説明

撮像装置

【課題】絞り羽根を回動させる回動子の回動に必要な磁力を得ることができ、回動子を回動させる磁力のコントロールが容易な小型の絞り機構を具備する撮像装置を提供する。
【解決手段】可変絞り装置1は、磁石ピン5と、磁石ピン5を回動軸として回動する絞り板6と、磁石ピン5を第1の端部12aと第2の端部12bとで挟む磁性体芯線12と、磁石ピン5を第1の磁極部15と第2の磁極部16とで挟むことにより、磁石ピン5に第1の磁極部15及び前記第2の磁極部16から回動力を付与し、絞り板6を回動させる磁気コイル11と、を具備し、磁気コイル11は、磁石ピン5と第1の端部12aとの間及び磁石ピン5と第2の端部12bとの間に第1の間隔Yが設けられるとともに、第1の磁極部15、第2の磁極部16と磁石ピン5との間に第2の間隔Xが設けられるよう、磁性体芯線12に巻回されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物光学系に入光する光量を調整する絞り機構を具備する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、対物光学系によって集光された被写体を固体撮像素子で撮像する撮像装置が内視鏡の挿入部の先端内に配設された電子内視鏡や、撮像装置がカメラ本体内に配設されたデジタルカメラが周知である。
【0003】
撮像装置は、例えば複数のレンズ群から構成された対物光学系と、該対物光学系の光軸方向後方に配設された撮像面を有する固体撮像素子と、該固体撮像素子の撮像面を保護する該撮像面に貼着されたカバーガラスと、コンデンサ、抵抗、トランジスタ等の電子部品が実装され、固体撮像素子に電気的に接続された電気基板と、該電気基板に電気的に接続された、固体撮像素子により受光した被写体像の電気信号を、画像処理装置やモニタ等の撮像装置外の機器へと伝送する等を行う信号ケーブルとを具備して主要部が構成されている。
【0004】
また、対物光学系におけるレンズの一部には、レンズに入光される光の量を調整する絞りが通常設けられている。絞りは、通常、1枚または複数枚の羽根部材から構成されており、モータ等により羽根部材を開閉させる、または羽根部材の閉成角度を可変することにより、レンズに入光される光の量を調整することができるようになっている。
【0005】
ここで、例えば内視鏡においては、撮像装置が設けられる挿入部の先端側の細径化を図ると、またはカメラにおいては撮像装置における対物光学系が設けられるレンズ鏡筒の小型化を図ると、絞り機構も小型化する必要が生じるが、絞り羽根を開閉させるモータ等が挿入部の先端側やレンズ鏡筒内に設けられていると、それぞれ挿入部の細径化やレンズ鏡筒の小型化の妨げとなってしまうといった問題があった。
【0006】
このような問題に鑑み、特許文献1には、絞り羽根に歯車、駆動リンクを介して動力を伝達する永久磁石からなる回動子を平面視した状態で挟むよう、それぞれ磁極部を有するヨークが設けられており、各ヨークの外周にそれぞれ被覆されたコイルへ通電を行うことにより、回動子を磁力により回動させて、歯車、駆動リンクを介して絞り羽根を開閉させる絞り機構の構成が開示されている。このような構成によれば、モータが絞り機構において不必要となることから、絞り機構を小型化することができる。
【特許文献1】特開平10−062836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示された構成においては、ヨークのコイルに、該コイルに流れる電流量を大きくする、既知の磁性体の芯線が挿通されていないことから、回動子を回動させる磁力をコイルから発生させるためには、コイルの巻き数を増やしたり、コイルに流れる電流量を大きくしたりする必要がある。
【0008】
しかしながら、コイルの巻き数を増やすとコイル径が太くなるといった問題があり、またコイルに流れる電流量を大きくするには、巻回するコイル径を大きくする必要があるため、絞り機構の小型化を図るのが難しくなってしまうといった問題があった。
【0009】
ここで、コイル内に磁性体から構成された芯線を挿通させ、芯線に磁力を集中させて、強い磁力を得る構成は周知であるが、この構成を特許文献1に用いると、芯線に集中した磁力が強くなりすぎてしまい、該磁力により、回動子が該回動子を挟む2本の芯線にそれぞれ引き寄せられて、回動子が回動しなくなってしまうといった問題があった。
【0010】
よって、絞り羽根を回動させる回動子の回動に必要な磁力を得ることができるとともに、回動子を回動させる磁力のコントロールが容易な小型の絞り機構が望まれていた。
【0011】
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであり、絞り羽根を回動させる回動子の回動に必要な磁力を得ることができるとともに、回動子を回動させる磁力のコントロールが容易な小型の絞り機構を具備する撮像装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明による撮像装置は、対物光学系に入光する光量を調整する絞り機構を具備する撮像装置であって、前記絞り機構は、回動自在な磁石ピンと、前記磁石ピンを回動軸として回動する絞り板と、前記磁石ピンを平面視した状態で第1の端部と第2の端部とで挟むよう設けられた磁性体芯線と、前記磁性体芯線の外周に巻回された、前記磁石ピンを平面視した状態で第1の磁極部と第2の磁極部とで挟むことにより、前記磁石ピンに前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部から回動力を付与し、前記絞り板を回動させる磁気コイルと、を具備し、前記磁石ピンと前記第1の端部との間及び前記磁石ピンと前記第2の端部との間に第1の間隔が設けられるとともに、前記第1の磁極部と前記磁石ピンとの間及び前記第2の磁極部と前記磁石ピンとの間に第2の間隔が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