説明

撮像装置

【課題】 特別な構成なく、簡単に被写体の立体視が可能な画像を取得することを目的とする。
【解決手段】 第1画像を取得する撮像部と、撮像部により取得される第1画像から主要被写体を特定する特定部と、特定部により特定された主要被写体までの距離情報を取得する距離情報取得部と、第1画像に対して視差を有する第2画像を撮像部により取得するときに、距離情報取得部によって取得された距離情報に基づいて、表示部に補助的に表示する補助画像を表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を取得する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、独立した2つの撮像手段により、右眼用の画像及び左眼用の画像等、水平方向の視差を有する一対の画像を取得し、それらを左右それぞれの眼で観察することができるように表示することにより、立体的な画像を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−130312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の技術では、2つの撮像手段を有することで、製造コストの増大や、撮像装置本体が大型化するという問題がある。また、右眼用の画像と左眼用の画像との双方の向きまたは角度等が異なる場合、立体的な画像を得ることができないため、向きや角度等を合わせて撮影する必要がある。
【0005】
そこで、本発明の撮像装置は、特別な構成なく、簡単に被写体の立体視が可能な画像を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、第1画像を取得する撮像部と、前記撮像部により取得される第1画像から主要被写体を特定する特定部と、前記特定部により特定された前記主要被写体までの距離情報を取得する距離情報取得部と、前記第1画像に対して視差を有する第2画像を前記撮像部により取得するときに、前記距離情報取得部によって取得された前記距離情報に基づいて、表示部に補助的に表示する補助画像を表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記第1画像における被写体を解析する解析部と、前記撮像部により前記第2画像を取得するときに、前記解析部による前記被写体の解析結果及び前記距離情報取得部により特定された前記主要被写体までの距離情報に基づいて、前記第2画像における前記主要被写体の状態を推定する推定部と、を備えるものである。
【0008】
また、前記推定部は、前記第1画像を取得した位置から水平方向に所定間隔移動した位置、又は前記主要被写体を中心にして、前記第1画像を取得した位置から所定角度移動した位置のいずれか一方の位置において取得される前記第2画像の前記主要被写体の状態を推定するものである。
【0009】
また、前記表示制御部は、前記第1画像を取得した位置から前記第2画像を取得する位置への移動を示唆する表示と、前記撮像部の光軸が前記第2画像を取得する位置と前記主要被写体との位置とを結ぶ直線と一致するまでの前記撮像部の光軸の回転を示唆する表示とを行うものである。
【0010】
また、前記推定部により推定された結果に基づく前記主要被写体の状態の表示は、前記第2画像における前記主要被写体の少なくとも一部の領域を含む補助枠の表示であることが好ましい。
【0011】
また、前記表示部は、前記解析部による前記被写体の解析結果に基づいて、前記第1画像における前記主要被写体の少なくとも一部の領域を含む被写体枠を表示することが可能であることが好ましい。
【0012】
また、撮像倍率を指定する指定部を備え、前記補助枠は、前記第2画像の取得時に前記指定部により指定された前記撮像倍率に応じて、拡大又は縮小されることが好ましい。
【0013】
また、前記解析部は、前記第2画像における前記被写体の状態を解析し、前記第1画像における前記被写体の解析結果と前記第2画像における前記被写体の解析結果とに基づいて、前記第1画像と前記第2画像とを用いた前記被写体の立体視が可能であるか否かを判定する判定部をさらに備えるものである。
【0014】
また、前記判定部により前記被写体の立体視が不可であると判定された場合に、前記第1画像と補正後の前記第2画像とを用いた前記被写体の立体視が可能となるように、前記第2画像を補正する補正部とを備えるものである。
【0015】
