説明

撮像装置

【課題】撮像素子で発生した熱を逃がすとともに、小型化を図る。
【解決手段】撮像装置1は、ガラス基板6と、ガラス基板6を透過した光を受光し、電気信号に変換する撮像素子5と、撮像素子5のガラス基板6とは反対側に配置され、熱伝導体パターンを有するプリント配線基板11と、プリント配線基板11により支持されて、撮像素子5をガラス基板6の方向へ弾性的に押圧するとともに、撮像素子5の熱を前記熱伝導体パターンへ伝導する押圧部材13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CMOS型やCCD型などの撮像素子では、発熱により性能が劣化することがよく知られている。
【0003】
そこで、撮像素子を有する従来の撮像装置では、一般的に、撮像素子で発生した熱を放熱させるために、ヒートシンクが用いられている。例えば、下記特許文献1に開示された撮像装置では、撮像素子の熱を、筐体の内部に設けられたヒートパイプ及びヒートシンクにより、筐体に形成された通気口まで伝えて、通気口から放出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−91399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヒートシンクを設けるには、大きな取り付けペースを要してしまい、撮像装置の小型化を図ることができない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、撮像素子で発生した熱を逃がすことができるとともに小型化を図ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による撮像装置は、透光性板と、前記透光性板を透過した光を受光し、電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子の前記透光性板とは反対側に配置され、熱伝導体パターンを有する配線基板と、前記配線基板により支持されて、前記撮像素子を前記透光性板の方向へ弾性的に押圧するとともに、前記撮像素子の熱を前記熱伝導体パターンへ伝導する押圧部材と、を備えたものである。
【0008】
第2の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、前記押圧部材は、表面がメタルコーティングされた弾性部材であるものである。
【0009】
第3の態様による撮像装置は、前記第2の態様において、前記押圧部材は、前記熱伝導体パターンに半田付けされたものである。
【0010】
第4の態様による撮像装置は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記透光性板と前記撮像素子との間が固定され、前記押圧部材による押圧方向の前記透光性板の位置を決める取り付け部を備えたものである。
【0011】
第5の態様による撮像装置は、前記第4の態様において、前記取り付け部は、前記透光性板の一部が適合する凹部を有するものである。
【0012】
第6の態様による撮像装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記透光性板は、前記撮像素子と電気的に接続された配線パターンを有するものである。
【0013】
第7の態様による撮像装置は、前記第6の態様において、前記配線基板と前記透光性板の前記配線パターンとの間を電気的に接続するフレキシブルプリント基板を備えたものである。
【0014】
第8の態様による撮像装置は、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、前記熱伝導体パターンは導電性を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮像素子で発生した熱を逃がすことができるとともに小型化を図ることができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態による撮像装置を模式的に示す概略断面図である。
【図2】図1中のセンサモジュール、押圧部材、プリント配線基板及びフレキシブルプリント基板を示す概略平面図である。
【図3】図2に示すセンサモジュール等を取り付け部に取り付けた状態を示す、図2中のB−B’矢視に対応する概略図である。
【図4】図1に示す撮像装置の組み立て方法の各工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による撮像装置装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態による撮像装置1を模式的に示す概略断面図である。図2は、図1中のセンサモジュール7、押圧部材13、プリント配線基板11及びフレキシブルプリント基板10を示す概略平面図である。図1には、図2中のA−A’矢視の概略図が含まれている。図3は、図2に示すセンサモジュール7、押圧部材13、プリント配線基板11及びフレキシブルプリント基板10を取り付け部12に取り付けた状態を示す、図2中のB−B’矢視に対応する概略図である。なお、図1では、プリント配線基板11上に搭載されている電気・電子部品17等の図示は省略している。
【0019】
本実施の形態による撮像装置1は、いわゆるデジタル一眼レフカメラである。この撮像装置1は、カメラボディ(カメラ筐体)2のレンズマウント(図示せず)にレンズ鏡筒3が着脱自在に取り付けられている。このレンズ鏡筒3のレンズ4を通した光がカメラボディ2の背面側に配置された固体撮像素子5上に結像される。
【0020】
本実施の形態では、固体撮像素子5は、CMOS型又はCCD型等の固体撮像素子として構成され、正面視略矩形のベアチップとなっている。固体撮像素子5は、入射光を電気信号に変換する光電変換素子を有する複数の画素が2次元状に配列された画素アレイ(図示せず)を有している。固体撮像素子5は、更に、前記画素アレイの画素出力を信号処理して出力する信号処理部(図示せず)を有していてもよい。前記信号処理部は、前記画素アレイのカラム毎にアナログ電気信号を並列にデジタル変換する複数のアナログデジタル変換器(図示せず)を有していてもよい。
