説明

撮像装置

【課題】落下時などの衝撃をより確実に低減することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】ズームレンズユニット13を備える撮像装置は、撮像装置の落下または衝撃に至ると推定される事態を検出するための検出手段と、位置制御手段を有する。位置制御手段は、検出手段が落下または事態を検出した時、検出手段による検出時の位置以上に衝撃に強い目標位置にズームレンズユニット13をもたらす。目標位置は、検出時に、検出時のズームレンズユニット13の状態を含む条件に基づき、決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズユニットを備える撮像装置に関する。こうした撮像装置としては、ズームレンズユニットを装置本体に対して繰り出す若しくは繰り込む機能を有する沈胴式の撮像装置などがある。
【背景技術】
【0002】
光学ズーム機能付きのカメラ(撮像装置)では、沈胴式のズームレンズユニットが採用されているものがある。この種のカメラにおいては、電源OFF状態では、カメラ筐体にズームレンズユニットを格納しておき、電源がONされると、ズームレンズユニットを光軸方向へ繰り出して撮影可能な状態となる。
【0003】
このような沈胴式のズームレンズユニットを具備するカメラにおいて、カメラの落下を検出する手段を備え、該カメラが落下していると判定した際には、落下による衝撃からカメラを保護する手段を具備したものが提案されている(特許文献1、2参照)。例えば、特許文献1においては、手振れ検出手段の出力が閾値より大きい場合に、カメラが落下している事態であると判定している。また、特許文献2では、カメラのグリップ部に具備された圧力センサの測定結果が、設定した閾値以下の場合に、カメラが落下している事態であると判定している。そして、カメラが落下していると判定した際には、ズームレンズユニットをカメラ内の沈胴位置へ収納し、該ズームレンズユニットを保護するようにしている。
【特許文献1】特開平09−61869号公報
【特許文献2】特開2004−117845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カメラの落下を検出してからズームレンズユニットを沈胴させようとしても、沈胴位置へズームレンズユニットを収納完了する前に衝撃を受けてしまうことがある。
【0005】
近年、高倍率ズーム機が主流となっていて、テレ端から沈胴位置まで変位させるのに2秒以上かかるのが通常である。また、ワイドから沈胴位置まで変位させる時間は、通常1秒程度を要する。人が、通常、カメラ撮影のために構える高さを1.5mと想定すると、カメラが落下した場合、約553ミリ秒で床若しくは地面に到達する。そのため、沈胴位置までの変位が完了する前に衝撃を受けることになる。この場合、ズームレンズユニットが繰り出された状態で衝撃を受けることになる。このように、従来のカメラにおいては、落下による衝撃に対し十分に対応できているとは言い難かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、ズームレンズユニットを備える本発明の撮像装置は、当該撮像装置の落下または衝撃に至ると推定される事態を検出するための検出手段と、位置制御手段を有する。位置制御手段は、検出手段が前記落下または事態を検出した時、検出手段による検出時の位置以上に衝撃に強い目標位置にズームレンズユニットをもたらす。前記目標位置は、前記検出時に、検出時のズームレンズユニットの状態を含む条件に基づき、決定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の撮像装置によれば、落下などで衝撃を受けそうであると検出された時には、ズームレンズユニットを現在位置以上に衝撃に強い目標位置にもたらす。しかも、状況に応じて目標位置を決定して、ズームレンズユニットを確実に前記目標位置にもたらそうとする。従って、撮像装置の落下時などの衝撃をより確実に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の撮像装置において重要なことは、次のことである。すなわち、一般に、ズームレンズユニットの繰り出し位置により耐衝撃強度は異なる。従って、落下時に、落下前の繰り出し位置から、より耐衝撃強度の強い目標位置へズームレンズユニットを移動させることができれば、衝撃を低減することが可能となる。よって、本発明では、目標位置を固定的に設定するのではなく、状況に応じて、衝撃を受けるまでには確実に到達できてしかも耐衝撃強度が現在位置以上に強い位置を目標位置として柔軟に決定する構成にする。この考え方に基づき、本発明による撮像装置の基本的な実施形態は、次のような検出手段と位置制御手段を有する。検出手段は、撮像装置の落下または衝撃に至ると推定される事態(例えば、撮像装置が乱暴に振り回されるような事態)を検出する。位置制御手段は、検出手段が前記落下または事態を検出した時、検出手段による検出時の位置以上に衝撃に強い目標位置にズームレンズユニットをもたらす。前記目標位置は、前記検出時に、検出時のズームレンズユニットの状態を含む条件に基づき、決定される。この検出時のズームレンズユニットの状態を含む条件としては、検出時のズームレンズユニットの位置、該位置での耐衝撃強度、該位置から他の位置への移動時間、検出時のズームレンズユニットの地上からの高さ、目標位置を近傍位置から選ぶこと、等がある。
【0009】
前記基本構成を基礎にして、以下のように構成することもできる。代表的には、撮像装置は、ズームレンズユニットを繰り出す若しくは繰り込む機能を有する沈胴式の撮像装置である(後述の実施例参照)。こうしたタイプの撮像装置においては、特に、撮像装置の落下時などにズームレンズユニットが受ける衝撃をより効果的に低減することができる。
【0010】
