説明

撮像装置

【課題】シールドケースに囲まれた第1基板と第2基板とが接続されており、第2基板が接合部材を介してシールドケースに固定された撮像装置において、電磁波対策が保たれているかを組立工程内で容易に判断できる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子が搭載された第1基板と、第1基板に接続され、撮像素子により光学変換された像を画像処理する第2基板と、アースに接続され、第1基板及び第2基板を囲んで配置されるシールドケースと、を備え、第2基板が接合部材を介してシールドケースに固定された撮像装置であって、アースに接触すると出力映像が異常となる電子部品を、シールドケースがその組み付けに支障のない範囲で変形したときにシールドケースと電子部品とが接触する位置に実装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波対策が施された撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像用のレンズ(撮像光学系の一例)と、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子と、を備えた撮像装置が知られている。このような撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ、自動車に取り付けられる車載カメラ、屋外に設けられる監視カメラなどに用いられる。
【0003】
このような撮像装置として、基板と基板とをコネクタで接続したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の撮像装置は、外装を構成する前側ケースと後側ケースとに分割された外装ケースと、外装ケースに組み込まれた鏡筒と、鏡筒に組み込まれたレンズを含む撮像光学系と、撮像光学系により導かれた被写体を撮像する撮像素子と、撮像素子が実装されて、外装ケースに固定された第1基板と、第1基板とコネクタを介して接続され、外部機器に接続されたケーブルに接続される配線を備えた第2基板と、を備えている。第1基板は、撮像光学系で撮影された像を良好な状態で穴蔵されるように撮影光学系に対して位置決めされた後に、前側ケースに対して半田付けなどで固定される。第2基板は、第1基板にコネクタを介して接続される。
【0005】
また、特許文献1の撮像装置では、電磁波対策として、第1基板及び第2基板はシールドケースで囲まれている。シールドケースは、アースに直接的又は間接的に接続される。また、第2基板はシールドケースに固定される。この固定の方法としては、例えば、シールドケースに突起を設け、この突起で位置決めした状態で固定する方法や、あるいは、基板に設けた突起を、シールドケースの凹部に挿入して半田付けで固定したりする方法が挙げられる。このような構造を使用した場合、第2基板をシールドケースにぴったりと収容して半田付けで固定した後、第2基板と第1基板とをコネクタで接続し、かつ、シールドケースを前側ケースに組み付けることになる。
【0006】
上述した構造では、第1基板は、撮影光学系に応じ、良好な結像がなされるように位置調整を行った上で前側ケースに固定される。一方、第2の基板は、シールドケースに固定した後、第1基板にコネクタを介して接続されるとともに、シールドケースが前側ケースに組み付けられる。
【0007】
すなわち、第1基板の位置は、撮影光学系に応じて位置決めされるのに対し、第2基板は、前側ケース及びシールドケースに対して一定の位置で固定されていたため、両基板の相対位置にずれが生じるおそれがある。このずれが大きいと、両基板の接続時に、コネクタにおいて所望の接続状態が得られなかったり、あるいは、コネクタや両基板に負荷がかかり過ぎたりして、接続信頼性の低下を招いていた。特に、車載のものでは、コネクタに負荷がかかった接続状態では、車両の振動により接続が外れ、撮影ができなくなるおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような問題を解決するため、電磁波対策として第1基板及び第2基板がシールドケースに囲まれた構成において、第1基板と第2基板をコネクタ接続した際、第2基板が、シールドケースに触れず、接合部材を介してシールドケースに固定されるようにした撮像装置(例えば、後述する図1〜図12の構成)がある。