撮像装置及び撮像方法
【課題】コストの高い画素密度が高い撮像素子を可及的に用いず、解像度の高い画像を得る撮像装置及び撮像方法を提供する。
【解決手段】第1〜第3の撮像素子21a〜21cを備えた撮像装置10を用いて被写体5を撮像する。駆動部3によって、第1の撮像素子21aを、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置に移動させ、記憶部7によって、第1の撮像素子21aが駆動部3によって撮像位置に移動するごとに第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像によって得られる撮像情報を取得し、制御部4によって、記憶部7によって撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体5の画素情報を1画素より小さい単位で算出し、記憶部7によって、制御部4によって算出された画素情報を被写体5の位置と対応付けて画像情報として記憶する。
【解決手段】第1〜第3の撮像素子21a〜21cを備えた撮像装置10を用いて被写体5を撮像する。駆動部3によって、第1の撮像素子21aを、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置に移動させ、記憶部7によって、第1の撮像素子21aが駆動部3によって撮像位置に移動するごとに第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像によって得られる撮像情報を取得し、制御部4によって、記憶部7によって撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体5の画素情報を1画素より小さい単位で算出し、記憶部7によって、制御部4によって算出された画素情報を被写体5の位置と対応付けて画像情報として記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮像する撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品や金型、治具等の形状を測定し、測定結果に基づき製造装置等の調整を行っている。このような作業において、高解像度の固体撮像素子を搭載した撮像装置が用いられる。固体撮像素子として、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子等が挙げられる。
また、特許文献1には、限られた画素数の撮像素子を用いて高い解像度を得るため、受光面を振動させる固体撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−18958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置の解像度は、一般的に、撮像素子の有効画素数に応じて増加する。しかし、撮像素子の有効画素数を向上するためには、通常、撮像素子が有する受光素子の画素密度を増加する必要がありコストがかかる。一方で、受光素子の数を増やさずに解像度を向上させることを目的として、受光素子の画素密度が高い撮像範囲の狭い撮像素子を用い、撮像する被写体を複数の部分に分割し、撮像素子を移動させながら被写体の部分ごとに複数回撮影を繰り返す方法がある。この場合、得られた画像を、相対的な位置関係を確認しながら、繋ぎ合わせる必要があるため、繋ぎ合わせる画像同士の相対的な位置関係を計算しなければならない。撮像素子の移動距離が増大すると、移動によって生じる位置ズレを考慮して、画素間の相関を計算する必要が生じ、ここでも誤差が発生し易くなるという課題があった。
【0005】
特許文献1に開示された固体撮像装置は、例えば、インターライン転送方式において、感光部に蓄積された信号電荷を信号ブランキング期間に垂直CCDレジスタに転送し、次のフィールド有効期間中に読み出すものであるが、解像度を向上するための詳細については示されていない。
【0006】
そこで本発明は、上述の課題を鑑みて、コストの高い画素密度が高い撮像素子を可及的に用いず、解像度の高い画像を得る撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、被写体(例えば、後述の被写体5)からの入射光を変換して1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pa(1,1)〜Pa(i,j))を、横方向及び縦方向に配列して複数有する第1撮像素子(例えば、後述の第1の撮像素子21a)と、被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pb(1,1)〜Pb(m,1))を、前記第1撮像素子の配列された横方向の一端に一列に複数有する第2撮像素子(例えば、後述の第2の撮像素子21b)と、被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pc(1,1)〜Pc(1,n))を、前記第1撮像素子の配列された縦方向の一端に一列に複数有する第3撮像素子(例えば、後述の第3の撮像素子21c)と、前記第1撮像素子を、前記第2及び第3撮像素子が画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置(例えば、後述の基本位置[1]〜移動位置[4])に移動させる駆動部(例えば、後述の駆動部3)と、前記第1撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に移動するごとに前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報(例えば、後述の出力値)を取得する撮像情報取得部(例えば、後述の記憶部7)と、前記撮像情報取得部によって前記撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体の画素情報(例えば、後述の画素値)を1画素より小さい単位で算出する画素情報算出部(例えば、後述の制御部4)と、前記画素情報算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶する画像情報記憶部(例えば、後述の記憶部7)と、を備えたことを特徴とする撮像装置(例えば、後述の撮像装置10)を提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様によると、第1撮像素子はコストの低い画素密度が低い撮像素子を用い、第2、第3撮像素子は一列だけコストの高い画素密度が高い撮像素子を用い、トータルで撮像素子に用いるコストが低くて済む。このように、コストの高い画素密度が高い撮像素子を可及的に用いず、解像度の高い画像を得ることができる。
また、撮像素子を遮光する遮光板を用いないことから、回折光がなく、迷光の影響がなく、より高精度な画像を得ることができる。
【0009】
被写体からの入射光を前記第1、第2及び第3撮像素子に分光する分光部(例えば、後述の分光器24)をさらに備え、前記撮像情報取得部は、前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を同時に取得すると好ましい。
【0010】
これによると、分光部によって被写体からの入射光が分光されるので、分光された入射光を同時に第1、第2、及び第3撮像素子に入射することができる。これにより、第1、第2及び第3撮像素子の撮像タイミングの同期をとることができ、撮像情報取得部は、第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を同時に取得することができる。よって、被写体からの入射光のちらつき等の輝度の差で、第1、第2及び第3撮像素子の撮像情報に誤差が生じることを回避することができる。したがって、撮像情報の誤差が無い分、より精度よく第1撮像素子のサブピクセルの単位で画像情報を取得することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、被写体(例えば、後述の被写体5)からの入射光を変換して1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pa(1,1)〜Pa(i,j))を、横方向及び縦方向に配列して複数有する第1撮像素子(例えば、後述の第1の撮像素子21a)と、被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pb(1,1)〜Pb(m,1))を、前記第1撮像素子の配列された横方向の一端に一列に複数有する第2撮像素子(例えば、後述の第2の撮像素子21b)と、被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pc(1,1)〜Pc(1,n))を、前記第1撮像素子の配列された縦方向の一端に一列に複数有する第3撮像素子(例えば、後述の第3の撮像素子21c)と、を備えた撮像装置(例えば、後述の撮像装置10)を用いて被写体を撮像する撮像方法であって、駆動部(例えば、後述の駆動部3)によって、前記第1撮像素子を、前記第2及び第3撮像素子が画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置(例えば、後述の基本位置[1]〜移動位置[4])に移動させるステップと、撮像情報取得部(例えば、後述の記憶部7)によって、前記第1撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に移動するごとに前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報(例えば、後述の出力値)を取得するステップと、画素情報算出部(例えば、後述の制御部4)によって、前記撮像情報取得部によって前記撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体の画素情報(例えば、後述の画素値)を1画素より小さい単位で算出するステップと、画像情報記憶部(例えば、後述の記憶部7)によって、前記画素情報算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶するステップと、を含むことを特徴とする撮像方法を提供することである。
【0012】
本発明の第2の態様によっても、上記撮像装置の発明と同様な効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コストの高い画素密度が高い撮像素子をなるべく用いずに高画素の画像を取得することができる。よって設備に費用をかけず、解像度の高い画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の概略図である。
【図2】図1の撮像装置を構成する撮像素子の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の撮像装置を構成する撮像部の概略図である。
【図4】図1の撮像装置を構成する撮像素子を示す図である。
【図5】撮像素子の被写体に対する複数の撮像位置を示す図である。
【図6】基本位置[1]における撮像素子の位置と被写体との関係を示す図である。
【図7】移動位置[2]における撮像素子の位置と被写体との関係を示す図である。
【図8】移動位置[3]における撮像素子の位置と被写体との関係を示す図である。
【図9】移動位置[4]における撮像素子の位置と被写体との関係を示す図である。
【図10】被写体の画像情報を、第1の撮像素子の1画素の4分の1相当のサブピクセルの画素値として得た状態を示す図である。
【図11】図1の撮像装置が実行する画像情報を取得する処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1〜図11を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の概略について説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の概略図であり、図2は、本実施の形態に係る撮像装置の撮像素子の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す撮像装置10は、被写体5を撮影して電気信号に変換する第1の撮像素子21a、第2の撮像素子21b、第3の撮像素子21c及び被写体5からの入射光を第1〜第3の撮像素子21a〜21cに分光する分光器24を含む撮像部2と、第1の撮像素子21aを駆動する駆動部3と、第1〜第3の撮像素子21a〜21c、撮像部2及び駆動部3を制御する制御部4と、撮像部2によって撮像された被写体5の画像データを記憶する記憶部7と、画像データに基づいて被写体5の画像を表示する表示部8と、を含む。
【0018】
撮像部2は、第1〜第3の撮像素子21a〜21c及び分光器24の他、被写体5からの光を後述する撮像位置に配置された第1〜第3の撮像素子21a〜21cに結像させる不図示の撮像レンズを含む。撮像位置に配置された第1〜第3の撮像素子21a〜21cは、撮像レンズによって結像される被写体5からの入射光を電気信号に変換する。第1〜第3の撮像素子21a〜21cは、撮像レンズによって自身に投影されて結像される被写体5を光電変換する受光素子を複数備えたCCD(Charge Coupled Device)撮像素子や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子等によって構成される。分光器24は、ダイロックプリズム等が用いられ、被写体5からの入射光を均等に3分割して第1〜第3の撮像素子21a〜21cへ分光する。撮像部2は撮像手段の機能を有する。
【0019】
駆動部3は、第1の撮像素子21aを、被写体5を撮像するために適切な撮像位置に駆動する。駆動部3の詳細については後述する。一方、第2、第3の撮像素子21b、21cは、駆動部3で駆動されず撮像位置に固定されている。
【0020】
本実施の形態では、制御部4と記憶部7と表示部8とは、コンピュータ9の一部として構成される。制御部4は、図示を省略するが、撮像装置10が各種機能を実行するためのプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、ROMに記憶されたプログラムを実行して撮像装置10の各種機能を実現するCPU(Central Processing Unit)と、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶されるRAM(Random Access Memory)等とによって構成される。
【0021】
制御部4は、駆動部3を制御して第1の撮像素子21aを移動させ、第1の撮像素子21aを撮像位置に配置する。さらに、制御部4は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cから出力される電気信号を処理して、画像データ(画像情報)を生成し、生成した画像データを記憶部7に記憶する。さらに制御部4は、生成した画像データに基づいて表示部8に撮像部2が撮像した画像を表示する。また、制御部4は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cから出力される電気信号を処理する際に、後述する演算処理を実行する。
【0022】
表示部8は、液晶ディスプレイ等によって構成される。記憶部7は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びハードディスク等によって構成される。
【0023】
[撮像素子の構成]
次に、図2を参照して、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの基本構成について説明する。図2(a)に示すように、第1の撮像素子21aは、横方向及び縦方向の二次元に配列された複数の受光素子から構成されている。図2(b)に示すように、第2の撮像素子21bは、第1の撮像素子21aの配列された横方向の一端に一列に配列された複数の受光素子から構成されている。図2(c)に示すように、第3の撮像素子21cは、第1の撮像素子21aの配列された縦方向の一端に一列に配列された複数の受光素子から構成されている。受光素子の各々は所定の面積を有する受光面を含む。受光素子の各々は、この受光面に入射光を受光すると光電変換を実行して、受光面あたりの受光量に応じて信号電荷を生成する。図2(a)に示す第1の撮像素子21aの受光素子は、1画素分に相当する信号電荷を生成する。なお、以下では、1画素を、第1の撮像素子21aの1画素として説明する。図2(b)、(c)に示す第2、第3の撮像素子21b、21cの受光素子は、1画素より小さい単位の領域、ここでは第1の撮像素子21aの1画素の4分の1の単位に相当する信号電荷を生成する。この受光素子の各々が有する受光面を、以後、「画素情報取得領域」と呼ぶ。このため、図2(a)に示す第1の撮像素子21aの受光素子を二次元に配列して形成される第1の撮像素子21aが有する受光面全体は、受光素子ごとに、各々が1画素に相当する信号電荷を発生する複数の画素情報取得領域に分割することができる。図2(b)、(c)に示す第2、第3の撮像素子21b、21cの受光素子を一列に配列して形成される第2、第3の撮像素子21b、21cが有する受光面全体は、受光素子ごとに、各々が第1の撮像素子21aの1画素の4分の1の単位に相当する信号電荷を発生する複数の画素情報取得領域に分割することができる。ここで、本明細書では、第2、第3の撮像素子21b、21cの一つの画素については、1画素とは呼ばず、第1の撮像素子21aの1画素の4分の1の単位の画素という。