撮像装置は、ズームレンズユニットの移動可能な範囲において、ズームレンズユニットの位置と耐衝撃強度の関係についての耐衝撃強度データテーブルを有することができる(後述の実施例参照)。この場合、前記位置制御手段は、耐衝撃強度データテーブルに基づいて前記目標位置を決定するように構成できる。
【0011】
また、前記位置制御手段は、例えば前記耐衝撃強度データテーブルを用いて、ズームレンズユニットの前記検出時の位置の耐衝撃強度と、ズームレンズユニットの前記検出時の位置の近傍位置の耐衝撃強度とを比較するように構成できる(後述の実施例参照)。そして、検出時の位置より近傍位置の方の耐衝撃強度が強い場合は、ズームレンズユニットを該近傍位置に移動させる。他方、該近傍位置の耐衝撃強度が検出時の位置の耐衝撃強度と同等か弱い場合は、ズームレンズユニットを検出時の位置にそのまま止める。
【0012】
前記ズームレンズユニットの検出時の位置の近傍位置とは、前記耐衝撃強度データテーブルの中で、ズームレンズユニットの検出時の位置に繰り出し側若しくは繰り込み側に最も近い位置とできる(後述の実施例1参照)。
【0013】
また、前記ズームレンズユニットの検出時の位置の近傍位置とは、撮像装置内部に設定した想定落下時間内に移動可能な範囲のズームレンズユニットの位置のうちで最大の耐衝撃強度を示す位置とすることもできる(後述の実施例2参照)。この場合、前記想定落下時間内に移動可能な範囲のズームレンズユニットの位置は、ズームレンズユニットの各位置間の移動時間を設定している移動時間テーブルに基づいて前記位置制御手段により決定するように構成できる。
【0014】
また、撮像装置に設定した想定落下時間は、撮像装置の使用する地上からの高さに応じて変更可能であるように構成できる(後述の実施例3参照)。
【0015】
また、ズームレンズユニットが下向きであることを検出する姿勢検出手段(姿勢検知機能部)と、想定落下時間算出手段を有する構成にもできる(後述の実施例3参照)。想定落下時間算出手段は、ズームレンズユニットが下向きであることが検出された場合に被衝突物までの想定落下距離を測定し想定落下時間を算出する。この場合、前記想定落下距離とは、オートフォーカス機能手段を利用して測定した被衝突物までの距離であるようにできる。
【0016】
また、ズームレンズユニットの位置と耐衝撃強度の関係についての前記耐衝撃強度データテーブルは、撮像装置の使用状況(衝突履歴など)により変更可能とするように構成できる(後述の実施例1参照)。
【0017】
前記検出手段は、例えば、所定値以上の加速度または角速度を検出することで、前記落下または事態を検出することができる。こうした検出手段としては、例えば、次のような加速度・角速度センサがある。これは、装置の運動に応じて変位する変位部と、この変位部と間隔を隔てて対向する電極とを備える。そして、変位部を電極面と垂直な方向に振動変位させた状態で、変位部と電極との間に形成される静電容量の変化に基づいて、装置の加速度及び角速度を検出する。
【0018】
本発明を実施するための好ましい具体的な形態として、実施例1、実施例2及び実施例3を以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1に係わる撮像装置を説明する。本実施例の撮像装置は、本発明をデジタルスチルカメラに適用したものである。
【0020】
図1及び図2は、それぞれ、本発明の実施例1に係わるデジタルスチルカメラ(以下、単にカメラ)11の外観構成を示す斜視図である。より詳しくは、図1はズームレンズユニットが沈胴された状態を示し、図2はズームレンズユニットが繰り出された状態を示す。カメラ11の前面部には、撮像レンズ12を収納したズームレンズユニット13、撮像レンズ12を保護するための開閉可能なレンズバリア14、ファインダー窓15、ストロボ16等が設けられている。
【0021】
カメラ11のカバー17の上面部には、レリーズボタン18、ズームレバー19、及び電源イッチ20が設けられている。カメラ11の背面には、後述のLCDより成るディスプレイ511(図3参照)やモードボタン等が設けられている。カメラ11内には、後述する加速度センサ等が設けられている。ファインダー窓15は、撮影者が撮影時に被写体を観察する窓である。ストロボ16は、発光時にストロボ光を出射するものである。レリーズボタン18は、シャッタを作動させるためのものである。
【0022】
電源スイッチ20は、カメラ11の電源のON/OFFを行うスイッチである。ズームレンズユニット13は、カメラ11の電源スイッチ20のOFF時には、図1に示されるように、カメラ本体内に沈胴させられ、レンズバリア14によって撮像レンズ12が保護される。電源スイッチ20のONの時には、図2に示されるように、レンズバリア14が開き、ズームレンズユニット13が前方に繰り出され、撮影可能な状態となる。この状態で、カバー17の上面部に設けられたレリーズボタン18が押されることにより、撮像レンズ12を介して被写体が撮像される。ズームレバー19は、ズーミング動作を行うときに操作されるボタンである。
【0023】
ズームレンズユニット13は、カメラ11内に設けられたレンズ駆動部501(図3参照)により、カメラ11の光軸方向前方に繰り出されたり、カメラ11の内部に向かって繰り込まれたり、カメラ11の内部に収納(沈胴)されたりする。
【0024】
図3は、カメラ11内に設けられた主要な回路構成を示すブロック図である。CPU507内には、ROM化された一部のプログラムが格納され、これ以外のプログラムは、図示しないプログラムフラッシュメモリに格納されている。カメラ11の起動時、又は通常動作時においては、プログラムフラッシュメモリからCPU507内に適宜ロードされながら動作することで、CPUバス513を介して、以下に説明する各種の制御動作が行われる。
【0025】
CPU507は、レンズ駆動部501を制御して撮像レンズ12のズームレンズユニット13の繰り出し若しくは繰り込み位置の調整を行い、オートフォーカス部500を制御してフォーカス位置を制御してピントの調整を行う。また、絞り駆動部502を介して絞りの開口量を制御して、露光量が適正露光量となるように調整する。
【0026】