しかし、この構成の撮像装置では、その組立作業の際に、組付けに支障のない範囲でシールドケースを変形させてしまった場合、設計保障項目である電磁波対策が保たれているかを、時間制限の厳しい量産組立工程内で判断することは非常に困難である、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シールドケースに囲まれた第1基板と第2基板とが接続されており、第2基板が接合部材を介してシールドケースに固定された撮像装置において、電磁波対策が保たれているかを組立工程内で容易に判断できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明の撮像装置は、撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子が搭載された第1基板と、第1基板に接続され、撮像素子により光学変換された像を画像処理する第2基板と、アースに接続され、第1基板及び第2基板を囲んで配置されるシールドケースと、を備え、第2基板が接合部材を介してシールドケースに固定された撮像装置であって、アースに接触すると出力映像が異常となる電子部品を、シールドケースがその組み付けに支障のない範囲で変形したときにシールドケースと電子部品とが接触する位置に実装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シールドケースに囲まれた第1基板と第2基板とが接続されており、第2基板が接合部材を介してシールドケースに固定された撮像装置において、電磁波対策が保たれているかを組立工程内で容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態である撮像装置の外観例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である撮像装置を接続コードの後方から見た外観例を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態である撮像装置から後側ケースと接続コードを取り外した状態の外観例を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態である撮像装置から後側ケースと接続コードを取り外した状態の内部構成例を示す斜視断面図である。
【図5】本発明の一実施形態である撮像装置の前側ケースに第1基板を固定したものを斜め後方から見た外観例を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態である撮像装置の前側ケースの外観例を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態である撮像装置の後側ケースを取り外した状態の外観例を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態である撮像装置の第1基板及び第2基板の外観例を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態である撮像装置のシールドケースの外観例を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態である撮像装置のシールドケースの外観例を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態である撮像装置の要部を示し、接合用凸片と接合用開口部との接合前の状態の外観例を示す斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態である撮像装置の要部を示し、接合用凸片と接合用開口部とを接合部材にて接合した状態の外観例を示す斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態である撮像装置の後側ケースを取り外した状態において、電子部品の設置位置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本実施形態の撮像装置は、撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子が搭載された第1基板と、第1基板に接続され、撮像素子により光学変換された像を画像処理する第2基板と、アースに接続され、第1基板及び第2基板の周囲を囲んで保持部材に固定されるシールドケースと、を備え、第2基板が接合部材を介してシールドケースに固定された構成において、以下の特徴を有する。
【0015】
要するに、アースに接触すると出力映像が異常となる(画像が出力されないことを含む)電子部品を、シールドケースがその組み付けに支障のない範囲で変形したときにシールドケースと電子部品とが接触する位置に実装することが特徴になっている。
【0016】
このような本実施形態の特徴について、以下具体例を用いて詳細に解説する。
【0017】
図1は、本実施形態の撮像装置Aの外観の一例を示す図である。図1に示すように、撮像装置Aは、撮影光学系1、アウタケース2、接続コード3を有する。
【0018】
アウタケース2は、撮影光学系1を収容して保持する前側ケース(保持部材)21と、第1基板41及び第2基板42を収容する後側ケース22とに前後方向に分割されている。なお、本明細書では、矢印FRで示す撮像装置Aによる撮像方向を「前方」と称し、その反対方向である矢印RRで示す方向を「後方」と称する。