【0024】
図2(a)に示すように、第1の撮像素子21aの受光面を形成する画素情報取得領域の数によって第1の撮像素子21aの総数は決定される。ここで、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域は、1画素に相当する。よって、例えば、i,jを任意の自然数とすると、横方向に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、横画素数をi、縦方向に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、縦画素数をjとすると、この第1の撮像素子21aの総数(=総画素数)はi×jとなる。また、画素情報取得領域は、受光素子の受光面に相当する。
すなわち、第1の撮像素子21aは、受光素子U(1,1)、U(2,1)、U(3,1)、・・・・、U(1,2)、U(1,3)、・・・・、U(i,j)を有する。受光素子U(1,1)、U(2,1)、U(3,1)、・・・・、U(1,2)、U(1,3)、・・・・、U(i,j)の各々が形成する画素情報取得領域をそれぞれ、画素情報取得領域Pa(1,1)、Pa(2,1)、Pa(3,1)、・・・・、Pa(1,2)、Pa(1,3)、・・・・、Pa(i,j)として表す。
【0025】
図2(b)に示すように、第2の撮像素子21bの受光面を形成する画素情報取得領域の数によって第2の撮像素子21bの総数は決定される。ここで、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域は、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域の1画素の4分の1に相当する。よって、例えば、mを任意の自然数とすると、この第2の撮像素子21bの総数は、横方向に一列に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、mとなる。ここで、第2の撮像素子21bの横幅は、1画素の2分の1であるので、総数mは、第1の撮像素子21aの横数(=横画素数)のiの2倍となる。すなわち、m=2iである。また、画素情報取得領域は、受光素子の受光面に相当する。
すなわち、第2の撮像素子21bは、受光素子V(1,1)、V(2,1)、V(3,1)、・・・・、V(m=2i,1)を有する。受光素子V(1,1)、V(2,1)、V(3,1)、・・・・、V(m,1)の各々が形成する画素情報取得領域をそれぞれ、画素情報取得領域Pb(1,1)、Pb(2,1)、Pb(3,1)、・・・・、Pb(m,1)として表す。
【0026】
図2(c)に示すように、第3の撮像素子21cの受光面を形成する画素情報取得領域の数によって第3の撮像素子21cの総数は決定される。ここで、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域は、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域の1画素の4分の1に相当する。よって、例えば、nを任意の自然数とすると、この第3の撮像素子21cの総数は、縦方向に一列に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、nとなる。ここで、第3の撮像素子21cの縦幅は、1画素の2分の1であるので、総数nは、第1の撮像素子21aの縦数(=縦画素数)のjの2倍となる。すなわち、n=2jである。また、画素情報取得領域は、受光素子の受光面に相当する。
すなわち、第3の撮像素子21cは、受光素子W(1,1)、W(1,2)、W(1,3)、・・・・、W(1,n=2j)を有する。受光素子W(1,1)、W(1,2)、W(1,3)、・・・・、W(1,n)の各々が形成する画素情報取得領域をそれぞれ、画素情報取得領域Pc(1,1)、Pc(1,2)、Pc(1,3)、・・・・、Pc(1,n)として表す。
【0027】
図4(A)に、本実施の形態の第1の撮像素子21aを示す。図4(A)に示すように、本実施の形態では、第1の撮像素子21aには遮光板が形成されていないため、第1の撮像素子21aに遮光エリアが形成されない。これは、遮光板は、従来では後述する1画素よりも小さい単位で画素情報を取得するために必要であったが、本実施の形態では必要が無いためである。このため、第1の撮像素子21aの受光エリアに入射する光L1と保護膜28に入射する光L2には通常の吸収と反射が行われる。よって、遮光板を設けることによる第1の撮像素子21aの受光エリアと遮光板との境界が形成されず、このような場所に入射する光による回折光が生じない。また、第1の撮像素子21aの遮光エリアが無いので、第1の撮像素子21aは迷光の影響がない。このため、第1の撮像素子21aはノイズの影響を受けない。
【0028】
参考までに、図4(B)に、従来の撮像素子21と遮光板6との関係を示す。遮光板6は撮像素子21を覆う保護膜28の上方に配置される。このため、撮像素子21と遮光板6との間には一定の距離がある。したがって、遮光板6の境界部に入射する光L3により生じる回折光LS1、LS2は大きくなり、遮光板6が遮光する遮光エリアに入射してノイズの原因になる。また、遮光板6の境界部から撮像素子21の遮光エリアに直接入射する迷光L4が生じ、ノイズの原因になる。
【0029】
このように、本実施の形態では、図4(A)に示すように第1の撮像素子21aには、遮光板を設ける必要が無くなるので、遮光板を設けることによる回折光が無くなると共に、迷光の影響が生じない。
【0030】
[撮像部の構成]
図3に戻って、本実施の形態に係る撮像装置10では、撮像部2は第1〜第3の撮像素子21a〜21cを備えている。駆動部3は制御部4の制御に基づいて第1の撮像素子21aを複数の撮像位置に移動させるよう駆動する。第1の撮像素子21aは、入射光を適切に受光し、被写体5を撮像可能な撮像ポイントに配置されている。また、第2、第3の撮像素子21b、21cは、入射光を適切に受光し、被写体5を撮像可能な撮像ポイントに固定配置されている。駆動部3は、撮像ポイントに位置する第1の撮像素子21aを、第1の撮像素子21aの入射光に対する垂直な面の方向X、Yが1画素の2分の1の単位であるサブピクセルの単位でシフトさせる(図3(B)参照)。駆動部3の駆動機構は、圧電素子アクチュエータ、距離センサ等により構成することができる。
【0031】
図5に、駆動部3によって第1の撮像素子21aを駆動することにより、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの画素情報取得領域が取り得る被写体5に対する複数の撮像位置を示す。
【0032】
撮像ポイントに配置された第1の撮像素子21aは、駆動部3が第1の撮像素子21aを移動させることにより、第1の撮像素子21aが受光する被写体5からの入射光に対する垂直な面が当該垂直の方向X、Yに1画素の2分の1の単位であるサブピクセルの単位で移動をして、所定の撮像位置に設定される。駆動部3が第1の撮像素子21aを移動させることによって、第1の撮像素子21aが受光する被写体5からの入射光に対する垂直な面と被写体5との位置をずらす様々なパターンを形成することができる。第1の撮像素子21aが入射光に対して垂直な面の方向X、Yにサブピクセルの単位で移動をして図5に示すパターンI〜IVのそれぞれに相当する撮像情報を取得する場合について説明する。
図5に、パターンI〜IV毎の第1〜第3の撮像素子21a〜21cと被写体5との位置関係を示す図5(A)〜図5(D)と、パターンI〜IVに相当する撮像情報を取得するために必要な、第1〜第3の撮像素子21a〜21cのパターンIを基準とする移動方向と移動量(位相ズレ量)の表を示す図5(E)とを示す。
【0033】
図5(A)及び図5(E)に示すように、基本位置[1]では、第1〜第3の撮像素子21a〜21cはパターンIにおける撮像情報を取得することができる。この位置を基本位置[1]とする。パターンIは、第1の撮像素子21aが、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、被写体5の端部を1画素面積撮像するパターンである。つまり、パターンIは、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部において、第1の撮像素子21aの端部と、その端部の角に位置する被写体5の端部が一致する状態である。
【0034】
さらに、図5(B)及び図5(E)に示すように、第1の撮像素子21aは被写体5に対して基本位置[1]よりX軸に沿って紙面右方向に2分の1画素(サブピクセル)に相当する距離だけ移動することにより、パターンIIにおける撮像情報を取得することができる。この位置を移動位置[2]とする。パターンIIは、第1の撮像素子21aが、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、被写体5の端部を右側の縦方向に長い2分の1画素面積撮像するパターンである。つまり、パターンIIは、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する4分の1画素の単位を、パターンIから変化させたものであり、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部に対して、その端部の角から2分の1画素右にずれて、第1の撮像素子21aの端部が位置する状態である。
【0035】
また、図5(C)及び図5(E)に示すように、第1の撮像素子21aは被写体5に対して基本位置[1]よりY軸に沿って紙面下方向に2分の1画素に相当する距離だけ移動することにより、パターンIIIにおける撮像情報を取得することができる。この位置を移動位置[3]とする。パターンIIIは、第1の撮像素子21aが、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、被写体5の端部を下側の横方向に長い2分の1画素面積撮像するパターンである。つまり、パターンIIIは、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する4分の1画素の単位を、パターンIから変化させたものであり、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部に対して、その端部の角から2分の1画素下にずれて、第1の撮像素子21aの端部が位置する状態である。
【0036】
さらに、図5(D)及び図5(E)に示すように、第1の撮像素子21aは被写体5に対して、基本位置よりX軸に沿って紙面右方向に2分の1画素、Y軸に沿って紙面下方向に2分の1画素に相当する距離だけ移動することにより、パターンIVにおける撮像情報を取得することができる。この位置を移動位置[4]とする。パターンIVは、第1の撮像素子21aが、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、被写体5の端部を右下の4分の1画素の最小面積撮像するパターンである。つまり、パターンIVは、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する4分の1画素の単位を、パターンIから変化させたものであり、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部に対して、その端部の角から2分の1画素右にずれ且つ2分の1画素下にずれて第1の撮像素子21aの端部が位置する状態である。
【0037】
このように、第1の撮像素子21aを入射光に対して垂直の方向に2分の1画素の単位でシフトさせるように第1の撮像素子21aを移動させることによって、第1の撮像素子21aは2分の1画素の単位でずれた撮像情報を得ることができる。また、このとき、第2、第3の撮像素子21b、21cでは、4分の1画素の単位の撮像情報を得ることができる。
【0038】
なお、第2及び第3の撮像素子21b、21cとして、他のサブピクセルの受光素子を有する撮像素子を用いることにより、1画素を4分割した画素情報を得るのみならず、1画素を任意の自然数の整数倍に分割した画素情報を得ることができる。例えば、X、Yを任意の自然数とすると、1画素をX×Y分割することが可能である。
【0039】
[撮像処理]
このようにして構成された第1〜第3の撮像素子21a〜21cを用いて、被写体を効率的に撮像する処理について、以下、図6〜図9を参照して説明する。
【0040】
本実施の形態の撮像処理について説明する。本実施の形態では、第1の撮像素子21aを移動させて、第1の撮像素子21aを、第1の撮像素子21aの1画素に満たない単位(1画素の4分の1)ずつを段階的にずらした複数の撮像位置に移動して被写体5を撮影する処理を、それぞれパターンI〜IV、すなわち第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、第1の撮像素子21aの端部が、1画素面積〜4分の1画素面積である最小面積にわたって撮像するまで段階的に繰り返して被写体5を撮像する。つまり、本実施の形態では、デフォルトを入れて被写体5を4回撮像する。
【0041】
<第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像情報に着目した処理>
図6〜図9に、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置のパターンI〜IVを用いて被写体5を撮像する際に遵守すべき、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの端部と被写体5の端部との間の位置関係及び画素値を示す。本実施の形態では、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置であるパターンI〜IVによって、4つの異なる撮像情報が得られる。
【0042】
以下の処理では、最端部の1画素の4分の1に規定したサブピクセルの小領域に着目して考える。図6〜図9に示すように、撮像される被写体5は、1画素の4分の1ごとの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)で区画される。ここで、画素値A(i,j)は、被写体5の第1の撮像素子21aで撮像する1画素の左上の4分の1画素領域に対応する。画素値B(i,j)は、被写体5の第1の撮像素子21aで撮像する1画素の右上の4分の1画素領域に対応する。画素値C(i,j)は、被写体5の第1の撮像素子21aで撮像する1画素の左下の4分の1画素領域に対応する。画素値D(i,j)は、被写体5の第1の撮像素子21aで撮像する1画素の右下の4分の1画素領域に対応する。
駆動部3は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置がパターンI〜IVとなるように、第1の撮像素子21aを移動させる。
【0043】
まず、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置がパターンIの場合に撮像する。
図6は、基本位置[1]における第1〜第3の撮像素子21a〜21cの位置と被写体5との関係を示す図である。
図6に示す基本位置[1]の場合には、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)で出力値(A(i,j)+B(i,j)+C(i,j)+D(i,j))の1画素分の出力値を得る。
また、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(m,1)で、m=奇数のとき画素値A((m+1)/2,1)又はm=偶数のとき画素値B(m/2,1)の4分の1画素分の出力値を得る。