、対物光学系に入光する光量を調整する絞り機構を具備する撮像装置であって、前記絞り機構は、ピンを回動軸として回動する絞り板と、前記絞り板に設けられた磁石と、前記磁石の近傍に設けられた第1の端部及び第2の端部を有する磁性体芯線と、前記磁性体芯線の外周に巻回された、前記磁石に第1の磁極部及び第2の磁極部から回動力を付与し、前記絞り板を回動させる磁気コイルと、を具備し、前記磁気コイルは、前記第1の磁極部と前記第1の端部との間及び前記第2の磁極部と前記第2の端部との間に第3の間隔が設けられるとともに、前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部と前記磁石との間に第4の間隔が設けられるよう、前記磁性体芯線に巻回されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、絞り羽根を回動させる回動子の回動に必要な磁力を得ることができるとともに、回動子を回動させる磁力のコントロールが容易な小型の絞り機構を具備する撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態においては、撮像装置は、医療用の内視鏡の挿入部の先端部内に設けられた撮像装置を例に挙げて説明する。
【0016】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態を示す撮像装置の部分断面図、図2は、図1の可変絞り装置を拡大して示す分解斜視図、図3は、図1の可変絞り装置をIIIの方向からみた平面図、図4は、図1の配線基板をIVの方向からみた平面図、図5は、図1の可変絞り装置を、磁気コイルの位置で断面にした部分断面図、図6は、図5の絞り板が、基板に形成された開口に重畳する閉位置まで移動した状態を示す可変絞り装置の部分断面図である。
【0017】
図1に示すように、撮像装置20は、光軸Kに沿った方向の先端側(図1中左側、以下、単に先端側と称す)にレンズ枠22を具備しており、レンズ枠22の先端側の内周には、対物光学系を構成する対物レンズ21aが固定されている。また、レンズ枠22の光軸Kに沿った方向の後端側(図1中右側、以下、単に後端側と称す)の内周には、対物光学系を構成するレンズ21bが固定されている。
【0018】
また、レンズ枠22の内周において、レンズ21bよりも先端側に、レンズ21bに入光する光量を調整する絞り機構である可変絞り装置1が固定されている。さらに、レンズ枠22の内周において、可変絞り装置1よりも先端側に、可変絞り装置1に対向するよう配線基板32が固定されている。尚、可変絞り装置1及び配線基板32の詳しい構成は、後述する。
【0019】
レンズ枠22の後端側における外周に、撮像枠24の先端側の内周が嵌合されている。また、撮像枠24の内周において、レンズ21bよりも後端側に、カバーガラス17が固定されており、該カバーガラス17の後端側の面(以下、後端面と称す)に、イメージセンサ23が貼着されている。
【0020】
カバーガラス17は、イメージセンサ23の先端側の面(以下、先端面と称す)に構成された撮像面を保護するものであり、イメージセンサ23は、固体撮像素子等から構成された、対物レンズ21a、レンズ21bによって集光された光が入射されることにより被写体を撮像するものである。
【0021】
イメージセンサ23の後端側には、電気基板29の先端側が固定されており、電気基板29の後端側には、信号ケーブル28より延出したリード線18が電気的に接続されている。
【0022】
信号ケーブル28は、イメージセンサ23で撮像した像の電気信号を、撮像装置20外に伝達したり、撮像装置20外からイメージセンサ23に各種信号を伝達したり、配線基板32に、後述する配線パターン25、駆動用ケーブル27を介して、電流を供給したりするものである。
【0023】
また、撮像枠24の内周面に、光軸Kに沿って配線パターン25が設けられている。尚、配線パターン25は、レンズ枠22の内周面にも設けられている。配線パターン25の先端側は、配線基板32に電気的に接続されており、配線パターン25の後端側は、信号ケーブル28から延出した中途位置にハーメチックコネクタ26が設けられた駆動用ケーブル27に電気的に接続されている。
【0024】
また、撮像枠24の外周は、熱可塑性チューブ19によって覆われている。具体的には、熱可塑性チューブ19の先端側の内周が、撮像枠24の先端側の外周に固定されており、熱可塑性チューブ19の後端側の内周が、信号ケーブル28の先端側の外周に固定されることにより、撮像枠24の外周は、熱可塑性チューブ19によって覆われている。
【0025】
次に、図2、図3、図5、図6を用いて、可変絞り装置1の構成について説明する。図2に示すように、可変絞り装置1は、2枚の円板状の基板2、8間に、絞り羽根となる絞り板6が挟持されて構成されている。尚、基板2と基板8とは、平面視した状態において、例えば同じ外形に形成されている。
【0026】
具体的には、基板2の平面視した状態における略中央部には、レンズ21bに入光する光を透過させる、光軸Kに沿って貫通する平面視した形状が円形の第2の開口である開口3が形成されており、基板2の外周縁部近傍にも、光軸Kに沿って貫通するピン孔4が形成されている。
【0027】
また、基板2の開口3の近傍に、先端側(図2中上側)に向かって突出する位置規制部材である係止ピン7が設けられている。係止ピン7は、絞り板6の回動を規制して絞り板6を後述する閉位置に規定するものである。
【0028】
また、ピン孔4には、回動子となる磁石ピン5の後端側(図2中下側)が回動自在に嵌入される。尚、磁石ピン5は、図5に示すように、磁石ピン5の径方向において、一端側13と他端側14とにおいて、磁極が分極して構成されている。例えば一端側13がN極となっており、他端側14がS極となっている。
【0029】
