説明

撮像装置

【課題】 メンテナンス性を向上させるとともに、撮像装置が大型化したり、消費電力が多くなったりするのを避ける。
【解決手段】 カメラユニットと、カメラユニットをチルト方向に駆動するための駆動手段とを有する撮像装置であって、カメラユニット内のレンズをクリーニングするクリーニング部材と、チルト方向で動作を行いつつレンズのクリーニングを行う手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラユニットをパンもしくはチルト方向に駆動する撮像装置であって、カメラユニットのレンズをクリーニングすることが可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンチルト動作をする撮像装置において、レンズの汚れをクリーニングする場合、ユーザが自らクリーニング部材で拭き取っている例がほとんどである。また、特許文献1には、屋外に設置された場合に、ワイパーを装着した屋外防水キャップをカメラ部に取付けて、ワイパーを作動させることでレンズをクリーニングする構成が提案されている。
【0003】
従来の撮像装置について説明すると、図8は、撮像装置1からレンズカバー15をG方向(図示)に取り外した状態の斜視図である。レンズカバー15を外した状態で、図9で説明する状態に移行する。図9は、ワイパー駆動部を有したレンズカバーを撮像装置に取付ける状態を示した状態図である。レンズカバー16はワイパー17とワイパーを駆動するモーター18が装着されており、レンズカバー15を取り外した状態から、図9に示すワイパー駆動部を有したレンズカバー16をH方向(図示)に装着する。ワイパー17はモーター18を駆動源として回転軸部17aを中心にE方向(図示)に往復動作をし、ワイパー17のワイパーブレード部17bがレンズカバー16の窓部16aをクリーニングする。ここで、モーター18は、ハーネス18aによりレンズユニット10から電力を供給されている。このようにレンズカバー16を装着することにより、レンズカバー16に装着されたワイパー17でクリーニングするように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特許第2743436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の撮像装置においては、レンズの汚れを取り除くために、ユーザがわざわざクリーニング部材で拭いたりする必要があり、特に屋外や天井等に設置されている場合には非常に手間がかかりメンテナンス性が悪いという問題点があった。
【0006】
また、ワイパーを装着したキャップ部材を取付けた場合においても、ワイパー部を動作させるために別の駆動源が必要となり、撮像装置が大型化したり、消費電力が多くなったり、コストがアップするという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、カメラユニットと、前記カメラユニットをチルト方向に駆動するための駆動手段とを有する撮像装置であって、前記カメラユニット内のレンズをクリーニングするクリーニング部材と、前記チルト方向で動作を行いつつ前記レンズのクリーニングを行う手段とを有することを特徴とする。
本発明の別の撮像装置は、カメラユニットと、前記カメラユニットをパンもしくはチルト方向に駆動するための駆動手段を有する撮像装置であって、クリーニング部材が撮像装置のパン及びチルト回転をしない部分に固定されており、パン方向或いはチルト方向での往復動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クリーニング部材を撮像範囲外に設け、チルト方向もしくはパン方向の往復動作でレンズのクリーニングを行うようにしたので、クリーニングをするための新たな駆動源を必要とせず、装置が大型化したり、コストアップしたりすることがない。
【0009】
また、クリーニング部材にはシャッターを有しているので、クリーニング部材が外部からの塵埃により汚れる心配がなく、クリーニング時にレンズへの汚れ再付着が発生しない良好なレンズクリーニングを実現することができる。
【0010】
さらに、電源投入時にクリーニング動作を行うことにより、撮像前に常にレンズが良好な状態を保つことが可能となり、常に快適な映像が得られる撮像装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態のワイパー機構を有した撮像装置の外観斜視図である。図1で示すように、撮像装置1はレンズ11を有するカメラユニット10、チルト支持軸R 20、チルト支持軸L 21、パンベース30、ベース40より構成されている。
【0012】
カメラユニット10はチルト支持軸R 20とチルト支持軸L 21によりチルト回転軸(図示)を中心にT1及びT2方向(図示)に回転可能に取付けられている。また、チルト支持軸R 20とチルト支持軸L 21はパンベース30に一体で構成され、パン回転軸(図示)を中心にP1及びP2方向(図示)に回転可能にベース40に取付けられている。チルト回転及びパン回転は、それぞれ独立に駆動部(不図示)を有しており、単独で回転できるように構成されている。
【0013】
ワイパー50は、パンベース30に対してパンベース内部に実装されたバネ部材(不図示)によりK方向に付勢された状態で取付けられている。
【0014】