また、前記第1画像と前記第2画像と前記補助枠とを1つのファイルに記録する記録部を備えるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の撮像装置によれば、特別な構成なく、簡単に被写体の立体視が可能な画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における撮像装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】左眼用画像と被写体フレームFとを重畳表示した一例を示す図である。
【図3】撮影を行うユーザの両眼と、被写体Sとの位置関係を示す図である。
【図4】左眼用画像とアシストフレームAとを重畳表示した一例を示す図である。
【図5】撮影時の動作を示すフローチャートである。
【図6】スルー画像の被写体SがアシストフレームAに収まる状態を示す図である。
【図7】(A)撮像装置10を水平方向へ移動させることを示す図である。(B)撮像装置10をパン方向へ回転させることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態における撮像装置10の構成を示すブロック図である。撮像装置10は、撮影モードの一つとして、3次元撮影モードを有している。3次元撮影モードは、左眼用画像、右眼用画像など立体画像の元になる一対の画像を取得する撮影モードである。この3次元撮影モードにおいては、ユーザは、例えば左眼用画像を取得した後、撮像装置10を移動させて、右眼用画像を取得する。この右眼用画像は、先に取得した左眼用画像に対して被写体や背景の向き等、所謂構図が異なる。そこで、この3次元撮影モードにおいては、右眼用画像を取得する前に、これから取得する右眼用画像に含まれる被写体の好ましい状態(被写体の向きや大きさ等)をユーザに認識させるためのアシスト表示を行う。なお、このアシスト表示についての詳細については、後述する。
【0019】
図1に示すように、撮像装置10は、撮像レンズ11、撮像素子12、A/D変換部13、バッファメモリ14、画像処理部15、表示部16、測距センサ17、加速度センサ18、メモリ19、操作部20、記録I/F部21、記録媒体22、制御部23、バス24を備える。
【0020】
撮像レンズ11は、撮像素子12の結像面に被写体像を結像する。撮像素子12は、撮像レンズ11を通過した被写体光を光電変換し、R、G、Bの各色に対応するアナログ画像信号を出力する。撮影モードにおいて、撮像素子12は、所定間隔毎に間引き読み出しを行い、スルー画像を取得する。その後、撮像素子12は、後述するレリーズ釦25が全押しされると、本画像を取得する。撮像素子12から出力される画像信号は、A/D変換部13に入力される。A/D変換部13は、撮像素子12から出力されるアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。なお、このデジタルの画像信号は、1コマにまとめられ、画像データとしてバッファメモリ14に記録される。バッファメモリ14は、後述する画像処理部15による画像処理の前工程や後工程で画像データを一時的に記録する。
【0021】
画像処理部15は、バッファメモリ14に記録された画像データに対して画像処理を施す。なお、この画像処理としては、周知の解像度変換処理、WB(ホワイトバランス)調整、明るさ調整、色補間、階調変換処理、輪郭強調処理等が挙げられる。また、画像処理部15は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等で圧縮する処理や、圧縮された上記のデータを伸長復元する処理をも実行する。
【0022】
表示部16は、各種の画像を表示する。表示部16に表示される各種の画像は、スルー画像、本画像、メニュー画像、後述する記録媒体22に記録された画像等である。測距センサ17は、レリーズ釦25の半押し操作時に作動し、被写体Sまでの距離を検出する。加速度センサ18は、例えば、ジャイロセンサにより構成され、撮像装置10の移動距離や、回転角度を検出する。
【0023】
操作部20は、レリーズ釦25、十字キー26等を有する。操作部20は、レリーズ釦25、十字キー26等を有する。レリーズ釦25は、その半押し操作時にAE演算やAF演算、WB調整が実行される。また、レリーズ釦25は、その全押し操作時に撮像に係る処理が行われる。十字キー26は、メニュー画像の表示時等に操作される。なお、レリーズ釦25、十字キー26の状態は制御部23により検知され、検知された釦やキーの状態に基づいたシーケンスが実行される。記録I/F部21は、記録媒体22が接続されることにより、記録媒体22に対してデータの書き込み/読み出しを実行する。