記録時において、被写体像は撮像レンズ12を通して撮像素子503に結像される。撮像素子503に結像された被写体像は光電変換された後に所定の周期で読み出され、カメラ信号処理部504にて、標準的な画像信号になるようにデジタル信号処理が施される。また、デジタル信号に対してデジタル信号処理を行うDSP(デジタル信号処理部)506と、記録媒体509を読み書きするための記録メディアインターフェース(I/F)508を備える。CPU507は、加速度センサ510とも接続されており、加速度情報を把握できる。なお、505はメインメモリ、512は姿勢検知機能部である。
【0027】
前述したように、図1〜図3は、本実施例に係るカメラ11に特有な機能を実現するための構成要素を示すものであり、該カメラ11が周知の一般的なカメラとしての機能を実現するために必要な構成要素は本発明と直接関係しないので省略している。また、カメラ11の細部構成、詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲において、適宜変更可能である。
【0028】
カメラ11の落下を検出する検出手段は特に限定されないが、本実施例では、加速度センサ510を用いて検出された加速度を落下判定に用いる基準値と比較して、落下の検出を行うものとする。
【0029】
カメラ11内部には、制御可能なズームレンズユニット13の各繰り出し位置における耐衝撃強度が、強度数値または強さの順番等、耐衝撃強度の強弱の比較が可能な耐衝撃強度データテーブルとして格納されている。例えば、後述の図5のような耐衝撃強度データテーブルである。耐衝撃強度データテーブルは、例えば、実験でズームポジション毎に或る一定の高さから落下させ脱臼の有無により作成したり、またはシミュレーションを実施し発生している応力値やひずみ値を参考に決定したりすることができる。また、類似構造のカメラの耐衝撃強度データテーブルを流用してもよい。
【0030】
次に、上記構成の本実施例に係わるカメラ11が落下した際の衝撃低減動作について、図4のフローチャートに従って説明する。図4の動作は、電源スイッチ20がONされた時にCPU507により実行される。図5は、カメラ11のズームレンズユニット13の繰り出し位置(沈胴位置を含む)と耐衝撃強度の関係を示す耐衝撃強度データテーブルの一例であり、耐衝撃強度データテーブルと呼ぶ。
【0031】
図4において、ステップ#101で電源スイッチ20がONされると、CPU507は、ステップ#102より動作を開始する。まず、ステップ#102では、CPU507は、不図示の駆動部を介してレンズバリア14を開き、次いでレンズ駆動部501によりズームレンズユニット13を所定長だけ繰り出す。そして、次のステップ#103にて、ズームレンズユニット13の繰り出し位置をカメラ本体内に常に一時保存しておく。
【0032】
次のステップ#104では、CPU507は、電源ON時に周期的に、加速度センサ510の検出した加速度が落下判定に用いる基準値以上であるか否かを判定する。判定の結果、落下判定に用いる基準値未満の場合には、カメラ11が落下して衝撃を受けることはないと判定してステップ#105へ進み、通常撮影モードを実行する。その後は、次の周期で再びステップ#104に戻り、加速度が落下判定に用いる基準値以上であるか否かの判定を行う。
【0033】
上記ステップ#104で、加速度が落下判定に用いる基準値以上であると判定した場合には、CPU507は、カメラ11が落下による衝撃を受けると判定し、ステップ#106へ進む。そして、ステップ#106にて、図5の耐衝撃強度データテーブルを参照し、続くステップ#107にて、ズームレンズユニット13の現在(基準値以上の加速度検出時)の繰り出し位置における耐衝撃強度データを取得して、現在位置の耐衝撃強度とする。なお、耐衝撃強度データテーブルに、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置における耐衝撃強度データが無い場合は、耐衝撃強度データテーブルにある、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置に最も近い位置の耐衝撃強度データを取得する。そして、この耐衝撃強度データを現在位置における耐衝撃強度とする。
【0034】
次のステップ#108では、CPU507は、耐衝撃強度データテーブルの中で、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置に最も近い、繰り出し側のズームレンズユニット繰り出し位置の耐衝撃強度データを取得する。そして、これを近傍繰り出し側耐衝撃強度とする。続くステップ#109では、耐衝撃強度データテーブルの中で、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置に最も近い、繰り込み側のズームレンズユニット繰り出し位置の耐衝撃強度データを取得する。そして、これを近傍繰り込み側耐衝撃強度とする。
【0035】
次のステップ#110では、CPU507は、近傍繰り込み側耐衝撃強度と近傍繰り出し側耐衝撃強度とを比較する。その結果、近傍繰り込み側耐衝撃強度が近傍繰り出し側耐衝撃強度以上の場合はステップ#111へ進み、近傍繰り込み側耐衝撃強度を近傍耐衝撃強度とする。また、近傍繰り込み側耐衝撃強度が近傍繰り出し側耐衝撃強度未満の場合はステップ#112へ進み、近傍繰り出し側耐衝撃強度を近傍耐衝撃強度とする。
【0036】
その後は、いずれの場合もステップ#113へ進み、CPU507は、現在位置の耐衝撃強度と近傍耐衝撃強度とを比較する。その結果、現在位置の耐衝撃強度が近傍耐衝撃強度以上の場合は、現在のズームレンズユニット繰り出し位置のままの状態で落下した方が良いと判定し、ステップ#115へ進む。そして、ステップ#115では、ズームレンズユニット繰り出し位置を変えずにステップ#116へ進み、移動終了となる。
【0037】
