説明

撮像装置

【課題】電源電圧の低下に起因する異常終了を防止する。
【解決手段】電源ボタンの押圧操作により電源がオンにされてから、撮影レンズの繰り出し、初期設定、フィールド画の読み出し等を経てスルー画がLCDに表示されるまでの初期準備シーケンスが終了した後、タイマ回路が駆動して一定時間の計測を開始する。一定時間が経過すると、デジタルカメラは待機状態になり、電池にかかる負荷は小さくなって電源電圧は安定する。電源電圧Vが測定され、閾値電圧V0と比較される。電源電圧Vが閾値電圧V0よりも低い場合、電源ボタンの押圧操作以外の全操作が不能とされ、「電源をオフにして、電池を交換して下さい。」のメッセージがLCDに表示され、ユーザに電池交換が促される。電源ボタンが押圧されると、電源オフシーケンスが実行される。過剰な電池の使用が防止され、電源電圧の低下に起因するデジタルカメラの異常終了が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関し、更に詳しくは電源電圧の低下時に対応した処理を行なう撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置としては、撮像素子から出力される撮像信号に基づいて画像データをメモリカードに記憶するデジタルカメラやカメラ付き携帯電話などが知られている。撮像装置には、電源として単4形乾電池などの一次電池やリチウムイオン電池などの充電可能な二次電池(以下単に電池という)が用いられている。
【0003】
電池の残容量が少なくなってくると、撮像装置が動作不良を起こすため、常に電池の残容量を監視し、電池の残容量が基準値よりも少なくなった時に、LCDに表示された電池マークを点滅させるなどの警告を発する撮像装置が一般に知られている。また、電池の残容量に応じて通常動作モードから低消費電力モードに移行させる機能を備えたデジタルカメラにおいて、記録媒体の撮影可能な残枚数を考慮して低消費電力モードに移行させるデジタルカメラが知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、バッテリの電圧が低いときにデジタルカメラの電源をオンにすると、撮像レンズの沈胴動作時にバッテリの電圧が所定の電圧以下となって沈胴動作が緊急停止した後、デジタルカメラの電源がオフになる異常終了が発生する場合がある。このような異常終了を防止するために、バッテリの電圧が低いときには、撮像レンズの沈胴動作をゆっくりと行わせるデジタルカメラが知られている(例えば特許文献2)。
【0005】
また、電池を電源とする電気システムにおいて、電源オン信号が入力され、かつ電池の電圧が所定値より高い場合にのみ、電源オンとする電気システムが知られている(例えば特許文献3)。また、電源電圧の検出にヒステリシスをもたせ、メモリ保護機能を安定動作させる電子手帳などの携帯型電子機器が知られている(例えば特許文献4)。
【特許文献1】特開2004−214944号公報
【特許文献2】特開2006−067776号公報
【特許文献3】特開2002−202832号公報
【特許文献4】特開2005−265879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような異常終了を防止するために、電源電圧の検出に用いられる閾値電圧にマージンをもたせ、早めに電池の交換や充電をユーザに促すことが一般に行なわれている。ところが、一度警告が出ても時間を置いて再度電源をオンにすると、電源電圧が回復していて、しばらくの間は使えることをユーザの多くが経験上知っている。さらに限度一杯まで電池を使いたいというユーザ心理が働くため、警告が一度や二度出ても使い続け、異常終了の発生を防止することができないというのが現状である。異常終了が発生すると、撮像装置が故障しているというクレームがメーカに寄せられるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、電源電圧の低下に起因する異常終了を防止できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、電源用の電池と、操作することにより電源をオン/オフする電源スイッチとを備えた撮像装置において、前記電池に大きな負荷がかかる所定のシーケンスが終了してから一定時間の計測を行なう計測部と、この計測部による計測時間が一定時間を超えた際に、前記電池の電圧を測定する電圧測定部と、この電圧測定部によって測定された電圧が所定の閾値電圧よりも低い場合、前記電源スイッチの操作以外の操作を不能とする制御部とからなることを特徴とする。
