説明

撮像装置

【課題】薄型の撮像系を実現するため4眼の光学系を用いてRGBの画像を生成し、合成して映像信号を得る技術がある。しかし、前記方法では視差に起因して、被写体距離に応じたRGBの画像のずれが生じてしまう。本発明では近接撮影時の画像の色ずれや鮮鋭度の低下を防ぐことを目的にする。
【解決手段】同一平面上に複数の撮像領域を備えた撮像素子上に像を形成する撮影光学系を持ち、前記撮像素子は同一のスペクトル分布で形成された同一視野の第1及び第2の出力画像とを有し、前記第1及び第2の画像の間隔変化に基づいて近接撮影を検知し、複数の撮像領域の何れかの単一画像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラ、ビデオムービー等の撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子に被写界像を所望の時間露光し、これより得られた1画面の画像信号をデジタル信号に変換して、YC処理等の所定の処理を施し、所定の形式の画像信号を得ている。撮像された画像を表わすデジタルの画像信号は、それぞれの画像毎に、半導体メモリ、テープ媒体、HDD等に記録される。
【0003】
記録された画像信号は、単独に、或は連続的に、随時読み出されて表示又は印刷可能な信号に再生され、モニタ等の出力装置に表示される。
【0004】
又、4眼の光学系を用いてRGBの画像を生成し、これらを合成して映像信号を得る技術があるが、この技術は薄型の撮像系を実現する上で極めて有効である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−43555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の3眼光学系或は4眼光学系を用いる方法では、光学系の持つ視差に起因して、被写体距離に応じたRGBの画像のずれが生じてしまう。このRGBの画像のずれは、出力画像の色ずれや鮮鋭度の低下を招き、好ましくない。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、近接撮影時の画像の色ずれや鮮鋭度の低下を防ぐことができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、同一平面上に複数の撮像領域を備えた撮像素子と、該複数の撮像領域上に各々物体像を形成する撮影光学系と、前記撮像素子の出力信号を処理する画像処理手段とを具備し、前記撮像素子は同一のスペクトル分布で形成された略同一視野の第1及び第2の出力画像とを有し、前記出力信号の処理過程において、前記第1及び第2の画像の間隔変化に基づいて被写体距離を検出し、前記被写体検出距離が近接撮影と判断し得る所定値以上の場合、複数の撮像領域の何れかの単一画像を出力する手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、近接撮影時に、単一チャネル(モノクロモード)での画像出力に切り替えることで、色ずれを防止でき、解像度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
<実施の形態1>
図2は本発明の実施の形態1に係るデジタルカメラの外観を示す図、図2(a)はカメラの表面図、図2(b)はカメラの裏面図である。
【0012】
図2において、201はカード型のカメラ本体、202は撮像画像を表示する液晶モニタ、203は使用者がカメラの状態をセットするためのスイッチ類、204は使用者がカメラを保持するグリップ部、205はレリーズボタンである。
【0013】
206は撮像系であり、207の断面図で示す構造を持つ。撮像系207は、保護ガラス209、絞り208、光学フィルター210、撮影レンズ102、撮像素子103により構成される。
【0014】
ここで、撮影光学系の基本要素は撮影レンズ102、絞り208、固体撮像素子103であり、撮像系207は緑色(G)画像信号、赤色(R)画像信号、青色(B)画像信号を別々に得るための4つの光学系を備えている。
【0015】
このシステムで想定している物体距離は数mと結像系の光路長に比して極めて大きいので、想定物体距離に対して入射面をアプラナチックとすると入射面は極めて小さな曲率を持つ凹面であり、ここでは平面で置き換えている。この撮影レンズ102は、4つのレンズ部102a,102b,102c,102dを有し、これらは輪帯状の球面で構成されている。このレンズ部102a,102b,102c,102d上には670nm以上の波長域について低い透過率を持たせた赤外線カットフィルターが形成されている。
【0016】
4つのレンズ部102a,102b,102c,102dのそれぞれが結像系であって、後述するように、レンズ部012aと102dが緑色(G)画像信号用、レンズ部102bが赤色(R)画像信号用、レンズ部102cが青色(B)画像信号用となる。又、RGBの各代表波長における焦点距離は全て1.45mmとする。