一方、上記ステップ#113で現在位置の耐衝撃強度が近傍耐衝撃強度未満の場合は、CPU507は、ステップ#114へ進む。そして、近傍耐衝撃強度となるズームレンズユニット繰り出し位置若しくは繰り込み位置へズームレンズユニット13を移動させ、次のステップ#116で移動終了となる。
【0038】
図5に示した耐衝撃強度データテーブルは、カメラ11の使用状況によって変更してもよい。例えば、ズームレンズユニットの或る位置で衝撃を受けた場合、たとえ致命的な損傷を受けなかったとしても、打痕等の発生により、そのズームレンズユニット位置の耐衝撃強度は弱くなる場合が考えられる。そのような衝撃履歴に応じて、衝撃を受けたズームレンズユニット位置の耐衝撃強度データテーブルを、弱いデータに書き換えてもよい。すなわち、撮像装置は常に一時的にズーム位置を記憶しており、落下衝撃により損傷を受け耐衝撃性が弱まると判定される加速度を受けた時は、該ズーム位置の耐衝撃強度を弱いデータに書き換えてもよい。例えば、こうした書き換えのプログラムがカメラに実装されていて、CPU507は、このような事態が発生したときに該プログラムに従って自動的に判断してデータの書き換えを実行する。例えば、或るズーム位置で相当な損傷を受けて、落下時にこの位置への移動は禁止する必要がある場合には、この位置の耐衝撃強度を0に書き換える。こうすれば、この位置の耐衝撃強度が他の位置の耐衝撃強度以上ということはあり得ず、落下時にこの位置への移動は起こり得なくなる。
【0039】
ここで、図5の耐衝撃強度データテーブルを用いて、上記衝撃低減動作の詳細を説明する。図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がワイド(Wide)の場合は、ステップ#107での現在位置耐衝撃強度は5となる。この場合は、次のステップ#108において、ワイドから最も近い、繰り出し側のズームレンズユニット繰り出し位置であるM1の耐衝撃強度3を、近傍繰り出し側耐衝撃強度とする。また、次のステップ#109においては、ワイドから最も近い、繰り込み側のズームレンズユニット繰り出し位置である沈胴位置の耐衝撃強度6を、近傍繰り込み側耐衝撃強度とする。そして、次のステップ#110にて、近傍繰り出し側耐衝撃強度が3で、近傍繰り込み側耐衝撃強度が6であり、近傍繰り込み側耐衝撃強度が近傍繰り出し側耐衝撃強度以上であると判定する。そのため、ステップ#111へ進み、近傍繰り込み側耐衝撃強度6を近傍耐衝撃強度とする。
【0040】
次のステップ#113においては、現在位置耐衝撃強度5が近傍耐衝撃強度6未満であるため、ステップ#114へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置を沈胴位置へ移動させ、ステップ#116で移動終了となる。
【0041】
また、図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がM1の場合は、ステップ#107での現在位置耐衝撃強度は3となる。この場合は、次のステップ#108において、M1から最も近い、繰り出し側のズームレンズユニット繰り出し位置であるM2の耐衝撃強度2を、近傍繰り出し側耐衝撃強度とする。また、次のステップ#109においては、M1から最も近い、繰り込み側のズームレンズユニット繰り出し位置であるワイドの耐衝撃強度5を、近傍繰り込み側耐衝撃強度とする。そして、次のステップ#110にて、近傍繰り出し側耐衝撃強度が2で近傍繰り込み側耐衝撃強度が5であり、近傍繰り込み側耐衝撃強度が近傍繰り出し側耐衝撃強度以上であると判定する。そのため、ステップ#111へ進み、近傍繰り込み側耐衝撃強度5を近傍耐衝撃強度とする。
【0042】
次のステップ#113においては、現在位置耐衝撃強度3が近傍耐衝撃強度5未満であるため、ステップ#114へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置をワイドに移動させ、ステップ#116で移動終了となる。
【0043】
また、図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がM2の場合は、ステップ#107での現在位置耐衝撃強度は2となる。この場合は、ステップ#108において、M2から最も近い、繰り出し側のズームレンズユニット繰り出し位置であるM3の耐衝撃強度4を、近傍繰り出し側耐衝撃強度とする。また、次のステップ#109においては、M2から最も近い、繰り込み側のズームレンズユニット繰り出し位置であるM1の耐衝撃強度3を、近傍繰り込み側耐衝撃強度とする。そして、次のステップ#110にて、近傍繰り出し側耐衝撃強度が4で近傍繰り込み側耐衝撃強度が3であり、近傍繰り込み側耐衝撃強度が近傍繰り出し側耐衝撃強度未満であると判定する。そのため、ステップ#112へ進み、近傍繰り出し側耐衝撃強度4を近傍耐衝撃強度とする。
【0044】
次のステップ#113においては、現在位置耐衝撃強度2が近傍耐衝撃強度4未満であるため、ステップ#114へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置をM3に移動させ、ステップ#116で移動終了となる。
【0045】
また、図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がM3の場合は、ステップ#107での現在位置耐衝撃強度は4となる。この場合は、ステップ#108において、M3から最も近い、繰り出し側のズームレンズユニット繰り出し位置であるテレ(Tele)の耐衝撃強度3を、近傍繰り出し側耐衝撃強度とする。また、次のステップ#109においては、M3から最も近い、繰り込み側のズームレンズユニット繰り出し位置であるM2の耐衝撃強度2を、近傍繰り込み側耐衝撃強度とする。そして、次のステップ#110にて、近傍繰り出し側耐衝撃強度が3で近傍繰り込み側耐衝撃強度が2であり、近傍繰り込み側耐衝撃強度が近傍繰り出し側耐衝撃強度未満であると判定する。そのため、ステップ#112へ進み、近傍繰り出し側耐衝撃強度3を近傍耐衝撃強度とする。
【0046】