【0009】
電源用の電池と、操作することにより電源をオン/オフする電源スイッチと、撮影光学系によって結像される被写体像を光電変換して撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像信号に基づいてスルー画を表示する表示部とを備え、レリーズ操作により前記撮像信号に基づいて得られた画像データを所定の記憶媒体に記憶する撮像装置において、前記電源スイッチを操作して電源をオンにしてからスルー画が表示部に表示されるまでの初期準備シーケンス、前記電源スイッチの操作及びレリーズ操作以外の操作シーケンス、前記レリーズ操作が行なわれてから画像データが記憶媒体に記憶されるまでの撮影シーケンスが終了して次の撮影が可能になりスルー画が表示部に表示されるまでの撮影準備シーケンスのうち少なくとも1つ以上を含む所定のシーケンスが終了してから一定時間の計測を行なう計測部と、この計測部による計測時間が一定時間を超えた際に、前記電池の電圧を測定する電圧測定部と、この電圧測定部によって測定された電圧が所定の閾値電圧よりも低い場合、前記電源スイッチの操作以外の操作を不能とする制御部とからなることを特徴とする。
【0010】
前記制御部は、前記電源スイッチの操作以外の操作を不能とした際に、前記電池の交換又は充電を促すメッセージを前記表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の撮像装置によれば、電池に大きな負荷がかかる所定のシーケンスが終了して一定時間が経過してから電池の電圧を測定するので、電池に大きな負荷がかからない安定した状態で測定でき、電池の電圧を正確に測定できる。また、測定電圧が所定の閾値電圧よりも低い場合、電源スイッチの操作以外の操作を不能とするので、過剰な電池の使用を防止でき、結果として電源電圧の低下に起因する異常終了を防止できる。
【0012】
初期準備シーケンス、操作シーケンス、撮影準備シーケンスのうち少なくとも1つ以上を含む所定のシーケンスが終了して一定時間が経過してから電池の電圧を測定するので、電池に大きな負荷がかからない安定した状態で測定でき、電池の電圧を正確に測定できる。また、測定電圧が所定の閾値電圧よりも低い場合、電源スイッチの操作以外の操作を不能とするので、過剰な電池の使用を防止でき、結果として電源電圧の低下に起因する異常終了を防止できる。
【0013】
電源スイッチの操作以外の操作を不能とした際に、電池の交換又は充電を促すメッセージが表示部に表示されるので、ユーザが故障ではないかなどと疑念を起こすことなく、納得して電池の交換や充電を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施したデジタルカメラは、電源をオンにした直後の起動中や撮影中のような非常に大きな負荷が電池にかかっている状態で電池の電圧を測定することを避け、比較的安定した負荷の状態で測定することにより、電池の電圧を適正に測定できるようにするとともに、測定した電圧が所定の閾値電圧よりも低い場合には、電源のオン/オフ操作以外の操作を不能にして、ユーザに電池交換の必要性を自覚させる。これにより、過剰な電池の使用を防止でき、電源電圧の低下に起因する異常終了を防止できる。
【0015】
図1において、デジタルカメラ10のカメラ本体11の前面には、沈胴式のズームレンズである撮影レンズ12、ストロボ発光部14が設けられている。なお、図示しないが、カメラ本体11の左手側には、メモリカード15(図3参照)を装着するためのカードスロットが設けられている。
【0016】
カメラ本体11の上面には、回転させることによりモードの切替を行うリング状のモード切換ダイヤル16,この中心部に設けられたシャッタボタン17,電源ボタン18が配設されている。シャッタボタン17は2段階式に構成され、軽く押して止める「半押し」の状態ではAF及び自動露出制御(AE)が作動してからAFとAEをロックし、「半押し」から更に押し込む「全押し」の状態で撮影が実行される。
