説明

撮像装置

【課題】耐衝撃性を有するとともに、駆動機構の駆動時に発生する騒音を低減することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、圧電素子やステッピングモータなどを用いた駆動機構が固定される駆動機構固定部と、前記駆動機構を覆うケースに固定されるケース固定部と、前記駆動機構固定部が前記ケース固定部に圧接して固定される圧接状態と前記駆動機構固定部が前記ケース固定部に前記圧接状態より緩やかに押圧される圧接解除状態とを切り換えることが可能な圧接手段と、を備え、前記圧接手段は、前記駆動機構が動作中のときは圧接解除状態となり、前記駆動機構が停止中のときは圧接状態となるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やデジタルカメラ等の電子機器に搭載する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やデジタルカメラ等の電子機器に搭載されるカメラ機能は、高機能化が進み、オートフォーカスやズーミング等の機能を備えたものが提供されている。
【0003】
オートフォーカスやズーミング等の機能を設けるため、撮像装置はレンズを光軸方向に移動させる駆動機構を有している。しかし、駆動機構は駆動時に騒音が発生する場合が多く、撮像装置は、特に撮像装置が搭載される電子機器が音データも含めて動画データを収録する録画モードのときに騒音を抑える必要がある。
【0004】
そこで、駆動機構が発生する騒音対策が施された撮像装置として、例えば特許文献1の撮像装置が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載の撮像装置は、図7に示すように、アクチュエータとしてステッピングモータ102を使用し、このステッピングモータ102を連結板103を介して取付板104に取付け、この取付板104を鏡胴109に固定する際に取付板104と鏡胴109の間に振動減衰材113を挟みこんでビス114により固定する構造となっている。
【0006】
このように、ステッピングモータ102を固定する取付板104と鏡胴109との間に振動減衰材113を挟みこむことにより、モータでの振動を減衰させ騒音を低減するものである(特許文献1参照)。
【0007】
また、駆動機構が発生する騒音対策が施された撮像装置として、特許文献2の撮像装置が提案されている。
【0008】
また、特許文献2に記載の撮像装置は、図8に示すように、被駆動部材であるレンズ鏡筒71を支持する支持体72の摺動嵌合部72a、72bが駆動軸73に摺動自在に摩擦接触して嵌合している。また、駆動軸73は、フレーム77の支持部75,76にて変位自在に支持されている。厚み方向に変位する圧電素子78の一端は駆動軸73の軸方向端部に固定され、また圧電素子78の厚み方向の変位をブレーズ波形にすることによりレンズ鏡胴が移動する構成となっている。
【0009】
このように、アクチュエータとして圧電素子を採用しているため、ステッピングモータを用いる場合に比べて発生する騒音自体が小さくなるものである(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−281447号公報
【特許文献2】特開平10−090584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、一般に撮像装置は、携帯電話やビデオカメラなどのように携帯可能な電子機器に搭載されることが多く、騒音対策(耐振動性)のほかにも落下対策(耐衝撃性)も要求されている。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の撮像装置の構成では、取付板104と鏡胴109との間に振動減衰材113を挟みこんでいるため、その箇所の剛性が低く、使用者が不意に撮像装置を落下してしまった場合に駆動機構が損傷してしまう場合がある。すなわち、耐衝撃性の観点からは十分な構成ではない。
【0012】
剛性を上げるために、振動減衰材113と鏡胴109と取付板104を剛結合して取り付ける手段もあるが、この場合、振動減衰材113が圧縮され減衰効果が小さくなってしまう。
【0013】
また、特許文献2に記載の撮像装置は、圧電素子の定期的な伸縮運動を利用するものであり、この定期的な伸縮運動による振動が駆動機構を設置するケースまで伝わり、そのケースが共振して大きな騒音を発生してしまう場合がある。
【0014】
この点への対策として、振動減衰材を設置して振動を減衰させる手段もあるが、この場合、振動減衰材を設置した箇所の剛性が低くなり、使用者が不意に撮像装置を落下してしまった場合に駆動機構が損傷してしまう場合がある。
