説明

撮像装置

【課題】小型の撮像装置でも撮影者の疲労が少ない保持ができ、かつ撮影者が快適な視距離を確保できるようにする。
【解決手段】撮像を行うためのレンズ部を含む第一の筐体2と、撮像映像を表示すための表示部3と、前記第一の筐体と前記表示部を可動可能に連結する第二の筐体4を有する撮像装置において、撮影時に前記表示部を前記レンズ部の先端より前方に配置させる形態と、収納時に前記表示部を前記レンズ部先端より後方に配置させる形態とを持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像部と表示部を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12は特許文献1に記載されている図であり、121は表示部、122は撮像装置本体、123はグリップ部である。本提案ではグリップ123を保持し、撮像装置の前部に表示部を配置する構成をなっている。本提案は撮像装置本体122を保持するのではなく、グリップ部123を保持するような大きな撮像装置を想定しているため、この構成により、撮影者と表示部との距離が保て、快適な視距離で撮影できる。また同時に撮影者と撮像装置を近くして疲労の少ない位置で撮像装置を保持しても撮像装置が大きいため快適な視距離が保てるとして快適に撮影できる撮像装置を提供しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-191698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら現在普及しているコンシューマー向けのレンズを含む筐体自体を保持するような小さい撮像装置の場合、図10に示すように撮像装置の前部に表示部を配置するだけでは充分な視距離を保つことができない。また図11に示すように撮影者快適な視距離を保つためには腕を伸ばして表示部を遠ざけると疲労が著しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
撮像を行うためのレンズ部を含む第一の筐体と、撮像映像を表示すための表示部と、前記第一の筐体と前記表示部を可動可能に連結する第二の筐体を有する撮像装置において、
前記表示部を前記レンズ部の先端より前方に配置させる第一の形態と、
前記表示部を前記レンズ部先端より後方に配置させる第二の形態を持つことを特徴とする。
前記撮像装置において、
前記第一の形態は撮影時であることを特徴とする。
前記撮像装置において、
前記第二の形態は前記表示部の収納時であることを特徴とする。
前記撮像装置において、
前記第一の筐体と前記第二の筐体は機械的に接続され、その接続方式はスライド方式であり、前記第二の筐体と前記表示部は機械的に接続され、その接続方式は多軸もしくは単軸のヒンジ方式であることを特徴とする。
前記撮像装置において、
前記第一の筐体と前記第二の筐体は機械的に接続され、その接続方式は多軸もしくは単軸のヒンジ方式であり、前記第二の筐体と前記表示部は機械的に接続され、その接続方式は多軸もしくは単軸
のヒンジ方式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明によれば小型の撮像装置でも撮影者の疲労が少ない保持ができ、かつ撮影者が快適な視距離を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】aは本発明にかかる第1の実施の形態の撮像装置の要部概略構造である。本実施例における主眼となる形態である。bは表示部の収納状態である。cは表示部の収納状態である。
【図2】本発明にかかる撮像装置の電気的接続を示している。
【図3a】発明の主眼となる第一の筐体2と第二の筐体4の構造を示している断面図である。
【図3b】発明の主眼となる第一の筐体2と第二の筐体4の構造を示している断面図である。
【図4】本実施例における効果を示す図である。
【図5】外部入出力端子部7にケーブル51を挿したまま、撮影を行った場合の図であり、撮像装置の後ろ側から表示部3を見た図である。
【図6a】本発明にかかる第2の実施の形態の撮像装置の要部概略構造である本実施例における主眼となる形態である。
【図6b】表示部の収納状態である。
【図6c】表示部の収納状態である。
【図7a】発明の主眼となる第一の筐体62と第二の筐体64、第二の筐体64と表示部63の機械的接続構造を示している図である。構造概略である。