【0017】
カメラ本体11の下面には、電池蓋19が設けられており、この電池蓋19を開けて露呈される電池室に、例えば単4形の電池20(図3参照)が2本着脱自在に収納される。なお、電池20としては、例えばアルカリ乾電池やオキシライド乾電池(登録商標)などの一次電池の他、例えばリチウムイオン電池などの充電可能な二次電池も使用可能である。
【0018】
図2に示すように、カメラ本体11の背面には、液晶ディスプレイ(LCD)22,ズームボタン23,多機能の十字ボタン24,メニュー/実行ボタン25,液晶表示/戻るボタン26,再生モードボタン27等が設けられている。以下、これらのボタン23〜27及びモード切換ダイヤル16,シャッタボタン17,電源ボタン18を一括して呼ぶ場合には、操作部28(図3参照)という。
【0019】
前記LCD22は、撮影前に画面22aにスルー画を表示して電子ファインダとして使用されるとともに、撮影した画像のプレビュー画やメモリカード15から読み出した再生画像の他、各種の設定画面や、電池の交換を促す例えば「電源をオフにして、電池を交換して下さい」のメッセージ30を表示する。
【0020】
デジタルカメラ10の電気的構成を示す図3において、CPU32は、電源ボタン18を押圧操作することにより電源がオンにされると、フラッシュメモリ33に格納された制御プログラムをRAM34にロードして初期設定を行なう。この後、CPU32は、操作部28から入力される各種の操作信号に応じて、データバス36を介してカメラ本体11の各部を制御する。
【0021】
初期設定の項目には、例えば画像の記録サイズ,画質,ホワイトバランス,感度,露出補正,シャープネス,彩度,コントラストなどがある。各項目の値は、メーカ出荷時に基準となる値が予め設定されているが、ユーザによって任意に変更可能である。
【0022】
撮影レンズ12は、焦点距離の変更(変倍)を行なう変倍レンズ及び焦点調節を行なうフォーカシングレンズを含むレンズ群と絞りとからなる。これらの移動はモータによって行なわれ、このモータは、CPU32に制御されるモータ駆動部38によって駆動される。
【0023】
撮影レンズ12の背後には、CCDイメージセンサ(以下単にCCDという)40が配置されている。CCD40は、撮影レンズ12を通過してその受光面に結像された被写体光を光電変換し、アナログの撮像信号を出力する。CCD40は、タイミングジェネレータ(TG)41から入力されるタイミング信号(クロックパルス)に基づいて制御される。
【0024】
スルー画表示の際にはCCD40からフィールド画(偶数フィールド又は奇数フィールド)の撮像信号が読み出され、CDS/AMP回路42に入力される。また、撮影時にはCCD40からフレーム画の撮像信号が読み出され、CDS/AMP回路42に入力される。
【0025】
前記CDS/AMP回路42は、相関二重サンプリング回路(CDS)と、増幅器(AMP)とからなる。CDSは、前記撮像信号からR,G,Bのアナログ画像信号を生成する。AMPは、前記R,G,Bのアナログ画像信号を増幅する。
【0026】
前記CDS/AMP回路42から出力された撮像信号は、A/D変換器43によりデジタルの画像データに変換された後、画像入力コントローラ44に送られる。この画像入力コントローラ44は、データバス36を介してCPU32に接続され、CPU32の制御命令に応じてCCD40,CDS/AMP回路42、A/D変換器43を制御する。
【0027】
データバス36には、CPU32,画像入力コントローラ44の他、画像信号処理回路45,圧縮伸張処理回路46,ビデオエンコーダ47,SDRAM48,メディアコントローラ49,AE/AF/AWB検出回路50が接続されている。
【0028】
CPU32には、操作部28,フラッシュメモリ33,RAM34の他、ストロボ発光部14を発光させるストロボ装置51,タイマ回路52,電池20の電圧を測定する電圧測定回路53が接続されている。電池20には、DC/DCコンバータ54が接続されている。
【0029】
DC/DCコンバータ54は、電池20からの電源電圧をカメラ本体11内の各部に対応したそれぞれの電圧に変換する。DC/DCコンバータ54は、CPU32によって制御され、電源ボタン18の操作により電源がオフにされると、CPU32などのごく一部へ待機電流を流すのみで、カメラ本体11の大部分への電源供給を停止する。