図2に戻って、基板8の平面視した状態における略中央部には、レンズ21bに入光する光を透過させる、光軸Kに沿って貫通する平面視した形状が円形の第2の開口である開口9が形成されている。開口9は、開口3と平面視した状態で同じ大きさに形成されており、基板2と基板8との外形を合わせて貼り合わせた際、開口3と一致する位置に形成されている。
【0030】
また、基板8において、基板2と基板8との外形を合わせて貼り合わせた際、ピン孔4と一致する位置に、光軸Kに沿って貫通するピン孔10が形成されている。ピン孔10には、磁石ピン5の先端側(図2中上側)が回動自在に嵌入される。
【0031】
図2、図3、図5、図6に示すように、基板8の先端側の先端面8jにおいて、ピン孔10に嵌入された磁石ピン5を平面視した状態で第1の磁極部15と第2の磁極部16とで挟むことにより、磁石ピン5に第1の磁極部15及び第2の磁極部16から磁力による回動力を付与し、絞り板6を回動させる磁気コイル11が、開口9の外周において、平面視した状態で、略C字状となるよう形成されている。
【0032】
尚、第1の磁極部15及び第2の磁極部16からの磁力は、磁気コイル11に電流が供給された際、第1の磁極部15と第2の磁極部16とに互いに異なる磁極変化が生じることにより発生する。
【0033】
また、第1の磁極部15と磁石ピン5との間及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間には、第2の間隔Xが設けられている。第1の磁極部15及び第2の磁極部16からの磁力によって、磁石ピン5を回動させる場合には、第1の磁極部15及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間に発生する磁力は、第2の間隔Xの2乗に反比例することから、第2の間隔Xは、磁力により磁石ピン5を回動させるのに適切な間隔に設定されている。
【0034】
また、磁気コイル11の内部には、図5、図6に示すように、磁石ピン5を平面視した状態で第1の端部12aと第2の端部12bとで挟むよう設けられた、平面視した形状がC字状の磁性体芯線12が設けられている。即ち、磁性体芯線12の外周に磁気コイル11は巻回されている。
【0035】
磁気コイル11は、磁石ピン5と第1の端部12aとの間及び磁石ピン5と第2の端部12bとの間に第1の間隔Yが設けられ、磁性体芯線12の外周に巻回されていて、磁気コイル11の方が、磁性体芯線12よりも長く設けられている。
【0036】
尚、第1の磁極部15及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間に発生する磁力は、周知のように、第1の間隔Yが短ければ短いほど強くなる。よって、第1の間隔Yは、磁力により磁石ピン5を回動させるのに適切な間隔に設定されている。
【0037】
即ち、第1の磁極部15、第2の磁極部16から発生する磁力が強すぎて磁石ピン5が回動できなくなってしまったり、弱すぎて磁石ピン5が回動できなくなってしまったりすることがない間隔に設定されている。
【0038】
また、磁気コイル11の光軸Kに沿った方向の先端側の先端面11jに、図2、図3に示すように、開口9を径方向に挟むよう、2つの電極30、31が設けられている。電極30、31は、図1に示すように、配線基板32と電気的に接続されることにより、磁気コイル11に電流を供給するものである。
【0039】
磁石ピン5には、平板状であって先端側に円形部6eを有する絞り板6の基端側に形成された孔部が嵌合、固定されている。即ち、絞り板6は、磁石ピン5に一体的に固定されている。尚、絞り板6の円形部6eに、光軸Kに沿って貫通する平面視した形状が円形の第1の開口である絞り孔6kが形成されている。絞り孔6kは、レンズ21bに入光する光を所定の光束に絞って通過させるものである。尚、絞り孔6kは、平面視した状態で開口3、9よりも外形が小さく形成されている。
【0040】
このことにより、絞り板6は、磁気コイル11からの磁力による磁石ピン5の回動に伴って、基板2と基板8との間において、基板2及び基板8の面内を回動自在に移動する。具体的には、絞り板6は、図6に示すように、係止ピン7により位置が規定されて、開口3、9に対して、絞り孔6kが平面視した状態で重畳する閉位置と、図5に示すように、開口3、9に対して絞り孔6kが平面視した状態で離間する開位置との間を回動自在に移動する。
【0041】
次に、図4を用いて、配線基板32の構成を説明する。
図4に示すように、配線基板32の平面視した状態で略中央部には、レンズ21bに入光する光を通過させる、光軸Kに沿って貫通して形成された開口部33が形成されている。また、
また、配線基板32の後端側の面32mにおいて、開口部33の外周に、平面視した状態で開口部33を囲むように、部分円弧状の2つの配線パターン34、35がそれぞれ形成されている。尚、配線パターン34、35は、例えばバリヤメタル層から構成されている。
【0042】
配線パターン34は、可変絞り装置1の磁気コイル11の先端面11jに形成された電極30に電気的に接続され、配線パターン35は、可変絞り装置1の磁気コイル11の先端面11jに形成された電極31に電気的に接続される。電極30、31は、例えば半田ボールから構成されている。
【0043】
このことにより、信号ケーブル28、駆動用ケーブル27、配線パターン25を介して配線基板32に供給された電流は、各配線パターン34、35、各電極30、31を介して磁気コイル11に供給される。
【0044】
尚、配線パターン34、35が部分円弧状に形成されているのは、配線パターン34、35に電極30、31を電気的に接続させる際、基板8に対する配線基板32の位置合わせが容易となるためである。
【0045】
次に、このように構成された本実施の形態の作用について、図5、図6を用いて説明する。
【0046】
図5に示す絞り板6が開位置において、磁気コイル11の第1の磁極部15がS極、第2の磁極部16がN極となるように、信号ケーブル28、駆動用ケーブル27、配線パターン25、配線基板32、各配線パターン34、35、各電極30、31を介して磁気コイル11に電流が流れると、磁石ピン5の一端側13のN極が、磁気コイル11の第1の磁極部15のS極に磁力により引かれ、磁石ピン5の他端側14のS極が磁気コイル11の第2の磁極部16のN極に磁力により引かれる。
