撮像装置
【課題】フリッカを良好に検出することのできる撮像装置を提供すること。
【解決手段】電荷蓄積型の測光素子(137)と、測光のための第1蓄積時間、および光源の周期的な輝度変化に起因するフリッカを検出するための第2蓄積時間のいずれか一方を、前記測光素子に送ることで、前記第1蓄積時間または前記第2蓄積時間で、前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる蓄積時間制御部(172)と、前記測光素子からの出力を取得する取得部(171)と、前記第1蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、測光を行なう測光部(173)と、前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、フリッカ検出を行うフリッカ検出部(175)と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【解決手段】電荷蓄積型の測光素子(137)と、測光のための第1蓄積時間、および光源の周期的な輝度変化に起因するフリッカを検出するための第2蓄積時間のいずれか一方を、前記測光素子に送ることで、前記第1蓄積時間または前記第2蓄積時間で、前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる蓄積時間制御部(172)と、前記測光素子からの出力を取得する取得部(171)と、前記第1蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、測光を行なう測光部(173)と、前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、フリッカ検出を行うフリッカ検出部(175)と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像装置において、交流点灯照明に起因するフリッカを検出し、フリッカの影響を抑制する試みが行なわれている。たとえば、特許文献1では、位相差方式による焦点検出用のセンサからの出力に基づいて、フリッカを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−306093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように位相差方式による、焦点検出用のセンサからの出力に基づいて、フリッカを検出する場合には、位相差方式による焦点検出用のセンサでは、撮像素子により撮影可能な範囲全体について、輝度情報を得ることができないため、フリッカの検出精度が不十分となってしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、フリッカを良好に検出することのできる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は本発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明の撮像装置は、電荷蓄積型の測光素子(137)と、測光のための第1蓄積時間、および光源の周期的な輝度変化に起因するフリッカを検出するための第2蓄積時間のいずれか一方を、前記測光素子に送ることで、前記第1蓄積時間または前記第2蓄積時間で、前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる蓄積時間制御部(172)と、前記測光素子からの出力を取得する取得部(171)と、前記第1蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、測光を行なう測光部(173)と、前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、フリッカ検出を行うフリッカ検出部(175)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
[2]本発明の撮像装置において、前記取得部(171)が、前記測光素子(137)による電荷の蓄積が、前記第2蓄積時間で行なわれた場合には、前記測光素子からの出力を、間引いて読み出すように構成することができる。
【0009】
[3]本発明の撮像装置において、前記蓄積時間制御部(172)が、前記第1蓄積時間と、前記第2蓄積時間とを周期的に切り替えて、前記測光素子(137)に送るように構成することができる。
【0010】
[4]本発明の撮像装置において、前記測光素子(137)からの出力に基づいて、撮影シーンの種別を認識するシーン認識部(174)をさらに備え、前記蓄積時間制御部(172)が、前記シーン認識部により撮影シーンの種別の認識を行なう場合には、前記第1蓄積時間で前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる際に、前記測光素子による電荷の蓄積のタイミングが、前記フリッカの周期における、前記光源の光量が最も小さくなるタイミングと異なるタイミングとなるように、前記測光素子の蓄積時間を制御するように構成することができる。
【0011】
[5]本発明の撮像装置において、前記フリッカ検出部(175)が、前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子(137)からの出力に基づいて、フリッカ周期の検出を繰り返し行うことで、検出したフリッカ周期を補正するように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フリッカを良好に検出することのできる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る測光センサの受光面を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るカメラ1の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4(A)は、蛍光灯や水銀灯などのフリッカ光源の輝度変化の一例を示す図、図4(B)は、フリッカ光源の赤R成分、および青B成分の強度の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施形態に係る測光処理を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施形態に係るピークAGC制御、被写体重視AGC制御およびフリッカ検出制御の実行タイミングを示す図である。
【図8】図8は、本実施形態におけるフリッカ検出制御のフローチャートである。
【図9】図9は、測光センサの受光範囲内にフリッカ光源が存在する場合における一場面例を示す図である。
【図10】図10は、図9に示す場面例における各分割領域の平均輝度値の変化の一例を示す図である。
【図11】図11は、測光センサの受光範囲内にフリッカ光源が存在する場合における他の場面例を示す図である。
【図12】図12は、フリッカによる輝度変化と、測光センサによるフリッカ検出用データの輝度値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下においては、本発明を一眼レフデジタルカメラに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。ただし本発明は、銀塩フィルムカメラなどのその他の撮像装置にも適用することができる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図であり、本発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0016】
本実施形態の一眼レフデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とは着脱可能に結合されている。本実施形態のカメラ1においては、レンズ鏡筒200は、撮影目的などに応じて、交換可能となっている。
【0017】
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0018】
フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。そして、エンコーダ260で検出されたフォーカスレンズ212の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部170へ送出される。そして、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ212の駆動量Δdが、レンズ駆動制御部165からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ230は駆動する。
【0019】
絞り220は、上記撮影光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部150によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部170からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
【0020】
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮影位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮影位置にある状態を二点鎖線で示す。
【0021】
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮影位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0022】
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137へ導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール161へ導く。
【0023】
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール160へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ212の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタン(不図示)を全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
【0024】
クイックリターンミラー120で反射された被写体からの光束は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0025】
測光センサ137は、二次元カラーCMOSイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた出力信号を出力する。また、測光センサ137は、シーン認識用の撮像素子およびフリッカ検出用の撮像素子も兼ねており、撮影光学系により焦点板131上に結像された被写体像に応じた出力信号、およびフリッカ検出用の出力信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御、シーン認識処理、およびフリッカ検出処理に用いられる。
【0026】
図2は測光センサ137の受光面137aを示す図である。測光センサ137は、複数の画素(たとえば、22行、14列)が配列されることにより構成されており、各画素は赤R、緑Gおよび青Bのフィルターと測光部を備え、赤R成分、緑G成分および青B成分の測光値を出力する。また、測光センサ137は、図2に示すように、15個の分割領域に区分されている。ただし、この分割領域の数は、15個に限定されず、適宜設定することができる。
【0027】
図1に戻り、焦点検出モジュール160は、サブミラー122で反射した光束の光軸L4上であって、撮像素子110の撮像面と光学的に等価な面の位置に固定されており、被写体光を用いた位相差検出方式による自動合焦制御を実行する。
【0028】
撮像素子110は、カメラボディ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ211,212,213を含む撮影光学系の予定焦点面となる位置に設けられ、その前面にシャッター111が設けられている。この撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどで構成することができる。この撮像素子110で光電変換された電気画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
【0029】
操作部150は、シャッターレリーズボタン、ズームボタン、および撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、自動露出モード/マニュアル露出モード、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換などの設定が行えるようになっている。また、シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0030】