【0030】
画像信号処理回路45は、デジタルのR,G,Bの画像データに対して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理と、YC変換処理とを施す。撮影モード下で撮影処理が実行される前には、画像信号処理回路45に入力されたスルー画の画像データ(フィールド画)は、簡易な画像処理とYC変換処理とが施されてSDRAM48に一時的に書き込まれる。
【0031】
SDRAM48には、連続した2フィールド画分を記憶するスルー画用のメモリ領域があり、一方から読み出し中に、他方に書き込みをする。ビデオエンコーダ47は、SDRAM48に書き込まれた画像データをコンポジット信号に変換し、LCD22にスルー画像として表示する。
【0032】
また、撮影処理が実行されたときには、画像信号処理回路45に入力されたフレーム画の画像データは、本格的な画像処理とYC変換処理とが施され、SDRAM48に一時的にストアされた後、圧縮伸張処理回路46で圧縮処理が施されてから、メディアコントローラ49を介してメモリカード15に記憶される。
【0033】
AE/AF/AWB検出回路50は、画像データに基づいて露出検出、焦点位置検出、及びホワイトバランス量検出を行う。露出検出では、A/D変換器43から出力された画像データの輝度レベルを1画面分積算し、この積算値を露出情報として、データバス36を介してCPU32に出力する。焦点位置検出では、撮像信号から輝度レベルの高域成分のみを抽出して積算し、この積算値を焦点評価値として、CPU30に出力する。ホワイトバランス量検出では、画像データからホワイトバランス量を検出してCPU30に出力する。
【0034】
CPU30は、AF/AE/AWB検出回路50から入力された検出結果に基づいて、モータ駆動部38及びTG41を制御してシャッタ速度、絞り値、及びホワイトバランス量などを最適な値に調節する。
【0035】
タイマ回路52は、所定のシーケンスが終了した直後に、CPU32からの指令信号により一定時間の計測を行なう。所定のシーケンスは、電池20に大きな負荷がかかるシーケンスであり、下記の3つがある。
(1)「初期準備シーケンス」:電源ボタン18を押圧操作して電源をオンにしてから初期設定が完了し、CCD40から出力される撮像信号に基づいてスルー画がLCD22に表示されるまでの一連のシーケンス
(2)「操作シーケンス」:シャッタボタン17の操作及び電源ボタン18の操作を除く操作部28の操作シーケンス
(3)「撮影準備シーケンス」:シャッタボタン17の全押し操作が行なわれてから画像データがメモリカード15に記憶されるまでの撮影シーケンスが終了し、次の撮影が可能になってスルー画がLCD22に表示されるまでのシーケンス
【0036】
CPU32は、上記のいずれかのシーケンスが終了した直後にタイマ回路52に指令信号を送り、タイマ回路52を駆動して一定時間の計測を開始する。この一定時間は、電池20への大きな負荷がなくなってデジタルカメラ10が待機状態に戻るために要する時間で、本実施形態では、例えば1分とする。
【0037】
CPU32は、タイマ回路52が一定時間の計測を終了すると、その直後に電圧測定回路53に指令信号を送る。電圧測定回路53は、CPU32からの指令信号を受けた際に、一定時間(例えば100ms)電池20の電圧を測定し、その測定した電池20の電源電圧V(v)をCPU32に入力する。
【0038】
CPU32は、電源電圧V(v)が、予め設定された所定の閾値電圧V0(v)よりも低いか否かを判定する。電池20が直列接続の2本のアルカリ単4乾電池の場合、新品の電池20の電源電圧V(v)は3.2(=1.6×2)(v)であるから、閾値電圧V0(v)は、例えば20%減の2.56(v)に設定されている。この閾値電圧V0(v)は、予めフラッシュメモリ33に記憶されている。
【0039】
電池20の電源電圧V(v)が閾値電圧V0(v)よりも低い場合、CPU32は、電源ボタン18の押圧操作を除く一切の操作を不能にすると同時に、LCD22に「電源をオフにして、電池を交換して下さい。」のメッセージ30を表示して電池の交換をユーザに促す。なお、例えば、シャッタボタン17の操作が不能であるとは、シャッタボタン17を全押し操作すること自体はできるが、それによって撮影シーケンスが全く実行されない状態をいう。
