撮像装置
【課題】被写界の明るさ等に応じて、被写体光が表示部のパターンによって遮られる遮光画像が異なっても、遮光画像を精度よく特定して、その出力を補正できる撮像装置を提供する。
【解決手段】カメラ100は、被写体光を結像させる撮影光学系の光路中に配置され、所定のAF枠201を表示する表示部109と、複数の画素を有し、表示部109を介して結像された被写体光に応じた画素信号を出力する撮像部112と、複数の画素から出力された画素信号を検出して、AF枠201により遮光された画素を特定する特定部123aと、特定部123aにより特定された画素から出力された画素信号を補正する補正部123bと、を備える。
【解決手段】カメラ100は、被写体光を結像させる撮影光学系の光路中に配置され、所定のAF枠201を表示する表示部109と、複数の画素を有し、表示部109を介して結像された被写体光に応じた画素信号を出力する撮像部112と、複数の画素から出力された画素信号を検出して、AF枠201により遮光された画素を特定する特定部123aと、特定部123aにより特定された画素から出力された画素信号を補正する補正部123bと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファインダ画面に重ねて表示されるAFポイントマーク(AF枠)等の情報を、測光値演算やシーン解析を行うために、補間処理によって消去するカメラがあった(例えば特許文献1)。
しかし、実際には、撮影シーンに応じて被写界の明るさ等が異なるため、AFポイントマーク等で遮光された画素、つまり、補間すべき画素は、撮影毎に異なり、また、その出力も変化する。
この場合、補間すべき画素よりも広い範囲で補正すると、有効な画像データまで消去してしまうので、補間処理の精度が悪くなるおそれがある。逆に、補間すべき画素よりも狭い範囲で補正すると、AFポイントマーク等によって遮光された画素データを基に補間演算を行ってしまうので、やはり補間処理の精度が悪くなるおそれがある。
このように、従来のカメラは、AFポイントマーク等の情報を、適切に補間できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−215409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、被写界の明るさ等に応じて、被写体光が表示部のパターンによって遮られる遮光画像が異なっても、遮光画像を精度よく特定して、その出力を補正できる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
請求項1の発明は、被写体光を結像させる撮影光学系の光路中に配置され、所定のパターン(201)を表示する表示部(109)と、複数の画素を有し、前記表示部を介して結像された前記被写体光に応じた画素信号を出力する撮像部(112)と、前記複数の画素から出力された前記画素信号を検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定する特定部(123a)と、前記特定部により特定された画素から出力された画素信号を補正する補正部(123b)と、を備えることを特徴とする撮像装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記複数の画素は、行列状に配置されていることを特徴とする撮像装置である。
請求項2に記載の撮像装置において、前記特定部(123a)は、前記複数の画素のうち、少なくとも1列または1行から出力された画素信号を検出して、前記パターン(201)により遮光された画素を特定することを特徴とする撮像装置である。
請求項3の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記パターン(201)により遮光された画素を含むように予め定められた画素領域(301,601)を記憶する記憶部(115)を備え、前記特定部(123a)は、前記画素領域の端部の画素から隣接する画素を順次検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定することを特徴とする撮像装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記特定部(123a)は、検出された画素信号が所定閾値(Yth)未満のときに、前記パターンにより遮光された画素であると特定することを特徴とする撮像装置である。
請求項5の発明は、請求項5に記載の撮像装置において、前記補正部(123b)は、前記特定部(123a)により特定された画素に隣接する前記所定閾値(Yth)以上の画素信号を出力する画素に基づいて、補正することを特徴とする撮像装置である。
請求項6の発明は、請求項6に記載の撮像装置において、前記補正部(123b)は、前記特定部(123a)により特定された画素を線形補間により補正することを特徴とする撮像装置である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記パターン(201)は、測距範囲を表示するパターンであることを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被写体光が表示部のパターンによって遮られる遮光画像が異なっても、遮光画像を精度よく特定して、その出力を補正できる撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のカメラ100のブロック図である。
【図2】第1実施形態の表示部109の表示画面を示す図である。
【図3】第1実施形態のカメラ100の使用時の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の遮光画素特定処理(縦方向)を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の補間処理(縦方向)を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(縦方向)を説明する図である。
【図7】第1実施形態の検討枠301の画素出力Yを縦軸、画素の縦方向Vの座標を横軸に示すグラフである。
【図8】第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(横方向)を説明する図である。
【図9】第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(コーナ部)を説明する図である。
【図10】第2実施形態のカメラの遮光画素特定処理及び補間処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態のカメラ100の構成を説明する図である。
図2は、第1実施形態の表示部109の表示画面を示す図である。
カメラ100は、一眼レフレックスタイプのカメラである。
カメラ100は、操作部101と、レンズ102と、ミラー103と、シャッター104と、第1撮像部105と、メモリカードスロット106と、モニタ107と、表示部109と、プリズム110と、第2撮像部112と、接眼部113と、記憶部115と、制御部120とを備えている。
操作部101は、撮影者によって操作される。操作部101は、例えば、電源スイッチ、レリーズボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン、再生ボタン、削除ボタン等を備えている。
【0010】
レンズ102は、撮影光学系を構成する。レンズ102は、カメラボディに着脱可能なレンズ鏡筒内に収容される。なお、レンズ102は、複数の光学レンズから構成されるが、図1では、1枚のレンズで簡略して表す。レンズ102を通った被写体からの光線は、観察時には、ミラー103によってプリズム110の方向に導かれ、撮影時には、ミラー103が退避することにより、第1撮像部105の方向に導かれる。
【0011】
第1撮像部105は、例えば、CMOS、CCD等のイメージセンサーである。撮像時に、ミラー103が退避し、シャッター104が走行すると、レンズ102によって第1撮像部105に結像した被写体像が、制御部120により決定された露出で撮像される。第1撮像部105は、撮像により得られた撮像情報を制御部120へ出力する。
【0012】