また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,n)で、n=奇数のとき画素値A(1,(n+1)/2)又はn=偶数のとき画素値C(1,n/2)の4分の1画素分の出力値を得る。
これらの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの出力値を記憶部7に記憶する。
【0044】
続いて、第1の撮像素子21aの位置を基本位置[1]から右方向に被写体5に対して1画素の2分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の第1〜第3の撮像素子21a〜21cの被写体5に対する位置を移動位置[2]とする。
【0045】
図7は、このように第1の撮像素子21aを基本位置[1]から右方向に、被写体5に対して2分の1画素分に相当する距離hシフトするように移動した時の移動位置[2]での第1〜第3の撮像素子21a〜21cと被写体5との関係を示す図である。
図7に示す移動位置[2]の場合には、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)で出力値(A(i+1,j)+B(i,j)+C(i+1,j)+D(i,j))の1画素分の出力値を得る。
また、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(m,1)で、m=奇数のとき画素値A((m+1)/2,1)又はm=偶数のとき画素値B(m/2,1)の4分の1画素分の出力値を得る。
また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,n)で、n=奇数のとき画素値A(1,(n+1)/2)又はn=偶数のとき画素値C(1,n/2)の4分の1画素分の出力値を得る。
これらの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの出力値を記憶部7に記憶する。
【0046】
続いて、第1の撮像素子21aの位置を基本位置[1]から下方向に被写体5に対して1画素の2分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の第1〜第3の撮像素子21a〜21cの被写体5に対する位置を移動位置[3]とする。
【0047】
図8は、このように第1の撮像素子21aを基本位置[1]から下方向に、被写体5に対して2分の1画素分に相当する距離hシフトするように移動した時の移動位置[3]での第1〜第3の撮像素子21a〜21cと被写体5との関係を示す図である。
図8に示す移動位置[3]の場合には、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)で出力値(A(i,j+1)+B(i,j+1)+C(i,j)+D(i,j))の1画素分の出力値を得る。
また、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(m,1)で、m=奇数のとき画素値A((m+1)/2,1)又はm=偶数のとき画素値B(m/2,1)の4分の1画素分の出力値を得る。
また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,n)で、n=奇数のとき画素値A(1,(n+1)/2)又はn=偶数のとき画素値C(1,n/2)の4分の1画素分の出力値を得る。
これらの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの出力値を記憶部7に記憶する。
【0048】
続いて、第1の撮像素子21aの位置を基本位置[1]から右下方向に被写体5に対して1画素の2分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の第1〜第3の撮像素子21a〜21cの被写体5に対する位置を移動位置[4]とする。
【0049】
図9は、このように第1の撮像素子21aを基本位置[1]から右下方向に、被写体5に対してそれぞれ2分の1画素分に相当する距離hシフトするように移動した時の移動位置[4]での第1〜第3の撮像素子21a〜21cと被写体5との関係を示す図である。
図9に示す移動位置[4]の場合には、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)で出力値(A(i+1,j+1)+B(i,j+1)+C(i+1,j)+D(i,j))の1画素分の出力値を得る。
また、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(m,1)で、m=奇数のとき画素値A((m+1)/2,1)又はm=偶数のとき画素値B(m/2,1)の4分の1画素分の出力値を得る。
また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,n)で、n=奇数のとき画素値A(1,(n+1)/2)又はn=偶数のとき画素値C(1,n/2)の4分の1画素分の出力値を得る。
これらの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの出力値を記憶部7に記憶する。
【0050】
以下、上記で説明した、基本位置[1]、移動位置[2]、移動位置[3]、移動位置[4]のように、パターンI〜IVの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置で撮像した撮像情報を用いて1画素の4分の1ごとの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)を導出する手法を説明する。
【0051】
まず、図6に示す基本位置[1]のパターンIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,1)で出力値(A(1,1)+B(1,1)+C(1,1)+D(1,1))を得ている。これに対し、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(1,1)で、出力値として画素値A(1,1)及び画素情報取得領域Pb(2,1)で、出力値として画素値B(1,1)を得ている。また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,1)で、出力値として画素値A(1,1)及び画素情報取得領域Pc(1,2)で、出力値として画素値C(1,1)を得ている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,1)の出力値(A(1,1)+B(1,1)+C(1,1)+D(1,1))から画素情報取得領域Pb(1,1)又はPc(1,1)の画素値A(1,1)と、画素情報取得領域Pb(2,1)の画素値B(1,1)と、画素情報取得領域Pc(1,2)の画素値C(1,1)とを引く。結果、画素値D(1,1)を得ることができる。
【0052】
次に、図7に示す移動位置[2]のパターンIIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,1)で出力値(A(2,1)+B(1,1)+C(2,1)+D(1,1))を得ている。これに対し、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(2,1)で、出力値として画素値B(1,1)及び画素情報取得領域Pb(3,1)で、出力値として画素値A(2,1)を得ている。また、上記で画素値D(1,1)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,1)の出力値(A(2,1)+B(1,1)+C(2,1)+D(1,1))から画素情報取得領域Pb(2,1)の画素値B(1,1)と、画素情報取得領域Pb(3,1)の画素値A(2,1)と、計算により得られている画素値D(1,1)とを引く。結果、画素値C(2,1)を得ることができる。
【0053】
次に、図8に示す移動位置[3]のパターンIIIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,1)で出力値(A(1,2)+B(1,2)+C(1,1)+D(1,1))を得ている。これに対し、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,2)で、出力値として画素値C(1,1)及び画素情報取得領域Pc(1,3)で、出力値として画素値A(1,2)を得ている。また、上記で画素値D(1,1)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,2)の出力値(A(1,2)+B(1,2)+C(1,1)+D(1,1))から画素情報取得領域Pc(1,2)の画素値C(1,1)と、画素情報取得領域Pc(1,3)の画素値A(1,2)と、計算により得られている画素値D(1,1)とを引く。結果、画素値B(1,2)を得ることができる。
【0054】
次に、図6に示す基本位置[1]のパターンIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(2,1)で出力値(A(2,1)+B(2,1)+C(2,1)+D(2,1))を得ている。これに対し、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(3,1)で、出力値として画素値A(2,1)及び画素情報取得領域Pb(4,1)で、出力値として画素値B(2,1)を得ている。また、上記で画素値C(2,1)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(2,1)の出力値(A(2,1)+B(2,1)+C(2,1)+D(2,1))から画素情報取得領域Pb(3,1)の画素値A(2,1)と、画素情報取得領域Pb(4,1)の画素値B(2,1)と、計算により得られている画素値C(2,1)とを引く。結果、画素値D(2,1)を得ることができる。
【0055】
また同様に、図6に示す基本位置[1]のパターンIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,2)で出力値(A(1,2)+B(1,2)+C(1,2)+D(1,2))を得ている。これに対し、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,3)で、出力値として画素値A(1,2)及び画素情報取得領域Pc(1,4)で、出力値として画素値C(1,2)を得ている。また、上記で画素値B(1,2)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,2)の出力値(A(1,2)+B(1,2)+C(1,2)+D(1,2))から画素情報取得領域Pc(1,3)の画素値A(1,2)と、画素情報取得領域Pc(1,4)の画素値C(1,2)と、計算により得られている画素値B(1,2)とを引く。結果、画素値D(1,2)を得ることができる。
【0056】
次に、図9に示す移動位置[4]のパターンIVの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,1)で出力値(A(2,2)+B(1,2)+C(2,1)+D(1,1)を得ている。これに対し、上記で画素値B(1,2)及び画素値C(2,1)及び画素値D(1,1)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,1)の出力値(A(2,2)+B(1,2)+C(2,1)+D(1,1))から計算により得られている画素値B(1,2)及び画素値C(2,1)及び画素値D(1,1)を引く。結果、画素値A(2,2)を得ることができる。
【0057】
以上のように、基本位置[1]〜移動位置[4]のパターンI〜IVのいずれかの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)の出力値(A+B+C+D)から、これらに含まれる画素値A、B、C、Dのうち既知の左上、右上及び左下側の3つの画素値を引く。結果、画素情報取得領域Pa(i,j)の出力値(A+B+C+D)に含まれる画素値A、B、C、Dのうち未知の右下側の1つの画素値を算出することができる。
以下、この法則で被写体5の、1画素の4分の1ごとの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)を順に算出する。そして、これらの画素値を記憶部7に記憶する。
つまり、画素値A(i,j)=出力値(A(i,j)+B(i−1,j)+C(i,j−1)+D(i−1,j−1))−(B(i−1,j)+C(i,j−1)+D(i−1,j−1))である。
画素値B(i,j)=出力値(A(i,j)+B(i,j)+C(i,j−1)+D(i,j−1))−(A(i,j)+C(i,j−1)+D(i,j−1))である。
画素値C(i,j)=出力値(A(i,j)+B(i−1,j)+C(i,j)+D(i−1,j))−(A(i,j)+B(i−1,j)+D(i−1,j))である。
画素値D(i,j)=出力値(A(i,j)+B(i,j)+C(i,j)+D(i,j))−(A(i,j)+B(i,j)+C(i,j))である。
【0058】
このようにして、第1の撮像素子21aを所定の撮像位置、すなわちパターンI〜IVに移動させることによって、第1の撮像素子21aを基本位置[1]から移動位置[2]〜移動位置[3]を経て移動位置[4]にシフトさせて撮像情報を得ることができる。そしてこの4つの撮像情報の違いに基づいて、上記のように被写体5の画像情報を、1画素の4分の1相当のサブピクセルの画素値として得ることができる。
図10は、被写体5の画像情報を、1画素の4分の1相当のサブピクセルの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)として得た状態を示す図である。
【0059】
図11を参照して、本実施の形態の撮像装置10が被写体5の画像情報を取得する処理のフローについて説明する。以下の処理は、制御部4の制御によって行われる。
【0060】
まず、制御部4は駆動部3を制御して、第1の撮像素子21aの位置を設定する(ステップS101)。具体的には、制御部4は、駆動部3を制御して第1の撮像素子21aを移動させ、第1の撮像素子21aが被写体5を撮像可能な撮像ポイントFに配置する。なお、第2、第3の撮像素子21b、21cは被写体5を撮像可能な撮像ポイントに固定配置されている。
【0061】
続けて、第1の撮像素子21aを所定量、所定の方向にシフトして撮像する(ステップS102)。
具体的には、制御部4は駆動部3を制御して第1の撮像素子21aを移動させ、第1の撮像素子21aを、入射光に対して垂直な面の方向X、Yにサブピクセルの単位で、被写体5を撮像するために適当な所定の撮像位置(基本位置[1]から移動位置[2]〜移動位置[3]を経て移動位置[4])までシフトして撮像を行う。撮像は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cで同期をとって同時に行う。
【0062】
続けて、撮像を行ったことによる第1〜第3の撮像素子21a〜21cからの出力値(撮像情報)を入力する(ステップS103)。
具体的には、制御部4は撮像部2を制御して撮像を行い、第1〜第3の撮像素子21a〜21cのそれぞれの画素情報取得領域Pa(1,1)〜Pa(i,j)、Pb(1,1)〜Pb(m,1)、Pc(1,1)〜Pc(1,n)から出力される出力値(撮像情報)を入力して、記憶部7に記憶する。
【0063】
続けて、画素値を算出する(ステップS104)。
具体的には、制御部4は第1〜第3の撮像素子21a〜21cのそれぞれの画素情報取得領域Pa(1,1)〜Pa(i,j)、Pb(1,1)〜Pb(m,1)、Pc(1,1)〜Pc(1,n)からの複数の撮像位置での出力値(撮像情報)から、それぞれの被写体5の画素情報であるサブピクセルの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)を算出し、記憶部7に記憶する。
【0064】
ステップS104において、制御部4が、被写体5の全ての画素情報であるサブピクセルの画素値が算出されると、算出した全画素値を記憶部7に、対応する被写体5の位置情報と対応付けて被写体5の画像情報として記憶する(ステップS105)。また、必要に応じて、算出した全画素値に基づいて画像を表示する。具体的には、制御部4は表示部8を制御して、記憶部7に記憶された被写体5の全ての画素情報に基づいて被写体5の画像を表示する。これをもって、画像情報取得処理は終了する。
【0065】