【0015】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、耐衝撃性を有するとともに、駆動機構の駆動時に発生する騒音を低減することが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の撮像装置は、レンズ移動用の駆動部と、前記駆動部の動作状態に応じて、前記駆動部を撮像装置のケースに圧接して固定する圧接状態と、前記圧接状態を解除する圧接解除状態とを切り換えることが可能な圧接手段を備える。
【0017】
また、本発明の撮像装置は、レンズ移動用の駆動機構と、前記駆動機構が固定される駆動機構固定部と、前記駆動機構をケースに固定するケース固定部と、前記駆動機構固定部が前記ケース固定部に圧接して固定される圧接状態と、前記圧接状態を解除する圧接解除状態とを切り換えることが可能な圧接手段と、を備え、前記圧接手段は、前記駆動機構が動作中のときは圧接解除状態となり、前記駆動機構が停止中のときは圧接状態となるものである。
【0018】
この構成により、例えば、撮像装置を搭載する電子機器がビデオカメラであって、そのビデオカメラが、音データも含めて動画データを収録する動作の場合は、圧接解除状態とすることで振動を減衰して騒音を防ぐことができる。また、ビデオカメラが撮像装置を動作させないモードの場合や、音収録を行わないモードの場合は、撮像装置を圧接状態とすることで剛性が高い状態となるため落下等の不意の衝撃に備えることができる。なお圧接解除状態とは、前記圧接状態より緩やかに前記駆動部を前記ケースに押圧する状態をいう。
【0019】
また、本発明の撮像装置は、前記駆動機構固定部が、振動減衰材を介して前記ケース固定部と連結しているものとしても良い。
【0020】
この構成により、さらに、駆動部から発生する振動を減衰することができる
【0021】
また、本発明の撮像装置は、前記圧接手段が、前記駆動機構固定部と連結するとともに、第1の電磁磁石が設置される移動板と、前記移動板と連結する弾性部材の一端が固着されるともに、前記第1の電磁磁石と対向する位置に第2の電磁磁石が設置される圧接手段固定部と、前記第1の電磁磁石と前記第2の電磁磁石とに電気信号を入力することで、前記圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える電気回路とを備えるものとしても良い。
【0022】
また、本発明の撮像装置は、前記圧接手段が、前記駆動機構固定部と振動減衰材を介して連結する固定板と、前記固定板と振動減衰材を介して連結する圧接手段固定部と、を備え、前記固定板は、入力電圧の有無により弾性力が変化する材料で形成されており、前記固定板に電気信号を入力することで、前記圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える電気回路を有するものとしても良い。
【0023】
また、本発明の撮像装置は、前記圧接手段が、前記駆動機構固定部と連結する移動板と、前記移動板と連結する弾性部材の一端が固着されるともに、前記移動板と先端が接触する形状記憶合金が設置される圧接手段固定部と、前記形状記憶合金に電気信号を入力することで、前記圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える電気回路とを備えるものとしても良い。
【0024】
また、本発明の撮像装置は、前記駆動機構が圧電素子を用いたものであってもよい。
【0025】
また、本発明の撮像装置は、前記駆動機構がステッピングモータを用いたものであってもよい。
【0026】
また、本発明の撮像装置は、前記駆動機構はVCM(ボイスコイルモータ)を用いたものであってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、耐衝撃性を有するとともに、駆動機構の駆動時に発生する騒音を低減することが可能な撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の撮像装置200の断面図である。図2は、本実施の形態1の撮像装置200の要部断面図である。図3は、本実施の形態1の撮像装置200の圧接状態が解除された状態を説明する図である。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態1の撮像装置200は、レンズ移動用の駆動機構202と、前記駆動機構202が固定される駆動機構固定部と、前記駆動機構202をケース203に固定するケース固定部と、前記駆動機構固定部が前記ケース固定部に圧接して固定される圧接状態と、前記圧接状態を解除する圧接解除状態とを切り換えることが可能な圧接機構(手段)206と、を備え、前記圧接手段206は、前記駆動機構202が動作中のときは圧接解除状態となり、前記駆動機構が停止中のときは圧接状態となるものである。すなわち、レンズ保持部201と、レンズ保持部201を光軸方向に移動させる駆動機構202と、レンズ保持部201と駆動機構202と圧接機構206とが内部に設置されるケース203(いわゆる鏡筒)と、レンズを介して入力された光信号を電気信号に変換する画像処理ユニット204とを備えるものである。
