説明

撮像装置

【課題】効果的な立体像を得るために充分な基線長を確保しながらも、装置の小型化や低コスト化が図れる撮像装置。
【解決手段】第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系を有し、単一の物体からの光束を前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系とにより単一の撮像素子上に結像すべく、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系の光軸を1つに合成するための光路合成素子を有する撮像装置において、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は複数のレンズ群から構成され、最も物体側のレンズ群内に1回目の光路屈曲のための第1の反射光学素子を設け、最も像側のレンズ群と前記撮像素子との間に2回目の光路屈曲のための第2の反射光学素子を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dカメラ、ステレオカメラ若しくはモーションキャプチャーカメラ等に用いられ、立体撮影が可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2つの光学系により左右の視差像を得て立体撮影を行う各種の撮像装置が特許公報に開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−208789号公報
【特許文献2】特開2005−241791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1においては、視差を得るために十分な基線長を確保しようとすると、光学系の径・全長とも比較的大型化してしまう。
【0005】
また、特許文献2においては、撮像素子を上下分割した領域に左右像を取り込むため、垂直方向の解像度が低くなってしまう。
【0006】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、効果的な立体像を得るために充分な基線長を確保しながらも、装置の小型化や低コスト化が図れる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は下記に記載した発明により達成される。
【0008】
1.第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系を有し、単一の物体からの光束を前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系とにより単一の撮像素子上に結像すべく、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系の光軸を1つに合成するための光路合成素子を有する撮像装置において、
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は複数のレンズ群から構成され、最も物体側のレンズ群内に1回目の光路屈曲のための第1の反射光学素子を設け、最も像側のレンズ群と前記撮像素子との間に2回目の光路屈曲のための第2の反射光学素子を設けたことを特徴とする撮像装置。
【0009】
2.第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系を有し、単一の物体からの光束を前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系とにより単一の撮像素子上に結像すべく、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系の光軸を1つに合成するための光路合成素子を有する撮像装置において、
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は複数のレンズ群から構成され、最も物体側のレンズ群内に1回目の光路屈曲のための第1の反射光学素子を設け、前記最も物体側のレンズ群と最も像側のレンズ群との間に2回目の光路屈曲のための第2の反射光学素子を設けたことを特徴とする撮像装置。
【0010】
3.第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系を有し、単一の物体からの光束を前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系とにより単一の撮像素子上に結像すべく、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系の光軸を1つに合成するための光路合成素子を有する撮像装置において、
