説明

撮像装置

【課題】屋内外に設置される撮像装置の場合、自動車の通過等の要因による撮像装置に加わった振動によりレンズ内の絞り羽根が共振し、絞り羽根の振動により撮像した画像にノイズが発生することがある。特に、被写体が暗い場合には絞りを開放し入射光量を多くし、この場合には絞り羽根の径が小さくなって共振は起こり難いが、一方、被写体が明るい場合には絞りを絞って入射光量を少なくし、この場合には絞り羽根の径が大きくなって共振し易くなる。
【解決手段】着脱または切り替え可能な減光フィルタと、絞り制御が可能なレンズと、入射光を光電変換し映像信号を生成する撮像素子と、前記映像信号の信号レベルを制御するゲイン制御部と、振動を検知する振動検知部と、前記減光フィルタの着脱または切り替え、前記レンズの絞り、および、前記ゲイン制御部のレベル調整を前記振動検知部の出力に応じて制御する制御部と、を備えることを特徴とする撮像装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光量自動調整機能付きの撮像装置における振動対策に関する。
【背景技術】
【0002】
画像監視システムは、ホテルやビル、コンビニエンスストア金融機関、ダムまたは道路等といった様々な公共施設等において、犯罪抑止や事故防止等の目的で設置されている。特に屋外等にカメラが設置される場合、撮像装置をハウジングに収納したタイプのものや、撮像装置をパン・チルト動作させる雲台と撮像装置を収納するハウジングと撮像装置から構成される雲台一体型のカメラ装置が運用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、雲台、ハウジング、撮像装置から構成される雲台一体型の撮像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−194856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この様な撮像装置の場合、屋内外に設置され、自動車の通過等の要因による振動に影響される。具体的には、撮像装置に加わった振動によりレンズ内の絞り羽根が共振し、絞り羽根の振動により撮像した画像にノイズが発生することがある。特に、被写体が暗い場合には絞りを開放し入射光量を多くし、この場合には絞り羽根の径が小さくなって共振は起こり難いが、一方、被写体が明るい場合には絞りを絞って入射光量を少なくし、この場合には絞り羽根の径が大きくなって共振し易くなる。
【0006】
この様な課題を鑑み、本発明は、絞り羽根の共振によるノイズの発生を抑制し、安定した撮像画像を提供することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、着脱または切り替え可能な減光フィルタと、絞り制御が可能なレンズと、入射光を光電変換し映像信号を生成する撮像素子と、前記映像信号の信号レベルを制御するゲイン制御部と、振動を検知する振動検知部と、前記減光フィルタの着脱または切り替え、前記レンズの絞り、および、前記ゲイン制御部のレベル調整を前記振動検知部の出力に応じて制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の撮像装置は、着脱または切り替え可能な減光フィルタと、絞り制御が可能なレンズと、入射光を光電変換し映像信号を生成する撮像素子と、前記映像信号の信号レベルを制御するゲイン制御部と、振動を検知する振動検知部と、前記減光フィルタの着脱または切り替え、前記レンズの絞り、前記ゲイン制御部のレベル調整、および、前記撮像素子の露光時間を前記振動検知部の出力に応じて制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、絞りを絞って絞り羽根の径が大きくなる状態をできるだけ少なくすることで、ノイズの少ない画像を安定的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例の撮像装置の内部構成図である。
【図2】本発明の実施例の撮像装置における被写体の照度と制御の関係を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例の撮像装置における被写体の照度と制御の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の実施例においては雲台一体型撮像装置を例に説明するが、これに限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施例の撮像装置の内部構成図である。
雲台一体型撮像装置は、主に撮像部100と電動雲台部150とから構成される。
【0013】
撮像部100は、入射光量を減少させる減光フィルタ101、入射光を集光するレンズ部102、照射された光を電気信号に光電変換して映像信号を出力するCCD(Charge Coupld Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子103、映像信号に相関二重サンプリングやAGC(Auto Gain Control)、アナログ/デジタル変換処理を施す中段処理部104、映像データに種々の映像処理を施し撮像素子103を駆動するためのタイミング信号等を生成するFPGA部105、各種カメラ信号処理プロセスを実行するカメラ用のDSP(Digital Signal Processor)106、各部を制御するCPU(Central Processing Unit)107、レンズ102の絞りを開閉する絞り駆動機構部108、減光フィルタ101を着脱又はオン/オフするフィルタ切替部109、フィルタ切替部109を動作させるフィルタ変換機構110、撮像部111の振動を感知する振動センサ111から構成される。
【0014】
雲台部150は、雲台150の各部を制御するCPU部151、撮像部100の光軸を垂直方向に旋回させるPAN軸動作機構部152、撮像部100の光軸を水平方向に旋回させるTILT軸駆動機構部153、レンズ102のズーム倍率などを制御するレンズ動作部154、雲台部150の振動を感知する振動センサ155から構成される。
【0015】
そして、本撮像装置は撮像部100、雲台部150、及び、映像データを外部に出力する映像出力部180から構成される。
【0016】
続いて、撮像動作の際の各部の動作を説明する。