【0031】
画像処理ユニット204は、本体基板205に実装される立体回路基板204aと、立体回路基板204aに装着される固体撮像素子204bとにより構成されている。固体撮像素子204bは、半導体素子の製造技術を用いて集積回路化された光電変換素子であって、光を検出して電荷を発生させるフォトダイオードが配列されたものである。
【0032】
図2は、本実施の形態1の撮像装置200の要部断面図である。上述のように、撮像装置200は、ケース203内に(図2では図示せず)、レンズ4を保持するレンズ保持部201と、レンズを光軸方向に移動させる駆動機構202と、撮像装置の動作状態に応じて圧接する力が変化する圧接機構206とを備えている。
【0033】
図2に示すように、レンズ保持部201は、レンズ4と、レンズ4を内部に保持するとともに駆動機構202の駆動軸1に対して摺動可能な程度に嵌め込まれている保持部材3とにより構成される。レンズ4は、例えば、中央部が縁部より厚い凸形のレンズであって、ケース203の開口部を通過して入射してくる光を固体撮像素子202bの受光部に導くものである。
【0034】
駆動機構202は、上述の駆動軸1と圧電素子2とにより構成されるものである。駆動軸1は、例えば、カーボン長繊維を軸方向に整列させ、バインダーとしてエポキシ樹脂で固めて耐磨耗性を向上して形成したものを用いる。圧電素子2は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZT)による圧電素子をスタック(堆積)させて構成されるものを用いる。
【0035】
このように、駆動機構202は、圧電素子の高速応答と摩擦を利用したデバイスであり、駆動回路により鋸歯状波などの駆動電圧を印加することにより、保持部材3を駆動軸1に沿って動かすことが可能なものである。
【0036】
圧接機構206は、ケース203に固定されるケース固定部5と、駆動機構202が固定される駆動機構固定部6と、駆動機構固定部6と振動減衰材7を介して連結する移動板10と、電磁マグネット9が設置されるとともに移動板10と連結するバネ11の一端が固着される圧接手段固定部12と、電磁マグネット9に電気信号を入力して電磁マグネット9の動作を制御する電気回路13とを備えるものである。
【0037】
振動減衰材7としては、例えば、ゴム系クッション材、ゲル系クッション材などがあげられる。
【0038】
ケース固定部5は圧接面8を有しており、その圧接面8と駆動機構固定部6の一方の面とが振動減衰材7を介して接触している。また、駆動機構固定部6の他方の面と移動板10の一方の面とが振動減衰材7を介して接触している。
【0039】
また、移動板10の他方の面と圧接手段固定部12との間には、バネ11が連結してある。また、移動板10の他方面側には、電磁マグネット9aが設置してあり、電磁マグネット9bは、圧接手段固定部12上で電磁マグネット9aと対向する位置に設置されている。また、圧接手段固定部12は、ケース固定部5と同様にケース203(鏡筒)に固定されている。
【0040】
(圧接状態)
このように構成された撮像装置200は、図2に示すように、電気回路13からの入力信号がない場合は、圧接手段固定部12に一端が固定されたバネ11が、移動板10をケース固定部5側に押した状態となっている。すなわち、移動板10は、振動減衰材7を介してケース固定部5側に圧接して固定されている。また、移動板10とケース固定部5との間に設置されている駆動機構固定部6も同様に、振動減衰材7を介してケース固定部5側に圧接して固定されている。換言すれば、圧接機構206によって、駆動機構202がケース203に対して高い剛性を持つ状態で圧接された状態となっている。
【0041】
このように撮像装置200を圧接状態にすることで、駆動機構202が高い剛性でケース203に圧接・固定されるので、不意の落下等による衝撃や振動に対する耐強度が向上し、駆動機構202の損傷を避けることができる。
【0042】
(圧接解除状態)
図3は、圧接状態が解除された状態を説明する図である。
図3に示すように、本実施の形態1の撮像装置200は、電気回路13から信号が入力されると電磁マグネット9aと電磁マグネット9bとが互いに引き合う方向に力が働く。この力は、バネ11が移動板10をケース固定部5方向に押し出す力より大きくなるように設計してあるため、電磁マグネット9aと電磁マグネット9bとが接近または接触する。