【0047】
この際、上述したように第1の間隔Yと第2の間隔Xとが適切な間隔に規定されていることから、第1の磁極部15及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間に発生する磁力が強くなりすぎて、磁石ピン5が回動しなくなってしまったり、第1の磁極部15及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間に発生する磁力が弱くなりすぎて、磁石ピン5が回動しなくなってしまったりすることがない。言い換えれば、磁石ピン5が回動しない場合には、磁力を大きく変えたい場合には、第1の間隔Yを変え、微調節する場合には、第2の間隔Xを、磁性体芯線12の長さを変えることによって調整すれば良い。
【0048】
その結果、磁石ピン5と絞り板6は、反時計回りに回転し、絞り板6は、図6に示す閉位置に移動する。この際、絞り板6の回転は、係止ピン7によって規制されるため、絞り板6の位置は、絞り孔6kが、開口3、9に平面視した状態で重畳する閉位置に規定される。その結果、絞り孔6kによりレンズ21bに入光される光が絞られる。
【0049】
次に、図6に示す閉位置から、図5に示す開位置に絞り板6を移動させる場合には、磁気コイル11の第1の磁極部15がN極、第2の磁極部16がS極となるように、信号ケーブル28、駆動用ケーブル27、配線パターン25、配線基板32、各配線パターン34、35、各電極30、31を介して磁気コイル11に電流が流れると、磁石ピン5の一端側13のN極が、磁気コイル11の第2の磁極部16のS極に磁力により引かれ、磁石ピン5の他端側14のS極が、磁気コイル11の第1の磁極部15のN極に磁力により引かれる。
【0050】
この際も、上述したように第1の間隔Yと第2の間隔Xとが適切な間隔に規定されていることから、第1の磁極部15及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間に発生する磁力が強くなりすぎて、磁石ピン5が回動しなくなってしまったり、第1の磁極部15及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間に発生する磁力が弱くなりすぎて、磁石ピン5が回動しなくなってしまったりすることがない。
【0051】
その結果、磁石ピン5と絞り板6は、時計回りに回転し、絞り板6は、図5に示す開位置に移動する。
【0052】
このように、本実施の形態においては、基板8と基板2との間において、基板8のピン孔10、基板2のピン孔4に回動自在に嵌入された磁石ピン5に固定された絞り板6が回動自在に挟持されていると示した。
【0053】
また、基板8の先端面8jにおいて、磁石ピン5を平面視した状態で第1の磁極部15と第2の磁極部16とで挟むことにより、磁石ピン5に第1の磁極部15及び第2の磁極部16から磁力による回動力を付与し、絞り板6を回動させる磁気コイル11が設けられていると示した。
【0054】
さらに、第1の磁極部15と磁石ピン5との間及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間には、第2の間隔Xが設けられており、第1の磁極部15及び第2の磁極部16からの磁力によって、磁石ピン5を回動させる場合には、第1の磁極部15及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間に発生する磁力は、第2の間隔Xの2乗に反比例することから、第2の間隔Xは、磁力により磁石ピン5を回動させるのに適切な間隔に設定されていると示した。
【0055】
また、磁気コイル11の内部には、磁石ピン5を平面視した状態で第1の端部12aと第2の端部12bとで挟むよう磁性体芯線12が設けられていると示した。
【0056】
さらに、磁気コイル11は、磁性体芯線12の外周に巻回されており、第1の磁極部15及び第2の磁極部16と磁石ピン5との間に発生する磁力は、第1の間隔Yが短ければ短いほど強くなると示した。
【0057】
このことによれば、従来、磁石ピン5に、第1の磁極部15及び第2の磁極部16から磁力を作用させて、磁石ピン5を回動させる場合には、磁力の調整が難しく、磁力が弱すぎても磁石ピン5は回動しなくなってしまい、磁力が強すぎても磁石ピン5は回動しなくなってしてしまうが、本実施の形態によれば、第1の磁極部15及び第2の磁極部16からの磁力が弱いため、磁力を飛躍的に強くしたい場合は、第2の間隔Yを短くすれば良く、各磁極部15、16からの磁力が強すぎるまたは弱すぎるため、磁石ピン5を回動させるのに磁力を微妙にコントロールしたい場合は、第1の間隔Xを調節することにより、容易に磁石ピン5を回動させることができる。尚、第1の間隔Xの調整は、磁性体芯線12の長さを調整することにより可能である。
【0058】
よって、可変絞り装置1を小型化したい場合は、周知のように、磁気コイル11の巻き数も減少しなければならないため磁力は弱くなるが、その場合であっても第1の間隔X及び第2の間隔Yを調整することにより、第1の磁極部15及び第2の磁極部16から発生する磁力を強くする事が出来る。
【0059】
以上から、絞り板6を回動させる磁石ピン5の回動に必要な磁力を得ることができるとともに、磁石ピン5を回動させる磁力のコントロールが容易な小型の可変絞り装置1を具備する撮像装置20を提供することができる。
【0060】
また、本発明では、磁石ピン5から第1の端部12a、第2の端部12bまでの距離を同一とし、磁石ピン5から第1の磁極部15、第2の磁極部16までの距離を同一とした例を示しているが、磁石ピン5から第1の端部12aまでの距離をY1、磁石ピン5から第2の端部12bまでの距離をY2とし、磁石ピン5から第1の磁極部15までの距離をX1、磁石ピン5から第2の磁極部16までの距離をX2として、制御するのに最適なパラメータY1、Y2、X1、X2を別々に設定しても良い。