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は複数のレンズ群から構成され、最も物体側のレンズ群より像側に1回目の光路屈曲のための第1の反射光学素子を設け、前記第1の反射光学素子よりも像側に2回目の光路屈曲のための第2の反射光学素子を設けたことを特徴とする撮像装置。
【0011】
4.前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系はズームレンズであり、所定のレンズ群が移動することにより変倍を行うことを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の撮像装置。
【0012】
5.前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系はシャッタを有し、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系を光束が交互に通過するように制御することを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の撮像装置。
【0013】
6.前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は開口絞りを有し、前記シャッタは前記開口絞りの近傍に配置されていることを特徴とする前記5に記載の撮像装置。
【0014】
7.前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は開口絞りを有し、前記第1の反射光学素子と第2の反射光学素子の何れか一方が前記開口絞り近傍に配置されていることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の撮像装置。
【0015】
8.前記光路合成素子は前記第2の反射光学素子と同一であることを特徴とする前記1〜7の何れか1項に記載の撮像装置。
【0016】
9.前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は共通の光学素子から構成されていることを特徴とする前記1〜8の何れか1項に記載の撮像装置。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の効果
各屈曲光学系における1回目の光路屈曲位置と2回目の光路屈曲位置との距離を比較的長く取れるため、2つの屈曲光学系間の基線長を比較的長くすることができ、視差の大きい効果的な立体像を撮像することができる。
【0018】
請求項2の効果
各屈曲光学系における1回目の光路屈曲位置と2回目の光路屈曲位置との距離を比較的短くできるため、2つの屈曲光学系間の基線長を比較的短くすることができて基線長方向の装置寸法を抑えることができ、且つ、第2の反射光学素子以降の光学部品を共通化して、光学系の簡略化や小型化、ひいては低コスト化を図ることができる。
【0019】
請求項3の効果
比較的高変倍で最も物体側の群が比較的大径であるレンズタイプに有効で、最も物体側のレンズ群より像側で光路屈曲を行うことにより、大径の反射光学素子を用いる必要がないので、大型化、重量増及び原価高を避けることができ、立体像を得るために十分な視差を確保することができる。
【0020】
請求項4の効果
第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系をズームレンズにすることにより、画角の異なる像を連続して得ることができる。
【0021】
請求項5の効果
視差を持った第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系からの光束を同時に撮像素子に結像させることなく、時分割で撮像素子全領域に結像させることができるため、サイドバイサイド方式等に比べて解像度の高い立体画像を得ることができる。
【0022】
請求項6の効果
シャッタを光学系の中で比較的口径の小さい開口絞り付近に配置することにより、シャッタを小型化することができ、その結果、光学系全体を小型化し、低コスト化を図ることができる。
【0023】
請求項7の効果
反射光学素子を光学系の中で比較的径の小さい開口絞り付近に配置することにより、反射光学素子を小型化することができ、その結果、光学系全体を小型化し、低コスト化を図ることができる。
【0024】
請求項8の効果
最少回数の光路屈曲で光路の合成ができ、光学系を小型化し、低コスト化を図ることができる。
【0025】
請求項9の効果
第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系がそれぞれ非共通であるときに比べ、部品の種類が比較的少なくて済み、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施の形態における撮像装置の断面図である。
【図2】第2の実施の形態における撮像装置の断面図である。
【図3】第3の実施の形態における撮像装置の断面図である。