【0043】
そうすると、上述の圧接状態と比べて、電磁マグネット9aが設置されている移動板10の位置は、電磁マグネット9bが設置されている圧接手段固定部12側に移動する。
【0044】
このようにして、移動板10とケース固定部5との間での圧接状態が緩和(解除)され、同時に、ケース固定部5と駆動機構固定部6との間での圧接状態も緩和(解除)される。すなわち、上述の圧接状態よりも低い剛性で、圧接機構206により駆動機構202がケース203に圧接された状態となるものである。
【0045】
このように撮像装置200を圧接解除状態とすることで、駆動機構202が動作することにより発生する振動を振動減衰材7で減衰することができ、ケース固定部5に伝わる振動を小さくすることができる。よって、ケース203が共振等をして騒音を発生するのを防ぐことができる。
【0046】
なお、電子回路13が電磁マグネットの動作を制御するタイミング、すなわち、圧接状態と圧接解除状態を切り換えるタイミングについては、撮像装置200を搭載する電子機器の動作状態を考慮して決定すれば良い。
【0047】
例えば、撮像装置200を搭載する電子機器がビデオカメラであって、そのビデオカメラが、音データも含めて動画データを収録する動作の場合は、騒音防止の観点から撮像装置200を圧接解除状態とすれば良い。
【0048】
また、ビデオカメラが撮像装置200を動作させないモードの場合や、音収録を行わないモードの場合は、耐衝撃性の観点から、撮像装置200を圧接状態とすれば良い。
【0049】
(実施の形態2)
図4は、本実施の形態2の撮像装置300の要部断面図である。
なお、以下の説明では、上述した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を一部省略する。
【0050】
上述の実施の形態1の撮像装置200の圧接機構では、バネ11と電磁マグネット9等を用いたが、本実施の形態2の撮像装置300では、それらを用いず、入力電圧の有無により弾性力(バネ定数)が変化する材質で構成した固定板14を用いる点が、実施の形態1とは異なる。
【0051】
図4に示すように、圧接機構306は、ケース203に固定されるケース固定部5と、駆動機構202が固定される駆動機構固定部6と、駆動機構固定部6と振動減衰材7を介して連結する固定板14と、固定板14と振動減衰材7を介して連結する圧接手段固定部12と、固定板14に電気信号を入力して固定板14の弾性力を制御する電気回路313とを備えるものである。
【0052】
ケース固定部5は圧接面8を有しており、その圧接面8と駆動機構固定部6の一方の面とが振動減衰材7を介して連結している。また、駆動機構固定部6の他方の面と固定板14の一方の面とが振動減衰材7を介して連結している。また、固定板14の他方の面と圧接手段固定部12が振動減衰材7を介して固定板14が設置されている。また、圧接手段固定部12は、ケース固定部5と同様にケース203(鏡筒)に固定されている。
【0053】
固定板14は、入力電圧の有無により弾性力(バネ定数)が変化する材料あるいは、形状が変化する材料などを用いて形成してあり、例えば、形状記憶ポリマー材などが適用可能である。ここでは、入力電圧がある場合に弾性力が低下する材料を用いたものとして説明する。
【0054】
(圧接状態)
このように構成された撮像装置300は、図4に示すように、電気回路313からの入力信号がない場合は、固定板14の弾性力が大きい状態となる。このとき、固定板14は、駆動機構固定部6を、振動減衰材7を介してケース固定部5側に圧接して固定している。換言すれば、圧接機構306によって、駆動機構202がケース203に対して高い剛性を持つ状態で圧接された状態となっている。
【0055】
このように撮像装置300を圧接状態にすることで、駆動機構202が高い剛性でケース203に圧接・固定されるので、不意の落下等による衝撃や振動に対する耐強度が向上し、駆動機構202の損傷を避けることができる。
【0056】
(圧接解除状態)
また、撮像装置300は、電気回路313からの入力信号が有る場合は、固定板14の弾性力が小さい状態となる。よって、固定板14と駆動機構固定部6との間での圧接状態が緩和(解除)され、同時に、ケース固定部5と駆動機構固定部6との間での圧接状態も緩和(解除)される。すなわち、上述の圧接状態よりも低い剛性で、圧接機構306により駆動機構202がケース203に圧接された状態となるものである。
【0057】
このように撮像装置300を圧接解除状態とすることで、駆動機構202が動作することにより発生する振動を振動減衰材7で減衰することができ、ケース固定部5に伝わる振動を小さくすることができる。よって、ケース203が共振等をして騒音を発生するのを防ぐことができる。