【0061】
(第2実施の形態)
図7は、本実施の形態を示す撮像装置の部分断面図、図8は、図7の可変絞り装置をVIIIの方向からみた平面図、図9は、図8の絞り板が、基板に形成された開口に重畳する閉位置まで移動した状態を示す可変絞り装置の平面図である。
【0062】
この第2実施の形態の撮像装置の構成は、上述した図1〜図6に示した第1実施の形態の撮像装置と比して、絞り板を2枚から構成するとともに、各絞り板に該絞り板を回動させる磁石が設けられている点と磁性体芯線及び磁気コイルの配置位置が異なる。よって、これらの相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
図7に示すように、本実施の形態の撮像装置60においては、絞り機構である可変絞り装置51は、レンズ枠22内におけるレンズ21bよりも先端側において、光軸Kに対して所定の角度斜めに傾いて設けられている。これは、レンズ枠22内における可変絞り装置51の配置面積を広く取るためである。
【0064】
また、本実施の形態においては、可変絞り装置51の後端側に、配線パターン25の先端側が電気的に接続されており、配線パターン25から、可変絞り装置51の後述する磁気コイル47、57にそれぞれ直接、電流が供給される構成となっている。
【0065】
可変絞り装置51は、図8に示すように、本実施の形態においては、1枚の円板状の基板41を具備しており、基板41の略中央部には、平面視した形状が楕円形のレンズ21bに入光する光を通過させる第2の開口である開口42が形成されている。
【0066】
尚、本実施の形態において、開口42の平面視した形状が楕円形となっているのは、上述したように、レンズ枠22内において、可変絞り装置51が光軸Kに対して所定の角度斜めに傾いて設けられているためである。
【0067】
また、基板41の先端面41jにおいて、開口42を囲む位置に、光軸Kに対して対称に、2枚の絞り板44、54が設けられている。尚、絞り板54に、光軸Kに沿って貫通する平面視した形状が楕円状の絞り孔52が形成されている。
【0068】
絞り孔52は、レンズ21に入光する光を所定の光束に絞って通過させるものである。また、絞り孔52は、開口42によりも平面視した状態における外形が小さく形成されている。
【0069】
2枚の絞り板44、54は、それぞれ基板41において光軸Kに沿って貫通する図示しない貫通孔に嵌入された回動自在なピン43、53を回動軸として、基板41の面内において、後述する磁気コイル47、57からの磁力によって回動自在に移動する。
【0070】
具体的には、2枚の絞り板44、54は、図8に示すように、開口42に対して、絞り板44、54の一部が平面視した状態で重畳する閉位置と、図9に示すように、開口42に対して絞り板44、54が平面視した状態で離間する開位置との間を回動自在に移動する。
【0071】
尚、基板41の先端面41jには、先端側に突出する2本の係止ピン49、59が設けられており、該2本の係止ピン49、59は、2枚の絞り板44、54が開位置に位置する際、各絞り板44、54が基板41の外形よりも平面視した状態ではみ出してしまうのをそれぞれ防止するものである。即ち、2本の係止ピン49、59は、2枚の絞り板44、54を開位置に規定するものである。
【0072】
基板41の先端面41jの外周縁部近傍において、基板41の周方向における平面視した状態で絞り板44と絞り板54との間に、第1の端部48aと第2の端部48bを有する部分円弧状の磁性体芯線48が設けられているとともに、第1の端部58aと第2の端部58bを有する部分円弧状の磁性体芯線58が設けられている。
【0073】
また、磁性体芯線48の外周に、絞り板44に設けられた後述する磁石46に第1の磁極部47aから磁力による回動力を付与し、絞り板54に設けられた後述する磁石55に第2の磁極部47bから磁力による回動力を付与する磁気コイル47が巻回されている。
【0074】
尚、第1の磁極部47a及び第2の磁極部47bからの磁力は、磁気コイル47に電流が供給された際、第1の磁極部47aと第2の磁極部47bとに互いに異なる磁極変化が生じることにより発生する。
【0075】
磁気コイル47は、第1の磁極部47aと第1の端部48aとの間及び第2の磁極部47bと第2の端部48bとの間に第3の間隔εが設けられよう、磁性体芯線48の外周に巻回されている。即ち、磁気コイル47の方が、磁性体芯線48よりも長く設けられている。
【0076】
尚、第1の磁極部47a及び第2の磁極部47bから発生する磁力は、周知のように、第3の間隔εが短ければ短いほど強くなる。よって、第3の間隔εは、磁力により絞り板44、54を回動させるのに適切な間隔に設定されている。即ち、第1の磁極部47a、第2の磁極部47bから発生する磁力が強すぎて絞り板44、54が回動できなくなってしまったり、弱すぎて絞り板44、54が回動できなくなってしまったりすることがない間隔に設定されている。言い換えれば、絞り板44、54が回動しない場合には、第3の間隔εを、磁性体芯線48の長さを変えることによって調整すればよい。
【0077】
磁性体芯線58の外周に、絞り板54に設けられた後述する磁石56に第1の磁極部57aから磁力による回動力を付与し、絞り板44に設けられた後述する磁石45に第2の磁極部57bから磁力による回動力を付与する磁気コイル57が巻回されている。
【0078】
尚、第1の磁極部57a及び第2の磁極部57bからの磁力は、磁気コイル57に電流が供給された際、第1の磁極部57aと第2の磁極部57bとに互いに異なる磁極変化が生じることにより発生する。
【0079】
磁気コイル57は、第1の磁極部57aと第1の端部58aとの間及び第2の磁極部57bと第2の端部58bとの間に第3の間隔αが設けられよう、磁性体芯線58の外周に巻回されている。即ち、磁気コイル57の方が、磁性体芯線58よりも長く設けられている。