カメラボディ100にはカメラ制御部170が設けられている。カメラ制御部170はマイクロプロセッサ、ASIC、RAMなどの周辺部品から構成され、レンズ制御部250と電気的に接続され、このレンズ制御部250から、レンズ鏡筒200の焦点調節範囲の情報などを含むレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部250へ絞り制御信号などの情報を送信する。
【0031】
また、本実施形態のカメラ制御部170は、図3に示すように、A/Dコンバータ171、測光センサ制御部172、測光演算部173、シーン認識部174、フリッカ検出部175、および焦点検出演算部176を備えている。
【0032】
測光センサ制御部172は、測光センサ137の電荷蓄積時間およびアンプゲインの制御を行う。具体的には、測光センサ制御部172は、被写界の測光を行うための測光用の蓄積時間Tp、シーン認識を行なうためのシーン認識用の蓄積時間TS、および光源のフリッカの検出を行うためのフリッカ検出用の蓄積時間TFを設定する。そして、測光センサ制御部172は、これら測光用の蓄積時間Tp、シーン認識用の蓄積時間TSおよびフリッカ検出用の蓄積時間TFを切り替えて、アンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ137に、測光用の電荷蓄積、シーン認識用の電荷蓄積またはフリッカ検出用の電荷蓄積を行わせる。
【0033】
たとえば、被写界の測光を行う場合には、測光センサ制御部172は、被写界の最大輝度が目標測光値となるように、すなわち、測光センサ137の最大出力が目標値となるように測光用の蓄積時間Tpを設定し、測光用の蓄積時間Tpをアンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ137の電荷蓄積時間およびアンプゲインを制御する。なお、本実施形態においては、測光センサ137のこのような制御を「ピークAGC制御」と呼ぶ。
【0034】
また、シーン認識を行う場合には、測光センサ制御部172は、被写界の平均輝度が目標測光値となるように、すなわち、測光センサ137の平均出力が目標値となるようにシーン認識用の蓄積時間TSを設定し、シーン認識用の蓄積時間TSをアンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ137の電荷蓄積時間およびアンプゲインを制御する。なお、本実施形態においては、測光センサ137のこのような制御を「被写体重視AGC制御」と呼ぶ。
【0035】
さらに、フリッカ検出を行う場合には、測光センサ制御部172は、フリッカの周期を検出できるように、フリッカ検出用の蓄積時間TFを設定し、フリッカ検出用の蓄積時間TFをアンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ137の電荷蓄積時間およびアンプゲインを制御する。なお、本実施形態においては、測光センサ137のこのような制御を「フリッカ検出制御」と呼ぶ。
【0036】
ここで、図4(A)は、蛍光灯や水銀灯などのフリッカ光源の輝度変化の一例を、図4(B)は、フリッカ光源の赤R成分、および青B成分の強度の一例を示す図である。図4(A)に示すように、フリッカ光源は、所定のフリッカ周期で、明滅を周期的に繰り返している。たとえば、フリッカ光源が、商用電源を電源とするものである場合には、50Hzの電源では、フリッカ周期は10.0msとなり、60Hzの電源では、フリッカ周期は8.3msとなる。そのため、本実施形態では、フリッカ検出用の蓄積時間TFは、このようなフリッカ周期を検出できるような時間に設定される。また、フリッカ光源においては、図4(B)に示すように、赤R成分と、青B成分とでフリッカ周期に伴う強度変化の度合いが異なり、特に、明滅の谷の部分(強度が極小となる部分)においては、これらの強度差が最大となり、この明滅の谷の部分において撮像された画像は、黄色味をおびた画像となる。
【0037】
このように、フリッカ光源が存在する場合において、測光センサ137の電荷蓄積時間や撮像素子110の電荷蓄積時間が短い場合には、フリッカ光源の影響により、検出および撮像される被写体の輝度や、被写体の色味が変化してしまう場合がある。そして、このような明滅の谷の部分において、測光センサ137によって、シーン認識を行なうための被写体重視AGC制御を行うと、シーン認識精度が低下する場合がある。そのため、本実施形態では、このようなフリッカ光源の影響を除去するために、フリッカ検出用の蓄積時間TFにて、測光センサ137に電荷蓄積を行なわせることで、フリッカ検出制御を行う。なお、フリッカ検出制御の詳細については、後述する。
【0038】
また、測光センサ制御部172は、上述したピークAGC制御、被写体重視AGC制御およびフリッカ検出制御を切り替えるための第1タイマー(不図示)を備えており、第1タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となるまでは、ピークAGC制御、および被写体重視AGC制御を繰り返し実行し、所定値以上となったら、第1タイマーのカウント値をゼロにリセットし、フリッカ検出制御を実行する。すなわち、測光センサ制御部172は、第1タイマーのカウント値に応じて、ピークAGC制御および被写体重視AGC制御の実行と、フリッカ検出制御の実行との切り替えを行う。
【0039】
さらに、測光センサ137からの出力信号は、A/Dコンバータ171によりデジタル信号に変換された後、測光センサ制御部172に入力されるようになっており、測光センサ制御部172は、測光センサ137からの出力信号に基づいて、フィードバック制御により、測光用の蓄積時間Tp、シーン認識用の蓄積時間TSおよびフリッカ検出用の蓄積時間TFの設定を行なうようになっている。
【0040】
測光演算部173は、測光用の蓄積時間Tpにより、測光センサ137によって電荷蓄積が行なわれた場合に、A/Dコンバータ171によりデジタル信号に変換された測光センサ137からの出力信号を受信し、測光センサ137からの出力信号に基づいて、測光演算を行い、被写体輝度を算出して輝度に応じたシャッター速度および絞り値を決定する。
【0041】
シーン認識部174は、シーン認識用の蓄積時間TSにより、測光センサ137によって電荷蓄積が行なわれた場合に、A/Dコンバータ171によりデジタル信号に変換された測光センサ137からの出力信号を受信し、測光センサ137からの出力信号に基づいて、測光センサ137により撮影された撮影画像の色情報および輝度情報を検出し、これらの情報に基づいて画像中の主要な被写体、例えば人物の顔の領域を認識し、主要被写体の位置と動きを検出する。そして、シーン認識部174は、人物などの主要被写体の位置と動きの情報を焦点検出演算部176へ出力する。
【0042】
フリッカ検出部175は、フリッカ検出用の蓄積時間TFにより、測光センサ137によって電荷蓄積が行なわれた場合に、A/Dコンバータ171によりデジタル信号に変換された測光センサ137からの出力信号を受信し、測光センサ137からの出力信号に基づいて、フリッカ周期を検出する。
【0043】
また、フリッカ検出部175は、算出したフリッカ周期に基づいて、上述した被写体重視AGC制御を行う際におけるフリッカの影響を抑制するために、被写体重視AGC制御を実行する際のタイミングを制御するための第2タイマー(不図示)を備えている。第2タイマーは、算出したフリッカ周期(たとえば、図4参照)、に基づいて、フリッカ周期までカウントされるとリセットされ、かつ、このリセットのタイミングが、フリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)となる時点から時間α(ただし、α<フリッカ周期)だけずれたタイミングとなるように、設定される。すなわち、第2タイマーは、「フリッカ周期における明滅の谷となるタイミング+α」において、周期的にリセットされるように、言い替えれば、リセットタイミングにおいて、必ずフリッカ周期における明滅の谷からずれたタイミングとなるように設定される。
【0044】
焦点検出演算部176は、シーン認識部174から得られた主要被写体の位置と動き情報、焦点検出モジュール160から得られた焦点検出エリアのデフォーカス量に基づいて、主要被写体にピントが合うようなレンズ駆動量Δdを演算する。そして、焦点検出演算部176は、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令を送出し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させることで、光学系の焦点調節を行う。
【0045】
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図5は本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。以下に、説明する動作は、操作部150により、撮影モードが選択されることにより開始し、カメラ制御部170により実行される。
【0046】
まず、ステップS1では、撮影者によってシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。第1スイッチSW1がオンした場合はステップS2へ進む。一方、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS11に進み、撮影モードが選択されてから、予め設定された所定時間を経過していない場合(ステップS11=No)には、ステップS1で待機し、第1スイッチSW1をオンする動作が所定時間以上行なわれなかった場合(ステップS11=Yes)には、撮影制御を終了する。
【0047】
ステップS2では、測光処理が行なわれる。なお、測光処理については、後述する。
【0048】
ステップS3では、焦点検出モジュール160からの出力信号に基づいて、焦点検出演算部176により、焦点検出処理が行われる。
【0049】
ステップS4では、撮影者によってシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたかどうかの判断が行われる。第2スイッチSW2がオンした場合には、ステップS5に進み、第2スイッチSW2がオンしていない場合はステップS1に戻り、第1スイッチSW1がオンされ続けている限り(ステップS1=Yes)、ステップS1〜S4を繰り返す。
【0050】
ステップS5では、ミラー系21を構成するクイックリターンミラー121とサブミラー122とを光軸L1の光路から退避する方向に回転させて、続くステップ6で撮像素子110の初期化を行う。
【0051】
ステップS7では、撮像素子110に電荷蓄積を行なわせて、撮像素子110から画像信号の読み出しを行なう。この撮像用の電荷蓄積では、シャッター111および絞り214を制御することで、後述する測光処理による測光演算結果により得られた制御露出となるように露出の調整が行なわれる。また、撮像用の電荷蓄積時間が、後述するステップS213で算出されたフリッカ周期よりも短い場合には、後述するステップS214で設定された第2タイマーのリセットタイミング(すなわち、フリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)となる時点から時間α(ただし、α<フリッカ周期)だけずれたタイミング)において、撮像用の電荷蓄積が開始されるように制御される。
【0052】
そして、ステップS8で、ミラー系21を構成するクイックリターンミラー121とサブミラー122とを光軸L1の光路に戻し、続くステップS9で画像信号に所定の処理を施して画像を生成する。その後、ステップS10で画像を記録媒体(不図示)に記録し、撮影制御を終了する。
【0053】
次いで、ステップS2における測光処理について説明する。図6は、本実施形態に係る測光処理を示すフローチャートである。
【0054】
まず、ステップS101では、測光センサ制御部172により、第1タイマーのカウント値が所定値以上となっているか否かの判定が行なわれる。第1タイマーのカウント値が所定値以上となっていない場合には、ステップS102に進み、第1タイマーのカウント値が所定値以上となっている場合には、ステップS118に進む。なお、第1タイマーは、上述したように、ピークAGC制御、および被写体重視AGC制御の実行、およびフリッカ検出制御の実行の切り替えを行うためのタイマーであり、たとえば、図5のステップS1において、第1スイッチSW1がオンされた場合に、カウントが開始される。本実施形態においては、第1タイマーのカウント値が所定値以上となるまでは、ステップS102に進み、ピークAGC制御および被写体重視AGCが行なわれ、その一方で、第1タイマーのカウントが所定値以上となった場合にのみ、ステップS118に進み、第1タイマーのカウントをゼロにリセットして、ステップS119に進み、フリッカ検出制御が行われる。なお、この場合の所定値としては、特に限定されないが、50回程度に1回の間隔で、ピークAGC制御の代わりに、フリッカ検出制御が実行されるような時間とすることができる。
【0055】