【0024】
制御部23は、所定のシーケンスプログラムにしたがって、撮像装置10の統括的な制御を行うとともに、撮影時に必要となる各種演算(AF、AE等)を実行する。この制御部23は、解析部27、推定部28等の機能を有している。以下、これら解析部27、推定部28の機能が3次元撮影モードにて有効となる場合について説明する。
【0025】
解析部27は、左眼用画像が取得されたときに、この左眼用画像に含まれる被写体Sを解析する。なお、被写体Sを解析する方法としては、周知のパターンマッチングや特徴量抽出が用いられる。
【0026】
推定部28は、解析部27により解析された解析結果に基づいて、右眼用画像取得時の被写体Sの状態を推定する。被写体Sの推定としては、被写体フレームF及びアシストフレームAの生成が挙げられる。まず、被写体フレームFについて説明する。推定部28は、左眼用画像の取得時のAF演算時に使用されるフォーカスポイント位置、解析部27により解析された被写体S及び被写体Sからの距離(以下、被写体距離M)を利用して、左眼用画像に含まれる被写体Sの状態(向き、大きさ)を示す3次元の被写体フレームFを生成する。なお、この被写体フレームFは、直方体や立方体などの枠からなる。なお、周知のように、画像は3次元で示される被写体の像を撮影光軸に直交する撮像面に投影したものであることから、表示部16に表示される被写体フレームFは、3次元の枠が撮像面に投影された状態で表示される(図2参照)。
【0027】
図3は、撮影を行うユーザの両眼と、被写体Sとの位置関係を示す。人間が被写体を観察したときに被写体に対して立体感を感じる条件としては、例えば視差、言い換えれば、被写体Sと左眼Lとを結ぶ直線と、被写体Sと右眼Rとを結ぶ直線とがなす角度θが4度となることである。また、上述した角度が4度未満となる場合は、被写体までの距離(被写体距離M)が遠くなることから視差が無くなり、被写体に対して立体感を感じにくくなる。
【0028】
そこで、推定部28は、左眼用画像と右眼用画像とを用いた立体画像の表示の際に、被写体Sが立体視されるように、右眼用画像の構図を決定するためのアシストフレームAを生成する。なお、このアシストフレームAは、被写体フレームFを、垂直方向を軸にして所定の角度θ回転させることで生成することができる。この角度θは、以下の手順で決定される。
【0029】
まず、推定部28は、被写体距離Mが閾値以下か否かを判定する。この閾値は、例えば、人間が被写体Sを観察したときに、該被写体Sに対して立体感を感じるときの被写体距離Mが挙げられる。例えば、被写体距離Mが閾値以下である場合は、推定部28は、人間の左眼Lと右眼Rとの間隔Dと被写体距離Mとを用いて角度θを算出する。一般的に、人間の左眼Lと右眼Rとの間隔Dは、6〜7cmである。一方、被写体距離Mが閾値を超える場合は、被写体Sを観察したときに、該被写体Sに対して立体感を感じなくなることから、この場合には、一般的に立体感を感じるときの角度である4度を、上記角度θとする。
【0030】
この角度θを決定した後、推定部28は、生成された被写体フレームFを4度回転させたアシストフレームAを生成する。なお、この被写体フレームFを回転させる場合には、例えば、被写体フレームFの上面の中心を通り、垂直方向に延びる直線を軸に回転させればよい。なお、図4は、左眼用画像とアシストフレームAとを重畳表示した一例を示している。
【0031】
バス24は、バッファメモリ14、画像処理部15、表示部16、測距センサ17、加速度センサ18、記録I/F部21、制御部23を相互に接続することにより、データや信号の出入力を実行する。
【0032】
次に、撮影時の動作について、図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、図5のフローチャートは、3次元撮影モードが設定されていることを前提に説明する。また、以下、撮像装置10は横向きに構えられた状態で、1つの被写体Sを撮影するシーンを例に挙げて説明する。
【0033】
ステップS101は、レリーズ釦25が半押しされたか否かを判定する処理である。制御部23は、レリーズ釦25が半押しされたと判定した場合(ステップS101の判定がYESとなる場合)には、ステップS102に進む。一方、制御部23は、レリーズ釦25が半押しされていないと判定した場合(ステップS101の判定がNOとなる場合)には、レリーズ釦25が半押しされるまで待機する。