【0017】
次に、絞り208は4つの円形開口208a,208b,208c,208dを有する。この各々から撮影レンズ102の光入射面に入射した物体光は、4つのレンズ部102a,102b,102c,102dから射出して、固体撮像素子103の撮像面上に4つの物体像を形成する。絞り208と光入射面及び固体撮像素子103の撮像面は平行に配置されている。絞り208と4つのレンズ部102a,102b,102c,102dとは、ツィンケン・ゾンマーの条件を満たす位置関係、即ち、コマ収差と非点収差を同時に除く位置関係に設定されている。
【0018】
光学フィルター210aと210dは図3にGで示した主に緑色を透過する分光透過率特性を有し、光学フィルター210bはBで示した主に青色を透過する分光透過率特性を有し、更に、光学フィルター210cはRで示した主に赤色を透過する分光透過率特性を有している。即ち、これらは原色フィルターである。レンズ部102a,102b,102c,102dに形成されている赤外線カットフィルターの特性との積として、イメージサークルに形成されている物体像はそれぞれ、緑色光成分、緑色光成分、赤色光成分によるものとなる。
【0019】
各結像系に各スペクトル分布の代表波長について略同一の焦点距離を設定すれば、これらの画像信号を合成することにより良好に色収差の補正されたカラー画像を得ることができる。通常、色収差を除去する色消しは、分散の異なる少なくとも2枚のレンズの組み合わせが必要である。これに対して、各結像系が1枚構成であることによるコストダウン効果がある。更に、撮像系の薄型化への効果が大きくなる。
【0020】
一方、固体撮像素子103の4つの撮像領域103a,103b,103c,103d上にも又光学フィルターが形成されている。尚、撮像領域103aと103dの分光透過率特性は図3にGで示したもの、撮像領域103bの分光透過率特性は図3にBで示したもの、撮像領域103cの分光透過率特性は図10にRで示したものである。つまり、撮像領域103aと103dは緑色光(G)に対して、撮像領域103bは青色光(B)に対して、撮像領域820cは赤色光(R)に対して感度を持つ。
【0021】
各撮像領域の受光スペクトル分布は瞳と撮像領域の分光透過率の積として与えられるため、イメージサークルの重なりがあっても、結像系の瞳と撮像領域の組み合わせは波長域によってほぼ選択される。
【0022】
更に、撮像領域103a,103b,103c,103dの上にはマイクロレンズが各画素の受光部毎に形成されている。マイクロレンズは固体撮像素子103の受光部に対して偏心した配置をとり、その偏心量は各撮像領域103a,103b,103c,103dの中央でゼロ、周辺に行くほど大きくなるように設定されている。又、偏心方向は各撮像領域103a,103b,103c,103dの中央の点と各受光部を結ぶ線分の方向である。
【0023】
先に説明した、波長域を利用して各撮像領域に対して選択的に瞳を割り当てる手法に加えて、マイクロレンズを利用して各撮像領域に対して選択的に瞳を割り当てる手法をも適用し、絞りの開口208aを通過した物体光は撮像領域103aで光電変換され、絞りの開口208bを通過した物体光は撮像領域103bで光電変換され、絞りの開口208cを通過した物体光は撮像領域103cで光電変換され、更に、絞りの開口208dを通過した物体光は撮像領域103dで光電変換される。従って、撮像領域103aと103dはG画像信号を、撮像領域103bはB画像信号を、撮像領域103cはR画像信号を出力することになる。
【0024】
不図示の画像処理系は、固体撮像素子103の複数の撮像領域が、各々複数の物体像の1つから得た選択的光電変換出力に基づいてカラー画像を形成する。この際、各結像系の歪曲を演算上で補正し、比視感度のピーク波長555nmを含むG画像信号を基準としてカラー画像を形成するための信号処理を行う。G物体像は2つの撮像領域103aと103dに形成されるため、その画素数はR画像信号やB画像信号に比べて2倍となり、視感度の高い波長域で特に高精細な画像を得ることができるようになっている。この際、固体撮像素子の撮像領域103aと103d上の物体像を相互に上下左右1/2画素分ずらすことにより、少ない画素数で解像度を上げる画素ずらしという手法を用いることができる。
【0025】
ここで、単一の撮影レンズを用いる撮像系との比較において、固体撮像素子の画素ピッチを固定して考えると、固体撮像素子上に2×2画素を一組としてRGBカラーフィルターを形成したベイヤー配列方式に比較し、この方式は物体像の大きさが1/√4になる。これに伴って撮影レンズの焦点距離はおおよそ1/√4=1/2にまで短くなる。従って、カメラの薄型化に対して極めて有利となる。
【0026】
次に、信号処理系の概略構成を説明する。
【0027】