【0080】
尚、第1の磁極部57a及び第2の磁極部57bから発生する磁力は、周知のように、第3の間隔αが短ければ短いほど強くなる。よって、第3の間隔αは、磁力により絞り板44、54を回動させるのに適切な間隔に設定されている。即ち、第1の磁極部57a、第2の磁極部57bから発生する磁力が強すぎて絞り板44、54が回動できなくなってしまったり、弱すぎて絞り板44、54が回動できなくなってしまったりすることがない間隔に設定されている。言い換えれば、絞り板44、54が回動しない場合には、第3の間隔αを、磁性体芯線58の長さを変えることによって調整すればよい。
【0081】
絞り板44の磁気コイル47の第1の磁極部47aに対向する位置に、第1の磁極部47aから第4の間隔σ離間して磁石46が設けられている。また、絞り板44の磁気コイル57の第2の磁極部57bに対向する位置に、第2の磁極部57bから第4の間隔β離間して磁石45が設けられている。
【0082】
さらに、絞り板54の磁気コイル57の第1の磁極部57aに対向する位置に、第1の磁極部57aから第4の間隔β離間して磁石56が設けられており、絞り板54の磁気コイル47の第2の磁極部47bに対向する位置に、第2の磁極部47bから第4の間隔σ離間して磁石55が設けられている。
【0083】
尚、第1の磁極部47a、57a及び第2の磁極部57a、57bから発生する磁力は、周知のように、第4の間隔σ、βが短ければ短いほど強くなる。よって、第4の間隔σ、βは、磁力により絞り板44、54を回動させるのに適切な間隔に設定されている。即ち、第1の磁極部47a、57a、第2の磁極部47b、57bから発生する磁力が強すぎて絞り板44、54が回動できなくなってしまったり、弱すぎて絞り板44、54が回動できなくなってしまったりすることがない間隔に設定されている。言い換えれば、絞り板44、54が回動しない場合には、第4の間隔β、σを変えることによって調整すればよい。
【0084】
次に、このように構成された本実施の形態の作用について、図8、図9を用いて説明する。
【0085】
図8に示す絞り板44、54が開位置において、磁気コイル47の第1の磁極部47aがS極、第2の磁極部47bがN極、磁気コイル57の第1の磁極部57aがN極、第2の磁極部57bがS極となるよう、電流が各コイル47、57に供給されると、第1の磁極部47aのS極と磁石46のS極とが反発するとともに、第1の磁極部57aのN極と磁石56のN極とが反発する。また、第2の磁極部47bのN極と、磁石55のS極とが引き合うとともに、第2の磁極部57bのS極と、磁石45のN極とが引き合う。
【0086】
この際、上述したように第3の間隔ε、αと第4の間隔σ、βとが適切な間隔に規定されていることから、第1の磁極部47aと磁石46との間に発生する磁力、第2の磁極部47bと磁石55との間に発生する磁力、第1の磁極部57aと磁石56との間に発生する磁力、第2の磁極部57bと磁石45との間に発生する磁力が強くなりすぎて、絞り板44、54が回動しなくなってしまったり、磁力が弱くなりすぎて、絞り板44、54が回動しなくなってしまったりすることがない。
【0087】
その結果、絞り板44、54は、反時計回りに回転し、絞り板44、54は、図9に示す閉位置に移動する。その結果、絞り孔52によりレンズ21bに入光される光が絞られる。
【0088】
次に、図9に示す閉位置から、図8に示す開位置に絞り板44、54を移動させる場合には、磁気コイル47の第1の磁極部47aがN極、第2の磁極部47bがS極、磁気コイル57の第1の磁極部57aがS極、第2の磁極部57bがN極となるよう、電流が各コイル47、57に供給されると、第2の磁極部47bのS極と磁石55のS極とが反発するとともに、第2の磁極部57bのN極と磁石45のN極とが反発する。また、第1の磁極部47aのN極と、磁石46のS極とが引き合うとともに、第1の磁極部57aのS極と、磁石56のN極とが引き合う。
【0089】
その結果、絞り板44、54は、時計回りに回転し、絞り板44、54は、図8に示す開位置に移動する。この際、絞り板44、54の位置は、係止ピン49、59によってそれぞれ規定される。
【0090】
このような構成によっても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、絞り板を2枚から構成する関係上、上述した第1実施の形態よりも部品点数が増えるが、絞り板を2つに分割している分、基板41の面内における絞り板の収容面積をより小さく出来るので、より小型の可変絞り装置51を実現することが可能なる。
【0091】
(第3実施の形態)
図10は、本実施の形態の撮像装置を具備する内視鏡の挿入部の先端側の断面図、図11は、図10の絞り板が開位置まで移動した状態を示す内視鏡の挿入部の先端側の断面図である。
【0092】
この第3実施の形態の撮像装置の構成は、上述した図1〜図6に示した第1実施の形態の撮像装置、図7〜図9に示した第2実施の形態の撮像装置と比して、撮像装置外に、絞り板を回動させる磁気コイルが設けられている点が異なる。よって、これらの相違点のみを説明し、第1、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0093】
図10、図11に示すように、内視鏡の挿入部の先端側70の内部に、撮像装置71が光軸Kに沿って設けられており、撮像装置71は、絞り機構である可変絞り装置171を具備している。
【0094】
可変絞り装置171は、回転ピン78を回動中心として、レンズ21bに入光する光を通過させる開口79に平面視した状態で重畳する図10に示す閉位置と、開口79から離間する図11に示す開位置とに回動移動自在な絞り板74を具備している。また、絞り板74は、閉位置において、位置決めピン66によって、位置が規定されるようになっている。
【0095】