本実施の形態の撮像装置10は、第1の撮像素子21aで、被写体5からの入射光を4つのパターンI〜IVに分けて撮像する。また、同時に第2、第3の撮像素子21b、21cで、被写体5からの入射光を撮像する。これにより、第1の撮像素子21aの受光素子からの、異なるパターンI〜IVでの出力値(撮像情報)を取得すると共に、第2、第3の撮像素子21b、21cの受光素子からの、1画素の4分の1ごとの出力値(撮像情報)を取得するステップ(ステップS103)と、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの受光素子からの複数の出力値(撮像情報)から、第1の撮像素子21aの各々の受光素子による受光領域よりも小さな面積(4分の1画素)における受光量に応じた画素値(画素情報)を算出するステップ(ステップS104)と、ステップS104によって算出された画素値(画素情報)を被写体5の位置と対応付けて画像情報として記憶するステップ(ステップS106)と、を含む撮像方法を実行する。
かかる撮像方法は、第1の撮像素子21aを変位させるごとの1画素に対応した出力値と、第2、第3の撮像素子21b、21cの1画素よりも小さな面積に対応した出力値とに基づいて、一層微細な被写体5の画素値(A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)のいずれか)を得ることができるので、第1の撮像素子21aの受光素子の画素密度を上げる必要ない。つまり、画素密度が低くコストが低い撮像素子をできるだけ用いて、本実施例では4倍の高画素の画像を取得することができる。よって設備に費用をかけず、解像度の高い画像を取得することができる。また、第1の撮像素子21aに遮光板を設ける必要も無く、遮光板を設けることによる弊害もない。つまり、遮光板を用いないことから、回折光がなく、迷光の影響がなく、より高精度な画像を得ることができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、第1の撮像素子21aを用いて、画素領域を1画素の2分の1に相当する距離ごとに段階的にシフトして被写体5を撮影する処理を、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で第1の撮像素子21aの端部を第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像情報を取得するように繰り返して被写体5を撮影する場合について説明した。すなわち、被写体5を、1画素を4分割したサブピクセルの精度で撮影する場合を例に説明した。しかしながら、3つの撮像素子を用いて画素領域をシフトする距離は1画素の2分の1に相当する距離に限定されない。使用する撮像素子の数も限定されない。また、画素領域をシフトする方向も横方向と縦方向で異なってもよい。X、Yを任意の自然数とすると、被写体5を横方向及び縦方向にそれぞれ1画素のX分の1及び1画素のY分の1に相当する距離ごとにシフトして撮影する処理を、1画素をXにYを乗じて得られた整数個に分割したサブピクセルの精度で撮影する場合も同様の手順で実行することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態の撮像装置10は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cにより4つのパターンI〜IVで撮像して得た複数の撮像情報の違いから、第1の撮像素子21aの受光素子の受光面よりも小さな面積における受光量に応じた画素値を算出する算出手段である制御部4と、制御部4によって算出された画素値を被写体5の位置と対応付けて記憶する記憶部7と、をさらに備えることができる。よって、本実施の形態の撮像装置10は、パターンI〜IVを異ならせた複数の撮像情報の違いから、第1の撮像素子21aの受光素子の受光面よりも小さな面積における受光量に応じた画素値を算出し、算出した画素値を被写体5の位置と対応付けて記憶することができる。したがって、撮像装置10は、第1の撮像素子21aの受光素子の各々の受光面よりも小さな面積に対応した画素値に基づく、一層微細な被写体5の画像情報を取得することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態の撮像装置10によると、第1の撮像素子21aの位置を、第1の撮像素子21aの受光素子の寸法よりも小さな距離ずつ変位させた、異なるパターンI〜IVにシフトさせる駆動部3を備える。かかる構成により、本実施の形態の撮像装置10は、第1の撮像素子21aの受光素子の寸法よりも小さな距離ずつ変位させることができるので、第1の撮像素子21aの受光素子をその寸法より小さな距離ずつ変位させながら、第1の撮像素子21aの受光素子の受光面よりも小さな面積に対応した画素値(画素情報)に基づく、一層微細な被写体5の画像情報を得ることができる。
【0069】
したがって、第1の撮像素子21aの受光素子の画素密度を増加させることなく、また、画像を繋ぎ合わせる必要もなく、一層微細な被写体5の画像情報を得ることができる。第1の撮像素子21aはコストの低い画素密度が低い撮像素子を用い、第2、第3の撮像素子21b、21cは一列だけコストの高い画素密度が高い撮像素子を用い、トータルで撮像素子に用いるコストが低くて済む。このように、低画素のイメージセンサをできるだけ用いて高画素の画像を取得できる。よって、本実施の形態の撮像装置10は、設備に費用をかけない低コストな手法で、解像度の高い画像を取得することができる。
【0070】
本実施の形態の撮像装置10は、ステップS104において、パターンI〜IVにより異なる撮像情報の違いから求まる、3つの既知の4分の1画素の画素値を、これら3つの既知の画素値と未知の4分の1画素の画素値とで構成される第1の撮像素子21aの画素情報取得領域の1画素分の出力値から、差し引くことで、未知の画素値、すなわち目的とする画素値を求めるステップを含む撮像方法を実行する。
【0071】
また、本実施の形態では、被写体5を、1画素を4分割したサブピクセルの精度で撮影する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本実施の形態では、第1の撮像素子21aを、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位ずつで段階的にずらした撮像位置であって、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で第1の撮像素子21aの端部を第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像位置に、シフトさせて被写体5を撮影するとしたが、本発明はこれに限定されない。
【0072】
例えば、X、Yを任意の自然数とすると、第2、第3の撮像素子21b、21cとしてそれぞれ横方向に1画素のX分の1及び縦方向に1画素のY分の1に相当する画素値を得る撮像素子を用い、被写体5の2辺に対して、横方向及び縦方向にそれぞれ1画素のX分の1及び1画素のY分の1に相当する距離ごとに段階的にシフトした撮影位置であって、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で第1の撮像素子21aの端部を第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像位置で、繰り返して被写体5を撮影することでもよい。これにより、同様の手法で、1画素をXにYを乗じて得られた整数だけ分割したサブピクセルの精度で撮影することができる。
かかる実施の形態の撮像装置では、第2、第3の撮像素子21b、21cの1画素あたりの数を変化させることで、撮像する画像の解像度又は撮像する画像を構成する画素数情報を任意に増やすことができる。
【0073】
すなわち、駆動部3は、第1の撮像素子21aを、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位ずつで段階的にずらした撮像位置であって、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で第1の撮像素子21aの端部を第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像位置に、シフトさせる。
第1〜第3の撮像素子21a〜21cは、駆動部3によって第1の撮像素子21aが撮像位置に駆動される都度、撮像を行う。記憶部7は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cが生成する信号電荷に基づいて撮像情報を取得する。記憶部7は撮像情報取得部を構成する。
さらに制御部4は、撮像部2が駆動部3によって駆動された撮像位置ごとに算出した撮像情報の違い、すなわち撮像位置ごとの第1〜第3の撮像素子21a〜21cが生成した信号電荷の違いに基づき、被写体5の一部に対応する画素情報を1画素より小さい単位で算出する。制御部4は画素情報算出部を構成する。
制御部4は、こうして算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶部7に記憶する。記憶部7は画素情報記憶部を構成する。
【0074】
なお、本実施の形態では、被写体5からの入射光を第1〜第3の撮像素子21a〜21cに同時に3つに分光する分光器24を備えており、第1〜第3の撮像素子21a〜21cで同時に撮像を行っていた。分光器24は分光部を構成する。しかしこれに限られない。分光器を備えず、パターンI〜IVのそれぞれにおいて、被写体5からの入射光を第1〜第3の撮像素子21a〜21cを切り替えて順に撮像して行くものでもよい。
【0075】
以上説明したように本発明によれば、第1撮像素子の受光素子の画素密度を増加させることなく、また、画像を繋ぎ合わせる必要もなく、一層微細な被写体の画像情報を得ることができる。第1撮像素子はコストの低い画素密度が低い撮像素子を用い、第2、第3撮像素子は一列だけコストの高い画素密度が高い撮像素子を用い、トータルで撮像素子に用いるコストが低くて済む。このように、低画素のイメージセンサをできるだけ用いて高画素の画像を取得できる。よって、本発明の撮像装置は、設備に費用をかけない低コストな手法で、解像度の高い画像を取得することができる。
また、第1撮像素子に遮光板を設ける必要も無く、遮光板を設けることによる弊害もない。つまり、遮光板を用いないことから、回折光がなく、迷光の影響がない。よって、第1撮像素子の精度が悪化せず、第1撮像素子の撮像情報の誤差が無い分、より精度よくサブピクセルの単位で画像情報を取得することができる。
【0076】
本発明の撮像装置では、3枚の撮像素子のうち1つを1画素より小さい単位で移動させて撮像を行うだけでよいので、撮像する被写体を複数の部分に分割し、撮像素子を移動させながら被写体の部分ごとに複数回撮影を繰り返す従来の方法と比べて、処理は非常に簡便である。したがって、本発明によると、撮像素子の移動に要する時間を短くして、撮像に要する全体の時間を短縮して解像度の高い画像を取得することができる。
【0077】
本発明では、3つの撮像素子が撮像位置に配置されるごとに撮像によって得られる、複数の撮像素子の各々が生成する信号電荷(撮像情報)に基づいて、被写体の一部に対応する画素情報を1画素より小さい単位で算出し、算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶することができる。
【0078】
本発明における第1撮像素子が、第2及び第3撮像素子が画素情報を生成する1画素より小さい単位ずつで段階的にずらした撮像位置であって、第2及び第3撮像素子が交わる端部の1画素の領域で被写体の端部を第2及び第3撮像素子が画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像位置に、移動して撮像するように第1撮像素子を駆動すればよい。
【0079】
本発明は、このように構成された撮像素子が、撮像位置に配置される都度、撮像を行う。そして、こうした複数の撮像位置の撮像素子が生成する信号電荷(撮像情報)に基づいて、被写体の一部に対応する画素情報を1画素のXにYを乗じて得られた整数分の一の単位で算出することができる。
【0080】
本発明では、被写体からの入射光を第1、第2及び第3撮像素子に分光する分光部を備えるので、第1、第2及び第3撮像素子は同時に分光された入射光を受光して撮像することができる。これによって、第1、第2及び第3撮像素子でそれぞれ別に撮像を行った場合の入射光のちらつき等の輝度の差による撮像情報の誤差が生じない。したがって、撮像情報の誤差が無い分、より精度よくサブピクセルの単位で画像情報を取得することができる。
【0081】
以上説明したように本発明では、第1撮像素子を1画素より小さい単位で移動させて撮像することによって、サブピクセルの単位で画像情報を取得することができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施の形態では、被写体を、1画素を4分割したサブピクセルの精度で撮影する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、Mを任意の自然数とすると、第2、第3撮像素子にM分の1画素分の入射光を入射させ、第1撮像素子を移動させて撮像する場合は、第2、第3撮像素子が交わる端部の1画素の領域において、その端部の第1撮像素子の画素情報取得領域を、M分の1画素分ずつ段階的にずらして第1撮像素子を移動させながら、被写体をM回撮像して撮像情報を取得し、撮像情報の違いからM分の1画素相当の画素情報を算出すればよい。
【0083】
なお本発明は、ワークの位置を測定するための装置のみならず、撮像素子を備えた電子機器一般に適用することができる。上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0084】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパソコンであってもよい。
【0085】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0086】
2…撮像部
3…駆動部
4…制御部(画素情報算出部)
5…被写体
7…記憶部(撮像情報取得部、画素情報記憶部)
8…表示部
10…撮像装置
21a…第1の撮像素子
21b…第2の撮像素子
21c…第3の撮像素子
24…分光器(分光部)
26…遮光膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮像する撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品や金型、治具等の形状を測定し、測定結果に基づき製造装置等の調整を行っている。このような作業において、高解像度の固体撮像素子を搭載した撮像装置が用いられる。固体撮像素子として、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子等が挙げられる。
また、特許文献1には、限られた画素数の撮像素子を用いて高い解像度を得るため、受光面を振動させる固体撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−18958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置の解像度は、一般的に、撮像素子の有効画素数に応じて増加する。しかし、撮像素子の有効画素数を向上するためには、通常、撮像素子が有する受光素子の画素密度を増加する必要がありコストがかかる。一方で、受光素子の数を増やさずに解像度を向上させることを目的として、受光素子の画素密度が高い撮像範囲の狭い撮像素子を用い、撮像する被写体を複数の部分に分割し、撮像素子を移動させながら被写体の部分ごとに複数回撮影を繰り返す方法がある。この場合、得られた画像を、相対的な位置関係を確認しながら、繋ぎ合わせる必要があるため、繋ぎ合わせる画像同士の相対的な位置関係を計算しなければならない。撮像素子の移動距離が増大すると、移動によって生じる位置ズレを考慮して、画素間の相関を計算する必要が生じ、ここでも誤差が発生し易くなるという課題があった。
【0005】
特許文献1に開示された固体撮像装置は、例えば、インターライン転送方式において、感光部に蓄積された信号電荷を信号ブランキング期間に垂直CCDレジスタに転送し、次のフィールド有効期間中に読み出すものであるが、解像度を向上するための詳細については示されていない。
【0006】