次のステップ#113においては、現在位置耐衝撃強度4が近傍耐衝撃強度3以上であるため、ステップ#115へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置を変えずに、ステップ#116で移動終了となる。
【0047】
また、図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がテレの場合は、ステップ#107での現在位置耐衝撃強度は3となる。この場合は、ステップ#108において、テレから最も近い、繰り出し側のズームレンズユニット繰り出し位置は無いので、近傍繰り出し側耐衝撃強度は0とする。また、次のステップ#109においては、テレから最も近い、繰り込み側のズームレンズユニット繰り出し位置であるM3の耐衝撃強度4を、近傍繰り込み側耐衝撃強度とする。そして、次のステップ#110にて、近傍繰り出し側耐衝撃強度が0で近傍繰り込み側耐衝撃強度が4であり、近傍繰り込み側耐衝撃強度が近傍繰り出し側耐衝撃強度以上である判定する。そのため、ステップ#111へ進み、近傍繰り込み側耐衝撃強度4を近傍耐衝撃強度とする。
【0048】
次のステップ#113においては、現在位置耐衝撃強度3が近傍耐衝撃強度4未満であるため、ステップ#114へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置をM3に移動させ、ステップ#116で移動終了となる。
【0049】
上記のような処理を行うのは、以下の理由による。通常、衝撃を受けた際のズームレンズユニット13の耐衝撃強度は、ズームレンズユニット13の位置に対して一様ではない。すなわち、図5に示したように、ズームレンズユニット13の位置によって耐衝撃強度は異なる。従って、ズームレンズユニット13が繰り出された状態で衝撃を受ける際には、より衝撃に強い位置(沈胴位置を含む)に移動させるのが望ましいからである。また、従来のように必ず沈胴位置まで移動させようとはしないで、状況(ズームレンズユニットの状態を含む条件)に応じて、衝撃を受けるまでの短時間で確実に移動できる、より衝撃に強い目標位置を柔軟に決めれば、衝撃低減を確実にできるからである。
【0050】
本実施例によれば、撮像装置の落下などを検出すると、落下などによる衝撃を低減する状態にズームレンズユニットを変位するか、またはそのまま止める。このように、撮像装置の落下などを検出した際は、ズームレンズユニットをより衝撃に強い何れかの位置にもたらすことで衝撃低減動作が行われる。よって、固定的に沈胴位置まで移動させる方式より、確実に短時間で、より衝撃を低減できる位置(沈胴位置を含む)まで移動完了させることができる。
【0051】
具体的には、本実施例では、ズームレンズユニットの現在の繰り出し位置の耐衝撃強度と、ズームレンズユニットの現在の繰り出し位置近傍の位置の耐衝撃強度を比較する。そして、現在位置より近傍位置の方の耐衝撃強度が強い場合は、近傍位置に移動させる。また、近傍位置の耐衝撃強度が同等か弱い場合は、現在位置から移動させないようにしている。よって、ズームレンズユニットの現在の繰り出し位置の耐衝撃強度より弱いズームレンズユニットの位置で衝撃を受けることがない。また、上記のズームレンズユニットの現在の繰り出し(若しくは繰り込み)位置近傍とは、耐衝撃強度データテーブルの中で、ズームレンズユニットの現在の繰り出し位置に最も近い繰り出し位置または繰り込み位置としている。これにより、短時間で衝撃低減動作が完了するため、落下時間が短い場合でも衝撃を低減できる効果が得られる。
【0052】
また、本実施例では、上記ズームレンズユニットの動作可能な範囲において、ズームレンズユニットの位置と耐衝撃強度の関係についての耐衝撃強度データテーブルを、撮像装置内部に格納している。よって、耐衝撃強度データテーブルを参照することで、ズームレンズユニットの現在の繰り出し位置より衝撃低減可能なズームレンズユニットの位置を知ることができる(こうした構成については、実施例2で、より具体的に説明される)。
【実施例2】
【0053】
次に、図6及び図7を用いて、本発明の実施例2に係わるカメラ(デジタルカメラ)について説明する。カメラの構成は、図1乃至図3と同様であるものとする。
【0054】
図6は、電源がONされた時に、本実施例のカメラ11のCPU507により実行される衝撃低減動作を示すフローチャートである。図7は、本実施例で使用する、ズームレンズユニット13の各繰り出し(繰り込み)位置(沈胴位置を含む)間の移動時間を設定している移動時間テーブルの一例であり、これを移動時間テーブルと呼ぶ。耐衝撃強度データテーブルについては、上述の図5の耐衝撃強度データテーブルを用いるものとする。
【0055】
図6において、ステップ#201で電源がONされると、CPU507は、ステップ#202より動作を開始する。まず、ステップ#202では、CPU507は、レンズバリア14を開き、レンズ駆動部501によりズームレンズユニット13を所定長だけ繰り出す。そして、次のステップ#203にて、ズームレンズユニット繰り出し位置をカメラ本体内に常に一時保存しておく。
【0056】
次のステップ#204では、CPU507は、想定落下時間をカメラ11に設定する。想定落下時間は、予めカメラ内に保持している値を用いてもよい。また、カメラ11を使用する地上からの高さに応じて変更してもよい。例えば、カメラ11を使用する地上からの高さを150cmとした場合、自由落下時間である550ミリ秒を想定落下時間とする。また、カメラ11を使用する地上からの高さを設定し、カメラ内部で自由落下時間を計算し、計算結果を想定落下時間としてもよい。以下では、想定落下時間を550ミリ秒とした例について述べる。
【0057】
次のステップ#205では、CPU507は、電源ON時に周期的に加速度センサ510の検出した加速度が落下判定に用いる基準値以上であるか否かを判定する。判定の結果、落下判定に用いる基準値未満の場合にはカメラ11が衝撃を受けることはないと判定してステップ#206へ進み、通常撮影モードを実行する。その後は、次の周期で再びステップ#205へ戻る。