メモリカードスロット106は、記憶媒体としてのメモリカードを挿入するためのスロットである。メモリカードスロット106は、制御部120からの指示に基づいて、第1撮像部105が取得した画像をメモリカードに書き込んで記録したり、メモリカード内に記憶されている画像を読み出したりする。
モニタ107は、カメラ100の背面等に搭載された液晶表示装置等である。モニタ107には、メモリカードに記憶されている画像や、カメラ100を設定するための設定メニュー等が表示される。
ファインダスクリーン108は、ミラー103によってプリズム110の方向に導かれた被写体光が結像される部材である。
【0013】
表示部109は、例えば、透過型の高分子分散型液晶表示装置である。
図2に示すように、表示部109は、AF(オートフォーカス)の測距範囲を示す3つのAF枠201(パターン)を表示する。AF枠201は、外形がほぼ長方形である。
図1に示すように、表示部109は、被写体光を結像させる撮影光学系の光路中に配置されている。ファインダスクリーン108に結像した被写体光は、さらに、プリズム110に導かれる途中で、表示部109を通過する。このため、AF枠201は、ファインダスクリーン108に結像した被写体光に、重ね合わせられて重畳される。AF枠201が重畳された被写体光は、プリズム110を通り、接眼部113及び測光レンズ111の両方に導かれる。
【0014】
第2撮像部112は、例えば、CMOSやCCD等のイメージセンサーである。第2撮像部112は、複数の画素が行列状に配置されている(図6参照)。測光レンズ111を通った被写体光は、第2撮像部112に結像する。第2撮像部112は、撮像情報を取得し、その画素出力を制御部120に出力する。この画素出力には、表示部109を介して結像された被写体光に応じた画素信号が含まれる。
【0015】
記憶部115は、SDRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置である。
SDRAMは、揮発性のメモリであって、CPU(中央処理装置)がプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。フラッシュメモリは、不揮発性のメモリであって、制御部120が実行するプログラムのデータや、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータ等が記録されている。
記憶部115は、第2撮像部112の画素出力を記憶したり、後述するように、補間後の画素出力に更新したりする。
【0016】
記憶部115は、検討枠記憶部115aを備える。
検討枠記憶部115aは、AF枠201に対応した大きさの検討枠301(画素領域)を予め記憶する記憶領域である(図6参照)。検討枠301は、第2撮像部112のうち被写体光がAF枠201によって遮光され、AF枠201が撮像に影響に与える範囲に対応して設定されている。つまり、検討枠301は、AF枠201により遮光された画素を含むように予め定められた画素領域に対応している。このため、検討枠301は、長方形の枠形状である。検討枠301の詳細は、後述する。
【0017】
制御部120は、CPU、その他の周辺回路により構成され、カメラ100を統括的に制御する制御装置である。
制御部120は、第1撮像制御部121と、第2撮像制御部122と、補間処理部123(補正部)、画素出力抽出部124と、撮影条件設定部125とを備える。
第1撮像制御部121は、第1撮像部105が取得した撮像情報に基づいて所定の画像形式、例えばJPEG形式の画像データを生成する。第1撮像制御部121は、生成した画像データに基づいて、表示用画像データ、例えばサムネイル画像データを作成する。制御部120は、生成した本画像データとサムネイル画像データとを含み、さらにヘッダ情報を付加した画像ファイルを生成し、メモリカードスロット106へ出力する。
本実施形態では、本画像データとサムネイル画像データは、いずれもRGB表色系で表された画像データである。
【0018】
第2撮像制御部122は、第2撮像部112を制御する制御部である。第2撮像制御部122は、第2撮像部112の画素出力を取得する。
補間処理部123は、第2撮像部112が取得した画素出力を補正する制御部である。補間処理部123は、特定部123aと、補正部123bとを備える。
特定部123aは、第2撮像部112の複数の画素から出力された画素信号を検出して、AF枠201により遮光された遮光画素を特定する制御部である。
補正部123bは、特定部123aにより特定された遮光画素から出力された画素信号を補間して補正する制御部である。
【0019】
画素出力抽出部124は、補正部123bによって補正された画素出力に基づいて、被写体の撮影条件を設定するための情報を抽出する制御部である。
撮影条件設定部125は、画素出力抽出部124が抽出した画素出力に基づいて、シーン設定や、露出決定等をする制御部である。
各制御部の処理の詳細は、後述する。
【0020】
次に、カメラ100の動作を説明する。
図3は、第1実施形態のカメラ100の使用時の動作を示すフローチャートである。
図4は、第1実施形態の遮光画素特定処理(縦方向)を示すフローチャートである。
図5は、第1実施形態の補間処理(縦方向)を示すフローチャートである。
図6は、第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(縦方向)を説明する図である。
図7は、第1実施形態の検討枠301の画素出力Yを縦軸、画素の縦方向Vの座標を横軸に示すグラフである。
図8は、第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(横方向)を説明する図である。
図9は、第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(コーナ部)を説明する図である。
【0021】
なお、以下、AF枠201の1つに対応する1つの検討枠301の補間について説明するが、他の2つに対応するAF枠201についても、同様である。
ステップS(以下「S」という)1では、第2撮像制御部122は、第2撮像部112を制御して、取得した画像出力を記憶部115に記憶させる。
第2撮像部112に導かれる光は、表示部109を通ったものである。このため、第2撮像部112が取得した画素出力には、既に、AF枠201によって被写体光が遮られた遮光画素の画素出力(遮光画素出力)が重畳されている。遮光画素の画素出力は、周辺の出力よりも低くなっている(図7(a)に示す補間範囲A参照)。
S2では、図6に示すように、特定部123aは、S1で取得した画素出力のうち、検討枠301内の平均出力値を計算し、これを補間閾値Ythに設定する。
【0022】
[縦方向スキャン]
S3では、特定部123aは、遮光画素特定処理(縦方向)を行う。
特定部123aは、検討枠301のうち、縦方向(列方向)に配列された画素の画素出力を縦方向にスキャンする。
図6に太線で示す範囲304のように、この例では、縦方向に配列された画素は、上側及び下側に各9列、合計18列である。
【0023】
(S3:遮光画素特定処理(縦方向))
図4、図6を参照して、遮光画素特定処理(縦方向)について説明する。
遮光画素特定処理(縦方向)は、第2撮像部112の画素のうち、AF枠201によって被写体光を遮られた遮光画素を特定する処理である。
S301では、特定部123aは、範囲304内の内側の遮光画素を特定する処理を開始する。
S302では、特定部123aは、検討枠301よりも内側の画素303aの1つ外側の画素、つまり検討枠301の最も内側の画素X11を選択する。
【0024】
S303では、特定部123aは、選択した画素X11の画素出力を補間閾値Ythと比較して補間閾値Ythよりも小さいか否かを判定する。特定部123aは、選択した画素出力が補間閾値Ythよりも小さいと判定した場合には(S303:YES)、S304に進み、一方、補間閾値Ythよりも小さくない判定した場合には(S303:NO)、つまり、補間閾値Yth以上であると判定した場合には、S303aに進む。
S303aでは、特定部123aは、選択した画素よりもさらに1つ下側の画素を選択して、S303の処理を繰り返す。
【0025】
S304では、特定部123aは、画素出力が補間閾値Ythよりも小さいと判定した画素を、内側の遮光画素に設定する。