そこで本発明は、上述の課題を鑑みて、コストの高い画素密度が高い撮像素子を可及的に用いず、解像度の高い画像を得る撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、被写体(例えば、後述の被写体5)からの入射光を変換して1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pa(1,1)〜Pa(i,j))を、横方向及び縦方向に配列して複数有する第1撮像素子(例えば、後述の第1の撮像素子21a)と、被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pb(1,1)〜Pb(m,1))を、前記第1撮像素子の配列された横方向の一端に一列に複数有する第2撮像素子(例えば、後述の第2の撮像素子21b)と、被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pc(1,1)〜Pc(1,n))を、前記第1撮像素子の配列された縦方向の一端に一列に複数有する第3撮像素子(例えば、後述の第3の撮像素子21c)と、前記第1撮像素子を、前記第2及び第3撮像素子が画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置(例えば、後述の基本位置[1]〜移動位置[4])に移動させる駆動部(例えば、後述の駆動部3)と、前記第1撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に移動するごとに前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報(例えば、後述の出力値)を取得する撮像情報取得部(例えば、後述の記憶部7)と、前記撮像情報取得部によって前記撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体の画素情報(例えば、後述の画素値)を1画素より小さい単位で算出する画素情報算出部(例えば、後述の制御部4)と、前記画素情報算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶する画像情報記憶部(例えば、後述の記憶部7)と、を備えたことを特徴とする撮像装置(例えば、後述の撮像装置10)を提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様によると、第1撮像素子はコストの低い画素密度が低い撮像素子を用い、第2、第3撮像素子は一列だけコストの高い画素密度が高い撮像素子を用い、トータルで撮像素子に用いるコストが低くて済む。このように、コストの高い画素密度が高い撮像素子を可及的に用いず、解像度の高い画像を得ることができる。
また、撮像素子を遮光する遮光板を用いないことから、回折光がなく、迷光の影響がなく、より高精度な画像を得ることができる。
【0009】
被写体からの入射光を前記第1、第2及び第3撮像素子に分光する分光部(例えば、後述の分光器24)をさらに備え、前記撮像情報取得部は、前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を同時に取得すると好ましい。
【0010】
これによると、分光部によって被写体からの入射光が分光されるので、分光された入射光を同時に第1、第2、及び第3撮像素子に入射することができる。これにより、第1、第2及び第3撮像素子の撮像タイミングの同期をとることができ、撮像情報取得部は、第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を同時に取得することができる。よって、被写体からの入射光のちらつき等の輝度の差で、第1、第2及び第3撮像素子の撮像情報に誤差が生じることを回避することができる。したがって、撮像情報の誤差が無い分、より精度よく第1撮像素子のサブピクセルの単位で画像情報を取得することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、被写体(例えば、後述の被写体5)からの入射光を変換して1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pa(1,1)〜Pa(i,j))を、横方向及び縦方向に配列して複数有する第1撮像素子(例えば、後述の第1の撮像素子21a)と、被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pb(1,1)〜Pb(m,1))を、前記第1撮像素子の配列された横方向の一端に一列に複数有する第2撮像素子(例えば、後述の第2の撮像素子21b)と、被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域(例えば、後述の画素情報取得領域Pc(1,1)〜Pc(1,n))を、前記第1撮像素子の配列された縦方向の一端に一列に複数有する第3撮像素子(例えば、後述の第3の撮像素子21c)と、を備えた撮像装置(例えば、後述の撮像装置10)を用いて被写体を撮像する撮像方法であって、駆動部(例えば、後述の駆動部3)によって、前記第1撮像素子を、前記第2及び第3撮像素子が画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置(例えば、後述の基本位置[1]〜移動位置[4])に移動させるステップと、撮像情報取得部(例えば、後述の記憶部7)によって、前記第1撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に移動するごとに前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報(例えば、後述の出力値)を取得するステップと、画素情報算出部(例えば、後述の制御部4)によって、前記撮像情報取得部によって前記撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体の画素情報(例えば、後述の画素値)を1画素より小さい単位で算出するステップと、画像情報記憶部(例えば、後述の記憶部7)によって、前記画素情報算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶するステップと、を含むことを特徴とする撮像方法を提供することである。
【0012】
本発明の第2の態様によっても、上記撮像装置の発明と同様な効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コストの高い画素密度が高い撮像素子をなるべく用いずに高画素の画像を取得することができる。よって設備に費用をかけず、解像度の高い画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の概略図である。
【図2】図1の撮像装置を構成する撮像素子の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の撮像装置を構成する撮像部の概略図である。
【図4】図1の撮像装置を構成する撮像素子を示す図である。
【図5】撮像素子の被写体に対する複数の撮像位置を示す図である。
【図6】基本位置[1]における撮像素子の位置と被写体との関係を示す図である。
【図7】移動位置[2]における撮像素子の位置と被写体との関係を示す図である。
【図8】移動位置[3]における撮像素子の位置と被写体との関係を示す図である。
【図9】移動位置[4]における撮像素子の位置と被写体との関係を示す図である。
【図10】被写体の画像情報を、第1の撮像素子の1画素の4分の1相当のサブピクセルの画素値として得た状態を示す図である。
【図11】図1の撮像装置が実行する画像情報を取得する処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1〜図11を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の概略について説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の概略図であり、図2は、本実施の形態に係る撮像装置の撮像素子の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す撮像装置10は、被写体5を撮影して電気信号に変換する第1の撮像素子21a、第2の撮像素子21b、第3の撮像素子21c及び被写体5からの入射光を第1〜第3の撮像素子21a〜21cに分光する分光器24を含む撮像部2と、第1の撮像素子21aを駆動する駆動部3と、第1〜第3の撮像素子21a〜21c、撮像部2及び駆動部3を制御する制御部4と、撮像部2によって撮像された被写体5の画像データを記憶する記憶部7と、画像データに基づいて被写体5の画像を表示する表示部8と、を含む。
【0018】
撮像部2は、第1〜第3の撮像素子21a〜21c及び分光器24の他、被写体5からの光を後述する撮像位置に配置された第1〜第3の撮像素子21a〜21cに結像させる不図示の撮像レンズを含む。撮像位置に配置された第1〜第3の撮像素子21a〜21cは、撮像レンズによって結像される被写体5からの入射光を電気信号に変換する。第1〜第3の撮像素子21a〜21cは、撮像レンズによって自身に投影されて結像される被写体5を光電変換する受光素子を複数備えたCCD(Charge Coupled Device)撮像素子や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子等によって構成される。分光器24は、ダイロックプリズム等が用いられ、被写体5からの入射光を均等に3分割して第1〜第3の撮像素子21a〜21cへ分光する。撮像部2は撮像手段の機能を有する。
【0019】
駆動部3は、第1の撮像素子21aを、被写体5を撮像するために適切な撮像位置に駆動する。駆動部3の詳細については後述する。一方、第2、第3の撮像素子21b、21cは、駆動部3で駆動されず撮像位置に固定されている。
【0020】
本実施の形態では、制御部4と記憶部7と表示部8とは、コンピュータ9の一部として構成される。制御部4は、図示を省略するが、撮像装置10が各種機能を実行するためのプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、ROMに記憶されたプログラムを実行して撮像装置10の各種機能を実現するCPU(Central Processing Unit)と、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶されるRAM(Random Access Memory)等とによって構成される。
【0021】
制御部4は、駆動部3を制御して第1の撮像素子21aを移動させ、第1の撮像素子21aを撮像位置に配置する。さらに、制御部4は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cから出力される電気信号を処理して、画像データ(画像情報)を生成し、生成した画像データを記憶部7に記憶する。さらに制御部4は、生成した画像データに基づいて表示部8に撮像部2が撮像した画像を表示する。また、制御部4は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cから出力される電気信号を処理する際に、後述する演算処理を実行する。
【0022】
表示部8は、液晶ディスプレイ等によって構成される。記憶部7は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びハードディスク等によって構成される。
【0023】
[撮像素子の構成]
次に、図2を参照して、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの基本構成について説明する。図2(a)に示すように、第1の撮像素子21aは、横方向及び縦方向の二次元に配列された複数の受光素子から構成されている。図2(b)に示すように、第2の撮像素子21bは、第1の撮像素子21aの配列された横方向の一端に一列に配列された複数の受光素子から構成されている。図2(c)に示すように、第3の撮像素子21cは、第1の撮像素子21aの配列された縦方向の一端に一列に配列された複数の受光素子から構成されている。受光素子の各々は所定の面積を有する受光面を含む。受光素子の各々は、この受光面に入射光を受光すると光電変換を実行して、受光面あたりの受光量に応じて信号電荷を生成する。図2(a)に示す第1の撮像素子21aの受光素子は、1画素分に相当する信号電荷を生成する。なお、以下では、1画素を、第1の撮像素子21aの1画素として説明する。図2(b)、(c)に示す第2、第3の撮像素子21b、21cの受光素子は、1画素より小さい単位の領域、ここでは第1の撮像素子21aの1画素の4分の1の単位に相当する信号電荷を生成する。この受光素子の各々が有する受光面を、以後、「画素情報取得領域」と呼ぶ。このため、図2(a)に示す第1の撮像素子21aの受光素子を二次元に配列して形成される第1の撮像素子21aが有する受光面全体は、受光素子ごとに、各々が1画素に相当する信号電荷を発生する複数の画素情報取得領域に分割することができる。図2(b)、(c)に示す第2、第3の撮像素子21b、21cの受光素子を一列に配列して形成される第2、第3の撮像素子21b、21cが有する受光面全体は、受光素子ごとに、各々が第1の撮像素子21aの1画素の4分の1の単位に相当する信号電荷を発生する複数の画素情報取得領域に分割することができる。ここで、本明細書では、第2、第3の撮像素子21b、21cの一つの画素については、1画素とは呼ばず、第1の撮像素子21aの1画素の4分の1の単位の画素という。
【0024】
図2(a)に示すように、第1の撮像素子21aの受光面を形成する画素情報取得領域の数によって第1の撮像素子21aの総数は決定される。ここで、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域は、1画素に相当する。よって、例えば、i,jを任意の自然数とすると、横方向に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、横画素数をi、縦方向に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、縦画素数をjとすると、この第1の撮像素子21aの総数(=総画素数)はi×jとなる。また、画素情報取得領域は、受光素子の受光面に相当する。
すなわち、第1の撮像素子21aは、受光素子U(1,1)、U(2,1)、U(3,1)、・・・・、U(1,2)、U(1,3)、・・・・、U(i,j)を有する。受光素子U(1,1)、U(2,1)、U(3,1)、・・・・、U(1,2)、U(1,3)、・・・・、U(i,j)の各々が形成する画素情報取得領域をそれぞれ、画素情報取得領域Pa(1,1)、Pa(2,1)、Pa(3,1)、・・・・、Pa(1,2)、Pa(1,3)、・・・・、Pa(i,j)として表す。
【0025】
図2(b)に示すように、第2の撮像素子21bの受光面を形成する画素情報取得領域の数によって第2の撮像素子21bの総数は決定される。ここで、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域は、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域の1画素の4分の1に相当する。よって、例えば、mを任意の自然数とすると、この第2の撮像素子21bの総数は、横方向に一列に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、mとなる。ここで、第2の撮像素子21bの横幅は、1画素の2分の1であるので、総数mは、第1の撮像素子21aの横数(=横画素数)のiの2倍となる。すなわち、m=2iである。また、画素情報取得領域は、受光素子の受光面に相当する。
すなわち、第2の撮像素子21bは、受光素子V(1,1)、V(2,1)、V(3,1)、・・・・、V(m=2i,1)を有する。受光素子V(1,1)、V(2,1)、V(3,1)、・・・・、V(m,1)の各々が形成する画素情報取得領域をそれぞれ、画素情報取得領域Pb(1,1)、Pb(2,1)、Pb(3,1)、・・・・、Pb(m,1)として表す。
【0026】
図2(c)に示すように、第3の撮像素子21cの受光面を形成する画素情報取得領域の数によって第3の撮像素子21cの総数は決定される。ここで、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域は、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域の1画素の4分の1に相当する。よって、例えば、nを任意の自然数とすると、この第3の撮像素子21cの総数は、縦方向に一列に配設された画素情報取得領域の数、すなわち、nとなる。ここで、第3の撮像素子21cの縦幅は、1画素の2分の1であるので、総数nは、第1の撮像素子21aの縦数(=縦画素数)のjの2倍となる。すなわち、n=2jである。また、画素情報取得領域は、受光素子の受光面に相当する。
