説明

撮像装置

【課題】 一般に、GPSアンテナの感度分布は撮像装置の姿勢が横位置撮影の時に天頂方向の感度が最大になるように作られているので、縦位置撮影の場合には天頂方向の感度が低下してしまい、測位誤差が大きくなってしまう。
【解決手段】 CPU16は、時刻t1において姿勢センサ20の出力が横位置から縦位置へ変化したことを検知したら、一定の保持時間Tの期間、位置情報の更新を行わない。すなわち、時刻t1からt2において、CPU16は横位置でGPS受信機17から出力された最後の位置情報を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止画の撮像装置に関し、例えばデジタルカメラに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global PositioningSystem)受信機を備え、測位した撮影時の位置情報を撮影画像と共に記録媒体に記録するデジタルカメラが提案されている。GPS受信機のアンテナ部は、撮像装置の姿勢が横位置撮影の時にGPS衛星からの測位用電波を最も良好に受信できるよう、撮像装置上面に設置するのが一般的である。また、GPSアンテナの感度分布は撮像装置の姿勢が横位置撮影の時に天頂方向の感度が最大になるように作られている。
【0003】
特許文献1では、カメラ本体に対する角度が可変される起倒部の先端部にGPS受信機のアンテナ部が配置されたものが開示されている。
【0004】
特許文献2では、複数のアンテナ部を備え、天空部の方位に最も近い方位を向いたアンテナ部の出力を選択するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−334821号公報
【特許文献2】特開2009−192900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撮像装置の姿勢が縦位置撮影の場合、横位置撮影と比べて天頂方向の感度が低下してしまい、測位誤差が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
また、縦位置撮影では、横位置撮影と比べて受信できる衛星の数が少なくなる場合があり、測位誤差がさらに大きくなってしまう。
【0008】
特許文献1および特許文献2の構成では、撮像装置本体が大型化してしまい、コストも増大するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る撮像装置は、撮影画像と共にGPS受信機より得られる測位情報を記録媒体に記録する撮像装置であって、撮像装置の姿勢を検知する姿勢センサを備え、前記姿勢センサが横位置から縦位置へ変化したことを検知した場合には、前記GPS受信機より得られる測位情報を一定時間保持することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る撮像装置は、撮影画像と共にGPS受信機より得られる測位情報を記録媒体に記録する撮像装置であって、撮像装置の姿勢を検知する姿勢センサを備え、前記姿勢センサが横位置から縦位置へ変化したことを検知した場合には、前記GPS受信機より得られる測位情報を第1の一定時間保持し、前記姿勢センサが縦位置から横位置へ変化したことを検知した場合には、前記GPS受信機より得られる測位情報を第2の一定時間保持し、前記第2の一定時間保持は第1の一定時間保持よりも短いことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る撮像装置は、撮影画像と共にGPS受信機より得られる測位情報を記録媒体に記録する撮像装置であって、撮像装置の姿勢を検知する姿勢センサを備え、さらに撮像装置の移動量を検出する移動量検出センサを備え、前記姿勢センサが横位置の場合には、前記GPS受信機より得られる測位情報を用い、前記姿勢センサが縦位置の場合には、前記移動量検出センサからの出力を用いて測位情報を更新することを特徴とする撮像装置。
【発明の効果】
【0012】
撮像装置の姿勢が縦位置撮影の場合でも、測位誤差の小さい位置情報を撮影画像と共に記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態の機能ブロック図
【図2】本発明のGPS受信機の配置とGPSアンテナの感度分布を示した図
【図3】本発明の第1の実施形態の撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報について示したタイムチャート
【図4】本発明の第1の実施形態のフローチャート
【図5】本発明の第2の実施形態の撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報について示したタイムチャート
【図6】本発明の第2の実施形態のフローチャート
【図7】本発明の第3の実施形態の機能ブロック図
【図8】本発明の第3の実施形態の撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報について示したタイムチャート
【図9】本発明の第3の実施形態のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施例1]
図1は、本発明の撮像装置の第1の実施形態の機能ブロック図である。
【0015】
図1において、10はレンズや絞り等からなる結像光学部であり、フォーカス調節や露出調節を行う。
【0016】
11は光学像を電気信号に変換するCCD等の撮像素子、12は撮像素子11からのアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するA/D変換回路、13はA/D変換回路12から出力された画像データに、ガンマ処理、補間処理、マトリクス変換等を施して映像データを作成する信号処理部、14はメモリ(DRAM)15との間で映像データや各種制御データの書き込み/読み出しを行うシステムバス、16は各種制御を司るCPU、17はGPS受信機、18は撮影画像をSDカードなどの記録媒体に記録する記録部、19は画像データをLCDモニターなどに表示する表示部、20は撮像装置の姿勢を検出する姿勢センサである。
【0017】