上記S301〜S304の処理によって、図6に示すように、特定部123aは、検討枠301の内側の画素303aから1つずつ外側の画素を順次選択して、その画素出力と補間閾値Ythとを比較し、その判定結果に基づいて遮光画素を特定することになる。これにより、検討枠301内において、AF枠201が撮像された画素のうち最も内側の遮光画素(図6の例では遮光画素B1)を設定できる。
【0026】
遮光画素が配置された遮光画素領域302は、AF枠201の周囲の明るさ等に応じて異なる。つまり、遮光画素領域302は、撮影毎に異なる。遮光画素領域302は、例えば、被写界が明るければ幅が狭くなり、逆に、被写界が暗ければ幅が広くなる。また、図6に示すように、AF枠201が長方形であっても、遮光画素領域302は、通常は、長方形の枠形状にならない。さらに、AF枠201の数が多い場合には(例えば数十個)、AF枠201が撮影条件に与える影響が大きくなる。このため、適切に撮影条件を設定したり、顔認証機能等のシーン解析の精度を向上する場合には、遮光画素を精度よく特定してその出力を補間する必要がある。
実施形態では、検討枠301の範囲を予め実験等で求め、遮光画素領域302よりも十分に広い領域を検討枠301として、カメラ製造時等に検討枠記憶部115aに記録しておく。そして、特定部123aは、遮光画素を特定するために、検討枠301内の画素が実際に被写界を撮像した画素出力を利用し、かつ、補間閾値Ythを検討枠301内の画素出力に基づいて算出する。このため、遮光画素領域302が撮影毎に異なっても特定部123aは、遮光画素を精度よく特定できる。
【0027】
S305〜S308では、特定部123aは、S301〜S304と同様に、同列の画素のうち、検討枠301内の最も外側の遮光画素を判定する。
すなわち、特定部123aは、検討枠301よりも外側の画素303bの1つ内側の画素、つまり検討枠301の最も外側の画素X13を選択する(S305)。
そして、特定部123aは、内側の画素を順次選択して、画素出力を補間閾値Ythと比較して補間閾値Ythよりも小さいか否かを判定し(S307)、画素出力が補間閾値Ythよりも小さいと判定した遮光画素B4を、外側の遮光画素に特定する(S308)。
【0028】
S309では、特定部123aは、縦方向のスキャンが18列について全て終了したか否かを判定する。特定部123aは、縦方向のスキャンが18列について全て終了したと判定した場合には(S309:YES)、S310に進んでメイン処理のS4に戻り、一方、縦方向のスキャンが全て終了していないと判定した場合には(S309:NO)、S309aに進む。
S309aでは、特定部123aは、他の列を選択して、S309の処理を繰り返す。なお、特定部123aが列を選択する順序は、限定されない。特定部123aは、例えば、時計回りに列を選択してもよいし、検討枠301の上下に同列に配列された2列を順に選択し、左側から右側に順に選択してもよい。
【0029】
図3に戻り、S4では、特定部123aは、S3で特定した遮光画素B1及び遮光画素B4を利用して、遮光画素領域302内の縦方向に配列された遮光画素の補間処理を行う。
(S4:補間処理(縦方向))
図5〜図7を参照して、補正部123bの補間処理(縦方向)について説明する。
S401では、補正部123bは、遮光画素B1の1つ内側の画素X11(座標H11,V11)を選択して、記憶部115からその画素出力Y11(図7参照)を読み出す。
S402では、補正部123bは、遮光画素B4の1つ外側の画素X12(座標H12,V12)を選択して、記憶部115からその画素出力Y12(図7参照)を読み出す。
【0030】
S403では、補正部123bは、図7に示すように、V11の出力Y11とV12の出力Y12の間を結ぶ線分Cによって、遮光画素B1〜B4の出力を線形補間する。
遮光画素B1〜B4の出力をそれぞれ出力Y1〜Y4とすれば、補間後の遮光画素B1〜B4の出力Y(Y=Y1〜Y4)は、以下の式1で表すことができる。
Y={(Y11−Y12)×V+(Y12×V11−Y11×V12)}/(V11−V12)・・・式1
【0031】
例えば、遮光画素B1の出力Y1は、以下のようになる。
Y1={(Y11−Y12)×V1+(Y12×V11−Y11×V12)}/(V11−V12)
遮光画素B1の補間後の画素出力を、図7(a)に破線で示す。
図7(b)に示すように、補正部123bは、式1に基づいて、遮光画素B2〜B4についても同様に補間処理を行い、補間後の画素出力Y2〜Y4を求める。補正部123bは、記憶部115の画素出力を、補間後の出力に置き換えて、S404に進む。
【0032】
S404では、補正部123bは、縦方向18列全ての補間処理が終了したか否かを判定する。補正部123bは、18列全てが終了したと判定した場合には(S404:YES)、S405に進んでメイン処理のS5に戻り、一方、全て終了していないと判定した場合には(S404:NO)、S404aに進む。
S404aでは、補正部123bは、他の列に移動して、S401からの補間処理を繰り返す。
【0033】
[横方向スキャン]
図3に戻り、S5では、補正部123bは、遮光画素特定処理(横方向)を行う。補正部123bは、検討枠301のうち、横方向(行方向)に配列された画素の画素出力を横方向にスキャンする。
図8に太線で示す範囲404のように、この例では、横方向に配列された画素は、左側及び右側に各3行、合計6行である。
補正部123bは、遮光画素特定処理(横方向)を、S3の遮光画素特定処理(縦方向)と同様に行う。つまり、補正部123bは、画素403aから順次外側の画素を選択し、その画素出力と補間閾値Ythとを比較して、内側の遮光画素B5を特定する。また、補正部123bは、画素403bから順次内側の画素を選択し、その画素出力と補間閾値Ythとを比較して、外側の遮光画素B8を特定する。
補正部123bは、横方向のスキャンが6行について全て終了すると、S6に進む。
【0034】
S6では、補正部123bは、補間処理(横方向)を行う。
補正部123bは、補間処理(横方向)を、S4の補間処理(縦方向)と同様に行う。
図8の例では、遮光画素B5の1つ内側の画素X21(座標H21,V21)、遮光画素B8の1つ外側の画素X22(座標H22,V22)の画素出力を記憶部115から読み出す。これらの画素出力がそれぞれ出力Y21,Y21である場合、遮光画素B(B=B5〜B8)の補間後の出力Y(Y=Y5〜Y8)は、式1と同様にして、以下の式2で表すことができる。
Y={(Y21−Y22)×H+(Y22×H21−Y21×H22)}/(H21−H22)・・・式2
例えば、遮光画素B5の補間後の出力Y5は、以下のようになる。
Y5={(Y21−Y22)×H5+(Y22×H21−Y21×H22)}/(H21−H22)
補正部123bは、記憶部115の画素出力を、補間後の画素出力に置き換える。
補正部123bは、上記補間処理を左右方向の6行全てについて終了すると、S7に進む。
【0035】
[コーナ部スキャン]
S7では、図9に示すように、補間処理部123は、検討枠301のコーナ部504の画素の補間を行う。
図9には、S4,S6で縦方向及び左右方向の補間が終わっている画素を空白で表す。
図9に太線で示すように、コーナ部504に配列された画素とは、検討枠301内の画素のうち4つのコーナ部504に配置され、前述した縦方向及び横方向の画素に含まれないものをいう。
【0036】
特定部123aは、コーナ部504よりも1つ右側に配置された補間済みの画素X31を選択する。そして、特定部123aは、画素X31よりも1つ外側の画素、つまりコーナ部504の最も内側の画素B9を選択する。
そして、特定部123aは、S3の遮光画素特定処理(縦方向)と同様に、画素401aから順次外側の画素の画素出力と、補間閾値Ythとを比較して遮光画素を特定し、また、画素401bから順次内側の画素の画素出力と、補間閾値Ythとを比較し遮光画素を特定する。
図9の例では、特定部123aは、内側の遮光画素を遮光画素B9と特定し、外側の遮光画素を遮光画素B13と特定する。
【0037】
S8では、補正部123bは、補間処理(コーナ部)を行う。
補正部123bは、補間処理(コーナ部)を、S4の補間処理(縦方向)と同様に、線形補間によって行う。
補正部123bは、記憶部115の画素出力を、補間後の出力に置き換える。
なお、実施形態では、コーナ部504の補間処理を横方向のスキャンによって行うが、縦方向スキャンによって行ってもよい。