【0019】
撮像装置Aは、例えば、車両後部のバンパやナンバープレート周辺などに設置されて、車両後方の斜め下方を撮像するように取り付けられる車載カメラとして用いられる。この撮像装置Aの撮像画像は、撮像フレーム毎に車載コンピュータ(図示せず)に送信され、車室内に設置された液晶ディスプレイ装置(図示せず)等に表示される。なお、車載カメラの使用例としては、上記に限らず、車両前方を撮像して障害物検知などに使用することもできる。
【0020】
もちろん、撮像装置Aは、上述した車載カメラに限らず、デジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラなどにも適用することができる。
【0021】
図2は、撮像装置Aを接続コード3の後方から見た例を示す図である。図2に示すように、撮像装置Aの後側ケース22の後面22aには、撮像装置Aを車体(図示せず)等にネジ留めするために使用するネジ穴22b、22cと、接続コード3を後側ケース22にネジ留めするのに使用するネジ穴22d、22eとが形成されている。
【0022】
図3は、撮像装置Aから後側ケース22及び接続コード3を取り外した状態の一例を示す図である。そして図4は、その断面図である。前側ケース21は、例えば樹脂によって形成された部材であり、図4に示すように、撮影光学系1を保持している。この撮影光学系1は、例えば、6枚のレンズ11〜16で構成されている。
【0023】
前側ケース21の後側には、第1基板41が接合されている。この第1基板41には、前面側にイメージセンサ411が保持されている。イメージセンサ411は、CCDやCMOSなどを用いた個体撮像素子であり、撮影光学系1によって結像される像を光電変換し、画像信号として外部(例えば車載コンピュータ)に出力する。このようなことから、第1基板41は、「センサ基板」と呼ぶこともできる。
【0024】
図5は、図3に示した前側ケース21に第1基板41を固定したものを斜め後方から見た例を示す図である。図5に示すように、第1基板は、略矩形に形成されており、その対角に位置する二箇所の隅部に、凹状に形成された略円弧状の欠損部41a、41bが形成されている。また、第1基板41には、後面側において、コンデンサや抵抗などの電子部品41eが実装されているとともに、後述する第2基板42に接続するための第1コネクタ412が設けられている。なお、第1基板41の欠損部41a、41b付近には電子部品41eが実装されていない。
【0025】
また、前側ケース21には、欠損部41a、41bに対応して、同様に欠損部21a、21bが形成されており、欠損部41aと欠損部21a、欠損部41bと欠損部21bでそれぞれ形成する円筒側面状の空間は、前側ケース21と後側ケース22とを、図示しない二本のネジで繋ぎとめる際に、ネジが貫通するための空間として用いられる。
【0026】
次に、第1基板41を前側ケース21に固定する構成について説明する。図6は、前側ケース21を斜め後方から見た例を示す図である。図6に示すように、前側ケース21には、外周を囲む略四角形筒状の外周壁211と、この外周壁211との間に、略四角形の挿入溝216を形成して設けられた4枚の支持壁212a、212b、212c、212dと、これら支持壁212a、212b、212c、212dの内側に配置された略円筒状の鏡筒213とが一体に設けられている。また、支持壁212aと支持壁212bとの間のコーナ部、及び、支持壁212cと支持壁212dとの間のコーナ部には、詳細な図示は省略するが、それぞれ縦溝214が形成されている。各支持壁212a、212b、212c、212dは、撮影光学系1の光軸と直交する平面上において後端面215を備えている。
【0027】
第1基板41は、撮影光学系1によって導かれた被写体像がイメージセンサ411の撮像面の中央に結像されるように撮影光学系1の光軸方向及び光軸と直交する方向に位置調整された状態で、後端面215に固定されている。この第1基板41の前側ケース21に対する固定は、接着剤による接合でなされているとともに、部分的に固定用部材23を介して接合されている(図3、図4参照)。
【0028】
なお、ネジ留めなどを行わずに接着剤を用いるのは、サイズや重量を増加させないためである。
【0029】
また、固定用部材23は、紫外線を透過する材質によって略L字断面形状に形成されており、前側ケース21の支持壁212b、212dに形成された凹部212eに収まるように接着される。
【0030】
さらに、固定用部材23と第1基板41及び前側ケース21との接着には、紫外線硬化型接着剤が用いられ、それ以外の第1基板41の接続には、熱硬化型接着剤が用いられている。
【0031】