次いで、ステップS102では、ピークAGC制御が行われる。具体的には、被写界の測光を行うために、測光センサ制御部172は、測光用の蓄積時間Tpを、アンプゲインとともに測光センサ137に出力し、測光センサ137に測光用の蓄積時間Tpで電荷蓄積の蓄積を行なわせて、測光センサ137から測光データの読み出しを行う。なお、測光用の蓄積時間Tpとしては、前回処理時において、後述するステップS104で演算された、次回測光蓄積時間Tp_nextが用いられる。あるいは、初回の測光では、後述するステップS104において、次回測光蓄積時間Tp_nextが算出できないため、測光用の蓄積時間Tpは、予め定められた時間(たとえば、5ms)に設定される。
【0056】
ステップS103では、測光センサ137から読み出された測光データが有効なデータであるか否かの判定を行なう。この有効性判定では、最大測光値が目標値に近く、測光演算を行うのに適しているか否かを判定する。
【0057】
ステップS104では、測光センサ制御部172は、下記式(1)にしたがって、次回の測光用の蓄積を行なうための次回測光蓄積時間Tp_nextを演算し、演算した次回測光蓄積時間Tp_nextに基づいて、アンプゲインの設定を行なう。
Tp_next=Vagc/Vomax・Tp ・・・(1)
上記式(1)において、Tpは次回測光蓄積時間、Tpは今回処理時における測光用の蓄積時間、Vagcは目標値(目標AGCレベル)、Vomaxは今回処理時における測光センサ137の最大出力値である。
【0058】
ステップS105では、測光演算部173により、測光センサ137の全領域における平均測光値の算出が行なわれ、図2に示す分割領域ごとの平均測光値が算出され、平均測光値が最大となる領域と最小となる領域の抽出が行なわれる。
【0059】
ステップS106では、上述したステップS103において、測光データが有効なデータでないと判定された場合はステップS102に戻り、もう一度、上述したステップS102〜S105の処理を行なう。一方、測光データが有効なデータであると判定された場合には、ステップS107に進む。
【0060】
ステップS107では、測光センサ制御部172により、シーン認識を行うための被写体重視AGC制御を実行するか否かの判定が行なわれる。具体的には、ステップS105で算出した分割領域ごとの平均測光値の内、最大値と最小値との差が所定値以上あるか否かを判定する。これらの差が所定値よりも小さい場合には、輝度差の少ない一様な被写体であり、平均輝度が目標測光値となるような被写体重視AGC制御を行うのに適さないため、被写体重視AGC制御を実行しないと判定する。一方、シーン認識には輝度情報と色情報を用いるため、分割領域ごとの平均測光値の内の最大値と最小値との差が所定値以上ある場合には、被写体重視AGC制御による電荷蓄積を行い、蓄積結果の測光値に基づいてシーン認識を行うと判定する。
【0061】
ステップS108では、測光センサ制御部172は、下記式(2)にしたがって、被写体重視AGC制御を行なうための、シーン認識用の蓄積時間TSを演算し、演算したシーン認識用の蓄積時間TSに基づいて、アンプゲインの設定を行なう。
TS=VagcSC/Vave・Tp ・・・(2)
上記式(2)において、TSはシーン認識用の蓄積時間、Tpは今回処理時における測光用の蓄積時間、VagcSCは被写体重視AGCの目標値(目標AGCレベル)、VaveはピークAGC制御における測光センサ137の出力値の平均値である。
【0062】
ステップS109では、測光センサ制御部172は、ピークAGC制御により得られた測光データに基づいて測光演算を行い、シャッター速度と絞り値を算出する。
【0063】
ステップS110では、上述したステップS107の判定結果にしたがって被写体重視AGC制御を実行する場合は、ステップS111へ進み、被写体重視AGC制御を実行しない場合は、ステップS115へ進む。
【0064】
被写体重視AGC制御を実行する場合には、ステップS111に進み、後述するステップS119におけるフリッカ検出制御において、フリッカが検出されたか否かの判定が行なわれる。フリッカが検出された場合には、ステップS112に進み、フリッカが検出されなかった場合には、ステップS113に進む。
【0065】
ステップS111において、フリッカが検出されたと判定された場合には、ステップS112に進み、後述するステップS214で設定された第2タイマーのリセットタイミング(すなわち、フリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)となる時点から時間α(ただし、α<フリッカ周期)だけずれたタイミング)を待って、ステップS113に進む。
【0066】
ステップS113では、被写体重視AGC制御が行われる。具体的には、シーン認識を行うために、測光センサ制御部172は、シーン認識用の蓄積時間TSを、アンプゲインとともに、測光センサ137に出力し、測光センサ137に、シーン認識用の蓄積時間TSで電荷蓄積を行なわせて、測光センサ137から測光データの読み出しを行う。なお、シーン認識用の蓄積時間TSとしては、上述したステップS108で演算されたものを用いることができる。また、ステップS111において、フリッカが検出されたと判定された場合には、第2タイマーのリセットタイミングにおいて、測光センサ137による電荷蓄積が開始される。本実施形態によれば、このように、第2タイマーのリセットタイミングにおいて、測光センサ137による電荷蓄積を開始することにより、被写体重視AGC制御を行う際における、測光センサ137による電荷蓄積のタイミングをフリッカ周期からずらすことができる。
【0067】
ステップS114では、測光センサ137から読み出された測光データが有効なデータであるか否か、すなわちセンサ出力が正常か否かの判定を行う。
【0068】
ステップS115では、現在設定されているフォーカスモードが追尾モードかオートエリアAFモードかを判別し、追尾モードの場合はステップS116へ進み、オートエリアAFモードの場合はステップS117へ進む。ステップS116では、焦点検出演算部176が、測光センサ137による被写体重視AGC制御での撮像画像と予め設定した特定被写体のテンプレート画像とのテンプレートマッチングを行い、特定被写体を追尾して特定被写体にピントが合うようなレンズ駆動量Δdを演算し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させることで、光学系の焦点調節を行う。一方、ステップS117では、測光センサ137による被写体重視AGC制御での撮像画像から背景と人物などの被写体の領域を抽出し、人物などの被写体にピントが合うようなレンズ駆動量Δdを演算し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させることで、光学系の焦点調節を行う。
【0069】
以上のようにして、測光処理が行なわれる。そして、測光処理が終了すると、図5に示すステップS3において、焦点検出処理が行われた後、第2スイッチSW2がオンしておらず(ステップS4=No)、かつ、第1スイッチSW1が継続してオンされている(ステップS1=Yes)場合には、再び、図6に示すステップS101に進む。そして、第1タイマーのカウント値が所定値以上となるまでは、上述したピークAGC制御および被写体重視AGC制御が繰り返し行なわれ(ステップS101=No)、一方、第1タイマーのカウントが所定値以上となった場合には(ステップS101=Yes)、ステップS118にて、第1タイマーのカウント値をゼロにリセットして、ステップS119に進み、ピークAGC制御に代えて、フリッカ検出制御が行われる。すなわち、本実施形態においては、図7に示すように、第1スイッチSW1が継続してオンされており、かつ、第2スイッチSW2がオンされるまでは、ピークAGC制御と、被写体重視AGC制御とを繰り返し実行するとともに、所定の間隔(すなわち、第1タイマーのカウント値が所定値以上となる間隔)で、ピークAGC制御に代えて、フリッカ検出制御を実行するものである。なお、図7においては、5回に1回の間隔で、ピークAGC制御に代えて、フリッカ検出制御を実行する例を示したが、フリッカ検出制御を実行する際の間隔は、特に限定されるものではなく、たとえば、50回程度に1回の間隔で、フリッカ検出制御を実行するように構成することもできる。
【0070】
以下、本実施形態におけるフリッカ検出制御について説明する。図8は、本実施形態におけるフリッカ検出制御のフローチャートである。
【0071】
まず、ステップS201では、上述したステップS104において演算されたピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextが、10ms未満であるか否かの判断が行なわれる。ピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextが、10ms未満の場合には、フリッカ検出をする必要があると判断して、ステップS202に進む。一方、ピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextが、10ms以上である場合には、ピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextが、フリッカ周期よりも長いため、フリッカの影響は少なく、そのため、フリッカ検出をする必要はないと判断して、フリッカ検出制御を終了する。なお、本実施形態では、フリッカ光源の電源が、50Hzまたは60Hzの電源である場合を想定して、次回測光蓄積時間Tp_nextが10ms未満であるか否かを判断するようにしたが、特に限定されず、このような判断を行なう際における、次回測光蓄積時間Tp_nextの長さは、10msに特に限定されず、フリッカ光源の電源の周波数に応じて適宜変更することができる。
【0072】
ステップS202では、測光センサ制御部172により、測光センサ137にフリッカ検出用の測定を行わせるための、フリッカ検出用の蓄積時間TFの設定が行なわれる。フリッカ検出用の蓄積時間TFは、フリッカの周期を検出できるような時間、たとえば、ピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextの1/8〜1/16程度の時間に設定される。また、測光センサ制御部172は、フリッカ検出用の蓄積時間TFの設定とともに、フリッカ検出用の蓄積時間TFに応じた測光センサ137のアンプゲインの設定も併せて行なう。なお、アンプゲインは、たとえば、ピークAGC制御におけるアンプゲインの4倍または8倍に設定される。
【0073】
ステップS203では、測光センサ制御部172が、ステップS202で設定されたフリッカ検出用の蓄積時間TFを、アンプゲインとともに、測光センサ137に出力し、測光センサ137にフリッカ検出用の電荷蓄積を行わせて、測光センサ137からフリッカ検出用データの読み出しを行う。なお、この場合において、測光センサ137からのフリッカ検出用データの読み出しの速度を早くするために、測光センサ137からのデータを間引いて読み出してもよい。測光センサ137からのデータを間引いて読み出すことにより、フリッカ検出用データの読み出し時間を短縮し、測光センサ137による、フリッカ検出のための電荷蓄積の間隔を短くすることができ、より短い間隔で、フリッカ検出用データを収集することが可能となる。
【0074】
そして、ステップS204では、フリッカ検出部175により、測光センサ137による、フリッカ検出用の電荷蓄積および測光センサ137からのフリッカ検出用データの読み出しが、予め定められた所定回数実行されたか否かの判定が行なわれる。フリッカ検出用の電荷蓄積およびフリッカ検出用データの読み出しが所定回数実行された場合には、ステップS205に進み、所定回数未満である場合には、ステップS203に戻り、所定回数となるまで、フリッカ検出用の電荷蓄積およびフリッカ検出用データの読み出しを繰り返し実行する。なお、この場合における所定回数としては、特に限定されないが、フリッカの周期が十分に検出可能な数のデータが収集可能な回数とすることができる。また、フリッカ検出用の電荷蓄積およびフリッカ検出用データの読み出しが、予め定められた所定回数実行されたか否かに代えて、フリッカ検出用の電荷蓄積およびフリッカ検出用データの読み出しが所定時間行なわれたか否かに基づいて、上記判断を行なうような構成としてもよい。
【0075】
ステップS205では、処理の対象となるフレームの番号を示す変数Nを、N=1に設定し、続くステップS206では、フリッカ検出部175により、ステップS203、S204で繰り返し測定・読み出したフリッカ検出用データのうち、Nフレーム目に測定・読み出したフリッカ検出用データについて、図2に示す測光センサ137の受光面137aの分割領域ごとの平均輝度値を算出する処理が行なわれる。すなわち、たとえば、N=1である場合には、1フレーム目に測定・読み出したフリッカ検出用データについて、受光面137aの分割領域ごとの平均輝度値の算出が行なわれる。
【0076】
ステップS207では、フリッカ検出部175により、Nフレーム目に測定・読み出したフリッカ検出用データについて、ステップS205で算出した分割領域ごとの平均輝度値が最大となる領域を抽出する処理が行なわれる。ここで、図9に測光センサ137の受光範囲内にフリッカ光源が存在する場合における一場面例を、図10に図9に示す場面例における各分割領域の平均輝度値の変化の一例を、それぞれ示す。なお、図9に示す場面例は、測光センサ137の受光面137aの15個の分割領域のうち、領域Aと領域Bにまたがって、フリッカ光源が存在する場面を示している。