絞り板74は、先端側に円板部74eを有しており、該円板部74eには、レンズ21bに入光する光を所定の光束に絞って通過させる絞り孔74kが光軸Kに沿って形成されている。また、絞り板74の円板部74eに、磁石75aが設けられており、絞り板74の軸部74gの端部にも、磁石75bが設けられている。
【0096】
また、内視鏡の挿入部の先端側70において、撮像装置71と平行に、光軸Kに沿って処置具挿通用チャネル76と、送気送水チャネル77とが形成されており、また撮像装置71の近傍に、該撮像装置71と平行に、光軸Kに沿って図示しない照明用レンズに光を伝送するライトガイド72a、72bが挿通されている。
【0097】
各ライトガイド72a、72bの外周には、金属パイプ80a、80bがそれぞれ被覆されており、各金属パイプ80a、80bの外周には、磁気コイル73a、73bがそれぞれ被覆されている。
【0098】
磁気コイル73a、73bは、絞り板74に磁力を付与することにより、絞り板を開位置と閉位置との間で回動させるものである。また、各磁気コイル73a、73bからの磁力は、各金属パイプ80a、80bの光軸Kに沿った方向の長さにより規定される。即ち、金属パイプ80a、80bの長さを可変することにより、磁力をコントロールすることができる。これは、金属パイプ80a、80bが長いほど、磁気コイル73a、73bを巻回する長さが長くなるからである。
【0099】
次に、このように構成された本実施の形態の作用について説明する。先ず、図10に示すように、絞り板74が閉位置にいる状態において、磁気コイル73a、磁気コイル73bの端面がS極になるように電流を流す。
【0100】
すると、磁気コイル73bのS極と磁石75bのS極が反発することにより、絞り板74が時計回りに、回転ピン78を回転軸として回動する。その後、磁石75aが磁気コイル73aに近づくにつれ磁石75aのN極と磁気コイル73aのS極が引き合うことにより、絞り板47は、図11に示す開位置に移動する。
【0101】
その後、絞り板74を図10に示す閉位置に移動させる場合には、磁気コイル73a、磁気コイル73bの端面がN極になるように電流を流す。
【0102】
すると、磁気コイル73aのN極と磁石75aのN極が反発し合い、絞り板74が反時計回りに回転ピン78を軸に回動する。その後、磁石75bが磁気コイル73bに近づくにつれ磁石75bのS極と磁気コイル73bのN極が引き合うことにより、絞り板74は、図10に示す閉位置に移動する。尚、この際、絞り板74の位置は、位置決めピン66によって規定される。
【0103】
このような構成によっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、磁気コイル73a、73bを撮像装置71の外部に配置することから、磁気コイル73a、73b自体はより強力な磁力が必要になるため先端側70が大径化してしまう可能性があるが、撮像装置71自体は、磁気コイルが設けられていない分、細径化が可能になることから、先端側70に、撮像装置71を設ける以外にスペースがあり、撮像装置71を小型化する必要がある場合において、本構成は特に有効である。
【0104】
尚、以下、変形例を、図12を用いて示す。図12は、図10の撮像装置が内部に挿通自在な外套管に磁石を設けた変形例を示す部分断面図である。
【0105】
図12に示すように、撮像装置71が内部に挿通自在な外套管36の先端側にリング状の磁石37を設けても構わない。
【0106】
このような構成によれば、磁気コイル73a、73bを用いなくとも、撮像装置71を外套管36の内部に挿通させた際、撮像装置71が磁石37の磁力の影響を受ける所定の位置に来たとき、磁石37と磁石75a、磁石75bとの間の磁力により、近点にレンズ21bのピントが合うように絞り板74が移動する。
【0107】
また、以下、別の変形例を、図13を用いて示す。図13は、図10の撮像装置を具備する内視鏡の先端側の変形例を示す部分断面図である。
【0108】
図13に示すように、処置具挿通用チャネル76に挿通させる鉗子39に、磁石38が設けられていても構わない。
【0109】
このような構成によれば、磁気コイル73a、73bを用いなくとも、処置具挿通用チャネル76内に鉗子39を挿通させた際、磁石38が撮像装置71に影響をおよぼす所定の位置に来たとき、磁石38と、磁石75a、磁石75bとの間の磁力により、近点にピントが合うように絞り板74が移動する。
【0110】
尚、上述した第1〜第3実施の形態においては、撮像装置は、医療用の内視鏡の挿入部の先端部内に設けられた撮像装置を例に挙げて示したが、これに限らず、カメラ内に設けられる撮像装置や、他の電子機器内に設けられる撮像装置に、上述した第1〜第3実施の形態に示した構成を適用したとしても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】第1実施の形態を示す撮像装置の部分断面図。
【図2】図1の可変絞り装置を拡大して示す分解斜視図。
【図3】図1の可変絞り装置をIIIの方向からみた平面図。
【図4】図1の配線基板をIVの方向からみた平面図。
【図5】図1の可変絞り装置を、磁気コイルの位置で断面にした部分断面図。
【図6】図5の絞り板が、基板に形成された開口に重畳する閉位置まで移動した状態を示す可変絞り装置の部分断面図。
【図7】第2実施の形態を示す撮像装置の部分断面図。
【図8】図7の可変絞り装置をVIIIの方向からみた平面図。
【図9】図8の絞り板が、基板に形成された開口に重畳する閉位置まで移動した状態を示す可変絞り装置の平面図。
【図10】第3実施の形態の撮像装置を具備する内視鏡の挿入部の先端側の断面図。
【図11】図10の絞り板が開位置まで移動した状態を示す内視鏡の挿入部の先端側の断面図。
【図12】図10の撮像装置が内部に挿通自在な外套管に磁石を設けた変形例を示す部分断面図。
【図13】図10の撮像装置を具備する内視鏡の先端側の変形例を示す部分断面図。
【符号の説明】
【0112】
1…可変絞り装置(絞り機構)
2…基板
3…開口(第2の開口)