すなわち、第3の撮像素子21cは、受光素子W(1,1)、W(1,2)、W(1,3)、・・・・、W(1,n=2j)を有する。受光素子W(1,1)、W(1,2)、W(1,3)、・・・・、W(1,n)の各々が形成する画素情報取得領域をそれぞれ、画素情報取得領域Pc(1,1)、Pc(1,2)、Pc(1,3)、・・・・、Pc(1,n)として表す。
【0027】
図4(A)に、本実施の形態の第1の撮像素子21aを示す。図4(A)に示すように、本実施の形態では、第1の撮像素子21aには遮光板が形成されていないため、第1の撮像素子21aに遮光エリアが形成されない。これは、遮光板は、従来では後述する1画素よりも小さい単位で画素情報を取得するために必要であったが、本実施の形態では必要が無いためである。このため、第1の撮像素子21aの受光エリアに入射する光L1と保護膜28に入射する光L2には通常の吸収と反射が行われる。よって、遮光板を設けることによる第1の撮像素子21aの受光エリアと遮光板との境界が形成されず、このような場所に入射する光による回折光が生じない。また、第1の撮像素子21aの遮光エリアが無いので、第1の撮像素子21aは迷光の影響がない。このため、第1の撮像素子21aはノイズの影響を受けない。
【0028】
参考までに、図4(B)に、従来の撮像素子21と遮光板6との関係を示す。遮光板6は撮像素子21を覆う保護膜28の上方に配置される。このため、撮像素子21と遮光板6との間には一定の距離がある。したがって、遮光板6の境界部に入射する光L3により生じる回折光LS1、LS2は大きくなり、遮光板6が遮光する遮光エリアに入射してノイズの原因になる。また、遮光板6の境界部から撮像素子21の遮光エリアに直接入射する迷光L4が生じ、ノイズの原因になる。
【0029】
このように、本実施の形態では、図4(A)に示すように第1の撮像素子21aには、遮光板を設ける必要が無くなるので、遮光板を設けることによる回折光が無くなると共に、迷光の影響が生じない。
【0030】
[撮像部の構成]
図3に戻って、本実施の形態に係る撮像装置10では、撮像部2は第1〜第3の撮像素子21a〜21cを備えている。駆動部3は制御部4の制御に基づいて第1の撮像素子21aを複数の撮像位置に移動させるよう駆動する。第1の撮像素子21aは、入射光を適切に受光し、被写体5を撮像可能な撮像ポイントに配置されている。また、第2、第3の撮像素子21b、21cは、入射光を適切に受光し、被写体5を撮像可能な撮像ポイントに固定配置されている。駆動部3は、撮像ポイントに位置する第1の撮像素子21aを、第1の撮像素子21aの入射光に対する垂直な面の方向X、Yが1画素の2分の1の単位であるサブピクセルの単位でシフトさせる(図3(B)参照)。駆動部3の駆動機構は、圧電素子アクチュエータ、距離センサ等により構成することができる。
【0031】
図5に、駆動部3によって第1の撮像素子21aを駆動することにより、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの画素情報取得領域が取り得る被写体5に対する複数の撮像位置を示す。
【0032】
撮像ポイントに配置された第1の撮像素子21aは、駆動部3が第1の撮像素子21aを移動させることにより、第1の撮像素子21aが受光する被写体5からの入射光に対する垂直な面が当該垂直の方向X、Yに1画素の2分の1の単位であるサブピクセルの単位で移動をして、所定の撮像位置に設定される。駆動部3が第1の撮像素子21aを移動させることによって、第1の撮像素子21aが受光する被写体5からの入射光に対する垂直な面と被写体5との位置をずらす様々なパターンを形成することができる。第1の撮像素子21aが入射光に対して垂直な面の方向X、Yにサブピクセルの単位で移動をして図5に示すパターンI〜IVのそれぞれに相当する撮像情報を取得する場合について説明する。
図5に、パターンI〜IV毎の第1〜第3の撮像素子21a〜21cと被写体5との位置関係を示す図5(A)〜図5(D)と、パターンI〜IVに相当する撮像情報を取得するために必要な、第1〜第3の撮像素子21a〜21cのパターンIを基準とする移動方向と移動量(位相ズレ量)の表を示す図5(E)とを示す。
【0033】
図5(A)及び図5(E)に示すように、基本位置[1]では、第1〜第3の撮像素子21a〜21cはパターンIにおける撮像情報を取得することができる。この位置を基本位置[1]とする。パターンIは、第1の撮像素子21aが、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、被写体5の端部を1画素面積撮像するパターンである。つまり、パターンIは、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部において、第1の撮像素子21aの端部と、その端部の角に位置する被写体5の端部が一致する状態である。
【0034】
さらに、図5(B)及び図5(E)に示すように、第1の撮像素子21aは被写体5に対して基本位置[1]よりX軸に沿って紙面右方向に2分の1画素(サブピクセル)に相当する距離だけ移動することにより、パターンIIにおける撮像情報を取得することができる。この位置を移動位置[2]とする。パターンIIは、第1の撮像素子21aが、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、被写体5の端部を右側の縦方向に長い2分の1画素面積撮像するパターンである。つまり、パターンIIは、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する4分の1画素の単位を、パターンIから変化させたものであり、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部に対して、その端部の角から2分の1画素右にずれて、第1の撮像素子21aの端部が位置する状態である。
【0035】
また、図5(C)及び図5(E)に示すように、第1の撮像素子21aは被写体5に対して基本位置[1]よりY軸に沿って紙面下方向に2分の1画素に相当する距離だけ移動することにより、パターンIIIにおける撮像情報を取得することができる。この位置を移動位置[3]とする。パターンIIIは、第1の撮像素子21aが、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、被写体5の端部を下側の横方向に長い2分の1画素面積撮像するパターンである。つまり、パターンIIIは、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する4分の1画素の単位を、パターンIから変化させたものであり、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部に対して、その端部の角から2分の1画素下にずれて、第1の撮像素子21aの端部が位置する状態である。
【0036】
さらに、図5(D)及び図5(E)に示すように、第1の撮像素子21aは被写体5に対して、基本位置よりX軸に沿って紙面右方向に2分の1画素、Y軸に沿って紙面下方向に2分の1画素に相当する距離だけ移動することにより、パターンIVにおける撮像情報を取得することができる。この位置を移動位置[4]とする。パターンIVは、第1の撮像素子21aが、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、被写体5の端部を右下の4分の1画素の最小面積撮像するパターンである。つまり、パターンIVは、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する4分の1画素の単位を、パターンIから変化させたものであり、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部に対して、その端部の角から2分の1画素右にずれ且つ2分の1画素下にずれて第1の撮像素子21aの端部が位置する状態である。
【0037】
このように、第1の撮像素子21aを入射光に対して垂直の方向に2分の1画素の単位でシフトさせるように第1の撮像素子21aを移動させることによって、第1の撮像素子21aは2分の1画素の単位でずれた撮像情報を得ることができる。また、このとき、第2、第3の撮像素子21b、21cでは、4分の1画素の単位の撮像情報を得ることができる。
【0038】
なお、第2及び第3の撮像素子21b、21cとして、他のサブピクセルの受光素子を有する撮像素子を用いることにより、1画素を4分割した画素情報を得るのみならず、1画素を任意の自然数の整数倍に分割した画素情報を得ることができる。例えば、X、Yを任意の自然数とすると、1画素をX×Y分割することが可能である。
【0039】
[撮像処理]
このようにして構成された第1〜第3の撮像素子21a〜21cを用いて、被写体を効率的に撮像する処理について、以下、図6〜図9を参照して説明する。
【0040】
本実施の形態の撮像処理について説明する。本実施の形態では、第1の撮像素子21aを移動させて、第1の撮像素子21aを、第1の撮像素子21aの1画素に満たない単位(1画素の4分の1)ずつを段階的にずらした複数の撮像位置に移動して被写体5を撮影する処理を、それぞれパターンI〜IV、すなわち第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で、第1の撮像素子21aの端部が、1画素面積〜4分の1画素面積である最小面積にわたって撮像するまで段階的に繰り返して被写体5を撮像する。つまり、本実施の形態では、デフォルトを入れて被写体5を4回撮像する。
【0041】
<第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像情報に着目した処理>
図6〜図9に、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置のパターンI〜IVを用いて被写体5を撮像する際に遵守すべき、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの端部と被写体5の端部との間の位置関係及び画素値を示す。本実施の形態では、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置であるパターンI〜IVによって、4つの異なる撮像情報が得られる。
【0042】
以下の処理では、最端部の1画素の4分の1に規定したサブピクセルの小領域に着目して考える。図6〜図9に示すように、撮像される被写体5は、1画素の4分の1ごとの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)で区画される。ここで、画素値A(i,j)は、被写体5の第1の撮像素子21aで撮像する1画素の左上の4分の1画素領域に対応する。画素値B(i,j)は、被写体5の第1の撮像素子21aで撮像する1画素の右上の4分の1画素領域に対応する。画素値C(i,j)は、被写体5の第1の撮像素子21aで撮像する1画素の左下の4分の1画素領域に対応する。画素値D(i,j)は、被写体5の第1の撮像素子21aで撮像する1画素の右下の4分の1画素領域に対応する。
駆動部3は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置がパターンI〜IVとなるように、第1の撮像素子21aを移動させる。
【0043】
まず、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置がパターンIの場合に撮像する。
図6は、基本位置[1]における第1〜第3の撮像素子21a〜21cの位置と被写体5との関係を示す図である。
図6に示す基本位置[1]の場合には、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)で出力値(A(i,j)+B(i,j)+C(i,j)+D(i,j))の1画素分の出力値を得る。
また、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(m,1)で、m=奇数のとき画素値A((m+1)/2,1)又はm=偶数のとき画素値B(m/2,1)の4分の1画素分の出力値を得る。
また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,n)で、n=奇数のとき画素値A(1,(n+1)/2)又はn=偶数のとき画素値C(1,n/2)の4分の1画素分の出力値を得る。
これらの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの出力値を記憶部7に記憶する。
【0044】
続いて、第1の撮像素子21aの位置を基本位置[1]から右方向に被写体5に対して1画素の2分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の第1〜第3の撮像素子21a〜21cの被写体5に対する位置を移動位置[2]とする。
【0045】
図7は、このように第1の撮像素子21aを基本位置[1]から右方向に、被写体5に対して2分の1画素分に相当する距離hシフトするように移動した時の移動位置[2]での第1〜第3の撮像素子21a〜21cと被写体5との関係を示す図である。
図7に示す移動位置[2]の場合には、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)で出力値(A(i+1,j)+B(i,j)+C(i+1,j)+D(i,j))の1画素分の出力値を得る。
また、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(m,1)で、m=奇数のとき画素値A((m+1)/2,1)又はm=偶数のとき画素値B(m/2,1)の4分の1画素分の出力値を得る。
また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,n)で、n=奇数のとき画素値A(1,(n+1)/2)又はn=偶数のとき画素値C(1,n/2)の4分の1画素分の出力値を得る。
これらの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの出力値を記憶部7に記憶する。
【0046】
続いて、第1の撮像素子21aの位置を基本位置[1]から下方向に被写体5に対して1画素の2分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の第1〜第3の撮像素子21a〜21cの被写体5に対する位置を移動位置[3]とする。
【0047】
図8は、このように第1の撮像素子21aを基本位置[1]から下方向に、被写体5に対して2分の1画素分に相当する距離hシフトするように移動した時の移動位置[3]での第1〜第3の撮像素子21a〜21cと被写体5との関係を示す図である。
図8に示す移動位置[3]の場合には、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)で出力値(A(i,j+1)+B(i,j+1)+C(i,j)+D(i,j))の1画素分の出力値を得る。
また、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(m,1)で、m=奇数のとき画素値A((m+1)/2,1)又はm=偶数のとき画素値B(m/2,1)の4分の1画素分の出力値を得る。
また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,n)で、n=奇数のとき画素値A(1,(n+1)/2)又はn=偶数のとき画素値C(1,n/2)の4分の1画素分の出力値を得る。
これらの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの出力値を記憶部7に記憶する。
【0048】
続いて、第1の撮像素子21aの位置を基本位置[1]から右下方向に被写体5に対して1画素の2分の1画素分に相当する距離シフトして撮像する。この時の第1〜第3の撮像素子21a〜21cの被写体5に対する位置を移動位置[4]とする。
【0049】
図9は、このように第1の撮像素子21aを基本位置[1]から右下方向に、被写体5に対してそれぞれ2分の1画素分に相当する距離hシフトするように移動した時の移動位置[4]での第1〜第3の撮像素子21a〜21cと被写体5との関係を示す図である。
図9に示す移動位置[4]の場合には、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)で出力値(A(i+1,j+1)+B(i,j+1)+C(i+1,j)+D(i,j))の1画素分の出力値を得る。