【0034】
ステップS102は、AE、AF演算、WB調整、被写体距離Mを検出する処理である。制御部23は、AE、AF演算、WB調整を行う。また、測距センサ17は、撮像装置10から被写体Sまでの被写体距離Mを検出する。
【0035】
ステップS103は、レリーズ釦25が全押しされたか否かを判定する処理である。制御部23は、レリーズ釦25が全押しされたと判定した場合(ステップS103の判定がYESとなる場合)には、ステップS104に進む。一方、制御部23は、レリーズ釦25が全押しされていないと判定した場合(ステップS103の判定がNOとなる場合)には、レリーズ釦25が全押しされるまで待機する。
【0036】
ステップS104は、左眼用画像を取得する処理である。撮像素子12は、左眼用画像を取得する。その後、撮像素子12は、スルー画像を取得する。
【0037】
ステップS105は、被写体Sを解析する処理である。解析部27は、左眼用画像の被写体Sを解析する。
【0038】
ステップS106は、被写体フレームFを生成する処理である。推定部28は、ステップS102でAF演算時に使用されたフォーカスポイント位置、解析部27により解析された被写体S及び被写体距離Mを利用して、左眼用画像に含まれる被写体Sの状態を示す被写体フレームFを生成する。
【0039】
ステップS107は、アシストフレームAを生成する処理である。まず、推定部28は、ステップS102で検出した被写体距離Mが閾値以下か否かを判定し、この判定結果に基づいて、被写体フレームFを回転させるときの角度θを決定する。例えば、被写体距離Mが閾値以下であると判定した場合には、推定部28は、被写体距離M及び左眼と右眼との間隔Dを用いて、角度θを算出する。一方、被写体距離Mが閾値を超えると判定した場合には、推定部28は上述した角度θを4度に決定する。最後に、推定部28は、先に生成されている被写体フレームFを、所定方向に算出した角度θ回転させる。推定部28は、被写体フレームFを角度θ回転させることで、アシストフレームAを生成する。
【0040】
ステップS108は、アシストフレームAとスルー画像とを重畳表示する処理である。表示部16は、アシストフレームAとスルー画像とを重畳表示する。これにより、アシスト表示が行われる。例えば、ユーザは、撮像装置10を右方向に水平移動させる。次に、ユーザは、撮像装置10を水平方向へ移動させた直後の撮像レンズ11の光軸が、被写体Sの位置と右眼用画像を取得する位置とを結ぶ直線に一致するように、撮像装置10を回転(以下、パン方向へ回転)させる。これにより、図6に示すように、スルー画像の被写体Sは、アシストフレームAに収まる状態になる。
【0041】
ステップS109からS111は、ステップS101からS103と同様の処理である。なお、ステップS110において、制御部23は、右眼用画像の明るさや色合いが左眼用画像と同様になるようにAE演算、WB調整を行う。
【0042】
ステップS112は、右眼用画像を取得する処理である。撮像素子12は、右眼用画像を取得する。
【0043】
ステップS113は、左眼用画像と右眼用画像とを用いて、被写体Sの立体視が不可であるか否かを判定する処理である。まず、解析部27は、右眼用画像から被写体Sを解析し、被写体Sの大きさ、位置、向き等を検出する。次に、制御部23は、左眼用画像と右眼用画像との被写体Sの大きさ、位置、向き等を比較し、左眼用画像と右眼用画像とを用いて、被写体Sの立体視が不可であるか否かを判定する。制御部23は、被写体Sの立体視が不可であると判定した場合(ステップS113の判定がYESとなる場合)には、ステップS114に進む。一方、制御部23は、被写体Sの立体視が可能であると判定した場合(ステップS113の判定がNOとなる場合)には、ステップS115に進む。
【0044】
ステップS114は、補正する処理である。画像処理部15は、左眼用画像と補正後の右眼用画像とを用いて、被写体Sの立体視が可能となるように、右眼用画像を補正する。例えば、画像処理部15は、被写体距離Mや、左眼用画像と右眼用画像との被写体Sの目や顔の大きさ、被写体Sの高さなどを比較することにより、左眼用画像と右眼用画像との被写体Sの大きさが一致するか否かを判定する。画像処理部15は、左眼用画像と右眼用画像との被写体Sの大きさが異なる場合は、左眼用画像の被写体Sの大きさに合うように、右眼用画像の被写体Sが含まれる領域を拡大するか、又は右眼用画像を縮小する。
【0045】