【0058】
(実施の形態3)
図5は、本実施の形態3の撮像装置400の要部断面図である。図6は、本実施の形態3の撮像装置400の圧接状態が解除された状態を説明する図である。なお、以下の説明では、上述した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を一部省略する。
【0059】
上述の実施の形態1の撮像装置200の圧接機構では、電磁マグネット9を用いたが、本実施の形態3の撮像装置400では、それを用いず、入力電圧の有無により形状が変化する形状記憶合金を用いる点が、実施の形態1とは異なる。
【0060】
圧接機構406は、ケース203に固定されるケース固定部5と、駆動機構202が固定される駆動機構固定部6と、駆動機構固定部6と振動減衰材7を介して連結する移動板10と、形状記憶合金15が設置されるとともに移動板10と連結するバネ11の一端が固着される圧接手段固定部12と、形状記憶合金15に電気信号を入力して形状記憶合金15の形状を制御する電気回路413とを備えるものである。
【0061】
ケース固定部5は圧接面8を有しており、その圧接面8と駆動機構固定部6の一方の面とが振動減衰材7を介して連結している。また、駆動機構固定部6の他方の面と移動板10の一方の面とが振動減衰材7を介して接触している。
【0062】
また、移動板10の他方の面と圧接手段固定部12との間には、バネ11が連結してある。また、圧接手段固定部12で移動板10と対向する面上には、形状記憶合金15が設けられている。また、この形状記憶合金15の先端部は、移動板10の他方の面と接触している。また、圧接手段固定部12は、ケース固定部5と同様にケース203(鏡筒)に固定されている。
【0063】
形状記憶合金15は、入力電圧の大きさあるいは有無により形状が変化するものであり、例えば、Ti−N合金などが適用可能である。ここで、形状記憶合金15は、入力電圧がない場合には図5に示す第1形状(大きい形状)であり、入力電圧がある場合には図6に示す第2形状(小さい形状)に変形するものとして説明する。
【0064】
(圧接状態)
このように構成された撮像装置400は、図5に示すように、電気回路413からの入力信号がない場合は、形状記憶合金15が第1形状であり、移動板10をケース固定部5側に押圧する。なお、本実施の形態3の撮像装置400では、圧接手段固定部12に一端が固定されたバネ11が、移動板10を圧接手段固定部12側に引く方向に力が働くようにバネ11の長さを設計するが、このバネ11による弾性力によっても形状記憶合金15の形状は変化せず、形状記憶合金15により移動板10をケース固定部5側に押圧している状態となっている。
【0065】
よって、形状記憶合金15の先端部により押圧された移動板10は、振動減衰材7を介してケース固定部5側に圧接して固定されている。また、移動板10とケース固定部5との間に設置されている駆動機構固定部6も同様に、振動減衰材7を介してケース固定部5側に圧接して固定されている。換言すれば、圧接機構406によって、駆動機構202がケース203に対して高い剛性で圧接された状態となっている。
【0066】
このように撮像装置400を圧接状態にすることで、駆動機構202が高い剛性でケース203に圧接・固定されるので、不意の落下等による衝撃や振動に対する耐強度が向上し、駆動機構202の損傷を避けることができる。
【0067】
(圧接解除状態)
図6は、圧接状態が解除された状態を説明する図である。
図6に示すように、本実施の形態1の撮像装置400は、電気回路413から信号が形状記憶合金15に入力されると形状記憶合金15の形状が縮小形状(第2形状)になる。そうすると、バネ11の弾性力により移動板10が、上述の圧接状態の位置と比べて、圧接手段固定部12側に移動する。
【0068】
このようにして、移動板10とケース固定部5との間での圧接状態が緩和(解除)され、同時に、ケース固定部5と駆動機構固定部6との間での圧接状態も緩和(解除)される。すなわち、上述の圧接状態よりも低い剛性で、圧接機構406により駆動機構202がケース203に圧接された状態となるものである。
【0069】
このように撮像装置400を圧接解除状態とすることで、駆動機構202が動作することにより発生する振動を振動減衰材7で減衰することができ、ケース固定部5に伝わる振動を小さくすることができる。よって、ケース203が共振等をして騒音を発生するのを防ぐことができる。
【0070】