【0058】
また、上記ステップ#205で加速度が落下判定に用いる基準値以上であると判定した場合には、CPU507は、カメラ11が落下による衝撃を受けると判定し、ステップ#207へ進む。そして、ステップ#207にて、図5に示す耐衝撃強度データテーブルを参照する。
【0059】
次のステップ#208では、CPU507は、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置の耐衝撃強度データを取得し、現在位置耐衝撃強度とする。なお、耐衝撃強度データテーブルに、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置の耐衝撃強度データが無い場合は、次のようにする。すなわち、耐衝撃強度データテーブルにある、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置に最も近い位置の耐衝撃強度データを取得し、現在位置耐衝撃強度とする。
【0060】
次のステップ#209では、CPU507は、耐衝撃強度データテーブルの中で、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置から、上記ステップ#204で設定した想定落下時間内に移動可能な範囲内を決定する。これは、ズームレンズユニット13の各繰り出し位置(沈胴位置を含む)間の移動時間テーブルを参照して決定する。続くステップ#210では、上記ステップ#209で決定した想定落下時間内に移動可能な範囲内で、最も強い耐衝撃強度データを取得し、最大耐衝撃強度とする。
【0061】
次のステップ#211では、CPU507は、現在位置耐衝撃強度と最大耐衝撃強度とを比較する。比較の結果、現在位置耐衝撃強度が最大耐衝撃強度以上の場合は、現在のズームレンズユニット繰り出し位置のままの状態で落下した方が良いと判定する。そして、ステップ#213へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置を変えずに、次のステップ#214で移動終了となる。
【0062】
また、ステップ#211で現在位置耐衝撃強度が最大耐衝撃強度未満の場合は、CPU507は、ステップ#212へ進む。そして、最大耐衝撃強度となるズームレンズユニット繰り出し位置へズームレンズユニット13を移動させ、ステップ#214で移動終了となる。
【0063】
次に、図5の耐衝撃強度データテーブルと図7の移動時間テーブルを用いて、上記の衝撃低減動作の詳細を説明する。
【0064】
図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がワイド(Wide)の場合は、ステップ#208での現在位置耐衝撃強度は5となる。この場合はステップ#209において、図7の移動時間テーブルより、想定落下時間550ミリ秒内に移動可能な範囲は、沈胴位置からM2までとなる。また、次のステップ#210においては、沈胴位置の耐衝撃強度6を移動可能範囲内の最大耐衝撃強度とする。続くステップ#211では、現在位置耐衝撃強度5が最大耐衝撃強度6未満と判定する。そのため、ステップ#212へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置を沈胴位置へ移動させ、ステップ#214で移動終了となる。
【0065】
また、図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がM1の場合は、ステップ#208の現在位置耐衝撃強度は3となる。この場合はステップ#209において、図7の移動時間テーブルより、想定落下時間550ミリ秒内に移動可能な範囲は、ワイドからM3までとなる。また、次のステップ#210においては、ワイドの耐衝撃強度5を移動可能範囲の最大耐衝撃強度とする。続くステップ#211では、現在位置耐衝撃強度3が近傍最大耐衝撃強度5未満であると判定する。そのため、ステップ#212へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置をワイドに移動させ、ステップ#214で移動終了となる。
【0066】
また、図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がM2の場合は、ステップ#208の現在位置耐衝撃強度は2となる。この場合はステップ#209において、図7の移動時間テーブルより、想定落下時間550ミリ秒内に移動可能な範囲は、ワイドからテレ(Tele)までとなる。また、次のステップ#210においては、ワイドの耐衝撃強度5を移動可能範囲内の最大耐衝撃強度とする。続くステップ#211では、現在位置耐衝撃強度2が最大耐衝撃強度5未満であると判定する。そのため、ステップ#212へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置をワイドに移動させ、ステップ#214で移動終了となる。
【0067】
また、図5において、ズームレンズユニット13の現在の繰り出し位置がM3の場合は、ステップ#208の現在位置耐衝撃強度は4となる。この場合はステップ#209において、図7の移動時間テーブルより、想定落下時間550ミリ秒内に移動可能な範囲は、M1からテレまでとなる。また、次のステップ#210においては、M3の耐衝撃強度4を移動可能範囲内の最大耐衝撃強度とする。続くステップ#211では、現在位置耐衝撃強度4が最大耐衝撃強度4と等しいと判定する。そのため、ステップ#213へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置を変えずに、ステップ#214で移動終了となる。
【0068】