次に、撮像装置Aの後側部分の構成について説明する。図7は後側ケース22の内側の構造例を示す図である。図7に示すように、後側ケース22の内側には、シールドケース5(シールド部材の一例)が設けられている。このシールドケース5は、電磁波を遮蔽するもので(電磁波対策)、金属製の筐体、あるいは、樹脂製の筐体の内部を金属膜で覆ったものが用いられている。シールドケース5は、直接又は間接的にアース(グランド)に接続される。
【0032】
このシールドケース5の内側に、第1基板41及び第2基板42が設けられている。この第2基板42は、図8に示すように、その前面側に、第2コネクタ422が設けられており、この第2コネクタ422を第1基板41の第1コネクタ412に接続させることで、両者が電気的に接続されている。
【0033】
なお、第2基板42の後面側には、複数の電子部品42eが設けられている。第2基板42は、複数の電子部品42eにより、イメージセンサ411により光学変換された像を画像処理する。このようなことから、第2基板42は、「メイン基板」と呼ぶこともできる。
【0034】
第2基板42は、シールドケース5に接合され、シールドケース5は、前側ケース21に組み付けられて接合される。ここで、第2基板42のシールドケース5に対する接合構造を説明するのにあたり、まず、シールドケース5について説明する。
【0035】
図9は、シールドケース5の外観例を示し、図10は、シールドケース5の分解例を示す図である。これら両図に示すように、シールドケース5は、ケース底面部51、ケース筒部52、ケース上面部53を備えている。なお、シールドケース5の形状は、図9、図10に示す形状に限られものではなく、電磁波対策機能が成り立つのであれば、第1基板41と第2基板42の全周囲を覆う形状、あるいは、第1基板41と第2基板42の全周囲のうち一部(例えば、所定の面)を開放して覆う形状、のいずれであってもよい。
【0036】
ケース筒部52は、図9、図10に示すように、略直方体状の筒状に形成されている。そして、このケース筒部52の後側端部に四角枠状のケース上面部53が装着される。
【0037】
なお、ケース筒部52は、1枚の略長方形の薄板を、4箇所の角部52b、52c、52d、52eで折り曲げ、その両端を角部52bに隣り合う位置に設けられた接合部52gで接合させて、4枚の側壁521、522、523、524を備えた略四角形の筒状に形成されている。
【0038】
このシールドケース5は、前側ケース21の外周壁211と支持壁212a〜212dとの間に形成された挿入溝216に、ケース筒部52を差し込んだ状態で、前側ケース21に接着剤などで固定される。
【0039】
第2基板42は、シールドケース5のケース筒部52の内側に、第2基板42の外周とケース筒部52とが直接接することなく、両者の間に空間sp1及び隙間sp2(図11参照)を介在させた状態で、後述する接合部材6を介してケース筒部52に接合されている。以下、この接合構造の詳細例を説明する。
【0040】
図8に示すように、第2基板42の外周の4辺の少なくとも1箇所に接合用凸片(接合用凸部)42aが第2基板42の外周方向に突出して形成されている。本実施形態では、接合用凸片42aは、第2基板42の3辺に形成されている(図8中ではそのうちの2つを図示している)が、4辺の全てに形成するのが望ましい。
【0041】
一方、ケース筒部52は、その内周が、第2基板42の外周よりも大きな寸法に形成され、ケース筒部52の内周と第2基板42の外周との間に空間sp1が形成されている。そして、ケース筒部52の四角筒状のケース筒部52を形成する4枚の側壁521〜524のうちの側壁524を除く側壁521〜523において、第2基板42を第1基板41に接続させたときに、第2基板42の接合用凸片42aの基板外周方向に対向する位置に、四角形の接合用開口部52aが開口されている。
【0042】
この接合用開口部52aは、前後方向寸法が第2基板42の厚さ寸法よりも大きな寸法に形成されているとともに、前後方向に直交する矢印SDで示す幅方向の寸法が、接合用凸片42aの幅寸法よりも大きな寸法に形成されている。すなわち、第2基板42を第1基板41に接続させ、かつ、シールドケース5を前側ケース21に固定させたときには、図11に示すように、接合用凸片42は、接合用開口部52aからケース筒部52の外側にわずかに突出するとともに、接合用凸片42aと接合用開口部52aとの間には、前後方向及び幅方向に隙間sp2が介在されるように形成されている。
【0043】
上述したケース筒部52の内周と第2基板42の外周との寸法差(空間sp1の寸法)、及び接合用開口部52aと接合用凸片42aとの寸法差(隙間sp2の寸法)は、第2基板42が予め設定された可動範囲で移動しても、相互に干渉することのない寸法に設定されている。
【0044】