図1は本発明の信号処理系のブロック図である。本カメラは、CCD或はCMOSセンサ等の固体撮像素子103を用いたシステムであり、固体撮像素子103を連続的又は単発的に駆動して動画像又は静止画像を形成し得る画像信号を得る。ここで、固体撮像素子103とは、露光した光を各画素毎に電気信号に変換してその光量に応じた電荷をそれぞれ蓄積し、その電荷を読み出すタイブの撮像デバイスである。
【0028】
尚、図面には本発明に直接関係する部分のみが示されており、本発明に直接関係しない部分は図示とその説明を省略する。
【0029】
図1に示すように、本カメラシステムは、撮像レンズ102と、撮像素子103と、A/D変換器104、RGB画像形成処理回路107と、複数の撮像領域のうちの単一の領域の出力信号より画像を形成する単一エリア画像形成処理回路、YC処理回路110、RGB画像形成処理回路の出力信号と単一エリア画像形成処理回路の出力信号とを切り替える出力信号切り替え回路108と、被写体との距離を検出する被写体距離検出回路109とを有する。
【0030】
物体からの光束101は、絞り208、撮影レンズ102を介して固体撮像素子103の撮像面に結像され、被写体像は固体撮像素子103に露光される。前述のように、固体撮像素子103は、CCDやCMOSセンサ等の撮像デバイスが有効に適用され、固体撮像素子103の露光時間及び露光間隔を制御することにより、連続した動画像を表わす画像信号、又は1回の露光による静止画像を表わす画像信号を得ることができる。
【0031】
前述のように撮像素子103は、例えば、各撮像領域毎に長辺方向に800画素、短辺方向に600画素を有し、合計192万の画素数を有する撮像デバイスであり、その前面には赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色の光学フィルターが所定の領域毎に配置されている。
【0032】
固体撮像素子103から読み出された画像信号は、それぞれA/D変換器104を介して画像処理系106,107に供給される。A/D変換器104は、露光した各画素の信号の振幅に応じて、例えば、10ビットのデジタル信号に変換して出力する信号変換回路であり、以降の画像信号処理はデジタル処理にて実現される。
【0033】
RGB画像形成処理回路107は、R,G,Bのデジタル信号から所望の形式の画像信号を得る信号処理回路であり、YC処理回路110と合わせて、R,G,Bの色信号を輝度信号Y及び色差信号(R−Y),(B−Y)にて表わされるYC信号等に変換する。
【0034】
RGB画像形成処理回路107は、A/D変換器104を介して固体撮像素子103から受けた800×600×4画素の画像信号を処理する信号処理回路であり、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、補間演算による高解像度化を行う補間演算回路を有する。
【0035】
YC処理回路110は、輝度信号Yおよび色差信号R−Y,B−Yを生成する信号処理回路である。高域輝度信号YHを生成する高域輝度信号発生回路、低域輝度信号YLを生成する低域輝度信号発生回路及び色差信号R−Y,B−Yを生成する色差信号発生回路で構成されている。輝度信号Yは、高域輝度信号YHと低域輝度信号YLを合成することによって形成される。
【0036】
不図示の記録再生回路では、メモリへの画像信号の出力と、液晶モニタ202への画像信号の出力とを行う処理系を有し、メモリへの画像信号の書き込み及び読み出し処理を行う記録処理回路と、メモリから読み出した画像信号を再生して、モニタ等への出力信号を形成する再生処理回路とを含む。より詳細には、記録処理回路は、静止画像及び動画像を表わすYC信号を所定の圧縮形式にて圧縮し、又、圧縮データを読み出した際に伸張する圧縮伸張回路を含んでいる。圧縮伸張回路は、信号処理のためのフレームメモリ等を有し、このフレームメモリに画像処理回路からのYC信号をフレーム毎に蓄積して、それぞれ複数のブロック毎に読み出して圧縮符号化する。圧縮符号化は、例えば、ブロック毎の画像信号を2次元直交変換、正規化及びハフマン符号化することにより行う。
【0037】
再生処理回路は、輝度信号Y及び色差信号R−Y,B−Yをマトリックス変換し、例えば、RGB信号に変換する回路である。再生処理回路によって変換された信号は液晶モニタ202に出力され、可視画像が表示再生される。
【0038】
不図示の制御系では、外部操作に応動して撮像系、画像処理系、記録再生系をそれぞれ制御する各部の制御回路を含み、レリーズボタン205の押下を検出して、撮像素子103の駆動、RGB画像処理回路106の動作、単一エリア画像形成回路107の動作、それらの切り替え回路108の制御、記録処理回路の圧縮処理等を制御する。
【0039】
RGB画像処理回路107での処理は次のようなものである。
【0040】