補正部123bは、上記補間処理をコーナ部504全てについて終了すると、S9に進む。
【0038】
S9では、画素出力抽出部124は、補間処理によって置き換えられた画素出力を、記憶部115から抽出する。そして、撮影条件設定部125は、抽出した画素出力に基づいて、シーン解析を行う。抽出した画素出力は、既にAF枠201が補間されている画像なので、撮影条件設定部125は、精度よくシーン解析を行うことができる。
【0039】
S10では、撮影条件設定部125は、シーン解析結果を用いて、公知の自動露出及びオートフォーカス処理を行う。
S11では、制御部120は、レリーズボタンの出力に基づいて、レリーズ操作されたか否かを判定する。制御部120は、レリーズ操作されたと判定した場合には(S11:YES)、S12に進み、一方、レリーズ操作されていないと判定した場合には(S11:NO)、S1からの処理を繰り返す。
S12では、制御部120は、第1撮像部105により撮像を行う。
S13では、制御部120は、電源スイッチ等が操作されることにより、撮影終了か否かを判断する。制御部120は、撮影終了と判断した場合には(S13:YES)、S14に進んで一連の処理を終了し、一方、撮影終了ではないと判定した場合には(S13:NO)、S1からの処理を繰り返す。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のカメラ100は、以下の効果を奏する。
(1)第2撮像部112の出力に基づいて遮光画素を特定してその出力を補正するので、被写界の明るさ等に応じて遮光画素領域302が変化しても、遮光画素を精度よく特定し、露出条件、シーン設定等の撮影条件を精度よく設定できる。
(2)第2撮像部112の画素が行列状に配置されているので、AF枠201のような二次元のパターン形状を配置できる。
(3)そして、行列状に配置された配置された画素信号を検出して、AF枠201により遮光された遮光画素を特定するので、二次元のパターン形状であっても、遮光画素を特定できる。また、パターンが複雑な形状であっても特定できる。
【0041】
(4)検討枠301の端部の画素から隣接する画素を順次検出して、AF枠201により遮光された画素を特定するので、第2撮像部112全体をスキャンする必要がないので、処理が簡単である。
(5)検出された画素信号が補間閾値Yth未満のときに、AF枠201により遮光された遮光画素であると特定するので、遮光画素の特定が容易である。また、補間閾値Ythを検討枠301近傍の画素の画素出力に基づいて決定するので、実際の被写界の輝度等に応じて、適切な補間閾値Ythに設定できる。
(6)遮光画素に隣接し補間閾値Yth以上と判定された画素の画素出力に基づいて補間するので、遮光画素の画素出力を、実際の被写体情報に近い出力に補正できる。
(7)遮光画素の画素出力を線形補間するので、処理が簡単である。
【0042】
(8)コーナ部504は、縦方向(又は横方向)の補間処理を行った後、横方向(又は縦方向)にスキャンして補間処理を行うので、コーナ部504を有するAF枠201に対しても、精度よく補間できる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図10は、第2実施形態のカメラの遮光画素特定処理及び補間処理を説明する図である。
第2実施形態では、補間処理部(図1に示す補間処理部123参照)は、遮光画素領域602の幅Dが一定であるとして、以下の手順で遮光画素特定処理及び補間処理を行う。
【0044】
(1)補間処理部は、画素603a及び画素603b間で1度だけ遮光画素特定処理を行い、遮光画素B61,B64を決定する。
(2)補間処理部は、遮光画素B61の内側の画素X61を含む周領域605、遮光画素B64の外側の画素X62を含む周領域606を求める。
(3)補間処理部は、その他の列及び行について遮光画素特定処理することなく、周領域605及び周領域606間の領域を、遮光画素領域602に設定する。
(4)補間処理部は、周領域605内の画素出力及び周領域606内の画素出力を記憶部115から読み出して、第1実施形態と同様に、補間処理を行う。
(5)その後の処理は、第1実施形態と同様である(図3のS7以降参照)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のカメラは、遮光画素特定処理を簡単に処理できる。AF枠は、明るさに応じて影響を受ける領域が変化するが、その変化する度合いは、ほぼ一定であると考えられる。このため、本実施形態のように遮光画素特定処理を行っても、精度よい特定処理を期待できる。
【0046】
なお、補間処理部は、遮光画素特定処理を上下左右の4カ所についてそれぞれ行い、その結果に基づいて、補間処理を左右上下のそれぞれの領域に対して行ってもよい。これにより、補間処理部は、遮光画素特定処理及び補間処理を、より精度よく行うことができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0048】
(変形形態)
(1)実施形態において、表示部は、AF枠を表示する例を示したが、これに限定されない。例えば、表示部は、電池残量を示すマーク等、他のパターンを表示してもよい。
【0049】
(2)実施形態において、AF枠は、表示部に表示される例を示したが、これに限定されない。例えば、ファインダスクリーンに設けられた刻印等でもよい。
【0050】
(3)実施形態において、カメラは、一眼レフレックスである例を示したが、これに限定されない。例えば、撮像素子部として、第1撮像素子のみを有するコンパクトカメラであってもよい。この場合には、第1撮像素子の画素出力を利用して、遮光画素特定処理及び補間処理をすればよい。
【0051】
(4)実施形態において、第2撮像部の撮像情報は、主に、撮影条件を設定するために利用する例を説明したが、これに限定されない。例えば、ライブビューモード時には、第2撮像部が取得した撮像情報を、被写体の観察用にモニタ表示してもよい。
【0052】
(5)実施形態において、複数の画素を縦方向(列方向)及び横方向(行方向)にスキャンする例を示したが、これに限定されない。複数の画素の出力の少なくとも1列または1行から出力された画素信号を検出して、遮光画素を特定してもよい。
【符号の説明】
【0053】
100…カメラ 109…表示部 112…第2撮像部 115…記憶部 115a…検討枠記憶部 120…制御部 122…第2撮像制御部 123…補間処理部 123a…特定部 123b…補正部 124…画素出力抽出部 125…撮影条件設定部 201…AF枠 301…検討枠 302,602…遮光画素領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファインダ画面に重ねて表示されるAFポイントマーク(AF枠)等の情報を、測光値演算やシーン解析を行うために、補間処理によって消去するカメラがあった(例えば特許文献1)。
しかし、実際には、撮影シーンに応じて被写界の明るさ等が異なるため、AFポイントマーク等で遮光された画素、つまり、補間すべき画素は、撮影毎に異なり、また、その出力も変化する。
この場合、補間すべき画素よりも広い範囲で補正すると、有効な画像データまで消去してしまうので、補間処理の精度が悪くなるおそれがある。逆に、補間すべき画素よりも狭い範囲で補正すると、AFポイントマーク等によって遮光された画素データを基に補間演算を行ってしまうので、やはり補間処理の精度が悪くなるおそれがある。
このように、従来のカメラは、AFポイントマーク等の情報を、適切に補間できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−215409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、被写界の明るさ等に応じて、被写体光が表示部のパターンによって遮られる遮光画像が異なっても、遮光画像を精度よく特定して、その出力を補正できる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