すなわち、第1基板41は、前側ケース21の撮影光学系1に対して、良好な結像が得られるように位置調整されるものであり、その可動範囲が予め設定されている。従って、第1基板41に両コネクタ412、422を介して接続される第2基板42も、第1基板41に応じて可動範囲が設定される。従って、第1基板41が、設定された可動範囲で前側ケース21に対して相対移動するのに伴い、第2基板42が、設定された可動範囲で移動しても、前側ケース21に固定されたシールドケース5のケース筒部52と干渉することがないように、上記寸法差(空間sp1及び隙間sp2)が設定されている。
【0045】
なお、本実施形態では、第2基板42の4辺の寸法が20×20(mm)で、厚みが1(mm)で、接合用凸辺42aの幅が3(mm)である場合、接合用開口部52aの幅は5×5(mm)となっているが、この寸法は、上記可動範囲や、第2基板42、シールドケース5などの寸法精度や、実装精度などを考慮して適宜設定される。
【0046】
さらに、接合用開口部52aの前方側縁部には、フランジ52fが、第2基板42の接合用凸辺42aと前後方向で対向するように外周方向に突出されている。
【0047】
第2基板42とケース筒部52との接合は、図12に示す接合部材6によって、第2基板42の接合用凸片42aと、接合用開口部52aの前縁部に形成したフランジ52fとを接合させることでなされている。この接合部材6としては、例えば、非導電性のものとして、エポキシ、シリコーン、アクリルなどの樹脂からなる接着剤や溶剤系の接着剤などが挙げられる。これらの中でも、紫外線硬化型や常温硬化型の接着剤が好ましい。このように、接合部材6として、非導電性のものを用いることで、接合時に接合部材6が第1基板41や第2基板42上やシールドケース5の内部に広がってしまった場合でも、電気を通すことなく、ショートするおそれがない。
【0048】
次に、撮像装置Aの組立作業の手順(組立工程)の一例を説明する。
【0049】
まず、撮影光学系1が保持された前側ケース21に、第1基板41が接合される。このとき、第1基板41は、図示しない治具で支持された状態で撮像を行う。そして、撮影光学系1によって導かれた被写体像がイメージセンサ411の撮像面の中央に結像されるように、治具により、撮影光学系1の光軸方向及び光軸と直交する方向に位置調整が行われる。この位置調整が終了すると、接着剤により、第1基板41と前側ケース21とが接合される。
【0050】
次に、第2基板42の接合用凸片42aがシールドケース5の接合用開口部52a内に配置される。また、第2基板42の外周をシールドケース5の内周に対して離間させた状態でケース筒部52内に挿入したものが、第1基板41が固定された前側ケース21に対して後方から装着される。
【0051】
そして、第2基板42の第2コネクタ422が、第1基板41の第1コネクタ412に接続されて、第2基板42が第1基板41で支持される。
【0052】
一方、シールドケース5では、ケース筒部52の前端部が、前側ケース21の挿入溝216に挿入されて位置決めされた後、接着剤により接合される。
【0053】
このとき、シールドケース5のケース筒部52と第2基板42との間には、寸法差に基づいて十分な空間sp1が確保されており、また、接合用凸片42aと接合用開口部52aとの間に隙間sp2が確保されている。このため、シールドケース5が前側ケース21に対して位置決めされる一方で、第2基板42が第1基板41の位置に追従しても、第2基板42とケース筒部52とは干渉することがなく、第1コネクタ412と第2コネクタ422とは、負荷が与えられることなく、接続することができる。
【0054】
次に、第2基板42の接合用凸片42aと、接合用開口部52aのフランジ52fとが、接合部材6により、ケース筒部52の外側から接合される。
【0055】
その後、シールドケース5が後側ケース22で覆われる。そして、前側ケース21と後側ケース22とが接合される。そして、接続コード3が、第2基板42に接続される。
【0056】
以上のようにして、撮像装置Aの組立作業が終了する。
【0057】
このように構成された撮像装置Aでは、以下の(a)〜(e)の効果が得られる。
【0058】
(a)第2基板42とシールドケース5は、空間sp1と隙間sp2により非接触とされた上で、接合部材6を介して接合される。これにより、撮影光学系1に応じて第1基板41を位置調整することで前側ケース21に対する第1基板41の位置及びこの第1基板41に接続した第1基板42の位置にバラツキがあっても、シールドケース5と第2基板42との相対変位は、シールドケース5との間に設定した空間sp1及び隙間sp2により吸収される。
【0059】
よって、両コネクタ412、422の接続の際に、第2基板42を第1基板41に追従させても、第2基板42とシールドケース5とが干渉することなく、両コネクタ412、422に無理な負荷がかかることなく、円滑に接続できる。これにより、撮像装置Aによれば、両コネクタ412、422に接続不良が生じるのを防止できるとともに、振動などが入力しても接続状態を保持することが可能となる。
【0060】