【図7b】第一の筐体62と第二の筐体64および第二の筐体64と表示部63のロック機構である。
【図8】発明の主眼となる第二の筐体の機能について示しており、撮像装置を上面から見た図である。
【図9】外部入出力端子部67にケーブル101を挿したまま、撮影を行った場合の図であり、撮像装置の後ろ側から表示部63を見た図である。
【図10】視距離を保つために撮像装置を撮影者から離して撮影している様子である。
【図11】図11は撮影時の疲労を軽減するために撮影装置を撮影者の近くで撮影している様子である。
【図12】従来例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態を、好適な実施例に基づき、図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
[実施例1]
図1に、本発明にかかる第1の実施の形態の撮像装置の要部概略構造を示す。図1aは本実施例における主眼となる形態であり撮影時の形態である。図1b、図1cは表示部の収納状態である。図1において、1は撮像をするためのレンズ、2はレンズを含む第一の筐体、3はレンズ1で撮像された映像を映し出すための表示部、4は第一の筐体2と表示部3を機械的に接続する第二の筐体であり、第一の筐体2とはスライド方式で接続し、表示部3とは2軸のヒンジで接続している。また第一の筐体2は保持部として使用される。5は撮像装置の操作系、6はメディアの挿抜口、7は外部入出力端子部、である。
【0010】
図1aは表示部3がレンズ1より前に配置されている状態であり、図1b、cは表示部3がレンズ1より後ろに配置されている状態である。
【0011】
図2は本発明にかかる第一の実施形態の撮像装置の電気的なフローを示すブロック図である。レンズ1より入光された画を撮像部24で電気信号に変換し画像処理22を通して記録メディア23に保存され、同時に表示部3へ映し出され、出力端子7へ送られる。またそれら一連の制御をマイコン21が行い、操作キー5などの入力を受け付ける。
【0012】
また、表示部3と第一の筐体2との間の映像データの送受信のために電気的接続手段としてフレキシブルプリンテッドサーキット(以下FPCとする)やワイヤーなどが第一の筐体2から第二の筐体4を通して表示部3に接続される。ここでは電気的接続手段としてFPCやワイヤーを挙げたが無線でもよい。
【0013】
図3は発明の主眼となる構造について示している。図3は第一の筐体2と第二の筐体4の構造を示している断面図であり、図1aに示す撮影時の形態である。31はレンズに入射する光線であり、θ32は光線31の入射角度である。ここで示すθ31はある一定角度θであり、第一の筐体2に対して、表示部3をある一定の角度θ31をもって前方にスライドさせる機構が第一の筐体2と第二の筐体4との間に設けれらている。この機構により表示部3はレンズ先端より前方に配置される。このある一定角度θ31とは表示部3のアングル調整における表示部3の回動軌跡上でも光線31を遮らない角度である。つまり第二の筐体4は表示部3がどの位置にあっても光線31を遮らない位置に表示部3を規制する構造を持つ。
【0014】
図4は発明の主眼となる機能について示している。図4に示すように撮像装置を撮影者の近くに配置し、撮影者の疲労が少ないように撮像装置を保持して撮影した場合でも、表示部3は撮影者から適度な距離が保たれ、快適な視距離を保つことができる。また同時に表示部3のアングル調整をしても誤って表示部3が撮影されることはない。
【0015】
ここからは本実施例における二次的な効果について説明する。
【0016】
図1aの形態では、表示部収納面に配置された操作系5やメディアの挿抜口6や外部入出力端子部7の操作の際に表示部3が操作する手にあたって邪魔になることがない。
【0017】
図5は外部入出力端子部7にケーブル51を挿したまま、撮影を行った場合の図であり、撮像装置の後ろ側から表示部3を見た図である。本実施例では図に示すようにケーブル51を挿したままでも、撮像装置後ろ側から表示部3を見ても邪魔にならない。これは図3に示す表示部3のスライド機構におけるある角度θ31により、撮像装置後ろ側から見て左側にも表示部3がスライド移動するためである。
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、小型の撮像装置でも撮影者の疲労が少ない保持ができ、かつ撮影者が快適な視距離を保て、誤って表示部を撮影してしまうこのとのない快適な撮影が可能な撮像装置を提供できる。