【図4】第4の実施の形態における撮像装置の断面図である。
【図5】第5の実施の形態における撮像装置の断面図である。
【図6】第6の実施の形態における撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の撮像装置に関し、以下に5種の実施の形態を図を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
撮像装置の第1の実施の形態を図1の断面図を参照して説明する。
【0028】
本撮像装置は、第1の屈曲光学系L11、第2の屈曲光学系L12、第1の反射光学素子11、開口絞り12、シャッタ13、第2の反射光学素子15、撮像素子用封止ガラス16、撮像素子17及び筐体18から主として構成される。
【0029】
第1の屈曲光学系L11は、物体側より順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群L111、負の屈折力を持つ第2レンズ群L112、正の屈折力を持つ第3レンズ群L113、正の屈折力を持つ第4レンズ群L114、及び正の屈折力を持つ第5レンズ群L115から構成される。
【0030】
なお、第1の屈曲光学系L11と第2の屈曲光学系L12は共通のレンズ群から構成され、第2の屈曲光学系L12も同一の第1レンズ群L111、第2レンズ群L112、第3レンズ群L113、第4レンズ群L114、及び第5レンズ群L115から構成される。
【0031】
また、第1の屈曲光学系L11と第2の屈曲光学系L12とに、同一の第1の反射光学素子11、開口絞り12及びシャッタ13がそれぞれ配置されている。
【0032】
第1の反射光学素子11は、三角プリズムであり、最も物体側に位置する第1レンズ群L111の中に配置されて1回目の光路屈曲のために設けられ、物体からの光軸を直角に屈曲させる。
【0033】
第2の反射光学素子15は、クロスプリズムであり、最も像側に位置する第5レンズ群L115と撮像素子17との間に配置されて2回目の光路屈曲のために設けられ、第5レンズ群L115からの光軸を直角に屈曲させる。
【0034】
以上の基本構成により、単一の物体からの光束が第1の屈曲光学系L11と第2の屈曲光学系L12のそれぞれの第1レンズ群L111に入射すると、その光軸は第1の反射光学素子11で直角に屈曲され、第2レンズ群L112、第3レンズ群L113、開口絞り12、シャッタ13、第4レンズ群L114及び第5レンズ群L115を透過する。その後、第1の屈曲光学系L11と第2の屈曲光学系L12とによる二つの第5レンズ群L115からのそれぞれの光束が単一の第2の反射光学素子15に入射し、二つの光束が一つの光束に合成される。そして、合成された光束は撮像素子用封止ガラス16を介して撮像素子17に結像する。
【0035】
なお、第1の屈曲光学系L11と第2の屈曲光学系L12はズームレンズであり、第1レンズ群L111、第3レンズ群L113及び第5レンズ群L115は筐体18に固定され、第2レンズ群L112はレンズ枠181に保持され、第4レンズ群L114はレンズ枠182に保持される。そして、広角端から望遠端へのズーミング時に、第2レンズ群L112はレンズ枠181により第3レンズ群L113の側へ移動し、第4レンズ群L114はレンズ枠182により第3レンズ群L113の側へ移動する。また、近距離物体へのフォーカシング時に、第4レンズ群L114はレンズ枠182により第3レンズ群L113の側へ移動する。
【0036】
開口絞り12は第3レンズ群L113の近傍に配置され、シャッタ13は比較的口径の小さい開口絞り12の近傍に配置されている。そして、第1の屈曲光学系L11と第2の屈曲光学系L12の光束が交互に撮像素子17に結像するように、シャッタ13を時分割制御する。
【0037】
筐体18は以上の各素子を保持する。
【0038】
以上の構成により、各屈曲光学系における1回目の光路屈曲位置と2回目の光路屈曲位置との距離を比較的長く取れるため、2つの屈曲光学系間の基線長を比較的長くすることができ、視差の大きい効果的な立体像を撮像することができる。
[第2の実施の形態]
撮像装置の第2の実施の形態を図2の断面図を参照して説明する。
【0039】
本撮像装置は、第1の屈曲光学系L21、第2の屈曲光学系L22、第1の反射光学素子21、開口絞り22、シャッタ23、赤外カットフィルタ24、第2の反射光学素子25、撮像素子用封止ガラス26、撮像素子27及び筐体28から主として構成される。
【0040】
第1の屈曲光学系L21は、物体側より順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群L211、負の屈折力を持つ第2レンズ群L212、正の屈折力を持つ第3レンズ群L213、正の屈折力を持つ第4レンズ群L214、及び負の屈折力を持つ第5レンズ群L215から構成される。
【0041】