請求項1の発明は、被写体光を結像させる撮影光学系の光路中に配置され、所定のパターン(201)を表示する表示部(109)と、複数の画素を有し、前記表示部を介して結像された前記被写体光に応じた画素信号を出力する撮像部(112)と、前記複数の画素から出力された前記画素信号を検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定する特定部(123a)と、前記特定部により特定された画素から出力された画素信号を補正する補正部(123b)と、を備えることを特徴とする撮像装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記複数の画素は、行列状に配置されていることを特徴とする撮像装置である。
請求項2に記載の撮像装置において、前記特定部(123a)は、前記複数の画素のうち、少なくとも1列または1行から出力された画素信号を検出して、前記パターン(201)により遮光された画素を特定することを特徴とする撮像装置である。
請求項3の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記パターン(201)により遮光された画素を含むように予め定められた画素領域(301,601)を記憶する記憶部(115)を備え、前記特定部(123a)は、前記画素領域の端部の画素から隣接する画素を順次検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定することを特徴とする撮像装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記特定部(123a)は、検出された画素信号が所定閾値(Yth)未満のときに、前記パターンにより遮光された画素であると特定することを特徴とする撮像装置である。
請求項5の発明は、請求項5に記載の撮像装置において、前記補正部(123b)は、前記特定部(123a)により特定された画素に隣接する前記所定閾値(Yth)以上の画素信号を出力する画素に基づいて、補正することを特徴とする撮像装置である。
請求項6の発明は、請求項6に記載の撮像装置において、前記補正部(123b)は、前記特定部(123a)により特定された画素を線形補間により補正することを特徴とする撮像装置である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記パターン(201)は、測距範囲を表示するパターンであることを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被写体光が表示部のパターンによって遮られる遮光画像が異なっても、遮光画像を精度よく特定して、その出力を補正できる撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のカメラ100のブロック図である。
【図2】第1実施形態の表示部109の表示画面を示す図である。
【図3】第1実施形態のカメラ100の使用時の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の遮光画素特定処理(縦方向)を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の補間処理(縦方向)を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(縦方向)を説明する図である。
【図7】第1実施形態の検討枠301の画素出力Yを縦軸、画素の縦方向Vの座標を横軸に示すグラフである。
【図8】第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(横方向)を説明する図である。
【図9】第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(コーナ部)を説明する図である。
【図10】第2実施形態のカメラの遮光画素特定処理及び補間処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態のカメラ100の構成を説明する図である。
図2は、第1実施形態の表示部109の表示画面を示す図である。
カメラ100は、一眼レフレックスタイプのカメラである。
カメラ100は、操作部101と、レンズ102と、ミラー103と、シャッター104と、第1撮像部105と、メモリカードスロット106と、モニタ107と、表示部109と、プリズム110と、第2撮像部112と、接眼部113と、記憶部115と、制御部120とを備えている。
操作部101は、撮影者によって操作される。操作部101は、例えば、電源スイッチ、レリーズボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン、再生ボタン、削除ボタン等を備えている。
【0010】
レンズ102は、撮影光学系を構成する。レンズ102は、カメラボディに着脱可能なレンズ鏡筒内に収容される。なお、レンズ102は、複数の光学レンズから構成されるが、図1では、1枚のレンズで簡略して表す。レンズ102を通った被写体からの光線は、観察時には、ミラー103によってプリズム110の方向に導かれ、撮影時には、ミラー103が退避することにより、第1撮像部105の方向に導かれる。
【0011】
第1撮像部105は、例えば、CMOS、CCD等のイメージセンサーである。撮像時に、ミラー103が退避し、シャッター104が走行すると、レンズ102によって第1撮像部105に結像した被写体像が、制御部120により決定された露出で撮像される。第1撮像部105は、撮像により得られた撮像情報を制御部120へ出力する。
【0012】
メモリカードスロット106は、記憶媒体としてのメモリカードを挿入するためのスロットである。メモリカードスロット106は、制御部120からの指示に基づいて、第1撮像部105が取得した画像をメモリカードに書き込んで記録したり、メモリカード内に記憶されている画像を読み出したりする。
モニタ107は、カメラ100の背面等に搭載された液晶表示装置等である。モニタ107には、メモリカードに記憶されている画像や、カメラ100を設定するための設定メニュー等が表示される。
ファインダスクリーン108は、ミラー103によってプリズム110の方向に導かれた被写体光が結像される部材である。
【0013】
表示部109は、例えば、透過型の高分子分散型液晶表示装置である。
図2に示すように、表示部109は、AF(オートフォーカス)の測距範囲を示す3つのAF枠201(パターン)を表示する。AF枠201は、外形がほぼ長方形である。
図1に示すように、表示部109は、被写体光を結像させる撮影光学系の光路中に配置されている。ファインダスクリーン108に結像した被写体光は、さらに、プリズム110に導かれる途中で、表示部109を通過する。このため、AF枠201は、ファインダスクリーン108に結像した被写体光に、重ね合わせられて重畳される。AF枠201が重畳された被写体光は、プリズム110を通り、接眼部113及び測光レンズ111の両方に導かれる。
【0014】
第2撮像部112は、例えば、CMOSやCCD等のイメージセンサーである。第2撮像部112は、複数の画素が行列状に配置されている(図6参照)。測光レンズ111を通った被写体光は、第2撮像部112に結像する。第2撮像部112は、撮像情報を取得し、その画素出力を制御部120に出力する。この画素出力には、表示部109を介して結像された被写体光に応じた画素信号が含まれる。
【0015】
記憶部115は、SDRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置である。
SDRAMは、揮発性のメモリであって、CPU(中央処理装置)がプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。フラッシュメモリは、不揮発性のメモリであって、制御部120が実行するプログラムのデータや、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータ等が記録されている。
記憶部115は、第2撮像部112の画素出力を記憶したり、後述するように、補間後の画素出力に更新したりする。
【0016】
記憶部115は、検討枠記憶部115aを備える。
検討枠記憶部115aは、AF枠201に対応した大きさの検討枠301(画素領域)を予め記憶する記憶領域である(図6参照)。検討枠301は、第2撮像部112のうち被写体光がAF枠201によって遮光され、AF枠201が撮像に影響に与える範囲に対応して設定されている。つまり、検討枠301は、AF枠201により遮光された画素を含むように予め定められた画素領域に対応している。このため、検討枠301は、長方形の枠形状である。検討枠301の詳細は、後述する。