【0077】
ここで、図10に示すように、測光センサ137の受光範囲内にフリッカ光源が存在する場合において、全領域の平均輝度を算出した場合には、フリッカ光源が存在する領域A、領域B以外の領域の影響により、フリッカ光源に起因する輝度変化が小さくなってしまう。その一方で、フリッカ光源が存在する領域である領域Aおよび領域B、特に、輝度値が最大値を示している領域Bにおいては、フリッカ光源に起因する輝度変化が大きく、そのため、この領域Bにおけるデータを用いることで、フリッカ周期を良好に検出することができる。そのため、本実施形態では、このようなデータを用いてフリッカ周期の検出を行うために、Nフレーム目に測定・読み出したフリッカ検出用データについて、分割領域ごとの平均輝度値が最大となる領域を抽出する処理を行なう。なお、本実施形態では、この平均輝度値が最大となる領域を、「最大輝度領域」とする。たとえば、図9、図10に示す例においては、最大輝度領域は領域Bとなる。
【0078】
ステップS208では、フリッカ検出部175により、構図変更が行なわれたか否かの判定が行なわれる。本実施形態においては、構図変更が行なわれたか否かの判定は、Nフレーム目の最大輝度領域が、N−1フレーム目の最大輝度領域と同じであるか否かに基づいて行なわれる。すなわち、Nフレーム目の最大輝度領域と、N−1フレーム目の最大輝度領域とが同じである場合には、構図変更は行なわれていないと判定することができ、Nフレーム目の最大輝度領域と、N−1フレーム目の最大輝度領域とが異なる場合には、構図変更が行なわれたと判定することができる。たとえば、フリッカ光源の位置が、図9に示す位置から、図11に示す位置に変化した場合には、最大輝度領域も、領域Bから領域Aに変化することとなる。すなわち、このような場合には、最大輝度領域が異なる領域となったため、構図変更が行なわれたと判断することができる。そして、構図変更が行なわれていないと判定された場合には、ステップS209に進む。一方、構図変更が行なわれたと判定された場合には、フリッカ検出を行うことが適当でないと判断され、フリッカ検出制御を終了する。なお、N=1である場合には、N−1フレーム目のデータが存在しないため、本処理を行なうことなく、ステップS209に進む。
【0079】
ステップS209では、フリッカ検出部175により、N−1フレーム目における、最大輝度領域の輝度値が極小値を示しているか否かの判定が行なわれる。そして、N−1フレーム目における、最大輝度領域の輝度値が極小値を示している場合には、N−1フレーム目のフレーム番号を記憶し、フリッカの明滅の谷(輝度が極小となる点)の周期を検出するためのカウンターのカウントを開始する。また、フリッカの明滅の谷の周期を検出するためのカウンターのカウントが既に開始されている場合には、N−2フレーム目までのカウント数を保存し、カウンター値をリセットし、新たにカウントを開始する。なお、N−1フレーム目における、最大輝度領域の輝度値が極小値を示しているか否かの判定は、たとえば、Nフレーム目における最大輝度領域の輝度値と、N−1フレーム目における最大輝度領域の輝度値とを比較することにより行なうことができる。具体的には、Nフレーム目における最大輝度領域の輝度値が、N−1フレーム目における最大輝度領域の輝度値よりも大きな値となっている場合に、N−1フレーム目における、最大輝度領域の輝度値が極小値を示していると判断することができる。そして、N−1フレーム目における、最大輝度領域が極小値を示している場合には、ステップS210に進み、一方、N−1フレーム目における、最大輝度領域が極小値を示していない場合には、ステップS213に進む。なお、N=1である場合には、N−1フレーム目のデータが存在しないため、本処理を行なうことなく、ステップS211に進む。
【0080】
ステップS210では、フリッカ検出部175により、ステップS207において抽出された最大輝度領域の輝度値に基づいて、内挿演算を行い、フリッカの明滅の谷(輝度が極小となる点)を検出する処理が行なわれる。図12に、フリッカによる輝度変化と、測光センサ137によるフリッカ検出用データの輝度値との関係を示す。図12に示すように、測光センサ137により測定されるフリッカ検出用データは、必ずしも、フリッカの明滅の谷におけるデータとはならないため、本実施形態では、最大輝度領域の輝度値が極小であるフレームにおける最大輝度領域の輝度値と、その周辺のフレームにおける最大輝度領域の輝度値とに基づいて、内挿演算を行い、フリッカの明滅の谷を検出する処理を行なう。
【0081】
ステップS211では、フリッカ検出部175により、Nが予め定められた所定数となったか否かの判断が行なわれる。Nが所定数となっていない場合には、ステップS214に進み、N=N+1として、Nが所定数となるまで、上述したステップS206〜S210の処理を繰り返し行なう。一方、Nが所定数となった場合には、ステップS212へ進む。なお、この場合における所定数としては、フリッカの検出を行うために十分なサンプルを得ることができる数に設定することができる。
【0082】
次いで、ステップS212では、フリッカ検出部175は、最大輝度領域の輝度値の極大値と極小値との比較を行い、これらの差が所定値以上である場合には、フリッカ光源が存在すると判断し、ステップS213に進む。一方、差が所定値未満である場合には、フリッカ光源が存在しないと判断し、フリッカ検出制御を終了する。
【0083】
次いで、ステップS213では、フリッカ検出部175により、フリッカ周期の算出が行なわれる。フリッカ周期は、下記式(3)に基づいて、算出することができる。
フリッカ周期=(測光センサ137によるサンプリング周期)×[(明滅の谷間でのサンプリング数)+(内挿値)] ・・・(3)
なお、明滅の谷間でのサンプリング数としては、上述したフリッカの明滅の谷の周期を検出するためのカウンターのカウンター値を用いることができる。また、内挿値としては、ステップS210における内挿演算により算出された演算値の小数点以下の値を用いることができる。また、複数のフリッカ周期に対するデータが得られている場合には、これら複数のフリッカ周期に対するデータを平均することにより、フリッカ周期を算出してもよい。
【0084】
次いで、ステップS214では、フリッカ検出部175により、ステップS213で算出したフリッカ周期に基づいて、第2タイマーをスタートさせる処理が行なわれる。本実施形態においては、第2タイマーをスタートさせる際には、ステップS213で算出したフリッカ周期までカウントされるとリセットされ、かつ、リセットのタイミングが、ステップS212で算出したフリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)となる時点から時間α(ただし、α<フリッカ周期)だけずれたタイミングとなるように、設定される。すなわち、第2タイマーは、「フリッカ周期における明滅の谷となるタイミング+α」において、周期的にリセットされるように、言い替えれば、リセットタイミングにおいて、必ずフリッカ周期における明滅の谷からずれたタイミングとなるように設定される。また、本実施形態においては、既に、第2タイマーがスタートされている場合には、ステップS213において、新たに算出されたフリッカ周期に基づいて、第2タイマーのリセットタイミングを補正する。
【0085】
そして、このように設定された第2タイマーは、上述したステップS113における、被写体重視AGC制御を行なう際における、測光センサ137による電荷蓄積の開始タイミングの制御や、上述したステップS7における、撮像素子110で撮像を行なう際における、撮像用の電荷蓄積の開始タイミングの制御に用いられる。
【0086】
本実施形態のカメラ1は、以上のように動作する。
【0087】
本実施形態においては、被写界の測光を行うための測光用の蓄積時間Tp、シーン認識を行なうためのシーン認識用の蓄積時間TS、および光源のフリッカの検出を行うためのフリッカ検出用の蓄積時間TFを設定し、これら測光用の蓄積時間Tp、シーン認識用の蓄積時間TSおよびフリッカ検出用の蓄積時間TFを切り替えて、アンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ制御部172に、測光用の電荷蓄積(ピークAGC制御)、シーン認識用の電荷蓄積(被写体重視AGC制御)またはフリッカ検出用の電荷蓄積(フリッカ検出制御)を行わせる。そのため、本実施形態によれば、新たなセンサを設けることなく、1つのセンサ(測光センサ137)で、フリッカ周期を良好に検出することができる。
【0088】
特に、本実施形態によれば、図7に示すように、ピークAGC制御と、被写体重視AGC制御とを繰り返し実行するとともに、所定の間隔で、ピークAGC制御に代えて、フリッカ検出制御を実行するような構成とすることにより、測光および露光制御を適切に行いながら、フリッカ検出を良好に行うことができる。また、このような構成とすることにより、フリッカ検出制御を所定の間隔で繰り返し実行することができ、これにより、算出されたフリッカ周期を、逐次補正することができ、これに基づいて、フリッカ周期に基づく第2タイマーを、逐次補正することができ、その結果、フリッカ周期の検出精度を向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、検出したフリッカ周期に基づいて、シーン認識用の電荷蓄積(被写体重視AGC制御)および撮像用の電荷蓄積のタイミングを、フリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)のタイミングからずらすことができ、これにより、フリッカに起因するシーン認識精度の低下や、撮像画像の品質の低下を有効に防止することができる。
【0090】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0091】
たとえば、上述した実施形態では、測光センサ137で、ピークAGC制御、被写体重視AGC制御、およびフリッカ検出制御を行うような構成を例示したが、これらの制御を、撮像素子110で行なうような構成としてもよい。
【0092】
また、上述した実施形態では、第1タイマーのカウントが所定値以上となっているか否かに基づいて、ピークAGC制御および被写体重視AGCと、フリッカ検出制御の切り替えを行うような構成を例示したが、ピークAGC制御および被写体重視AGCを繰り返し、所定回数実行した場合に、フリッカ検出制御を実行するような構成としてもよい。
【0093】
さらに、上述した実施形態において、フリッカ周期を算出する際に、50Hzの電源のフリッカ周期である10.0msと、60Hzの電源のフリッカ周期である8.3msとのいずれに近いかを判断し、近い方の周期(すなわち、10.0msまたは8.3ms)をフリッカ周期として算出するような構成としてもよい。
【0094】
なお、本実施形態の撮像装置1は、上述した一眼レフデジタルカメラに限定されず、レンズ一体型デジタルスチルカメラにも適用できる。また、携帯電話機などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラ、ロボット用視覚認識装置等にも適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1…一眼レフデジタルカメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
137…測光センサ
150…操作部
160…焦点検出モジュール
170…カメラ制御部
171…A/Dコンバータ
172…測光センサ制御部
173…測光演算部
174…シーン認識部
175…フリッカ検出部
176…焦点検出演算部
200…レンズ鏡筒
212…フォーカスレンズ
230…フォーカスレンズ駆動モータ
250…レンズ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像装置において、交流点灯照明に起因するフリッカを検出し、フリッカの影響を抑制する試みが行なわれている。たとえば、特許文献1では、位相差方式による焦点検出用のセンサからの出力に基づいて、フリッカを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−306093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように位相差方式による、焦点検出用のセンサからの出力に基づいて、フリッカを検出する場合には、位相差方式による焦点検出用のセンサでは、撮像素子により撮影可能な範囲全体について、輝度情報を得ることができないため、フリッカの検出精度が不十分となってしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、フリッカを良好に検出することのできる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は本発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明の撮像装置は、電荷蓄積型の測光素子(137)と、測光のための第1蓄積時間、および光源の周期的な輝度変化に起因するフリッカを検出するための第2蓄積時間のいずれか一方を、前記測光素子に送ることで、前記第1蓄積時間または前記第2蓄積時間で、前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる蓄積時間制御部(172)と、前記測光素子からの出力を取得する取得部(171)と、前記第1蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、測光を行なう測光部(173)と、前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、フリッカ検出を行うフリッカ検出部(175)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