なお、第1の屈曲光学系L21と第2の屈曲光学系L22は共通のレンズ群から構成され、第2の屈曲光学系L22も同一の第1レンズ群L211、第2レンズ群L212、第3レンズ群L213、第4レンズ群L214、及び第5レンズ群L215から構成される。
【0042】
また、第1の屈曲光学系L21と第2の屈曲光学系L22とに、同一の第1の反射光学素子21、開口絞り22、シャッタ23及び赤外カットフィルタ24がそれぞれ配置されている。
【0043】
第1の反射光学素子21は、三角プリズムであり、最も物体側に位置する第1レンズ群L211の中に配置されて1回目の光路屈曲のために設けられ、物体からの光軸を直角に屈曲させる。
【0044】
第2の反射光学素子25は、クロスミラーであり、最も像側に位置する第5レンズ群L215と撮像素子27との間に配置されて2回目の光路屈曲のために設けられ、第5レンズ群L215からの光軸を直角に屈曲させる。
【0045】
以上の基本構成により、単一の物体からの光束が第1の屈曲光学系L21と第2の屈曲光学系L22のそれぞれの第1レンズ群L211に入射すると、その光軸は第1の反射光学素子21で直角に屈曲され、第2レンズ群L212、第3レンズ群L213、開口絞り22、シャッタ23、第4レンズ群L214、第5レンズ群L215及び赤外カットフィルタ24を透過する。その後、第1の屈曲光学系L21と第2の屈曲光学系L22とによる二つの第5レンズ群L215からのそれぞれの光束が単一の第2の反射光学素子25に入射し、二つの光束が一つの光束に合成される。そして、合成された光束は撮像素子用封止ガラス26を介して撮像素子27に結像する。
【0046】
なお、第1の屈曲光学系L21と第2の屈曲光学系L22はズームレンズであり、第1レンズ群L211、第3レンズ群L213及び第5レンズ群L215は筐体28に固定され、第2レンズ群L212はレンズ枠281に保持され、第4レンズ群L214はレンズ枠282に保持される。そして、広角端から望遠端へのズーミング時に、第2レンズ群L212はレンズ枠281により第3レンズ群L213の側へ移動し、第4レンズ群L214はレンズ枠282により第3レンズ群L213の側へ移動する。また、近距離物体へのフォーカシング時に、第4レンズ群L214はレンズ枠282により第3レンズ群L213の側へ移動する。
【0047】
開口絞り22は第3レンズ群L213の近傍に配置され、シャッタ23は比較的口径の小さい開口絞り22の近傍に配置されている。そして、第1の屈曲光学系L21と第2の屈曲光学系L22の光束が交互に撮像素子27に結像するように、シャッタ23を時分割制御する。
【0048】
筐体28は以上の各素子を保持する。
【0049】
以上の構成により、各屈曲光学系における1回目の光路屈曲位置と2回目の光路屈曲位置との距離を比較的長く取れるため、2つの屈曲光学系間の基線長を比較的長くすることができ、視差の大きい効果的な立体像を撮像することができる。
[第3の実施の形態]
撮像装置の第3の実施の形態を図3の断面図を参照して説明する。
【0050】
本撮像装置は、第1の屈曲光学系L31、第2の屈曲光学系L32、第1の反射光学素子31、シャッタ33、開口絞り32、第2の反射光学素子35、撮像素子用封止ガラス36、撮像素子37及び筐体38から主として構成される。
【0051】
第1の屈曲光学系L31は、物体側より順に、負の屈折力を持つ第1レンズ群L311、正の屈折力を持つ第2レンズ群L312、負の屈折力を持つ第3レンズ群L313、及び正の屈折力を持つ第4レンズ群L314から構成される。
【0052】
なお、第1の屈曲光学系L31と第2の屈曲光学系L32は共通のレンズ群から構成され、第2の屈曲光学系L32も同一の第1レンズ群L311、第2レンズ群L312、第3レンズ群L313、及び第4レンズ群L314から構成される。
【0053】
また、第1の屈曲光学系L31と第2の屈曲光学系L32とに、同一の第1の反射光学素子31、シャッタ33及び開口絞り32がそれぞれ配置されている。
【0054】
第1の反射光学素子31は、三角プリズムであり、最も物体側に位置する第1レンズ群L311の中に配置されて1回目の光路屈曲のために設けられ、物体からの光軸を直角に屈曲させる。
【0055】
第2の反射光学素子35は、クロスプリズムであり、最も像側に位置する第4レンズ群L314と撮像素子37との間に配置されて2回目の光路屈曲のために設けられ、第4レンズ群L314からの光軸を直角に屈曲させる。
【0056】
以上の基本構成により、単一の物体からの光束が第1の屈曲光学系L31と第2の屈曲光学系L32のそれぞれの第1レンズ群L311に入射すると、その光軸は第1の反射光学素子31で直角に屈曲され、シャッタ33、開口絞り32、第2レンズ群L312、第3レンズ群L313及び第4レンズ群L314を透過する。その後、第1の屈曲光学系L31と第2の屈曲光学系L32とによる二つの第4レンズ群L314からのそれぞれの光束が単一の第2の反射光学素子35に入射し、二つの光束が一つの光束に合成される。そして、合成された光束は撮像素子用封止ガラス36を介して撮像素子37に結像する。