【0021】
固体撮像素子5は、ベアチップ実装されてセンサモジュール7を構成している。より具体的には、固体撮像素子5の受光面の周囲にパッド(図示せず)が形成され、透光性板としてのガラス基板6上の配線パターン(図示せず)がバンプ8を介して前記パッドに接続され、さらに、バンプ8の周囲に封止樹脂9が充填されてセンサモジュール7が構成されている。このようにして、固体撮像素子5とガラス基板6との間が固定されている。本実施の形態では、このように、ガラス基板6上にベアチップの固体撮像素子5を直接的に実装するCOG(チップオンガラス)構造が採用されている。もっとも、本発明では、必ずしもCOG構造を採用する必要はない。なお、図3では、バンプ8及び封止樹脂9の図示を省略している。ガラス基板6上の配線パターンには、2枚のフレキシブルプリント基板10(図2及び図3参照)が接続され、これらのフレキシブルプリント基板10を介してプリント配線基板11の配線パターン(図示せず)に電気的に接続されている。前述したようにバンプ8の周囲に封止樹脂9が充填されることで、ガラス基板6への固体撮像素子5の取り付け剛性及び固体撮像素子5の受光面5aの気密性が確保される。
【0022】
カメラボディ2は、マグネシウム合金等の熱伝導性材料をダイキャスト等で成形したものである。カメラボディ2は、レンズ4からの光束が通過する開口部12aが形成された取り付け部12を有している。取り付け部12の裏面側の開口部12aの周囲には、ガラス基板6の一部が適合する凹部が形成されている。本実施の形態では、この凹部は、光軸方向のガラス基板6(ひいてはセンサモジュール7)の位置決めを行う取り付け基準面12bと、取り付け基準面12bから立ち上がった立ち上がり面12cとを有している。取り付け基準面12bに、センサモジュール7のガラス基板6の表面6aの周辺部が接着等により固定されている。立ち上がり面12cは、ガラス基板6のカメラボディ2に対するシフト方向等の位置決めを行う。取り付け基準面12b及び立ち上がり面12cを有する前記凹部によって、センサモジュール7を無調整で位置決めして取り付け部12に取り付けることができるようになっている。
【0023】
プリント配線基板11は、剛性を有し、固体撮像素子5のガラス基板6とは反対側において、取り付け部12及び固体撮像素子5と略平行に配置されている。固体撮像素子5とプリント配線基板11との間には、4個の押圧部材13が設けられている。これらの押圧部材13は、プリント配線基板11により支持されて、固体撮像素子5をガラス基板6の方向(図1中の左方向)へ弾性的に押圧するとともに、固体撮像素子5の熱をプリント配線基板11の熱伝導体パターン14(図2参照、図1及び図3では省略。)へ伝導する。押圧部材13は、固体撮像素子5の発熱量の大きい箇所(例えば、アナログデジタル変換器の付近の箇所)に当接するように配置することが好ましい。
【0024】
本実施の形態では、押圧部材13として、表面が半付け可能な金属(例えば、錫、アルミニウム、金など)でメタルコーティングされた弾性部材(例えば、シリコンゴム部材)が用いられている。本実施の形態では、押圧部材13は直方体状に構成されているが、これに限らず、例えば、蒲鉾型などの他の形状であってもよい。また、押圧部材13の数も4個に限らない。さらに、押圧部材13は、このようなメタルコーティングされた弾性部材に限らず、例えば、弾性を有した熱伝導性樹脂(例えば、高熱伝導性ナイロン樹脂など)でもよい。
【0025】
本実施の形態では、図3に示すように、プリント配線基板11の挿通孔15(図2参照)に挿通した取り付けねじ16が、取り付け部12に形成されたねじ孔(図示せず)に螺合されることによって、押圧部材13が固体撮像素子5とプリント配線基板11との間で圧縮された状態となるように、プリント配線基板11が取り付け部12に取り付けられている。これにより、押圧部材13は、固体撮像素子5をガラス基板6の方向(図1中の左方向)へ弾性的に押圧している。
【0026】
プリント配線基板11の表面11aには、押圧部材13と接触する領域を含む領域において、熱伝導体パターン14が形成されている。理解を容易にするため、図2では、熱伝導体パターン14にハッチングを付している。本実施の形態では、熱伝導体パターン14は比較的広い長方形状の領域に形成されているが、熱伝導体パターン14の形状はこれに限らない。本実施の形態では、熱伝導体パターンは、プリント配線基板11に形成された配線パターン(図示せず)と同じく、銅層等からなる導電性パターンで構成されている。もっとも、熱伝導体パターン14は、熱伝導性を有していれば、必ずしも導電性を有していなくてもよい。熱伝導体パターン14は、放熱を促進するために配線パターンの表面に表れていることが好ましいが、プリント配線基板11として多層基板を用いた場合には、熱伝導体パターン14の一部として中間層のパターンを用いてもよい。図面には示していないが、必要に応じて、熱伝導体パターン14をカメラボディ2に熱的に結合してもよい。
【0027】
本実施の形態では、押圧部材13が熱伝導体パターン14に半田付けされている。もっとも、押圧部材13は、固体撮像素子5の熱を熱伝導体パターン14に伝導することができればよく、必ずしも熱伝導体パターン14に半田付けする必要はない。
【0028】
プリント配線基板11には、IC部品や抵抗器などの各種の電気・電子部品17が搭載され、図示しない配線パターンが形成されている。前述したように、プリント配線基板11の配線パターンは、フレキシブルプリント基板10を介して、センサモジュール7のガラス基板6の配線パターンに接続されている。これらによって、撮像装置1に必要な回路が構成されている。なお、本実施の形態では、固体撮像素子5とプリント配線基板11との間がフレキシブルプリント基板10を用いて接続されているが、それらの間の接続手法はこれに限らない。
【0029】