即ち、A/D変換器104を介してR,G,B領域毎に出力されたRGB信号に対して、先ず、RGB画像処理回路内のホワイトバランス回路にてそれぞれ所定の白バランス調整を行い、更に、ガンマ補正回路にて所定のガンマ補正を行う。RGB画像処理回路107内の補間演算回路は、固体撮像素子103の画像信号に補間処理と歪曲補正を施すことによって1200×1600の解像度の画像信号をRGB毎に生成し、後段の高域輝度信号発生回路、低域輝度信号発生回路、色差信号発生回路に供給する。又、106は複数の撮像領域のうちの1つの出力信号に基づいて映像を形成する単一エリア映像形成回路であり、前記RGB処理回路に準じるホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、高域輝度信号発生回路、低域輝度信号発生回路、色差信号発生回路等の処理回路を有する。
【0041】
ここで、図4に示すように、RGB画像処理回路107を使用し、近接撮影を行った場合、図4に示すように各領域の画像が一致せず(401)、解像度、鮮鋭度の低下を生じてしまう。そこで、或る所定量の画像ずれが生じた場合、複数の撮像領域のうちの1つの出力信号に基づいて映像を形成することにより、解像度煮の低下を防ぐことが可能となる(402)。
【0042】
図5は像ずれ(被写体距離)を検出するために用いる撮像素子像の検出エリア設定を説明するための図である。
【0043】
図5において、501a,501b,501c,501dは固体撮像素子103の4つの撮像領域である。ここでは説明のため、撮像領域501a,501b,501c,501dの各々は8×6の領域の配列で構成している。撮像領域501a,501dはG画像信号を、撮像領域501bはB画像信号を、501cはR画像信号を出力する。撮像領域501a,501dは何れもG画像を出力するため、線分L502は撮像領域501aと501dとの光学中心503,504とを結ぶ線分であり、線分L502の下に位置する撮像領域501a,501dの画素領域の信号は類似した形となり、これらの相関を取ることにより撮像領域501a,501d間の画像ずれを検出することができる。
【0044】
このような色特性において同一のスペクトル分布を有する1対の信号間の相対的変化量は、相関演算を用いた公知の手法を用いて検出することが可能である。
【0045】
図6は撮像領域501a,501dの画像ずれを検出法を示したもので、センサ605a,605bは、図5の線分L502の下に位置する画像領域を並べて構成されたものに相当する。被写体距離Aのとき、図7に示すように、センサ605a,605bの出力は一致する。しかし、被写体距離B,Cのとき、センサ出力は図8のように像ずれが生じる。このずれ量mを検出することにより、被写体距離を検出できる。
【0046】
次に、本カメラの動作を説明する。
【0047】
先ず、メインスイッチ211をオンとすると、各部に電源電圧が供給され、動作可能状態となる。
【0048】
続いて、メモリに画像信号を記録可能かどうかが判定される。この際の残り容量、撮影可能枚数は、液晶モニタ202に表示される。
【0049】
その表示を見て、撮影者は撮影可能であれば、被写体にカメラを向け、レリーズボタン205を押下する。レリーズボタン205が押下されると、露光時間の算出を行うとともに、測距演算回路109により、被写体距離の演算が行われる。そこで検出された被写体距離が所定値以下の場合、近接撮影と判断し、液晶モニターに近接撮影モード(名刺撮影モード)切替の表示と、スイッチ108での出力信号の切り替えが行われ、単一エリア画像形成回路106により、単一エリアのみの画像を形成し、モノクロでの画像出力が行われる。
【0050】
又、スイッチ203は、近接撮影モード(名刺撮影モード)への切替を行うスイッチであり、強制的に前述の近接撮影モードへと切り替える。又は、近接撮影モード(名刺撮影モード)への通常モードへと強制的に切り替える。
【0051】
<実施の形態2>
図10は画像全体の露光評価値を得るための演算回路の画面分割を示したものであるが、この分割のうち、図5に示すように、G1,G2のそれぞれの光学中心位置を結ぶ直線上に位置する分割エリアの信号を使用することで、実施の形態1に相当する信号を得ることができる。この場合、検出ユニットには、G1,G2を時系列入力していくことで、検出を行う。
【0052】
次に、本カメラの動作を説明する。
【0053】
先ず、メインスイッチ211をオンとすると、各部に電源電圧が供給され、動作可能状態となる。
【0054】
続いて、メモリに画像信号を記録可能かどうかが判定される。この際の残り容量、撮影可能枚数は、液晶モニター202に表示される。
【0055】
その表示を見て、撮影者は撮影可能であれば、被写体にカメラを向け、レリーズボタンを押下する。レリーズボタンが押されると、測光処理・測距処理回路1101により、露光時間の算出を行うとともに、被写体距離の演算が行われる。その検出された被写体距離が、所定値以下の場合、近接撮影と判断し、液晶モニターに近接撮影モード(名刺撮影モード)切替の表示が行われ、単一エリアのみの画像により画像を形成し、モノクロでの画像出力が行われる。