また、画像処理部15は、左眼用画像と右眼用画像との被写体Sの位置が合わない場合は、左眼用画像の被写体Sの位置に合うように、右眼用画像の水平位置と垂直位置とを補正するか、又は傾きを補正する。また、画像処理部15は、左眼用画像と右眼用画像との被写体Sの向きが合わない場合は、被写体Sの目、鼻、口の位置や相対距離などから被写体Sの向きを検出し、検出した被写体Sの向きが所定の方向になるように補正する。さらに、画像処理部15は、左眼用画像と右眼用画像との明るさや色合いが合わない場合は、左眼用画像の明るさや色合いに合うように、右眼用画像に輝度補正、色相補正等を行う。
【0046】
ステップS115は、記録する処理である。制御部23は、ステップS114の画像補正を行った場合には、ステップS104で取得した左眼用画像、ステップS106で生成したアシストフレームA、ステップS114で補正を行った右眼用画像を同一のファイルに記録する。一方、制御部23は、ステップS114の画像補正を行っていない場合には、ステップS104で取得した左眼用画像、ステップS106で生成したアシストフレームA、ステップS112で取得した右眼用画像を同一のファイルに記録する。なお、制御部23は、このファイルを、マルチピクチャフォーマット規格に準拠したファイル形式で記録してもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置10は、先に取得した左眼用画像に基づいてアシストフレームAを生成し、生成したアシストフレームAをスルー画像に重畳表示する。そのため、右眼用画像を取得するときに、ユーザにとって直感的でわかりやすいアシスト表示を行うことができる。したがって、本実施形態の撮像装置10によれば、特別な構成なく、簡単に被写体Sの立体視が可能な画像を取得することができる。
【0048】
また、撮像装置10は、左眼用画像、右眼用画像、アシストフレームAを同一のファイルに記録するため、ユーザにとって扱いやすいファイルとなる。
【0049】
なお、上記の実施形態では、被写体フレームF、アシストフレームAは、直方体や立方体などの枠からなる例を説明したが、これに限らない。例えば、アシストフレームAは、右眼用画像の被写体Sを補助的に表示したものでもよい。
【0050】
また、左眼用画像及び右眼用画像を用いて、被写体Sを立体視する方法は限定されない。例えば、ユーザは、左眼用画像と右眼用画像とを用いて、平行法又は交差法により、被写体Sを立体視してもよい。また、表示部16に液晶シャッタを備え、この液晶シャッタに対応して、左眼用画像と右眼用画像とを交互に表示してもよい。さらに、左眼用画像と右眼用画像とが縦方向の縞状に交互に配置された立体テレビ用の画像を画像処理部15が生成してもよい。
【0051】
また、上記の実施形態では、被写体Sの全体を含むアシストフレームAを生成する例を示したが、これに限らない。例えば、顔など被写体Sの一部のみを含むアシストフレームAを生成してもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、1つの被写体Sを撮影するシーンを例に挙げて説明したが、複数の被写体Sを撮影するシーンにも対応できる。この場合、ステップS105の後で、制御部23は、ステップS104で取得した左眼用画像を表示部16に表示し、ユーザから十字キー26を介して、基準となる被写体Sの選択を受け付ければよい。
【0053】
また、上記の実施形態では、アシストフレームAのみをスルー画像と重畳表示する例を示したが、これに限らない。例えば、解析部27は、加速度センサ18により検出された撮像装置10の移動距離や、回転角度に基づいて、スルー画像が取得される毎に、被写体Sを解析する。同様に、推定部28は、解析部27により解析された被写体Sに基づいて、スルー画像が取得される毎に、被写体フレームFを随時生成する。そして、表示部16は、被写体フレームFとアシストフレームAとスルー画像とを重畳表示する。これにより、ユーザは、被写体フレームFを随時認識することができる。
【0054】
また、制御部23は、スルー画像に表示した被写体フレームFとアシストフレームAとが一致したときに、被写体フレームFの色を変える等により、ユーザに一致したことを通知してもよい。また、制御部23は、スルー画像に表示した被写体フレームFとアシストフレームAとが一致したときに、自動的に右眼用画像を取得するよう撮像素子12を制御してもよい。
【0055】