また、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(m,1)で、m=奇数のとき画素値A((m+1)/2,1)又はm=偶数のとき画素値B(m/2,1)の4分の1画素分の出力値を得る。
また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,n)で、n=奇数のとき画素値A(1,(n+1)/2)又はn=偶数のとき画素値C(1,n/2)の4分の1画素分の出力値を得る。
これらの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの出力値を記憶部7に記憶する。
【0050】
以下、上記で説明した、基本位置[1]、移動位置[2]、移動位置[3]、移動位置[4]のように、パターンI〜IVの第1〜第3の撮像素子21a〜21cの撮像位置で撮像した撮像情報を用いて1画素の4分の1ごとの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)を導出する手法を説明する。
【0051】
まず、図6に示す基本位置[1]のパターンIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,1)で出力値(A(1,1)+B(1,1)+C(1,1)+D(1,1))を得ている。これに対し、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(1,1)で、出力値として画素値A(1,1)及び画素情報取得領域Pb(2,1)で、出力値として画素値B(1,1)を得ている。また、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,1)で、出力値として画素値A(1,1)及び画素情報取得領域Pc(1,2)で、出力値として画素値C(1,1)を得ている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,1)の出力値(A(1,1)+B(1,1)+C(1,1)+D(1,1))から画素情報取得領域Pb(1,1)又はPc(1,1)の画素値A(1,1)と、画素情報取得領域Pb(2,1)の画素値B(1,1)と、画素情報取得領域Pc(1,2)の画素値C(1,1)とを引く。結果、画素値D(1,1)を得ることができる。
【0052】
次に、図7に示す移動位置[2]のパターンIIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,1)で出力値(A(2,1)+B(1,1)+C(2,1)+D(1,1))を得ている。これに対し、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(2,1)で、出力値として画素値B(1,1)及び画素情報取得領域Pb(3,1)で、出力値として画素値A(2,1)を得ている。また、上記で画素値D(1,1)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,1)の出力値(A(2,1)+B(1,1)+C(2,1)+D(1,1))から画素情報取得領域Pb(2,1)の画素値B(1,1)と、画素情報取得領域Pb(3,1)の画素値A(2,1)と、計算により得られている画素値D(1,1)とを引く。結果、画素値C(2,1)を得ることができる。
【0053】
次に、図8に示す移動位置[3]のパターンIIIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,1)で出力値(A(1,2)+B(1,2)+C(1,1)+D(1,1))を得ている。これに対し、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,2)で、出力値として画素値C(1,1)及び画素情報取得領域Pc(1,3)で、出力値として画素値A(1,2)を得ている。また、上記で画素値D(1,1)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,2)の出力値(A(1,2)+B(1,2)+C(1,1)+D(1,1))から画素情報取得領域Pc(1,2)の画素値C(1,1)と、画素情報取得領域Pc(1,3)の画素値A(1,2)と、計算により得られている画素値D(1,1)とを引く。結果、画素値B(1,2)を得ることができる。
【0054】
次に、図6に示す基本位置[1]のパターンIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(2,1)で出力値(A(2,1)+B(2,1)+C(2,1)+D(2,1))を得ている。これに対し、第2の撮像素子21bの画素情報取得領域Pb(3,1)で、出力値として画素値A(2,1)及び画素情報取得領域Pb(4,1)で、出力値として画素値B(2,1)を得ている。また、上記で画素値C(2,1)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(2,1)の出力値(A(2,1)+B(2,1)+C(2,1)+D(2,1))から画素情報取得領域Pb(3,1)の画素値A(2,1)と、画素情報取得領域Pb(4,1)の画素値B(2,1)と、計算により得られている画素値C(2,1)とを引く。結果、画素値D(2,1)を得ることができる。
【0055】
また同様に、図6に示す基本位置[1]のパターンIの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,2)で出力値(A(1,2)+B(1,2)+C(1,2)+D(1,2))を得ている。これに対し、第3の撮像素子21cの画素情報取得領域Pc(1,3)で、出力値として画素値A(1,2)及び画素情報取得領域Pc(1,4)で、出力値として画素値C(1,2)を得ている。また、上記で画素値B(1,2)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,2)の出力値(A(1,2)+B(1,2)+C(1,2)+D(1,2))から画素情報取得領域Pc(1,3)の画素値A(1,2)と、画素情報取得領域Pc(1,4)の画素値C(1,2)と、計算により得られている画素値B(1,2)とを引く。結果、画素値D(1,2)を得ることができる。
【0056】
次に、図9に示す移動位置[4]のパターンIVの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(1,1)で出力値(A(2,2)+B(1,2)+C(2,1)+D(1,1)を得ている。これに対し、上記で画素値B(1,2)及び画素値C(2,1)及び画素値D(1,1)は計算により得られている。
ここで、画素情報取得領域Pa(1,1)の出力値(A(2,2)+B(1,2)+C(2,1)+D(1,1))から計算により得られている画素値B(1,2)及び画素値C(2,1)及び画素値D(1,1)を引く。結果、画素値A(2,2)を得ることができる。
【0057】
以上のように、基本位置[1]〜移動位置[4]のパターンI〜IVのいずれかの撮像位置において、第1の撮像素子21aの画素情報取得領域Pa(i,j)の出力値(A+B+C+D)から、これらに含まれる画素値A、B、C、Dのうち既知の左上、右上及び左下側の3つの画素値を引く。結果、画素情報取得領域Pa(i,j)の出力値(A+B+C+D)に含まれる画素値A、B、C、Dのうち未知の右下側の1つの画素値を算出することができる。
以下、この法則で被写体5の、1画素の4分の1ごとの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)を順に算出する。そして、これらの画素値を記憶部7に記憶する。
つまり、画素値A(i,j)=出力値(A(i,j)+B(i−1,j)+C(i,j−1)+D(i−1,j−1))−(B(i−1,j)+C(i,j−1)+D(i−1,j−1))である。
画素値B(i,j)=出力値(A(i,j)+B(i,j)+C(i,j−1)+D(i,j−1))−(A(i,j)+C(i,j−1)+D(i,j−1))である。
画素値C(i,j)=出力値(A(i,j)+B(i−1,j)+C(i,j)+D(i−1,j))−(A(i,j)+B(i−1,j)+D(i−1,j))である。
画素値D(i,j)=出力値(A(i,j)+B(i,j)+C(i,j)+D(i,j))−(A(i,j)+B(i,j)+C(i,j))である。
【0058】
このようにして、第1の撮像素子21aを所定の撮像位置、すなわちパターンI〜IVに移動させることによって、第1の撮像素子21aを基本位置[1]から移動位置[2]〜移動位置[3]を経て移動位置[4]にシフトさせて撮像情報を得ることができる。そしてこの4つの撮像情報の違いに基づいて、上記のように被写体5の画像情報を、1画素の4分の1相当のサブピクセルの画素値として得ることができる。
図10は、被写体5の画像情報を、1画素の4分の1相当のサブピクセルの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)として得た状態を示す図である。
【0059】
図11を参照して、本実施の形態の撮像装置10が被写体5の画像情報を取得する処理のフローについて説明する。以下の処理は、制御部4の制御によって行われる。
【0060】
まず、制御部4は駆動部3を制御して、第1の撮像素子21aの位置を設定する(ステップS101)。具体的には、制御部4は、駆動部3を制御して第1の撮像素子21aを移動させ、第1の撮像素子21aが被写体5を撮像可能な撮像ポイントFに配置する。なお、第2、第3の撮像素子21b、21cは被写体5を撮像可能な撮像ポイントに固定配置されている。
【0061】
続けて、第1の撮像素子21aを所定量、所定の方向にシフトして撮像する(ステップS102)。
具体的には、制御部4は駆動部3を制御して第1の撮像素子21aを移動させ、第1の撮像素子21aを、入射光に対して垂直な面の方向X、Yにサブピクセルの単位で、被写体5を撮像するために適当な所定の撮像位置(基本位置[1]から移動位置[2]〜移動位置[3]を経て移動位置[4])までシフトして撮像を行う。撮像は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cで同期をとって同時に行う。
【0062】
続けて、撮像を行ったことによる第1〜第3の撮像素子21a〜21cからの出力値(撮像情報)を入力する(ステップS103)。
具体的には、制御部4は撮像部2を制御して撮像を行い、第1〜第3の撮像素子21a〜21cのそれぞれの画素情報取得領域Pa(1,1)〜Pa(i,j)、Pb(1,1)〜Pb(m,1)、Pc(1,1)〜Pc(1,n)から出力される出力値(撮像情報)を入力して、記憶部7に記憶する。
【0063】
続けて、画素値を算出する(ステップS104)。
具体的には、制御部4は第1〜第3の撮像素子21a〜21cのそれぞれの画素情報取得領域Pa(1,1)〜Pa(i,j)、Pb(1,1)〜Pb(m,1)、Pc(1,1)〜Pc(1,n)からの複数の撮像位置での出力値(撮像情報)から、それぞれの被写体5の画素情報であるサブピクセルの画素値A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)を算出し、記憶部7に記憶する。
【0064】
ステップS104において、制御部4が、被写体5の全ての画素情報であるサブピクセルの画素値が算出されると、算出した全画素値を記憶部7に、対応する被写体5の位置情報と対応付けて被写体5の画像情報として記憶する(ステップS105)。また、必要に応じて、算出した全画素値に基づいて画像を表示する。具体的には、制御部4は表示部8を制御して、記憶部7に記憶された被写体5の全ての画素情報に基づいて被写体5の画像を表示する。これをもって、画像情報取得処理は終了する。
【0065】
本実施の形態の撮像装置10は、第1の撮像素子21aで、被写体5からの入射光を4つのパターンI〜IVに分けて撮像する。また、同時に第2、第3の撮像素子21b、21cで、被写体5からの入射光を撮像する。これにより、第1の撮像素子21aの受光素子からの、異なるパターンI〜IVでの出力値(撮像情報)を取得すると共に、第2、第3の撮像素子21b、21cの受光素子からの、1画素の4分の1ごとの出力値(撮像情報)を取得するステップ(ステップS103)と、第1〜第3の撮像素子21a〜21cの受光素子からの複数の出力値(撮像情報)から、第1の撮像素子21aの各々の受光素子による受光領域よりも小さな面積(4分の1画素)における受光量に応じた画素値(画素情報)を算出するステップ(ステップS104)と、ステップS104によって算出された画素値(画素情報)を被写体5の位置と対応付けて画像情報として記憶するステップ(ステップS106)と、を含む撮像方法を実行する。
かかる撮像方法は、第1の撮像素子21aを変位させるごとの1画素に対応した出力値と、第2、第3の撮像素子21b、21cの1画素よりも小さな面積に対応した出力値とに基づいて、一層微細な被写体5の画素値(A(i,j)、B(i,j)、C(i,j)、D(i,j)のいずれか)を得ることができるので、第1の撮像素子21aの受光素子の画素密度を上げる必要ない。つまり、画素密度が低くコストが低い撮像素子をできるだけ用いて、本実施例では4倍の高画素の画像を取得することができる。よって設備に費用をかけず、解像度の高い画像を取得することができる。また、第1の撮像素子21aに遮光板を設ける必要も無く、遮光板を設けることによる弊害もない。つまり、遮光板を用いないことから、回折光がなく、迷光の影響がなく、より高精度な画像を得ることができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、第1の撮像素子21aを用いて、画素領域を1画素の2分の1に相当する距離ごとに段階的にシフトして被写体5を撮影する処理を、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で第1の撮像素子21aの端部を第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像情報を取得するように繰り返して被写体5を撮影する場合について説明した。すなわち、被写体5を、1画素を4分割したサブピクセルの精度で撮影する場合を例に説明した。しかしながら、3つの撮像素子を用いて画素領域をシフトする距離は1画素の2分の1に相当する距離に限定されない。使用する撮像素子の数も限定されない。また、画素領域をシフトする方向も横方向と縦方向で異なってもよい。X、Yを任意の自然数とすると、被写体5を横方向及び縦方向にそれぞれ1画素のX分の1及び1画素のY分の1に相当する距離ごとにシフトして撮影する処理を、1画素をXにYを乗じて得られた整数個に分割したサブピクセルの精度で撮影する場合も同様の手順で実行することができる。
【0067】
さらに、本実施の形態の撮像装置10は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cにより4つのパターンI〜IVで撮像して得た複数の撮像情報の違いから、第1の撮像素子21aの受光素子の受光面よりも小さな面積における受光量に応じた画素値を算出する算出手段である制御部4と、制御部4によって算出された画素値を被写体5の位置と対応付けて記憶する記憶部7と、をさらに備えることができる。よって、本実施の形態の撮像装置10は、パターンI〜IVを異ならせた複数の撮像情報の違いから、第1の撮像素子21aの受光素子の受光面よりも小さな面積における受光量に応じた画素値を算出し、算出した画素値を被写体5の位置と対応付けて記憶することができる。したがって、撮像装置10は、第1の撮像素子21aの受光素子の各々の受光面よりも小さな面積に対応した画素値に基づく、一層微細な被写体5の画像情報を取得することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態の撮像装置10によると、第1の撮像素子21aの位置を、第1の撮像素子21aの受光素子の寸法よりも小さな距離ずつ変位させた、異なるパターンI〜IVにシフトさせる駆動部3を備える。かかる構成により、本実施の形態の撮像装置10は、第1の撮像素子21aの受光素子の寸法よりも小さな距離ずつ変位させることができるので、第1の撮像素子21aの受光素子をその寸法より小さな距離ずつ変位させながら、第1の撮像素子21aの受光素子の受光面よりも小さな面積に対応した画素値(画素情報)に基づく、一層微細な被写体5の画像情報を得ることができる。
【0069】