【0040】
LCD22に表示されたメッセージ30を単に見ただけでは、ユーザはそのまま撮影を継続しがちである。しかし、電源ボタン18の押圧操作を除く一切の操作が不能になるから、ユーザは電池20の残容量がもう無いと納得する。ユーザは電源ボタン18を押圧操作して電源をオフにし、電池20を新しいものに交換する。これにより、電池20の残容量が少なくなった状態で使い続けたまま、大きな負荷がかかるシーケンスをデジタルカメラ10にさせることがなくなるから、撮影レンズ12の沈胴動作が緊急停止するなどの異常終了が発生するおそれがなくなる。
【0041】
次に、上記実施形態の作用について図4及び図5に示すフローチャートを参照して説明する。デジタルカメラ10を使用するには、まず電源ボタン18を押圧操作する(st1)。これにより、CPU32は、初期準備シーケンスを開始する(st2)。
【0042】
初期準備シーケンスは、図5のフローチャートに示すように、CPU32は、フラッシュメモリ33から制御プログラムをRAM34にロードする(st21)と同時にDC/DCコンバータ54を駆動し(st22)、電池20からの電源電圧をカメラ本体11内の各部に対応したそれぞれの電圧に変換して各部に送る。
【0043】
CPU32は、制御プログラムに従って、沈胴状態の撮影レンズ12を繰り出して撮影可能位置にセットするとともに(st23)、画像の記録サイズ,画質,ホワイトバランス,感度,露出補正,シャープネス,彩度,コントラストなどの初期設定を行なう(st4)。初期設定が完了すると、続いてCCD40からフィールド画の撮像信号が読み出され、所定の処理を経てスルー画がLCD22に表示される(st25)。
【0044】
初期準備シーケンスが終了したことを受けて(st3)、CPU32は、タイマ回路52を駆動して一定時間の計測を開始する(st4)。一定時間が経過すると(st5)、デジタルカメラ10は待機状態になるから、電池20にかかる負荷は小さくなって、電池20の電源電圧Vは安定する。
【0045】
電池20の電源電圧Vが電圧測定回路53で測定され(st6)、CPU32に入力される。CPU32は、測定された電源電圧Vをフラッシュメモリ33から読み込んだ閾値電圧V0と比較する(st7)。電源電圧Vが閾値電圧V0以上に高い場合には、CPU32は、全ての操作及び撮影や再生などを含む全てのシーケンスを許容する通常動作に移行する(st8)。
【0046】
電源電圧Vが閾値電圧V0よりも低い場合には、CPU32は電源ボタン18の押圧操作以外の全ての操作を不能とする(st9)と同時に、LCD22に「電源をオフにして、電池を交換して下さい。」のメッセージ30を表示して(st10)、ユーザに電池交換を促す。
【0047】
ユーザは、電源ボタン18を押圧操作すること以外の操作をいろいろと試して、デジタルカメラ10がなんらの動作もしないことを確認した後、諦めて電源ボタン18を押圧操作する(st11)。これにより、CPU32は、変更された初期設定などをフラッシュメモリ33に退避させた後、DC/DCコンバータ54に指令信号を送り、CPU32などの限られた部分に微弱な待機電流を流すのみで、その他の大部分への電源供給を停止する電源オフシーケンスを実行する(st12)。
【0048】
ユーザが、電池20を新しいものに交換してから電源ボタン18を押圧操作すれば、上記ステップ1〜7が実行された後、通常動作に移行する(st8)。
【0049】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、通常動作において、シャッタボタン17の操作及び電源ボタン18の操作以外の操作シーケンスを行なった場合について説明する。なお、図4に示すフローチャートと同じ内容のステップについては、同じ符号を付して説明を省略又は簡略的にする。
【0050】
シャッタボタン17の操作及び電源ボタン18の操作以外の操作が行なわれ(st31)、操作シーケンス、例えばズームボタン23を操作してから撮影レンズ12の変倍動作が完了するまでの操作シーケンスが実行される(st32)。この操作シーケンスが終了した後(st33)、CPU32は、タイマ回路52を駆動して一定時間の計測を開始する(st4)。
【0051】