また、図5において、ズームレンズユニットの現在の繰り出し位置がテレの場合は、ステップ#208の現在位置耐衝撃強度は3となる。この場合は、ステップ#209において、図7の移動時間テーブルより、想定落下時間550ミリ秒内に移動可能な範囲は、M2からテレまでとなる。また、次のステップ#210においては、M3の耐衝撃強度4を最大耐衝撃強度とする。続くステップ#211では、現在位置耐衝撃強度3が最大耐衝撃強度4未満であると判定する。そのため、ステップ#212へ進み、ズームレンズユニット繰り出し位置をM3に移動させ、ステップ#214で移動終了となる。
【0069】
なお、実施例2においては、移動可能範囲内の最大耐衝撃強度を示すズームレンズユニット13の位置を近傍位置とする。
【0070】
本実施例によれば、上記のズームレンズユニットの現在の繰り出し(若しくは繰り込み)位置の近傍位置とは、撮像装置内部に設定した想定落下時間内に移動可能な範囲のズームレンズユニットの位置のうちで最大の耐衝撃強度を示す位置であることとする。また、撮像装置内部に設定した想定落下時間内に移動可能な範囲のズームレンズユニットの位置は、撮像装置内部に格納する、ズームレンズユニットの各位置間の移動時間を決定している移動時間テーブルを参照して決定するようにしている。よって、撮像装置内部に設定した想定落下時間内に移動可能な範囲のズームレンズユニットの位置の中で、最も耐衝撃強度の強い位置にズームレンズユニットを移動させ、耐衝撃性を高める効果が得られる。
【0071】
また、本実施例では、撮像装置内部に設定した想定落下時間について、例えば、撮像装置の使用する地上からの高さに応じて変更できる構成にもできる(これについては、実施例3で、より具体的に説明される)。よって、想定する落下時間が長ければ、より耐衝撃強度の強い位置にズームレンズユニットを移動し、耐衝撃性を高める効果が得られる。
【実施例3】
【0072】
次に実施例3として、図8を用いて、本発明の実施例2に係わるカメラのステップ#204における想定落下時間算出例について説明する。ここでも、カメラの構成は、図1乃至図3と同様であるものとする。
【0073】
図8において、ステップ#301で電源スイッチ20がONされると、CPU507は、ステップ#302より動作を開始する。
【0074】
ステップ#302では、CPU507は、周期的に姿勢検知機能部512が検出した姿勢が、ズームレンズユニット13が下向きであるか否かを判定する。姿勢を検出する手段は特に限定されないが、例えば、一般的なカメラに搭載されているカメラが縦向きまたは横向きであることを検出するセンサを利用して下向きの姿勢を検知してもよい。
【0075】
ズームレンズユニットが下向きという場合は、ズームレンズユニットの光軸が地面に対して垂直と見なすことのできる角度範囲内にある場合である。また、垂直とみなすことのできる角度範囲は、予めカメラ内部に設定しておく。
【0076】
ズームレンズユニットが下向きではないと判定した場合には、ステップ#303へ進み、通常撮影モードを実行する。その後は、次の周期で再びステップ#302へ戻る。
【0077】
ステップ#304では、ズームレンズユニットが下向きであると判定した場合には、オートフォーカス部500は、オートフォーカス動作を開始し被写体にピントを合わせる。ピントが合ったと判断した場合、被写体までの距離を算出し想定落下距離とする。
【0078】
ステップ#305では、CPU507は、想定落下距離から想定落下時間を算出する。算出手段としては、想定落下距離から自由落下した場合の落下時間を想定落下時間とすることができる。
【0079】
次のステップ#306では、ステップ#305で算出された想定落下時間を新たな想定落下時間としてカメラ内部に設定する。
【0080】
本実施例によれば、上記のズームレンズユニットが下向きであることを検知すると、被衝突物までの想定落下距離を測定し、想定落下距離から想定落下時間を算出する構成にしている。よって、ズームレンズユニットが下向きの場合、使用する高さに応じた想定落下時間を算出することが可能となり、想定落下時間が長ければ、より耐衝撃強度の強い位置にズームレンズユニットを移動し、耐衝撃性を高める効果が得られる。
【0081】
また、本実施例では、上記の想定落下距離をオートフォーカス機能手段を用いて測定する構成にしている。よって、センサを追加することなく想定落下距離を測定することが可能である。オートフォーカス機能手段としては、例えば、被写体に赤外光を当ててその反射光を用いて被写体までの距離を測距する手段を含むものがある。また、位相差検出方式を採用するものもある。これは、例えば、分岐光束を結像させるための一次撮像レンズと、一次撮像レンズの予定結像面近傍に配置されるフィールドレンズと、このフィールドレンズの後方に配置される2次撮像光学系とを有する。これにより、撮像光学系の瞳の異なった部分を通過する光束に基づいた対の物体像を形成すると共に、物体像のそれぞれを2次撮像光学系の後方に配置された光電変換素子列で検出する。物体像の相対的なずれ量から撮像光学系の焦点状態を判別する。そして、こうしたメカニズムを利用して想定落下距離を測定することができる。
【0082】
(本発明と実施例の対応)
上記実施例において、ズームレンズユニット13が本発明のズームレンズユニットに相当する。加速度センサ510、及びCPU507のステップ#104、#205の動作を実行する部分が、撮像装置の落下などを検出する検出手段に相当する。また、レンズ駆動部501、及びCPU507のステップ#104〜#115、#205〜#213の動作を行う部分が、落下などが検出された場合にズームレンズユニットの位置をより衝撃に強い位置に移動させる本発明の位置制御手段に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明のズームレンズユニットを備える撮像装置には、ズームレンズユニットを繰り出す若しくは繰り込む機能を有する沈胴式の撮像装置、屈曲光学系を備える撮像装置、一眼レフカメラ、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話などが含まれる。沈胴式の光学ズーム機能を有す撮像装置には、前述したデジタルスチルカメラの他に、こうしたタイプの一眼レフカメラ、ビデオカメラなども含まれる。