加えて、第2基板42とシールドケース5が接合部材6を介して接合されていることから、第2基板42の荷重をシールドケース5に分散させて、両コネクタ412、422による接続部に第2基板42の荷重がかかることを抑制できるとともに、使用時の振動により、両コネクタ412、422の接続部に作用する負荷を、シールドケース5に分散できる。これにより、撮像装置Aによれば、上記荷重や負荷により両コネクタ412、422の接続状態が悪化するのを防止できる。
【0061】
(b)第2基板42とシールドケース5とが接合するにあたり、第2基板42の外周から接合用凸片42aが外方に突出させられ、シールドケース5に開口した接合用開口部52aを通してシールドケース5の外方に臨ませるように配置され、この接合用凸片42aと接合用開口部52aの内周外縁部とで接合されるようにした。
【0062】
よって、第2基板42の外周とシールドケース5の内周とに空間sp1を確保していても、その接合作業は、シールドケース5の外側から行うことができ、シールドケース5の内側で接合するのと比較して、作業性に優れる。
【0063】
加えて、接合用凸片42aと接合用開口部52aとの間にも、前後方向及びこれに直交する方向に隙間sp2を確保していることから、上述したように第2基板42を第1基板41に追従させても、接合用凸片42aと接合用開口部52aとが干渉することなく、その干渉により両コネクタ412、422へ負荷がかかることを防止できる。
【0064】
(c)第2基板42の接合用凸片42aとシールドケース5の接合用開口部52aの内周縁部とが接合するにあたり、接合用開口部52aの下縁にフランジ52fを設け、このフランジ52fと接合用凸片42aとが接合部材6を介して接合されるようにした。
【0065】
よって、撮像装置Aによれば、フランジ52fを設けない場合と比較して、接合部材6に対するシールドケース5の接触面積を確保でき、接合用凸片42aと接合用開口部52aとの接合強度を高めることができる。
【0066】
(d)接合部材6として、非導電性の接着剤を用いることから、接合時に接合部材6が第2基板42上又は第1基板41やシールドケース5の内部に広がってしまった場合でも、電気を通すことがなく、ショートするおそれがない。
【0067】
(e)ケース筒部52は、1枚の樹脂又は金属製の薄板を折り曲げて形成しているので、製造が容易である。
【0068】
以上説明した撮像装置Aでは、シールドケース5と後側ケース22は各面において互いに平行であり、一旦撮像装置Aとして完成されれば(図1、図2に示す完成状態になれば)、シールドケース5に変形が発生することはない。しかしながら、上述した組立作業の際にシールドケース5の変形が起こり、その変形が組付けに支障のない範囲であるならば、組み付けは問題なく行われることになる。この場合、撮像装置Aは、内部に不良(シールドケース5の変形)を抱えたまま図1、図2に示すように完成状態となる。
【0069】
撮像装置Aにおいて、設計保障項目である電磁波対策(電磁波対策機能)は、電気回路部品とシールドケース5の位置関係に影響される。すなわち、電磁波対策は、設計上おおよそ正しい電気回路部品とシールドケース5の位置関係のもと、例えばある専用の評価サイトで評価される。よって、この評価により保障される電磁波対策は、シールドケース5に変形が起こり、電気回路部品とシールドケース5の位置関係が変化した場合、保障外となる。
【0070】
このようなことから、撮像装置Aが完成状態となる前にシールドケース5の変形を検出することが望ましい。しかしながら、電磁波対策が保たれているか(シールドケース5に変形が起こり、電気回路部品とシールドケース5の位置関係が変化していないか)を、時間制限の厳しい量産組立工程内で判断することは非常に困難である、という問題がある。
【0071】
そこで、本実施形態の撮像装置Aでは、図1〜図12を用いて説明した構成に対し、以下の工夫を施すことを特徴とする。
【0072】
すなわち、撮像装置Aにおいて、アースに接触すると出力映像が異常となる(「画像が出力されないこと」を含む)電子部品を、第2基板42の所定部分に実装するようにする。この所定部分とは、シールドケース5が変形した際に、そのシールドケース5と電子部品とが接触する位置である。また、シールドケース5が変形する量は、これ以上のシールドケース5の変形が起こると、許容できない電磁波対策への影響が発生する量である。
【0073】
図13に、電子部品の実装例を示す。図13に示すように、電子部品8は、第2基板42に実装(配置)されている。この電子部品8は、上述したように、アースに接触すると出力映像が異常となるものである。また、電子部品8が実装されている位置は、シールドケース5が変形した際に、そのシールドケース5が電子部品8と接触する位置である。図13の例では、電子部品8の近傍のシールドケース5の一部が変形して(変形部分9)、電子部品8に接触している状態を示している。このような変形は、組立作業(組付工程)で発生し、図1、図2に示す完成状態では発生しない。
