説明

撮像装置

【課題】大画面モニターでの視聴による画像の解像感低下・安定感低下を軽減し、さらにユーザーの必要十分な画像サイズで視聴が可能となる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、撮影した画像を外部機器へ外部出力映像信号として出力する機能を有する。撮影時に使用する画角調整用のズームキー13を再生時に拡大縮小率指定部として使用することができる。そして、外部出力映像信号が出力される際に、特定の倍率からワイド側にズームキー13が操作されると、外部機器へ出力される画像は所定の縮小率で縮小表示し、LCDメインモニター・LCDファインダー部36に表示される画像は縮小表示しないよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置としてのデジタルビデオカメラとテレビ・モニター等の外部機器を接続し、撮影(撮像)した画像を外部機器で視聴するというシステムがある。さらに、画像の細部を確認したいときや、特定の一箇所を集中して見たい場合に、デジタルビデオカメラ側の出力映像をビデオカメラ内の映像処理回路で拡大処理し、外部機器へ出力するという技術がある。この外部出力映像信号の拡大に関しては、様々な先行技術が公開されている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方、近年では、液晶テレビやプラズマディスプレイ等の薄型化・軽量化・低価格化によりテレビの大画面化が進んでいる。それに伴い、デジタルビデオカメラと大画面モニターを接続して、撮影した画像を再生し視聴するケースが増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−80916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のように、デジタルビデオカメラと大画面モニターを接続して、撮影した画像を再生し視聴するケースにおいては以下の問題が発生する。
【0006】
まず一点目は、映像の解像感の低下である。一般的に普及しているデジタルビデオカメラの記録方式であるSDフォーマットでは、28型程度のモニターであればある程度の解像感があると言えるが、32型〜50型のサイズでは十分な解像感が得られるとはいい難い。
【0007】
さらに、近年普及率を上げているMPEG圧縮した映像をDVDに記録するDVDビデオカメラ等では、MPEG圧縮特有のブロックノイズが目立ってしまうことがある。
【0008】
以上のように大画面モニターでは映像の解像感が低下することがある。
【0009】
二点目は、映像の安定感の低下である。従来からビデオカメラの課題として「手ブレ」がある。ビデオカメラには様々な手ブレ補正機能を搭載してものもあるが、あくまで補正機能であり完全に手ブレが記録画像に残らない訳ではない。
【0010】
大画面モニターでの再生はこの手ブレが視覚的にさらに強調されて感じることになる。さらに、プロのカメラマンではなく一般ユーザー、特に撮影に不慣れなユーザーの撮影はパン・チルト・ズームの多用により画角の急変の頻度が高い傾向がある。このような画角の急変等も、大画面モニターではさらに視覚的に強調されてしまう。
【0011】
以上のように、大画面モニターでは手ブレや頻繁な画角急変が強調されるので映像の安定感が低下することがある。
【0012】
三点目は、大画面モニター全体で再生する画像を見る必要がない場合があるということである。テレビの薄型化・軽量化・低価格化により、従来よりも比較的狭いスペースにテレビを置くケースが増えている。
【0013】
そのため、大画面モニターに対して比較的近距離で観賞することや、大画面モニターを一人で見るケースが存在すると考えられる。このような場合、大画面モニター全体で再生画像を見る必要がない場合がある。
【0014】
大画面モニターにデジタルビデオカメラの外部出力を接続して再生画像を視聴する場合は、以上述べたような問題が発生する。
【0015】
本発明の目的は、大画面モニターでの視聴による画像の解像感低下・安定感低下を軽減し、さらにユーザーの必要十分な画像サイズで視聴が可能となる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、撮像手段と、前記撮像手段によって撮影された画像を表示する表示手段と、前記撮影された画像を、接続された外部機器に表示させるべく出力する出力手段と、前記表示手段に表示される画像もしくは前記出力手段で出力される画像を特定の倍率からテレ側に拡大する操作とワイド側に縮小する操作とが可能なズームキーとを備えた撮像装置であって、外部機器と接続された場合は、前記特定の倍率からワイド側に前記ズームキーが操作されると、前記出力手段で出力される画像は所定の縮小率で縮小表示されるよう制御すると共に前記表示手段に表示される画像は縮小表示しないよう制御する制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の撮像装置によれば、大画面モニターでの視聴による画像の解像感低下・安定感低下を軽減し、さらにユーザーの必要十分な画像サイズで視聴が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルビデオカメラの前面側斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルビデオカメラの背面側斜視図である。