次に、図4を参照して、本実施の形態による撮像装置1の組み立て方法のうち、主として、センサモジュール7の取り付けに関する工程の一例について説明する。図4は、この組み立て方法の各工程を示す概略断面図であり、図3に対応している。
【0030】
まず、プリント配線基板11を用意し、リフロー工程によって、電気・電子部品17と一緒に押圧部材13を、プリント配線基板11上に半田付けして表面実装する(図4(a))。また、この工程とは別の工程で、センサモジュール7を用意しておく。
【0031】
次に、センサモジュール7のガラス基板6にフレキシブルプリント基板10を接続し、このセンサモジュール7を押圧部材13上に載置し、さらに、フレキシブルプリント基板10をプリント配線基板11に接続する(図4(b))。
【0032】
その後、図4(b)に示す状態のままガラス基板6を、取り付け部12の凹部(取り付け基準面12b及び立ち上がり面12c)に適合させて位置決めし、プリント配線基板11を取り付け部12側に押し付けて押圧部材13を圧縮しながら、プリント配線基板11を取り付けねじ16で取り付け部12にねじ止めする(図3)。これにより、センサモジュール7及びプリント配線基板11の、取り付け部12への取り付けが、完了する。
【0033】
本実施の形態によれば、固体撮像素子5の熱が、押圧部材13からプリント配線基板11の熱伝導体パターン14に伝導され、熱伝導体パターン14を経由して放熱される。このとき、押圧部材13が固体撮像素子5を弾性的に押圧しているので、固体撮像素子5と押圧部材13との間が密着し、固体撮像素子5の熱が効率良く押圧部材13に伝わる。また、押圧部材13がプリント配線基板11の熱伝導体パターン14に半田付けされているので、押圧部材13に伝わった熱が効率良く熱伝導体パターン14に伝導される。これらによって、固体撮像素子5が効率良く熱伝導体パターン14に伝導され、効率良く放熱される。これにより、本実施の形態によれば、固体撮像素子5の発熱による性能低下を防止することができる。
【0034】
そして、本実施の形態では、固体撮像素子5の熱の放熱のために、押圧部材13及び熱伝導体パターン14が用いられ、ヒートシンクが用いられていないので、取り付けスペースを低減することができる。これにより、本実施の形態によれば、撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、押圧部材13が固体撮像素子5を取り付け部12側へ弾性的に押圧しているので、センサモジュール7のガラス基板6の表面6aの周辺部が取り付け部12の取り付け基準面12bに押し付けられて、固体撮像素子5の光軸方向(図1中の左右方向)の位置決めが行われる。したがって、本実施の形態によれば、固体撮像素子5の光軸方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0036】
さらに、本実施の形態では、押圧部材13としてメタルコーティングされた弾性部材が用いられ、押圧部材13を電気・電子部品17と一緒にプリント配線基板11に半田付けすることができるので、押圧部材13を電気・電子部品17と一緒に取り扱うことができることから、その取り扱いが容易となり、製造コストを低減することができる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、デジタル一眼レフカメラに限らず、ビデオカメラやデジタルコンパクトカメラ等の撮像装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 撮像装置
2 カメラボディ(筐体)
5 固体撮像素子
6 ガラス基板(透光性板)
10 フレキシブルプリント基板
11 プリント配線基板
12 取り付け部
13 押圧部材
14 熱伝導体パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性板と、
前記透光性板を透過した光を受光し、電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子の前記透光性板とは反対側に配置され、熱伝導体パターンを有する配線基板と、
前記配線基板により支持されて、前記撮像素子を前記透光性板の方向へ弾性的に押圧するとともに、前記撮像素子の熱を前記熱伝導体パターンへ伝導する押圧部材と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、表面がメタルコーティングされた弾性部材であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記熱伝導体パターンに半田付けされたことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記透光性板と前記撮像素子との間が固定され、
前記押圧部材による押圧方向の前記透光性板の位置を決める取り付け部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記取り付け部は、前記透光性板の一部が適合する凹部を有することを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記透光性板は、前記撮像素子と電気的に接続された配線パターンを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記配線基板と前記透光性板の前記配線パターンとの間を電気的に接続するフレキシブルプリント基板を備えたことを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記熱伝導体パターンは導電性を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−165160(P2012−165160A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23710(P2011−23710)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】