【0057】
なお、第1の屈曲光学系L31と第2の屈曲光学系L32はズームレンズであり、第1レンズ群L311及び第4レンズ群L314は筐体38に固定され、第2レンズ群L312はシャッタ33及び開口絞り32と共にレンズ枠381に保持され、第3レンズ群L313はレンズ枠382に保持される。そして、広角端から望遠端へのズーミング時に、第2レンズ群L312はレンズ枠381により第1レンズ群L311の側へ移動し、第3レンズ群L313はレンズ枠382により第2レンズ群L312の側へ移動する。また、近距離物体へのフォーカシング時に、第3レンズ群L313はレンズ枠382により第2レンズ群L312の側へ移動する。
【0058】
開口絞り32は第2レンズ群L312の近傍に配置され、シャッタ33は比較的口径の小さい開口絞り32の近傍に配置されている。そして、第1の屈曲光学系L31と第2の屈曲光学系L32の光束が交互に撮像素子37に結像するように、シャッタ33を時分割制御する。
【0059】
筐体38は以上の各素子を保持する。
【0060】
以上の構成により、各屈曲光学系における1回目の光路屈曲位置と2回目の光路屈曲位置との距離を比較的長く取れるため、2つの屈曲光学系間の基線長を比較的長くすることができ、視差の大きい効果的な立体像を撮像することができる。
[第4の実施の形態]
撮像装置の第4の実施の形態を図4の断面図を参照して説明する。
【0061】
本撮像装置は、第1の屈曲光学系L41、第2の屈曲光学系L42、第1の反射光学素子41、シャッタ43、開口絞り42、第2の反射光学素子45、赤外カットフィルタ44、撮像素子用封止ガラス46、撮像素子47及び筐体48から主として構成される。
【0062】
第1の屈曲光学系L41は、物体側より順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群L411、負の屈折力を持つ第2レンズ群L412、正の屈折力を持つ第3レンズ群L413、正の屈折力を持つ第4レンズ群L414、正の屈折力を持つ第5レンズ群L415、及び正の屈折力を持つ第6レンズ群L416から構成される。
【0063】
なお、第1の屈曲光学系L11と第2の屈曲光学系L12は異なる光路上にあるが同一に形成された第1レンズ群L411及び第2レンズ群L412と、同じ光路上にある共通の第3レンズ群L413、第4レンズ群L414、第5レンズ群L415及び第6レンズ群L416とから構成される。
【0064】
また、第1の屈曲光学系L41と第2の屈曲光学系L42とに、同一の第1の反射光学素子41、シャッタ43及び開口絞り42がそれぞれ配置されている。
【0065】
第1の反射光学素子41は、三角プリズムであり、最も物体側に位置する第1レンズ群L411の中に配置されて1回目の光路屈曲のために設けられ、物体からの光軸を直角に屈曲させる。
【0066】
第2の反射光学素子45は、クロスプリズムであり、最も物体側に位置する第1レンズ群L411と最も像側に位置する第6レンズ群L416の間に配置され、詳しくは第2レンズ群L412と第3レンズ群L413の間に配置されて2回目の光路屈曲のために設けられ、第2レンズ群L412からの光軸を直角に屈曲させる。
【0067】
以上の基本構成により、単一の物体からの光束が第1の屈曲光学系L41と第2の屈曲光学系L42のそれぞれの第1レンズ群L411に入射すると、その光軸は第1の反射光学素子41で直角に屈曲され、第2レンズ群L412、シャッタ43及び開口絞り42を透過する。その後、第1の屈曲光学系L41と第2の屈曲光学系L42とによる二つの光束が単一の第2の反射光学素子45に入射し、二つの光束が一つの光束に合成される。そして、合成された光束は第3レンズ群L413、第4レンズ群L414、第5レンズ群L415及び第6レンズ群L416を透過し、撮像素子用封止ガラス46を介して撮像素子47に結像する。
【0068】
なお、第1の屈曲光学系L41と第2の屈曲光学系L42はズームレンズであり、第1レンズ群L411、第3レンズ群L413、第5レンズ群L415及び第6レンズ群L416は筐体48に固定され、第2レンズ群L412はレンズ枠481に保持され、第4レンズ群L414はレンズ枠482に保持され、第5レンズ群L415はレンズ枠483に保持される。そして、広角端から望遠端へのズーミング時に、第2レンズ群L112はレンズ枠481により第3レンズ群L413の側へ移動し、第4レンズ群L414はレンズ枠482により第3レンズ群L413の側へ移動し、第5レンズ群L415はレンズ枠483により第4レンズ群L414の側へ移動する。また、近距離物体へのフォーカシング時に、第4レンズ群L414はレンズ枠482により第3レンズ群L413の側へ移動する。
【0069】
