮像手段により取得された撮影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、その画像部分に対して画像処理を行うと共に前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を前記表示手段に識別可能に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、
前記表示制御手段は、前記画像処理手段により前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を切り換え表示させることにより識別可能に表示させる、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、
前記表示制御手段は、前記画像処理手段により前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を前記表示手段の画面に分割表示させることにより識別可能に表示させる、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、
前記画像処理手段により前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を保存対象として確定することを指示する確定手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、
撮像手段と、
前記撮像手段により取得された撮影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を前記表示手段に表示させると共に、前記指定手段により指定された位置或いは範囲を前記表示手段に識別可能に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の撮像装置において、
前記指定手段は、前記表示手段上に重ね合わせて配設されているタッチパネルであり、
前記指定手段による位置の指定は、前記タッチパネルへのタッチ位置を検出することにより行う、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の撮像装置において、
前記画像処理手段は、前記画像処理としてホワイトバランス調整処理を行う、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の撮像装置において、
前記画像処理手段は、前記画像処理として露出調整を行う、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、
コンピュータに対して、
撮像手段により取得された撮影画像を表示する機能と、
前記表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する機能と、
前記指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、その画像部分に対して画像処理を行うと共に、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う機能と、
前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を識別可能に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラムである。
(請求項10)
請求項10に記載の発明は、
コンピュータに対して、
撮像手段により取得された撮影画像を表示する機能と、
前記表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する機能と、
前記指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う機能と、
前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を表示させると共に、前記指定された位置或いは範囲を識別可能に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0048】
1 制御部
3 記憶部
4 タッチ表示部
4a 表示パネル
4b タッチパネル
5 キー操作部
6 撮像部
DA 検出領域
M1 プログラムメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
前記撮像手段により取得された撮影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、その画像部分に対して画像処理を行うと共に前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を前記表示手段に識別可能に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記画像処理手段により前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を切り換え表示させることにより識別可能に表示させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記画像処理手段により前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を前記表示手段の画面に分割表示させることにより識別可能に表示させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画像処理手段により前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を保存対象として確定することを指示する確定手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像手段と、
前記撮像手段により取得された撮影画像を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段により前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を前記表示手段に表示させると共に、前記指定手段により指定された位置或いは範囲を前記表示手段に識別可能に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記指定手段は、前記表示手段上に重ね合わせて配設されているタッチパネルであり、
前記指定手段による位置の指定は、前記タッチパネルへのタッチ位置を検出することにより行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記画像処理手段は、前記画像処理としてホワイトバランス調整処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記画像処理として露出調整を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
コンピュータに対して、
撮像手段により取得された撮影画像を表示する機能と、
前記表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する機能と、
前記指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、その画像部分に対して画像処理を行うと共に前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う機能と、
前記画像部分に対して画像処理された部分処理画像と、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を識別可能に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに対して、
撮像手段により取得された撮影画像を表示する機能と、
前記表示されている前記撮影画像内の位置或いは範囲を指定する機能と、
前記指定された位置或いは範囲に相当する前記撮影画像内の部分画像データに基づいて、前記撮影画像の画像全体に対して画像処理を行う機能と、
前記撮影画像の画像全体に対して画像処理された全体処理画像を表示させると共に、前記指定された位置或いは範囲を識別可能に表示させる機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−249227(P2012−249227A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121460(P2011−121460)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】