また、アシストフレームAの補助として、図7(A)に示すように、撮像装置10を水平方向へ移動させることを示す矢印30、「右方向へ水平移動」のメッセージ31を表示してもよい。また、図7(B)に示すように、撮像装置10を左方向へ回転させることを示す矢印32、撮像装置10を上から見た図33、「パン方向へ回転」のメッセージ34を表示してもよい。また、推定部28は、右眼用画像を取得するときの、撮像装置10の水平方向への移動距離及びパン方向への回転角度を算出し、これらを表示部16に表示してもよい。さらに、撮像装置10に音声を発生する発生部を備え、メッセージ31やメッセージ34を音声で発してもよい。これらの表示や音声により、ユーザにとって、さらにわかりやすいアシスト表示を行うことができる。
【0056】
なお、アシストフレームAを表示せずに、矢印30又は矢印32のみ、或いは、メッセージ31又はメッセージ34のみを表示してもよいし、矢印とメッセージとの両方を表示してもよい。
【0057】
また、先に取得した左眼用画像の全て、又はその一部を補助画像とすることも可能である。ここで、左眼用画像の少なくとも一部を補助画像とする場合、左眼用画像を少しずらして補助画像とする。
【0058】
また、GPS情報を利用してもよい。例えば、撮像装置10にGPS受信機を設け、このGPS受信機により、GPS衛星からのGPS情報を取得する。制御部23は、GPS情報及びアシストフレームAに基づいて、左眼用画像と右眼用画像とを用いて被写体Sの立体視が可能となる、右眼画像の取得位置を算出する。その後、制御部23は、撮像装置10がその位置に移動したときに、アラームなどによって、ユーザに右眼用画像を取得する位置に到達したことを通知する。これにより、撮像装置10と被写体Sとの被写体距離Mが大きい場合であっても、適切な位置で右眼用画像を取得することができる。
【0059】
また、上記の実施形態では、左眼用画像と右眼用画像とを用いて、被写体Sの立体視が不可であるか否かを判定する例を示したが、これに限らない。例えば、左眼用画像と、右眼用画像を取得する前のスルー画像とを用いて、被写体Sの立体視が不可であるか否かを判定してもよい。この場合、制御部23は、左眼用画像とスルー像との被写体Sの大きさが異なる場合は、左眼用画像の被写体Sの大きさに合うように、光学ズーム又は電子ズームにより、スルー画像を拡大表示又は縮小表示する。また、制御部23は、左眼用画像とスルー画像との被写体Sの位置又は向きが合わない場合は、位置又は向きがあっていない旨のメッセージを表示する。これにより、左眼用画像と右眼用画像とを用いて、被写体Sを立体視できる可能性が高くなる。なお、画像処理部15は、電子ズームによりスルー画像を拡大又は縮小した場合、右眼用画像も同様に拡大又は縮小する。
【0060】
また、上記の実施形態では、ステップS113で被写体Sの立体視が不可であると判定した場合に、右眼用画像を補正する例を示したが、これに限らない。例えば、制御部23は、被写体Sの立体視が不可であると判定した場合に、警告を表示し、右眼用画像を再度取得するように促してもよい。さらに、制御部23は、左眼用画像と右眼用画像との被写体Sの大きさ、位置、向き等のずれが大きく、補正不可と判定した場合に、警告を表示し、右眼用画像を再度取得するように促してもよい。
【0061】
また、上記の実施形態では、先に左眼用画像を取得してから、右眼用画像を取得する例を示したが、先に右眼用画像を取得してから、左眼用画像を取得してもよい。
【0062】
また、左眼用画像を取得した位置と右眼用画像を取得する位置との間隔が広くなるほど、立体感をより強調することができる。そのため、弱、中、強など立体感の程度をユーザが設定できるようにし、ユーザが設定した程度に応じて、左眼用画像を取得した位置と右眼用画像を取得する位置との間隔を変更してもよい。
【0063】
また、上記の実施形態では、左眼用画像と右眼用画像とを取得する際の撮像倍率が同じである例を示したが、これに限らない。例えば、左眼用画像取得後に、撮像倍率が変更された場合、推定部28は、変更された撮像倍率に応じて、アシストフレームAを拡大又は縮小する。
【0064】
また、上記の実施形態では、撮像装置10の向きが横向きに構えられた状態を例に挙げて説明したが、縦向きに構えられた状態にも対応できる。さらに、推定部28は、左眼用画像の取得後、加速度センサ18により撮像装置10の向きが横向きから縦向きに変更されたことが検出された場合は、縦向き用のアシストフレームAを生成する。
【0065】