開口絞り42は第3レンズ群L413の近傍に配置され、シャッタ43は比較的口径の小さい開口絞り42の近傍に配置されている。そして、第1の屈曲光学系L41と第2の屈曲光学系L42の光束が交互に撮像素子47に結像するように、シャッタ43を時分割制御する。
【0070】
筐体48は以上の各素子を保持する。
【0071】
以上の構成により、各屈曲光学系における1回目の光路屈曲位置と2回目の光路屈曲位置との距離を比較的短くできるため、2つの屈曲光学系間の基線長を比較的短くすることができて基線長方向の装置寸法を抑えることができ、且つ、第2の反射光学素子以降の光学部品を共通化して、光学系の簡略化や小型化、ひいては低コスト化を図ることができる。
【0072】
なお、以上の形態では、2回目の光路屈曲時に1回目の光路屈曲における光軸を含む平面に対し平行な方向に光路を屈曲させているが、これを垂直方向(紙面垂直方向)に屈曲させれば、第3レンズ群L413以降の各素子は第1レンズ群L411及び第2レンズ群L412の光軸に対し垂直方向に配置されることとなり、撮像装置の厚み(奥行き)を薄くすることができる。
[第5の実施の形態]
撮像装置の第5の実施の形態を図5の断面図を参照して説明する。
【0073】
本撮像装置は、第1の屈曲光学系L51、第2の屈曲光学系L52、第1の反射光学素子51、シャッタ53、開口絞り52、第2の反射光学素子55、赤外カットフィルタ54、撮像素子用封止ガラス56、撮像素子57及び筐体58から主として構成される。
【0074】
第1の屈曲光学系L51は、物体側より順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群L511、負の屈折力を持つ第2レンズ群L512、正の屈折力を持つ第3レンズ群L513、及び正の屈折力を持つ第4レンズ群L514から構成される。
【0075】
なお、第1の屈曲光学系L51と第2の屈曲光学系L52は共通のレンズ群から構成され、第2の屈曲光学系L52も同一の第1レンズ群L511、第2レンズ群L512、第3レンズ群L513及び第4レンズ群L514から構成される。
【0076】
また、第1の屈曲光学系L51と第2の屈曲光学系L52とに、同一のシャッタ53、第1の反射光学素子51及び開口絞り52がそれぞれ配置されている。
【0077】
第1の反射光学素子51は、三角プリズムであり、最も物体側に位置する第1レンズ群L511より像側に配置され、詳しくは第2レンズ群L512と第3レンズ群L513との間に配置されて1回目の光路屈曲のために設けられ、物体からの光軸を直角に屈曲させる。
【0078】
第2の反射光学素子55は、クロスプリズムであり、最も像側に位置する第4レンズ群L514と撮像素子57との間に配置されて2回目の光路屈曲のために設けられ、第4レンズ群L514からの光軸を直角に屈曲させる。
【0079】
以上の基本構成により、単一の物体からの光束が第1の屈曲光学系L11と第2の屈曲光学系L12のそれぞれの第1レンズ群L511に入射し、第2レンズ群L512及びシャッタ53を透過した後、その光軸は第1の反射光学素子51で直角に屈曲され、開口絞り52、第3レンズ群L513及び第4レンズ群L514を透過する。その後、第1の屈曲光学系L51と第2の屈曲光学系L52とによる二つの第4レンズ群L514からのそれぞれの光束が単一の第2の反射光学素子55に入射し、二つの光束が一つの光束に合成される。そして、合成された光束は赤外カットフィルタ54及び撮像素子用封止ガラス56を介して撮像素子57に結像する。
【0080】
なお、第1の屈曲光学系L51と第2の屈曲光学系L52はズームレンズであり、第1レンズ群L511及び第3レンズ群L513は筐体58に固定され、第2レンズ群L512はレンズ枠581に保持され、第4レンズ群L514はレンズ枠582に保持される。そして、広角端から望遠端へのズーミング時に、第2レンズ群L512はレンズ枠581により第3レンズ群L513の側へ移動し、第4レンズ群L514はレンズ枠582により当初は第3レンズ群L513の側へ移動し、中間焦点距離で反対側に移動する。また、近距離物体へのフォーカシング時に、第4レンズ群L514はレンズ枠582により第3レンズ群L513の側へ移動する。
【0081】
開口絞り52は第3レンズ群L513の近傍に配置され、シャッタ53は比較的口径の小さい開口絞り52の近傍に配置されている。そして、第1の屈曲光学系L51と第2の屈曲光学系L52の光束が交互に撮像素子57に結像するように、シャッタ53を時分割制御する。
【0082】
筐体58は以上の各素子を保持する。
【0083】
以上の構成により、比較的高変倍で最も物体側の群が比較的大径であるレンズタイプに有効で、最も物体側のレンズ群より像側で光路屈曲を行うことにより、大径の反射光学素子を用いる必要がないので、大型化、重量増及び原価高を避けることができ、立体像を得るために十分な視差を確保することができる。
[第6の実施の形態]
撮像装置の第6の実施の形態を図6の断面図を参照して説明する。
【0084】