一定時間が経過すると(st5)、操作シーケンスにより電池20に大きな負荷がかかっていた高負荷状態からデジタルカメラ10が待機状態になって電池20への負荷が小さくなり、電池20の電源電圧Vが安定する低負荷状態に移行する。
【0052】
高負荷状態から低負荷状態に移行した直後に電圧測定回路53によって測定された電池20の電源電圧VがCPU32に入力され(st6)、閾値電圧V0と比較される(st7)。電源電圧Vが閾値電圧V0以上に高い場合には、そのまま通常動作が継続される。
【0053】
電源電圧Vが閾値電圧V0よりも低い場合には、CPU32は電源ボタン18の押圧操作以外の全ての操作を不能とする(st9)。これと同時に、LCD22に「電源をオフにして、電池を交換して下さい。」のメッセージ30を表示して(st10)、ユーザに電池交換を促す。
【0054】
電源ボタン18が押圧操作されると(st11)、CPU32はDC/DCコンバータ54に指令信号を送り、電源オフシーケンスを実行する(st12)。
【0055】
次に、図7及び図8に示すフローチャートを参照して、通常動作において、撮影を行なった場合について説明する。なお、図4〜図6に示すフローチャートと同じ内容のステップについては、同じ符号を付して説明を省略又は簡略的にする。
【0056】
シャッタボタン17を全押し操作すると(st41)、撮影シーケンスが実行される(st42)。この撮影シーケンスでは、図8のフローチャートに示すように、まずCCD40からフレーム画の撮像信号が読み出される(st51)。この撮像信号は、CDS/AMP回路42でノイズ除去・増幅されてから(st52)、A/D変換器43でデジタルの画像データに変換され(st53)、画像入力コントローラ44により画像信号処理回路45に送られる。
【0057】
画像信号処理回路45で各種の処理を施された画像データは(st54)、SDRAM48に一時的に格納された後、圧縮伸張処理回路46で圧縮処理され(st55)、メディアコントローラ49によりメモリカード15に記録される(st56)。
【0058】
続けて撮影を行なう場合には(st44)、シャッタボタン17の全押し操作すると(st41)、撮影シーケンスが繰り返し実行される。この撮影シーケンスが実行されている間は、電池20は高負荷状態にある。
【0059】
撮影が終了すると(st44)、撮影準備シーケンスが実行される(st45)。この撮影準備シーケンスは、図9のフローチャートに示すように、CCD40からフィールド画の撮像信号が読み出され(st61)、各種の信号処理を経て(st62)、スルー画がLCD22に表示される(st63)。
【0060】
撮影準備シーケンスが終了すると(st46)、次の撮影が可能となる。撮影準備シーケンスが終了した直後に、CPU32は、タイマ回路52を駆動して一定時間の計測を開始する(st4)。以下、上述した図6に示すシーケンスと同じであるから、説明を省略する。
【0061】
このように、本実施形態によれば、所定のシーケンスが終了して高負荷状態から低負荷状態に移行した直後から一定時間が経過し、デジタルカメラ10が待機状態になった時の安定した電源電圧Vを閾値電圧V0と比較する。これにより、高負荷時の一時的な電圧降下による電源電圧Vを検出することがないので、電池20の容量が十分に残っているにもかかわらず電池交換を促す警告を出すことがなくなり、ユーザの信頼を得ることができる。さらに電源電圧Vが閾値電圧V0よりも下がった時点で、電源ボタン18を操作すること以外の操作が不能になるので、過剰な電池の使用を防止でき、結果として電源電圧の低下に起因するデジタルカメラ10の異常終了を未然に防止することができる。
【0062】
以上説明した実施形態では、電池交換を促すために、LCDにメッセージを表示したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば電池を表すマークを点滅表示するようにしてもよい。また、上記実施形態では、電池として一次電池を用いたが、二次電池でもよい。この場合には、電池の交換を促すメッセージの代わりに、電池の充電を促すメッセージを表示する。
【0063】
上記実施形態では、例えば新品の電池の電源電圧V(v)を3.2(v),閾値電圧V0を2.56(v)など、種々の数値を挙げたが、これらの数値は一例であって、本発明はこれらの数値に限定されないのは勿論である。