また、上記の実施形態では、撮像装置10を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、撮像機能を備える携帯電話機等の携帯型端末機器にも本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10…撮像装置、12…撮像素子、15…画像処理部、16…表示部、17…測距センサ、18…加速度センサ、23…制御部、27…解析部、28…推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像を取得する撮像部と、
前記撮像部により取得される第1画像から主要被写体を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記主要被写体までの距離情報を取得する距離情報取得部と、
前記第1画像に対して視差を有する第2画像を前記撮像部により取得するときに、前記距離情報取得部によって取得された前記距離情報に基づいて、表示部に補助的に表示する補助画像を表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第1画像における被写体を解析する解析部と、
前記撮像部により前記第2画像を取得するときに、前記解析部による前記被写体の解析結果及び前記距離情報取得部により特定された前記主要被写体までの距離情報に基づいて、前記第2画像における前記主要被写体の状態を推定する推定部と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記推定部は、前記第1画像を取得した位置から水平方向に所定間隔移動した位置、又は前記主要被写体を中心にして、前記第1画像を取得した位置から所定角度移動した位置のいずれか一方の位置において取得される前記第2画像の前記主要被写体の状態を推定することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記表示制御部は、前記第1画像を取得した位置から前記第2画像を取得する位置への移動を示唆する表示と、前記撮像部の光軸が前記第2画像を取得する位置と前記主要被写体との位置とを結ぶ直線と一致するまでの前記撮像部の光軸の回転を示唆する表示とを行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記推定部により推定された結果に基づく前記主要被写体の状態の表示は、前記第2画像における前記主要被写体の少なくとも一部の領域を含む補助枠の表示であることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記表示部は、前記解析部による前記被写体の解析結果に基づいて、前記第1画像における前記主要被写体の少なくとも一部の領域を含む被写体枠を表示することが可能であることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の撮像装置において、
撮像倍率を指定する指定部を備え、
前記補助枠は、前記第2画像の取得時に前記指定部により指定された前記撮像倍率に応じて、拡大又は縮小されることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記解析部は、前記第2画像における前記被写体の状態を解析し、
前記第1画像における前記被写体の解析結果と前記第2画像における前記被写体の解析結果とに基づいて、前記第1画像と前記第2画像とを用いた前記被写体の立体視が可能であるか否かを判定する判定部をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像装置において、
前記判定部により前記被写体の立体視が不可であると判定された場合に、前記第1画像と補正後の前記第2画像とを用いた前記被写体の立体視が可能となるように、前記第2画像を補正する補正部とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記第1画像と前記第2画像と前記補助枠とを1つのファイルに記録する記録部を備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−70153(P2013−70153A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205994(P2011−205994)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】