【0074】
このような図13に示す電子部品の実装構造により、組立作業にてシールドケース5の組付けに支障のない範囲でシールドケース5が変形してしまった場合、シールドケース5と第2基板42上の電子部品8が接触することになる。この接触により、電子部品8の出力映像が異常となる。この出力画像の異常は、撮像装置の組立作業(製造工程)における完成品検査又は組立途中での検査(このような検査は広く一般的に行われている)にて、発見されることになる。
【0075】
以上まとめると、図13に示す構造の撮像装置Aによれば、電磁波対策機能に影響をあたえるシールドケース5の変形が起こった場合、その変形を容易に検査することができる。すなわち、電磁波対策機能が保たれているかを、時間制限の厳しい量産組立工程内で判断することができる。その結果、不良品の市場流出を防止することが可能である。
【0076】
なお、電子部品8の実装位置は、図13に示す位置に限定されるものではなく、シールドケース5が変形したときに、シールドケース5と接触する位置であればよい。
【0077】
また、電子部品8の実装位置は、図13に示す第2基板42上に限定されるものではなく、シールドケース5が変形したときにシールドケース5と接触する位置であれば、第1基板41上であってもよいし、その他の場所であってもよい。
【0078】
また、電子部品8は、基板上のレイアウトがより自由になることから、電磁波対策機能自体への影響が小さいほうが好ましい。すなわち、電子部品が、電磁波対策への影響が大きく、特定の基板上の特定の場所にしか実装できない(特定の場所以外に実装すると、要求される電磁波対策を満足できない)といった性質のものであると、実装する場所の制限を受けることになるので、基板上のレイアウトの自由度が低くなる。これに対し、電子部品が、電磁波対策への影響が少ない性質のものであれば、実装する場所の制限を受けることがないので、基板上のレイアウトの自由度が大きくなる。よって、基板上へ実装する電子部品8としては、電磁波対策への影響が小さいものを用いるのが好ましい。
【0079】
また、電子部品8は、アース(シールドケース)との接触により出力映像が異常となるものであれば、配線や回路パターンであってもよい。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、シールドケースに囲まれた第1基板と第2基板とが接続されており、第2基板が接合部材を介してシールドケースに固定された撮像装置において、電磁波対策が保たれているかを量産組立工程内で容易に判断できる。その結果、不良品の市場流出を防止することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0082】
A 撮像装置
sp1 空間
sp2 隙間
1 撮影光学系
2 アウタケース
3 接続コード
5 シールドケース
6 接合部材
8 電子部品
9 シールドケースが変形した部分
21 前側ケース
41 第1基板
42 第2基板
42a 接合用凸片
52a 接合用開口部
52f フランジ
411 イメージセンサ(撮像素子)
412 第1コネクタ
422 第2コネクタ
521 側壁
522 側壁
523 側壁
524 側壁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2008−33010号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系により結像される像を光学変換する撮像素子が搭載された第1基板と、
前記第1基板に接続され、前記撮像素子により光学変換された像を画像処理する第2基板と、
アースに接続され、前記第1基板及び前記第2基板を囲んで配置されるシールドケースと、を備え、
前記第2基板が接合部材を介して前記シールドケースに固定された撮像装置であって、
アースに接触すると出力映像が異常となる電子部品を、前記シールドケースがその組み付けに支障のない範囲で変形したときに当該シールドケースと前記電子部品とが接触する位置に実装することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記電子部品が実装される位置は、
前記第1基板上又は前記第2基板上であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記電子部品は、
前記シールドケースにより実現される電磁波対策への影響が小さいものであることを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−29614(P2013−29614A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164692(P2011−164692)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】