ワイパー50はレンズ11をクリーニングすることが可能な弾性体であるワイパーブレード部50aを有している。ワイパーブレード部50aがレンズ11に当接した状態のとき、上述のバネ部材によりワイパーが適正な付勢力を保てるように構成されている。
【0015】
次に、図2を用いてレンズをクリーニングする動作について説明する。図2は、レンズのクリーニング動作を示す動作図である。撮像装置1は、電源投入後のイニシャル動作において、レンズユニット10をチルト動作により、レンズ11がワイパー50に当接する位置(図2の状態)まで回転する。
【0016】
ここで、カメラユニットをT1方向及びT2方向に往復回転することにより、レンズ11がワイパーブレード部50aに対して相対的に往復動作することになりレンズ11の汚れをクリーニングすることができる。
【0017】
図3は、ワイパーブレード部50aの形状についての説明図である。ワイパー50のワイパーブレード部50aは、レンズ11の凸形状に対して、ブレード先端部が追従できるようにレンズ11の曲率に相似した凹形状50bになっている。このような形状にすることによりワイパーブレード湾曲部50bがレンズ11の表面に均一に当接することが可能となり、良好なクリーニング性能を実現することができる。
【0018】
(第2の実施形態)
第2の実施形態であるローラ形状のクリーニング部材を有した撮像装置について説明する。図4は、第2の実施形態のローラ形状のクリーニング部材を有した撮像装置の側面図である。
【0019】
ローラクリーナー60は、パンベース30に対してローラクリーナーの回転軸60aを中心にA方向又はB方向(図示)に回転可能に取付けられている。ここで、カメラユニットをT1方向及びT2方向に往復回転すると、レンズ11と当接したローラクリーナー60は、レンズ11により回転する。
【0020】
カメラユニット10がT1方向に回転するとローラクリーナー60はB方向に、T2方向に回転するとA方向に回転する。このようにカメラユニット10が回転すると、ローラクリーナー60も回転するので、レンズ11に対してローラクリーナー60のクリーニング面が常に新しい面になり、レンズ11の汚れがレンズ11に対して再付着しない、良好なクリーニングを実現することができる。
【0021】
(第3の実施形態)
第3の実施形態であるクリーニング部材を本体に設けた撮像装置について説明する。図5は、第3の実施形態のクリーニング部を有した撮像装置でのクリーニング動作の状態を示す動作図である。
【0022】
クリーナー70は、クリーナー支持部71に実装されており、クリーナー支持部71は、ベース40に固定されている。ここで、カメラユニット10をレンズ11がクリーナー70に当接する位置(図5の状態)まで回動させる。上述した第1の実施形態と異なる点は、クリーナー70を撮像装置1のベース40に配置しているので、チルト動作だけではなく(第1の実施形態はチルト動作のみでのクリーニング構成)、パン動作も利用可能となる。
【0023】
したがって、パン方向の回転動作P1、P2方向(図示)とチルト方向の回転動作T1、T2方向(図示)以外にパン回転とチルト回転を組み合わせた斜め方向の回転動作R1、R2方向(図示)及びS1、S2方向(図示)を実現することができる。このようにカメラユニット10をクリーナー70に対して、いろいろな方向でクリーニングすることにより、レンズ11の汚れを除去する能力が向上することが可能となる。
【0024】
(第4の実施形態)
第4の実施形態であるワイパー機構と連動してシャッターを開閉可能にした撮像装置について説明する。図6及び図7は、ワイパー部を引き起こす動作及び本体に収納する動作を説明するための動作図である。
【0025】
まず、図6を用いて、ワイパー部を引き起こす動作について説明する。ここで、チルト支持軸R 20は説明のため不図示にしている。ワイパー80は、レンズ11に当接し、レンズをクリーニングするためのワイパーブレード部80aと、カメラユニット10のレンズと反対面に一体で形成した突起部10aに当接するように構成したワイパーレバー部80bと、ワイパー80を外部からの塵埃から遮断するためのシャッター85のギア部85aと駆動連結するためのワイパーギア80cを一体で有しており、回転軸部80dを中心に回転可能にパンベース30に取付けられている。
【0026】
また、シャッター85は、ワイパーギア部80cと駆動連結するためのシャッターギア部85aを一体で有しており、回転軸部85bを中心に回転可能にパンベース30に取付けられている。また、シャッター85はワイパー80が本体に収納した状態のとき(図6のワイパー引き起こし前の状態)、ワイパーブレード部80aの上面を覆うように配置している。
【0027】
このように構成した状態において、カメラユニット10をT2方向に回転させるとカメラユニットの突起部10aがワイパーレバー80bに接触する状態になる(図6<ワイパー引き起こし前>)。
【0028】
ここで、さらにカメラユニット10をT2方向に回転させると、カメラユニット10aがワイパーレバー80bを押すことになり、ワイパー80は回転軸80dを中心にC方向(図示)に回転する。ワイパー80がC方向に回転すると一体で形成されたワイパーブレード部80aが引き起こされた状態になる(図6<ワイパー引き起こし後>)。
【0029】
この状態になるとワイパー80の回転を固定するようにする(固定部材については不図示)。また、ワイパー80がC方向に回転するとワイパーギア部80cとシャッターギア部85aが駆動連結しているので、シャッター85は回転軸85bを中心にD方向(図示)に回転し、ワイパーブレード80aを覆う状態が解除される。