また、屈曲光学系を備える撮像装置は、撮影対象からの光の光路を略垂直に折り曲げる屈曲光学系と撮影倍率を変化させるズーム光学系より成る撮像光学系を本体に内蔵しているもので、こうしたものにも本発明を効果的に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の各実施例に係わるカメラのズームレンズユニットが格納された状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の各実施例に係わるカメラのズームレンズユニットが繰り出された状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の各実施例に係わるカメラの回路構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1に係わるカメラ落下時の衝撃低減動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の各実施例に係わるカメラのズームレンズユニットの位置と耐衝撃強度の関係を示す耐衝撃強度データテーブルを示す図である。
【図6】本発明の実施例2に係わるカメラ落下時の衝撃低減動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例2に係わるカメラのズームレンズユニットの各位置間の移動時間テーブルを示す図である。
【図8】本発明の実施例3に係わるカメラの想定落下時間算出を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
11 撮像装置(デジタルカメラ)
12 撮像レンズ
13 ズームレンズユニット
501 位置制御手段(レンズ駆動部)
503 撮像素子
507 位置制御手段、検出手段(CPU)
510 検出手段(加速度センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズユニットを備える撮像装置であって、
当該撮像装置の落下または衝撃に至ると推定される事態を検出するための検出手段と、
該検出手段が前記落下または事態を検出した時、該検出手段による検出時の位置以上に衝撃に強い目標位置に前記ズームレンズユニットをもたらすための位置制御手段と、
を有し、
前記目標位置は、前記検出時に、該検出時の前記ズームレンズユニットの状態を含む条件に基づき、決定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ズームレンズユニットを繰り出す若しくは繰り込む機能を有する沈胴式の撮像装置であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ズームレンズユニットの移動可能な範囲において、前記ズームレンズユニットの位置と耐衝撃強度の関係についての耐衝撃強度データテーブルを有し、
前記位置制御手段は、前記耐衝撃強度データテーブルに基づいて前記目標位置を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記位置制御手段は、前記ズームレンズユニットの前記検出時の位置の耐衝撃強度と、前記ズームレンズユニットの前記検出時の位置の近傍位置の耐衝撃強度とを比較し、前記検出時の位置より前記近傍位置の方の耐衝撃強度が強い場合は、前記ズームレンズユニットを前記近傍位置に移動させ、前記近傍位置の耐衝撃強度が前記検出時の位置の耐衝撃強度と同等か弱い場合は、前記ズームレンズユニットを前記検出時の位置に止めることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記ズームレンズユニットの前記検出時の位置の近傍位置とは、前記耐衝撃強度データテーブルの中で、前記ズームレンズユニットの前記検出時の位置に繰り出し側若しくは繰り込み側に最も近い位置とすることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記ズームレンズユニットの前記検出時の位置の近傍位置とは、当該撮像装置内部に設定した想定落下時間内に移動可能な範囲の前記ズームレンズユニットの位置のうちで最大の耐衝撃強度を示す位置とし、
前記想定落下時間内に移動可能な範囲の前記ズームレンズユニットの位置は、前記ズームレンズユニットの各位置間の移動時間を設定している移動時間テーブルに基づいて前記位置制御手段により決定されることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
当該撮像装置に設定した想定落下時間は、当該撮像装置の使用する地上からの高さに応じて変更可能であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記ズームレンズユニットが下向きであることを検出する姿勢検出手段と、前記ズームレンズユニットが下向きであることが検出された場合に被衝突物までの想定落下距離を測定し前記想定落下時間を算出する想定落下時間算出手段と、を有することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記想定落下距離とは、オートフォーカス機能手段を利用して測定した被衝突物までの距離であることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記ズームレンズユニットの位置と耐衝撃強度の関係についての前記耐衝撃強度データテーブルは、当該撮像装置の使用状況により変更可能であることを特徴とする請求項3から9のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−78906(P2010−78906A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247163(P2008−247163)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】