5…磁石ピン
6…絞り板
6k…絞り孔(第1の開口)
7…係止ピン(位置規制部材)
8…基板
9…開口(第2の開口)
11…磁気コイル
12…磁性体芯線
12a…第1の端部
12b…第2の端部
13…磁石ピンの一端側
14…磁石ピンの他端側
15…第1の磁極部
16…第2の磁極部
20…撮像装置
21a…対物レンズ(対物光学系)
21b…レンズ(対物光学系)
41…基板
42…開口(第2の開口)
43…ピン
44…絞り板
45…磁石
46…磁石
47…磁気コイル
47a…第1の磁極部
47b…第2の磁極部
48…磁性体芯線
48a…第1の端部
48b…第2の端部
51…可変絞り装置(絞り機構)
53…ピン
54…絞り板
55…磁石
56…磁石
57…磁気コイル
57a…第1の磁極部
57b…第2の磁極部
58…磁性体芯線
58a…第1の端部
58b…第2の端部
60…撮像装置
Y…第1の間隔
X…第2の間隔
α…第3の間隔
ε…第3の間隔
β…第4の間隔
σ…第4の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物光学系に入光する光量を調整する絞り機構を具備する撮像装置であって、
前記絞り機構は、
回動自在な磁石ピンと、
前記磁石ピンを回動軸として回動する絞り板と、
前記磁石ピンを平面視した状態で第1の端部と第2の端部とで挟むよう設けられた磁性体芯線と、
前記磁性体芯線の外周に巻回された、前記磁石ピンを平面視した状態で第1の磁極部と第2の磁極部とで挟むことにより、前記磁石ピンに前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部から回動力を付与し、前記絞り板を回動させる磁気コイルと、
を具備し、
前記磁石ピンと前記第1の端部との間及び前記磁石ピンと前記第2の端部との間に第1の間隔が設けられるとともに、前記第1の磁極部と前記磁石ピンとの間及び前記第2の磁極部と前記磁石ピンとの間に第2の間隔が設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記磁石ピンは、該磁石ピンの径方向の一端側と他端側とにおいて磁極が分極していることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記磁気コイルは、電流が供給されることによって発生する前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部の互いに異なる磁極変化により、前記磁石ピンに回動力を付与することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記絞り板には、前記対物光学系に入光する光を所定の光束に絞って通過させる第1の開口が形成されており、
前記絞り板は、前記対物光学系に入光する光を通過させる第2の開口がそれぞれ形成された2枚の基板間に、前記第2の開口に対して前記第1の開口が平面視した状態で重畳する閉位置と前記第2の開口に対して前記第1の開口が離間する開位置との間を移動自在となるよう回動自在に挟持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記磁性体芯線及び前記磁気コイルは、いずれか一方の基板に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記いずれか一方の基板に、前記絞り板の回動を規制して、前記絞り板を前記閉位置に規制する位置規制部材が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記磁石ピンと前記第1の端部との間隔と、前記磁石ピンと前記第2の端部との間隔の長さが異なり、及び/または前記磁石ピンと前記第1の磁極部との間隔と前記磁石ピンと前記第2の磁極部との間隔の長さが異なることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項の記載の撮像装置。
【請求項9】
対物光学系に入光する光量を調整する絞り機構を具備する撮像装置であって、
前記絞り機構は、
ピンを回動軸として回動する絞り板と、
前記絞り板に設けられた磁石と、
前記磁石の近傍に設けられた第1の端部及び第2の端部を有する磁性体芯線と、
前記磁性体芯線の外周に巻回された、前記磁石に第1の磁極部及び第2の磁極部から回動力を付与し、前記絞り板を回動させる磁気コイルと、
を具備し、
前記磁気コイルは、前記第1の磁極部と前記第1の端部との間及び前記第2の磁極部と前記第2の端部との間に第3の間隔が設けられるとともに、前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部と前記磁石との間に第4の間隔が設けられるよう、前記磁性体芯線に巻回されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記磁気コイルは、電流が供給されることによって発生する前記第1の磁極部及び前記第2の磁極部の互いに異なる磁極変化により、前記磁石に回動力を付与することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記絞り板は、前記対物光学系に入光する光を通過させる第2の開口が形成された基板上において、前記第2の開口に対して前記絞り板が平面視した状態で重畳する閉位置または前記第2の開口に対して前記絞り板が離間する開位置との間を移動自在となるよう回動自在に設けられていることを特徴とする請求項9または10に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−271123(P2009−271123A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118953(P2008−118953)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】