【0019】
また、表示部収納面に配置された操作系やメディアの挿抜口や外部入出力端子部の操作を行い易く、外部入出力端子部にケーブルを挿した状態でも、ケーブルが表示部を見るのに邪魔にならない快適な撮影、操作が可能な撮像装置を提供できる。
【0020】
[実施例2]
図6に、本発明にかかる第2の実施の形態の撮像装置の要部概略構造を示す。図6aは本実施例における主眼となる形態である。図6b、図6cは表示部の収納状態である。図6において、61は撮像をするためのレンズと撮像部、62はレンズと撮像部を含む第一の筐体、63はレンズと撮像部61で撮像された映像を映し出すための表示部、64は第一の筐体62と表示部63を機械的に接続する第二の筐体であり、本実施例では第一の筐体2とは一軸のヒンジ方式で接続し、表示部63とも一軸のヒンジ方式で接続している。68aは第一の筐体62と第二の筐体64とのロックつめであり、68bは68aの受けのロック機構である。69aは表示部63と第二の筐体64とのロックつめであり、69bは69aの受けのロック機構である。60はロック解除ボタンである。65は撮像装置の操作系、66はメディアの挿抜口、67は外部入出力端子部、である。
【0021】
実施例2における電気的な接続は図2に示すものと同じである。
【0022】
また、表示部63と第一の筐体2との間の映像データの送受信のために電気的接続手段としてフレキシブルプリンテッドサーキット(以下FPCとする)やワイヤーなどが第一の筐体2から第二の筐体64を通して表示部63に接続される。ここでは電気的接続手段としてFPCやワイヤーを挙げたが無線でもよい。
【0023】
図7は発明の主眼となる第一の筐体62と第二の筐体64、第二の筐体64と表示部63の機械的接続構造を示している図である。図7aは構造概略、図7bは第一の筐体62と第二の筐体64のロック機構および、第二の筐体64と表示部63のロック機構を示している。71は第一の筐体62と第二の筐体64とを接続するヒンジである。71aは第一の筐体62と第二の筐体64を常に開き方向に付勢しているトーションバネ、71b、71cは第一の筐体62と第二の筐体64の開き角度を規制するストッパーである。72は第二の筐体64と表示部63とを接続するヒンジであり、73は第二の筐体64と表示部63とを常に開き方向に付勢するトーションバネである。図7bは第一の筐体62と第二の筐体64、第二の筐体64と表示部63とを収納状態にロックするロック機構を示している。74はロック機構の一部である圧縮バネ、68aは第一の筐体62と第二の筐体64をロックする爪、68bは68aのロック部受け、69aは第二の筐体64と表示部63をロックする爪、69bは69aのロック部受け、60はロック解除ボタンである。68b、69b、60は一体で構成されロック解除ボタン60を押すことで第一の筐体62と第二の筐体64、第二の筐体64と表示部63双方のロックが解除される。
【0024】
ロック解除後の動きは、ヒンジ71によって第一の筐体62に対して、表示部63と第二の筐体64は共にある一定の角度まで回動する。その後、表示部63は表示部63と第二の筐体64との間にあるヒンジ機構72とトーションバネ73によって、表示部面とレンズの光軸が略垂直になるように回動し配置される。
【0025】
また、図6b,cに示すように表示部63の収納時は表示部63がレンズ61の先端より後方に配置される。
【0026】
図8は発明の主眼となる第二の筐体の機能について示しており、撮像装置を上面から見た図である。81はレンズと撮像部61に入射する光線であり、最も広角に光線が広がっている場合を示している。ここでは光線の入射角度をθ81とする。図8に示すように第二の筐体64は表示部63をレンズと撮像部61のレンズ前玉より前方に導き、かつレンズと撮像部61に入射する光線71を表示部63が遮らない位置に規制する。この機構により表示部3はレンズ先端より前方に配置される。この時の第二の筐体64と光軸との角度をθ82とする。
【0027】
これにより、図3bに示すように撮像装置を撮影者の近くに配置し、撮影者の疲労が少ないように撮像装置を保持して撮影した場合でも、表示部63は撮影者から適度な距離が保たれ、快適な視距離を保つことができる。
【0028】
ここからは本実施例における二次的な効果について説明する。
【0029】
図6aの形態では、表示部63がヒンジ機構により撮像装置の前側へ回動するため、表示部収納面91に配置された操作系65やメディアの挿抜口66や外部入出力端子部67の操作の際に表示部63が操作する手にあたって邪魔になることがない。