結像光学部10に入射した光は撮像素子11の受光面に結像され、撮像素子11からアナログ画像信号として出力される。アナログ画像信号はA/D変換回路12でデジタル画像データに変換され、信号処理部13に入力される。信号処理部13に入力されたデジタル画像データは、ガンマ処理、補間処理、マトリクス変換等が施され、映像データとしてシステムバス14を介してメモリ15に記憶される。表示部19は、メモリ15に記憶された映像データを読み出してLCDモニターなどに表示する。
【0018】
GPS受信機17は、GPS衛星からの測位用電波を受信して緯度経度などの測位情報を出力する。CPU16は、GPS受信機17から出力された緯度経度などの測位情報をメモリ15に記憶された映像データに付加して、記録部18の記録媒体に記録する。
【0019】
図2は、本実施例のGPS受信機17の配置とGPSアンテナの感度分布を示した図である。図2(a)は撮像装置の姿勢が横位置撮影の場合、図2(b)は縦位置撮影の場合を示している。一般に、GPSアンテナの感度分布は撮像装置の姿勢が横位置撮影の時に天頂方向の感度が最大になるように作られているので、縦位置撮影の場合には天頂方向の感度が低下してしまい、測位誤差が大きくなってしまう。
【0020】
図3は、本実施例の撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報について示したタイムチャートであり、時刻t1において撮影姿勢が横位置から縦位置へ、時刻t3において縦位置から横位置へ変化した場合を示している。GPS受信機17は、GPS衛星からの測位用電波を受信して緯度経度などの測位情報を例えば1秒おきなど定期的に出力している。
【0021】
時刻t0からt1において姿勢センサ20の出力が横位置の場合、CPU16は、GPS受信機17の出力で位置情報を更新する。
【0022】
CPU16は、時刻t1において姿勢センサ20の出力が横位置から縦位置へ変化したことを検知したら、一定の保持時間Tの期間、位置情報の更新を行わない。すなわち、時刻t1からt2において、CPU16は横位置でGPS受信機17から出力された最後の位置情報を保持する。
【0023】
時刻t2からt3において、一定の保持時間Tが経過した後、CPU16は、GPS受信機17の出力で位置情報を更新する。
【0024】
時刻t3以降において姿勢センサ20の出力が横位置の場合、CPU16は、GPS受信機17の出力で位置情報を更新する。
【0025】
なお、本実施例では一定の保持時間Tは予め定められた時間として説明するが、例えば、GPS衛星からの測位用電波の受信レベルに応じて可変とする構成にしてもよい。
【0026】
CPU16の処理を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0027】
ステップS101において、CPU16は、姿勢センサ20の出力から横位置か縦位置かどうかを判定し、横位置の場合はステップS102へ、縦位置撮影の場合はステップS103へすすむ。
【0028】
ステップS102において、GPS受信機17の出力で撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報を更新する。
【0029】
ステップS103において、横位置から縦位置へ変化してからの経過時間が保持時間Tを超過しているか判定する。保持時間Tを超過している場合は、ステップS102にすすみ、位置情報を更新する。保持時間Tを超過していない場合は、CPU16は、位置情報を更新しない。
【0030】
上記第1の実施形態によれば、撮影姿勢が横位置から縦位置へ変化した場合でも、一定の保持時間Tの期間は測位誤差の小さい位置情報を撮影画像と共に記録することができる。
【0031】
[実施例2]
本発明の撮像装置の第2の実施形態の機能ブロック図は、第1の実施形態と同じである。第2の実施形態では、撮影姿勢が横位置から縦位置へ変化した場合だけでなく、縦位置から横位置へ変化した場合も一定の保持時間、位置情報の更新を行わない。
【0032】
GPS受信機17が出力する測位情報は、GPSアンテナの感度が低下した場合に測位誤差が大きくなるだけでなく、その感度が急激に変化した場合にも過渡的に測位誤差が大きくなる。従って、本実施例では撮影姿勢が縦位置から横位置へ変化した場合に過渡的に発生する大きな測位誤差の測位情報を用いないようにしている。
【0033】
本発明の撮像装置の第2の実施形態の撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報について、図5のタイムチャートを用いて説明する。
【0034】
時刻t0からt1において姿勢センサ20の出力が横位置の場合、CPU16は、GPS受信機17の出力で位置情報を更新する。
【0035】
CPU16は、時刻t1において姿勢センサ20の出力が横位置から縦位置へ変化したことを検知したら、一定の保持時間T1の期間、位置情報の更新を行わない。すなわち、時刻t1からt2において、CPU16は横位置でGPS受信機17から出力された最後の位置情報を保持する。
【0036】
時刻t2からt3において、一定の保持時間T1が経過した後、CPU16は、GPS受信機17の出力で位置情報を更新する。
【0037】
CPU16は、時刻t3において姿勢センサ20の出力が縦位置から横位置へ変化したことを検知したら、一定の保持時間T2の期間、位置情報の更新を行わない。すなわち、時刻t3からt4において、CPU16は縦位置でGPS受信機17から出力された最後の位置情報を保持する。
【0038】
時刻t4以降において、一定の保持時間T2が経過した後、CPU16は、GPS受信機17の出力で位置情報を更新する。
【0039】
なお、一定の保持時間T2は、GPSアンテナの感度が急激に変化した場合に過渡的に発生する大きな測位誤差の測位情報を用いないことが目的であるので、本実施例では保持時間T2は保持時間T1よりも短く設定する。
【0040】
なお、本実施例では一定の保持時間T1およびT2は予め定められた時間として説明するが、例えば、GPS衛星からの測位用電波の受信レベルに応じて可変とする構成にしてもよい。
【0041】
CPU16の処理を図6のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
ステップS201において、CPU16は、姿勢センサ20の出力から横位置か縦位置かどうかを判定し、横位置の場合はステップS202へ、縦位置撮影の場合はステップS203へすすむ。
【0043】