[2]本発明の撮像装置において、前記取得部(171)が、前記測光素子(137)による電荷の蓄積が、前記第2蓄積時間で行なわれた場合には、前記測光素子からの出力を、間引いて読み出すように構成することができる。
【0009】
[3]本発明の撮像装置において、前記蓄積時間制御部(172)が、前記第1蓄積時間と、前記第2蓄積時間とを周期的に切り替えて、前記測光素子(137)に送るように構成することができる。
【0010】
[4]本発明の撮像装置において、前記測光素子(137)からの出力に基づいて、撮影シーンの種別を認識するシーン認識部(174)をさらに備え、前記蓄積時間制御部(172)が、前記シーン認識部により撮影シーンの種別の認識を行なう場合には、前記第1蓄積時間で前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる際に、前記測光素子による電荷の蓄積のタイミングが、前記フリッカの周期における、前記光源の光量が最も小さくなるタイミングと異なるタイミングとなるように、前記測光素子の蓄積時間を制御するように構成することができる。
【0011】
[5]本発明の撮像装置において、前記フリッカ検出部(175)が、前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子(137)からの出力に基づいて、フリッカ周期の検出を繰り返し行うことで、検出したフリッカ周期を補正するように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フリッカを良好に検出することのできる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る測光センサの受光面を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るカメラ1の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4(A)は、蛍光灯や水銀灯などのフリッカ光源の輝度変化の一例を示す図、図4(B)は、フリッカ光源の赤R成分、および青B成分の強度の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施形態に係る測光処理を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施形態に係るピークAGC制御、被写体重視AGC制御およびフリッカ検出制御の実行タイミングを示す図である。
【図8】図8は、本実施形態におけるフリッカ検出制御のフローチャートである。
【図9】図9は、測光センサの受光範囲内にフリッカ光源が存在する場合における一場面例を示す図である。
【図10】図10は、図9に示す場面例における各分割領域の平均輝度値の変化の一例を示す図である。
【図11】図11は、測光センサの受光範囲内にフリッカ光源が存在する場合における他の場面例を示す図である。
【図12】図12は、フリッカによる輝度変化と、測光センサによるフリッカ検出用データの輝度値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下においては、本発明を一眼レフデジタルカメラに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。ただし本発明は、銀塩フィルムカメラなどのその他の撮像装置にも適用することができる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図であり、本発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0016】
本実施形態の一眼レフデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とは着脱可能に結合されている。本実施形態のカメラ1においては、レンズ鏡筒200は、撮影目的などに応じて、交換可能となっている。
【0017】
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0018】
フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。そして、エンコーダ260で検出されたフォーカスレンズ212の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部170へ送出される。そして、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ212の駆動量Δdが、レンズ駆動制御部165からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ230は駆動する。
【0019】
絞り220は、上記撮影光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部150によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部170からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
【0020】
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮影位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮影位置にある状態を二点鎖線で示す。
【0021】
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮影位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0022】
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137へ導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール161へ導く。
【0023】
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール160へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ212の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタン(不図示)を全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
【0024】
クイックリターンミラー120で反射された被写体からの光束は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0025】
測光センサ137は、二次元カラーCMOSイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた出力信号を出力する。また、測光センサ137は、シーン認識用の撮像素子およびフリッカ検出用の撮像素子も兼ねており、撮影光学系により焦点板131上に結像された被写体像に応じた出力信号、およびフリッカ検出用の出力信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御、シーン認識処理、およびフリッカ検出処理に用いられる。
【0026】
図2は測光センサ137の受光面137aを示す図である。測光センサ137は、複数の画素(たとえば、22行、14列)が配列されることにより構成されており、各画素は赤R、緑Gおよび青Bのフィルターと測光部を備え、赤R成分、緑G成分および青B成分の測光値を出力する。また、測光センサ137は、図2に示すように、15個の分割領域に区分されている。ただし、この分割領域の数は、15個に限定されず、適宜設定することができる。
【0027】
図1に戻り、焦点検出モジュール160は、サブミラー122で反射した光束の光軸L4上であって、撮像素子110の撮像面と光学的に等価な面の位置に固定されており、被写体光を用いた位相差検出方式による自動合焦制御を実行する。
【0028】
撮像素子110は、カメラボディ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ211,212,213を含む撮影光学系の予定焦点面となる位置に設けられ、その前面にシャッター111が設けられている。この撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどで構成することができる。この撮像素子110で光電変換された電気画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
【0029】
操作部150は、シャッターレリーズボタン、ズームボタン、および撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、自動露出モード/マニュアル露出モード、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換などの設定が行えるようになっている。また、シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0030】
カメラボディ100にはカメラ制御部170が設けられている。カメラ制御部170はマイクロプロセッサ、ASIC、RAMなどの周辺部品から構成され、レンズ制御部250と電気的に接続され、このレンズ制御部250から、レンズ鏡筒200の焦点調節範囲の情報などを含むレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部250へ絞り制御信号などの情報を送信する。
【0031】
また、本実施形態のカメラ制御部170は、図3に示すように、A/Dコンバータ171、測光センサ制御部172、測光演算部173、シーン認識部174、フリッカ検出部175、および焦点検出演算部176を備えている。
【0032】
測光センサ制御部172は、測光センサ137の電荷蓄積時間およびアンプゲインの制御を行う。具体的には、測光センサ制御部172は、被写界の測光を行うための測光用の蓄積時間Tp、シーン認識を行なうためのシーン認識用の蓄積時間TS、および光源のフリッカの検出を行うためのフリッカ検出用の蓄積時間TFを設定する。そして、測光センサ制御部172は、これら測光用の蓄積時間Tp、シーン認識用の蓄積時間TSおよびフリッカ検出用の蓄積時間TFを切り替えて、アンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ137に、測光用の電荷蓄積、シーン認識用の電荷蓄積またはフリッカ検出用の電荷蓄積を行わせる。
【0033】
たとえば、被写界の測光を行う場合には、測光センサ制御部172は、被写界の最大輝度が目標測光値となるように、すなわち、測光センサ137の最大出力が目標値となるように測光用の蓄積時間Tpを設定し、測光用の蓄積時間Tpをアンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ137の電荷蓄積時間およびアンプゲインを制御する。なお、本実施形態においては、測光センサ137のこのような制御を「ピークAGC制御」と呼ぶ。
【0034】
また、シーン認識を行う場合には、測光センサ制御部172は、被写界の平均輝度が目標測光値となるように、すなわち、測光センサ137の平均出力が目標値となるようにシーン認識用の蓄積時間TSを設定し、シーン認識用の蓄積時間TSをアンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ137の電荷蓄積時間およびアンプゲインを制御する。なお、本実施形態においては、測光センサ137のこのような制御を「被写体重視AGC制御」と呼ぶ。
【0035】
さらに、フリッカ検出を行う場合には、測光センサ制御部172は、フリッカの周期を検出できるように、フリッカ検出用の蓄積時間TFを設定し、フリッカ検出用の蓄積時間TFをアンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ137の電荷蓄積時間およびアンプゲインを制御する。なお、本実施形態においては、測光センサ137のこのような制御を「フリッカ検出制御」と呼ぶ。
【0036】