したがって、第1の撮像素子21aの受光素子の画素密度を増加させることなく、また、画像を繋ぎ合わせる必要もなく、一層微細な被写体5の画像情報を得ることができる。第1の撮像素子21aはコストの低い画素密度が低い撮像素子を用い、第2、第3の撮像素子21b、21cは一列だけコストの高い画素密度が高い撮像素子を用い、トータルで撮像素子に用いるコストが低くて済む。このように、低画素のイメージセンサをできるだけ用いて高画素の画像を取得できる。よって、本実施の形態の撮像装置10は、設備に費用をかけない低コストな手法で、解像度の高い画像を取得することができる。
【0070】
本実施の形態の撮像装置10は、ステップS104において、パターンI〜IVにより異なる撮像情報の違いから求まる、3つの既知の4分の1画素の画素値を、これら3つの既知の画素値と未知の4分の1画素の画素値とで構成される第1の撮像素子21aの画素情報取得領域の1画素分の出力値から、差し引くことで、未知の画素値、すなわち目的とする画素値を求めるステップを含む撮像方法を実行する。
【0071】
また、本実施の形態では、被写体5を、1画素を4分割したサブピクセルの精度で撮影する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本実施の形態では、第1の撮像素子21aを、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位ずつで段階的にずらした撮像位置であって、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で第1の撮像素子21aの端部を第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像位置に、シフトさせて被写体5を撮影するとしたが、本発明はこれに限定されない。
【0072】
例えば、X、Yを任意の自然数とすると、第2、第3の撮像素子21b、21cとしてそれぞれ横方向に1画素のX分の1及び縦方向に1画素のY分の1に相当する画素値を得る撮像素子を用い、被写体5の2辺に対して、横方向及び縦方向にそれぞれ1画素のX分の1及び1画素のY分の1に相当する距離ごとに段階的にシフトした撮影位置であって、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で第1の撮像素子21aの端部を第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像位置で、繰り返して被写体5を撮影することでもよい。これにより、同様の手法で、1画素をXにYを乗じて得られた整数だけ分割したサブピクセルの精度で撮影することができる。
かかる実施の形態の撮像装置では、第2、第3の撮像素子21b、21cの1画素あたりの数を変化させることで、撮像する画像の解像度又は撮像する画像を構成する画素数情報を任意に増やすことができる。
【0073】
すなわち、駆動部3は、第1の撮像素子21aを、第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位ずつで段階的にずらした撮像位置であって、第2、第3の撮像素子21b、21cが交わる端部の1画素の領域で第1の撮像素子21aの端部を第2、第3の撮像素子21b、21cが画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像位置に、シフトさせる。
第1〜第3の撮像素子21a〜21cは、駆動部3によって第1の撮像素子21aが撮像位置に駆動される都度、撮像を行う。記憶部7は、第1〜第3の撮像素子21a〜21cが生成する信号電荷に基づいて撮像情報を取得する。記憶部7は撮像情報取得部を構成する。
さらに制御部4は、撮像部2が駆動部3によって駆動された撮像位置ごとに算出した撮像情報の違い、すなわち撮像位置ごとの第1〜第3の撮像素子21a〜21cが生成した信号電荷の違いに基づき、被写体5の一部に対応する画素情報を1画素より小さい単位で算出する。制御部4は画素情報算出部を構成する。
制御部4は、こうして算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶部7に記憶する。記憶部7は画素情報記憶部を構成する。
【0074】
なお、本実施の形態では、被写体5からの入射光を第1〜第3の撮像素子21a〜21cに同時に3つに分光する分光器24を備えており、第1〜第3の撮像素子21a〜21cで同時に撮像を行っていた。分光器24は分光部を構成する。しかしこれに限られない。分光器を備えず、パターンI〜IVのそれぞれにおいて、被写体5からの入射光を第1〜第3の撮像素子21a〜21cを切り替えて順に撮像して行くものでもよい。
【0075】
以上説明したように本発明によれば、第1撮像素子の受光素子の画素密度を増加させることなく、また、画像を繋ぎ合わせる必要もなく、一層微細な被写体の画像情報を得ることができる。第1撮像素子はコストの低い画素密度が低い撮像素子を用い、第2、第3撮像素子は一列だけコストの高い画素密度が高い撮像素子を用い、トータルで撮像素子に用いるコストが低くて済む。このように、低画素のイメージセンサをできるだけ用いて高画素の画像を取得できる。よって、本発明の撮像装置は、設備に費用をかけない低コストな手法で、解像度の高い画像を取得することができる。
また、第1撮像素子に遮光板を設ける必要も無く、遮光板を設けることによる弊害もない。つまり、遮光板を用いないことから、回折光がなく、迷光の影響がない。よって、第1撮像素子の精度が悪化せず、第1撮像素子の撮像情報の誤差が無い分、より精度よくサブピクセルの単位で画像情報を取得することができる。
【0076】
本発明の撮像装置では、3枚の撮像素子のうち1つを1画素より小さい単位で移動させて撮像を行うだけでよいので、撮像する被写体を複数の部分に分割し、撮像素子を移動させながら被写体の部分ごとに複数回撮影を繰り返す従来の方法と比べて、処理は非常に簡便である。したがって、本発明によると、撮像素子の移動に要する時間を短くして、撮像に要する全体の時間を短縮して解像度の高い画像を取得することができる。
【0077】
本発明では、3つの撮像素子が撮像位置に配置されるごとに撮像によって得られる、複数の撮像素子の各々が生成する信号電荷(撮像情報)に基づいて、被写体の一部に対応する画素情報を1画素より小さい単位で算出し、算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶することができる。
【0078】
本発明における第1撮像素子が、第2及び第3撮像素子が画素情報を生成する1画素より小さい単位ずつで段階的にずらした撮像位置であって、第2及び第3撮像素子が交わる端部の1画素の領域で被写体の端部を第2及び第3撮像素子が画素情報を生成する1画素より小さい単位で変化させて撮像する複数の撮像位置に、移動して撮像するように第1撮像素子を駆動すればよい。
【0079】
本発明は、このように構成された撮像素子が、撮像位置に配置される都度、撮像を行う。そして、こうした複数の撮像位置の撮像素子が生成する信号電荷(撮像情報)に基づいて、被写体の一部に対応する画素情報を1画素のXにYを乗じて得られた整数分の一の単位で算出することができる。
【0080】
本発明では、被写体からの入射光を第1、第2及び第3撮像素子に分光する分光部を備えるので、第1、第2及び第3撮像素子は同時に分光された入射光を受光して撮像することができる。これによって、第1、第2及び第3撮像素子でそれぞれ別に撮像を行った場合の入射光のちらつき等の輝度の差による撮像情報の誤差が生じない。したがって、撮像情報の誤差が無い分、より精度よくサブピクセルの単位で画像情報を取得することができる。
【0081】
以上説明したように本発明では、第1撮像素子を1画素より小さい単位で移動させて撮像することによって、サブピクセルの単位で画像情報を取得することができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施の形態では、被写体を、1画素を4分割したサブピクセルの精度で撮影する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、Mを任意の自然数とすると、第2、第3撮像素子にM分の1画素分の入射光を入射させ、第1撮像素子を移動させて撮像する場合は、第2、第3撮像素子が交わる端部の1画素の領域において、その端部の第1撮像素子の画素情報取得領域を、M分の1画素分ずつ段階的にずらして第1撮像素子を移動させながら、被写体をM回撮像して撮像情報を取得し、撮像情報の違いからM分の1画素相当の画素情報を算出すればよい。
【0083】
なお本発明は、ワークの位置を測定するための装置のみならず、撮像素子を備えた電子機器一般に適用することができる。上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0084】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパソコンであってもよい。
【0085】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0086】
2…撮像部
3…駆動部
4…制御部(画素情報算出部)
5…被写体
7…記憶部(撮像情報取得部、画素情報記憶部)
8…表示部
10…撮像装置
21a…第1の撮像素子
21b…第2の撮像素子
21c…第3の撮像素子
24…分光器(分光部)
26…遮光膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域を、横方向及び縦方向に配列して複数有する第1撮像素子と、
被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域を、前記第1撮像素子の配列された横方向の一端に一列に複数有する第2撮像素子と、
被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域を、前記第1撮像素子の配列された縦方向の一端に一列に複数有する第3撮像素子と、
前記第1撮像素子を、前記第2及び第3撮像素子が画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置に移動させる駆動部と、
前記第1撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に移動するごとに前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を取得する撮像情報取得部と、
前記撮像情報取得部によって前記撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出する画素情報算出部と、
前記画素情報算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶する画像情報記憶部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体からの入射光を前記第1、第2及び第3撮像素子に分光する分光部をさらに備え、
前記撮像情報取得部は、前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を同時に取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域を、横方向及び縦方向に配列して複数有する第1撮像素子と、
被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域を、前記第1撮像素子の配列された横方向の一端に一列に複数有する第2撮像素子と、
被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域を、前記第1撮像素子の配列された縦方向の一端に一列に複数有する第3撮像素子と、
を備えた撮像装置を用いて被写体を撮像する撮像方法であって、
駆動部によって、前記第1撮像素子を、前記第2及び第3撮像素子が画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置に移動させるステップと、
撮像情報取得部によって、前記第1撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に移動するごとに前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を取得するステップと、
画素情報算出部によって、前記撮像情報取得部によって前記撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出するステップと、
画像情報記憶部によって、前記画素情報算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶するステップと、
を含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項1】
被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域を、横方向及び縦方向に配列して複数有する第1撮像素子と、
被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域を、前記第1撮像素子の配列された横方向の一端に一列に複数有する第2撮像素子と、
被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域を、前記第1撮像素子の配列された縦方向の一端に一列に複数有する第3撮像素子と、
前記第1撮像素子を、前記第2及び第3撮像素子が画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置に移動させる駆動部と、
前記第1撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に移動するごとに前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を取得する撮像情報取得部と、
前記撮像情報取得部によって前記撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出する画素情報算出部と、
前記画素情報算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶する画像情報記憶部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体からの入射光を前記第1、第2及び第3撮像素子に分光する分光部をさらに備え、
前記撮像情報取得部は、前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を同時に取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
被写体からの入射光を変換して1画素分の画素情報を取得する画素情報取得領域を、横方向及び縦方向に配列して複数有する第1撮像素子と、
被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域を、前記第1撮像素子の配列された横方向の一端に一列に複数有する第2撮像素子と、
被写体からの入射光を変換して1画素より小さい単位で画素情報を取得する画素情報取得領域を、前記第1撮像素子の配列された縦方向の一端に一列に複数有する第3撮像素子と、
を備えた撮像装置を用いて被写体を撮像する撮像方法であって、
駆動部によって、前記第1撮像素子を、前記第2及び第3撮像素子が画素情報を取得する1画素より小さい単位ずつずらした複数の撮像位置に移動させるステップと、
撮像情報取得部によって、前記第1撮像素子が前記駆動部によって前記撮像位置に移動するごとに前記第1、第2及び第3撮像素子の撮像によって得られる撮像情報を取得するステップと、
画素情報算出部によって、前記撮像情報取得部によって前記撮像位置ごとに取得した撮像情報の違いに基づき、被写体の画素情報を1画素より小さい単位で算出するステップと、
画像情報記憶部によって、前記画素情報算出部によって算出された画素情報を被写体の位置と対応付けて画像情報として記憶するステップと、
を含むことを特徴とする撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−51466(P2013−51466A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186848(P2011−186848)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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