ステップS202において、縦位置から横位置へ変化してからの経過時間が保持時間T2を超過しているか判定する。保持時間T2を超過している場合は、ステップS204にすすむ。保持時間T2を超過していない場合は、CPU16は、位置情報を更新しない。
【0044】
ステップS203において、横位置から縦位置へ変化してからの経過時間が保持時間T1を超過しているか判定する。保持時間T1を超過している場合は、ステップS204にすすむ。保持時間T1を超過していない場合は、CPU16は、位置情報を更新しない。
【0045】
ステップS204において、GPS受信機17の出力で撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報を更新する。
【0046】
上記第2の実施形態によれば、撮影姿勢が縦位置から横位置へ変化した場合でも、過渡的に発生する大きな測位誤差の測位情報を用いないで、測位誤差の小さい位置情報を撮影画像と共に記録することができる。
【0047】
[実施例3]
図7は、本発明の撮像装置の第3の実施形態の機能ブロック図である。第1の実施形態と比べて、ジャイロなどの移動量検出センサ21が追加になっている。
【0048】
第3の実施形態では、撮影姿勢が縦位置の場合、GPS受信機17の出力ではなく、移動量検出センサ21の出力を基に位置情報の更新を行う。
【0049】
本発明の撮像装置の第3の実施形態の撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報について、図8のタイムチャートを用いて説明する。
【0050】
時刻t0からt1において姿勢センサ20の出力が横位置の場合、CPU16は、GPS受信機17の出力で位置情報を更新する。
【0051】
時刻t1からt2において姿勢センサ20の出力が縦位置の場合、CPU16は、GPS受信機17の出力ではなく、移動量検出センサ21の出力を基に位置情報の更新を行う。時刻t3以降において姿勢センサ20の出力が横位置の場合、CPU16は、GPS受信機17の出力で位置情報を更新する。
【0052】
CPU16の処理を図9のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
ステップS301において、CPU16は、姿勢センサ20の出力から横位置か縦位置かどうかを判定し、横位置の場合はステップS302へ、縦位置撮影の場合はステップS303へすすむ。
【0054】
ステップS302において、GPS受信機17の出力で撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報を更新する。
【0055】
ステップS302において、移動量検出センサ21の出力で撮影画像と共に記録媒体に記録する位置情報を更新する。
【0056】
上記第3の実施形態によれば、撮影姿勢が縦位置の場合には、移動量検出センサ21の出力を基に位置情報を更新するので、測位誤差の小さい位置情報を撮影画像と共に記録することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 結像光学部
11 撮像素子
12 A/D変換回路
13 信号処理部
14 システムバス
15 メモリ
16 CPU
17 GPS受信機
18 記録部
19 表示部
20 姿勢センサ
21 移動量検出センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影画像と共にGPS受信機より得られる測位情報を記録媒体に記録する撮像装置において、撮像装置の姿勢を検知する姿勢センサを備え、
前記姿勢センサで検知された撮像装置の姿勢に基づき、
前記GPS受信機より得られる測位情報を一定時間保持することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記姿勢センサは撮像装置の第1の姿勢および第2の姿勢を検知し、
前記姿勢センサが第1の姿勢から第2の姿勢へ変化したことを検知した場合には 、
前記GPS受信機より得られる測位情報を一定時間保持することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記姿勢センサは撮像装置の第1の姿勢および第2の姿勢を検知し、
前記姿勢センサが第1の姿勢から第2の姿勢へ変化したことを検知した場合には、前記GPS受信機より得られる測位情報を第1の一定時間保持し、
前記姿勢センサが第2の姿勢から第1の姿勢へ変化したことを検知した場合には、前記GPS受信機より得られる測位情報を第2の一定時間保持し、
前記第2の一定時間は第1の一定時間よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の姿勢は横位置であり、前記第2の姿勢は縦位置であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影画像と共にGPS受信機より得られる測位情報を記録媒体に記録する撮像装置において、撮像装置の姿勢を検知する姿勢センサを備え、さらに撮像装置の移動量を検出する移動量検出センサを備え、
前記姿勢センサで検知された撮像装置の姿勢に基づき、
前記GPS受信機より得られる測位情報を用いるか、
前記移動量検出センサからの出力を用いて測位情報を更新するかを
切り替えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記姿勢センサは撮像装置の第1の姿勢および第2の姿勢を検知し、
前記姿勢センサが第1の姿勢を検知した場合には、前記GPS受信機より得られる測位情報を用い、
前記姿勢センサが第2の姿勢を検知した場合には、前記移動量検出センサからの出力を用いて測位情報を更新することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の姿勢は横位置であり、前記第2の姿勢は縦位置であることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−160856(P2012−160856A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18343(P2011−18343)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】