ここで、図4(A)は、蛍光灯や水銀灯などのフリッカ光源の輝度変化の一例を、図4(B)は、フリッカ光源の赤R成分、および青B成分の強度の一例を示す図である。図4(A)に示すように、フリッカ光源は、所定のフリッカ周期で、明滅を周期的に繰り返している。たとえば、フリッカ光源が、商用電源を電源とするものである場合には、50Hzの電源では、フリッカ周期は10.0msとなり、60Hzの電源では、フリッカ周期は8.3msとなる。そのため、本実施形態では、フリッカ検出用の蓄積時間TFは、このようなフリッカ周期を検出できるような時間に設定される。また、フリッカ光源においては、図4(B)に示すように、赤R成分と、青B成分とでフリッカ周期に伴う強度変化の度合いが異なり、特に、明滅の谷の部分(強度が極小となる部分)においては、これらの強度差が最大となり、この明滅の谷の部分において撮像された画像は、黄色味をおびた画像となる。
【0037】
このように、フリッカ光源が存在する場合において、測光センサ137の電荷蓄積時間や撮像素子110の電荷蓄積時間が短い場合には、フリッカ光源の影響により、検出および撮像される被写体の輝度や、被写体の色味が変化してしまう場合がある。そして、このような明滅の谷の部分において、測光センサ137によって、シーン認識を行なうための被写体重視AGC制御を行うと、シーン認識精度が低下する場合がある。そのため、本実施形態では、このようなフリッカ光源の影響を除去するために、フリッカ検出用の蓄積時間TFにて、測光センサ137に電荷蓄積を行なわせることで、フリッカ検出制御を行う。なお、フリッカ検出制御の詳細については、後述する。
【0038】
また、測光センサ制御部172は、上述したピークAGC制御、被写体重視AGC制御およびフリッカ検出制御を切り替えるための第1タイマー(不図示)を備えており、第1タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となるまでは、ピークAGC制御、および被写体重視AGC制御を繰り返し実行し、所定値以上となったら、第1タイマーのカウント値をゼロにリセットし、フリッカ検出制御を実行する。すなわち、測光センサ制御部172は、第1タイマーのカウント値に応じて、ピークAGC制御および被写体重視AGC制御の実行と、フリッカ検出制御の実行との切り替えを行う。
【0039】
さらに、測光センサ137からの出力信号は、A/Dコンバータ171によりデジタル信号に変換された後、測光センサ制御部172に入力されるようになっており、測光センサ制御部172は、測光センサ137からの出力信号に基づいて、フィードバック制御により、測光用の蓄積時間Tp、シーン認識用の蓄積時間TSおよびフリッカ検出用の蓄積時間TFの設定を行なうようになっている。
【0040】
測光演算部173は、測光用の蓄積時間Tpにより、測光センサ137によって電荷蓄積が行なわれた場合に、A/Dコンバータ171によりデジタル信号に変換された測光センサ137からの出力信号を受信し、測光センサ137からの出力信号に基づいて、測光演算を行い、被写体輝度を算出して輝度に応じたシャッター速度および絞り値を決定する。
【0041】
シーン認識部174は、シーン認識用の蓄積時間TSにより、測光センサ137によって電荷蓄積が行なわれた場合に、A/Dコンバータ171によりデジタル信号に変換された測光センサ137からの出力信号を受信し、測光センサ137からの出力信号に基づいて、測光センサ137により撮影された撮影画像の色情報および輝度情報を検出し、これらの情報に基づいて画像中の主要な被写体、例えば人物の顔の領域を認識し、主要被写体の位置と動きを検出する。そして、シーン認識部174は、人物などの主要被写体の位置と動きの情報を焦点検出演算部176へ出力する。
【0042】
フリッカ検出部175は、フリッカ検出用の蓄積時間TFにより、測光センサ137によって電荷蓄積が行なわれた場合に、A/Dコンバータ171によりデジタル信号に変換された測光センサ137からの出力信号を受信し、測光センサ137からの出力信号に基づいて、フリッカ周期を検出する。
【0043】
また、フリッカ検出部175は、算出したフリッカ周期に基づいて、上述した被写体重視AGC制御を行う際におけるフリッカの影響を抑制するために、被写体重視AGC制御を実行する際のタイミングを制御するための第2タイマー(不図示)を備えている。第2タイマーは、算出したフリッカ周期(たとえば、図4参照)、に基づいて、フリッカ周期までカウントされるとリセットされ、かつ、このリセットのタイミングが、フリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)となる時点から時間α(ただし、α<フリッカ周期)だけずれたタイミングとなるように、設定される。すなわち、第2タイマーは、「フリッカ周期における明滅の谷となるタイミング+α」において、周期的にリセットされるように、言い替えれば、リセットタイミングにおいて、必ずフリッカ周期における明滅の谷からずれたタイミングとなるように設定される。
【0044】
焦点検出演算部176は、シーン認識部174から得られた主要被写体の位置と動き情報、焦点検出モジュール160から得られた焦点検出エリアのデフォーカス量に基づいて、主要被写体にピントが合うようなレンズ駆動量Δdを演算する。そして、焦点検出演算部176は、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令を送出し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させることで、光学系の焦点調節を行う。
【0045】
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図5は本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。以下に、説明する動作は、操作部150により、撮影モードが選択されることにより開始し、カメラ制御部170により実行される。
【0046】
まず、ステップS1では、撮影者によってシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。第1スイッチSW1がオンした場合はステップS2へ進む。一方、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS11に進み、撮影モードが選択されてから、予め設定された所定時間を経過していない場合(ステップS11=No)には、ステップS1で待機し、第1スイッチSW1をオンする動作が所定時間以上行なわれなかった場合(ステップS11=Yes)には、撮影制御を終了する。
【0047】
ステップS2では、測光処理が行なわれる。なお、測光処理については、後述する。
【0048】
ステップS3では、焦点検出モジュール160からの出力信号に基づいて、焦点検出演算部176により、焦点検出処理が行われる。
【0049】
ステップS4では、撮影者によってシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたかどうかの判断が行われる。第2スイッチSW2がオンした場合には、ステップS5に進み、第2スイッチSW2がオンしていない場合はステップS1に戻り、第1スイッチSW1がオンされ続けている限り(ステップS1=Yes)、ステップS1〜S4を繰り返す。
【0050】
ステップS5では、ミラー系21を構成するクイックリターンミラー121とサブミラー122とを光軸L1の光路から退避する方向に回転させて、続くステップ6で撮像素子110の初期化を行う。
【0051】
ステップS7では、撮像素子110に電荷蓄積を行なわせて、撮像素子110から画像信号の読み出しを行なう。この撮像用の電荷蓄積では、シャッター111および絞り214を制御することで、後述する測光処理による測光演算結果により得られた制御露出となるように露出の調整が行なわれる。また、撮像用の電荷蓄積時間が、後述するステップS213で算出されたフリッカ周期よりも短い場合には、後述するステップS214で設定された第2タイマーのリセットタイミング(すなわち、フリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)となる時点から時間α(ただし、α<フリッカ周期)だけずれたタイミング)において、撮像用の電荷蓄積が開始されるように制御される。
【0052】
そして、ステップS8で、ミラー系21を構成するクイックリターンミラー121とサブミラー122とを光軸L1の光路に戻し、続くステップS9で画像信号に所定の処理を施して画像を生成する。その後、ステップS10で画像を記録媒体(不図示)に記録し、撮影制御を終了する。
【0053】
次いで、ステップS2における測光処理について説明する。図6は、本実施形態に係る測光処理を示すフローチャートである。
【0054】
まず、ステップS101では、測光センサ制御部172により、第1タイマーのカウント値が所定値以上となっているか否かの判定が行なわれる。第1タイマーのカウント値が所定値以上となっていない場合には、ステップS102に進み、第1タイマーのカウント値が所定値以上となっている場合には、ステップS118に進む。なお、第1タイマーは、上述したように、ピークAGC制御、および被写体重視AGC制御の実行、およびフリッカ検出制御の実行の切り替えを行うためのタイマーであり、たとえば、図5のステップS1において、第1スイッチSW1がオンされた場合に、カウントが開始される。本実施形態においては、第1タイマーのカウント値が所定値以上となるまでは、ステップS102に進み、ピークAGC制御および被写体重視AGCが行なわれ、その一方で、第1タイマーのカウントが所定値以上となった場合にのみ、ステップS118に進み、第1タイマーのカウントをゼロにリセットして、ステップS119に進み、フリッカ検出制御が行われる。なお、この場合の所定値としては、特に限定されないが、50回程度に1回の間隔で、ピークAGC制御の代わりに、フリッカ検出制御が実行されるような時間とすることができる。
【0055】
次いで、ステップS102では、ピークAGC制御が行われる。具体的には、被写界の測光を行うために、測光センサ制御部172は、測光用の蓄積時間Tpを、アンプゲインとともに測光センサ137に出力し、測光センサ137に測光用の蓄積時間Tpで電荷蓄積の蓄積を行なわせて、測光センサ137から測光データの読み出しを行う。なお、測光用の蓄積時間Tpとしては、前回処理時において、後述するステップS104で演算された、次回測光蓄積時間Tp_nextが用いられる。あるいは、初回の測光では、後述するステップS104において、次回測光蓄積時間Tp_nextが算出できないため、測光用の蓄積時間Tpは、予め定められた時間(たとえば、5ms)に設定される。
【0056】
ステップS103では、測光センサ137から読み出された測光データが有効なデータであるか否かの判定を行なう。この有効性判定では、最大測光値が目標値に近く、測光演算を行うのに適しているか否かを判定する。
【0057】
ステップS104では、測光センサ制御部172は、下記式(1)にしたがって、次回の測光用の蓄積を行なうための次回測光蓄積時間Tp_nextを演算し、演算した次回測光蓄積時間Tp_nextに基づいて、アンプゲインの設定を行なう。
Tp_next=Vagc/Vomax・Tp ・・・(1)
上記式(1)において、Tpは次回測光蓄積時間、Tpは今回処理時における測光用の蓄積時間、Vagcは目標値(目標AGCレベル)、Vomaxは今回処理時における測光センサ137の最大出力値である。
【0058】
ステップS105では、測光演算部173により、測光センサ137の全領域における平均測光値の算出が行なわれ、図2に示す分割領域ごとの平均測光値が算出され、平均測光値が最大となる領域と最小となる領域の抽出が行なわれる。
【0059】
ステップS106では、上述したステップS103において、測光データが有効なデータでないと判定された場合はステップS102に戻り、もう一度、上述したステップS102〜S105の処理を行なう。一方、測光データが有効なデータであると判定された場合には、ステップS107に進む。
【0060】
ステップS107では、測光センサ制御部172により、シーン認識を行うための被写体重視AGC制御を実行するか否かの判定が行なわれる。具体的には、ステップS105で算出した分割領域ごとの平均測光値の内、最大値と最小値との差が所定値以上あるか否かを判定する。これらの差が所定値よりも小さい場合には、輝度差の少ない一様な被写体であり、平均輝度が目標測光値となるような被写体重視AGC制御を行うのに適さないため、被写体重視AGC制御を実行しないと判定する。一方、シーン認識には輝度情報と色情報を用いるため、分割領域ごとの平均測光値の内の最大値と最小値との差が所定値以上ある場合には、被写体重視AGC制御による電荷蓄積を行い、蓄積結果の測光値に基づいてシーン認識を行うと判定する。
【0061】
ステップS108では、測光センサ制御部172は、下記式(2)にしたがって、被写体重視AGC制御を行なうための、シーン認識用の蓄積時間TSを演算し、演算したシーン認識用の蓄積時間TSに基づいて、アンプゲインの設定を行なう。
TS=VagcSC/Vave・Tp ・・・(2)
上記式(2)において、TSはシーン認識用の蓄積時間、Tpは今回処理時における測光用の蓄積時間、VagcSCは被写体重視AGCの目標値(目標AGCレベル)、VaveはピークAGC制御における測光センサ137の出力値の平均値である。
【0062】
ステップS109では、測光センサ制御部172は、ピークAGC制御により得られた測光データに基づいて測光演算を行い、シャッター速度と絞り値を算出する。
【0063】