本撮像装置は、第1の屈曲光学系L61、第2の屈曲光学系L62、第1の反射光学素子61、シャッタ63、開口絞り62、第2の反射光学素子65、撮像素子用封止ガラス66、撮像素子67及び筐体68から主として構成される。
【0085】
第1の屈曲光学系L61は、物体側より順に、正の屈折力を持つ第1レンズ群L611、負の屈折力を持つ第2レンズ群L612、正の屈折力を持つ第3レンズ群L613、及び正の屈折力を持つ第4レンズ群L614から構成される。
【0086】
なお、第1の屈曲光学系L61と第2の屈曲光学系L62は共通のレンズ群から構成され、第2の屈曲光学系L62も同一の第1レンズ群L611、第2レンズ群L612、第3レンズ群L613及び第4レンズ群L614から構成される。
【0087】
また、第1の屈曲光学系L61と第2の屈曲光学系L62とに、同一の第1の反射光学素子61、シャッタ63及び開口絞り62がそれぞれ配置されている。
【0088】
第1の反射光学素子61は、三角プリズムであり、最も物体側に位置する第1レンズ群L611より像側に配置され、詳しくは第2レンズ群L612の中に配置されて1回目の光路屈曲のために設けられ、物体からの光軸を直角に屈曲させる。
【0089】
第2の反射光学素子65は、クロスプリズムであり、最も像側に位置する第4レンズ群L614と撮像素子67との間に配置されて2回目の光路屈曲のために設けられ、第4レンズ群L614からの光軸を直角に屈曲させる。
【0090】
以上の基本構成により、単一の物体からの光束が第1の屈曲光学系L61と第2の屈曲光学系L62のそれぞれの第1レンズ群L611に入射し、その光軸は第2レンズ群L612の中に位置する第1の反射光学素子61で直角に屈曲され、シャッタ63、開口絞り62、第3レンズ群L613及び第4レンズ群L614を透過する。その後、第1の屈曲光学系L61と第2の屈曲光学系L62とによる二つの第4レンズ群L614からのそれぞれの光束が単一の第2の反射光学素子65に入射し、二つの光束が一つの光束に合成される。そして、合成された光束は撮像素子用封止ガラス66を介して撮像素子67に結像する。
【0091】
なお、第1の屈曲光学系L61と第2の屈曲光学系L62はズームレンズであり、第2レンズ群L612は第1の反射光学素子61と共に筐体68に固定され、第1レンズ群L611はレンズ枠681に保持され、第3レンズ群L613はシャッタ63及び開口絞り62と共にレンズ枠682に保持され、第4レンズ群L614はレンズ枠683に保持される。そして、広角端から望遠端へのズーミング時に、第1レンズ群L611はレンズ枠681により物体側へ移動し、第3レンズ群L613はレンズ枠682により第2レンズ群L612の側へ移動し、第4レンズ群L614はレンズ枠683により当初は第3レンズ群L613の側へ移動し、中間焦点距離で反対側に移動する。また、近距離物体へのフォーカシング時に、第4レンズ群L614はレンズ枠683により第3レンズ群L613の側へ移動する。
【0092】
開口絞り62は第3レンズ群L613の近傍に配置され、シャッタ63は比較的口径の小さい開口絞り62の近傍に配置されている。そして、第1の屈曲光学系L61と第2の屈曲光学系L62の光束が交互に撮像素子67に結像するように、シャッタ63を時分割制御する。
【0093】
筐体68は以上の各素子を保持する。
【0094】
以上の構成により、比較的高変倍で最も物体側の群が比較的大径であるレンズタイプに有効で、最も物体側のレンズ群より像側で光路屈曲を行うことにより、大径の反射光学素子を用いる必要がないので、大型化、重量増及び原価高を避けることができ、立体像を得るために十分な視差を確保することができる。
【0095】
なお、以上の各実施の形態における構成は前述に限定されるものではなく、下記の様に変形させることが可能である。
【0096】
即ち、各実施の形態における屈折光学系は必ずしもズームレンズである必要はなく、単焦点レンズであってもよい。
【0097】
各実施の形態における第1の反射光学素子は必ずしもプリズムである必要はなく、反射鏡であってもよい。
【0098】
実施の形態1,3〜6の第2の反射光学素子は必ずしもクロスプリズムである必要はなく、クロスミラーであってもよい。
【0099】
各実施の形態における第2の反射光学素子は二つの光束を一つの光束に合成する光路合成素子である。しかし、第2の反射光学素子をクロスプリズム等でなく三角プリズムとして二つ設けると共に、第2の反射光学素子からの光束を反射させる三角プリズムである第3の反射光学素子を二つ設けて3回目の光路屈曲を行い、クロスプリズム等から成る光路合成素子で4回目の光路屈曲を行って第3の反射光学素子からの二つの光束を一つの光束に合成するようにしてもよい。
【0100】
各実施の形態における第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系は共通の光学素子から構成されていることが望ましいが、光学性能に影響を及ぼさない範囲であれば非共通の光学素子から構成されていてもよい。