なお、本発明において、駆動機構としては圧電素子やステッピングモータを用いたものの外、VCM(ボイスコイルモータ)を用いたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の撮像装置は、耐衝撃性を有するとともに、駆動機構の駆動時に発生する騒音を低減することが可能な撮像装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本実施の形態1の撮像装置200の断面図
【図2】本実施の形態1の撮像装置200の要部断面図
【図3】圧接状態が解除された状態を説明する図
【図4】本実施の形態2の撮像装置300の要部断面図
【図5】本実施の形態3の撮像装置400の要部断面図
【図6】圧接状態が解除された状態を説明する図
【図7】特許文献1に記載の撮像装置の断面図
【図8】特許文献2に記載の撮像装置の断面図
【符号の説明】
【0073】
1 駆動軸
2 圧電素子
3 保持部材
4 レンズ
5 ケース固定部
6 駆動機構固定部
7 振動減衰材
8 圧接面
9 電磁マグネット
10 移動板
11 ばね
12 圧接手段固定部
13 電子回路
14 固定板
15 形状記憶合金
201 レンズ保持部
202 駆動機構
203 ケース
204 画像処理ユニット
205 本体基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ移動用の駆動部と、前記駆動部の動作状態に応じて、前記駆動部を撮像装置のケースに圧接して固定する圧接状態と、前記圧接状態を解除する圧接解除状態とを切り換えることが可能な圧接手段を備える撮像装置。
【請求項2】
レンズ移動用の駆動機構と、
前記駆動機構が固定される駆動機構固定部と、
前記駆動機構をケースに固定するケース固定部と、
前記駆動機構固定部が前記ケース固定部に圧接して固定される圧接状態と、前記圧接状態を解除する圧接解除状態とを切り換えることが可能な圧接手段と、
を備え、
前記圧接手段は、前記駆動機構が動作中のときは圧接解除状態となり、前記駆動機構が停止中のときは圧接状態となる撮像装置。
【請求項3】
前記駆動機構固定部は、振動減衰材を介して前記ケース固定部と連結している請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記圧接手段は、
前記駆動機構固定部と連結するとともに、第1の電磁磁石が設置される移動板と、
前記移動板と連結する弾性部材の一端が固着されるともに、前記第1の電磁磁石と対向する位置に第2の電磁磁石が設置される圧接手段固定部と、
前記第1の電磁磁石と前記第2の電磁磁石とに電気信号を入力することで、前記圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える電気回路と、
を備える請求項2又は請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記圧接手段は、
前記駆動機構固定部と振動減衰材を介して連結する固定板と、
前記固定板と振動減衰材を介して連結する圧接手段固定部と、
を備え、
前記固定板は、入力電圧の有無により弾性力が変化する材料で形成されており、
前記固定板に電気信号を入力することで、前記圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える電気回路を有する請求項2又は請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記圧接手段は、
前記駆動機構固定部と連結する移動板と、
前記移動板と連結する弾性部材の一端が固着されるともに、前記移動板と先端が接触する形状記憶合金が設置される圧接手段固定部と、
前記形状記憶合金に電気信号を入力することで、前記圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える電気回路と、
を備える請求項2又は請求項3に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記駆動機構は圧電素子を用いたものである請求項2乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記駆動機構はステッピングモータを用いたものである請求項2乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
前記駆動機構はVCM(ボイスコイルモータ)を用いたものである請求項2乃至6のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−286991(P2008−286991A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131616(P2007−131616)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】