【図3】図1のデジタルビデオカメラのブロック構成図である。
【図4】図3のデジタルビデオカメラによって実行される外部出力モード処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図2のデジタルビデオカメラからから外部に出力される映像の表示例を示す図である(1)。
【図6】図2のデジタルビデオカメラからから外部に出力される映像の表示例を示す図である(2)。
【図7】図2のデジタルビデオカメラからから外部に出力される映像の表示例を示す図である(3)。
【図8】図2のデジタルビデオカメラからから外部に出力される映像の表示例を示す図である(4)。
【図9】図2のデジタルビデオカメラからから外部に出力される映像の表示例を示す図である(5)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルビデオカメラの前面側斜視図、図2は、本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのデジタルビデオカメラの背面側斜視図である。
【0022】
撮影した画像を外部機器へ外部出力映像信号として出力する機能を有するデジタルビデオカメラ11は、図1に示す、レンズ12、ズーム操作を行うズームキー13、動画像や静止画像のトリガーキー14、各種メニューを切り替えるメニューキー15を備える。ズームキー13は望遠側(図中T表記)、近傍側(図中W表記)の二つの操作を行うことができる。
【0023】
また、デジタルビデオカメラ11は、図2に示す、撮影画像の確認や再生画像の視聴を行うLCDメインモニター21、LCDファインダー22、外部モニターへ映像出力を行う外部映像出力端子23を備える。
【0024】
図3は、図1のデジタルビデオカメラのブロック構成図である。
【0025】
以下、その構成を動作と併せて説明する。
【0026】
被写体像はレンズ12を通り、撮像素子32によって電気信号に変換され、カメラ信号処理33に入る。カメラ信号処理部33で画質補正やノイズリダクションを施した電気信号は、ビデオ信号処理部34に入り、映像信号として処理され、記録メディア35(磁気テープ、DVD、HDD、半導体メモリ等)に対して記録、再生を行う。
【0027】
また、ビデオ信号処理部34は、撮影画像の確認や再生画像の視聴を行うLCDメインモニター・LCDファインダー部36や外部映像出力部37へ映像信号の供給を行う。さらにビデオ信号処理部34は、映像信号に文字情報(タイムコード・撮影日時・記録フォーマット・メディア情報・電池残量等を含む)を重畳して出力する機能や、再生画像の拡大処理・縮小処理を行う機能を持つ。
【0028】
デジタルビデオカメラは、上記の各構成部を制御するための制御部38、制御部38に対して各種入力を行う操作入力部39を備える。
【0029】
図4は、図3のデジタルビデオカメラによって実行される外部出力モード処理の手順を示すフローチャートである。
【0030】
まず、外部機器との接続を検出し外部出力モードに入る、このとき縮小率が操作入力部39の専用のボタン(キー)やメニュー内のコマンドから設定されたとき、縮小率Rの指定の有無を判断する(ステップS41)。
【0031】
操作入力部39は、外部出力映像信号が出力される際に縮小率を指定する指定手段として機能する。ステップS41は、指定手段により縮小率が指定されているか否かを判断する判断手段として機能する。
【0032】
縮小率Rが指定されない場合は(ステップS41でNO)、図5のように、縮小を行わずにそのまま外部出力を行う(ステップS48)。
【0033】
縮小率Rが指定された場合は(ステップS41でYES)、以下のように処理する。
【0034】
予め指定した閾値a(例えば0.75、即ち75%縮小)に対して1>縮小率R>閾値aの場合は(ステップS42)、図6のように、外部出力映像信号の画像領域をR倍に縮小する。このとき重畳する文字情報も含めて縮小して出力する(ステップS43)。
【0035】
予め指定した閾値b(例えば0.5、即ち50%縮小)に対して閾値a≧縮小率R>閾値bの場合は(ステップS44)、図7のように、重畳する文字情報を予め指定した位置へ移動し、文字や記号の大きさも予め指定した大きさへ変更する。そして画像領域のみを縮小率Rに応じて縮小する(ステップS45)。
【0036】
閾値b≧縮小率Rの場合は(ステップS46)、図8のように、画像領域を閾値b倍までの縮小で固定し、それ以下の縮小は行わない(ステップS47)。
【0037】
ステップS43、S45、S47は、判断手段により縮小率が指定されていると判断された場合に、外部出力映像信号の画像領域を指定された縮小率に縮小する縮小手段として機能する。
【0038】
また、ステップS45、S47は、指定手段により一定の縮小率を超えた縮小率が指定された場合に、外部出力映像信号に重畳する文字情報を、画像領域の縮小により使用しなくなった領域へ移動する移動手段として機能する。ここで、文字情報は、タイムコード、撮影日時、記録フォーマット、メディア情報及び電池残量を含む。
【0039】
上記のように、指定された縮小率に応じて外部出力映像信号の縮小、重畳文字情報の位置を制御し、外部出力を開始する(ステップS48)。また、外部出力中に縮小率Rを再度指定する操作がなされた場合は(ステップS49でYES)、再度その縮小率に応じて外部出力を制御する。