【0030】
図9は外部入出力端子部67にケーブル91を挿したまま、撮影を行った場合の図であり、撮像装置の後ろ側から表示部63を見た図である。本実施例では図に示すようにケーブル91を挿したままでも、撮像装置後ろ側から表示部63を見ても邪魔にならない。これは図8に示す表示部63のヒンジ機構81により、撮像装置後ろ側から見て左側にも表示部63が移動されるためである。
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、小型の撮像装置でも撮影者の疲労が少ない保持ができ、かつ撮影者が快適な視距離を保て、誤って表示部を撮影してしまうこのとのない快適な撮影が可能な撮像装置を提供できる。
【0032】
また、表示部収納面に配置された操作系やメディアの挿抜口や外部入出力端子部の操作を行い易く、外部入出力端子部にケーブルを挿した状態でも、ケーブルが表示部を見るのに邪魔にならない快適な撮影、操作が可能な撮像装置を提供できる。
【符号の説明】
【0033】
1‥‥撮像をするためのレンズと撮像部
2‥‥レンズと撮像部を含む第一の筐体
3‥‥レンズと撮像部1で撮像された映像を映し出すための表示部
4‥‥第一の筐体2と表示部3を機械的に接続する第二の筐体
5‥‥撮像装置の操作系
6‥‥メディアの挿抜口
7‥‥外部入出力端子部
31‥‥レンズに入射する光線
41‥‥表示部収納面
51‥‥ケーブル
60‥‥ロック解除ボタン
61‥‥撮像をするためのレンズと撮像部
62‥‥レンズと撮像部を含む第一の筐体
63‥‥撮像された映像を映し出すための表示部
64‥‥第一の筐体62と表示部63を機械的に接続する第二の筐体
65‥‥撮像装置の操作系
66‥‥メディアの挿抜口
67‥‥外部入出力端子部
68a‥‥第一の筐体62と第二の筐体64をロックする爪
68b‥‥68aのロック部受け
69a‥‥第二の筐体64と表示部63をロックする爪
69b‥69aのロック部受け
71‥‥第一の筐体62と第二の筐体64とを接続するヒンジ
71a‥‥第一の筐体62と第二の筐体64を常に開き方向に付勢しているトーションバネ
71b、71c‥‥は第一の筐体62と第二の筐体64の開き角度を規制するストッパー
72‥‥第二の筐体64と表示部63とを接続するヒンジ
73‥‥第二の筐体64と表示部63とを常に開き方向に付勢するトーションバネ
74‥‥ロック機構の一部である圧縮バネ
81‥‥レンズと撮像部61に入射する光線
91‥‥ケーブル
121‥‥表示部
122‥‥撮像装置本体
123‥‥グリップ部
θ31‥‥ある一定角度
θ32‥‥光線31の入射角度
θ81‥‥光線71の入射角度
θ82‥‥第二の筐体64と光軸との角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像を行うためのレンズ部1を含む第一の筐体2と、撮像映像を表示すための表示部3と、前記第一の筐体2と前記表示部3を可動可能に連結する第二の筐体4を有する撮像装置において、
前記表示部3を前記レンズ部1の先端より前方に配置させる第一の形態(図a)と、
前記表示部3を前記レンズ部1先端より後方に配置させる第二の形態(図b,c)を持つことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第一の形態は撮影時の形態であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第二の形態は前記表示部の収納時の形態であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第一の筐体と前記第二の筐体は機械的に接続され、その接続方式はスライド方式であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第一の筐体と前記第二の筐体は機械的に接続され、その接続方式は多軸もしくは単軸のヒンジ方式であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−119802(P2012−119802A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265938(P2010−265938)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】