【0017】
制御部120は、CPU、その他の周辺回路により構成され、カメラ100を統括的に制御する制御装置である。
制御部120は、第1撮像制御部121と、第2撮像制御部122と、補間処理部123(補正部)、画素出力抽出部124と、撮影条件設定部125とを備える。
第1撮像制御部121は、第1撮像部105が取得した撮像情報に基づいて所定の画像形式、例えばJPEG形式の画像データを生成する。第1撮像制御部121は、生成した画像データに基づいて、表示用画像データ、例えばサムネイル画像データを作成する。制御部120は、生成した本画像データとサムネイル画像データとを含み、さらにヘッダ情報を付加した画像ファイルを生成し、メモリカードスロット106へ出力する。
本実施形態では、本画像データとサムネイル画像データは、いずれもRGB表色系で表された画像データである。
【0018】
第2撮像制御部122は、第2撮像部112を制御する制御部である。第2撮像制御部122は、第2撮像部112の画素出力を取得する。
補間処理部123は、第2撮像部112が取得した画素出力を補正する制御部である。補間処理部123は、特定部123aと、補正部123bとを備える。
特定部123aは、第2撮像部112の複数の画素から出力された画素信号を検出して、AF枠201により遮光された遮光画素を特定する制御部である。
補正部123bは、特定部123aにより特定された遮光画素から出力された画素信号を補間して補正する制御部である。
【0019】
画素出力抽出部124は、補正部123bによって補正された画素出力に基づいて、被写体の撮影条件を設定するための情報を抽出する制御部である。
撮影条件設定部125は、画素出力抽出部124が抽出した画素出力に基づいて、シーン設定や、露出決定等をする制御部である。
各制御部の処理の詳細は、後述する。
【0020】
次に、カメラ100の動作を説明する。
図3は、第1実施形態のカメラ100の使用時の動作を示すフローチャートである。
図4は、第1実施形態の遮光画素特定処理(縦方向)を示すフローチャートである。
図5は、第1実施形態の補間処理(縦方向)を示すフローチャートである。
図6は、第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(縦方向)を説明する図である。
図7は、第1実施形態の検討枠301の画素出力Yを縦軸、画素の縦方向Vの座標を横軸に示すグラフである。
図8は、第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(横方向)を説明する図である。
図9は、第1実施形態の検討枠301を拡大して遮光画素特定処理(コーナ部)を説明する図である。
【0021】
なお、以下、AF枠201の1つに対応する1つの検討枠301の補間について説明するが、他の2つに対応するAF枠201についても、同様である。
ステップS(以下「S」という)1では、第2撮像制御部122は、第2撮像部112を制御して、取得した画像出力を記憶部115に記憶させる。
第2撮像部112に導かれる光は、表示部109を通ったものである。このため、第2撮像部112が取得した画素出力には、既に、AF枠201によって被写体光が遮られた遮光画素の画素出力(遮光画素出力)が重畳されている。遮光画素の画素出力は、周辺の出力よりも低くなっている(図7(a)に示す補間範囲A参照)。
S2では、図6に示すように、特定部123aは、S1で取得した画素出力のうち、検討枠301内の平均出力値を計算し、これを補間閾値Ythに設定する。
【0022】
[縦方向スキャン]
S3では、特定部123aは、遮光画素特定処理(縦方向)を行う。
特定部123aは、検討枠301のうち、縦方向(列方向)に配列された画素の画素出力を縦方向にスキャンする。
図6に太線で示す範囲304のように、この例では、縦方向に配列された画素は、上側及び下側に各9列、合計18列である。
【0023】
(S3:遮光画素特定処理(縦方向))
図4、図6を参照して、遮光画素特定処理(縦方向)について説明する。
遮光画素特定処理(縦方向)は、第2撮像部112の画素のうち、AF枠201によって被写体光を遮られた遮光画素を特定する処理である。
S301では、特定部123aは、範囲304内の内側の遮光画素を特定する処理を開始する。
S302では、特定部123aは、検討枠301よりも内側の画素303aの1つ外側の画素、つまり検討枠301の最も内側の画素X11を選択する。
【0024】
S303では、特定部123aは、選択した画素X11の画素出力を補間閾値Ythと比較して補間閾値Ythよりも小さいか否かを判定する。特定部123aは、選択した画素出力が補間閾値Ythよりも小さいと判定した場合には(S303:YES)、S304に進み、一方、補間閾値Ythよりも小さくない判定した場合には(S303:NO)、つまり、補間閾値Yth以上であると判定した場合には、S303aに進む。
S303aでは、特定部123aは、選択した画素よりもさらに1つ下側の画素を選択して、S303の処理を繰り返す。
【0025】
S304では、特定部123aは、画素出力が補間閾値Ythよりも小さいと判定した画素を、内側の遮光画素に設定する。
上記S301〜S304の処理によって、図6に示すように、特定部123aは、検討枠301の内側の画素303aから1つずつ外側の画素を順次選択して、その画素出力と補間閾値Ythとを比較し、その判定結果に基づいて遮光画素を特定することになる。これにより、検討枠301内において、AF枠201が撮像された画素のうち最も内側の遮光画素(図6の例では遮光画素B1)を設定できる。
【0026】
遮光画素が配置された遮光画素領域302は、AF枠201の周囲の明るさ等に応じて異なる。つまり、遮光画素領域302は、撮影毎に異なる。遮光画素領域302は、例えば、被写界が明るければ幅が狭くなり、逆に、被写界が暗ければ幅が広くなる。また、図6に示すように、AF枠201が長方形であっても、遮光画素領域302は、通常は、長方形の枠形状にならない。さらに、AF枠201の数が多い場合には(例えば数十個)、AF枠201が撮影条件に与える影響が大きくなる。このため、適切に撮影条件を設定したり、顔認証機能等のシーン解析の精度を向上する場合には、遮光画素を精度よく特定してその出力を補間する必要がある。
実施形態では、検討枠301の範囲を予め実験等で求め、遮光画素領域302よりも十分に広い領域を検討枠301として、カメラ製造時等に検討枠記憶部115aに記録しておく。そして、特定部123aは、遮光画素を特定するために、検討枠301内の画素が実際に被写界を撮像した画素出力を利用し、かつ、補間閾値Ythを検討枠301内の画素出力に基づいて算出する。このため、遮光画素領域302が撮影毎に異なっても特定部123aは、遮光画素を精度よく特定できる。
【0027】
S305〜S308では、特定部123aは、S301〜S304と同様に、同列の画素のうち、検討枠301内の最も外側の遮光画素を判定する。
すなわち、特定部123aは、検討枠301よりも外側の画素303bの1つ内側の画素、つまり検討枠301の最も外側の画素X13を選択する(S305)。
そして、特定部123aは、内側の画素を順次選択して、画素出力を補間閾値Ythと比較して補間閾値Ythよりも小さいか否かを判定し(S307)、画素出力が補間閾値Ythよりも小さいと判定した遮光画素B4を、外側の遮光画素に特定する(S308)。
【0028】
S309では、特定部123aは、縦方向のスキャンが18列について全て終了したか否かを判定する。特定部123aは、縦方向のスキャンが18列について全て終了したと判定した場合には(S309:YES)、S310に進んでメイン処理のS4に戻り、一方、縦方向のスキャンが全て終了していないと判定した場合には(S309:NO)、S309aに進む。
S309aでは、特定部123aは、他の列を選択して、S309の処理を繰り返す。なお、特定部123aが列を選択する順序は、限定されない。特定部123aは、例えば、時計回りに列を選択してもよいし、検討枠301の上下に同列に配列された2列を順に選択し、左側から右側に順に選択してもよい。
【0029】
図3に戻り、S4では、特定部123aは、S3で特定した遮光画素B1及び遮光画素B4を利用して、遮光画素領域302内の縦方向に配列された遮光画素の補間処理を行う。