【0101】
各実施の形態における筐体は一部品として描かれているが、実際の生産時には適宜分割された形状になる。
【符号の説明】
【0102】
L11,L21,L31,L41,L51,L61 第1の屈曲光学系
L12,L22,L32,L42,L52,L62 第2の屈曲光学系
11,21,31,41,51,61 第1の反射光学素子
12,22,32,42,52,62 開口絞り
13,23,33,43,53,63 シャッタ
24,44,54 赤外カットフィルタ
15,25,35,45,55,65 第2の反射光学素子
16,26,36,46,56,66 撮像素子用封止ガラス
17,27,37,47,57,67 撮像素子
18,28,38,48,58,68 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系を有し、単一の物体からの光束を前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系とにより単一の撮像素子上に結像すべく、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系の光軸を1つに合成するための光路合成素子を有する撮像装置において、
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は複数のレンズ群から構成され、最も物体側のレンズ群内に1回目の光路屈曲のための第1の反射光学素子を設け、最も像側のレンズ群と前記撮像素子との間に2回目の光路屈曲のための第2の反射光学素子を設けたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系を有し、単一の物体からの光束を前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系とにより単一の撮像素子上に結像すべく、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系の光軸を1つに合成するための光路合成素子を有する撮像装置において、
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は複数のレンズ群から構成され、最も物体側のレンズ群内に1回目の光路屈曲のための第1の反射光学素子を設け、前記最も物体側のレンズ群と最も像側のレンズ群との間に2回目の光路屈曲のための第2の反射光学素子を設けたことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
第1の屈曲光学系と第2の屈曲光学系を有し、単一の物体からの光束を前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系とにより単一の撮像素子上に結像すべく、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系の光軸を1つに合成するための光路合成素子を有する撮像装置において、
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は複数のレンズ群から構成され、最も物体側のレンズ群より像側に1回目の光路屈曲のための第1の反射光学素子を設け、前記第1の反射光学素子よりも像側に2回目の光路屈曲のための第2の反射光学素子を設けたことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系はズームレンズであり、所定のレンズ群が移動することにより変倍を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系はシャッタを有し、前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系を光束が交互に通過するように制御することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は開口絞りを有し、前記シャッタは前記開口絞りの近傍に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は開口絞りを有し、前記第1の反射光学素子と第2の反射光学素子の何れか一方が前記開口絞り近傍に配置されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記光路合成素子は前記第2の反射光学素子と同一であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の屈曲光学系と前記第2の屈曲光学系は共通の光学素子から構成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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