【0040】
また、外部出力中に縮小率Rを再度指定する操作がなされない場合は(ステップS49でNO)、外部出力(外部映像出力)を停止して(ステップS50)、本処理を終了する。
【0041】
また、上記(ステップS43、S45、S47)のいずれにおいても、LCDメインモニター21、LCDファインダー22への映像信号は縮小することなく、そのままの映像信号を供給し表示する。
【0042】
LCDメインモニター21、LCDファインダー22は、判断手段により縮小率が指定されていると判断された場合でも縮小しない画像を表示する表示手段として機能する。
【0043】
尚、このとき図9に示すように、縮小率を文字情報に追加してもよい。また、縮小率が指定された場合の動作について説明したが、拡大率を設定された場合に関しては、縮小と同様に、外部出力映像信号だけの再生画像拡大を行ってもよいし、LCDメインモニター21、LCDファインダー22への映像信号も拡大しても構わない。
【0044】
尚、ビデオ信号処理部34の性能次第では、連続的に画像の縮小が行えない場合等が想定できる。このような場合には、数段階の縮小のみを受け付けるようにしてもよいし、予め可能な縮小率をボタンやメニュー内に用意してもよい。
【0045】
本発明の実施の形態によれば、大画面モニターにデジタルビデオカメラ11を接続して外部出力画像を視聴する場合に、大画面モニターであるがゆえ生じる画像の解像感低下・安定感低下を軽減することができる。また、大画面モニターの画面サイズに制限されることなく必要十分なサイズで画像を視聴することが可能となる。
【0046】
また、デジタルビデオカメラの表示部(LCDメインモニター21、LCDファインダー22)においては、画像を縮小しないことにより、表示部の視認性・操作性を保つことができる。
【0047】
さらに、ある一定の縮小率を超えた縮小がなされた場合は、画像の表示領域を縮小したことにより発生する余白領域に重畳する文字情報を自動で移動することにより、再生画像・文字情報ともに視認性を向上することができる。
【0048】
上記実施の形態では、ビデオ信号処理部34に対する拡大縮小率指定を専用のボタンやメニュー内のコマンドを用いたが、デジタルビデオカメラ11の撮影時に使用する画角調整用のズームキー13を再生時に拡大縮小率指定部として使用することもできる。
【0049】
外部出力時の画像の拡大率指定を画角調整用のズームキー13で操作するという公知の方式に類似した操作系で、縮小率を制御でき、より直感的で分かりやすい画像拡大縮小操作の操作系とすることができる。
【0050】
尚、ズームキー13の操作量に対する縮小率の変化量の定義は様々なものが考えられるが、例えば、ズームキー13が望遠側(図中T表記)、近傍側(図中W表記)で保持された時間に応じて拡大・縮小することが考えられる。
【0051】
具体的には、望遠側に保持された時間をカウントし1秒経過毎に拡大率を+10%とし、近傍側に保持された時間をカウントし1秒経過毎に縮小率を−10%とする等が考えられる。
【符号の説明】
【0052】
11 デジタルビデオカメラ
12 レンズ
13 ズームキー
21 LCDメインモニター
22 LCDファインダー
32 撮像素子
33 カメラ信号処理部
34 ビデオ信号処理部
35 記録メディア
36 LCDメインモニター・LCDファインダー部
37 外部出力映像出力部
38 制御部
39 操作入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
前記撮像手段によって撮影された画像を表示する表示手段と、
前記撮影された画像を、接続された外部機器に表示させるべく出力する出力手段と、
前記表示手段に表示される画像もしくは前記出力手段で出力される画像を特定の倍率からテレ側に拡大する操作とワイド側に縮小する操作とが可能なズームキーとを備えた撮像装置であって、
外部機器と接続された場合は、前記特定の倍率からワイド側に前記ズームキーが操作されると、前記出力手段で出力される画像は所定の縮小率で縮小表示されるよう制御すると共に前記表示手段に表示される画像は縮小表示しないよう制御する制御手段を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ズームキーにより一定の縮小率を超える縮小操作がされた場合に、前記外部機器に表示される画像に重畳する文字情報を、前記画像の縮小により使用しなくなった表示領域へ表示するよう制御することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記文字情報は、タイムコード、撮影日時、記録フォーマット、メディア情報及び電池残量を含むことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−178846(P2012−178846A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90943(P2012−90943)
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【分割の表示】特願2008−23874(P2008−23874)の分割
【原出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】