CPU151はPAN軸動作機構152、TILT軸動作機構153を制御して予め定められた位置に撮像部100の光軸が向く様に旋回させ、またレンズ動作部154を介してレンズ102のズーム倍率を調整し、予め定められた画角の映像を得られる様にする。この他にも複数地点を向く様にセットして動作させることをプリセット動作という。
現在の画角内に被写体が存在するとし、被写体を含む画角から入射された光は、レンズ102を介して撮像素子103に結像し、FPGA105の制御に従って光電変換されて映像信号として中段処理部104に出力される。中段処理部104は、映像信号に相関二重サンプリング、AGC、アナログデジタル変換処理を施して映像データをFPGA105へ出力する。FPGA105は、CPU107の制御に従って映像データに種々の映像処理を施してDSP106へ出力する。DSP106は、CPU107の制御に従って映像データに画像圧縮処理等を施して映像出力部180へ出力する。映像出力部180は、ネットワーク等の後段に適した形式にデータ変換し、後段へ出力する。
【0017】
ここで、撮像範囲の照度が暗くなってきた場合、まず、CPU107の制御に従って絞り駆動機構108がレンズ102の絞りを徐々に開放して入射光量を多くする。さらに暗くなってレンズ102が開放端に達した場合、CPU107の制御に従って中段処理部104のAGCを制御してゲインアップすることで明るい映像を得る。照度は、別途照度センサを設けて検出しても良いし、FPGA等で映像の照度を検出する様にしても良い。
【0018】
逆に撮像範囲の照度が明るくなってきた場合、CPU107の制御に従って絞り駆動機構108がレンズ102の絞りを徐々に絞って入射光量を少なくする。このとき、振動がない場合は問題がないが、振動がある場合、絞り羽根の径が大きくなって撮像装置筺体に伝わった振動に絞り羽根が共振し、映像にノイズを与えてしまう。
【0019】
そこで、振動センサ111および/または振動センサ155により振動を感知し、所定量以上の振動がある場合には、減光フィルタ101を装着またはオンにしてレンズ102の絞りを絞る照度のレベルを遅らせることで、絞り羽根の共振をできるだけ防止し、ノイズの少ない映像を得る様子を、図3を用いて説明する。
【0020】
(1)減光フィルタを装着しない場合では、暗くなるとレンズ絞り制御期間から照度Aの時点でAGC制御期間に切り換わる。また、明るくなるとレンズ絞りを絞って照度Bの時点で絞りが閉鎖端に達して映像を取得できなくなる。このとき振動があれば、網掛け範囲でノイズが発生することとなる。
(2)所定量以上の振動を感知し減光フィルタを装着した場合では、入射光量が減少するため、減光フィルタ無しの場合に比べて、しっかりとした映像を得られる照度の下限と上限が明るい方向にシフトする。そのため、照度Bの時点まではノイズの少ない映像を取得でき、照度Bより明るい場合にノイズが発生することになる。
振動に応じて減光フィルタを着脱またはオン/オフ切り替えすることにより、よりノイズの少ない映像をより広い照度の範囲で取得することが可能になる。
【0021】
しかしながら、図3に示した振動に応じた減光フィルタの切り替えの場合、振動を検知しその都度切り替える必要があるため、処理量の負荷と切替機構の耐久性を鑑みる必要がある。そこで、図4に示す、電子シャッタを用いる方法によれば、切り替えすることなく拾い照度範囲でノイズの少ない映像を取得することが可能となる。
【0022】
(1)減光フィルタを装着しない場合については図3の説明で述べた通りである。
(2)減光フィルタを装着した場合、照度が暗い時にはAGCを制御することにより電子的に映像の明るさを明るくし、照度Aの時点で電子シャッタ制御期間に切り換わる。電子シャッタ制御期間では、電子シャッタにより露光時間を調整して撮像し、暗い時には露光時間を長く、明るい場合には露光時間を短くすることで一定の明るさの映像を撮像する。露光時間による制御が限界または設定した時点で、レンズ絞り制御期間に切り換わる。ここでは、上述した様に、レンズの絞りを調整して撮像し、暗い時にはレンズを開放し、明るい時にはレンズを絞って撮像する。ここで、照度Bの時点で、(1)減光フィルタを装着しない場合では撮像可能照度の限界であり、ノイズも既に発生していたのに対し、(2)減光フィルタを装着した場合では照度Bより照度が低ければノイズの少ない映像を取得することができる。
【0023】
以上に説明した様に、減光フィルタを装着し、さらに電子シャッタによる露光時間の制御も加えて動作させることで、広い範囲の照度でノイズの少ない映像を取得することが可能である。
【0024】
なお、本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0025】
100:撮像部、101:減光フィルタ、102:レンズ、103:撮像素子、104:中断処理部、105:FPGA、106:DSP、107:CPU、108:絞り駆動機構、109:フィルタ切替部、110:フィルタ変換機構、111:振動センサ、150:雲台、151:CPU、152:PAN軸動作機構、153:TILT軸動作機構、154:レンズ動作部、155:振動センサ、180:映像出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱または切り替え可能な減光フィルタと、
絞り制御が可能なレンズと、
入射光を光電変換し映像信号を生成する撮像素子と、
前記映像信号の信号レベルを制御するゲイン制御部と、
振動を検知する振動検知部と、
前記減光フィルタの着脱または切り替え、前記レンズの絞り、および、前記ゲイン制御部のレベル調整を前記振動検知部の出力に応じて制御する制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
着脱または切り替え可能な減光フィルタと、
絞り制御が可能なレンズと、
入射光を光電変換し映像信号を生成する撮像素子と、
前記映像信号の信号レベルを制御するゲイン制御部と、
振動を検知する振動検知部と、
前記減光フィルタの着脱または切り替え、前記レンズの絞り、前記ゲイン制御部のレベル調整、および、前記撮像素子の露光時間を前記振動検知部の出力に応じて制御する制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−5422(P2013−5422A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138200(P2011−138200)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】