ステップS110では、上述したステップS107の判定結果にしたがって被写体重視AGC制御を実行する場合は、ステップS111へ進み、被写体重視AGC制御を実行しない場合は、ステップS115へ進む。
【0064】
被写体重視AGC制御を実行する場合には、ステップS111に進み、後述するステップS119におけるフリッカ検出制御において、フリッカが検出されたか否かの判定が行なわれる。フリッカが検出された場合には、ステップS112に進み、フリッカが検出されなかった場合には、ステップS113に進む。
【0065】
ステップS111において、フリッカが検出されたと判定された場合には、ステップS112に進み、後述するステップS214で設定された第2タイマーのリセットタイミング(すなわち、フリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)となる時点から時間α(ただし、α<フリッカ周期)だけずれたタイミング)を待って、ステップS113に進む。
【0066】
ステップS113では、被写体重視AGC制御が行われる。具体的には、シーン認識を行うために、測光センサ制御部172は、シーン認識用の蓄積時間TSを、アンプゲインとともに、測光センサ137に出力し、測光センサ137に、シーン認識用の蓄積時間TSで電荷蓄積を行なわせて、測光センサ137から測光データの読み出しを行う。なお、シーン認識用の蓄積時間TSとしては、上述したステップS108で演算されたものを用いることができる。また、ステップS111において、フリッカが検出されたと判定された場合には、第2タイマーのリセットタイミングにおいて、測光センサ137による電荷蓄積が開始される。本実施形態によれば、このように、第2タイマーのリセットタイミングにおいて、測光センサ137による電荷蓄積を開始することにより、被写体重視AGC制御を行う際における、測光センサ137による電荷蓄積のタイミングをフリッカ周期からずらすことができる。
【0067】
ステップS114では、測光センサ137から読み出された測光データが有効なデータであるか否か、すなわちセンサ出力が正常か否かの判定を行う。
【0068】
ステップS115では、現在設定されているフォーカスモードが追尾モードかオートエリアAFモードかを判別し、追尾モードの場合はステップS116へ進み、オートエリアAFモードの場合はステップS117へ進む。ステップS116では、焦点検出演算部176が、測光センサ137による被写体重視AGC制御での撮像画像と予め設定した特定被写体のテンプレート画像とのテンプレートマッチングを行い、特定被写体を追尾して特定被写体にピントが合うようなレンズ駆動量Δdを演算し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させることで、光学系の焦点調節を行う。一方、ステップS117では、測光センサ137による被写体重視AGC制御での撮像画像から背景と人物などの被写体の領域を抽出し、人物などの被写体にピントが合うようなレンズ駆動量Δdを演算し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させることで、光学系の焦点調節を行う。
【0069】
以上のようにして、測光処理が行なわれる。そして、測光処理が終了すると、図5に示すステップS3において、焦点検出処理が行われた後、第2スイッチSW2がオンしておらず(ステップS4=No)、かつ、第1スイッチSW1が継続してオンされている(ステップS1=Yes)場合には、再び、図6に示すステップS101に進む。そして、第1タイマーのカウント値が所定値以上となるまでは、上述したピークAGC制御および被写体重視AGC制御が繰り返し行なわれ(ステップS101=No)、一方、第1タイマーのカウントが所定値以上となった場合には(ステップS101=Yes)、ステップS118にて、第1タイマーのカウント値をゼロにリセットして、ステップS119に進み、ピークAGC制御に代えて、フリッカ検出制御が行われる。すなわち、本実施形態においては、図7に示すように、第1スイッチSW1が継続してオンされており、かつ、第2スイッチSW2がオンされるまでは、ピークAGC制御と、被写体重視AGC制御とを繰り返し実行するとともに、所定の間隔(すなわち、第1タイマーのカウント値が所定値以上となる間隔)で、ピークAGC制御に代えて、フリッカ検出制御を実行するものである。なお、図7においては、5回に1回の間隔で、ピークAGC制御に代えて、フリッカ検出制御を実行する例を示したが、フリッカ検出制御を実行する際の間隔は、特に限定されるものではなく、たとえば、50回程度に1回の間隔で、フリッカ検出制御を実行するように構成することもできる。
【0070】
以下、本実施形態におけるフリッカ検出制御について説明する。図8は、本実施形態におけるフリッカ検出制御のフローチャートである。
【0071】
まず、ステップS201では、上述したステップS104において演算されたピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextが、10ms未満であるか否かの判断が行なわれる。ピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextが、10ms未満の場合には、フリッカ検出をする必要があると判断して、ステップS202に進む。一方、ピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextが、10ms以上である場合には、ピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextが、フリッカ周期よりも長いため、フリッカの影響は少なく、そのため、フリッカ検出をする必要はないと判断して、フリッカ検出制御を終了する。なお、本実施形態では、フリッカ光源の電源が、50Hzまたは60Hzの電源である場合を想定して、次回測光蓄積時間Tp_nextが10ms未満であるか否かを判断するようにしたが、特に限定されず、このような判断を行なう際における、次回測光蓄積時間Tp_nextの長さは、10msに特に限定されず、フリッカ光源の電源の周波数に応じて適宜変更することができる。
【0072】
ステップS202では、測光センサ制御部172により、測光センサ137にフリッカ検出用の測定を行わせるための、フリッカ検出用の蓄積時間TFの設定が行なわれる。フリッカ検出用の蓄積時間TFは、フリッカの周期を検出できるような時間、たとえば、ピークAGC制御における次回測光蓄積時間Tp_nextの1/8〜1/16程度の時間に設定される。また、測光センサ制御部172は、フリッカ検出用の蓄積時間TFの設定とともに、フリッカ検出用の蓄積時間TFに応じた測光センサ137のアンプゲインの設定も併せて行なう。なお、アンプゲインは、たとえば、ピークAGC制御におけるアンプゲインの4倍または8倍に設定される。
【0073】
ステップS203では、測光センサ制御部172が、ステップS202で設定されたフリッカ検出用の蓄積時間TFを、アンプゲインとともに、測光センサ137に出力し、測光センサ137にフリッカ検出用の電荷蓄積を行わせて、測光センサ137からフリッカ検出用データの読み出しを行う。なお、この場合において、測光センサ137からのフリッカ検出用データの読み出しの速度を早くするために、測光センサ137からのデータを間引いて読み出してもよい。測光センサ137からのデータを間引いて読み出すことにより、フリッカ検出用データの読み出し時間を短縮し、測光センサ137による、フリッカ検出のための電荷蓄積の間隔を短くすることができ、より短い間隔で、フリッカ検出用データを収集することが可能となる。
【0074】
そして、ステップS204では、フリッカ検出部175により、測光センサ137による、フリッカ検出用の電荷蓄積および測光センサ137からのフリッカ検出用データの読み出しが、予め定められた所定回数実行されたか否かの判定が行なわれる。フリッカ検出用の電荷蓄積およびフリッカ検出用データの読み出しが所定回数実行された場合には、ステップS205に進み、所定回数未満である場合には、ステップS203に戻り、所定回数となるまで、フリッカ検出用の電荷蓄積およびフリッカ検出用データの読み出しを繰り返し実行する。なお、この場合における所定回数としては、特に限定されないが、フリッカの周期が十分に検出可能な数のデータが収集可能な回数とすることができる。また、フリッカ検出用の電荷蓄積およびフリッカ検出用データの読み出しが、予め定められた所定回数実行されたか否かに代えて、フリッカ検出用の電荷蓄積およびフリッカ検出用データの読み出しが所定時間行なわれたか否かに基づいて、上記判断を行なうような構成としてもよい。
【0075】
ステップS205では、処理の対象となるフレームの番号を示す変数Nを、N=1に設定し、続くステップS206では、フリッカ検出部175により、ステップS203、S204で繰り返し測定・読み出したフリッカ検出用データのうち、Nフレーム目に測定・読み出したフリッカ検出用データについて、図2に示す測光センサ137の受光面137aの分割領域ごとの平均輝度値を算出する処理が行なわれる。すなわち、たとえば、N=1である場合には、1フレーム目に測定・読み出したフリッカ検出用データについて、受光面137aの分割領域ごとの平均輝度値の算出が行なわれる。
【0076】
ステップS207では、フリッカ検出部175により、Nフレーム目に測定・読み出したフリッカ検出用データについて、ステップS205で算出した分割領域ごとの平均輝度値が最大となる領域を抽出する処理が行なわれる。ここで、図9に測光センサ137の受光範囲内にフリッカ光源が存在する場合における一場面例を、図10に図9に示す場面例における各分割領域の平均輝度値の変化の一例を、それぞれ示す。なお、図9に示す場面例は、測光センサ137の受光面137aの15個の分割領域のうち、領域Aと領域Bにまたがって、フリッカ光源が存在する場面を示している。
【0077】
ここで、図10に示すように、測光センサ137の受光範囲内にフリッカ光源が存在する場合において、全領域の平均輝度を算出した場合には、フリッカ光源が存在する領域A、領域B以外の領域の影響により、フリッカ光源に起因する輝度変化が小さくなってしまう。その一方で、フリッカ光源が存在する領域である領域Aおよび領域B、特に、輝度値が最大値を示している領域Bにおいては、フリッカ光源に起因する輝度変化が大きく、そのため、この領域Bにおけるデータを用いることで、フリッカ周期を良好に検出することができる。そのため、本実施形態では、このようなデータを用いてフリッカ周期の検出を行うために、Nフレーム目に測定・読み出したフリッカ検出用データについて、分割領域ごとの平均輝度値が最大となる領域を抽出する処理を行なう。なお、本実施形態では、この平均輝度値が最大となる領域を、「最大輝度領域」とする。たとえば、図9、図10に示す例においては、最大輝度領域は領域Bとなる。
【0078】
ステップS208では、フリッカ検出部175により、構図変更が行なわれたか否かの判定が行なわれる。本実施形態においては、構図変更が行なわれたか否かの判定は、Nフレーム目の最大輝度領域が、N−1フレーム目の最大輝度領域と同じであるか否かに基づいて行なわれる。すなわち、Nフレーム目の最大輝度領域と、N−1フレーム目の最大輝度領域とが同じである場合には、構図変更は行なわれていないと判定することができ、Nフレーム目の最大輝度領域と、N−1フレーム目の最大輝度領域とが異なる場合には、構図変更が行なわれたと判定することができる。たとえば、フリッカ光源の位置が、図9に示す位置から、図11に示す位置に変化した場合には、最大輝度領域も、領域Bから領域Aに変化することとなる。すなわち、このような場合には、最大輝度領域が異なる領域となったため、構図変更が行なわれたと判断することができる。そして、構図変更が行なわれていないと判定された場合には、ステップS209に進む。一方、構図変更が行なわれたと判定された場合には、フリッカ検出を行うことが適当でないと判断され、フリッカ検出制御を終了する。なお、N=1である場合には、N−1フレーム目のデータが存在しないため、本処理を行なうことなく、ステップS209に進む。
【0079】
ステップS209では、フリッカ検出部175により、N−1フレーム目における、最大輝度領域の輝度値が極小値を示しているか否かの判定が行なわれる。そして、N−1フレーム目における、最大輝度領域の輝度値が極小値を示している場合には、N−1フレーム目のフレーム番号を記憶し、フリッカの明滅の谷(輝度が極小となる点)の周期を検出するためのカウンターのカウントを開始する。また、フリッカの明滅の谷の周期を検出するためのカウンターのカウントが既に開始されている場合には、N−2フレーム目までのカウント数を保存し、カウンター値をリセットし、新たにカウントを開始する。なお、N−1フレーム目における、最大輝度領域の輝度値が極小値を示しているか否かの判定は、たとえば、Nフレーム目における最大輝度領域の輝度値と、N−1フレーム目における最大輝度領域の輝度値とを比較することにより行なうことができる。具体的には、Nフレーム目における最大輝度領域の輝度値が、N−1フレーム目における最大輝度領域の輝度値よりも大きな値となっている場合に、N−1フレーム目における、最大輝度領域の輝度値が極小値を示していると判断することができる。そして、N−1フレーム目における、最大輝度領域が極小値を示している場合には、ステップS210に進み、一方、N−1フレーム目における、最大輝度領域が極小値を示していない場合には、ステップS213に進む。なお、N=1である場合には、N−1フレーム目のデータが存在しないため、本処理を行なうことなく、ステップS211に進む。