【0056】
又、スイッチ203は、近接撮影モード(名刺撮影モード)への切替を行うスイッチであり、強制的に前述の近接撮影モードへと切り替える。又は、近接撮影モード(名刺撮影モード)への通常モードへと強制的に切り替える。
【0057】
<実施の形態3>
図9は広く知られている測距センサの一例であるが、このような、外部センサ、例えば、超音波やLED光を被写体に投射して距離を検出するアクティブ型側距センサを使用し、被写体距離を検出し、近接撮影モード(名刺撮影モード)への切替を行う手法も考えられる。この場合のシステムの基本的な構成は図1に示すものと同等である。
【0058】
ここで、撮像レンズを通過した光束は、被写体の距離に応じて相対的な位置関係が変化し、センサ出力に反映される。センサユニット901は、センサ列902a,902bとを有し、異なる瞳領域を通過した光束による2像がセンサ列902a,902bの受光面上に形成され、センサ駆動装置903からの制御信号により像の光量分布に応じた電荷の蓄積及び転送を行う。センサ駆動装置903からの信号により時系列的に蓄積された電荷に基づいた光電変換信号をA/D変換器904でデジタル信号に変換し、被写体距路演算手段905により被写体距離を検出している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明を説明するためのデジタルカメラの図である。
【図3】光学フィルターの分光透過率特性を表す図である。
【図4】視差による像ずれを表す図である。
【図5】視差による像ずれの方向を表す図である。
【図6】被写体距離に応じた視差による像ずれを表す図である。
【図7】合焦時のセンサー出力を示す図である。
【図8】非合焦時のセンサー出力を示す図である。
【図9】位相差式測距センサーのブロック図である。
【図10】本発明を説明するための露光量検出ユニットの検出枠設定を表す図である。
【図11】本発明を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
101 光束
102 撮像レンズ
103 撮像素子
104 A/D変換器
107 RGB画像形成処理回路
108 出力信号切り替え回路
109 被写体距離検出回路
110 YC処理回路
201 カメラ本体
202 液晶モニタ
203 スイッチ類
204 グリップ部
205 レリーズボタン
206 撮像系
207 撮像系
208 絞り
209 保護ガラス
210 光学フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を異なる位置から取り込むための複数の開口と、該複数の開口より取り込んだ外光をそれぞれ別個に受光し、該別個に受光する外光毎に所定の色成分を抽出する複数の撮像手段と、該撮像手段の出力信号を処理する画像処理手段とを備え、
該画像処理手段は、前記複数の撮像手段の出力信号に基づく合成映像を形成する合成映像形成手段と、前記複数の撮像手段のうちの1つの出力信号に基づいて映像を形成する単一映像形成手段を有し、出力画像として、合成映像形成手段の出力画像と単一映像形成手段の出力画像とを切り替える機能を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体像までの距離を検出する被写体距離検出手段を備え、前記被写体距離検出手段の出力に応じて、合成映像形成手段の出力画像と単一映像形成手段の出力画像とを切り替える機能を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記被写体距離検出手段は、前記複数の撮像手段の同一の色成分を抽出した複数の撮像手段からの映像信号を比較することにより前記被写体距離を検出することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体の露光量を制御する露光制御手段と、露光量を検出する露光量検出手段とを有し、前記被写体距離検出手段と露光量検出手段とは同一検出手段を共有することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
近接撮影を指示する近接撮影指示手段を有し、該近接撮影指示手段の状態により、合成映像形成手段の出力画像と単一映像形成手段の出力画像とを切り替える機能を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−80838(P2006−80838A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262110(P2004−262110)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】