【0030】
次に、図7を用いて、ワイパー部を収納する動作について説明する。カメラユニット10をT1方向に回転させるとカメラユニットの突起部10aがワイパーレバー80bに接触する状態になる(図7<ワイパー収納前>)。
【0031】
ここで、さらにカメラユニット10をT1方向に回転させると、カメラユニット10aがワイパーレバー80bを押すことになり、ワイパー80は回転軸80dを中心にE方向(図示)に回転する。ワイパー80がE方向に回転すると一体で形成されたワイパーブレード部80aがパンベース30に収納された状態になる(図7<ワイパー収納後>)。
【0032】
また、ワイパー80がE方向に回転するとワイパーギア部80cとシャッターギア部85aが駆動連結しているので、シャッター85は回転軸85bを中心にF方向(図示)に回転し、ワイパーブレード80aを覆う状態にあり、外部からの塵埃からワイパーブレードへの付着を遮断することができる。
【0033】
以上のように構成すると、レンズをクリーニングするときのみワイパーが引き起こされ、収納時は、シャッター85が外部からの塵埃を遮断するので、ワイパーに汚れが付着してレンズ11に再付着しない良好なレンズクリーニングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態のワイパー機構を有した撮像装置の外観斜視図である。
【図2】第1の実施形態でのレンズのクリーニング動作の状態を示す動作図である。
【図3】第1の実施形態でのワイパーブレード部の形状についての説明図である。
【図4】第2の実施形態のローラ状のクリーニング部材を有した撮像装置の側面図である。
【図5】第3の実施形態のクリーニング部を有した撮像装置でのクリーニング動作の状態を示す動作図である。
【図6】第4の実施形態でのワイパー部を引き起こす動作を行っている動作図である。
【図7】第4の実施形態でのワイパー部を本体に収納する動作を行っている動作図である。
【図8】従来の撮像装置においてレンズカバーを取り外した状態を示す図である。
【図9】従来の撮像装置においてワイパー駆動部を有したカバーをレンズカバーと取り換えた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 撮像装置
10 カメラユニット
10a カメラユニット裏面突起部
11 レンズ
20 チルト支持軸R
21 チルト支持軸L
30 パンベース
40 ベース
50 ワイパー
50a ワイパーブレード部
50b ワイパーブレード湾曲部
60 ローラクリーナー
60a ローラクリーナーの回転軸部
70 クリーナー
71 クリーナー保持部
80 ワイパー
80a ワイパーブレード部
80b ワイパーレバー部
80c ワイパーギア部
80d ワイパー回転軸部
85 シャッター
85a シャッターギア部
85b シャッター回転軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラユニットと、前記カメラユニットをチルト方向に駆動するための駆動手段とを有する撮像装置であって、
前記カメラユニット内のレンズをクリーニングするクリーニング部材と、
前記チルト方向で動作を行いつつ前記レンズのクリーニングを行う手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記クリーニング部材は、吸収体でかつローラ形状であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記クリーニング部材は、弾性体でかつブレード形状であり、レンズの凸形状に追従するように凹形状になっていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
カメラユニットと、前記カメラユニットをパンもしくはチルト方向に駆動するための駆動手段を有する撮像装置であって、
クリーニング部材が撮像装置のパン及びチルト回転をしない部分に固定されており、パン方向或いはチルト方向での往復動作を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記クリーニング位置において、前記チルト動作とパン動作を組み合わせた動作を行うことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記クリーニング部材を収納状態と使用可能な突出状態の2つの状態に変位させる手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記収納状態で、埃や汚れの付着するのを防止するため前記クリーニング部材を覆うシャッター部材を有し、前記クリーニング部材と連動して動作することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記クリーニング部材位置でのクリーニング動作は、撮像装置の電源投入時のイニシャル動作時に実施することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−345060(P2006−345060A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166989(P2005−166989)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】