【0080】
ステップS210では、フリッカ検出部175により、ステップS207において抽出された最大輝度領域の輝度値に基づいて、内挿演算を行い、フリッカの明滅の谷(輝度が極小となる点)を検出する処理が行なわれる。図12に、フリッカによる輝度変化と、測光センサ137によるフリッカ検出用データの輝度値との関係を示す。図12に示すように、測光センサ137により測定されるフリッカ検出用データは、必ずしも、フリッカの明滅の谷におけるデータとはならないため、本実施形態では、最大輝度領域の輝度値が極小であるフレームにおける最大輝度領域の輝度値と、その周辺のフレームにおける最大輝度領域の輝度値とに基づいて、内挿演算を行い、フリッカの明滅の谷を検出する処理を行なう。
【0081】
ステップS211では、フリッカ検出部175により、Nが予め定められた所定数となったか否かの判断が行なわれる。Nが所定数となっていない場合には、ステップS214に進み、N=N+1として、Nが所定数となるまで、上述したステップS206〜S210の処理を繰り返し行なう。一方、Nが所定数となった場合には、ステップS212へ進む。なお、この場合における所定数としては、フリッカの検出を行うために十分なサンプルを得ることができる数に設定することができる。
【0082】
次いで、ステップS212では、フリッカ検出部175は、最大輝度領域の輝度値の極大値と極小値との比較を行い、これらの差が所定値以上である場合には、フリッカ光源が存在すると判断し、ステップS213に進む。一方、差が所定値未満である場合には、フリッカ光源が存在しないと判断し、フリッカ検出制御を終了する。
【0083】
次いで、ステップS213では、フリッカ検出部175により、フリッカ周期の算出が行なわれる。フリッカ周期は、下記式(3)に基づいて、算出することができる。
フリッカ周期=(測光センサ137によるサンプリング周期)×[(明滅の谷間でのサンプリング数)+(内挿値)] ・・・(3)
なお、明滅の谷間でのサンプリング数としては、上述したフリッカの明滅の谷の周期を検出するためのカウンターのカウンター値を用いることができる。また、内挿値としては、ステップS210における内挿演算により算出された演算値の小数点以下の値を用いることができる。また、複数のフリッカ周期に対するデータが得られている場合には、これら複数のフリッカ周期に対するデータを平均することにより、フリッカ周期を算出してもよい。
【0084】
次いで、ステップS214では、フリッカ検出部175により、ステップS213で算出したフリッカ周期に基づいて、第2タイマーをスタートさせる処理が行なわれる。本実施形態においては、第2タイマーをスタートさせる際には、ステップS213で算出したフリッカ周期までカウントされるとリセットされ、かつ、リセットのタイミングが、ステップS212で算出したフリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)となる時点から時間α(ただし、α<フリッカ周期)だけずれたタイミングとなるように、設定される。すなわち、第2タイマーは、「フリッカ周期における明滅の谷となるタイミング+α」において、周期的にリセットされるように、言い替えれば、リセットタイミングにおいて、必ずフリッカ周期における明滅の谷からずれたタイミングとなるように設定される。また、本実施形態においては、既に、第2タイマーがスタートされている場合には、ステップS213において、新たに算出されたフリッカ周期に基づいて、第2タイマーのリセットタイミングを補正する。
【0085】
そして、このように設定された第2タイマーは、上述したステップS113における、被写体重視AGC制御を行なう際における、測光センサ137による電荷蓄積の開始タイミングの制御や、上述したステップS7における、撮像素子110で撮像を行なう際における、撮像用の電荷蓄積の開始タイミングの制御に用いられる。
【0086】
本実施形態のカメラ1は、以上のように動作する。
【0087】
本実施形態においては、被写界の測光を行うための測光用の蓄積時間Tp、シーン認識を行なうためのシーン認識用の蓄積時間TS、および光源のフリッカの検出を行うためのフリッカ検出用の蓄積時間TFを設定し、これら測光用の蓄積時間Tp、シーン認識用の蓄積時間TSおよびフリッカ検出用の蓄積時間TFを切り替えて、アンプゲインとともに、測光センサ137に出力することで、測光センサ制御部172に、測光用の電荷蓄積(ピークAGC制御)、シーン認識用の電荷蓄積(被写体重視AGC制御)またはフリッカ検出用の電荷蓄積(フリッカ検出制御)を行わせる。そのため、本実施形態によれば、新たなセンサを設けることなく、1つのセンサ(測光センサ137)で、フリッカ周期を良好に検出することができる。
【0088】
特に、本実施形態によれば、図7に示すように、ピークAGC制御と、被写体重視AGC制御とを繰り返し実行するとともに、所定の間隔で、ピークAGC制御に代えて、フリッカ検出制御を実行するような構成とすることにより、測光および露光制御を適切に行いながら、フリッカ検出を良好に行うことができる。また、このような構成とすることにより、フリッカ検出制御を所定の間隔で繰り返し実行することができ、これにより、算出されたフリッカ周期を、逐次補正することができ、これに基づいて、フリッカ周期に基づく第2タイマーを、逐次補正することができ、その結果、フリッカ周期の検出精度を向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、検出したフリッカ周期に基づいて、シーン認識用の電荷蓄積(被写体重視AGC制御)および撮像用の電荷蓄積のタイミングを、フリッカ周期における明滅の谷(輝度が極小となる点)のタイミングからずらすことができ、これにより、フリッカに起因するシーン認識精度の低下や、撮像画像の品質の低下を有効に防止することができる。
【0090】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0091】
たとえば、上述した実施形態では、測光センサ137で、ピークAGC制御、被写体重視AGC制御、およびフリッカ検出制御を行うような構成を例示したが、これらの制御を、撮像素子110で行なうような構成としてもよい。
【0092】
また、上述した実施形態では、第1タイマーのカウントが所定値以上となっているか否かに基づいて、ピークAGC制御および被写体重視AGCと、フリッカ検出制御の切り替えを行うような構成を例示したが、ピークAGC制御および被写体重視AGCを繰り返し、所定回数実行した場合に、フリッカ検出制御を実行するような構成としてもよい。
【0093】
さらに、上述した実施形態において、フリッカ周期を算出する際に、50Hzの電源のフリッカ周期である10.0msと、60Hzの電源のフリッカ周期である8.3msとのいずれに近いかを判断し、近い方の周期(すなわち、10.0msまたは8.3ms)をフリッカ周期として算出するような構成としてもよい。
【0094】
なお、本実施形態の撮像装置1は、上述した一眼レフデジタルカメラに限定されず、レンズ一体型デジタルスチルカメラにも適用できる。また、携帯電話機などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラ、ロボット用視覚認識装置等にも適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1…一眼レフデジタルカメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
137…測光センサ
150…操作部
160…焦点検出モジュール
170…カメラ制御部
171…A/Dコンバータ
172…測光センサ制御部
173…測光演算部
174…シーン認識部
175…フリッカ検出部
176…焦点検出演算部
200…レンズ鏡筒
212…フォーカスレンズ
230…フォーカスレンズ駆動モータ
250…レンズ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷蓄積型の測光素子と、
測光のための第1蓄積時間、および光源の周期的な輝度変化に起因するフリッカを検出するための第2蓄積時間のいずれか一方を、前記測光素子に送ることで、前記第1蓄積時間または前記第2蓄積時間で、前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる蓄積時間制御部と、
前記測光素子からの出力を取得する取得部と、
前記第1蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、測光を行なう測光部と、
前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、フリッカ検出を行うフリッカ検出部と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記取得部は、前記測光素子による電荷の蓄積が、前記第2蓄積時間で行なわれた場合には、前記測光素子からの出力を、間引いて読み出すことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記蓄積時間制御部は、前記第1蓄積時間と、前記第2蓄積時間とを周期的に切り替えて、前記測光素子に送ることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の撮像装置において、
前記測光素子からの出力に基づいて、撮影シーンの種別を認識するシーン認識部をさらに備え、
前記蓄積時間制御部は、前記シーン認識部により撮影シーンの種別の認識を行なう場合には、前記第1蓄積時間で前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる際に、前記測光素子による電荷の蓄積のタイミングが、前記フリッカの周期における、前記光源の光量が最も小さくなるタイミングと異なるタイミングとなるように、前記測光素子の蓄積時間を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の撮像装置において、
前記フリッカ検出部は、前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、フリッカ周期の検出を繰り返し行うことで、検出したフリッカ周期を補正することを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
電荷蓄積型の測光素子と、
測光のための第1蓄積時間、および光源の周期的な輝度変化に起因するフリッカを検出するための第2蓄積時間のいずれか一方を、前記測光素子に送ることで、前記第1蓄積時間または前記第2蓄積時間で、前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる蓄積時間制御部と、
前記測光素子からの出力を取得する取得部と、
前記第1蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、測光を行なう測光部と、
前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、フリッカ検出を行うフリッカ検出部と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記取得部は、前記測光素子による電荷の蓄積が、前記第2蓄積時間で行なわれた場合には、前記測光素子からの出力を、間引いて読み出すことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記蓄積時間制御部は、前記第1蓄積時間と、前記第2蓄積時間とを周期的に切り替えて、前記測光素子に送ることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の撮像装置において、
前記測光素子からの出力に基づいて、撮影シーンの種別を認識するシーン認識部をさらに備え、
前記蓄積時間制御部は、前記シーン認識部により撮影シーンの種別の認識を行なう場合には、前記第1蓄積時間で前記測光素子に電荷の蓄積を行わせる際に、前記測光素子による電荷の蓄積のタイミングが、前記フリッカの周期における、前記光源の光量が最も小さくなるタイミングと異なるタイミングとなるように、前記測光素子の蓄積時間を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の撮像装置において、
前記フリッカ検出部は、前記第2蓄積時間で蓄積された前記測光素子からの出力に基づいて、フリッカ周期の検出を繰り返し行うことで、検出したフリッカ周期を補正することを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−235325(P2012−235325A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102743(P2011−102743)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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