(S4:補間処理(縦方向))
図5〜図7を参照して、補正部123bの補間処理(縦方向)について説明する。
S401では、補正部123bは、遮光画素B1の1つ内側の画素X11(座標H11,V11)を選択して、記憶部115からその画素出力Y11(図7参照)を読み出す。
S402では、補正部123bは、遮光画素B4の1つ外側の画素X12(座標H12,V12)を選択して、記憶部115からその画素出力Y12(図7参照)を読み出す。
【0030】
S403では、補正部123bは、図7に示すように、V11の出力Y11とV12の出力Y12の間を結ぶ線分Cによって、遮光画素B1〜B4の出力を線形補間する。
遮光画素B1〜B4の出力をそれぞれ出力Y1〜Y4とすれば、補間後の遮光画素B1〜B4の出力Y(Y=Y1〜Y4)は、以下の式1で表すことができる。
Y={(Y11−Y12)×V+(Y12×V11−Y11×V12)}/(V11−V12)・・・式1
【0031】
例えば、遮光画素B1の出力Y1は、以下のようになる。
Y1={(Y11−Y12)×V1+(Y12×V11−Y11×V12)}/(V11−V12)
遮光画素B1の補間後の画素出力を、図7(a)に破線で示す。
図7(b)に示すように、補正部123bは、式1に基づいて、遮光画素B2〜B4についても同様に補間処理を行い、補間後の画素出力Y2〜Y4を求める。補正部123bは、記憶部115の画素出力を、補間後の出力に置き換えて、S404に進む。
【0032】
S404では、補正部123bは、縦方向18列全ての補間処理が終了したか否かを判定する。補正部123bは、18列全てが終了したと判定した場合には(S404:YES)、S405に進んでメイン処理のS5に戻り、一方、全て終了していないと判定した場合には(S404:NO)、S404aに進む。
S404aでは、補正部123bは、他の列に移動して、S401からの補間処理を繰り返す。
【0033】
[横方向スキャン]
図3に戻り、S5では、補正部123bは、遮光画素特定処理(横方向)を行う。補正部123bは、検討枠301のうち、横方向(行方向)に配列された画素の画素出力を横方向にスキャンする。
図8に太線で示す範囲404のように、この例では、横方向に配列された画素は、左側及び右側に各3行、合計6行である。
補正部123bは、遮光画素特定処理(横方向)を、S3の遮光画素特定処理(縦方向)と同様に行う。つまり、補正部123bは、画素403aから順次外側の画素を選択し、その画素出力と補間閾値Ythとを比較して、内側の遮光画素B5を特定する。また、補正部123bは、画素403bから順次内側の画素を選択し、その画素出力と補間閾値Ythとを比較して、外側の遮光画素B8を特定する。
補正部123bは、横方向のスキャンが6行について全て終了すると、S6に進む。
【0034】
S6では、補正部123bは、補間処理(横方向)を行う。
補正部123bは、補間処理(横方向)を、S4の補間処理(縦方向)と同様に行う。
図8の例では、遮光画素B5の1つ内側の画素X21(座標H21,V21)、遮光画素B8の1つ外側の画素X22(座標H22,V22)の画素出力を記憶部115から読み出す。これらの画素出力がそれぞれ出力Y21,Y21である場合、遮光画素B(B=B5〜B8)の補間後の出力Y(Y=Y5〜Y8)は、式1と同様にして、以下の式2で表すことができる。
Y={(Y21−Y22)×H+(Y22×H21−Y21×H22)}/(H21−H22)・・・式2
例えば、遮光画素B5の補間後の出力Y5は、以下のようになる。
Y5={(Y21−Y22)×H5+(Y22×H21−Y21×H22)}/(H21−H22)
補正部123bは、記憶部115の画素出力を、補間後の画素出力に置き換える。
補正部123bは、上記補間処理を左右方向の6行全てについて終了すると、S7に進む。
【0035】
[コーナ部スキャン]
S7では、図9に示すように、補間処理部123は、検討枠301のコーナ部504の画素の補間を行う。
図9には、S4,S6で縦方向及び左右方向の補間が終わっている画素を空白で表す。
図9に太線で示すように、コーナ部504に配列された画素とは、検討枠301内の画素のうち4つのコーナ部504に配置され、前述した縦方向及び横方向の画素に含まれないものをいう。
【0036】
特定部123aは、コーナ部504よりも1つ右側に配置された補間済みの画素X31を選択する。そして、特定部123aは、画素X31よりも1つ外側の画素、つまりコーナ部504の最も内側の画素B9を選択する。
そして、特定部123aは、S3の遮光画素特定処理(縦方向)と同様に、画素401aから順次外側の画素の画素出力と、補間閾値Ythとを比較して遮光画素を特定し、また、画素401bから順次内側の画素の画素出力と、補間閾値Ythとを比較し遮光画素を特定する。
図9の例では、特定部123aは、内側の遮光画素を遮光画素B9と特定し、外側の遮光画素を遮光画素B13と特定する。
【0037】
S8では、補正部123bは、補間処理(コーナ部)を行う。
補正部123bは、補間処理(コーナ部)を、S4の補間処理(縦方向)と同様に、線形補間によって行う。
補正部123bは、記憶部115の画素出力を、補間後の出力に置き換える。
なお、実施形態では、コーナ部504の補間処理を横方向のスキャンによって行うが、縦方向スキャンによって行ってもよい。
補正部123bは、上記補間処理をコーナ部504全てについて終了すると、S9に進む。
【0038】
S9では、画素出力抽出部124は、補間処理によって置き換えられた画素出力を、記憶部115から抽出する。そして、撮影条件設定部125は、抽出した画素出力に基づいて、シーン解析を行う。抽出した画素出力は、既にAF枠201が補間されている画像なので、撮影条件設定部125は、精度よくシーン解析を行うことができる。
【0039】
S10では、撮影条件設定部125は、シーン解析結果を用いて、公知の自動露出及びオートフォーカス処理を行う。
S11では、制御部120は、レリーズボタンの出力に基づいて、レリーズ操作されたか否かを判定する。制御部120は、レリーズ操作されたと判定した場合には(S11:YES)、S12に進み、一方、レリーズ操作されていないと判定した場合には(S11:NO)、S1からの処理を繰り返す。
S12では、制御部120は、第1撮像部105により撮像を行う。
S13では、制御部120は、電源スイッチ等が操作されることにより、撮影終了か否かを判断する。制御部120は、撮影終了と判断した場合には(S13:YES)、S14に進んで一連の処理を終了し、一方、撮影終了ではないと判定した場合には(S13:NO)、S1からの処理を繰り返す。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のカメラ100は、以下の効果を奏する。
(1)第2撮像部112の出力に基づいて遮光画素を特定してその出力を補正するので、被写界の明るさ等に応じて遮光画素領域302が変化しても、遮光画素を精度よく特定し、露出条件、シーン設定等の撮影条件を精度よく設定できる。
(2)第2撮像部112の画素が行列状に配置されているので、AF枠201のような二次元のパターン形状を配置できる。
(3)そして、行列状に配置された配置された画素信号を検出して、AF枠201により遮光された遮光画素を特定するので、二次元のパターン形状であっても、遮光画素を特定できる。また、パターンが複雑な形状であっても特定できる。
【0041】
(4)検討枠301の端部の画素から隣接する画素を順次検出して、AF枠201により遮光された画素を特定するので、第2撮像部112全体をスキャンする必要がないので、処理が簡単である。
(5)検出された画素信号が補間閾値Yth未満のときに、AF枠201により遮光された遮光画素であると特定するので、遮光画素の特定が容易である。また、補間閾値Ythを検討枠301近傍の画素の画素出力に基づいて決定するので、実際の被写界の輝度等に応じて、適切な補間閾値Ythに設定できる。
(6)遮光画素に隣接し補間閾値Yth以上と判定された画素の画素出力に基づいて補間するので、遮光画素の画素出力を、実際の被写体情報に近い出力に補正できる。
(7)遮光画素の画素出力を線形補間するので、処理が簡単である。
【0042】