【0064】
上記実施形態は、本発明をデジタルカメラに適用した例であったが、本発明はこれに限定されることなく、例えばカメラ付き携帯電話やカメラ付きPDAに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態であるデジタルカメラを正面側から示す斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面を示す平面図である。
【図3】デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】初期準備シーケンスを含むデジタルカメラの主なシーケンスを示すフローチャートである。
【図5】初期準備シーケンスの主なシーケンスを示すフローチャートである。
【図6】シャッタボタンの操作及び電源ボタンの操作以外の操作シーケンスを含む通常動作におけるシーケンスを示すフローチャートである。
【図7】撮影準備シーケンスを含む通常動作における主なシーケンスを示すフローチャートである。
【図8】撮影シーケンスの主なシーケンスを示すフローチャートである。
【図9】撮影準備シーケンスの主なシーケンスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 デジタルカメラ
12 撮影レンズ
17 シャッタボタン
18 電源ボタン
20 電池
22 LCD
28 操作部
30 メッセージ
32 CPU
40 CCD
52 タイマ回路
53 電圧測定回路
54 DC/DCコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源用の電池と、操作することにより電源をオン/オフする電源スイッチとを備えた撮像装置において、
前記電池に大きな負荷がかかる所定のシーケンスが終了してから一定時間の計測を行なう計測部と、
この計測部による計測時間が一定時間を超えた際に、前記電池の電圧を測定する電圧測定部と、
この電圧測定部によって測定された電圧が所定の閾値電圧よりも低い場合、前記電源スイッチの操作以外の操作を不能とする制御部と
からなることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
電源用の電池と、操作することにより電源をオン/オフする電源スイッチと、撮影光学系によって結像される被写体像を光電変換して撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像信号に基づいてスルー画を表示する表示部とを備え、レリーズ操作により前記撮像信号に基づいて得られた画像データを所定の記憶媒体に記憶する撮像装置において、
前記電源スイッチを操作して電源をオンにしてからスルー画が表示部に表示されるまでの初期準備シーケンス、前記電源スイッチの操作及びレリーズ操作以外の操作シーケンス、前記レリーズ操作が行なわれてから画像データが記憶媒体に記憶されるまでの撮影シーケンスが終了して次の撮影が可能になりスルー画が表示部に表示されるまでの撮影準備シーケンスのうち少なくとも1つ以上を含む所定のシーケンスが終了してから一定時間の計測を行なう計測部と、
この計測部による計測時間が一定時間を超えた際に、前記電池の電圧を測定する電圧測定部と、
この電圧測定部によって測定された電圧が所定の閾値電圧よりも低い場合、前記電源スイッチの操作以外の操作を不能とする制御部と
からなることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電源スイッチの操作以外の操作を不能とした際に、前記電池の交換又は充電を促すメッセージを前記表示部に表示することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−244789(P2008−244789A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81932(P2007−81932)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(504469411)富士フイルムフォトニックス株式会社 (23)
【Fターム(参考)】