(8)コーナ部504は、縦方向(又は横方向)の補間処理を行った後、横方向(又は縦方向)にスキャンして補間処理を行うので、コーナ部504を有するAF枠201に対しても、精度よく補間できる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図10は、第2実施形態のカメラの遮光画素特定処理及び補間処理を説明する図である。
第2実施形態では、補間処理部(図1に示す補間処理部123参照)は、遮光画素領域602の幅Dが一定であるとして、以下の手順で遮光画素特定処理及び補間処理を行う。
【0044】
(1)補間処理部は、画素603a及び画素603b間で1度だけ遮光画素特定処理を行い、遮光画素B61,B64を決定する。
(2)補間処理部は、遮光画素B61の内側の画素X61を含む周領域605、遮光画素B64の外側の画素X62を含む周領域606を求める。
(3)補間処理部は、その他の列及び行について遮光画素特定処理することなく、周領域605及び周領域606間の領域を、遮光画素領域602に設定する。
(4)補間処理部は、周領域605内の画素出力及び周領域606内の画素出力を記憶部115から読み出して、第1実施形態と同様に、補間処理を行う。
(5)その後の処理は、第1実施形態と同様である(図3のS7以降参照)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のカメラは、遮光画素特定処理を簡単に処理できる。AF枠は、明るさに応じて影響を受ける領域が変化するが、その変化する度合いは、ほぼ一定であると考えられる。このため、本実施形態のように遮光画素特定処理を行っても、精度よい特定処理を期待できる。
【0046】
なお、補間処理部は、遮光画素特定処理を上下左右の4カ所についてそれぞれ行い、その結果に基づいて、補間処理を左右上下のそれぞれの領域に対して行ってもよい。これにより、補間処理部は、遮光画素特定処理及び補間処理を、より精度よく行うことができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0048】
(変形形態)
(1)実施形態において、表示部は、AF枠を表示する例を示したが、これに限定されない。例えば、表示部は、電池残量を示すマーク等、他のパターンを表示してもよい。
【0049】
(2)実施形態において、AF枠は、表示部に表示される例を示したが、これに限定されない。例えば、ファインダスクリーンに設けられた刻印等でもよい。
【0050】
(3)実施形態において、カメラは、一眼レフレックスである例を示したが、これに限定されない。例えば、撮像素子部として、第1撮像素子のみを有するコンパクトカメラであってもよい。この場合には、第1撮像素子の画素出力を利用して、遮光画素特定処理及び補間処理をすればよい。
【0051】
(4)実施形態において、第2撮像部の撮像情報は、主に、撮影条件を設定するために利用する例を説明したが、これに限定されない。例えば、ライブビューモード時には、第2撮像部が取得した撮像情報を、被写体の観察用にモニタ表示してもよい。
【0052】
(5)実施形態において、複数の画素を縦方向(列方向)及び横方向(行方向)にスキャンする例を示したが、これに限定されない。複数の画素の出力の少なくとも1列または1行から出力された画素信号を検出して、遮光画素を特定してもよい。
【符号の説明】
【0053】
100…カメラ 109…表示部 112…第2撮像部 115…記憶部 115a…検討枠記憶部 120…制御部 122…第2撮像制御部 123…補間処理部 123a…特定部 123b…補正部 124…画素出力抽出部 125…撮影条件設定部 201…AF枠 301…検討枠 302,602…遮光画素領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光を結像させる撮影光学系の光路中に配置され、所定のパターンを表示する表示部と、
複数の画素を有し、前記表示部を介して結像された前記被写体光に応じた画素信号を出力する撮像部と、
前記複数の画素から出力された前記画素信号を検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定する特定部と、
前記特定部により特定された画素から出力された画素信号を補正する補正部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記複数の画素は、行列状に配置されていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記特定部は、前記複数の画素のうち、少なくとも1列または1行から出力された画素信号を検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記パターンにより遮光された画素を含むように予め定められた画素領域を記憶する記憶部を備え、
前記特定部は、前記画素領域の端部の画素から隣接する画素を順次検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記特定部は、検出された画素信号が所定閾値未満のときに、前記パターンにより遮光された画素であると特定すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記補正部は、前記特定部により特定された画素に隣接する前記所定閾値以上の画素信号を出力する画素に基づいて、補正すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記補正部は、前記特定部により特定された画素を線形補間により補正すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記パターンは、測距範囲を表示するパターンであること
を特徴とする撮像装置。
【請求項1】
被写体光を結像させる撮影光学系の光路中に配置され、所定のパターンを表示する表示部と、
複数の画素を有し、前記表示部を介して結像された前記被写体光に応じた画素信号を出力する撮像部と、
前記複数の画素から出力された前記画素信号を検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定する特定部と、
前記特定部により特定された画素から出力された画素信号を補正する補正部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記複数の画素は、行列状に配置されていること
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記特定部は、前記複数の画素のうち、少なくとも1列または1行から出力された画素信号を検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記パターンにより遮光された画素を含むように予め定められた画素領域を記憶する記憶部を備え、
前記特定部は、前記画素領域の端部の画素から隣接する画素を順次検出して、前記パターンにより遮光された画素を特定すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記特定部は、検出された画素信号が所定閾値未満のときに、前記パターンにより遮光された画素であると特定すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記補正部は、前記特定部により特定された画素に隣接する前記所定閾値以上の画素信号を出力する画素に基づいて、補正すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記補正部は、前記特定部により特定された画素を線形補間により補正すること
を特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記パターンは、測距範囲を表示するパターンであること
を特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−256964(P2012−256964A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127324(P2011−127324)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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